JPH11300913A - ヒートシール用多層フィルム及びその製造方法並びにそれを用いた紙容器 - Google Patents

ヒートシール用多層フィルム及びその製造方法並びにそれを用いた紙容器

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JPH11300913A
JPH11300913A JP12168798A JP12168798A JPH11300913A JP H11300913 A JPH11300913 A JP H11300913A JP 12168798 A JP12168798 A JP 12168798A JP 12168798 A JP12168798 A JP 12168798A JP H11300913 A JPH11300913 A JP H11300913A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液体を充填する紙容器において、内面が低温ヒ
ートシール性、滑り性、特に密封性に優れたヒートシー
ルフィルム及びその製造方法並びにそれを用いた紙容器
の提供を課題とする。 【解決手段】 少なくともシングルサイト系触媒を用い
て重合した低密度のαーオレフィンとエチレンとの共重
合体層からなるHS層1、熱可塑性樹脂からなる中間樹
脂層2及びHS層より軟化温度が高い熱可塑性樹脂から
なる多層フィルムにおいて、HS層が前記の共重合体を
60〜95重量%と、中高密度ポリエチレン40〜5重
量%に対して、少なくとも1種類の平均粒径が5〜20
μmの無機系微粒子21を0.1〜5重量部含むHS用
多層フィルム10を構成する。また、前記中間樹脂層
は、HS層より軟化温度が高い中間樹脂層Mと、前記の
低密度のαーオレフィンとエチレンとの共重合体層から
なる中間樹脂層Fとから構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器のヒートシー
ラント層(以下、HS層と記載する。)の構成要素に用
いる積層体(ヒートシール用多層フィルム、以下HS用
多層フィルムと記載する。)に関し、フィルムの加工適
性、容器の成形性(密封性)、内容物の味覚保持性能な
どに優れたヒートシール用多層フィルム及びそれを用い
た紙容器の技術に属する。
【0002】
【従来の技術】内容物として、液体特に食品を充填する
紙容器は、密封した容器から液体の漏れや、蒸気の透過
性があってはならない(液体密封性)ことはいうまでも
ない。更に、内容物によっては空気中の酸素の透過によ
って内容物が変質、変色などの悪影響をうけることもあ
る。したがって、内容物を長期間保存するためには、前
記の紙容器には水蒸気ばかりでなく、酸素を含むガスの
侵入をも防ぐ(気密性)をもつことが必要である。
【0003】図11は、紙容器90の密封性を確認する
部位を示す斜視図であり、図12(a) は、図11のW−
W部の段差部DS、及び図12(b) は図11のセンター
シール部CSの断面の部位を示す概略の拡大図である。
紙容器90における前記の液体密封性及び気密性は、図
11に示すゲーベルトップ型容器を例示して説明すれ
ば、気密性を損じ易い部位は、紙容器の構造上、図11
に示す貼着板の接合端部である段差部DS及びゲーベル
の中央部にあるセンターシール部CSである。図12
(a) に示すように、前記の段差部DSの断面には、パネ
ルV2及びSV1により形成される空隔部Xがある。ま
た、図12(b) に示すように、前記のセンターシール部
CSの断面にはパネルV1とV2とのサイドパネルの折
込み部SV1、SV2の合流点に空隔部Yがそれぞれ形
成される。紙容器の成形工程で紙容器用積層体の内面の
樹脂を溶融して前記の空隔部X及びYを確実に密封され
なければならない。
【0004】このように密封を確実とするためには、容
器成形時のHS層の樹脂を、加熱・溶融して圧着する工
程における加熱・加圧条件を強くする方法もある。しか
しながら、そのような場合は、HS層の樹脂が押し除け
られ、ヒートシール部の樹脂が薄くなり接着強度が低下
(根切れ現象)し、流通時に破損を生じ易く液漏れを発
生する原因となる。また、加熱条件を強くした場合は、
内容物と接触するHS層が酸化し、そのときに発生する
低分子量の分解生成物が内容物に移行し風味を損なう原
因となることがあった。そのような相反するヒートシー
ル条件で製函・充填・密封工程をヒートシール条件の設
定、及び安定稼働を保つことが難しく、ヒートシールの
不安定さを避けることは困難であり、HS層の厚みを増
したりする必要があった。従って良好なヒートシール性
をもつ紙容器を得るための積層体の構成は、作業条件の
範囲が広いもの、特にシール温度が低くても安定してヒ
ートシールできる材料が望まれていた。
【0005】一方、従来から前記のゲーベルトップ型の
紙容器のHS層に用いられていた、低密度ポリエチレン
(以下、LDPEと記載する。)は、ヒートシール性の
安定性に劣るというばかりでなく、充填・密封時にヒー
トシール部に内容物が付着したときに、ヒートシール不
良を発生したりするという問題があった。
【0006】また、前記のゲーベルトップ型やブリック
(煉瓦)型の液体充填に使用される紙容器の基本的な層
構成は、『LDPE(表面樹脂層)/紙(基材)/LD
PE(HS層)』である。そして、紙容器に強度や、水
蒸気やガスバリア性を求められるときは、紙とHS層と
の層間にバリア性や強度をもつフィルムであるアルミニ
ウム箔、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィル
ム、二軸延伸ナイロンフィルム、アルミニウム蒸着プラ
スチックフィルムや酸化ケイ素蒸着プラスチックフィル
ムなどから選択して挿入されていた。
【0007】また、低温ヒートシール性があり、分子量
分布がせまく、内容物である液体を付着した状態でもヒ
ートシール(液付きシール)の安定性をもつシングルサ
イト系触媒を用いて重合した低密度のエチレン−α・オ
レフィン共重合体( 以下、S−PEと記載する。)のフ
ィルムを使用することも試みられてきた。しかしなが
ら、S−PEは滑りが悪いために、製膜性や紙容器の加
工適性に劣るとが問題があった。滑り不良を解決するた
めに、HS層を構成するポリエチレン系樹脂組成物を1
00重量部に対して、架橋したアクリル系樹脂粉末、又
は架橋したシリコーン樹脂粉末を0.05〜2.0重量
部を添加して滑り性を改良する方法が知られている(特
開平7ー179679号公報)参照。しかし、これらの
添加剤は、滑り性の改良には効果を示すけれども、ヒー
トシール時にヒートシール面に析離してHS層のヒート
シール性を損なったりするばかりでなく、液付きシール
を阻害したりすることがあり、安定したヒートシール性
を得ることが困難であった。更に、紙容器の製造加工に
おいて、積層体を高速でスカイブヘミング(端面を折込
んで行う被覆)加工、あるいはフレームシール(容器を
形成するため熱風あるいはガスフレームによる筒貼り
や、天地のヒートシール)するための機械に供給され
る。そのとき、エンボス加工をしたフィルムを積層体の
HS層として紙容器の最内面に使用した場合、紙容器の
ブランクを積み上げすぎると、エンボスがつぶれて滑り
が悪くなったり、インキ部で形成されたブランクの絵柄
層の表面を削りとるなどの不都合があった。また、上記
ブランクを積み上げた状態から加工機に引き出して供給
する時、滑りが悪いと複数枚を一度に引き出したり、工
程間の走行が円滑に行われず加工速度を低くする必要が
あるので、その結果、生産効率を低下するなどの問題が
あった。
【0008】一般的なフィルムの滑り性を向上させる方
法として行われる製膜工程でフィルム表面にエンボス加
工を施すことにより、接触面積を少なくして、滑り性を
与えることもできるが、エンボス工程の設備が必要であ
り、また、滑り性に効果を示すエンボス形状を与えるた
めには、加工速度を低くする必要があるので、その結
果、生産効率を低下するなどの問題があった。
【0009】また、フィルムの滑り性を向上させる方法
として、一般的行われている無機微粒子をフィルムに混
合する方法は、ヒートシールを行うときにHS層の樹脂
の流れを阻害することになる。したがって、図11及び
図12(a) 、(b) に示すように、段差部DSの断面に形
成する空隔部Xや、空隔部Yを発生し易いという問題点
があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ゲーベルトップ型やブ
リック型の紙容器の内層フィルムとして、低温ヒートシ
ール性、滑り性などの安定して物性をもち、成膜、紙基
材との積層、容器成形の各工程における加工適性がよく
特に容器のヒートシール時の密封性に優れ、また味覚内
容物の物性の保持性能に優れた内層用フィルム、及びそ
れを用いた積層体からなるの提供を課題とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決する手段】上記の課題を解決するために本
発明は、少なくとも、メルトインデックス(以下、MF
Rと記載する。)が0.2〜20g/10分、かつ密度
が0.890〜0.925g/cm3 のS−PEからな
るHS層、熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層、及びHS
層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からなる貼合層とを
層順に共押出しで形成した多層フィルムにおいて、HS
層が、前記のS−PEを60〜95重量%と、MFR
0.2〜20g/10分、密度0.926〜0.965
g/cm3 のポリエチレンを5〜40重量%とからなる
ブレンド樹脂を100重量部に対して、少なくとも1種
類の平均粒径が5〜20μmの無機系微粒子を0.1〜
5重量部を含むヒートシール用多層フィルムである。そ
して、第2の発明は、前記の中間樹脂層が少なくとも2
層からなり、HS層と接する中間樹脂層Mの軟化温度
が、HS層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からなり、
貼合層側と接する中間樹脂層FのMFRが0.2〜20
g/10分、かつ密度が0.890〜0.925g/c
3 のS−PEからなるヒートシール用多層フィルムで
ある。また、第3の発明は、前記貼合層を形成する熱可
塑性樹脂のMFRが、0.2〜20g/10分、かつ密
度が0.925〜0.965g/cm3 のポリエチレン
からなるヒートシール用多層フィルムである。そして、
第4の発明は、S−PEからなる中間樹脂層が、平均粒
径5〜20μmの無機系微粒子を0.1〜3重量部を含
むヒートシール用多層フィルムである。更に、前記の無
機系微粒子は、マスターバッチとしてブレンドするヒー
トシール用多層フィルムの製造方法である。また、前記
のヒートシール用多層フィルムの貼合層と、基材として
用いる紙の一方の側とを相対して接着性樹脂層又は接着
剤を介して積層し、更に他方の側に樹脂層を設けた積層
体からなる紙容器である。そして、前記のヒートシール
用多層フィルムの貼合層と、前記紙基材との間に水蒸気
及び/又はガスバリア層を含む積層体よりなる紙容器で
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のHS用多層フィルムは図
1に示すように、MFRが0.2〜20g/10分、か
つ密度が0.890〜0.925g/cm3 のS−PE
からなるHS層1、熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層
2、及びHS層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からな
る貼合層3とを層順に共押出しで形成した多層フィルム
10において、HS層1が、前記のS−PEを60〜9
5重量%と、MFR0.2〜20g/10分、密度0.
926〜0.965g/cm3 のポリエチレンを5〜4
0重量%とからなるブレンド樹脂を100重量部に対し
て、少なくとも1種類の平均粒径が5〜20μmの無機
系微粒子21を0.1〜5重量部を含むヒートシール用
多層フィルム10である。
【0013】図2に示すように前記の中間樹脂層2が少
なくとも2層からなり、HS層1と接する中間樹脂層M
(26)の軟化温度が、HS層の軟化温度より高い熱可
塑性樹脂からなり、貼合層3側と接する中間樹脂層F
(27)のMFRが0.2〜20g/10分、かつ密度
が0.890〜0.925g/cm3 のS−PEからな
るヒートシール用多層フィルム10である。
【0014】図に示す前記の貼合層を形成する熱可塑性
樹脂のMFRが、0.2〜20g/10分、かつ密度が
0.925〜0.965g/cm3 のポリエチレンから
なるヒートシール用多層フィルム10である。
【0015】図3に示すように、平均粒径5〜20μm
の無機系微粒子21を0.1〜3重量部を含むS−PE
からなる中間樹脂層B(25)をもつヒートシール用多
層フィルム10である。
【0016】前記の無機系微粒子をマスターバッチとし
てブレンドするヒートシール用多層フィルム10の製造
方法である。
【0017】図7に示すように、前記のヒートシール用
多層フィルム10の貼合層3と、基材として用いる紙6
の一方の側とを相対して接着性樹脂5又は接着剤を介し
て積層し、更に他方の側に樹脂層8を設けた紙容器の積
層体9から形成される例えば図11の紙容器90であ
る。また、図8に示すようにヒートシール用多層フィル
ム10の貼合層と、前記紙基材6との間に水蒸気及び/
又はガスバリア層7を含む積層体9よりなる紙容器であ
る。
【0018】本発明の紙容器用積層体、基材となる紙に
多層フィルムを積層して製造するばかりでなく、上記の
HS用多層フィルムの層を構成する樹脂を用いて、その
貼合層の樹脂を、基材として用いる紙の一方の側に接す
るように多層共押出しコーティングにより形成できる。
このように多層共押出しコーティングによる製造方法
は、大量生産向きに適した製造方法である。
【0019】本発明のHS層は、S−PEから構成さ
れ、内容物によるヒートシール阻害がないものである。
また、HS層用多層フィルムは、図11、図12に示す
紙容器90の段差シール部DS、センターシール部CS
に生ずる空隔部X、Yを埋める物性を併せもつことが好
ましい。したがって、HS層は融点が低く、かつMFR
が大きい、ヒートシールの加熱時に流れ易い特性をもつ
ものが好ましい。そのような意味から、MFRが0.2
〜20g/10分で、かつ融点が90℃〜120℃の比
較的低密度の0.890〜0.925g/cm3 のS−
PEが好ましいHS層を形成できる。
【0020】本発明で、特に密度が小さく、MFRが大
きいS−PEを使用したときに滑り不良に伴う問題を発
生することがある。このようなときには、S−PEを9
5〜60重量部に対して、S−PEとは相溶するMFR
が0.2〜20g/10分で、密度が0.926〜0.
965g/cm3 の中・高密度のポリエチレンを5〜4
0重量%含む樹脂のブレンド物100重量部に無機系微
粒子を3.0重量部ブレンドしたHS層を形成すること
でで解決できる。
【0021】上記の中・高密度ポリエチレンの含有量
は、5重量%以下では滑り不良を改善する効果が少な
く、また40重量%以上含む場合は、ヒートシール温度
が上昇すため、上記の空隔部X、Yを十分に埋めること
ができないばかりでなく、S−PEがもつ特性である内
容物との接触によるヒートシール阻害効果を低下するこ
とになる。
【0022】前記の滑り性不良に伴う問題を解決するた
めに使用する無機系微粉末は、マスターバッチ方式で平
均粒径5〜20μmの無機系フィラーを0.1〜5重量
部を添加し、均一に分散して製膜することがより好まし
い。無機系フィラーは、加熱状態でも溶融しないため、
滑りの改善には有効であるが、HS層の熱流動性を損な
い紙容器の段差シール部や、センターシール部に空隔部
を生じ易くなる。この欠点を防止するため、本発明のヒ
ートシール用多層フィルムは、HS層を形成する部分に
のみ、均一かつ薄膜で無機系フイラーを添加したもので
ある。それにより表面の滑りを良くし、中間樹脂層ある
いは貼合層の熱流動性を保持して、紙容器の段差シール
部や、センターシール部に発生する空隔部を防止するも
のである。
【0023】本発明に用いる無機系フィラーはSi
2 、Al2 3 、Ti02 、ZnO、Fe2 3 、S
nO2 、CeO2 、NiO、PbO、S2 Cl2 、Zn
Cl2 、FeCl2 、CaCO3 、MgCO3 、B2
3 などから平均粒径が5〜20μmのものから選択しで
きる。そして、この無機系フィラーは、LDPEや、S
−PEの中に高濃度で分散したマスターバッチ化して使
用することにより、均一にHS層又は中間樹脂層Bに分
散できる。マスターバッチに含まれる無機系フィラーの
含有量は、粒子の密度や種類にもよるが2〜20重量%
である。もちろん、無機系微粒子と含む中・高密度ポリ
エチレンとをブレンドしたマスターバッチとS−PEと
から、HS層を形成することができる。このような場合
はS−PEと高密度ポリエチレンとのブレンドを省略す
ることもできる。
【0024】無機系フィラーの粒径が5μm未満の場合
は、滑り性の改善に効果は少ない。また、20μmを超
える大きさであったり、添加量が多すぎたりすると、ヒ
ートシール不良をおこしたり、成膜時にヒートシール用
多層フィルムの内部の層、例えば中間樹脂層や貼合層、
あるいはバリア層を形成する酸化ケイ素(Si0x )や
アルミニウム蒸着層を傷つけることがある。このような
現象は、中間樹脂層を構成する樹脂の軟化温度がHS層
と近いものであったり、MFRが比較的大きい(例えば
20.0g/10分以上) 場合に起こり易い。
【0025】平均粒径の異なる2種以上の無機系微粒子
を使用することが滑りの改善に大きな効果を奏する。例
えば、粒径が大きいフィラーの添加量に対して粒径が小
さいフィラーを少量使用することによって成膜適性を含
む加工適性を改善する効果を奏した。また、前記の低密
度S−PEからなるHS層が、平均粒径5〜20μmの
無機系微粒子を0.1〜5重量%、及び前記無機系微粒
子より粒径が小さい平均粒径5〜20μmの無機系微粒
子を0.05〜2重量%含む図4〜図6に示すヒートシ
ール用多層フィルム10も好ましい構成である。
【0026】本発明の中間樹脂層は、上記の無機系微粒
子が、多層フィルムの表面にのみ集中して、ヒートシー
ル用多層フィルム全体としては、少量の無機系微粒子で
滑りを維持し、HS用多層フィルム全体としては無機系
微粒子の過剰添加による熱流動性の低下を防ぐ効果を奏
するものである。そして、ヒートシールの温度でHS層
は溶融しても軟化温度の高い中間樹脂層Mや貼合層が、
無機系微粒子がHS用多層フィルムの表面(HS層)か
ら、内部に侵入するのを阻止して、表面の滑りを維持す
るものである。
【0027】中間樹脂層Mは、HS層であるS−PEの
軟化温度である80〜110℃より高く、熱流動性に優
れ、S−PEと共押出し成形で接着するものから選択す
る。例えば、密度が0.926〜0.965の中・高密
度ポリエチレン(軟化温度は110〜130℃、MFR
0.2〜20g/10分)が好ましい。かつ、共押出し
製膜時のラミナーフローを円滑に行うためのキャリアで
あり、製膜適性に重点を置いて材料を選択することが好
ましい。例えば、図2や図5に示す構成で、HS層がも
つ融点より高い温度の中間樹脂層M(26)は無機系微
粒子が低密度の中間樹脂層F(27)にヒートシール時
に流動するのを防ぎ、ヒートシール用多層フィルム全体
としては中間樹脂層F(27)が空隔部へ流動する作用
を維持するものである。
【0028】中間樹脂層Fは、紙容器のヒートシール時
に空隔部へ流動し、密封を完成するもであり、熱流動性
に優れ、中間樹脂層Mと共押出し成形で接着するものか
ら選択する。例えば、上記のS−PEや、エチレン・酢
酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エ
チレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマーが
ある。また、本発明の多層フィルムを製造するときに副
生するスクラップを適宜ブレンドして使用することは省
資源、リサイクルの見地からも好ましい。
【0029】貼合層3は、本質的には中間樹脂層Mと同
一の材料から選択できる。好ましくは、S−PEの軟化
温度より高い樹脂が好ましい。また、本発明の多層フィ
ルムを製造するときに副生するスクラップを中間層にば
かりでなく、貼合層にも適宜ブレンドして使用すること
もできる。
【0030】本発明のヒートシール用多層フィルムは、
通常の多層フィルムを製造するT型ダイス又はサーキュ
ラダイスで製膜できる。
【0031】本発明の紙容器に水蒸気及び/又はガスバ
リア性を与える層は、基材となる熱可塑性樹脂を延伸又
は未延伸で成膜したプラスチックフィルムにSi0x
や金属アルミニウムを蒸着して形成したものや、ポリビ
ニルアルコール、塩化ビニリデンの層をコーティングし
たものがある。また、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物、アクリロニトリル、ポリビニルアルコール、塩
化ビニリデン、ナイロンのフィルムの他金属アルミニウ
ム箔がある。
【0032】本発明のヒートシール用多層フィルムの貼
合層と上記のバリア層との積層は、通常の方法で行え
る。例えば、接着剤を用いたドライラミネーション(塗
工時に溶剤を含まない接着剤を用いたノンソルラミも含
む。)や、プライマー層を介して接着性樹脂層を溶融押
出しで形成するサンドイッチラミネーションなど適宜に
選択できる。
【0033】要求されるバリア性の程度にもよるが、多
層フィルム中間樹脂層M若しくはF又は貼合層にナイロ
ンや、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物を用い
て、S−PEの水蒸気バリア性との相乗効果をもつヒー
トシール用多層フィルムを形成することもできる。例え
ば、無機微粒子を含むS−PE(HS層)/中密度ポリ
エチレン(中間樹脂層M/エチレン・アクリル酸共重合
体(中間樹脂層F)/エチレン・酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物(貼合層)のヒートシール用多層フィルムの構成
がある。
【0034】ヒートシール用多層フィルムの各層の厚み
は、任意に設定できる。例えば、フィルムの総厚みは、
30〜100μm、各層の比率は、HS層/中間樹脂層
/貼合層=1/3/2や、HS層/中間樹脂層M/中間
樹脂層F/貼合層=2/2/5/4のように、無機系微
粒子を含むHS層を薄くして、中間樹脂層Fを厚くする
ことが、無機系微粒子による滑りの効果を発揮してかつ
流動阻害を最小にする効果を奏するとともに、中間樹脂
層Fが紙容器のヒートシール部における空隔を埋める目
的に合致するものである。
【0035】本発明の紙容器用積層体に使用する基材の
紙は、非塗工又は微塗工(塗工量が12g/m2 以下の
塗工紙)の紙器用の板紙である。例えば、アイボリー、
カード用紙、一般マニラボールなどから剛性、強度、厚
み(坪量g/m2 )を配慮して選定する。そして、好ま
しくは単層抄紙、あるいはバインダーを使用した150
g/m2 〜600g/m2 のものである。
【0036】紙容器用積層体を構成するヒートシール用
多層フィルムと基材となる紙との積層は、ヒートシール
用多層フィルムの貼合層と、紙とを接着性樹脂層(通常
はLDPE)を用いてサンドイッチラミネーションで積
層する。貼合層の側が、ポリエチレン系樹脂以外の例え
ば、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルムやアルミ
ニウム箔のような場合は、ポリエステルフィルムやアル
ミニウムにプライマー層を設けて接着性樹脂層(LDP
E)を用いて積層する。ヒートシール用多層フィルムと
紙とを積層するサンドイッチラミネーションに使用する
接着性樹脂層の厚みは15〜40μmである。接着性樹
脂層を含む総厚みは、上記の数値に限定されることはな
く、紙容器の大きさによって任意に設定できる。
【0037】バリア層の側がナイロン、エチレン・酢酸
ビニル共重合体ケン化物やアルミニウム箔のようにカル
ボニル基をもつ樹脂と接着する場合は、バリア層の側に
プライマー層を設けないで、直接エチレン・アクリル酸
共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、あ
るいは、アイオノマーなどの接着性樹脂層を用いてHS
用多層フィルムの貼合層とをサンドイッチラミネーショ
ンを行い紙容器用積層体を構成することもできる。
【0038】ヒートシール用多層フィルムと、基材とな
る紙との積層は、積層フィルムを別工程で製膜して紙と
積層するばかりではなく、図示はしないが、貼合層と紙
とを接するようにして共押出しコーテイングにより構成
することができる。例えば、基材となる紙の一方の側
に、中密度ポリエチレン(貼合層)、低密度S−PE
(中間樹脂層F)、中密度ポリエチレン(中間樹脂層
M)、及びS−PE及び高密度ポリエチレンと無機系微
粒子とからなるHS層を、同時に共押出しコーティング
をできる。また、紙にアルミニウム箔を貼合した積層体
のアルミニウム面に、アシッドポリマーからなるエチレ
ン・アクリル酸共重合体(接着性樹脂層)、高密度ポリ
エチレン(貼合層)、低密度S−PE(中間樹脂層)及
びS−PE及び中密度ポリエチレンと無機系微粒子とか
らなるHS層を、同時に共押出しコーティングすること
もできる。
【0039】本発明のヒートシール用多層フィルムを用
いた紙容器用積層体は、前記ゲーベルトップ型やブリッ
ク型の紙容器の最内層フィルムととしても用いられる
が、その他、印刷したプラスチックフィルムと積層した
パウチ、バッグインボックスの内袋、ラミネートチュー
ブ、紙カップあるいは紙を積層した丸筒容器等の液体や
粘稠体を内容物とする容器にも適用できるものである。
【0040】以下、本発明について実施例に基づいて更
に詳細に説明する。なお、実施例及び比較例のフィルム
は、いずれもサーキュラダイスによる成膜を行ったもの
である。
【0041】
【実施例】ゲーベルトップ型の紙容器用積層体を、次に
示す構成で実施例及び比較例の試料を作成した。 (実施例 1)図3に示すように、密度が0.913、
融点が114℃、MFR4.0gのS−PEを70重量
%と、密度が0.958、融点が132℃、MFR0.
36gの高密度ポリエチレンを10重量%と、上記S−
PEに平均粒径7μmのシリカ微粒子21を15%分散
したマスターバッチを20重量%とからなる〔HS層1
1〕と、上記のS−PEに上記のマスターバッチを5重
量%含む〔中間樹脂層B25〕、及び密度が0.93
5、融点が123℃、MFR2.1gの〔貼合層3〕
が、それぞれ層比1:3:2になるようにに構成した厚
み40μmの3層のHS層用多層フィルム10を作成し
た。次いで、図9に示すように、HS用多層フィルム1
0の貼合層3と、バリア層として、イソシアネート系の
プライマー層32を設けたSi0x 層を蒸着した厚み1
2μmのポリエステルフィルム71とを20μmのLD
PEを接着性樹脂層51を用いてサンドイッチラミネー
ションを施した。更に、ポリエステルフィルムの側に、
プライマー層33を設けて、厚み30μmのLDPEを
接着性樹脂層52として、坪量400g/m2 の基材と
なる紙6の一方の側とをサンドイッチラミネーション
し、紙の他の側に厚み20μmのLDPEからなる樹脂
層8を押出しコーティングで構成し、本発明の実施例1
の紙容器用の積層体9を形成した。
【0042】(実施例 2)図2に示すように、実施例
1で用いた〔HS層1〕と、密度が0.935、融点が
123℃、MFR2.1gの中密度ポリエチレンからな
る〔中間樹脂層M(26)〕と、密度が0.913、融
点が114℃、MFR4.0gのS−PE〔中間樹脂層
F(27)〕とからなる2層の中間樹脂層2と、密度が
0.935、融点が123℃、MFR2.0からなる
〔貼合層3〕が、それぞれ層比2:2:5:4になるよ
うにに構成した厚み40μmの実施例2のHS用多層フ
ィルム10を作成した。次いで実施例1と同様にして、
Si0x 層蒸着ポリエステルフィルム71、基材となる
紙6及び樹脂層8を設けて本発明の実施例2の紙容器用
の積層体9を作成した。
【0043】(実施例 3)図6に示すように、密度が
0.913、融点が114℃、MFR4.0gのS−P
E70重量%と、密度が0.958、融点が132℃、
MFR0.36gの高密度ポリエチレン10重量%と、
上記S−PEに平均粒径7μmのシリカ21を15%分
散したマスターバッチを10重量%と、上記S−PEに
平均粒径5μmのシリカ22を15%分散したマスター
バッチを5重量%とからなる〔HS層1〕と、上記のS
−PEに上記の平均粒径7μmのシリカ22を分散した
マスターバッチを5重量%からなる〔中間樹脂層B(2
5)〕、及び密度が0.935、融点が123℃、MF
R2.1gの中密度ポリエチレンからなる〔貼合層3〕
とが、それぞれ層比1:3:2になるようにに構成した
厚み40μmの実施例3のHS用多層フィルム10を作
成した。次いで、実施例1と同様にして、Si0x 層蒸
着ポリエステルフィルム71、基材となる紙6及び樹脂
層8を設けて本発明の実施例3の紙容器用の積層体9を
作成した。
【0044】(実施例 4)図4に示すように、実施例
3で用いた〔HS層11〕と、密度が0.913、融点
が114℃、MFR4.0gのS−PEからなる〔中間
樹脂層2〕、及び実施例2で用いた中密度ポリエチレン
からなる〔貼合層3〕が、それぞれ層比1:3:2にな
るようにに構成した厚み40μmの実施例4のHS用多
層フィルム10を作成した。次いで、実施例1と同様に
して、Si0x 層蒸着ポリエステルフィルム71、基材
となる紙6及び樹脂層8を設けて本発明の実施例5の紙
容器用の積層体9を作成した。
【0045】(実施例 5)図5に示すように、密度が
0.913、融点が114℃、MFR2.0gのS−P
E70重量%と、密度が0.958、融点が132℃、
MFR0.36gの高密度ポリエチレン10重量%と、
上記S−PEに平均粒径7μmのシリカ21を15%分
散したマスターバッチを15重量%と、上記S−PEに
平均粒径5μmのシリカ22を10%分散したマスター
バッチを5重量%とからなる〔HS層1〕と、密度が
0.935、融点が123℃、MFR2.0gの中密度
ポリエチレンからなる〔中間樹脂層M(26)〕、実施
例4で用いたS−PEからなる〔中間樹脂層F(27)
とからなる中間樹脂層2、及び実施例4で用いた中密度
ポリエチレンからなる〔貼合層3〕が、それぞれ層比
2:2:5:4になるようにに構成した厚み40μmの
実施例5のHS用多層フィルム10を作成した。次い
で、実施例1と同様にして、Si0x 層蒸着ポリエステ
ルフィルム7、基材となる紙6及び樹脂層8を設けて本
発明の実施例5の紙容器用の積層体9を作成した。
【0046】(実施例 6)実施例1で作成した紙容器
用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム71
をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施例
1と同様にして実施例6の紙容器用の積層体9を形成し
た。
【0047】(実施例 7)実施例2で作成した紙容器
用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム71
をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施例
2と同様にして実施例7の紙容器用の積層体9を形成し
た。
【0048】(実施例 8)実施例3で作成した紙容器
用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム71
をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施例
3と同様にして実施例8の紙容器用の積層体9を形成し
た。
【0049】(実施例 9)実施例4で作成した紙容器
用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム71
をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施例
4と同様にして実施例9の紙容器用の積層体9を形成し
た。
【0050】(実施例 10)実施例5で作成した紙容
器用積層体9のSi0x 層蒸着ポリエステルフィルム7
1をアルミニウム蒸着ポリエステルに代えた以外は実施
例5と同様にして実施例10の紙容器用の積層体9を形
成した。
【0051】(実施例 11)図10に示すように、厚
み7μmのアルミニウム箔72と厚み12μmのポリエ
ステルフィルム73とを、ポリエステル・イソシアネー
ト系接着剤31を用いてドライラミネーションを施して
積層した。次いで、ポリエステルフィルムにイソシアネ
ート系プライマー層32を設け、更に厚み20μmのL
DPE51を用いて、実施例1で作成したHS用多層フ
ィルム10の貼合層3とをサンドイッチラミネーション
をした。次いで、アルミニウム箔と基材となる紙とを厚
み30μmのエチレン・メタアクリル酸共重合体を用い
て、坪量400g/m2 の基材となる紙6の一方の側と
をサンドイッチラミネーションし、紙の他の側に厚み2
0μmのLDPEからなる樹脂層8を構成し、本発明の
実施例11の紙容器用の積層体9を形成した。
【0052】(実施例 12)実施例11で用いたHS
用多層フィルム10を実施例2で作成したものに代えた
以外は、実施例11と同様にして本発明の実施例11の
紙容器用の積層体9を形成した。
【0053】(実施例 13)実施例11で用いたHS
用多層フィルム10を実施例3で作成したものに代えた
以外は、実施例11と同様にして本発明の実施例13の
紙容器用の積層体9を形成した。
【0054】(実施例 14)実施例11で用いたHS
用多層フィルム10を実施例4で作成したものに代えた
以外は、実施例11と同様にして本発明の実施例14の
紙容器用の積層体9を形成した。
【0055】(実施例 15)実施例11で用いたHS
用多層フィルムを実施例5で作成したものに代えた以外
は、実施例11と同様にして本発明の実施例15の紙容
器用の積層体9を形成した。
【0056】(比較例 1)実施例1で用いたHS用多
層フィルムを、密度が0.913g/cm3 、MFRが
4.0g/10分、融点が114℃の単層S−PE層に
代えた以外は実施例1と同様にして比較例1の積層体を
構成した。
【0057】(比較例 2)実施例6で用いたHS用多
層フィルムを、比較例1のS−PEに代えた以外は実施
例1と同様にして比較例2の積層体9を構成した。
【0058】(比較例 3)実施例11で用いたHS用
多層フィルムを、比較例1のS−PEに代えた以外は実
施例1と同様にして比較例2の積層体9を構成した。
【0059】(比較例 4)実施例1で用いたHS用多
層フィルムを、密度が0.923g/cm3 、MFRが
4.5g/10分、融点が111℃の単層LDPE層に
代えた以外は実施例1と同様にして比較例4の積層体9
を構成した。
【0060】(比較例 5)実施例6で用いたHS用多
層フィルムを、比較例4の単層LDPE層に代えた以外
は実施例6と同様にして比較例5の積層体9を構成し
た。
【0061】(比較例 6)実施例11で用いたHS用
多層フィルムを比較例4の単層LDPE層に代えた以外
は実施例11と同様にして比較例6の積層体9を構成し
た。
【0062】(比較例 7)実施例1で用いたHS用多
層フィルムを、密度が0.935g/cm3 、MFRが
2.0g/10分、融点が123℃の単層中密度ポリエ
チレンに代えた以外は実施例1と同様にして比較例7の
積層体9を構成した。
【0063】(比較例 8)実施例6で用いたHS用多
層フィルムを、比較例5の単層中密度ポリエチレンに代
えた以外は実施例6と同様にして比較例8の積層体91
を構成した。
【0064】(比較例 9)実施例11で用いたHS用
多層フィルムを、比較例5の単層中密度ポリエチレンに
代えた以外は実施例11と同様にして比較例9の積層体
9を構成した。
【0065】次いで、実施例及び比較例の各紙容器用積
層体を用いて1.8リットルのゲーベルトップ型紙容器
を作成するまでの工程における、積層体の滑りをはじめ
とする紙容器の成形加工性と、液体充填機を用いてミネ
ラルウオーター及び日本酒を充填して、次に示す各評価
を行った。
【0066】(密封性)ゲーベルトップ型紙容器のヒー
トシール部の段差部、センターシール部の空隔部(Xあ
るいはY)の密封性を染料で着色した有機溶剤からなる
シールチェック液により液漏れや滲透の程度により目視
で評価する。 (加工適性)紙容器積層体のスカイブヘビング工程、及
びフレームシーラーにおける供給性(滑り不良に伴う供
給不良の有無)、積み上げたブランクから引き出すとき
に発生する傷の有無を目視で評価する。 (味覚に及ぼす影響)80℃のミネラルウオーター又は
65℃の日本酒をゲーベルトップ型紙容器に充填後15
℃のシャワーで冷却後、20℃にて1ケ月静置して、官
能テストによる味覚の評価を行う。 (評価基準) ◎ 良好 ○ 若干問題があるが、実用上問題なし △ 使用条件、用途により使用可能 × 極く限定された用途にのみ使用可 使用不可
【0067】各物性の評価方法は、次の通りである。
〔シール性(ヒートシール性)〕ゲーベルトップの段差
部及びセンターシール部に生ずる空隙部(図12に示す
XあるいはY)の有無をシールチェック液により液漏れ
や滲透の程度により目視で評価する。 ・◎:密封状態が非常に良好 ・○:空隔部及びピンホールの発生なし ・△:充填直後は空隔部は認められないが6ケ月後には
空隔部が認められる ・×:充填直後に空隔部及びピンホールが認められる
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】紙容器の内面のHS層にS−PE、中間
樹脂層(中間樹脂層M、中間樹脂層F)及び貼合層とか
らなるHS用多層フィルム基材となる紙に積層した紙容
器用積層体で構成した紙容器は、低温ヒートシール性を
もち、充填シール時に空隔部の発生がない密封性に優れ
るものである。そして、最低厚みのHS層に含む中・高
密度ポリエチレンと、少なくとも1種類以上の無機系微
粒子は表面の滑り不良に伴う密封性の欠如を改善すると
ともに充填工程の安定化に効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のHS用多層フィルムの断面概略図であ
る。
【図2】本発明の他の構成のHS用多層フィルムの断面
概略図である。
【図3】本発明の他の構成の耐薬品性積層フィルムの断
面概略図である。
【図4】実施例の耐薬品性積層フィルムの断面概略図で
ある。
【図5】他の実施例の耐薬品性積層フィルムの断面概略
図である。
【図6】他の実施例の耐薬品性積層フィルムの断面概略
図である。
【図7】紙容器用積層体の例を示す断面概略図である。
【図8】バリア層を含む紙容器用積層体の他の例を示す
断面概略図である。
【図9】実施例のバリア層を含む紙容器用積層体の例を
示す断面概略図である。
【図10】実施例のバリア層を含む紙容器用積層体の他
の例を示す断面概略図である。
【図11】本発明の紙容器の一例を示す斜視図である。
【図12】空隔部を説明するためのシール部の断面拡大
図である。 (a) 段差シール部の拡大図 (b) センターシール部の断面拡大図
【符号の説明】
1 HS層 2 中間脂層層 3 貼合層 4 フィラー 5 接着性樹脂層 6 紙 7 バリア層 8 樹脂層 9 紙容器用積層体 10 HS用多層フィルム 21、22 無機系微粒子 25 中間脂層層B 26 中間脂層層M 27 中間脂層層F 31 接着剤層 32、33 プライマー層 51、52 LDPE層 5 接着性樹脂層 6 紙 71 蒸着フィルム 72 アルミニウム箔 73 ポリエステルフィルム 90 紙容器 DS 段差シール部 CS センターシール部 X 段差シール部に生ずる空隙部 Y センターシール部に生ずる空隙部 V1 〜V2 紙容器のパネル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、メルトインデックスが0.
    2〜20g/10分、かつ密度が0.890〜0.92
    5g/cm3 のシングルサイト系触媒を用いて重合した
    低密度エチレン・αオレフィン共重合体からなるヒート
    シーラント層、熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層、及び
    ヒートシーラント層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂か
    らなる貼合層とを層順に共押出しで形成され多層フィル
    ムにおいて、ヒートシーラント層が、前記の低密度エチ
    レン・αオレフィン共重合体60〜95重量%と、メル
    トインデックス0.2〜20g/10分、密度0.92
    6〜0.965g/cm3 のポリエチレンを5〜40重
    量%とからなるブレンド樹脂を100重量部に対して、
    少なくとも1種類の平均粒径が5〜20μmの無機系微
    粒子を0.1〜5重量部を含むことをを特徴とするヒー
    トシール用多層フィルム。
  2. 【請求項2】 前記中間樹脂層が少なくとも2層からな
    り、ヒートシーラント層と接する中間樹脂層Mが、ヒー
    トシーラント層の軟化温度より高い熱可塑性樹脂からな
    り、貼合層側と接する中間樹脂層Fのメルトインデック
    スが0.2〜20g/10分、かつ密度が0.890〜
    0.925g/cm3 のシングルサイト系触媒を用いて
    重合した低密度エチレン・αオレフィン共重合体である
    ことを特徴とする請求項1乃至2に記載のヒートシール
    用多層フィルム。
  3. 【請求項3】前記貼合層を形成する熱可塑性樹脂のメル
    トインデックスが、0.2〜20g/10分、かつ密度
    が0.925〜0.965g/cm3 のポリエチレンか
    らなることを特徴とする請求項1乃至2に記載のヒート
    シール用多層フィルム。
  4. 【請求項4】前記の低密度エチレン・αオレフィン共重
    合体からなる中間樹脂層が、平均粒径5〜20μmの無
    機系微粒子を0.1〜3重量部を含むことをを特徴とす
    る請求項1〜3に記載のヒートシール用多層フィルム。
  5. 【請求項5】請求項1乃至請求項4に記載の無機系微粒
    子は、マスターバッチとしてブレンドすることを特徴と
    するヒートシール用多層フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5に記載のヒートシール用多
    層フィルムの貼合層と、基材として用いる紙の一方の側
    とを相対して接着性樹脂層又は接着剤を介して積層し、
    更に他方の側に樹脂層を設けた積層体からなることを特
    徴とする紙容器。
  7. 【請求項7】請求項1乃至5に記載のヒートシール用多
    層フィルムの貼合層と、前記紙基材との間に水蒸気及び
    /又はガスバリア層を含む積層体よりなることを特徴と
    する請求項6に記載の紙容器。
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