JPH11285677A - 有機廃棄物の処理方法及び装置 - Google Patents

有機廃棄物の処理方法及び装置

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JPH11285677A
JPH11285677A JP10091222A JP9122298A JPH11285677A JP H11285677 A JPH11285677 A JP H11285677A JP 10091222 A JP10091222 A JP 10091222A JP 9122298 A JP9122298 A JP 9122298A JP H11285677 A JPH11285677 A JP H11285677A
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JP
Japan
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water
subcritical
supercritical
reactor
organic
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JP10091222A
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English (en)
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Eiji Kikuchi
英二 菊池
Jiro Kuniya
治郎 国谷
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、亜臨界及び超臨界状態の水によって
有機物を分解する際の反応容器材料,配管材料などの応
力腐食割れを防止するとともに難分解性の有機廃棄物の
処理方法及びその装置を提供することにある。 【解決手段】本発明は、超臨界水又は亜臨界水で有機廃
棄物を完全に加水分解する方法及びその装置において、
前記水の溶存酸素量を200ppb 以下とすること、不活
性ガスを注入、水素,ヒドラジン等の還元剤を注入する
とともに、反応器の中に水蒸気改質触媒を設けて有機廃
棄物を処理する方法及びその装置にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な亜臨界及び
超臨界状態の水によって有機物を分解する方法及び装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機性の廃水,廃棄物等の処理に
は、生物学的処理や焼却,熱分解などの方法がとられて
きた。有機性の廃水及び廃棄物には、下水汚泥,廃プラ
スチック,シュレッダーダスト,都市ごみ混合廃棄物な
どがある。これらの廃水廃棄物処理法の問題点として
は、生物学的処理法には処理時間と分解性能に限界があ
り、焼却処理法にはダイオキシンなどの有害物質発生の
問題などの課題が残されている。一方、ダイオキシン,
フロンガス及びフロン含有物質のような難分解性有機化
合物については、特開平2−274269 号公開に示されるよ
うに、超臨界水酸化法により極めて短時間でフロンを9
9%分解でき、次世代の処理技術として注目されてい
る。ところが、これまでに数多くのパイロット試験が行
われたにもかかわらず、超臨界水酸化分解技術を採用し
た商用プラントはほとんど稼働してないのが現状であ
る。これは、主に超臨界水酸化環境の過酷な温度圧力条
件と塩酸,弗酸等による腐食に対して実用に耐える材料
の選定や最適なシステム環境の選定が見出されてこなか
ったためと考えられる。すなわち、超臨界水では塩素に
よる応力腐食割れが発生することが知られており、この
ような腐食損傷挙動は亜臨界水の場合も同様の傾向が得
られている。
【0003】高温高圧純水に対する耐応力腐食割れ性特
開平3−113397 号公報に溶存酸素濃度を51〜100pp
b にすることが知られている。
【0004】超臨界水酸化分解技術を適用した廃棄物処
理プラント用材料には、Inconel 625やHastelloy C276
のようにニッケル基合金やコバルト基合金などが使用さ
れている。該プラントには、有機物の分解生成物である
塩化水素や弗化水素が多量存在することから、高濃度の
アニオン,低pHなどによる応力腐食割れの発生が懸念
されている。
【0005】応力腐食割れは、冶金的,力学的諸因子
に、環境の腐食作用が重畳したときに発生する。冶金的
因子としては材料の鋭敏化,粒界偏析,粒界析出などが
考えられる。環境の腐食作用としては、有機物の分解に
よる塩酸や弗酸の生成,各種アニオンの濃縮などが挙げ
られる。また、有機物分解促進剤の添加による高濃度の
酸化剤や水酸化アルカリ溶液の添加があり、局所的にハ
ロゲンイオンが数%〜数十%にも到達すると予想される
極めて厳しい腐食性環境に曝されるので、腐食は複雑で
あるため従来技術から予想することはむずかしい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これまで、有機性の廃
棄物を超臨界の状態で処理すると分解生成物である塩酸
などの発生によって反応容器や配管が損傷するという問
題があった。これは、主に超臨界水酸化環境の過酷な温
度圧力条件と塩酸,弗酸等による腐食に対して実用に耐
える金属材料の選定や最適なシステム環境の選定が見出
されてこなかったためと考えられる。
【0007】本発明の目的では、超臨界状態及び亜臨界
状態の高温高圧水中において優れた耐応力腐食割れ性を
有し、難分解性の有機廃棄物の処理方法及び装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、超臨界水又は
亜臨界水にて有機物を分解する方法において、前記水の
溶存酸素濃度を200ppb 以下好ましくは160ppm 以
下、より好ましくは130ppm 以下とし、水蒸気改質触
媒の存在のもとで有機物を分解することを特徴とする。
【0009】また、本発明は、超臨界水又は亜臨界水に
て有機物を分解する方法において、前記水に不活性ガス
を吹き込むことにより、前述のように水中の溶存酸素濃
度を低めることを特徴とする。
【0010】本発明は、超臨界水又は亜臨界水にて有機
物を水蒸気改質触媒の存在下で分解する方法であって、
前記水に還元剤を注入することにより同様に溶存酸素濃
度を低めることを特徴とする。
【0011】前述の還元剤として、有機物を含む水に水
素,ヒドラジン及びモルホリンの少なくとも1つを添加
することを特徴とする。
【0012】本発明は、金属製反応器内亜臨界水にて有
機物を水蒸気改質触媒の存在のもとで分解する方法であ
って、前記水に接する前記反応器の腐食電位を前記反応
器の応力腐食割れ発生電位より卑な電位に制御すること
を特徴とする。
【0013】本発明は、有機物を水蒸気改質触媒の存在
下で超臨界水にて分解した後、亜臨界水にて酸化させる
方法であって、前記超臨界水の溶存酸素濃度が200pp
b 未満であり、前記亜臨界水の溶存酸素濃度が200pp
b 以上であることを特徴とする。
【0014】本発明は、前述のいずれかに記載の方法に
よって有機物を超臨界水にて分解した後、亜臨界水にて
酸化させる方法であって、前記亜臨界水に酸化剤を添加
することを特徴とする。
【0015】本発明は、高圧ポンプによって有機物から
なる処理原料及び純水を供給する供給部、前記処理原料
と純水とをその超臨界又は亜臨界状態にて反応させ前記
処理原料を分解させる反応器、該分解した前記有機物を
冷却する冷却器及び好ましくは前記冷却した前記処理原
料を気体,液体又は固体に分離する分離器を備え、前記
供給部に不活性ガスの注入装置又は還元剤の注入装置を
有し、その反応器内に水蒸気改質触媒が設けられている
ことを特徴とする有機廃棄物の処理装置にある。
【0016】本発明は、前記供給部に前記純水中の溶存
酸素量を測定する溶存酸素濃度計が設けられている有機
廃棄物の処理装置にある。
【0017】本発明は、高圧ポンプによって有機物から
なる処理原料及び純水を供給する供給部、前記処理原料
と純水とをその超臨界又は亜臨界状態にて反応させ前記
処理原料を分解させる反応器、該分解した有機物に酸化
剤を加え前記水の亜臨界状態で酸化させる反応器、該酸
化した有機物を冷却する冷却器及び好ましくは前記冷却
した前記処理原料を気体,液体又は固体に分離する分離
器を備え、前記供給部に不活性ガスの注入装置又は還元
剤の注入装置を有し、その反応器内に水蒸気改質触媒が
設けられていることを特徴とする有機廃棄物の処理装置
にある。
【0018】更に、本発明は、高圧ポンプによって有機
物からなる処理原料及び純水を供給する供給部、前記処
理原料と純水とを該純水の亜臨界状態にて反応させ前記
処理原料を分解させる反応器、該分解した前記有機物を
冷却する冷却器及び前記反応器の電位を該反応器の応力
腐食割れ発生電位よりも卑な電位に制御する制御手段を
有し、その反応器内に水蒸気改質触媒が設けられている
ことを特徴とする有機廃棄物の処理装置にある。
【0019】本発明者らは前記課題を解決すべく超臨界
水中で最適なシステム環境やプラント材料の防食法につ
いて鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0020】本発明によれば、酸素を含まない超臨界状
態においてプラント材料の応力腐食割れによる損傷を防
止しながら有機物を低分子量の炭化水素に分解し、更に
触媒を用いて炭化水素を炭素ガスと水素に高分解率で分
解する。
【0021】本発明の方法を効果的に実施するために
は、有機性の廃水,廃棄物等と共に高温高圧の反応器内
に供給する。このとき超臨界状態にある反応器に供給さ
れる水は、予め不活性ガスでバブリングして所定の溶存
酸素濃度に調整したものである。ここで、有機物の加水
分解により主として炭酸ガスや低級のアルコールに分解
される。
【0022】有機物の分解を促進するためには、有機物
の分解促進剤が添加される。このような分解促進剤には
水酸化アルカリが用いられる。加水分解生成物であるハ
ロゲン化水素は生成と同時に水酸化アルカリにより中和
される。一方、有機物の分解を促進するため加えられた
上記添加剤は、金属材料の応力腐食割れを加速する恐れ
があり、このためにかえって、構造物の腐食を促進し易
いという相反する面があったが、本発明を実施すれば分
解促進剤が存在しても材料に対して悪影響をもたらすこ
とはないと言える。
【0023】本発明では、有機性の廃水,廃棄物などを
分解するため、酸素を含まない超臨界水中に一定時間浸
漬する処理が実施される。この場合、無酸素の超臨界水
中に曝すのは金属材料の腐食損傷を防止するためであ
り、超臨界水を触媒のなかを通過させるのはメラミン樹
脂などの難分解性有機物を完全に短時間で酸化分解する
ためである。その結果、無酸素の分解反応は熱や加水分
解によって炭素鎖を切るために有機物は完全に分解せ
ず、比較的低分子量の炭化水素類が得られる。更に、比
較的低分子量の炭化水素類を触媒作用によって、廃液中
の有機物を全て炭酸ガスと水に分解する。このとき、反
応容器,配管などを構成している金属材料の腐食損傷を
防止するため、超臨界水中の溶存酸素濃度を所定の濃度
範囲に制御するものである。
【0024】次に、有機物の酸化分解機構は以下のよう
になる。
【0025】酸素を含まない超臨界水中で有機物の炭素
鎖を切り、比較的低分子量の炭化水素が得られる。低分
子量の炭化水素は、触媒を用いて最終的に炭酸ガスと水
素に分解される。メタノール分解の一例を示すと、次式
のようになる。有機物を酸化分解するための触媒には遷
移金属触媒や銅系触媒が用いられる。これらの触媒には
Cu/SiO2,Pd/ZnO,Pd/SiO2,Pd/
Al23,Pd/MnO2,Pd/MgO,Pd/Cr2
3,Pd/TiO2,Pd/ZrO2, Pd/Hf
2,PdLa23,Ni/SiO2,Pt/SiO2
どが用いられる。金属の含有量は白金系では0.2〜3
重量%、特に、0.5〜1.5重量%が好ましく、Cu,
Ni等の遷移金属では1〜20重量%、特に5〜15重
量%が好ましい。
【0026】CH3OH→HCHO→CO→CO2+H2 以上述べたように、本発明は、有機物を酸化分解しつつ
廃棄物プラント材料の損傷も防止することができる。
【0027】また、本発明は、純水中の酸化剤の存在と
割れとの関係について検討した結果、酸化剤濃度を低減
すると応力腐食割れの発生が抑制されることを明らかに
したものであり、この結果を踏まえて不活性ガスのバブ
リング,水素やヒドラジンなどの添加により系内の酸化
剤を除去するようにしたものである。これにより、本発
明は、まず超臨界状態で且つ無酸素状態で有機物を分解
し、更に亜臨界状態で且つ有酸素状態で分解されなかっ
た化学種を酸化分解しつつ廃棄物プラント材料の損傷も
防止するものである。
【0028】本発明は、塩酸や弗酸などを主成分とする
超臨界水環境及び亜臨界水環境に金属部材が接している
場合、その金属部材の腐食電位を応力腐食割れが発生し
なくなる電位より卑な電位に維持するため、系統内の酸
化剤を除去するか、又は金属部材の腐食電位を特定な電
位に制御するようにしたものである。
【0029】すなわち、超臨界水または亜臨界水に接し
た金属の腐食電位が、応力腐食割れが発生しなくなる電
位よりも卑側に保持し、しかも金属表面に耐応力腐食割
れ性に優れた酸化皮膜を形成させるものである。ここ
で、金属部材はオーステナイト系ステンレス鋼などのF
e基合金,ニッケル基合金,コバルト基合金,チタン合
金,ジルカロイ等の合金からなる耐食合金であって、こ
れらは環境要因と材料要因と応力要因が重畳すれば応力
腐食割れを生ずる金属である。
【0030】オーステナイト系ステンレス鋼の応力腐食
割れに及ぼす酸化剤の有無について検討した結果、酸化
剤の存在は応力腐食割れを発生させるが、逆に酸化剤を
除去すれば応力腐食割れを抑制することがわかった。こ
のように、酸化剤の存在が応力腐食割れを発生させるの
は不働態皮膜の破壊過程と修復過程での新生面の活性溶
解挙動に依存するものと考えられる。一方、オーステナ
イト系ステンレス鋼の歪電極試験結果及び腐食電位測定
結果から、酸化剤濃度の増加はオーステナイト系ステン
レス鋼の腐食電位を上昇させ、(1)式に示すように新
生面のアノード溶解を著しく促進させることが明らかと
なった。新生面の生成は、高応力による不働態皮膜の機
械的な破壊とハロゲンイオンによる不働態皮膜の化学的
な破壊に起因するものである。不働態皮膜が破壊される
と、き裂先端では物質移動が制限される結果、(1)式
のように多量の水素イオンが遊離し、電気的中性条件を
満足させるため沖合いからハロゲンイオンが拡散するた
めpHの低下をもたらし、き裂先端での腐食を自触媒的
に加速する。また、応力の増加は不働態皮膜を破壊して
新生面の活性溶解を促進する。
【0031】
【化1】
【0032】本発明では、まず超臨界水環境で使用され
る材料の応力腐食割れを防止するには酸化剤の濃度を低
減することである。すなわち、酸化剤を除去すれば新生
面のアノード溶解を抑制し、結果的にpH低下やアニオ
ン濃縮が抑制されることになる。
【0033】酸化剤を除去するためには反応容器内に導
入する水を不活性ガスでバブリングすることにより水に
溶存している酸素を除去するか、系統水に水素やヒドラ
ジンなどを添加して反応容器内の酸素を水素と反応させ
て水に変化させればよい。低減すべき酸化剤の濃度は、
反応容器内に導入する水中の溶存酸素濃度を200ppb
以下であることが必要である。酸化剤を除去しても大き
な酸化力が存在する場合には、更に注入する水素量やヒ
ドラジン量を増やすことも得策である。また、アルカリ
を添加すれば有機物の分解を促進するので、適当量のア
ルカリの添加が有効であるが、アルカリを添加しなくて
も本発明の効果を発揮させることができる。
【0034】次に、亜臨界水環境で使用される材料は強
酸化性環境に曝されることになるので電気防食を施すよ
うにしたものである。電気防食による電位は応力腐食割
れが発生しなくなる電位より卑な電位に保持することで
あり、応力腐食割れの電位依存性を詳細に検討した結
果、好ましくは−800mVSHE〜−200mVSHEに設
定するものである。また、不必要に電位を卑側に保持す
ることは水素割れの発生を促進することになるので望ま
しくない。このような電気防食は、亜臨界水環境の酸化
力や金属材料の耐食性を判断して実施するか否かを決定
されるものであり、必ず実施しなければならないという
ものではない。また、有機物の分解生成物であるハロゲ
ン化水素は水素割れを促進する可能性も予想されるの
で、アルカリを添加して中和するのが望ましい。
【0035】以上述べたように、上記電位域で金属表面
に耐応力腐食割れ性に優れた酸化皮膜が形成され、この
ような電位域に金属部材の腐食電位を保持することによ
り、応力腐食割れを防止することができる。
【0036】本発明における有機物としては、例えばポ
リエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ塩化
ビニルなどの熱可塑性樹脂,ポリウレタン,メラミン,P
ETなどの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
【0037】本発明の方法を効果的に実施するために
は、反応器に供給される水は、予め不活性ガスでバブリ
ングするか、水素やヒドラジン等を添加したものであ
る。あるいは、これらの物質を反応容器内に直接注入す
るようにしたものである。ここで、超臨界状態の場合は
有機物の加水分解により主として炭酸ガスや低級のアル
コールに分解される。また、亜臨界状態にある反応器に
供給される水は、予め酸素ガスやオゾンガスでバブリン
グするか、これらの物質や過酸化水素を反応容器内に直
接注入するようにしたものである。この場合、系統内に
酸化剤が存在するので、応力腐食割れの発生を防止する
ため反応容器及び配管を構成している金属部材の腐食電
位を所定の電位に保持するようにしたものである。保持
電位は、オーステナイト系ステンレス鋼に代表されるF
e基合金やインコネル600,ハステロイなどのNi基
合金などの材料によって多少異なるが、−800mV
SHE〜−200mVSHE の範囲に集約される。
【0038】有機物の分解を促進するためには、有機物
の分解促進剤が添加される。このような分解促進剤には
水酸化アルカリが用いられる。加水分解生成物であるハ
ロゲン化水素は生成と同時に水酸化アルカリにより中和
される。一方、有機物の分解を促進するため加えられた
上記添加剤は、金属材料の応力腐食割れを加速する恐れ
があり、このためにかえって、構造物の腐食を促進し易
いという相反する面があったが、本発明を実施すれば分
解促進剤が存在しても材料に対して悪影響をもたらすこ
とはないと言える。
【0039】上記のように構成された本発明では、有機
性の廃水,廃棄物などを分解するため、まず酸素を含ま
ない超臨界水中に一定時間浸漬する処理が実施される。
この場合、無酸素の環境条件に曝すのは金属材料の腐食
損傷を防止するためであり、超臨界水に曝すのはメラミ
ン樹脂などの有機物を完全に短時間で分解するためであ
る。その結果、無酸素の分解反応は熱や加水分解によっ
て炭素鎖を切るために有機物は完全に分解せず、比較的
低分子量の炭化水素類が得られる。更に、超臨界水中に
曝された有機物を含む廃液中に酸素を供給したものを亜
臨界状態にして一定時間浸漬する。こうすると、廃液中
の有機物は全て炭酸ガスと水に分解される。このとき、
反応容器,配管などを構成している金属材料の腐食損傷
を防止するため、金属材料の腐食電位を応力腐食割れが
生じない電位に保持するものである。
【0040】本発明に係る反応器には、管型又は槽型反
応器が用いられ、これらに用いられる金属部材にはオー
ステナイト系ステンレス鋼(C:0.15%以下,S
i: 1.00%以下(但し、SUSXM15J1は3.00%〜
5.00%),Mn:10.00%以下,P:0.20%
以下,S:0.030%以下,Ni:3.00%〜17.
00%,Cr:16.00%〜28.00%,Mo:1.
00%〜6.00%,Cu:1.00%〜4.00%,
N:0.10%〜0.40%),フェライト系ステンレス
鋼(C:0.12%以下,Si:1.00%以下,Mn:
1.25%以下,P: 0.040%以下,S:0.03
0%以下(但し、SUS430鋼は0.15%以上),Cr:1
1.00%〜32.00%,Mo:0.75%〜2.50
%,N:0.015%以下),マルテンサイト系ステンレ
ス鋼(C:1.20%以下,Si:1.00%以下,M
n:1.25%以下,P:0.060%以下,S:0.0
30%以下 (但し、SUS416,SUS420F及びSUS440Fは
0.15%以上),Ni:0.6%以下(但し、SUS431は
1.25%〜2.50%),Cr:11.50%〜18.0
0%,Mo:0.75%以下),ニッケル基合金(C:
0.04%〜0.18%,Cr:1.00%〜23%,C
o:29%以下,Mo:28%以下,W:4%以下,N
b+Ta:5%以下,Ti:3.3%以下,Al:4.5
%以下)のいずれか、又はこれらの組合せの材料が用い
られ、電位を−800〜−200mVSHE の範囲の卑な
電位に制御することが好ましい。
【0041】物質の状態は、固体,液体及び気体の3つ
の相に分けられる。
【0042】図1の相ダイアグラムは、純水に対する3
相の間の関係を示している。曲線AB,AC,ADは単
一相ごとの境界を示している。これらの曲線上において
は各相は平衡状態で存在していることから、これらの曲
線は「共存線」として知られているものである。曲線A
Cは液体と気体との間の平衡曲線であり、曲線ADは固
定と液体との間の平衡曲線である。
【0043】図1の点Aは、3つの相が平衡状態で共存
する三重点として知られている。蒸気圧曲線の最終点で
ある点Cは、気体と液体との区別がなくなる気体−液体
臨界点として知られている。この臨界点における温度及
び圧力は各々臨界温度(T)および臨界圧力(P
)として知られている。臨界温度TC 以上の温度で
は、圧力をいくら高くしても気体は液化しない。図1の
斜線部分は超臨界流体領域であり、この領域内にある物
質は(臨界温度TC 以上の温度に加熱され、臨界圧力P
C 以上の圧力に加圧されている物質)は超臨界流体と呼
ばれる。
【0044】超臨界状態においては、物質は部分的には
気体として、また部分的には液体として行動する。水が
超臨界状態にあると、水はその水素結合特性を失いやす
くなり、水の誘電率も急激に小さくなることがあり、ま
た、ベンゼンなどの炭化水素と混和しやすくなる。
【0045】本発明は超臨界状態にある水、または超臨
界状態に近い状態亜臨界状態にある水を用いて、有機性
の廃水,廃棄物を処理するものである。
【0046】超臨界状態は純水では374℃,218気
圧であるが、処理温度として400〜600℃が好まし
い。亜臨界状態での処理温度として200〜350℃が
好ましい。
【0047】本発明は、プラスチックを反応器内で前述
の超臨界水を含む高温熱水と接触,反応せしめ、ガス化
するものである。
【0048】この場合、反応器内に予め充填される水の
充填率は反応器内の圧力の大きさに直接影響し、かつ、
得られるガス化率に関係し、目的に応じ適宜選択しうる
が、通常、1容量%以上90容量%以下、好ましくは5
〜40容量%の範囲で適宜選択することができる。
【0049】また、反応温度としては200℃以上、好
ましくは250ないし450℃とする。本発明の方法は
ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ塩
化ビニルなどの熱可塑性樹脂,ポリエチレンテレフタレ
ート,ポリウレタン,メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂
など、ほとんど全てのプラスチックに適用することがで
きる。
【0050】本発明の方法は反応器内に予め、反応触媒
(反応助剤)を添加してもよい。この場合の反応触媒の
例としては、NaOHなどのアルカリ,金属イオン(N
iイオン,Feイオン),SDBS(アルキルベンゼン
スルホン酸ナトリウム)などの界面活性剤,メチルアル
コール,エチルアルコールなどアルコール類、その他固
体触媒などを挙げることができる。なお、反応器として
ステンレス鋼製など、反応触媒としての金属イオン源を
含むものを用いてもよい。
【0051】用いられる水としては、純水のほか、上述
のように必要に応じて添加物、例えば触媒を含むもので
あってもよく、また、一度用いられた水を再度利用する
こともできるし、むしろ水を再度利用することによりガ
ス化に好ましい場合もある。これは一度反応に使用した
水に本発明の方法によるガス化に有用な成分(反応助
剤)が含まれることによるものである。
【0052】本発明は、ゴムを主原料として製造された
タイヤ・ホース等の加硫ゴム製品を再資源化するため、
硫黄あるいはパーオキサイドによって加硫されたゴム
に、前述の純水、好ましくは1N以上の塩基性水溶液を
添加し、超臨界域で分解し、加硫ゴムを油化するもので
ある。
【0053】本発明は、前述と同様に超臨界又は亜臨界
水によってフロン(含有物質)を分解するものである。
【0054】本発明におけるフロンとしては、例えば、
CCl2F(R−11),CCl2F−CClF2(R−11
3),CCl22(R−12),CClF2−CClF2(R
−114),CHClF2(R−22),CClF2(R−1
3)等が挙げられる。
【0055】温度としては、例えば380℃以上、圧力
は水の臨界圧力以上の圧力、例えば300atm 以上であ
る。フロンの供給量は好ましくは水に対してモル比で1
/100以下が望ましい。フロンが水素を含まないクロ
ロフルオロメタンの場合には、この反応器においてほと
んどが加水分解され、二酸化炭素,水及びハロゲン化水
素となる。生成物のハロゲン化水素はアルカリで中和し
無害化する。
【0056】分解速度を速めさらに完全に分解すると共
に、無害化工程を簡略化するためには、反応器に供給す
る高温高圧水にフロン分解促進剤を添加する。フロン分
解促進剤としては、水酸化アルカリが好ましく用いられ
るが、この場合、加水分解生成物であるハロゲン化水素
は生成と同時にアルカリにより中和され、反応混合物の
腐食性が低下する。生じた塩はアルカリに比べて超臨界
水中への溶解度は小さく、圧力又は温度をわずかに変え
ることにより、固体となって析出するのでサイクロン等
の分離器で分離することができる。フロン分解促進剤と
しては、その他、鉄,鋼,亜鉛,銅,ジュラルミン,
錫,錫/鉛合金,ガラス等の無機物が用いられる。
【0057】
【発明の実施の形態】実施例1 本実施例では、まず超臨界水環境に耐え得る材料及び最
適なシステム環境を明らかにするため、400℃,0.
1kmol/m3HCl溶液中におけるAlloy600の応力腐食
割れに及ぼす溶存酸素濃度の影響を定荷重試験法により
検討した。
【0058】図2は、所定の溶存酸素濃度に調整した
0.1kmol/m3HCl溶液中におけるAlloy600(C:
0.06%,Si:0.28%,Mn:0.26%,P:
0.007%,S:0.001%,Ni:75.77%,
Cr:15.31%,Fe:7.52%,Cu:0.02
%)の応力腐食割れ破断時間に及ぼす溶存酸素濃度の影
響を定荷重応力型腐食割れ試験結果を示す。試験温度は
400℃とした。ここで、溶存酸素濃度は2〜8000
ppb の範囲とした。実験には、予め素材に焼き鈍し処理
(1030℃×65分→水冷)を施した後、更に時効処
理(620℃×24h→炉冷+500℃×24h→炉
冷)を施したものを用いた。図の縦軸は応力腐食割れに
より試験片が破断する時間を、横軸は0.1kmol/m3
Cl溶液中に含まれている溶存酸素濃度を示した。図中
の×印はその時間で破断したこと、○印はその時間まで
破断しなかったことを示す。溶存酸素濃度200ppb〜
8000ppbの範囲では応力腐食割れの発生がみられた
が、溶存酸素濃度2〜200ppb 未満の範囲では応力腐
食割れの発生は認められなかった。よって、本実施例に
よれば、特定の溶存酸素濃度範囲すなわち200ppb 未
満好ましくは160ppb 以下、より好ましくは130pp
b 以下の溶存酸素濃度に保持すれば、応力腐食割れの発
生を防止することができることが明らかとなった。
【0059】実施例2 次に、亜臨界水環境に耐え得る材料と最適なシステム環
境を明らかにするため、288℃,0.1kmol/m3HC
l溶液中におけるSUS304鋼(Cr:18.52%,Ni:
8.72%,C:0.07%,Si:0.70%,Mn:
1.56%,P:0.023%,S:0.003%)の応
力腐食割れに及ぼす溶存酸素濃度の影響を応力腐食割れ
試験法により検討した。
【0060】図3は、所定の溶存酸素濃度に調整した2
88℃,0.1kmol/m3HCl溶液中におけるSUS304鋼
の応力腐食割れ破断時間に及ぼす溶存酸素濃度の影響を
定荷重応力型腐食割れ試験結果を示す。ここで、溶存酸
素濃度は2〜8000ppb の範囲とした。実験には、予
め素材に溶体化処理(1050℃×30分→水冷)を施
した後、更に時効処理(750℃×100min →炉冷+
500℃×24h→炉冷)を施したものを用いた。溶存
酸素濃度200ppb 〜8000ppb の範囲では応力腐食
割れの発生がみられたが、溶存酸素濃度2〜200ppb
未満の範囲では応力腐食割れの発生は認められなかっ
た。したがって、本実施例によれば、特定の溶存酸素濃
度範囲すなわち前述と同様に200ppb 未満の溶存酸素
濃度に保持すれば、応力腐食割れの発生を防止すること
ができることがわかった。このように、本実施例によれ
ば、応力腐食割れを防止するための溶存酸素濃度は材料
や環境条件によらずほぼ同一の溶存酸素濃度範囲にある
ことが明らかとなった。
【0061】実施例3 次に、脱酸剤添加の一例として、Alloy600の応力腐食割
れに及ぼすヒドラジンの影響について定荷重試験法によ
り検討した。
【0062】図4は、所定の溶存酸素濃度に調整した
0.1kmol/m3HCl溶液中におけるAlloy600(JIS
規格)の応力腐食割れ破断時間に及ぼすヒドラジン添加
量の影響を定荷重試験法により検討した結果を示す。試
験温度は400℃とした。ここで、ヒドラジンの添加量
は試験水中に含まれる全溶存酸素量に対するヒドラジン
添加量をモル比で表している。供試材の熱処理条件は、
焼き鈍し処理(1030℃×65分→水冷)及び時効処
理(620℃×24h→炉冷+500℃×24h→炉
冷)を施したものである。全溶存酸素量に対するヒドラ
ジン添加量が0.4以下では応力腐食割れの発生がみら
れたが、ヒドラジン/溶存酸素のモル比が0.5〜1.5
の範囲では応力腐食割れの発生は認められなかった。し
たがって、本実施例によれば、全溶存酸素量に対するヒ
ドラジン添加量が0.5 倍以上に保持すれば、応力腐食
割れの発生を防止することができることが明確となっ
た。
【0063】実施例4 次に、水素注入量と応力腐食割れ感受性との関係の一例
として、Alloy600の応力腐食割れに及ぼす水素の影響に
ついて定荷重試験法により検討した。
【0064】図5は、所定の溶存酸素濃度に調整した
0.1kmol/m3HCl溶液中におけるAlloy600(JIS
規格)の応力腐食割れ破断時間に及ぼす水素注入量の影
響を定荷重試験法により検討した結果を示す。試験温度
は400℃とした。ここで、水素注入量は試験水中に含
まれる全溶存酸素量に対する水素注入量をモル比で表し
ている。供試材の熱処理条件は、焼き鈍し処理(103
0℃×65分→水冷)及び時効処理(620℃×24h
→炉冷+500℃×24h→炉冷)を施したものであ
る。全溶存酸素量に対する水素添加量が1.8 倍以下で
は応力腐食割れの発生がみられたが、溶存水素と溶存酸
素のモル比が2.0〜4.0の範囲では応力腐食割れの発
生は認められなかった。したがって、本実施例によれ
ば、全溶存酸素量に対する溶存水素の添加量が2.0 倍
以上に保持すれば、応力腐食割れの発生を防止すること
ができることが明確となった。
【0065】実施例5 次に、Fe基合金の一例として、SUS304L 鋼(Cr:1
8.51%,Ni:9.71%,C:0.014%,S
i:0.56%,Mn:0.99%,P:0.031%,S:
0.003%)及びSUS316L 鋼(Cr:17.75%,N
i:12.37%,C:0.006%,Si:0.47
%,Mn:0.82%,P:0.018%,S:0.00
03%)の応力腐食割れの電位依存性を検討した。
【0066】図6は、288℃,0.1kmol/m3Na2
SO4溶液中におけるSUS304L 鋼及びSUS316L 鋼の割れ
形態と電位との関係を示す。SUS304L鋼及びSUS316L鋼の
いずれの場合も−800〜−200mVSHE の範囲では
応力腐食割れの発生は認められなかった。したがって、
本実施例によれば、亜臨界水に対して、応力腐食割れを
防止するための電位域は−800〜−200mVSHE
範囲であることが明らかとなった。
【0067】実施例6 本発明方法を廃棄物処理プラントに応用した場合の有機
物の分解について検討した実施例について説明する。
【0068】図7は、廃棄物処理装置の一例を示す系統
図である。本装置は、まず臨界温度及び臨界圧力を超え
る温度・圧力(超臨界)条件にある高温高圧水中におい
て且つ無酸素の状態にして有機物を分解し、更に亜臨界
状態にある高温高圧水中において有酸素の状態にして酸
化分解するものである。
【0069】本実施例の廃棄物処理プラントは以下の構
成を有するものである。本装置は、無酸素の状態で且つ
臨界温度及び臨界圧力を超える温度・圧力(超臨界)条
件にある高温高圧水中において有機物を触媒を設けた反
応管内に通過させて酸化分解するものである。
【0070】廃棄物スラリータンク1は反応管に導入す
るため、廃棄物を破砕して液状化させたプラスチックを
入れるタンク、超臨界用高圧ポンプ2は廃棄物スラリー
を反応管に高圧注入するためのポンプ、高圧配管3は高
圧の廃棄物スラリーを閉じ込めるための配管、超臨界水
用反応管4は超臨界水中でプラスチックを分解するため
の反応管、超臨界用保圧弁5は一定の高圧を維持するた
めの装置、亜臨界水用反応管6は亜臨界水中でプラスチ
ックを分解するための反応管、冷却器7は反応管を通過
した高温の気体や液体を室温まで下げるための冷却器、
亜臨界用保圧弁8は一定の高圧を維持するための装置、
過酸化水素タンク9はプラスチックの加水分解生成物と
酸素を反応させるための酸化剤、超臨界用高圧ポンプ1
0は過酸化水素を反応管に高圧注入するためのポンプ、
水酸化ナトリウム溶液タンク11は強酸性を呈する加水
分解生成物を中和するための水酸化ナトリウム溶液を保
管するためのタンク、中和槽12は強酸性を呈する加水
分解生成物を中和するための反応槽、低圧ポンプ13は
無害化した加水分解生成物を放出するためのポンプ、低
圧配管14は無害化した加水分解生成物を閉じ込めるた
めの配管、窒素ボンベ15は廃棄物スラリー中の溶存酸
素濃度を低減するためのバブリング用ガスボンベ、エア
ーポンプ16はバブリングガスを強制循環するためのポ
ンプ、溶存酸素計17は廃棄物スラリーに含まれている
溶存酸素濃度を測定するセンサー、水流ポンプ18は溶
存酸素濃度を計測するための一定流量のポンプである。
【0071】実験は、本実施例のプラントを用いて、溶
存酸素計により所定の濃度(溶存酸素濃度50ppb )ま
でに低減されたことを確認した後、所定の温度まで昇温
し、ポリ塩化ビニルの分解試験を行い、その分解率を測
定した。内容積20ccの超臨界水用反応管4に水とポリ
塩化ビニルを注入し、400℃で反応させた後、高圧注
入した過酸化水素と超臨界水用反応管4を通過した液を
亜臨界水用反応管内に導入して350℃で反応させ、冷
却器7を通過した液をサンプリングして塩素イオン濃度
を分析して、充填したポリ塩化ビニルの塩素イオンへの
分解率を求めた。その結果を表1に示す。本実験に用い
た各種触媒の組成は、重量で8%Cu−SiO2,13
%Ni−SiO2,0.7%Pd−ZnO,0.6%Pd
−SiO2,0.8%Pd−Al23,0.9%Pd−Zr
2,0.7%pd−La23である。
【0072】
【表1】
【0073】本実施例から明らかなように、ポリ塩化ビ
ニルはほぼ完全に分解できることが分かった。
【0074】本発明方法は廃棄物処理プラント構造材料
の応力腐食割れの防止や有機物の分解にも有効である。
【0075】また、本装置はTiGrade12 製の高温高
圧配管を用いて通算2000時間まで運転したが、応力
腐食割れ等のトラブル発生は認められなかった。
【0076】実施例7 本実施例では、実施例6に示す装置及び水蒸気改質触媒
として前述のPd/Al23を用いて超臨界域での加硫
ゴムの処理を行った。
【0077】溶媒種:水、好ましくは1〜5Nの塩基性
水溶液(一般的にはNaOH) 反応温度:400〜500℃ 反応時間:15〜60分 試料ゴム濃度:10〜70% 充填率:10〜40% 加硫ゴムの油化の実施例について説明する。
【0078】EPDM 100重量部に対して、ジキシ
ルジスルフィド 3重量部,酸化亜鉛 5重量部,硫黄
2重量部,促進剤DM 2重量部よりなる加硫ゴム
を、裁断もしくは粉砕し、硫黄吸着剤としてZnOを添
加した上、1N−NaOH水溶液中に加え、試料ゴム重
量百分率を10〜70%と変化させ(充填率は25%と
一定)、温度420℃迄昇温速度40℃/分で昇温し、
30分間分解・油化を行い、試料ゴム重量百分率の油収
率に及ぼす影響を求めた。なお、その際、誘導式加熱炉
・小型オートクレーブ等を使った、また、反応時間・試
料ゴム重量百分率・充填率・油収率はそれぞれ次のよう
に定義される。
【0079】試料ゴム重量百分率=(ゴム重量/ゴム重
量及び溶媒重量の和)×100 充填率=(ゴム体積及び溶媒体積の和/高圧容器内容積)
×100 油収率=(生成油重量/ゴム重量)×100 また、充填率を10〜40%と変化させ(試料ゴム重量
百分率は30%と一定にし)た以外、上記と同じ条件で
分解・油化した時の充填率と油収率との関係を求めた。
【0080】その他、それぞれ反応温度を350〜45
0℃,反応時間を5〜30分,NaOH濃度を0〜5Nと変
化させた時の油収率及び粘着重量への影響を調べた。
(なお、粘着重量は、油状物をガラス管に入れ、その中
にガラス棒を深さ1cmまで浸漬した後引き上げ、粘着し
た油状物重量を測定し、これを粘着重量とした。この重
量を指標とし、油状物の相対的粘性を評価した。)生成
油の主成分は、パラフィン系炭化水素であり、全体の5
0〜60重量%を占めていることがわかった。また、主
にα位に二重結合をもつオレフィン系炭化水素,アルコ
ールおよび環状化合物なども含まれていた。パラフィン
系炭化水素,オレフィン系炭化水素ともに、炭素数15
〜25のものが主成分であった。
【0081】本実施例においても本装置を通算2000
時間運転したが、構成する耐熱合金の応力腐食割れの発
生はなかった。
【0082】実施例8 内容積15.5cc の反応管に水とトリクロロトリフルオ
ロエタン(R−113)を充填し、実施例6に示す装置及
びPd/SiO2 触媒を用い、超臨界水用反応管4中で
400℃において40分反応させた後、冷水で十分に冷
却し内容液中の塩素及びふっ素イオンの量を分析して、
充填したフロン中のハロゲンの各々のイオンへの分解率
を求めた。その実験結果を後記表中のNo.1,2に示
す。これらの結果から水の量を増やして圧力を高めるほ
ど分解率が高くなることが明らかになった。
【0083】更に、同様に水とトリクロロフルオロメタ
ン(R−11)を充填し、同じ温度で分解反応を行わせ
た結果を後記表2中のNo.3及び4に示す。これらの結
果から圧力を高めるほど分解率が増大することが明らか
になった。特にRun Na:B−3の圧力360atm
の結果から判断すれば、圧力をもう少し高めることによ
りほぼ完全に分解できることが分かった。
【0084】本実施例においても本装置を通算2000
時間運転したが、構成する耐熱合金の応力腐食割れの発
生はなかった。
【0085】
【表2】
【0086】実施例9 本実施例では、同様に実施例6に示す装置及びCu/S
iO2 触媒を用いて、ポリエチレン,ポリプロピレン及
びポリスチレンのガス化実験を行った。
【0087】ポリエチレン,ポリプロピレンおよびポリ
スチレンのそれぞれについて、ガス発生量は反応温度の
上昇とともに著しく増加した。特にポリエチレンでは超
臨界状態で著しいガスの発生量が見られた。
【0088】また、ポリエチレンからの発生ガス組成と
反応温度との関係、ポリプロピレンからの発生ガス組成
と反応温度との関係、ポリスチレンからの発生ガス組成
と反応温度との関係を調らべた。ポリエチレンでは、3
00℃まではH2 ガスが殆どであり、残りはCO2 であ
った。しかし反応温度が300℃以上では炭化水素ガス
が増加しCO2 は減少した。また、ポリプロピレンから
の発生ガスは365℃から415℃にかけてH2 ガスが
増加し、CO2 は減少した。炭化水素ガスは常に50%
以上存在し、殆ど変化しなかった。また、ポリスチレン
からの発生ガスは365℃から415℃の範囲では、炭
化水素ガス以外の全てのガスの割合が温度の上昇ととも
に減少しており、415℃では炭化水素ガスがほぼ10
0%となり、ポリエチレン,ポリプロピレンと比較して
CH4 の割合が大きく、H2 の割合は小さかった。
【0089】本実施例においても本装置を通算2000
時間運転したが、構成する耐熱合金の応力腐食割れの発
生はなかった。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、以下に記載されるよう
な効果を奏する。
【0091】(1)本発明を実施することにより廃棄物
処理プラントの破裂や塩の析出等の問題もなく、廃棄物
処理プラントの安全性及び信頼性の向上に著しく貢献す
ることができる。
【0092】(2)超臨界水環境及び亜臨界水環境にあ
って、耐食合金からなる金属部材の腐食電位を、金属部
材に応力腐食割れが発生しなくなる卑な電位に保持され
るので、応力腐食割れを防止しつつ有機物の加水分解及
び酸化分解を効果的に実施することができる。
【0093】また、本方法及び本装置をフロンガス,ダ
イオキシン,PCB,フェノール,セルローズ,ゴム,
VXガスなどの分解などに適用しても上記の効果が得ら
れる。
【0094】本発明方法を各種有機物分解処理プラント
に適用した場合には、プラント内機器の安全性と寿命が
向上し、かつ、プラントにおける不慮の事故を防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】物質の温度圧力線図。
【図2】超臨界水中でのAlloy600の他各種合金の応力腐
食割れ破断時間と溶存酸素濃度の関係を示す図。
【図3】亜臨界水中でのSUS304鋼の応力腐食割れ破断時
間と溶存酸素濃度の関係を示す図。
【図4】超臨界水中でのAlloy600の応力腐食割れ破断時
間とN24/DO2 モル比の関係を示す図。
【図5】超臨界水中でのAlloy600の応力腐食割れ破断時
間とDH2/DO2モル比の関係を示す図。
【図6】亜臨界水中でのSUS304L鋼及びSUS316L鋼の応力
腐食割れ破面率と保持電位の関係を示す図。
【図7】本発明の廃棄物処理装置の全体構成図。
【符号の説明】
1…廃棄物スラリータンク、2…超臨界用高圧ポンプ、
3…高圧配管、4…超臨界水用反応管、5…超臨界用保
圧弁、6…亜臨界水用反応管、7…冷却器、8…亜臨界
用保圧弁、9…過酸化水素タンク、10…超臨界用高圧
ポンプ、11…水酸化ナトリウム溶液タンク、12…中
和槽、13…低圧ポンプ、14…低圧配管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23F 13/00 C23F 15/00 15/00 B09B 3/00 ZAB

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超臨界水又は亜臨界水にて有機物を分解す
    る方法において、前記水の溶存酸素濃度が200ppb 以
    下及び水蒸気改質触媒存在のもとで前記有機物を分解す
    ることを特徴とする有機廃棄物の処理方法。
  2. 【請求項2】超臨界水又は亜臨界水にて有機物を分解す
    る方法において、前記水に不活性ガスを吹き込むことを
    特徴とする有機廃棄物の処理方法。
  3. 【請求項3】超臨界水又は亜臨界水にて有機物を分解す
    る方法において、前記水に還元剤を注入することを特徴
    とする有機廃棄物の処理方法。
  4. 【請求項4】超臨界水又は亜臨界水にて有機物を分解す
    る方法において、前記水に水素,ヒドラジン及びモルホ
    リンの少なくとも1つを添加することを特徴とする有機
    廃棄物の処理方法。
  5. 【請求項5】金属製反応器内亜臨界水にて有機物を分解
    する方法において、前記水に接する前記反応器の腐食電
    位を前記反応器の応力腐食割れ発生電位より卑な電位に
    制御するとともに、水蒸気改質触媒の存在のもとで前記
    有機物を分解することを特徴とする有機廃棄物の処理方
    法。
  6. 【請求項6】有機物を水蒸気改質触媒の存在のもとで超
    臨界水にて分解した後、亜臨界水にて酸化させる方法で
    あって、前記超臨界水の溶存酸素濃度が200ppb 未満
    であり、前記亜臨界水の溶存酸素濃度が200ppb 以上
    であることを特徴とする有機廃棄物の処理方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の方法によ
    って有機物を超臨界水にて分解した後、亜臨界水にて酸
    化させる方法であって、前記亜臨界水に酸化剤を添加す
    ることを特徴とする有機廃棄物の処理方法。
  8. 【請求項8】高圧ポンプによって有機物からなる処理原
    料及び純水を供給する供給部、前記処理原料と純水とを
    該純水の超臨界又は亜臨界状態にて反応させ前記処理原
    料を分解させる反応器、該分解した前記有機物を冷却す
    る冷却器及び前記供給部に不活性ガスの注入装置又は還
    元剤の注入装置を有し、前記反応器内に水蒸気改質触媒
    が設けられていることを特徴とする有機廃棄物の処理装
    置。
  9. 【請求項9】請求項8において、前記供給部に前記純水
    中の溶存酸素量を測定する溶存酸素濃度計が設けられて
    いる有機廃棄物の処理装置。
  10. 【請求項10】高圧ポンプによって有機物からなる処理
    原料及び純水を供給する供給部、前記処理原料と純水と
    を該純水の超臨界又は亜臨界状態にて反応させ前記処理
    原料を分解させる反応器、該分解した有機物に酸化剤を
    加え前記純水の亜臨界状態で酸化させる反応器、該酸化
    した有機物を冷却する冷却器及び前記供給部に不活性ガ
    スの注入装置又は還元剤の注入装置を有し、前記反応器
    内に水蒸気改質触媒が設けられていることを特徴とする
    有機廃棄物の処理装置。
  11. 【請求項11】高圧ポンプによって有機物からなる処理
    原料及び純水を供給する供給部、前記処理原料と純水と
    を該純水の亜臨界状態にて反応させ前記処理原料を分解
    させる反応器、該分解した前記有機物を冷却する冷却器
    及び前記反応器の電位を該反応器の応力腐食割れ発生電
    位よりも卑な電位に制御する制御手段を有し、前記反応
    器内に水蒸気改質触媒が設けられていることを特徴とす
    る有機廃棄物の処理装置。
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