JPH1128821A - インクジェットプリントヘッドの作製方法 - Google Patents

インクジェットプリントヘッドの作製方法

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JPH1128821A
JPH1128821A JP18552397A JP18552397A JPH1128821A JP H1128821 A JPH1128821 A JP H1128821A JP 18552397 A JP18552397 A JP 18552397A JP 18552397 A JP18552397 A JP 18552397A JP H1128821 A JPH1128821 A JP H1128821A
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plate
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JP18552397A
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Keiji Watanabe
啓司 渡辺
Kunihiro Tamahashi
邦裕 玉橋
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Hitachi Koki Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、インクジェットプリントヘッドに関
するものであり、作製工程を簡略化した上、低温で信頼
性の高い接合方法を提供することを課題とする。 【解決手段】めっき法、プレス打ち抜きまたは放電加工
でインク流路を形成したAg薄板を作製し、Ag薄板自体を
接合層として、接合面を対向させて加熱・加圧して接合
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットプリ
ントヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄系、Ni系、あるいは銅系の材質
で厚さ7μm〜5mmの接合部材からなるインクジェット
プリントヘッドの接合は、有機系の接着剤、はんだまた
はロー材を用いて行ってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】水溶性インクに対し、
ホットメルト型インクを使用するインクジェットプリン
タは、該インクは室温で固体であるため、取扱時に汚れ
ないし、噴射後直ちに固化するため「にじみ」もなく、
和紙から画用紙、はがきといったさまざまな用紙を前処
理等なしで用いることが出来る利点がある。しかしなが
ら、用いられるヘッドは、その特性上、印字していない
状態でも、常時インク溶融温度に加熱保持されているこ
とが多い。従って、水溶性インクを使用するインクジェ
ットプリントヘッドに比べ、大幅に高温での耐久性向上
を要求される。よって、有機系の接着剤はインクによる
腐食とともに熱サイクルにより劣化する問題がある。
【0004】また、低融点金属、つまり低融点のはんだ
で接合する方法は、特開昭62-70051号公報に開示されて
いる。更に、Au−Niローで接合する方法は、特開平2−
107450号公報に開示されている。しかしながら、低融
点はんだは有機接着剤と同様に、インクによる腐食と熱
サイクルによる劣化の問題がある。ロー材は、インク耐
蝕性及び熱サイクルに強いものの、450℃以上の高温
で接合するため、使用できる接合部材に制限がある。
【0005】一方、インクジェットプリントヘッドは、
微細な3次元のインク流路を形成するために、エッチン
グや電鋳などの技法を用いて微細な2次元パターンを形
成した薄板を積層して接合する必要が有り、用いる接着
剤、はんだまたはロー材も薄くし、インク流路部へのは
み出しを少なくすることが重要となる。
【0006】この場合、接合部への接着剤の塗布はスプ
レー、はんだ・ロー材の供給方法は接合部材にめっき、
あるいは蒸着・スパッタリングする方法を用いている。
この場合、形状により異なるが、接着剤の厚みは30μ
m以下、接合はんだ・ロー材の厚さは10μm以下であ
る。ただしその中で、印字特性に影響を与えるはみ出し
・リークを生じない膜厚の許容範囲は、例えば3±0.3
μmと狭い範囲に限定される。しかし、いずれにしても
接合時に流動性の大きい接着剤、はんだあるいはロー材
の挙動を完全に制御することは難しいので、インク流路
へのはみ出しが生じやすく、印字特性のバラツキの要因
となり、場合によっては目詰まりを生じインクが噴射し
ないこともある。はみ出しを完全に抑える方法として
は、Ni−Pを用いた拡散接合が検討されているが、接合
温度が700℃以上と高いので、使用できる部品に制限
がある。いずれにしてもこれらは、薄板の作製に加え、
高精度な接着剤のスプレー技術あるいは、はんだ・ロー
材の蒸着・スパッタリング技術が必要である。
【0007】また、ホットメルト型のインクを使用する
場合、インクジェットプリントヘッドはプリンタ使用中
に100〜150℃まで温度が上昇するので、接着剤は
熱により劣化しやすい。はんだはSnと下地めっきとの間
で化合物が成長しやすい。
【0008】また、はんだあるいはロー材で接合する場
合、母材である上記薄板とはんだあるいはロー材を密着
させるため、下地にめっきを必要とすることが多いの
で、接合加熱時に、溶融したはんだあるいはロー材と下
地めっきが反応し、脆い金属間化合物を生じたり、接合
部が融点に達する前に下地めっきとの反応によりはんだ
あるいはロー材の組成が変化するので、所定の接合温度
で溶融しないことや、はんだあるいはロー材の機械的特
性・耐蝕性の劣化などの問題がある。
【0009】さらに、めっきで接合を形成する場合、膜
中にガスを吸蔵するので、接合時にはんだまたはロー材
が溶融し固まる際、接合部にボイドが生じやすく、接合
強度の低下もしくはリークなどの原因となりやすい。
【0010】これらの問題を解決する方法として、イン
ク流路を構成する接合部材の接合面にAgまたはAu、Pt、
Pdのいずれかの接合層をめっき法で形成し、接合層の融
点未満で加熱・加圧して接合する方法がある。インク耐
蝕性及び耐熱性はもとより、インク流路へのはみ出しあ
るいははんだと下地めっきとの反応の問題もクリアでき
る。
【0011】この方法で残る問題点は、薄板と接合層の
作製の2工程が必要であり、コスト高となる点である。
接合層は、めっき、蒸着またはスパッタリングで作製す
るが、高精度な膜厚の均一性が要求される。しかし、め
っきは、複雑なインク流路を形成するプレートに対し、
めっき時の電流密度の集中により、エッジ部に厚くつい
てしまい、膜厚分布が悪い。蒸着及びスパッタリングは
真空装置を必要とするとともに膜の生成効率が約20%
と低く、上記のような比較的高価な接合層の場合、さら
にコスト高となる問題がある。
【0012】本発明の課題は、接合層を別に形成するこ
となく、薄板自体に接合層を兼ねさせ、従来の工程に対
し、簡便で、しかも、低温で接合でき、インク流路部の
接合層はみ出しを容易に制御でき、インク耐蝕性及び耐
熱性に優れた接合方法を得ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、インク流路を構成する薄板をAgまたはA
u、Pt、Pdのいずれかとし、薄板自体を接合層として、
薄板の融点未満、望ましくはインクジェットプリントヘ
ッド構成材の耐熱温度以下で加熱・加圧して接合するも
のである。
【0014】上記薄板の作製は、予め剥離容易な基盤上
にインク流路形成用パターンを形成し、その上にAgまた
はAu、Pt、Pdのいずれかを、めっき法で形成し基盤から
剥離し、インク流路を形成する方法及び予め所定の厚さ
に圧延したAgまたはAu、Pt、Pdのいずれかを、プレス打
ち抜きで、インク流路形成用パターンを形成する方法で
ある。プレス打ち抜きに代えて放電加工でもよい。
【0015】上記薄板作製法の使い分けは、一例とし
て、めっき法で基盤から剥離する方式は、振動板の役目
をする薄い約20μm以下の薄板及びフィルタ穴として
約30μm以下の穴を有する薄板を作製する場合に適し
ている。また、インク吐出穴であるオリフィスを有する
薄板にも、スムーズな穴形状が得られるのでこの方式が
用いられやすい。
【0016】薄板の材料は、硬さがビッカース硬度(以
下Hvという)130以下と柔らかく、インク耐蝕性に優
れたAgまたはAu、Pt、Pdが良い。しかし、Hv20以下で
は固相接合といえどもインク流路へのはみ出しが発生す
る。
【0017】薄板の厚さは、成形可能な範囲であれば特
に制限はない。
【0018】上記薄板は、一層あるいは2層以上でも良
い。2層以上にすると、最表面に低温で拡散しやすい金
属を選択し、2層目に変形能の大きい金属を選択するこ
とにより、より強固な信頼性の高い接合ができる。同様
に最表面に最もインク耐蝕性に優れた金属を選択するの
も良い。
【0019】上記薄板は、接合前に200℃以上で熱処
理すると、ビッカース硬度が低くなるので変形能が大き
くなり、接合性が良くなる。また同時に本発明の特長の
一つであり、従来技術の単なる熱圧着と異なるのである
が、接合層中のCまたはSを除去し硬度を下げ、表面をク
リーニングする効果もある。
【0020】インクジェットプリントヘッドには、あら
かじめインクを噴出させるための圧電駆動素子等が取り
付けてある場合があり、接合部材の耐熱性によっては、
上記200℃以上の熱処理ができない場合がある。この
場合、表面をクリーニングする方法として、イオンまた
は中性原子で、炭素または硫黄及び有害物質を除去する
方法も良い。
【0021】上記インクジェットプリントヘッドの接合
方法は、図9で説明するが、上記接合部材の相対位置を
調整した後、加圧して密着させるとともに加熱し、上記
薄板同士を塑性変形及び拡散させ、接合する。
【0022】接合温度は、上記薄板の硬度がHv60以下
に低下する、70℃以上である。接合温度が高いほど薄
板の変形能は高くなるとともに拡散も進みやすいので接
合強度は高くなる。しかし前述したように接合部材の耐
熱温度以上には加熱できないし、インク流路への接合層
のはみ出しを防ぐための、固相接合であるので、上記薄
板の融点を越えてはならない。上記薄板を用いた場合、
200℃以下で接合しても、同等の接合温度のはんだ接
合より高い接合強度が得られる。
【0023】接合時の加圧力は、上記接合を塑性変形さ
せるため、上記薄板の耐力以上である。上記薄板の耐力
以下でも部分的な接合は可能であるが、インクジェット
プリントヘッドはリークを防ぐため全面接合する必要が
ある。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して説
明する。
【0025】〔実施例1〕本実施例では、インクジェッ
トプリントヘッドを構成するオリフィスプレート1(A
g、厚さ50μm)、リストリクタプレート2(Ag、厚
さ50μm)、ダイアフラムプレート3(Ag、厚さ20
μm)、フィルタプレート4(Ag、厚さ30μm)を接
合した。
【0026】図1にプレート形状を、図2に対向する接
合部の断面構成を示す。図2(a)は本接合部の断面構
成、(b)は比較のために、従来方法のステンレスのエ
ッチング品6の素材に、下地のNi7及びCu8のめっき
を行い、Agをスパッタリングしたものを示した。
【0027】本実施例では、オリフィスプレートとリス
トリクタプレートは、予めそれぞれのプレートの所定の
厚さに圧延したAg5板を、プレス打ち抜きでインク流路
形成用パターンを形成し、作製した。また、ダイアフラ
ムプレートとフィルタプレートは、予め剥離容易な基盤
上にインク流路形成用パターンを形成し、その上にAgを
めっき法で形成し、基盤から剥離し、インク流路形成プ
レートとし作製した。
【0028】これらのプレートは、大気中で200℃、
15分の熱処理を行い、Ag薄板の硬さをHv67に軟化
させるとともに、接合面の炭素や硫黄を除去した。
【0029】次に上記部品を接合面9を合わせて位置決
めし、オリフィスプレ−ト1、リストリクタプレ−ト
2、ダイアフラムプレ−ト3、フィルタプレート4の順
にスポット溶接で仮止する。これらを図示しない炉にセ
ットし、大気中で、上下の加熱加圧治具で200℃まで
加熱するとともに、6kgf/mm2の加圧力を負荷す
る。被接合物が200℃に達した後15分間保持して、
ヒ−タ電源をOFFしそのまま冷却する。
【0030】使用するホットメルト型インクの組成は一
例として、重量%で、ポリエステル55%、脂肪酸43
%そしてマゼンタ、シアン、イエロ−、ブラックの各色
ごとに染料がそれぞれ2%であり、融点は80℃であ
る。
【0031】上記ホットメルト型インク各色を用いて実
際に1年間印字試験を行い、分解調査を行った結果、リ
ーク・はみ出しのない均一な接合部が得られ、はんだ接
合やロー付けに見られるボイドもなく、またインクによ
る腐食の問題もないインクジェットプリントヘッドが作
製できることがわかった。
【0032】Agは有機接着剤・はんだに比べ、耐熱性及
び接合強度に優れている。またインク耐蝕性も、はんだ
の中で最も耐蝕性が高いAuーSnはんだと同等である。そ
して、ロー材やAu系のはんだに比べ、接合温度が通常7
0℃以上と低温で接合できるため、被接合物に与える熱
的ダメージが小さい。本実施例では接合層をAgとした
が、Au、Pt、Pdでも同様に接合できる。
【0033】表1に各種薄板の上記インクに対する耐蝕
性及びインクジェットプリントヘッドに取り付けられて
いる耐熱性の低い部品の一つである圧電駆動素子(PZ
T)の耐熱温度である250℃に対する接合温度を評価
して示す。
【0034】
【表1】
【0035】評価基準は、インク耐蝕性として、腐食速
度が1μm/年未満が〇、1μm/年以上を×とした。
接合温度は250℃未満で接合可能なものを〇、250
℃以上のものを×とした。その結果、本接合方法のAg、
Au、Pt、Pdは耐蝕性と接合温度の両方を満足できる
ことがわかった。
【0036】本実施例では、リストリクタプレートをプ
レス打ち抜きで作製したが、放電加工で作製した場合で
も、同様の結果であった。
【0037】〔実施例2〕本実施例の構成を図3に示
す。
【0038】実施例1と同様に、図1に示すインクジェ
ットプリントヘッドを構成するオリフィスプレート1
(厚さ50μm)、リストリクタプレート2(厚さ50
μm)、ダイアフラムプレート3(厚さ20μm)、フ
ィルタプレート4(厚さ25μm)を接合した。オリフ
ィスプレートとフィルタプレートは、Pt板10の表面
にAg5を5μm片側にクラッドする構成にした。Agをク
ラッドしたのは接合面で、つまりオリフィスプレートは
リストリクタプレートと相対する面のみ、フィルタプレ
ートはダイアフラムプレートと相対する面のみである。
一方、リストリクタプレートとダイアフラムプレート
は、Pt板の両面に5μmずつAgをクラッドした。ま
た、それぞれの薄板に、プレス打ち抜きで、インク流路
形成用パターンを形成した。
【0039】PtはAgに対し耐力が約45%と低いの
で、低い加圧力でも塑性変形し接合面を密着させる効果
がある。なおPtに比べ、Agの方が低温で拡散しやすい
ので、Agを接合面に配した方が、低温で接合した場合の
強度は高い。
【0040】次に実施例1と同様に上記部品を位置決め
し、オリフィスプレ−ト1、リストリクタプレ−ト2、
ダイアフラムプレ−ト3、フィルタプレート4の順にス
ポット溶接で仮止する。これらを図示しない炉にセット
し、大気中で、上下の加熱加圧治具で200℃まで加熱
するとともに、実施例1の50%の3kgf/mm22の
加圧力を負荷する。被接合物が200℃に達した後15
分間保持して、ヒ−タ電源をOFFしそのまま冷却す
る。
【0041】実施例1と同様のホットメルト型インクを
用いて実際に1年間印字試験を行い、分解調査を行った
結果、実施例1と同様にリーク・はみ出しのない均一な
接合部が得られ、はんだ接合やロー付けに見られるボイ
ドもなく、またインクによる腐食の問題もないインクジ
ェットプリントヘッドが作製できることがわかった。
【0042】〔実施例3〕Agで固相接合した場合と有機
接着剤及びAu−Snはんだで接合した場合の接合強度を比
較するため、試験片を用いてピール強度試験を行った。
【0043】ここでインクジェットプリントヘッドの寿
命は少なくとも3年以上が要求される。融点70℃以上
のホットメルト型インクを使用する場合、従来から一般
に使用されてきたエポキシ系の接着剤の結果から、熱膨
張、熱収縮及びインクを噴射するための圧電素子の駆動
に3年以上耐えるため、ピール強度目標値は200gf
/cm以上である。
【0044】上記ピール試験は、Agの試験片が厚さ50
μm、幅10mm、長さ50mmと、厚さ10μm、幅
10mm、長さ50mmのAg薄板を用い、Au−Snはんだ
及びエポキシ系接着剤用には厚さ50μm、幅10m
m、長さ50mmと、厚さ10μm、幅10mm、長さ
50mmのステンレス薄板を用い、これらを接合して強
度を測定した。
【0045】Ag接合の試験片は、実施例1と同様に図示
しない炉にセットし、大気中で、上下の加熱加圧治具で
200℃まで加熱するとともに、10kgf/mm2
加圧力を負荷する。被接合物が200℃に達した後15
分間保持して、ヒ−タ電源をOFFしそのまま冷却して
作製した。
【0046】はんだの試験片は、ステンレスに直接Auま
たはSnめっきを施すことが困難なため、まず下地めっき
としてNiめっきを1μm施し、次にAuめっきを2.7μ
m施した。そしてAuめっき上にSnめっきを2.3μm施
した。Au、Snそれぞれ上記の厚さに設定することによ
り、AuとSnのみではAu−25wt%Snとなるが、実際に
は接合加熱時に下地のNiとSnが反応し、Ni−Snの化合物
を形成するので、接合後のはんだ組成は約Au−20wt
%Snとなる。
【0047】接合はこれを図示しない真空炉にセット
し、10ー2Torr台の真空度で、上下の加熱加圧治
具で320℃まで加熱するとともに、0.1kgf/m
2の加圧力を負荷する。被接合物が320℃に達した
後3分間保持して、ヒ−タ電源をOFFしそのまま冷却
する。
【0048】有機接着剤の試験片は、ステンレスに直接
エポキシ系の接着剤をスプレーで20μmの厚さに塗布
した。
【0049】接合はこれを図示しない炉にセットし、大
気中で、上下の加熱加圧治具で150℃まで加熱すると
ともに、0.05kgf/mm2の加圧力を負荷する。被
接合物が150℃に達した後8時間保持して、ヒ−タ電
源をOFFしそのまま冷却する。
【0050】ピール試験の結果は、図4から明らかなと
おり、本接合を用いたAgの試験片のピール強度が400
〜450gf/cmと目標値をクリアできるのに対し、A
u−Snはんだ品は100〜150gf/cm、有機接着剤
品は50〜75gf/cmと目標値を下回る。
【0051】〔実施例4〕接合する薄板の硬さの影響を
調べるため、Agの硬さと接合面積率・インク流路開口率
の関係及び熱処理温度と硬さの関係を求め、それぞれ図
4、5に示した。接合条件及び試験片は実施例3と同じ
である。
【0052】図5に示すように、加圧力が10kgf/
mm2の場合、Hv130以下で接合面積率は100%
となる。一方、加圧力が6kgf/mm2の場合、Hv7
0以下で接合面積率は100%となる。また加圧力が6
kgf/mm2の場合でも、Hv15を下回るとインク流
路開口率は所定の80%を下回ってしまう。従って、適
当な硬さの範囲はHv15〜130である。
【0053】ここで接合面積率を高めるには、硬さが低
い方が良いので、硬さを接合前に低くするための熱処理
温度を、Hv130の硬さのAgを用いて検討した。
【0054】図6に示すように処理温度が高くなるとと
もに室温に戻した後の硬さが低くなり、200℃熱処理
後で処理前の1/2程度となる。200℃以下では硬さ
の低下率は小さくなる。従って、接合前に200℃以上
で、ただし接合するAg及び接合する部材の融点以下で、
熱処理するのが良い。
【0055】〔実施例5〕薄板表面の有害物を除去する
ために、大気中での熱処理とAr中性原子の照射を行っ
た。図7に大気中で15分間熱処理した時のAg表面の炭
素濃度をオージェで分析した結果と接合強度の関係を示
す。接合条件及び試験片は実施例3と同じである。
【0056】その結果、熱処理温度200℃以上で表面
のC濃度は大きく下がり、処理前の93at%から35
at%以下となる。それに伴い、接合強度も高くなり、
実施例3と同様の目標値の200gf/cm以上を満足
できる。従って熱処理温度は200℃以上が良いことが
わかった。ただし上限は、接合層及び接合部材の融点以
下である。この熱処理条件は、実施例4で示しためっき
膜の硬さを下げるための熱処理と同じ条件である。
【0057】低温で表面の有害物を除去する方法とし
て、中性原子またはイオンを照射することも良い。
【0058】本実施例では、一例としてAr中性原子でAg
めっき膜表面をクリーニングしたときの表面のC濃度を
オージェで分析した結果を示す。Ar中性原子によるスパ
ッタリング現象を利用して、加速電圧1KVで3分間、
表面をクリーニングした。その結果を図8に示す。熱処
理と同様に、表面のC濃度が93at%から20at%
に下げることができた。
【0059】〔実施例6〕AgまたはAu、Pt、Pdの薄
板による固相接合の概念及び接合条件について説明す
る。図9に基本概念を示す。
【0060】第一過程の(a)は接合部材を位置決めし
た状態、第二過程の(b)は加熱・加圧して塑性変形で
接合層を全面接触させた状態、第三過程の(c)で加熱
保持による拡散で接合線が消失して、接合を終了する。
このときの接合条件である接合温度と接合加圧力の適正
な範囲を求めた結果を次に説明する。試験片は実施例3
と同じである。
【0061】図10にAgの接合温度と接合面積率の関係
を、図11にAgの加熱温度と硬さの関係を示す。加圧力
は10kgf/mm2で、大気中で加熱した。その結
果、接合温度70℃以上で接合面積率は100%とな
る。また、70℃以上で硬さも急激に低下していること
がわかる。従って、接合温度は70℃以上で接合層及び
接合部材の融点以下が適当である。
【0062】図12に加圧力と接合面積率の関係を求め
た結果を示す。接合温度は70℃である。その結果、6
kgf/mm2で接合面積率は100%となる。これは
6kgf/mm2でAgの耐力を越えて塑性変形を生じ、
接合界面が密着するためである。従って、適当な加圧力
は接合する薄板の耐力以上で接合部材の耐力以下であ
る。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、接合層を別に形成する
ことなく、薄板自体に接合層を兼ねさせるので、従来の
薄板と接合層の作製の2工程に対し、1工程で簡便な接
合方法が得られる。しかも、はんだ接合またはロー付け
に比べ低温で接合できるので接合部材の材料選択の幅が
大きくなる。
【0064】また、本接合は固相接合で、接合部の融点
は、接合層の融点であり、有機接着剤及びはんだの融点
より高いので、インクジェットプリントヘッドの使用時
の加熱温度も必要に応じて上げることができる。そし
て、接合時に接合層は溶融しないので、インク流路への
接合層のはみ出しの制御も容易である。
【0065】これらのAgまたはAu、Pt、Pdは、イン
ク耐蝕性にも優れている。
【0066】従来、本接合に用いるようなはんだめっき
膜は、めっき時にガスを内包するので、はんだ接合また
はロー付けの場合、接合時の溶融・凝固時にボイドが生
じやすく、接合強度低下あるいはリークの原因となりや
すい。しかし本接合方法は、固相接合で溶融させないの
でボイドは発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリントヘッ
ドを構成する薄板の形状の一例を示す斜視図。
【図2】本発明を適用したインクジェットプリントヘッ
ドを構成する薄板構成の一例を示す断面図。
【図3】本発明を適用したインクジェットプリントヘッ
ドを構成する薄板で2層構造の場合の断面図。
【図4】試験片の接合強度をはんだ及び有機接着剤の接
合強度との関係を示すグラフ。
【図5】Ag薄板の硬さと接合面積率及びインク流路開口
率の関係を示したグラフ。
【図6】Ag薄板の接合前の熱処理温度と硬さの関係を示
したグラフ。
【図7】Ag薄板の熱処理温度と表面の炭素濃度及び接合
強度の関係を示したグラフ。
【図8】Ag薄板のAr中性原子照射前後の表面の炭素濃度
を比較したグラフ。
【図9】本接合法の接合界面の基本的概念図。
【図10】接合温度と接合面積率の関係を示したグラ
フ。
【図11】Ag薄板の加熱温度とその温度での硬さの関係
を示したグラフ。
【図12】接合温度と接合面積率の関係を示したグラ
フ。
【符号の説明】
1・・・オリフィスプレート、2・・・リストリクタプ
レート、3・・・ダイアフラムプレート、4・・・フィ
ルタプレート、5・・・Pt、6・・・Ag

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄板積層構造プリントヘッドを有するイン
    クジェットプリンタにおいて、インク流路を構成する薄
    板自体を接合層として、AgまたはAu、Pt、Pdのいずれか
    を、単独または2層以上に積層して形成し、接合するこ
    とを特徴とするインクジェットプリントヘッドの作製方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のインクジェットプリントヘ
    ッドの作製方法において、 予め剥離容易な基盤上にインク流路形成用パターンを形
    成し、その上にAgまたはAu、Pt、Pdのいずれかをめっき
    法で形成し、これを基盤から剥離してインク流路形成プ
    レートとし、各種形状のプレートを複数作製した後、こ
    れらを積層し、加熱加圧し一体化して形成することを特
    徴とするインクジェットプリントヘッドの作製方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のインクジェットプリントヘ
    ッドの作製方法において、 予め所定の厚さに圧延したAgまたはAu、Pt、Pdのいずれ
    かをプレス打ち抜きしてインク流路形成用パターンを形
    成し、各種形状のプレートを複数作製した後、これらを
    積層し、加熱加圧し一体化して形成することを特徴とす
    るインクジェットプリントヘッドの作製方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載のインクジェットプリントヘ
    ッドの作製方法において、 予め所定の厚さに圧延したAgまたはAu、Pt、Pdのいずれ
    かを放電加工するによってインク流路形成用パターンを
    形成し、各種形状のプレートを複数作製した後、これら
    を積層し、加熱加圧し一体化して形成することを特徴と
    するインクジェットプリントヘッドの作製方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載のインクジェットプリントヘ
    ッドの作製方法において、 上記薄板の硬度がビッカース硬度20〜130であるこ
    とを特徴とするインクジェットプリントヘッドの作製方
    法。
  6. 【請求項6】請求項5記載のインクジェットプリントヘ
    ッドの作製方法において、 上記薄板はその接合前に熱処理を行うことにより、ビッ
    カース硬度15〜70としたものであることを特徴とす
    るインクジェットプリントヘッドの作製方法。
  7. 【請求項7】請求項1記載のインクジェットプリントヘ
    ッドの作製方法において、 上記薄板は、接合前に表面上に存在する炭素または硫黄
    を、酸素を含む雰囲気中で熱処理して除去することを特
    徴とするインクジェットプリントヘッドの作製方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載のインクジェットプリントヘ
    ッドの作製方法において、 上記熱処理温度は200℃以上で、かつ上記薄板の融点
    未満であることを特徴とするインクジェットプリントヘ
    ッドの作製方法。
  9. 【請求項9】請求項1記載のインクジェットプリントヘ
    ッドの作製方法において、 上記薄板は、接合前に表面上に存在する炭素、硫黄及び
    その他の有害物質をイオンまたは中性原子で除去するこ
    とを特徴とするインクジェットプリントヘッドの作製方
    法。
  10. 【請求項10】請求項1記載のインクジェットプリント
    ヘッドの作製方法において、 上記薄板の接合方法は、上記薄板の相対位置を調整した
    後、加圧して密着させるとともに加熱し、上記薄板の相
    対する接合面同士を塑性変形・拡散させ、接合すること
    を特徴とするインクジェットプリントヘッドの作製方
    法。
  11. 【請求項11】請求項10記載のインクジェットプリン
    トヘッドの作製方法において、 上記接合温度は、70℃以上で、かつ上記薄板と上記接
    合部材の融点未満であることを特徴とするインクジェッ
    トプリントヘッドの作製方法。
  12. 【請求項12】請求項1記載のインクジェットプリント
    ヘッドの作製方法において、 上記薄板の接合時の加圧力は、上記薄板の耐力以上であ
    ることを特徴とするインクジェットプリントヘッドの作
    製方法。
  13. 【請求項13】請求項1記載のインクジェットプリント
    ヘッドの作製方法において、 上記インクジェットプリントヘッドに使用するインク
    は、融点が70℃以上で、上記薄板の融点以下のホット
    メルト型であることを特徴とするインクジェットプリン
    トヘッドの作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006181796A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Brother Ind Ltd インクジェットヘッドの製造方法

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