JPH1129348A - コンクリート形成用組成物 - Google Patents

コンクリート形成用組成物

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JPH1129348A
JPH1129348A JP9163371A JP16337197A JPH1129348A JP H1129348 A JPH1129348 A JP H1129348A JP 9163371 A JP9163371 A JP 9163371A JP 16337197 A JP16337197 A JP 16337197A JP H1129348 A JPH1129348 A JP H1129348A
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JP
Japan
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fluororesin
concrete
emulsion
polyoxyethylene
examples
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Application number
JP9163371A
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English (en)
Inventor
Susumu Wada
進 和田
Keiko Matsuoka
恵子 松岡
Akira Senda
彰 千田
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐酸性及び耐食性に優れ、かつ、非粘着性を
有するコンクリートを形成するためのコンクリート形成
用組成物を提供する。 【解決手段】 フッ素樹脂エマルジョンを含有するコン
クリート形成用組成物であって、上記フッ素樹脂エマル
ジョンの最低造膜温度は、コンクリート硬化時温度未満
であるコンクリート形成用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性に優れ、非
粘着性を有するコンクリートを形成するためのコンクリ
ート形成用組成物及びそれを用いるコンクリートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】コンクリートは、耐久性や耐火性に強い
とされ、比較的安価であることから、100年以上も前
から、ビルディング、屋外建造物、橋梁等として汎用さ
れてきた。コンクリートを形成するためのコンクリート
形成用組成物は、9〜15容積%程度のセメント、20
容積%程度の水、その他の骨材等から構成され、必要な
混和材を含有させた後、種々の形状を有する型に打ち込
まれて経時的に硬化するのを待つことによりコンクリー
トとなる。
【0003】コンクリート形成用組成物の主成分である
セメントは、水と化学反応をすることにより硬化してコ
ンクリートの主要部分を形成する。骨材は、セメントだ
けでコンクリートを形成すると収縮して強度が低下する
ことを防止する目的で配合される。混和材は、水量を
低減化してコンクリートの耐久性を向上させる、水和
熱を低下させて、ひび割れを防止する、長期強度を向
上させる、骨材の異常膨張を抑制する、等の目的のた
めに含有させるものである。
【0004】このようなコンクリートを長期間使用して
いると、コンクリート自体が酸化を受けて劣化し、更
に、微生物により浸食されて劣化を受けることとなる。
特に、温泉水等の強酸性水に触れる場所において使用し
た場合には、酸化を強く受けることとなる。また、護岸
用のブロック、冷却導入水路、養殖用水槽、貯水槽等の
水処理施設等として使用した場合には、微生物による浸
食が激しい。
【0005】これらの浸食を防止するため、コンクリー
ト構造物の劣化の直接の原因となる下水中の硫化物の発
生を抑制する方法、当該硫化物を酸化したり固化したり
する方法、防食材料をコンクリートに塗装したりライニ
ングする方法等が採用されているが、本質的な解決には
至っていない。
【0006】特開平9−12380号公報には、これら
の劣化現象を防止するため、フッ素樹脂と銅・チタン・
ニッケル粉末とを含有するセメントを水に分散させたコ
ンクリート構造物の劣化防止剤が開示されている。しか
しながら、ここに用いられている銅・チタン・ニッケル
粉末は単純な抗菌剤であるので、微生物の繁殖を防ぐ効
果しかなく、次第にその効果が減衰してゆく欠点があっ
た。
【0007】また、このようなコンクリートを道路の歩
道、駅のホーム、公園の遊び場等の舗装用として使用し
た場合に、歩行者や学童がガム等の粘着物質を吐き捨
て、これが固化して美観を低下させる原因となっている
が、従来のコンクリートでは、これらを根本的に解決す
る方法がなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の現状に鑑み、本
発明は、耐酸性及び耐食性に優れ、かつ、非粘着性を有
するコンクリートを形成するためのコンクリート形成用
組成物を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のコンクリート形
成用組成物は、フッ素樹脂エマルジョンを含有するもの
であり、上記フッ素樹脂エマルジョンの最低造膜温度
は、コンクリート硬化時温度未満であることを特徴とす
るものである。以下に本発明を詳述する。
【0010】本発明のコンクリート形成用組成物は、通
常のコンクリート形成用の組成物が有するセメント、
水、骨材及び混和材に、その他の添加剤を含有してなる
ものである。上記セメント、骨材及び混和材としては特
に限定されず、従来公知のもの等を挙げることができ
る。
【0011】上記水としては特に限定されず、通常コン
クリート用として用いられている水を用いることがで
き、例えば、水道水等を挙げることができる。上記水の
配合量は、コンクリートの用途等により適宜選択するこ
とができるが、通常は、水セメント比〔(水の重量)/
(セメントの重量)〕が40〜70%となる量が好まし
い。
【0012】上記セメントとしては、石灰石(CaO)
と、粘土、ケイ石、酸化鉄等(SiO2 、Al2 3
Fe2 3 等)とからなる原料を、約1450℃程度の
高温で焼成してクリンカーを得、これに硫酸カルシウム
等の凝結調節剤(石膏)を添加して微粉砕することによ
り生成するもの等を挙げることができ、例えば、ポルト
ランドセメントとして市販されているものを用いること
ができる。上記ポルトランドセメントとしては、その用
途に応じて、例えば、早強ポルトランドセメント、超早
強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメン
ト、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランド
セメント等を挙げることができる。また、ポルトランド
セメント以外の混合セメント、特殊セメントであって
も、本発明のコンクリート形成用組成物に用いることが
できる。
【0013】上記セメントの配合量は、形成するコンク
リートの用途に応じて適宜選択することができるが、通
常は、水を含むコンクリート形成用組成物全体に対し
て、5〜20容積%が好ましい。
【0014】上記骨材としては特に限定されず、天然骨
材としては、例えば、川砂利、川砂、陸砂利、陸砂、山
砂、海砂等を挙げることができ、更に、岩石を砕いてつ
くった砕石、砕砂;火山の噴火によってできた火山砂;
けい砂等を挙げることができる。また、人工骨材として
は、例えば、頁岩や石炭の微細な燃焼灰であるフライア
ッシュ等を焼成してつくった人工軽量骨材;溶鉱炉で鉄
を分離した際に生成する熔融スラグを冷やしてつくった
高炉スラグ骨材等を挙げることができる。これらは単独
で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0015】上記骨材の配合量は、形成するコンクリー
トの用途に応じて適宜選択することができるが、通常
は、コンクリート形成用組成物全体に対して、10〜3
0容積%である。
【0016】本発明のコンクリート形成用組成物に用い
る混和材としては特に限定されず、例えば、フライアッ
シュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム等を挙げるこ
とができる。これらは、1種又は2種以上を必要に応じ
て選択して用いることができる。上記混和材のほか、本
発明のコンクリート形成用組成物には、コンクリート中
に微細で個々に独立した空気泡を発生させるAE剤、必
要となる水の量を減らすために使用する減水剤、凝結時
間を短縮するための促進剤、急結剤、凝結時間を長くす
るための遅延剤等を、必要に応じて配合することができ
る。
【0017】本発明のコンクリート形成用組成物は、フ
ッ素樹脂エマルジョンを含有するものである。上記フッ
素樹脂エマルジョンの最低造膜温度は、コンクリート硬
化時温度未満である。
【0018】本明細書において、コンクリート硬化時温
度とは、本発明のコンクリート形成用組成物が、硬化す
るときの温度のことである。上記コンクリート硬化時温
度は、水とセメントとの化学反応により発生する熱(水
和熱)により影響され、また季節等の外部温度にも影響
されるが、通常、30〜40℃、より好ましくは、33
〜38℃である。
【0019】本明細書において、最低造膜温度とは、J
IS K 6828に定められた最低造膜温度のことで
あり、エマルジョンから水分が蒸発して粒子が互いに融
着して連続した皮膜を形成する温度を意味する。上記最
低造膜温度(MFT)は、温度勾配熱板形最低造膜温度
測定器を用いて測定する機械的方法により測定され、測
定する試料に適した温度範囲を想定して、最低造膜温度
が熱板の中央部分で測定できるように、かつ最低と最高
との温度差を20〜40℃の範囲になるように高温側と
低温側の温度を設定し、試料をアプリケーターで高温側
から低温側へすばやく塗布し、クラックのない連続した
均一なフィルムが形成される最低の温度を読み取り、最
低造膜温度とする方法によって定められる。本明細書に
おいて、フッ素樹脂エマルジョンの最低造膜温度とは、
フッ素樹脂そのものの最低造膜温度、又は、フッ素樹脂
に造膜助剤を加えた場合のフッ素樹脂エマルジョン全体
としての最低造膜温度を意味する。
【0020】本発明で用いられる上記フッ素樹脂エマル
ジョンの最低造膜温度が、コンクリート硬化時温度以上
であると、コンクリート形成用組成物中におけるフッ素
樹脂エマルジョンが良好に造膜することができず、本発
明の特有の効果を奏することができない。本発明者ら
は、この事実を発見したことにより、初めて本発明に到
達することができたものである。
【0021】以下に、本発明のコンクリート形成用組成
物が含有するフッ素樹脂エマルジョンについて詳述す
る。上記フッ素樹脂エマルジョンは、以下の六つに大別
することができる。アクリル樹脂をシード重合した含フ
ッ素樹脂水性分散体から得られるフッ素樹脂エマルジョ
ン(1−1)。上記フッ素樹脂エマルジョン(1−1)
にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素樹脂エマルジ
ョン(1−2)。その他の含フッ素樹脂水性分散体にア
クリル樹脂を混合して得られるフッ素樹脂エマルジョン
(1−3)。
【0022】上記フッ素樹脂エマルジョン(1−1)の
調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体であってアク
リル樹脂をシード重合していないものにアクリル樹脂を
混合して得られるフッ素樹脂エマルジョン(1−4)。
上記フッ素樹脂エマルジョン(1−3)の調製に用いら
れたその他の含フッ素樹脂水性分散体からなるフッ素樹
脂エマルジョン(1−5)。上記含フッ素樹脂水性分散
体(1−1)で用いられた含フッ素樹脂水性分散体であ
ってアクリル樹脂をシード重合していないものからなる
フッ素樹脂エマルジョン(1−6)。
【0023】上記フッ素樹脂エマルジョンのうち、ま
ず、フッ素樹脂エマルジョン(1−1)について説明す
る。上記フッ素樹脂エマルジョン(1−1)は、アクリ
ル樹脂をシード重合した含フッ素樹脂水性分散体から得
られるフッ素樹脂エマルジョンである。上記含フッ素樹
脂水性分散体は、含フッ素樹脂粒子の存在下に、アクリ
ル系単量体により水性媒体中でフッ素系複合樹脂を形成
させることにより得られる。上記水性媒体としては特に
限定されず、水に後に詳述する添加剤や溶剤等を添加し
たもの等を挙げることができる。
【0024】上記含フッ素樹脂粒子を構成する含フッ素
樹脂は、フルオロオレフィンの共重合体である。上記フ
ルオロオレフィンの共重合体は、水性媒体中においては
粒子状で分散されており、上記アクリル系単量体により
フッ素系複合樹脂を形成するときには、いわゆるシード
重合により重合される。本明細書においては、「シード
重合」とは、樹脂粒子の存在する水性媒体中において他
の単量体と重合する反応を意味する。上記フッ素系複合
樹脂は、従って、上記シード重合後のシード重合体を意
味し、上記樹脂粒子は、シード重合におけるシード粒子
を意味する。
【0025】上記フルオロオレフィンとしては、ビニリ
デンフルオライド(VdF)、テトラフルオロエチレン
(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTF
E)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等を挙げる
ことができる。上記フルオロオレフィンの共重合体とし
ては、VdF/TFE共重合体、VdF/CTFE共重
合体、VdF/HFP共重合体、TFE/CTFE共重
合体、TFE/HFP共重合体、CTFE/HFP共重
合体、VdF/TFE/CTFE共重合体、VdF/T
FE/HFP共重合体、TFE/CTFE/HFP共重
合体、VdF/CTFE/HFP共重合体、VdF/T
FE/CTFE/HFP共重合体等を挙げることができ
る。
【0026】上記シード粒子を構成するフルオロオレフ
ィンの共重合体としては、VdF系共重合体が好まし
く、更にVdFを70モル%以上含んでなる重合体が好
ましい。VdFが70モル%以上であると、シード粒子
とアクリル系単量体からなる重合体との相溶性がよくな
る。
【0027】上記シード粒子の平均粒子径は、シード重
合後のフッ素系複合樹脂の平均粒子径と密接に関連して
おり、シード重合後のフッ素系複合樹脂の平均粒子径を
50〜300nmとするため、40〜290nmにする
ことが好ましい。
【0028】上記シード粒子を構成する共重合体は、通
常の乳化重合法によって得ることができる。例えば、親
水性部位を有するフッ素系反応性乳化剤を水に対して
0.01〜1.0重量%、フッ素系乳化剤を0〜1.0
重量%それぞれ共存させて、フルオロオレフィンを含む
単量体混合物を乳化重合させることにより調製すること
ができる。
【0029】また、水に対して1.0重量%以下、好ま
しくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%
以下(下限は通常0.01重量%)のフッ素系界面活性
剤と水に対して0.001〜0.1重量%、好ましくは
0.01〜0.05重量%のノニオン性非フッ素系界面
活性剤との共存下にフルオロオレフィンを含む単量体混
合物を乳化重合させることにより調製することができ
る。これらの方法により得られた水性分散液は、平均粒
子径0.2μm以下のシード粒子を30〜50重量%の
高濃度で安定に含むことができる。
【0030】上記親水性部位を有するフッ素系反応性乳
化剤としては、例えば、CF2 =CF−(CF2 CF
X)n3Y(式中、Xは、F又はCF3 、Yは、SO
3 M、COOM(Mは、水素原子、アミン、アンモニウ
ム又はアルカリ金属)、n3は、整数を表す。)、CF
2 =CF−O(CFX)n3(式中、X、Y、n3は前記
と同じ。)、CH2 =CF−CF2 −O(CF(C
3 )CF2 O)n3−CF(CF3 )Y(式中、Y、n
3は、前記と同じ。)、CF2 =CF−CF2 −O(C
F(CF3 )CF2 O)n3−CF(CF3 )Y(式中、
Y、n3は、前記と同じ。)で表される構造を有するも
の等を挙げることができが、水への溶解性と界面活性の
点から、n3は0〜3の範囲にあるものが好ましい。よ
り具体的には、CF2 =CF−CF2 −O(CF(CF
3 )CF2 O)n3−CF(CF3 )COOHの構造で、
n3が0〜2のものが用いられる。
【0031】重合温度は、20〜120℃、好ましくは
30〜70℃である。重合温度が20℃より低いと安定
性が低くなり、重合温度が120℃より高いと連鎖移動
による重合速度の失速が起こる傾向がある。重合は、重
合体の種類にもよるが、通常、1.0〜50kgf/c
2 (ゲージ圧)の加圧下に5〜100時間加熱されて
行われる。
【0032】上記シード粒子の乳化重合に用いられる上
記フッ素系乳化剤としては、構造中にフッ素原子を含み
界面活性能を有する化合物の1種又は2種以上の混合物
等を挙げることができる。例えば、X(CF2 n3CO
OH(n3は、6〜20の整数、Xは、F又は水素原子
を表す。)で表される酸及びそのアルカリ金属塩、アン
モニウム塩、アミン塩又は第四アンモニウム塩;Y(C
2 CF2 m3COOH(m3は、6〜13の整数、Y
は、F又は塩素原子を表す。)で表される酸及びそのア
ルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩又は第四アン
モニウム塩等を挙げることができる。より具体的には、
パーフルオロオクタン酸のアンモニウム塩、パーフルオ
ロノナン酸のアンモニウム塩等を挙げることができる。
その他、公知のフッ素系界面活性剤を使用することもで
きる。
【0033】シード粒子を得るときの乳化重合において
は、フッ素系界面活性剤の存在下少量のノニオン性非フ
ッ素系界面活性剤も用いることができ、その具体例とし
ては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシ
エチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステ
ル類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げる
ことができる。
【0034】より具体的には、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル類としては、ポリオキシエチレンラウリル
エーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオ
キシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン
オレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテ
ル等を挙げることができ、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル類としては、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエーテル等を挙げることができ、ポリオキシエチレ
ンアルキルエステル類としては、モノラウリル酸ポリエ
チレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコ
ール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等を挙
げることができ、ソルビタンアルキルエステル類として
は、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モ
ノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノス
テアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイ
ン酸ポリオキシエチレンソルビタン等を挙げることがで
き、グリセリンエステル類としては、モノミリスチン酸
グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイ
ン酸グリセリル等を挙げることができる。
【0035】またこれらの誘導体としては、ポリオキシ
エチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキル
フェニル−ホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルリン酸塩等を挙げることができる。
特に好ましいものは、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル類及びポリオキシエチレンアルキルエステル類であ
って、HLB値が10〜18のものであり、具体的に
は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:5〜
20。EOはエチレンオキシドユニット数を表す。)、
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(EO:6〜
10)である。
【0036】上記アクリル系単量体としては特に限定さ
れず、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリ
ル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が1〜18
のメタクリル酸アルキルエステル、これらと共重合可能
なエチレン性不飽和結合を有する単量体等を挙げること
ができる。
【0037】上記アルキル基の炭素数が1〜18のアク
リル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、
アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アク
リル酸n−ヘキシル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキ
シル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル等を
挙げることができる。
【0038】上記アルキル基の炭素数が1〜18のメタ
クリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プ
ロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブ
チル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
シクロヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリ
ル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
【0039】また、耐溶剤性、耐水性向上の目的で、エ
チレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコ
ールジメタクリレート等の多官能性単量体を共重合する
こともできる。上記アクリル酸エステル、上記メタクリ
ル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有
する単量体としては、下記(I)及び下記(II)等を
挙げることができる。
【0040】(I)反応性を有する官能基を持つ単量
体、例えば、マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク
酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチル
メタクリルアミド等のアミド化合物;アクリル酸ヒドロ
キシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル
酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピ
ル等の水酸基含有単量体;アクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;γ−ト
リメトキシシランメタクリレート、γ−トリエトキシシ
ランメタクリレート等のシラノール基含有単量体;アク
ロレイン等のアルデヒド基含有単量体;カプロラクトン
変性ヒドロキシアクリレート、カプロラクトン変性ヒド
ロキシメタクリレート。
【0041】(II)その他ビニル化合物、例えば、エ
チレン、プロピレン、イソブチレン等のαオレフィン
類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシル
ビニルエーテル(CHVE)、ヒドロキシブチルビニル
エーテル(HBVE)、ブチルビニルエーテル、イソブ
チルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキ
シエチレンビニルエーテル等のビニルエーテル類;ポリ
オキシエチレンアリルエーテル(POEAE)、エチル
アリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、ア
リルアルコール、アリルエーテル等のアルケニル類;酢
酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル、安息香酸ビニル、VEOVA9、VEOVA10
(シェル社製)等のビニルエステル類;無水イタコン
酸、無水コハク酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カ
ルボン酸類;スチレン、αメチルスチレン、p−ter
t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリ
ロニトリル等。
【0042】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体として、親水性部位を含む低分子量のポリマー
又はオリゴマーを分子中に含む化合物を用いることもで
きる。上記親水性部位とは、親水性基を有する部位又は
親水性の結合を有する部位、及び、これらの組み合せか
らなる部位を意味する。上記親水性基は、イオン性、非
イオン性、両性及びこれらの組合せのいずれであっても
よいが、非イオン性、アニオン性の親水性基が好まし
い。また、公知の反応性乳化剤であってもよい。
【0043】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体、反応性乳化剤としては、例えば、ポリエチレ
ングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコー
ルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメ
タクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、
ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリ
エチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコ
ールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール
アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレ
ングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレー
ト、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル硫酸塩、スチレンスルホン酸塩、アリルアルキルスル
ホン酸塩、ポリエチレングリコールメタクリレート硫酸
塩、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ビス(ポリオキ
シエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテルアクリル酸エステル、メタクリロイルオキシポリ
オキシアルキレン硫酸エステル塩、メタクリロイルオキ
シアルキレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンビニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエステル等を挙
げることができる。
【0044】上記アクリル系単量体を含フッ素樹脂粒子
の存在下にシード重合させると、まず上記アクリル系単
量体の含フッ素樹脂への膨潤が起こり、この時点で上記
アクリル系単量体が均一溶解した含フッ素共重合体の水
性分散体の状態となる。その後、重合開始剤を添加する
ことによって上記アクリル系単量体が重合し、分子鎖の
からまりあった相溶体粒子が形成される。上記アクリル
系単量体が多官能性である場合には、相互侵入網目構造
(IPN)を形成することもできる。上記多官能性アク
リル系単量体としては、例えば、モノグリコールジメタ
クリレート、ジグリコールジメタクリレート等を挙げる
ことができる。
【0045】上記アクリル系単量体のシード重合は、公
知の方法、例えば、含フッ素樹脂粒子の存在下に反応系
にアクリル系単量体の全量を一括して仕込む方法、アク
リル系単量体の一部を仕込み反応させた後、残りを連続
又は分割して仕込む方法、アクリル系単量体の全量を連
続して仕込む方法等によって行うことができる。また、
上記シード重合の重合条件は、通常の乳化重合と同様で
あって、例えば、含フッ素樹脂粒子を含む水性媒体中
に、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合によっ
てはキレート化剤、pH調整剤及び溶剤等を添加し、1
0〜90℃の温度で0.5〜6時間反応を行うことによ
り重合することができる。
【0046】上記界面活性剤としては、アニオン性、ノ
ニオン性又はアニオン性−ノニオン性の組み合せを用い
ることができ、場合によっては両性界面活性剤を用いる
こともできる。上記アニオン性界面活性剤としては、例
えば、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン
酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウ
ム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリ
ウム塩等の炭化水素系アニオン性界面活性剤のほか、フ
ルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルスルホ
ン酸塩、フルオロアルキル硫酸エステル等の含フッ素ア
ニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0047】上記ノニオン性界面活性剤としては、例え
ば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエ
チレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエステル
類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げるこ
とができる。上記両性界面活性剤としては、例えば、ラ
ウリルベタイン等を挙げることができる。
【0048】また、上記界面活性剤として、アクリル系
単量体と共重合可能な、いわゆる反応性乳化剤等を用い
ることができ、更に、このような反応性乳化剤と上記乳
化剤とを併用することもできる。上記界面活性剤の使用
量は、通常、アクリル系単量体100重量部あたり、
0.05〜5.0重量部である。
【0049】上記シード重合の際に用いる重合開始剤と
しては、水性媒体中でフリーラジカル反応に供し得るラ
ジカルを20〜90℃の間で発生するものであれば特に
限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用い
ることも可能である。このようなものとして、通常水溶
性の重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元
剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナト
リウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット
等を挙げることができる。油溶性の重合開始剤として
は、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IP
P)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイ
ソブチロニトリル(AIBN)等を挙げることができ
る。上記重合開始剤の使用量は、通常、アクリル系単量
体100重量部あたり、0.05〜2.0重量部であ
る。
【0050】上記シード重合の際に用いる連鎖移動剤と
しては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲ
ン化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−
ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等の
メルカプタン類等を挙げることができる。上記連鎖移剤
の使用量は、通常、アクリル系単量体100重量部あた
り、0〜5.0重量部である。
【0051】上記溶剤は、作業性、防災安全性、環境安
全性、製造安全性を損なわない範囲内、例えば、20重
量%以下の範囲で用いられ、例えば、メチルエチルケト
ン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカ
ルビトール、ブチルカルビトール、ジオキサン、ブチル
カルビトールアセテート、テキサノール、酢酸エチル、
酢酸ブチル等を挙げることができる。このような溶剤の
添加によって含フッ素樹脂粒子へのアクリル系単量体の
膨潤性が改良されることがある。
【0052】上記含フッ素樹脂粒子の水性分散液中での
粒子径は、50〜300nmが好ましい。より好ましく
は、50〜200nmである。上記粒子径が50nm未
満であると、濃度が実用的範囲である30%以上におい
て含フッ素樹脂水性分散液の粘度が著しく増大し、塗料
化の作業に支障を来す。上記粒子径が300nmを超え
ると、得られる含フッ素樹脂水性分散体の沈降安定性が
悪くなり、同じ組成の樹脂構成であっても、含フッ素樹
脂水性分散体の最低成膜温度の上昇を招くこととなる。
上記のようにして得られるフッ素樹脂エマルジョン(1
−1)中において、シード重合されたアクリル樹脂の総
量は、シード粒子を構成する樹脂100重量部に対し
て、通常、10〜400重量部であり、好ましくは、5
〜95重量部である。
【0053】以上でフッ素樹脂エマルジョン(1−1)
の説明を終えたので、次に、上記フッ素樹脂エマルジョ
ン(1−1)にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素
樹脂エマルジョン(1−2)、その他の含フッ素樹脂水
性分散体にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素樹脂
エマルジョン(1−3)、上記フッ素樹脂エマルジョン
(1−1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体
であってアクリル樹脂をシード重合していないものにア
クリル樹脂を混合して得られるフッ素樹脂エマルジョン
(1−4)、上記フッ素樹脂エマルジョン(1−3)の
調製に用いられたその他の含フッ素樹脂水性分散体から
なるフッ素樹脂エマルジョン(1−5)、及び、上記フ
ッ素樹脂エマルジョン(1−1)の調製に用いられた含
フッ素樹脂水性分散体であってアクリル樹脂をシード重
合していないものからなるフッ素樹脂エマルジョン(1
−6)について説明する。
【0054】以下、まず、その他の含フッ素樹脂水性分
散体について説明する。上記フッ素樹脂エマルジョン
(1−3)を構成するその他の含フッ素樹脂水性分散体
は、水性媒体中に含フッ素樹脂粒子が分散されてなる基
本構造を有する。上記含フッ素樹脂粒子を構成する含フ
ッ素樹脂は、フルオロオレフィンとこれと共重合可能な
単量体との共重合体からなる含フッ素樹脂である。上記
フルオロオレフィンとしては特に限定されず、例えば、
フッ化ビニル(VF)、ビニリデンフルオライド(Vd
F)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリ
フルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピ
レン(HFP)、トリフルオロエチレン等の炭素数2〜
4程度のフルオロオレフィン等を挙げることができる。
【0055】上記フルオロオレフィンと共重合可能な単
量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブ
チレン等のオレフィン類;エチルビニルエーテル(EV
E)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、ヒ
ドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、ブチルビ
ニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル等のビ
ニルエーテル類;ポリオキシエチレンアリルエーテル、
エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテ
ル、アリルアルコール、アリルエーテル等のアルケニル
類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸
ビニル、安息香酸ビニル、VEOVA9(シェル社
製)、VEOVA10(シェル社製)等のビニルエステ
ル類、無水イタコン酸、無水コハク酸、クロトン酸等の
エチレン性不飽和カルボン酸類等を挙げることができ
る。
【0056】上記フルオロオレフィンとこれと共重合可
能な単量体との共重合体としては特に限定されず、例え
ば、CTFE/ビニルエーテル共重合体、CTFE/ビ
ニルエステル共重合体、TFE/ビニルエーテル共重合
体、TFE/ビニルエステル共重合体、TFE/エチレ
ン共重合体、TFE/プロピレン共重合体、CTFE/
エチレン共重合体、CTFE/プロピレン共重合体、C
TFE/エチレン/ビニルエーテル共重合体、CTFE
/エチレン/ビニルエステル共重合体、及びそれらの共
重合体を少量の共重合可能な単量体により変性したもの
等を挙げることができる。
【0057】上記含フッ素樹脂水性分散体は、例えば、
溶剤中等で上記含フッ素樹脂粒子を構成する含フッ素樹
脂を重合して得た後、乳化剤の存在下、水中に分散し、
溶剤を留去する相転換法、上記含フッ素樹脂粒子を構成
する含フッ素樹脂の乳化重合を水性媒体中で行う方法等
を挙げることができるが、溶剤の削減と工程の簡略化の
ためには、水性媒体中で乳化重合を行う方法が好まし
い。上記乳化重合は、通常行われる乳化重合と同様の方
法により行うことができ、例えば、密閉容器中、水性媒
体中で、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合に
よってはキレート化剤、pH調整剤及び溶剤等の存在
下、フルオロオレフィン、フルオロオレフィンと共重合
可能な単量体等の単量体を10〜90℃の温度で0.5
〜40時間反応させることにより得ることができる。
【0058】上記界面活性剤としては、アニオン性、ノ
ニオン性又はアニオン性−ノニオン性の組み合せを用い
ることができ、場合によっては両性界面活性剤を用いる
こともできる。上記アニオン性界面活性剤としては、例
えば、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン
酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウ
ム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリ
ウム塩等の炭化水素系アニオン性界面活性剤のほか、フ
ルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルスルホ
ン酸塩、フルオロアルキル硫酸エステル等の含フッ素ア
ニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0059】上記ノニオン性界面活性剤としては、例え
ば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエ
チレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエステル
類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げるこ
とができる。上記両性界面活性剤としては、例えば、ラ
ウリルベタイン等を挙げることができる。また、上記界
面活性剤として、いわゆる反応性乳化剤等を用いること
ができ、更に、このような反応性乳化剤と上記乳化剤と
を併用することもできる。
【0060】上記乳化重合の際に用いる重合開始剤とし
ては、水性媒体中でフリーラジカル反応に供し得るラジ
カルを10〜90℃の間で発生するものであれば特に限
定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いる
ことも可能である。このようなものとして、通常水溶性
の重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元剤
としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリ
ウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット等
を挙げることができる。油溶性の重合開始剤としては、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、
過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)等を挙げることができる。
【0061】上記乳化重合の際に用いる連鎖移動剤とし
ては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン
化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−ド
デシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメ
ルカプタン類等を挙げることができる。上記溶剤は、作
業性、防災安全性、環境安全性、製造安全性を損なわな
い範囲内、例えば、20重量%以下の範囲で用いられ、
例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トリクロロト
リフルオロエタン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチ
ルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビト
ール、ジオキサン、ブチルカルビトールアセテート、テ
キサノール、酢酸エチル、酢酸ブチル等を挙げることが
できる。
【0062】以上で、その他の含フッ素樹脂水性分散体
の説明を終えた。フッ素樹脂エマルジョンのうちのフッ
素樹脂エマルジョン(1−3)は、上記その他の含フッ
素樹脂水性分散体にアクリル樹脂を混合して得られる。
また、フッ素樹脂エマルジョンのうちのフッ素樹脂エマ
ルジョン(1−2)は、既に説明を終えたフッ素樹脂エ
マルジョン(1−1)にアクリル樹脂を混合して得られ
る。更に、含フッ素樹脂水性分散体にアクリル樹脂を混
合して得られるフッ素樹脂エマルジョン(1−4)は、
既にフッ素樹脂エマルジョン(1−1)の説明箇所にお
いて詳述した「シード粒子」が水性媒体中に分散されて
なる基本構造を有するが、アクリル樹脂がシード重合さ
れたものではない。
【0063】上記「シード粒子」は、既に詳述したよう
に、フルオロオレフィンの共重合体からなるものであ
り、上記フルオロオレフィンとしては、ビニリデンフル
オライド(VdF)、テトラフルオロエチレン(TF
E)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキ
サフルオロプロピレン(HFP)等を挙げることがで
き、上記フルオロオレフィンの共重合体としては、Vd
F/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、Vd
F/HFP共重合体、TFE/CTFE共重合体、TF
E/HFP共重合体、CTFE/HFP共重合体、Vd
F/TFE/CTFE共重合体、VdF/TFE/HF
P共重合体、TFE/CTFE/HFP共重合体、Vd
F/CTFE/HFP共重合体、VdF/TFE/CT
FE/HFP共重合体等を挙げることができ、これらの
ものに関する詳細な説明も既に説明を終えている。
【0064】上記アクリル樹脂としては、主鎖がアクリ
ル酸及び/又はメタクリル酸に起因する炭化水素鎖で構
成されている重合体であれば特に限定されず、通常、ア
クリル系単量体の単独重合体、アクリル系単量体とこれ
と共重合体可能なエチレン性不飽和二重結合を有する他
の単量体との共重合体等を挙げることができる。上記ア
クリル系単量体としては、アクリル酸及び/又はメタク
リル酸(以下「(メタ)アクリル酸」ともいう)を含有
するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル
酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸、メタ
クリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。上
記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては特に限
定されず、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18のア
クリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が1〜
18のメタクリル酸アルキルエステル等を挙げることが
できる。
【0065】上記アルキル基の炭素数が1〜18のアク
リル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、
アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アク
リル酸n−ヘキシル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキ
シル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル等を
挙げることができる。上記アルキル基の炭素数が1〜1
8のメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリ
ル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル
酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、
メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸
ステアリル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることがで
きる。
【0066】上記アクリル系単量体には、耐溶剤性、耐
水性向上の目的で、エチレングリコールジメタクリレー
ト、プロピレングリコールジメタクリレート等の多官能
性単量体を共重合することもできる。上記アクリル酸エ
ステル、上記メタクリル酸エステルと共重合可能なエチ
レン性不飽和結合を有する単量体としては、下記(I)
及び下記(II)等を挙げることができる。
【0067】(I)反応性を有する官能基を持つ単量
体、例えば、マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク
酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチル
メタクリルアミド等のアミド化合物;アクリル酸ヒドロ
キシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル
酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピ
ル等の水酸基含有単量体;アクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;γ−ト
リメトキシシランメタクリレート、γ−トリエトキシシ
ランメタクリレート等のシラノール基含有単量体;アク
ロレイン等のアルデヒド基含有単量体;カプロラクトン
変性ヒドロキシアクリレート、カプロラクトン変性ヒド
ロキシメタクリレート。
【0068】(II)その他ビニル化合物、例えば、エ
チレン、プロピレン、イソブチレン等のαオレフィン
類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシル
ビニルエーテル(CHVE)、ヒドロキシブチルビニル
エーテル(HBVE)、ブチルビニルエーテル、イソブ
チルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキ
シエチレンビニルエーテル等のビニルエーテル類;ポリ
オキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテ
ル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、アリルアルコー
ル、アリルエーテル等のアルケニル類;酢酸ビニル、乳
酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビ
ニル、VEOVA9、VEOVA10(シェル社製)等
のビニルエステル類;無水イタコン酸、無水コハク酸、
クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;スチレ
ン、αメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン
等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル等。
【0069】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体として、親水性部位を含む低分子量のポリマー
又はオリゴマーを分子中に含む化合物を用いることもで
きる。上記親水性部位とは、親水性基を有する部位又は
親水性の結合を有する部位、及び、これらの組み合せか
らなる部位を意味する。上記親水性基は、イオン性、非
イオン性、両性及びこれらの組合せのいずれであっても
よいが、非イオン性、アニオン性の親水性基が好まし
い。また、公知の反応性乳化剤であってもよい。
【0070】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体、反応性乳化剤としては、例えば、ポリエチレ
ングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコー
ルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメ
タクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、
ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリ
エチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコ
ールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール
アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレ
ングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレー
ト、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル硫酸塩、スチレンスルホン酸塩、アリルアルキルスル
ホン酸塩、ポリエチレングリコールメタクリレート硫酸
塩、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ビス(ポリオキ
シエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテルアクリル酸エステル、メタクリロイルオキシポリ
オキシアルキレン硫酸エステル塩、メタクリロイルオキ
シアルキレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンビニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエステル等を挙
げることができる。
【0071】本発明のアクリル樹脂を取得するため、上
記アクリル系単量体の単独重合体、上記アクリル系単量
体とその他の共重合可能な単量体との共重合体を調製す
るための重合方法としては特に限定されず、従来公知の
方法、例えば、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等を適宜
選択して用いることができる。また、重合後の重合体の
分子量等についても、その用途を考慮して適宜選択する
ことができる。
【0072】また、重合するにあたって用いる重合器、
重合方法、重合開始剤、重合禁止剤、その他の助剤、乳
化重合における乳化補助剤、界面活性剤、その他の添加
剤等についても、従来公知のものを適宜選択して用いる
ことができる。これらの選択にあたっては、取得される
アクリル樹脂が適切なものであれば、従来公知のいかな
るものも使用することができる。
【0073】上記フッ素樹脂エマルジョン(1−2)、
上記フッ素樹脂エマルジョン(1−3)及び上記フッ素
樹脂エマルジョン(1−4)を構成するために混合する
アクリル樹脂の混合量は、5〜80重量%がよく、特に
好ましくは、10〜70重量%である。アクリル樹脂の
混合量が低すぎると、水性分散体全体の造膜性が低下し
て本発明の目的を達成することができず、混合量が多す
ぎると、耐候性が悪くなる。
【0074】上記フッ素樹脂エマルジョン(1−2)、
上記フッ素樹脂エマルジョン(1−3)又は上記フッ素
樹脂エマルジョン(1−4)と上記アクリル樹脂とを上
記水性媒体中で混合する場合の混合割合は特に限定され
ず、通常、両樹脂合計の固形分濃度が5〜90重量%程
度、好ましくは20〜80重量%となるように混合する
ことが好ましい。上記混合方法としては特に限定され
ず、通常知られた方法を用いることができる。
【0075】本発明のフッ素樹脂エマルジョンには、被
膜形成組成物が形成する塗膜の耐久性、耐溶剤性を更に
向上させる目的で、所望により、硬化剤を添加させても
よい。上述したように、上記フッ素樹脂エマルジョンが
含有しているアクリル樹脂は官能基を有するものである
場合があり、そのような場合には、当該フッ素樹脂エマ
ルジョンは硬化剤と反応する官能基を有している。上記
硬化剤としては特に限定されず、例えば、イソシアネー
ト系硬化剤、メラミン系硬化剤等を挙げることができ
る。
【0076】以上で、フッ素樹脂エマルジョン(1−
1)にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素樹脂エマ
ルジョン(1−2)、その他の含フッ素樹脂水性分散体
にアクリル樹脂を混合して得られるフッ素樹脂エマルジ
ョン(1−3)、上記フッ素樹脂エマルジョン(1−
1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性分散体であっ
てアクリル樹脂をシード重合していないものにアクリル
樹脂を混合して得られるフッ素樹脂エマルジョン(1−
4)についての説明を終えた。上記フッ素樹脂エマルジ
ョン(1−3)の調製に用いられたその他の含フッ素樹
脂水性分散体からなるフッ素樹脂エマルジョン(1−
5)とは、既に説明を終えているその他の含フッ素樹脂
水性分散体のことである。また、上記フッ素樹脂エマル
ジョン(1−1)の調製に用いられた含フッ素樹脂水性
分散体であってアクリル樹脂をシード重合していないも
のからなるフッ素樹脂エマルジョン(1−6)とは、フ
ッ素樹脂エマルジョン(1−1)の項で既に説明を終え
ているアクリル樹脂のシード重合前の含フッ素樹脂水性
分散体のことである。
【0077】以上で、本発明のフッ素樹脂エマルジョン
についての説明を終えた。本発明のフッ素樹脂エマルジ
ョン中のフッ素樹脂は、コンクリート形成用組成物の全
固形分に対して1〜50重量%である。上記本発明のフ
ッ素樹脂エマルジョン中のフッ素樹脂とは、上に詳述し
たフッ素樹脂エマルジョンを構成するフッ素樹脂を意味
し、当該フッ素樹脂エマルジョン中における固形分樹脂
のうちフッ素を含有する樹脂のみの部分を意味する。上
記フッ素樹脂の含有量がコンクリート形成用組成物の全
固形分に対して1重量%未満であると、耐酸性や耐食性
が劣る傾向となり、また、非粘着性が消失する傾向があ
り、50重量%を超えると、形成されるコンクリートの
強度が低下する傾向がある。
【0078】本発明のフッ素樹脂エマルジョンは、撥剤
を、フッ素樹脂固形分に対して200重量%以下の範囲
で含有することが好ましい。以下、上記撥剤について詳
述する。
【0079】本発明に用いられる撥剤は、パーフルオロ
アルキル基を有する化合物、フッ素系界面活性剤、フッ
素系オイル、フルオロシリコーンオイル、及び、シリコ
ーンオイルのうちから選択される少なくとも1種であ
る。なかでも、パーフルオロアルキル基を有する化合物
が特に好ましい。以下にこれらの撥剤について説明す
る。
【0080】(I)パーフルオロアルキル基を有する化
合物 パーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和単量体の
単独重合体、又は、これと他の単量体との共重合体等を
挙げることができる。上記パーフルオロアルキル基含有
エチレン性不飽和単量体としては、例えば、下記式で表
される化合物等を挙げることができる。
【0081】
【化1】
【0082】式中、Rfは、アルキル基の炭素数が4〜
20のパーフルオロアルキル基を表す。R1 は、水素又
は炭素数1〜10のアルキル基を表す。R2 は、炭素数
1〜10のアルキレン基を表す。R3 は、水素又はメチ
ル基を表す。R4 は、炭素数1〜17のアルキル基を表
す。nは、1〜10の整数を表す。mは0〜10の整数
を表す。
【0083】上記パーフルオロアルキル基含有エチレン
性不飽和単量体と共重合体可能な他の単量体としては、
例えば、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アク
リル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘ
キシルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステ
ル、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N
−メチロールアクリルアミド、エチレン、塩化ビニル、
フッ化ビニル、(メタ)アクリル酸アミド、スチレン、
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルキル基
の炭素数が1〜20のビニルアルキルエーテル、アルキ
ル基の炭素数が1〜20のハロゲン化アルキルビニルエ
ーテル、アルキル基の炭素数が1〜20のビニルアルキ
ルケトン、無水マレイン酸、ブタジエン、イソプレン、
クロロプレン;シリル基含有ビニル単量体、例えば、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等
を挙げることができる。これらの共重合体を有機溶媒や
水性媒体に溶解又は分散させたものは市販されており、
例えば、ユニダインTG−652(ダイキン工業社
製)、ユニダインTG−664(ダイキン工業社製)、
ユニダインTG−410(ダイキン工業社製)等を挙げ
ることができる。
【0084】上記(I)パーフルオロアルキル基を有す
る重合体に加えて、他のパーフルオロアルキル基を有す
る化合物もまた、本発明の撥剤として用いることができ
る。他の上記パーフルオロアルキル基を有する化合物と
は、 RfN(R1 )R2 −OH Rf(CH2 )n −OH RfCON(R1 )R2 −OH RfCH2 C(OH)(R1 )R2 −OH RfCH2 C(OCOR4 )H−R2 −OH RfSO2 N(R1 )(CH2 )n −OH RfCON(R1 )(CH2 )n −OH RfN(R1 )R2 −SH Rf(CH2 )n −SH RfCON(R1 )R2 −SH RfCH2 C(SH)(R1 )R2 −SH RfCH2 C(OCOR4 )H−R2 −SH RfSO2 N(R1 )(CH2 )n −SH RfCON(R1 )(CH2 )n −SH RfN(R1 )R2 −NH2 Rf(CH2 )n −NH2 RfCON(R1 )R2 −NH2 RfCH2 C(NH2 )(R1 )R2 −NH2 RfCH2 C(OCOR4 )H−R2 −NH2 RfSO2 N(R1 )(CH2 )n −NH2 RfCON(R1 )(CH2 )n −NH2 (式中、Rf、R1 、R2 、R4 、nは、前記と同
じ。)で表される化合物と、イソシアネート化合物との
反応生成物等を挙げることができる。
【0085】当該イソシアネート化合物としては、脂肪
族系、脂環族系、芳香族系のモノイソシアネート基含有
化合物;ポリイソシアネート化合物として、例えば、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネ
ート、リジンエステルトリイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、
トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート等;更にこれら
の変性体として、トリスビュレット変性体、イソシアヌ
レート変性体、トリオール変性体等を挙げることができ
る。
【0086】また、本発明の撥剤として用いることがで
きるパーフルオロアルキル基を有する化合物として、更
に、 RfN(R1 )R2 −OH Rf(CH2 )n −OH RfCON(R1 )R2 −OH RfCH2 C(OH)(R1 )R2 −OH RfCH2 C(OCOR4 )H−R2 −OH RfSO2 N(R1 )(CH2 )n −OH RfCON(R1 )(CH2 )n −OH (式中、Rf、R1 、R2 、R4 、nは、前記と同
じ。)で表される化合物と、官能基をカルボン酸又はリ
ン酸とする化合物とのエステル反応生成物等を挙げるこ
とができる。
【0087】(II)フッ素系界面活性剤 本発明で使用されるフッ素系界面活性剤は、パーフルオ
ロアルキル基を有する界面活性剤又はパーフルオロアル
キレン基を有する界面活性剤であり、陰イオン性フッ素
系界面活性剤、陽イオン性フッ素系界面活性剤、両性フ
ッ素系界面活性剤、及び、非イオン性フッ素系界面活性
剤等を挙げることができる。更に具体的には、ユニダイ
ンDS−101(ダイキン工業社製)、ユニダインDS
−202(ダイキン工業社製)、ユニダインDS−30
1(ダイキン工業社製)、ユニダインDS−406(ダ
イキン工業社製)等を挙げることができる。 (III)フッ素系オイル 本発明で使用されるフッ素系オイルとしては、パーフル
オロポリエーテルやクロロトリフルオロエチレンの重合
体、その他特定のフッ素化炭化水素化合物等を挙げるこ
とができる。更に具体的には、デムナムS−20(ダイ
キン工業社製)、ダイフロイル#20(ダイキン工業社
製)等を挙げることができる。
【0088】(IV)フルオロシリコーンオイル 本発明で使用されるフルオロシリコーンオイルは、ポリ
シロキサンの側鎖又は末端にフルオロアルキル基を含有
するものである。更に具体的には、FS−1265(東
レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、X−22−8
19(信越化学工業社製)、FL100(信越化学工業
社製)等を挙げることができる。 (V)シリコーンオイル 本発明で使用されるシリコーンオイルとしては、25℃
における粘度が50cps以上であるか、側鎖又は末端
に反応性基を有するシリコーンオイルを挙げることがで
きる。より具体的には、ジメチルシリコーンオイル、メ
チル塩化シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーン
オイル、有機変性シリコーンオイル等を挙げることがで
き、例えば、下記の一般式で表される化合物等を挙げる
ことができる。
【0089】
【化2】
【0090】式中、R12は、炭素数1以上のアルキレン
基を表す。PAは、ポリアルキレンオキサイドを表す。
x、yは、1以上の整数を表す。更に具体的には、例え
ば、PRX413(東レ・ダウコーニング・シリコーン
社製)、SF8417(同)、SF8418(同)、B
Y16−855B(同)、SF8427(同)、SF8
428(同)、X−22−161C(信越化学工業社
製)、KF−857(同)、KP−358(同)、KP
−359(同)等を挙げることができる。
【0091】本発明のフッ素樹脂エマルジョンが含有す
る上記撥剤の含有量は、フッ素樹脂固形分に対して20
0重量%以下であることが好ましい。撥剤の含有量が2
00重量%を超えると、フッ素樹脂エマルジョンの造膜
ができなくなる傾向があり、耐酸性、耐食性、非粘着性
を発揮できなくなる。
【0092】以上で撥剤についての説明を終えた。本発
明のフッ素樹脂エマルジョンは、上記撥剤のほか、更
に、有機ケイ素化合物を含有することが好ましい。以
下、上記有機ケイ素化合物について説明する。
【0093】上記有機ケイ素化合物は、下記一般式
(I):
【化3】
【0094】(式中、R1nは炭素数1〜18の飽和アル
キル基を表し、nnが2以上の場合には同一であっても
異なっていてもよい。R2nは、炭素数1〜5の飽和アル
キル基を表し、nnが2以上の場合には同一であっても
異なっていてもよい。nnは、1〜9の整数を表す。)
で表される。上記R1nで表される炭素数1〜18の飽和
アルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル
基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラ
デシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデ
シル基、オクタデシル基等を挙げることができ、これら
は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0095】上記R2nで表される炭素数1〜5の飽和ア
ルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等を挙げ
ることができ、これらは直鎖状であっても分岐状であっ
てもよい。上記nnは、1〜20の整数である。
【0096】上記有機ケイ素化合物としては、更に具体
的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルト
リメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチ
ルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、
ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシ
ラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキ
シシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリ
メトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、トリデ
シルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシ
ラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシル
トリメトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラ
ン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリ
エトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチル
トリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘ
プチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラ
ン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシ
ラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエ
トキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラ
デシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシ
シラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシ
ルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラ
ン等を挙げることができ、なかでも、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシランが好ましい。
【0097】また、上記有機ケイ素化合物のダイマー等
も、本発明に用いる有機ケイ素化合物として使用するこ
とができ、このようなものとしては、上記一般式(I)
において、nnが2のもの等を挙げることができる。ま
た更に、nnが20までの整数のものであっても良い。
【0098】上記有機ケイ素化合物は、乳化して用いら
れる。このような乳化は、従来公知の方法によってする
ことができ、例えば、乳化剤を用いる方法等を挙げるこ
とができる。上記乳化剤としては特に限定されず、例え
ば、ノニオン性乳化剤、アニオン性乳化剤等を挙げるこ
とができる。
【0099】上記ノニオン性乳化剤としては特に限定さ
れず、例えば、一般的なノニオン性乳化剤としては、グ
リセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエ
ート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパル
ミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモ
ノオレエート、ソルビタンモノトリオレート、ソルビタ
ンモノセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタン
モノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパ
ルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステア
レート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノトリオレート、
ポリオキシエチレンソルビタンモノセスキオレート、ポ
リオキシエチレンソルビトールテトラオレート、ポリオ
キシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセ
チルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシ
エチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン
オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル等を挙げることができる。
【0100】また、上記ノニオン性乳化剤として、フッ
素系乳化剤、シリコーン系乳化剤等を挙げることができ
る。上記フッ素系乳化剤としては、既にフッ素樹脂エマ
ルジョンの項の説明で詳述したもの等を挙げることがで
きる。上記シリコーン系乳化剤としては、例えば、下記
の二つの一般式で表されるポリアルキレン変成ポリジメ
チルシロキサン化合物等を挙げることができる。
【0101】
【化4】
【0102】式中、Rは、水素又はアルキル基を表す。
m2、n2、a2、b2、c2、d2、e2は、繰り返
し数を示す整数を表す。上記アニオン性乳化剤としては
特に限定されず、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラ
ウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジ
フェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルリ
ン酸ジエタノールアミン塩、アルキルリン酸カリウム
塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタ
ノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル硫酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウ
ム、混合脂肪酸ソーダ石鹸、半硬化牛脂肪酸ソーダ石
鹸、半硬化牛脂肪酸カリ石鹸、ステアリン酸ソーダ石
鹸、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸、高級アル
コール硫酸ナトリウム、β−ナフタレンスルホン酸ホル
マリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホ
ルマリン縮合物、特殊カルボン酸型界面活性剤、特殊ポ
リカルボン酸型界面活性剤、特殊ポリカルボン酸型高分
子界面活性剤等を挙げることができる。
【0103】全乳化剤中のアニオン性乳化剤の割合は、
格別限定されないが、0.01〜20重量%が好まし
い。上記ノニオン性乳化剤のいずれか及び上記アニオン
性乳化剤のいずれかは、それぞれを単独で用いても併用
しても良いし、ノニオン性乳化剤とアニオン性乳化剤と
を併用して用いても良いが、ノニオン性乳化剤のいずれ
か及び上記アニオン性乳化剤のいずれかを併用すること
が好ましい。また、ノニオン性乳化剤としては、ポリア
ルキレンオキサイド変成ポリジメチルシロキサン、フッ
素化アルキル基含有ポリアルキレンオキサイドが好まし
い。
【0104】上記乳化剤を用いて本発明の有機ケイ素化
合物を乳化する方法は特に限定されないが、例えば、上
記有機ケイ素化合物と上記乳化剤との混合物をホモミキ
サー等で高速攪拌させながら、これに水を少しずつ滴下
することによって乳化することができる。このように攪
拌した後に、完全に均一状態になっていれば、水の添加
によって安定な乳化状の水性分散体を得ることができ
る。また、水を少しずつ加えてゆくと、始めは濃度と粘
度とが高くなったり不溶物が生じたり、透明液になった
りする場合があるが、水の量を次第に増やしてゆくと、
均一な水性分散体とすることができる。
【0105】本発明のフッ素樹脂エマルジョンが含有す
る上記有機ケイ素化合物の含有量は、フッ素樹脂固形分
に対して200重量%以下であることが好ましい。有機
ケイ素化合物の含有量が200重量%を超えると、フッ
素樹脂エマルジョンの造膜が悪くなり、耐酸性、耐食
性、非粘着性を発揮できなくなる傾向がある。
【0106】以上で有機ケイ素化合物の説明を終えた。
本発明のフッ素樹脂エマルジョンと上記撥剤及び/又は
上記有機ケイ素化合物とを混合する方法としては、通常
の方法を適宜選択して行うことができ、例えば、ホモミ
キサー等の攪拌機を用いて攪拌することにより得ること
ができる。
【0107】本発明のフッ素樹脂エマルジョンには、造
膜助剤を添加することにより、本発明のコンクリート形
成用組成物を構成する他の成分中においても充分に造膜
するようにすることができる。上記造膜助剤としては特
に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルアミルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢
酸ブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル等
のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;
メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノー
ル等のアルコール類;四塩化炭素、メチレンジクロライ
ド、ヘキサフルオロイソプロパノール等の含ハロゲン溶
剤;エチレングリコール等のエステル類又はエーテル
類;「テキサノール」(イーストマンケミカル社製)等
の水性塗料用可塑剤等を挙げることができる。
【0108】本発明のフッ素樹脂エマルジョンには、上
記のほか、更に、適宜添加剤を含有させることができ
る。このような添加剤としては特に限定されず、例え
ば、酸化チタン、マイカ、タルク、クレー、沈降性硫酸
バリウム、シリカ末、炭酸カルシウム、酸化鉄、酸化亜
鉛、アルミニウム末、カーボンブラック等の各種無機顔
料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系等の各
種有機顔料;プラスチック顔料;更に、湿潤剤、チクソ
化剤、酸化防止剤、凍結防止剤、防腐剤、抗菌剤、防黴
剤、難燃剤、表面調整剤、硬化触媒、粘度調整剤、レベ
リング剤、紫外線吸収剤、皮バリ防止剤、分散剤、消泡
剤等のような通常用いられる公知の添加剤等を挙げるこ
とができ、またこれらの添加量も特に限定されず、通常
の添加量を採用することができる。
【0109】上記フッ素樹脂エマルジョンを含有する本
発明のコンクリート形成用組成物を調製するにあたって
は、種々の方法を採用することができる。例えば、まず
上記したセメントと上記フッ素樹脂エマルジョンとを混
練し、これに、骨材、混和材、その他の添加剤を添加
し、水を添加して更に混練する方法;セメント、骨材、
混和材、その他の添加剤、及び、水を一度に混練する方
法等を挙げることができる。
【0110】上記混練にあたっては、これらの被混練物
の粒径や比重が多種雑多であることから、極めて精緻な
混練によってそれぞれの成分が均一になるように行う必
要がある。上記混練には、可頷式ミキサ、強制練りミキ
サ等の通常コンクリートを混練するときに用いるミキサ
を用いて機械的に混練することが好ましい。
【0111】本発明のコンクリート形成用組成物は、通
常の方法により、コンクリートとすることができる。こ
のような方法としては、通常、木材その他により所望の
形状を有する型枠を作成し、ここに上記コンクリート形
成用組成物を、運搬、打ち込み、締固め等することによ
り型枠内に充填する。その後、寒暖、降雨等の気候に留
意しながら、静置して固化するのを待つことにより、コ
ンクリートを得ることができる。
【0112】本発明のコンクリート形成用組成物は、上
記のようにしてコンクリート構造体そのものとして活用
することができる。本発明のコンクリート形成用組成物
が有する優れた効果は、主として、コンクリート構造体
が外部と接する箇所において発揮されるものであること
を考えると、本発明のコンクリート形成用組成物を、当
該コンクリート構造体の周囲を覆うように成形すること
によって適用することもできる。このような本発明のコ
ンクリート形成用組成物の適用方法としては、例えば、
既に構築されているコンクリート構造物の表面部分に、
本発明のコンクリート形成用組成物を用いて別のコンク
リート成形層を構築する方法;本発明のコンクリート形
成用組成物ではない通常のコンクリート形成用組成物を
用いてコンクリート成形品を製造した後、本発明のコン
クリート形成用組成物を用いて当該成形品の表面部分を
覆うように一定の厚みで本発明のコンクリートを形成す
る方法;通常のコンクリートの表面に、本発明のコンク
リート形成用組成物を用いて形成したコンクリート成形
品を覆うように重ねて設置する方法等を挙げることがで
きる。このように構成すると、当該コンクリート構造体
が大きい場合であっても、中央部分は比較的高価なフッ
素樹脂エマルジョンを用いていないので、比較的安価に
製造することができ、しかも、本発明の特有の効果を充
分に発揮することが可能である。
【0113】本発明のコンクリート形成用組成物及びこ
れを用いたコンクリートは、優れた耐酸性、耐食性、非
粘着性を有することから、これらの性質を積極的に活用
しうる分野において有用である。例えば、常時水と接す
る護岸用ブロック、冷却導入水路、養殖用水槽、貯水槽
等の水処理施設;耐久性が極めて重要な原子力発電施
設;温泉地等の酸性水と接する浴槽や水路;ガムその他
の粘着性物質が付着しやすい歩道、公園、遊園地、学校
の校庭やプール及びこれらの舗装用ブロック;ホール屋
根トラス、ホールはり、橋梁、鉄道まくら木、建物の
床、建物の壁、建物の柱、屋根構造物、鉱油貯蔵タン
ク、プレハブ車庫、プレハブ住宅、コンクリートかわ
ら、U字型土木石材、車体支持床等のその他の成形品等
を挙げることができ、これら自体及びこれらの表面を覆
う用途等として活用することができる。
【0114】
【実施例】以下に合成例、実施例及び比較例を掲げて本
発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例の
みに限定されるものではない。
【0115】合成例1 内容量1リットルの攪拌機付耐圧反応容器に、脱イオン
水500ミリリットル、パーフルオロオクタン酸アンモ
ニウム塩0.5g、モノステアリン酸ポリオキシエチレ
ン(POE40)0.05gを仕込み、窒素圧入、脱気
を繰り返し、溶存空気を除去したのち、VdF/TFE
/CTFEの74/14/12モル%比の混合モノマー
にて、60℃で10kgf/cm2 まで加圧した。つぎ
に、過硫酸アンモニウム0.2gを仕込み、槽内圧力が
10kgf/cm2 で一定となるようにVdF/TFE
/CTFEの74/14/12モル%比の混合モノマー
を連続供給し、30時間反応を行ったのち、槽内を常
温、常圧に戻し、含フッ素重合体水性分散体を得た。
【0116】合成例2 攪拌機、冷却管、温度計を備えた内容量200ミリリッ
トルの四つ口フラスコに、合成例1で得られた含フッ素
重合体水性分散体100gを仕込み、これにアルキルア
リルスルホサクシネートアルカリ塩(三洋化成工業社
製、商品名エレミノールJS2)を固形分に対して1.
0%添加した。攪拌下に水浴中で加温し、槽温が80℃
に達したところで、メタクリル酸メチル(MMA)1
3.0g、アクリル酸ブチル(BA)3.5g、ポリオ
キシエチレンメタクリレート(POEMA、新中村化学
工業社製、商品名M90G)2.2gの混合モノマーを
アルキルアリルスルホサクシネートアルカリ塩の0.5
%水溶液で乳化し、この乳化液を1時間かけて滴下し
た。その直後に、過硫酸アンモニウムの2%水溶液1ミ
リリットルを添加して反応を開始した。反応開始3時間
後に、槽内温度を85℃に上げ、1時間保持したのち冷
却し、アンモニウム水でpHを7に調整し、300メッ
シュの金網で濾過して青白色の含フッ素シード重合体水
性分散体を得た。このものを「エマルジョンA」とし
て、以下の実験に用いた。
【0117】合成例3 表1に示した組成のものを用いたこと以外は合成例1及
び合成例2と同様にして、含フッ素シード重合体水性分
散体を得た。このものを「エマルジョンB」として以下
の実験に用いた。 合成例4 表1に示した組成のものを用いたこと以外は合成例1及
び合成例2と同様にして、含フッ素シード重合体水性分
散体を得た。このものを「エマルジョンC」として以下
の実験に用いた。
【0118】合成例5 200ミリリットルのステンレス製攪拌機付きオートク
レーブに、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)
17.8g、ポリオキシエチレンアリルエーテル(PO
EAE、日本油脂社製、商品名PKA5003)4.2
g、エチルビニルエーテル(EVE)6.1g、イオン
交換水66.1g、パーフルオロオクタン酸アンモニウ
ム(乳化剤)0.3g、炭酸カリウム0.35g、亜硫
酸水素ナトリウム0.02g、過硫酸アンモニウム(開
始剤)0.08gを仕込み、氷で冷却して窒素ガスを
3.5kgf/cm2 となるように加圧し脱気した。こ
の加圧脱気を2回繰り返した後、10mmHgまで脱気
して溶存酸素を除去した後、クロロトリフルオロエチレ
ン(CTFE)27.5gを仕込み、30℃で12時間
反応を行い、含フッ素重合体水性分散体を得た。このも
のを「エマルジョンD」として以下の実験に用いた。
【0119】合成例6 含フッ素重合体水性分散体を使用せず、合成例2と同様
にして、表1に示したような組成にして、アクリル樹脂
水性分散体を得た。このものを「エマルジョンE」とし
て、以下の実験に用いた。なお、表1中の固形分濃度と
は、各エマルジョン中における固形分の濃度(重量%)
を表し、最低造膜温度とは、各エマルジョンの最低造膜
温度をJIS K6828に従って測定した値(℃)を
表す。
【0120】実施例及び比較例 n−ヘキシルトリエトキシシラン20g、ポリオキシエ
チレンステアリルエーテル4g及びラウリン酸ナトリウ
ム0.02gを混合し1500rpmで高速攪拌してこ
れに水80gを徐々に加えることによって白色水性エマ
ルジョンを得た。このものを、有機ケイ素化合物として
用いた。撥剤として、ユニダインTG−410(ダイキ
ン工業社製)を用いた。上記有機ケイ素化合物、上記撥
剤、及び、造膜助剤としてアジピン酸ジエチルを、表2
に示した量(重量部)として、合成例で製造し表2に示
したエマルジョンA〜Eの15重量部に、攪拌混合し
た。上記混合物の最低造膜温度を、JIS K 682
8に従って測定し、表2に示した。上記混合物の合計重
量に対して、セメント(市販のポルトランドセメント)
60重量部、珪砂(骨材)40重量部を配合し、これ
に、水道水を、水セメント比が、59%となるように加
え(表2には、セメント、珪砂、及び、水の配合量を示
していない)、可頷式ミキサに投入して機械的に攪拌す
ることにより硬化前のコンクリート形成用組成物を得
た。
【0121】上記各コンクリート形成用組成物を、平滑
な木で作成した型枠(5×5×10cm)内に慎重に流
し込み、湿度50%の雰囲気下で、温度35℃に保持し
ながら1週間静置した。その後、型枠を外して、更に、
湿度50%の雰囲気下で、温度35℃に保持しながら3
週間静置して、試験用コンクリートを作成した。非粘着性試験 試験用コンクリートの表面に、ガムテープ(5cm幅粘
着布テープ、日東電工社製)を貼った後、引っ張り試験
機を用いてガムテープを剥がしたときの剥離強度(g/
cm)を測定した。初期非粘着性は、試験用コンクリー
トを作成した直後に計測したものである。各試験用コン
クリートを30%硫酸溶液(液温25℃)に浸漬したま
ま30日間静置した。その後、硫酸溶液から取り出し、
良く水洗し、湿度50%の雰囲気下で、温度35℃に維
持しながら7日間静置した。その後、非粘着性試験を上
記と同様にして行い、後期非粘着性とした。また、初期
非粘着性測定時と後期非粘着性測定時との重量を計測
し、その重量変化率を、〔(初期非粘着性測定時重量)
−(後期非粘着性測定時重量)〕÷(初期非粘着性測定
時重量)×100(%)として測定した。これらを表2
に示した。表2中、「測定不可」とは、ボロボロに変化
して測定することができなかったことを意味する。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【発明の効果】本発明のコンクリート形成用組成物は、
上述の構成よりなるので、優れた耐酸性と耐食性とを兼
ね備え、更に非粘着性をも有しており、酸性水と接する
浴槽や水路、ガムその他の粘着性物質が付着しやすい舗
装用途、常時水と接する水中構造物等に用いるコンクリ
ートとして極めて良好に適用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 27/12 C08L 27/12 C09D 127/12 C09D 127/12 // C04B 103:65

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂エマルジョンを含有するコン
    クリート形成用組成物であって、前記フッ素樹脂エマル
    ジョンの最低造膜温度は、コンクリート硬化時温度未満
    であることを特徴とするコンクリート形成用組成物。
  2. 【請求項2】 フッ素樹脂エマルジョン中のフッ素樹脂
    の含有量は、コンクリート形成用組成物の全固形分に対
    して1〜50重量%である請求項1記載のコンクリート
    形成用組成物。
  3. 【請求項3】 フッ素樹脂エマルジョンは、撥剤を、フ
    ッ素樹脂固形分に対して0〜200重量%含有するもの
    である請求項1又は2記載のコンクリート形成用組成
    物。
  4. 【請求項4】 フッ素樹脂エマルジョンは、有機ケイ素
    化合物を、フッ素樹脂固形分に対して0〜200重量%
    含有するものである請求項1、2又は3記載のコンクリ
    ート形成用組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載のコンクリ
    ート形成用組成物を硬化させてなることを特徴とするコ
    ンクリート。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3又は4記載のコンクリ
    ート形成用組成物を硬化させてなることを特徴とする舗
    装ブロック。
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