JPH11285332A - ベータセルリン遺伝子の発現不全動物 - Google Patents

ベータセルリン遺伝子の発現不全動物

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JPH11285332A
JPH11285332A JP10065852A JP6585298A JPH11285332A JP H11285332 A JPH11285332 A JP H11285332A JP 10065852 A JP10065852 A JP 10065852A JP 6585298 A JP6585298 A JP 6585298A JP H11285332 A JPH11285332 A JP H11285332A
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JP
Japan
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gene
btc
animal
cells
betacellulin
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JP10065852A
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English (en)
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Reiko Sasada
玲子 佐々田
Koichi Igarashi
貢一 五十嵐
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】BTC発現不全非ヒト動物およびBTC遺伝子
転移非ヒト動物の提供。 【解決手段】不活性化BTC遺伝子を有することを特徴
とする非ヒト動物胚幹細胞、不活性化BTC遺伝子を有
することを特徴とするトランスジェニック非ヒト動物、
外来性BTC遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだ
DNAを有するトランスジェニック非ヒト動物、BTC
の欠損に起因する疾病に予防・治療薬のスクリーニング
方法、BTCプロモーター活性を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法および該スクリ
ーニング方法で得られる化合物またはその塩、および遺
伝治療用医薬に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不活性化ベータセ
ルリン遺伝子配列を有することを特徴とするトランスジ
ェニック非ヒト動物ならびに当該遺伝子配列を有するそ
の子孫、該遺伝子配列を有することを特徴とする非ヒト
動物胚幹細胞、外来性ベータセルリン遺伝子またはその
変異遺伝子を組み込んだDNAを有することを特徴とす
る非ヒト動物ならびに該DNAを有するその子孫、外来
性ベータセルリン遺伝子またはその変異遺伝子を含有
し、動物において発現しうるベクターを含有してなる遺
伝子治療用医薬、ベータセルリンの欠損に起因する疾病
の予防・治療薬のスクリーニング方法、ベータセルリン
プロモーター活性を促進または阻害する化合物またはそ
の塩のスクリーニング方法、該スクリーニング方法を用
いて得られるベータセルリンプロモーター活性を促進ま
たは阻害する化合物またはその塩などに関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子工学的技術の発展ならびに分子生
物学の知識の急激な蓄積に伴い、遺伝子を人為的に操作
し、さらに動物個体へ導入することが可能になり〔Gord
on, J.W.ら,プロシーディングス・オブ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A.),第77巻,7380-7384頁(198
0)〕、元来その生物に備わっていない外来性の遺伝形
質を人為的に付加、あるいは生物が持っている内在性の
遺伝形質の発現を抑制する方法も開発されるに至り、様
々な形質転換動物が作り出され、形質転換動物として報
告されている。このような形質転換動物は、遺伝子工学
等の技術によって単離されたクローン化された様々な遺
伝子の機能を明らかにする上で、これまで株化細胞や初
代培養細胞など体外培養細胞を用いていたため、得られ
る知見が限られていた遺伝子の機能解析について、個体
レベルでの研究が可能となる点で重要である。特に、ク
ローン化された遺伝子の生物体内での生理学的機能の解
析や遺伝子疾患のモデル系としてこの形質転換動物を利
用した実験や研究が盛んになってきている。
【0003】遺伝子導入動物は、動物またはこの動物の
先祖の胚芽ラインの中へ初期(通常、単細胞)発育段階
において導入された遺伝子を有している。例えば、
(1)ワグナー(Wagner)等〔プロシーデイングス オ
ブ ナショナル・アカデミー オブ サイエンス(Pro
c. Nat. Acad. Sc. U.S.A.,)第78巻、第5016頁、198
1〕およびスチュワート(Stewart)等〔1982、サイエン
ス(Science)、第217巻、第1046頁〕は、ヒトグロビン
遺伝子を含有する遺伝子導入マウスを、(2)コンスタ
ンチーニ(Constantini)等〔ネイチャー(Nature)第2
94巻、第92頁、1981〕およびレーシ(Lacy)等〔セル
(Cell)第34巻、第343頁、1983〕は、ウサギグロビン
遺伝子を含有する遺伝子導入マウスを、(3)マックナ
イト(McKnight)等〔セル(Cell)第34巻、第335頁、1
983〕はトランスフェリン遺伝子を含有する遺伝子導入
マウスを、(4)ブリンスター(Brinstar)等〔ネイチ
ャー(Nature)第306巻、第332頁、1983〕は、機能的に
導入された免疫グロブリン遺伝子を含有する遺伝子導入
マウスを、(5)パルミター(Palmiter)等〔ネイチャ
ー(Nature)第300巻、第6ll頁、1982〕は、重金属誘発
性メタロチオネインプロモーター配列に結合されたラッ
ト成長ホルモン遺伝子を含有する遺伝子導入マウスを、
(6)パルミター等〔セル(Cell)第29巻、第701頁、1
982〕は、メタロチオネインプロモーター配列に結合さ
れたチミジンキナーセ遺伝子を含有する遺伝子導入マウ
スを、(7)パルミター等〔サイエンス(Science)第2
22巻、第809頁、1983〕は、メタロチオネインプロモー
ター配列に融合されたヒト成長ホルモン遺伝子を含有す
る遺伝子導入マウスを記載している。
【0004】胚幹細胞(Embryonic stem cell:以下、
ES細胞と略記する)は、受精後の初期胚である胚盤胞
の内部に存在する内部細胞塊から樹立され、未分化状態
を保ったまま増殖、培養可能な細胞株である。この細胞
は生体のあらゆる種類の細胞に分化することができる多
分化能を有しており、正常初期胚に注入すると胚体の形
成に参加してキメラ動物を形成することができる〔Evan
s M. J. 及び KaufmanM. H., ネイチャー(Nature),第2
92巻 154頁 (1981)〕。この性質を利用して、様々な
遺伝子変異動物の作出が試みられてきた。その歴史は1
981年のEvans及びKaufmanによるES細胞の樹立に始
まり、BradleyらによるESキメラマウスの作製〔ネイ
チャー(Nature), 第309巻, 255頁 (1984)〕により本格
的な研究が開始された。Thomas及びCapecchiがES細胞
の遺伝子相同組換え〔セル(Cell),第51巻, 503頁 (19
87)〕に続いて、Kollerらのグループなど3組の研究グ
ループがES細胞形質のGermline Transmissionに次々
に成功し〔プロシーディングス・オブ・ナショナル・ア
カデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Na
tl. Acad. Sci. U.S.A.),第86巻,8927頁(1989)〕、
遺伝子欠損マウスの作製とこれを用いた研究が急速に進
展してきた。現在までに樹立が報告されているES細胞
としては、Evans及びKaufmanのEK細胞〔前記文献〕の
他に、DoetschmanのES−D3細胞〔ジャーナル・オブ
・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モ
ルフォロジー(J. Embryol.Exp. Molph.), 第87巻, 27
頁 (1981)〕、RobertsonのCCE細胞〔ネイチャー(Nat
ure), 第323巻, 445頁 (1986)〕、Ledermann及びBurki
のBL/6III細胞〔エクスペリメンタル・セル・リサ
ーチ(Exp. Cell Res.), 第197巻, 254頁〕等がある
が、これらの大部分が129系のマウスより樹立された
ものである。ES細胞は特定の遺伝子を修飾する遺伝子
ターゲッティング等において利用価値が非常に高いにも
かかわらず、その樹立や未分化状態を保ったままでの継
代維持が困難であるため利用が制限されているというの
が現状である。ES細胞を用いた動物疾患モデルの作製
を一般化するためには、絶えず良好なES細胞を樹立、
供給していく体制を確立することが望まれている。
【0005】このようなES細胞を用いて作出された遺
伝子発現不全動物としては、(1)Hooper等〔ネイチャ
ー(Nature), 第326巻, 292頁 (1987年)〕及びKnehn等
〔ネイチャー(Nature), 第326巻, 295頁 (1987年)〕の
自然突然変異ES細胞を用いたHPRT遺伝子欠損マウ
ス、(2)Donehower等〔ネイチャー(Nature), 第356
巻, 215頁 (1992年)〕の癌抑制遺伝子の一つであるp5
3を欠失したp53欠失マウス、(3)Zijlstra等〔ネ
イチャー(Nature), 第344巻, 742頁 (1990年)〕のβ2
ミクログロブリン遺伝子変異マウス、(4)免疫疾患モ
デルマウスの一つであるSinkai等〔セル(Cell), 第68
巻, 855頁 (1992年)〕のRAG−2(V(D)J recombi
nation activation gene)変異マウス、(5)Glimcher
等〔サイエンス(Science), 第253巻,1417頁(1991
年)〕及びCosgrove等〔セル(Cell),第66巻, 1051頁
(1991年)〕のMHC class II変異マウス、(6)発生
・発育関連疾患モデルマウスの一つとしてMacMahon等
〔セル(Cell),第62巻, 1073頁 (1990年)〕のint
−1遺伝子欠損マウス及び(7)Soriano等〔セル(Cel
l),第64巻, 693頁 (1991年)〕の大理石病様症状を呈す
るsrc欠損マウスがそれぞれ報告されている。
【0006】ベータセルリン(以下、BTCと略記する
場合がある)は、トランスジェニックマウス由来膵臓ベ
ータ腫瘍細胞が産生する蛋白性因子で、その全アミノ酸
配列がcDNAの解析から明らかにされている〔Shing
ら;サイエンス(Science),259:1604(1993), Sasa
daら;バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リ
サーチ・コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Re
s. Commun.),190:1173(1993)〕。BTCは、当初
マウス3T3細胞に対する増殖促進活性をもつ因子とし
て見いだされたが、その後、血管平滑筋細胞、網膜色素
上皮細胞に対しても増殖促進活性を有することが見いだ
された〔Shingら;サイエンス(Science),259:1604
(1993)〕。さらにBTCは、ラット未分化型膵臓癌由
来細胞株AR42Jを、インシュリンを産生するベータ
細胞に分化させることが報告された〔Mashimaら;ジャ
ーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション
(J. Clin. Invest.),97:1647(1996)〕。天然に存
在するヒトBTCは極めて微量であり、また、これをヒ
トの組織から得る試みは種々の制約によって極めて困難
であった。しかし、遺伝子工学的手法を駆使して、高純
度のヒトBTCが多量に、かつ比較的安価に生産される
ようになった(特開平6−87894)。そして、BT
Cが、創傷、潰瘍や血管奇形の治療、あるいは糖尿病に
おいて認められるアテローム性動脈硬化症、糖尿病性網
膜症のような平滑筋細胞増殖に起因する病気の治療に使
用できる競合剤(例、抗体、偽ペプチド)の作成などに
用いられることが報告されている(特開平4−3528
00および特開平6−87894)。しかしながら、外
来性BTC遺伝子を導入した非ヒト動物やBTC遺伝子
の発現が不全な非ヒト動物に関する報告は未だ見当たら
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、BTC遺
伝子が不活性化された非ヒト動物胚幹細胞の作製に成功
すれば、BTC遺伝子発現不全非ヒト動物を作出するこ
とができる。そして、得られるBTC遺伝子発現不全非
ヒト動物は、BTCにより誘導され得る種々の生物活性
を欠失するため、BTCの生物活性の不活性化を原因と
する疾病のモデルとなり、これらの疾病の原因究明およ
び治療法の検討が可能となる。また、外来性BTC遺伝
子を組み込んだDNAを有するBTC遺伝子導入動物の
作製に成功すれば、正常BTC遺伝子導入動物において
は、BTCの機能の解明、ベータセルリン関連疾患の発
症機序の解明、治療方法の検討、正常BTC遺伝子高発
現細胞の供給などが可能になり、一方、変異BTC遺伝
子導入動物においては、BTC不全症の発症機序の解
明、治療方法の検討、変異BTC遺伝子高発現細胞の供
給などが可能になる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、BTC遺伝子発現不
全非ヒト動物ならびに外来性BTC遺伝子を組み込んだ
DNAを有するBTC遺伝子導入動物を作製することに
成功し、さらに研究を行なった結果、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明は、(1)不活性化ベータ
セルリン遺伝子配列を有することを特徴とするトランス
ジェニック非ヒト動物または当該遺伝子配列を有するそ
の子孫、(2)胚形成初期において導入された不活性化
ベータセルリン遺伝子配列を、生殖細胞または体細胞に
有する上記(1)記載の動物、(3)レポーター遺伝子
を導入することにより不活性化されたベータセルリン遺
伝子配列を有し、該レポーター遺伝子がベータセルリン
プロモーターの制御下で発現し得る上記(1)記載の動
物、(4)レポーター遺伝子が大腸菌由来β−ガラクト
シダーゼ遺伝子である上記(3)記載の動物、(5)不
活性化ベータセルリン遺伝子配列を有することを特徴と
する非ヒト動物胚幹細胞、(6)レポーター遺伝子を導
入することにより不活性化されたベータセルリン遺伝子
配列を有する上記(5)記載の胚幹細胞、(7)外来性
ベータセルリン遺伝子またはその変異遺伝子を組み込ん
だDNAを有することを特徴とする非ヒト動物または該
DNAを有するその子孫、(8)非ヒト動物が非ヒト哺
乳動物である上記(1)または上記(7)記載の動物ま
たは上記(5)記載の胚幹細胞、(9)非ヒト哺乳動物
がゲッ歯動物である上記(8)記載の動物または胚幹細
胞、(10)ゲッ歯動物がマウスである上記(9)記載
の動物または胚幹細胞、(11)上記(1)記載の動物
を用いることを特徴とする、ベータセルリンの欠損に起
因する疾病の予防・治療薬のスクリーニング方法、(1
2)上記(3)記載の動物に、試験化合物を投与し、レ
ポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とするベー
タセルリンプロモーター活性を促進または阻害する化合
物またはその塩のスクリーニング方法、(13)上記
(12)記載のスクリーニング方法を用いて得られるベ
ータセルリンプロモーター活性を促進または阻害する化
合物またはその塩、および(14)外来性ベータセルリ
ン遺伝子またはその変異遺伝子を含有し、動物において
発現しうるベクターを含有してなる遺伝子治療用医薬な
どに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】〔BTC遺伝子発現不全非ヒト動
物〕不活性化BTC遺伝子配列を有することを特徴とす
る非ヒト動物ES細胞とは、非ヒト動物ES細胞が有す
るBTC遺伝子に人為的に変異を加えることにより、遺
伝子の発現能を抑制するか、もしくは該遺伝子がコード
しているBTCの活性を実質的に喪失させることによ
り、遺伝子が実質的にBTCの発現能を有さない不活性
化された(以下、本発明のノックアウト遺伝子と称する
ことがある)非ヒト動物のES細胞をいう。本明細書
中、動物としては、いかなる動物でもよいが、哺乳動物
が好ましい。哺乳動物としては、例えば、ヒト、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。非
ヒト動物としては、BTC遺伝子を有するヒト以外の動
物ならば、いかなる動物でもよいが、非ヒト哺乳動物が
好ましい。非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、ブ
タ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、
ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。非ヒト
哺乳動物のなかでも、病体動物モデル系の作成の面から
個体発生および生物サイクルが比較的短く、また、繁殖
が容易なゲッ歯動物、とりわけマウス(例えば、純系と
して、C57BL/6系統,DBA2系統など、交雑系
として、B6C3F1系統,BDF1系統,B6D2F
1系統,BALB/c系統,ICR系統など(なかでも
好ましくは、純系として、C57BL/6系統など、交
雑系として、BDF1系統またはICR系統など))ま
たはラット(例えば、Wistar,SDなど)などが
特に好ましい。BTC遺伝子としては、動物から単離、
抽出されたゲノム由来のBTC遺伝子であってもよく、
あるいは、遺伝子工学的手法を用いてクローニングされ
たBTCcDNAであってもよい。具体的には、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列を有するヒト由来BT
C蛋白質の遺伝子としては、例えば、配列番号:3で表
わされる塩基配列を有する遺伝子〔特開平6−8789
4〕などが用いられ、配列番号:2で表わされるアミノ
酸配列を有するマウス由来BTC蛋白質の遺伝子として
は、例えば、配列番号:4で表わされる塩基配列を有す
る遺伝子〔シング(Shing)等;サイエンス(Scienc
e)、第259巻、第1604頁、1993〕などが用いられる。こ
れらの遺伝子は、自体公知の方法、例えば、特開平6−
87894、シング(Shing)等;サイエンス(Scienc
e)第259環、第1604頁、1993などに従って入手すること
ができる。
【0010】BTC遺伝子に人為的に変異を加える方法
としては、例えば、遺伝子工学的手法により該遺伝子配
列の一部又は全部の削除、他遺伝子を挿入または置換さ
せることによって行なうことができる。これらの変異に
より、例えば、コドンの読み取り枠をずらすか、プロモ
ーターあるいはエキソンの機能を破壊することにより本
発明のノックアウト遺伝子を作製することができる。不
活性化BTC遺伝子配列を有することを特徴とする非ヒ
ト動物胚幹細胞(以下、BTC遺伝子不活性化ES細胞
またはノックアウトES細胞と略記する)の具体例とし
ては、例えば、薬剤耐性遺伝子(例えば、ネオマイシン
耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子またはゼオシ
ン耐性遺伝子など、好ましくは、ネオマイシン耐性遺伝
子など)、あるいは、レポーター遺伝子(例えば、la
cZ(大腸菌β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat
(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺
伝子)、GUS(β−グルクロニダーゼ遺伝子)、ルシ
フェラーゼ遺伝子、エクオリン遺伝子、タウマリン遺伝
子、GFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子な
ど、好ましくは、lacZなど)等を挿入することによ
りエキソンの機能を破壊するか、あるいはエキソン間の
イントロン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列
(例えば、polyA付加シグナルなど)を挿入し、完全な
メッセンジャーRNAを合成できなくすることによっ
て、結果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配
列を有するDNA(以下、ターゲッティングベクターと
略記する)を作製する。レポーター遺伝子を挿入してエ
キソンの機能を破壊する場合、該レポーター遺伝子は、
BTCプロモーターの制御下で発現するように挿入する
ことが好ましい。上記「薬剤耐性遺伝子」とは、抗生物
質などの薬剤耐性に関与する遺伝子を示し、導入される
遺伝子が細胞において発現したか否かを選抜するマーカ
ーとして利用される。また、上記「レポーター遺伝子」
とは、遺伝子発現の指標になる遺伝子群のことを示し、
通常、発光反応や呈色反応を触媒する酵素の構造遺伝子
が利用されることが多く、遺伝的バックグラウンドが
ないもの、遺伝子発現を定量的に行える高感度の方法
があるもの、形質転換細胞への影響が少ないもの、
発現部位の局在性が示されるものなどが好ましく用いら
れる(植物細胞工学、第2巻、第721頁、1990)。また、
上記の「薬剤耐性遺伝子」なども同じ目的で使用される
が、「レポーター遺伝子」は、単に導入される遺伝子が
細胞において発現したかどうかだけではなく、どの組織
でいつ発現したかを調べることができ、しかも定量的に
発現量を精確に調べることができる点において異なるも
のである。さらに、遺伝子を破壊するように構築したD
NA配列を有するDNAを、例えば、相同組換え法によ
り該動物の染色体に導入し、得られたES細胞について
BTC遺伝子上あるいはその近傍のDNA配列をプロー
ブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいはタ
ーゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッティ
ングベクター作製に使用したBTC遺伝子以外の近傍領
域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により解析
し、本発明のノックアウトES細胞を選別することによ
り得ることができる。上記のターゲッティングベクター
としては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例、pB
R322,pBR325,pUC12,pUC13な
ど)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,p
TB5,pC194など)、酵母由来のプラスミド
(例、pSH19,pSH15など)、λファージなど
のバクテリオファージ、モロニー白血病ウイルスなどの
レトロウイルス、ワクシニアウイルスまたはアデノウイ
ルスベクター、バキュロウイルス、ウシ乳頭腫ウイル
ス、ヘルペスウイルス群からのウイルス、またはエプス
タイン・バー・ウイルスなどの動物ウイルスなどが用い
られる。
【0011】また、相同組換え法等によりBTC遺伝子
を不活性化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
EvansとKaufmanの方法に準じて新しく樹立したもので
もよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般
的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学
的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で
免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するな
どの目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL
/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善
したBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2との
1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。B
DF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫である
という利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持
つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマ
ウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバックク
ロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウス
に代えることが可能である点で有利に用い得る。また、
ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の
胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚(受精後
2.5日目頃の8細胞期胚が好ましい)を採卵し胚盤胞
まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚を
取得することができる。また、雌雄いずれのES細胞を
用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメ
ラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間
を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なう
ことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定方法としては、
例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝
子を増幅、検出する方法が、その1例として挙げること
ができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をす
るのに約106個の細胞数を要していたのに対して、1
コロニー程度のES細胞数(約50〜100個)で済む
ので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクション
を雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞
の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に
削減できる。
【0012】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5
%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養
するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプ
シン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシ
ン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%ト
リプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、
新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などが
とられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なう
が、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が
見受けられた場合は、その培養細胞は放棄することが望
まれる。ES細胞は、適当な条件により、高密度に至る
まで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮
遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種
々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M.
J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第2
92巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディン
グス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
ス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)
第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschman ら、ジャ
ーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリ
メンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、
本発明のES細胞を分化させて得られるBTC遺伝子発
現不全細胞は、インビトロにおけるBTCの細胞生物学
的検討において有用である。また、ES細胞を保存する
場合には、適当な凍結用培地(例えば、10%DMSO、
10%牛胎児血清を含むダルベッコ変法イーグル培地(D
MEM)などを用いて、約−80℃以下で凍結保存す
る。
【0013】本発明の不活性化BTC遺伝子配列を有す
ることを特徴とする非ヒト動物(以下、遺伝子発現不全
非ヒト動物と称す場合がある)とは、例えば、前記の不
活性化BTC遺伝子配列を有することを特徴とする非ヒ
ト動物胚幹細胞由来の細胞を用いて遺伝子工学的に作出
されたものであり、例えば、生殖細胞および体細胞に胚
形成初期に該不活性化BTC遺伝子配列を導入された非
ヒト動物である。該非ヒト動物としては、前記と同様の
ものが用いられる。BTC遺伝子をノックアウトさせる
には、前記のターゲッティングベクターを非ヒト動物
(例、マウスなど)ES細胞または非ヒト動物(例、マ
ウスなど)卵細胞に自体公知の方法(例えば、エレクト
ロポレーション法、マイクロインジェクション法、リン
酸カルシウム法、リポフェクション法、凝集法、パーテ
ィクルガン法、DEAE−デキストラン法など)によっ
て導入し(好ましい導入法としては、ES細胞に導入す
る場合にはエレクトロポレーション法、卵細胞に導入す
る場合にはマイクロインジェクション法などがあげられ
る)、ターゲッティングベクターの不活性化されたBT
C遺伝子配列を遺伝子相同組換えにより、非ヒト動物
(例、マウスなど)ES細胞または非ヒト動物(例、マ
ウスなど)卵細胞の染色体上のBTC遺伝子と入れ換え
ることにより行うことができる。BTC遺伝子がノック
アウトされた細胞は、BTC遺伝子上またはその近傍の
DNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーシ
ョン解析またはターゲッティングベクター上のDNA配
列と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来
のBTC遺伝子以外の近傍領域のDNA配列とをプライ
マーとしたPCR法による解析で判定することができ
る。非ヒト動物ES細胞を用いた場合は、遺伝子相同組
換えにより、BTC遺伝子が不活性化された細胞株をク
ローニングし、その細胞を胚形成の初期の適当な時期、
例えば、8細胞期の非ヒト動物胚または胚盤胞に注入し
(注入法)、またはBTC遺伝子が不活性化されたES
細胞塊を2個の8細胞期胚ではさみ込む(集合キメラ
法)ことにより作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒ
ト動物の子宮に移植する。作出された動物は正常なBT
C遺伝子座をもつ細胞と人為的に変異したBTC遺伝子
座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物であ
る。該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異したBTC遺
伝子座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を
交配することにより得られた個体群より、全ての組織が
人為的に変異を加えたBTC遺伝子座をもつ細胞で構成
された個体を、例えば、コートカラーの判定等により選
別することにより得られる。このようにして得られた個
体は、通常、BTCヘテロ発現不全個体であり、BTC
ヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔からB
TCホモ発現不全個体を得ることができる。卵細胞を使
用する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェ
クション法で遺伝子溶液を注入することによりターゲッ
ティングベクターを染色体内に導入したトランスジェニ
ック非ヒト動物を得ることができ、これらのトランスジ
ェニック非ヒト動物を比較することにより、遺伝子相同
組換えによりBTC遺伝子座に変異のあるものを選択す
ることにより得られる。BTC遺伝子発現不全非ヒト動
物は、該動物のmRNA量を公知方法を用いて測定して
間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と
区別することが可能である。
【0014】このようにしてBTC遺伝子がノックアウ
トされている個体は、交配により得られた動物個体も該
遺伝子がノックアウトされていることを確認して通常の
飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、生
殖系列の取得および保持についても常法に従って行うこ
とができる。すなわち、該不活化遺伝子配列の保有する
雌雄の動物を交配することにより、該不活化遺伝子配列
を相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得す
ることができる。得られたホモザイゴート動物は、母親
動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数になる
ような状態で飼育することにより効率的に得ることがで
きる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配することによ
り、該不活化遺伝子配列を有するホモザイゴートおよび
ヘテロザイゴート動物を繁殖継代することができる。こ
のようにして得られた該不活化遺伝子配列を有する動物
の子孫も本発明のBTC遺伝子発現不全非ヒト動物に含
まれる。このようにBTC遺伝子が不活性化された非ヒ
ト動物ES細胞は、BTC遺伝子発現不全非ヒト動物を
作出する上で、非常に有用である。また、BTC遺伝子
発現不全非動物は、BTCを欠損に起因する疾病、例え
ば、BTCにより誘導され得る種々の生物活性の欠失に
基づく、BTCの生物活性の不活性化に起因する疾病
(例えば、インシュリン依存性糖尿病、動脈硬化症、糖
尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿
病性網膜症、高コレステロール血症、高グリセリド血
症、高脂血症、糖尿病性膵臓機能障害、老人性膵臓機能
低下症、未分化型膵臓癌など)のモデルとなり得るの
で、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用で
ある。すなわち、本発明のBTC遺伝子発現不全非動物
は、該疾病の予防・治療薬のスクリーニングに用いるこ
とができる。
【0015】本発明のスクリーニング方法において用い
られるBTC遺伝子発現不全非ヒト動物としては、前記
と同様のものが挙げられる。試験化合物としては、例え
ば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化
合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織
抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物で
あってもよいし、公知の化合物であってもよい。具体的
には、本発明のBTC遺伝子発現不全非ヒト動物を、試
験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物
の各器官、組織、疾病の症状等の変化を指標として試験
化合物の予防・治療効果を試験することができる。試験
動物(BTC遺伝子発現不全非ヒト動物)を試験化合物
で処理する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射
などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質な
どにあわせて適宜選択することができる。また、試験化
合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質などにあ
わせて適宜選択することができる。例えば、糖尿病や糖
尿病関連疾病の予防・治療薬をスクリーニングする場
合、本発明のBTC遺伝子発現不全非動物に糖負荷処置
を行い、糖負荷処置前または処置後に試験化合物を投与
し、該動物の血糖値および体重変化などを経時的に測定
することによりスクリーニングすることができる。
【0016】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる予防・治療薬は、上記した試験化合物から選ばれた
化合物であり、BTC欠損によって引き起こされる疾患
の予防・治療効果を有するので、BTCの欠損によって
引き起こされる疾病に対する安全で低毒性な治療・予防
薬などの医薬として有用である。また、該化合物から誘
導される化合物も同様に用いることができる。該スクリ
ーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよ
く、該化合物の塩としては、例えば、無機塩基との塩、
有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性
または酸性アミノ酸との塩などの薬学的に許容し得る塩
などがあげられる。無機塩基との塩の好適な例として
は、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金
属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土
類金属塩、ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩な
どがあげられる。有機塩基との塩の好適な例としては、
例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジ
ン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘ
キシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジ
ベンジルエチレンジアミンなどとの塩あげられる。無機
酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素
酸、硫酸、リン酸などとの塩があげられる。有機酸との
塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン
酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン
酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼン
スルホン酸、安息香酸などとの塩があげられる。塩基性
アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニ
ン、リジン、オルチニンなどとの塩があげられ、酸性ア
ミノ酸との好適な例としては、例えばアスパラギン酸、
グルタミン酸などとの塩があげられる。
【0017】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩を上述の治療・予防薬として使
用する場合、常套手段に従って実施することができ、例
えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エ
リキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、
あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液と
の無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経
口的に使用できる。例えば、該化合物またはその塩を薬
学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防
腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製
薬実施に要求される単位用量形態で混和することによっ
て製造することができる。これら製剤における有効成分
量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにする
ものである。錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガントゴム、アラビアゴムのような結合剤、結
晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラ
チン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マ
グネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカ
リンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油または
チェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形
態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさら
に油脂のような液状担体を含有することができる。注射
のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活
性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油な
どを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従っ
て処方することができる。
【0018】注射用の水溶液としては、例えば、生理食
塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例え
ば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリ
ウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例え
ば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアル
コール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポ
リソルベート80TM、HCO−50など)などと併用し
てもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油な
どが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベ
ンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤
(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液な
ど)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物
(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投
与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)の糖尿
病患者においては、一日につき約0.1〜100mg、
好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.
0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その
1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法など
によっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常成人
(60kgとして)の糖尿病患者においては、一日につ
き約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜2
0mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を
静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の
場合も、60kg当たりに換算した量を投与することが
できる。
【0019】さらに、本発明は、本発明のBTC遺伝子
発現不全非ヒト動物に、試験化合物を投与し、レポータ
ー遺伝子の発現を検出することを特徴とするベータセル
リンプロモーター活性を促進または阻害する化合物また
はその塩のスクリーニング方法を提供する。本発明のス
クリーニング方法において用いられるBTC遺伝子発現
不全非ヒト動物としては、前記した本発明のBTC遺伝
子発現不全非ヒト動物の中でも、レポーター遺伝子を導
入することにより不活性化されたBTC遺伝子配列を有
し、該レポーター遺伝子がBTCプロモーター(BTC
遺伝子のプロモーター領域)の制御下で発現し得るもの
が用いられる。試験化合物としては、前記と同様のもの
が挙げられる。レポーター遺伝子としては、前記と同様
のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(la
cZ)が好ましく用いられる。BTCの構造遺伝子をレ
ポーター遺伝子で置換されたBTC発現不全非ヒト動物
では、レポーター遺伝子がBTCプロモーターの支配下
に存在するので、レポーター遺伝子がコードする物質の
発現をトレースすることにより、BTCプロモーターの
活性を検出することができる。
【0020】例えば、BTCをコードする遺伝子領域の
一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(la
cZ)で置換している場合、本来、BTCの発現する組
織で、BTCの代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現す
る。従って、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−イ
ンドリル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のよ
うなβ−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染
色することにより、簡便にBTCの動物生体内における
発現状態を観察することができる。具体的には、BTC
欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドな
どで固定し、ダルベッコ・リン酸緩衝生理食塩液(PB
S)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または
7℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組織
標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄することに
よって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を
観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコード
するmRNAを検出してもよい。このように、本発明の
BTC遺伝子発現不全非ヒト動物は、BTCプロモータ
ーを促進または阻害不活化する化合物またはその塩をス
クリーニングする上で極めて有用であり、BTC発現不
全に起因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の
開発に大きく貢献することができる。
【0021】上記スクリーニング方法を用いて得られる
化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれ
た化合物であり、BTCプロモーター活性を促進または
阻害する化合物である。BTCプロモーター活性を促進
する化合物またはその塩は、BTCの発現を促進するこ
とができるので、例えば、創傷や糖尿病などの各種疾病
に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として
有用である。一方、BTCプロモーター活性を阻害する
化合物またはその塩は、BTCの発現を阻害することが
できるので、例えば、アテローム性動脈硬化症のような
平滑筋細胞増殖に起因する疾病あるいは糖尿病性網膜症
などの各種疾病に対する安全で低毒性な治療・予防剤な
どの医薬として有用である。上記スクリーニング方法を
用いて得られる化合物またはその塩を上述の治療・予防
剤として使用する場合、前記と同様に実施することがで
きる。
【0022】〔ベータセルリン遺伝子導入動物〕本発明
の外来性BTC遺伝子またはその変異遺伝子を組み込ん
だDNAを有するトランスジェニック非ヒト動物(以
下、BTC遺伝子導入動物と略記する)は、未受精卵、
受精卵、***およびその始原細胞を含む生殖細胞などに
対して、好ましくは、非ヒト動物の発生における胚形成
初期の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細
胞の段階で、かつ一般に8細胞期以前)に、自体公知の
方法(例えば、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リ
ポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション
法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法な
ど)により目的とするBTC遺伝子を導入することによ
って作出することができる。また、該BTC遺伝子導入
方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的
とする本発明の外来性BTC遺伝子を導入し、細胞培
養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これ
ら細胞を上述の生殖細胞と自体公知の細胞融合法により
融合させることにより本発明のBTC遺伝子導入動物を
作出することもできる。
【0023】非ヒト動物としては、前記と同様のものが
用いられる。外来性BTC遺伝子とは、非ヒト動物の体
内に存在しているBTC遺伝子ではなく、いったん動物
から単離・抽出されたBTC遺伝子、あるいは、遺伝子
工学的手法を用いてクローニングされたBTCcDNA
などが用いられる。具体的には、前記した配列番号:3
または配列番号:4で表わされる塩基配列を有する遺伝
子などが用いられる。BTC遺伝子の変異遺伝子(以
下、変異BTC遺伝子と略記する)としては、元のBT
C遺伝子の塩基配列に変異(例えば、突然変異など)が
生じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基
への置換などが生じたBTC遺伝子などが用いられ、ま
た、BTC遺伝子の変異遺伝子(以下、変異BTC遺伝
子と略記する)も含まれる。該変異BTC遺伝子として
は、変異したBTCを発現させるBTC遺伝子を意味
し、例えば、正常なBTCの機能を抑制するBTCを発
現させるBTC遺伝子などが用いられる。外来性BTC
遺伝子は、対象とする動物と同種あるいは異種のどちら
の動物由来のものであってもよいがヒト由来BTC遺伝
子が好ましい。外来性BTC遺伝子またはその変異遺伝
子を組み込んだDNAとしては、外来性BTC遺伝子ま
たはその変異遺伝子を含有するDNAであればいかなる
ものであってもよい。BTC遺伝子を対象動物に導入さ
せるにあたっては、該BTC遺伝子を動物細胞で発現さ
せうるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラ
クトとして用いるのが一般に有利である。例えば、ヒト
BTC遺伝子を導入させる場合、これと相同性が高いB
TC遺伝子を有する各種非ヒト動物(例えば、ウサギ、
イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス
など)由来のBTC遺伝子を発現させうる各種プロモー
ターの下流に、ヒトBTC遺伝子を結合したDNAコン
ストラクト(例、ベクターなど)を対象動物の受精卵、
例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションする
ことによってBTC遺伝子を高発現するBTC遺伝子導
入動物を作出することができる。
【0024】BTC発現用ベクターとしては、大腸菌由
来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,p
UC12,pUC13など)、枯草菌由来のプラスミド
(例、pUB110,pTB5,pC194など)、酵
母由来のプラスミド(例、pSH19,pSH15な
ど)、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー
白血病ウイルスなどのレトロウイルス、ワクシニアウイ
ルスまたはアデノウイルスベクター、バキュロウイル
ス、ウシ乳頭腫ウイルス、ヘルペスウイルス群からのウ
イルス、またはエプスタイン・バー・ウイルスなどの動
物ウイルスなどまたはその誘導体など)などが用いられ
る。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来の
プラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく
用いられる。上記のBTC遺伝子発現に用いられるプロ
モーターとしては、例えば、ウィルス(例、シミアンウ
ィルス、サイトメガロウィルス、モロニー白血病ウィル
ス、JCウィルス、乳癌ウィルス、ポリオウィルスな
ど)に由来するプロモーター、各種動物(ヒト、ウサ
ギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マ
ウスなど)および鳥類(ニワトリなど)由来のものとし
ては、アルブミン、インシュリンII、ウロプラキンI
I、エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、
筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク質、
グルタチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長
因子β、ケラチンK1,K10およびK14、コラーゲ
ンI型およびII型、サイクリックAMP依存タンパク
質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸
抵抗性アルカリフォスファターゼ、心房ナトリウム利尿
性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTi
e2と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン3リ
ン酸化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロフィ
ラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタ
ロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI
抗原(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ
−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポ
リペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチ
ン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および
2、ミエリン基礎タンパク質ク、チログロブリン、Th
y−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清
アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポニ
ンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、
バソプレシンなどのプロモーターなどが用いられる。な
かでも、好ましくは、各種動物由来のインシュリンII
プロモーターなどが用いられる。
【0025】上記ベクターは、BTC遺伝子導入動物に
おいて目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結す
る配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有している
ことが好ましく、例えば、ウィルス由来、各種哺乳動物
および鳥類由来の各BTC遺伝子の配列を用いることが
でき、好ましくは、シミアンウィルスのSV40ターミ
ネターなどが用いられる。その他、目的BTC遺伝子を
さらに高発現させる目的で遺伝子のスプライシングシグ
ナル、エンハンサー領域、真核細胞の遺伝子のイントロ
ンの一部などをプロモーター領域の5'上流、プロモー
ター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3'下流に連
結することも目的により可能である。正常なBTCの翻
訳領域は、各種動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モ
ルモット、ハムスター、ラット、マウス、ヒトなど)由
来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来DNAお
よび市販の各種ゲノムライブラリーよりゲノム遺伝子の
全てあるいは一部として、または肝臓、腎臓、甲状腺細
胞、線維芽細胞由来RNAより公知の方法により調製さ
れた相補BTC遺伝子を原料として取得することが出来
る。また、外来性変異BTC遺伝子は、上記の細胞また
は組織より得られた正常BTCの翻訳領域を点突然変異
誘発法により変異させることにより作製することができ
る。該翻訳領域は導入動物において発現しうるDNAコ
ンストラクトとして、前記のプロモーターの下流および
所望により転写終結部位の上流に連結させる通常の遺伝
子工学的手法により作製することができる。受精卵細胞
段階におけるBTC遺伝子の導入は、対象動物の生殖細
胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。
BTC遺伝子導入後の作出動物の生殖細胞において、B
TC遺伝子が存在することは、作出動物の後代がすべ
て、その生殖細胞および体細胞のすべてにBTC遺伝子
を保持することを意味する。BTC遺伝子を受け継いだ
この種の動物の子孫はその生殖細胞および体細胞のすべ
てにBTC遺伝子を有する。
【0026】外来性正常BTC遺伝子を導入させた非ヒ
ト動物は、交配によりBTC遺伝子を安定に保持するこ
とを確認して、該BTC遺伝子保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階に
おけるBTC遺伝子の導入は、対象動物の生殖細胞およ
び体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。B
TC遺伝子導入後の作出動物の生殖細胞においてBTC
遺伝子が過剰に存在することは、作出動物の子孫が全て
その生殖細胞および体細胞の全てにBTC遺伝子を過剰
に有することを意味する。BTC遺伝子を受け継いだこ
の種の動物の子孫はその生殖細胞および体細胞の全てに
BTC遺伝子を過剰に有する。導入BTC遺伝子を相同
染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この
雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該BT
C遺伝子を過剰に有するように繁殖継代することができ
る。このようにして得られた子孫も本発明の動物に含ま
れる。正常BTC遺伝子を有する非ヒト動物は、正常B
TC遺伝子が高発現させられており、内在性の正常BT
C遺伝子の機能を促進することにより最終的にBTC機
能亢進症を発症することがあり、その病態モデル動物と
して利用することができる。例えば、正常BTC遺伝子
導入動物を用いて、高BTC症や、BTC関連疾患(例
えば、創傷、潰瘍、血管奇形、インシュリン依存性糖尿
病、動脈硬化症(例、アテローム性動脈硬化症など)、
糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖
尿病性網膜症、高コレステロール血症、高グリセリド血
症、高脂血症、糖尿病性膵臓機能障害、老人性膵臓機能
低下症、未分化型膵臓癌など)の病態機序の解明および
これらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能であ
る。また、外来性正常BTC遺伝子を導入させた動物
は、遊離BTCの増加症状を有することから、上記BT
C関連疾患に対する治療薬のスクリーニング試験にも利
用可能である。
【0027】一方、外来性変異BTC遺伝子を有する非
ヒト動物は、交配によりBTC遺伝子を安定に保持する
ことを確認して該BTC遺伝子保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的BT
C遺伝子を前述のプラスミドに組み込んで原科として用
いることができる。プロモーターとのDNAコンストラ
ク卜は、通常のBTC遺伝子工学的手法によって作製す
ることができる。受精卵細胞段階における変異BTC遺
伝子の導入は、対象動物の生殖細胞および体細胞の全て
に存在するように確保される。BTC遺伝子導入後の作
出動物の生殖細胞において変異BTC遺伝子が存在する
ことは、作出動物の子孫が全てその生殖細胞および体細
胞の全てに本発明の変異BTC遺伝子を有することを意
味する。変異BTC遺伝子を受け継いだこの種の動物の
子孫は、その生殖細胞および体細胞の全てに変異BTC
遺伝子を有する。導入BTC遺伝子を相同染色体の両方
に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を
交配することによりすべての子孫が該変異BTC遺伝子
を有するように繁殖継代することができる。変異BTC
遺伝子を有する非ヒト動物は、変異BTC遺伝子が高発
現させられており、内在性の正常BTC遺伝子の機能を
阻害することにより最終的にBTC機能不全症となるこ
とがあり、その病態モデル動物として利用することがで
き、例えば、変異BTC遺伝子導入動物を用いて、BT
C機能不全症の病態機序の解明およびこの疾患を治療方
法の検討を行なうことが可能である。また、具体的な利
用可能性としては、変異BTC遺伝子高発現動物は、B
TC機能不全症における変異BTCによる低BTC症を
解明するモデルとなる。また、外来変異BTC遺伝子を
導入させた動物は、遊離BTCの増加症状を有すること
から、BTC機能不全症(例えば、インシュリン依存性
糖尿病、動脈硬化症(例、アテローム性動脈硬化症な
ど)、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障
害、糖尿病性網膜症、耐糖能異常、高コレステロール血
症、高グリセリド血症、高脂血症、糖尿病性膵臓機能障
害、老人性膵臓機能低下症、未分化型膵臓癌など)に対
する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
【0028】また、上記2種類のBTC遺伝子導入動物
のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 BTC遺伝子導入動物の組織中のBTC遺伝子もしく
はRNAを直接分析するか、またはBTC遺伝子高発現
組織を分析することによる、BTCにより特異的に発現
あるいは活性化するタンパク質との関連性についての解
析、 BTC遺伝子を有する組織の細胞を標準組織培養技術
により培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組
織からの細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 変異BTCの単離精製およびその抗体作製などが考え
られる。さらに、BTC遺伝子導入動物を用いて、BT
C機能不全症を含む、BTC関連疾患の臨床症状を調べ
ることができ、また、BTC関連疾患モデルの各臓器に
おけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療方
法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研究お
よび治療に貢献することができる。また、BTC遺伝子
導入動物から各臓器を取り出し、細切後、トリプシンな
どのタンパク質分解酵素により、BTC遺伝子導入細胞
の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を行なう
ことが可能である。さらに、BTC産生細胞の特定化、
分化あるいは増殖との関連性、またはそれらにおけるシ
グナル伝達機構を調べ、それらの異常を調べることなど
ができ、BTCおよびその作用解明のための有効な研究
材料となる。さらに、BTC遺伝子導入動物を用いて、
BTC機能不全症を含む、BTC関連疾患の治療薬の開
発を行なうために、上述の検査法および定量法などを用
いて、有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を
提供することが可能となる。また、BTC遺伝子導入動
物または外来性BTC遺伝子発現ベクターを用いて、B
TC関連疾患のBTC遺伝子治療法を検討、開発するこ
とが可能である。遺伝子治療法を検討する際には、例え
ば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクタ
ー、AAVベクター、ヘルペスウイルスベクターなどの
ウイルスベクターあるいは、膜融合リポソーム法などが
用いられる。上記の外来性BTC遺伝子発現ベクターは
医薬としてBTC機能不全症または欠損症患者の遺伝子
治療に用いることができる。具体的には、上記の外来性
BTC遺伝子発現ベクターを(1)特表平9−5010
46記載の方法またはそれに準じた方法などにより、
BTC機能不全症または欠損症患者の骨髄細胞に移植す
ることによる方法、(2)特表平9−505084に記
載またはそれに準じた方法などにより、BTC機能不全
症または欠損症患者の筋肉組織、血管系、腸、皮膚、
眼、肺などに投与する方法、または(3)特表平9−5
05561に記載またはそれに準じた方法などにより、
BTC機能不全症または欠損症患者の脳脊髄液に投与す
る方法などを用いることによってBTC遺伝子を患者の
体内で発現させることを可能たらしめる。また、 BT
C機能不全症または欠損症患者の卵細胞に上記の方法に
よりBTC遺伝子を導入することにより、患者の子孫に
おけるBTC機能不全症または欠損症を予防することも
可能である。
【0029】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commision on Biochemical Nomenclature による略号あ
るいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、
その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があ
り得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとす
る。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン
【0030】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕ヒト由来BTCのアミノ酸配列を示
す。 〔配列番号:2〕マウス由来BTCのアミノ酸配列を示
す。 〔配列番号:3〕ヒト由来BTCをコードするDNAの
塩基配列を示す。 〔配列番号:4〕マウス由来BTCをコードするDNA
の塩基配列を示す。 〔配列番号:5〕プライマーRI−1の塩基配列を示
す。 〔配列番号:6〕プライマーRI−3の塩基配列を示
す。 〔配列番号:7〕プライマーRI−1Claの塩基配列
を示す。 〔配列番号:8〕プライマーRI−3Xhoの塩基配列
を示す。 〔配列番号:9〕プライマーNeo2の塩基配列を示
す。 〔配列番号:10〕プライマーmBT40の塩基配列を
示す。 〔配列番号:11〕プライマーREL−1の塩基配列を
示す。 〔配列番号:12〕プライマーREL−2の塩基配列を
示す。 〔配列番号:13〕プライマーREL−1Clの塩基配
列を示す。 〔配列番号:14〕プライマーREL−2Xhの塩基配
列を示す。 〔配列番号:15〕プライマーBT107hの塩基配列
を示す。
【0031】後述の実施例1で得られたBTC遺伝子欠
損ES細胞BB15F11は、平成9年2月26日から
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIB
H)に受託番号FERM BP−5842として寄託さ
れている。
【0032】
【実施例】以下に、本発明を参考例および実施例を示し
てさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限
定されるものではない。
【0033】
【参考例1】ES細胞用フィーダー細胞の調製 フィーダーとして用いるSTO細胞は10%牛胎仔血清
(FBS:Flow)、0.1mM非必須アミノ酸(NEA
A:GIBCO)を含むダルベッコ変法イーグル培地
(DMEM:日水製薬)(以下、STO細胞用培地と称
する)で培養し、コンフルエントになる直前の約70〜
80%コンフルエントまで培養した時点で培地に終濃度
10μg/mlになるようマイトマイシンC(協和発酵工
業)を加え37℃で2.5時間培養した後、1mM ED
TA含有ダルベッコリン酸緩衝生理食塩液(PBS
(−))で2回洗浄し、0.025%トリプシンを含む1
mM EDTA−PBS(−)処理によりシングルセルサス
ペンジョンとした後培地を加え200×g 5分間遠心
して細胞を集めた。STO細胞用培地で細胞を2×10
5個/mlの濃度に懸濁し、予め0.1%ゼラチン溶液(シ
グマ社)でコーティングしておいた24穴リンブロカル
チャープレートあるいは35mm、60mm、100mmのペ
トリディシュ(ファルコン社)にそれぞれ1ml、2ml、
3ml、10mlの細胞懸濁液を加えて単層のフィーダー細
胞を調製した。
【0034】
【参考例2】ES細胞株の樹立 BDF1の雌マウスに5IUの妊馬血清セロトロピン
(PMS:帝国臓器製薬)を腹腔内に投与後、46〜4
8時間後にさらに5IUのヒト絨毛性ゴナドトロピン
(hCG:帝国臓器製薬)を腹腔内投与することにより
過***を誘起した。同系の雄マウスと交配後2.5日目
に開腹し、子宮潅流により8細胞期の胚を採取した。該
8細胞期の胚をLIF(Leukemia Inhibitory Factor:
白血球増殖阻止因子)を含まないES細胞用培地(ES
M:20%非働化FBS(牛胎仔血清:Flow),0.1m
M NEAA(NE amino acid),1.0mM ピルビン酸
ナトリウム(Flow),0.1mM 2−メルカプトエタノー
ル(2−ME:シグマ社),0.1mM ヌクレオシド
(シグマ社)およびリコンビナントマウスLIF(rmL
IF)(1×103U/ml:AMRAD)を含むDMEM
(日水製薬))中でゼラチン処理した24穴リンブロカ
ルチャープレートで一晩培養した。胚盤胞まで卵割した
胚をガラスキャピラリーで吸引採取し、予め培地を通常
用いる量の5倍量(5×103U/ml)のLIFを含むE
SMに置き換えた参考例1記載のフィーダー細胞上に播
種した。栄養外胚葉が破れて内部細胞塊が大きく成長し
てきた時に、ガラスキャピラリーで内部細胞塊を吸引採
取し、0.025%トリプシン含有1mM EDTA−P
BS(−)のマイクロドロップ内でシングルセルサスペン
ジョンとした後フィーダー細胞上に再び播種した。細胞
塊の細胞数が100個程度まで増えた時点でPCR法を
用いて、マウスのY染色体上の性決定領域(sex-determ
ining region of the Y-chromosome:Sry)遺伝子を増
幅し、これを検出することにより雄の核型を持つ細胞を
選別した。選別した細胞を2〜3日毎にトリプシン−E
DTA処理によりフィーダー細胞上への播種を行い、順
次培養スケールを大きくして継代し、細胞数が約106
個/mlまで増えた時点で、G−バンディング法により染
色体数をカウントして、雄型で染色体数40(正常値)
のものを選択し、細胞の劣化を防ぐため10%FBS、
10%DMSO(シグマ社)を含むDMEMを凍結用培
地として早期に-80℃で凍結保存した。このようにし
てES細胞株BDM−3およびBDM−5を取得した。
【0035】
【参考例3】ターゲティングベクターpTB1875の
構築 既報のマウスBTC cDNA〔Science 第259巻, 1604
頁 (1993年)〕をプローブとして、マウスゲノム遺伝子
ライブラリー(BALB/cマウス)をスクリーニング
した。スクリーニングはプラークハイブリダイゼーショ
ン法にて行い、15kb SalI断片のマウスゲノム
遺伝子を得た。この15kb SalI断片はpBlu
escriptIISK+のSalI部位にクローニング
し、プラスミドpTB1831とした。15kb断片を
EcoRIまたはHindIIIで切断し、得られた3k
bおよび6kbのEcoRI断片をpUC118のEc
oRI部位にクローニングしてプラスミドpTB183
2およびpTB1833を、また6.5kbおよび3.4
kb HindIII断片をpUC119のHindIII部
位にクローニングしてpTB1835およびpTB18
36を取得した。これらマウスBTCゲノムDNAをク
ローニングしたプラスミド(pTB1831,pTB1
832,pTB1833,pTB1835,pTB18
36)を用いて、マウスBTCゲノムDNA 15kb
断片の主要な制限酵素地図を作製した後、マウスBTC
cDNAをプローブとしたサザンブロット解析、cD
NA配列をもとに作製したプライマーを用いたPCR解
析、および塩基配列解析により、15kb BTCゲノ
ム上のエクソンの位置を決定した。〔図1〕に示すよう
に、この15kb DNA上には、第3,第4,第5お
よび第6エクソンが存在することが判明した。さらにマ
ウス細胞DNAを用いた解析から、第3エクソンの上流
11kbに第2エクソン、そのさらに上流15kbに第
1エクソンが存在することが判った。
【0036】上記pTB1836のマウスBTCゲノム
DNAの第4エクソンを含む1.2kb HindIII−
EcoRV断片を、pBluescriptIISK+
マルチクローニング部位のBamHI,SmaI,Ps
tI切断部位を欠失させたもののHindIIIとEco
RVの間にT4DNAリガーゼ反応により組み込み、プ
ラスミドpTB1864を構築した。一方、プラスミド
pKJ2から切り出した、ホスホグリセレートキナーゼ
(PGK)プロモーターを含む0.5kb EcoRI−
PstI断片(Biochem. Genet., 28 (1990) 299-308)
を、EcoRIおよびPstIで切断したプラスミドp
BluescriptIISK+に連結してpTB186
3を得た。このpTB1863から0.5kb EcoR
I−BamHI断片(PGKプロモーター)を単離し、
プラスミドpMK〔Brinster, R.L.ら, Cell 第27巻, 2
23頁 (1981年)〕をBglII−SalIで切断して得
られた3.0kb断片(HSV−TK遺伝子を含む)と
共に、EcoRI−SalIで切断したpUC118に
連結してプラスミドpTB1866を構築した。このp
TB1866をEcoRIおよびPvuIIで切断してP
GKプロモーターとHSU−TK遺伝子を含む2.2k
b断片を単離し、先に構築したpTB1864のマウス
BTC遺伝子下流に存在するEcoRI−EcoRVの
間に挿入して、プラスミドpTB1867を得た〔図
2〕。pTB1867はSalIで切断し、プラスミド
pMC1neopolyA(STRATAGENE, VS-2132-01)
から切り出した1.15kb SalI−XhoI断片
(ネオマイシン耐性遺伝子発現ユニット)をこのSal
I部位に組み込んでプラスミドpTB1870を得た。
この時、EcoRI−HindIIIで切断して挿入断片
の方向を確認し、ネオマイシン耐性遺伝子がマウスBT
C遺伝子に対して逆向きに挿入されているものを選択し
た〔図3〕。
【0037】プラスミドpCH110(ファルマシア
27-4508-01)をEcoRIで切断して得られた1.2k
b断片と、プラスミドpMC1871(ファルマシア
27-4945-01)をEcoRIで部分消化して得られた6.
6kb断片を連結してpLacZpolyAを得た。こ
れをSmaIで切断し、NcoIリンカーを連結するこ
とによりNcoI切断部位を挿入したプラスミドpLa
cZpolyA/Neoを得た。このプラスミドをHi
ndIIIで切断後、DNAポリメラーゼKlenow断
片で切断末端を平滑化し、BglIIリンカーをT4DN
Aリガーゼ反応により連結したのちNcoIおよびBg
lIIで切断して、lacZ遺伝子を含む4.2kb断片
を単離した。次に、マウスBTCゲノム15kb断片を
含むpTB1831を、SalIおよびNcoIで切断
し、第3エクソンに存在するNcoIから上流の7.3
kb断片を単離した。この7.3kb SalI−Nco
I断片(マウスBTCゲノム)を前述の4.2kb Nc
oI−BglII断片(lacZ)と共に、先に構築した
pTB1870のSalIとBamHIの間に挿入連結
して、ターゲティングベクターpTB1875を構築し
た〔図3〕。
【0038】
【参考例4】BTC遺伝子導入ベクターの構築 ラット尾から常法に従ってゲノムDNAを調製した。こ
のDNAをテンプレートとして、既報のラットインシュ
リンII遺伝子プロモーターの塩基配列(GenBank:Acces
sion No. J00748)をもとに合成したプライマーRI−
1〔5'−AGAGTCAAGGATCCCCCAAC
CACT−3'(配列番号:5)〕およびRI−3〔5'
−AGCTGGTCACTTAGGGCTGGGG−
3'(配列番号:6)〕を用いてPCR法によりインシ
ュリンプロモーター領域0.75kbを増幅した。さら
に、このPCR産物をテンプレートとしてプライマーR
I−1Cla〔5'−GAATCGATAGAGTCA
AGGATCCCCCA−3'(配列番号:7)〕およ
びRI−3Xho〔5'−GACTCGAGCTGGT
CACTTAGGG−3'(配列番号:8)〕を用いて
PCRを行った。増幅された0.75kb DNA断片を
単離し、pT7Blueベクター(Novagen 69820−1)
に組み込んで得られたプラスミドpTB1881を用い
てクローニングされた断片の塩基配列を決定し、ラット
インシュリンプロモーターであることを確認した。プラ
スミドpTB1881をXhoI−ClaIで切断して
ラットインシュリンプロモーターである0.73kb D
NA断片を得た。ヒトBTC cDNA発現プラスミド
pTB1515(特開平4−352800)をXhoI
−HindIIIで切断して得られた1.1kb断片(hB
TC cDNA,SV40スプライシング部位およびS
V40ポリA付加部位を含む)、およびHindIII−
ClaIで切断して得られた2.3kb断片(pBR3
22由来oriおよびアンピシリン耐性遺伝子を含む)
を単離し、これらと前述のラットインシュリンプロモー
ター領域を含む0.73kb XhoI−ClaI断片を
T4DNAリガーゼ反応によって連結し、プラスミドp
TB1884を得た〔図5〕。このプラスミドpTB1
884をClaIで切断して得られる1.8kb断片を
マウス受精卵にマイクロインジェクションすることによ
ってBTC遺伝子が膵臓β細胞で高発現する導入動物を
作出することができる。
【参考例5】BTC遺伝子導入ベクターpTB1969
の構築 ラット尾から調製したDNAをテンプレートとして,既報
のラットエラスターゼI遺伝子プロモーターの塩基配列
(GenBank:Accession No.J00730 )をもとに合成したプ
ライマーREL−1[5’−TCCAGACCTGTT
TGCTCTCCATAAC−3’(配列番号:1
1)]およびREL−2[5’−GAGTAGACCA
CTGCCCCTTGCCATG−3’(配列番号:1
2)]を用いてPCR法によりエラスターゼIプロモー
ター領域0.75kbを増幅した。さらに、このPCR産
物をテンプレートとしてプライマーREL−1Cl
[5’−GACTCAGTCCAGACCTGTTTG
CTCTCC−3’(配列番号:13)]およびREL
−2Xh [5’−GACTCGAGTAGACCAC
TGCCCCTTG−3’(配列番号:14)]を用い
てPCRを行った。 増幅された0.75kb DNA断片
を単離し、pT7Blueベクター(Novagen 69820-
1)に組み込んでプラスミドpT7Blue/RELP
−26を得た。組み込んだ断片の塩基配列を決定し、ラ
ットエラスターゼIプロモーター であることを確認し
た。このプラスミドをプロモーター上流のクローニング
ベクター由来SmaI部位で切断後BglIIリンカー
を付加し、BglII−XhoIで消化してラットエラ
スターゼIプロモーター0.75kb DNA断片を単離
した。プラスミドpTB1560(プラスミドpTB1
499(特開平4-352800)からヒトBTC cDNAを
含む1.3kb XhoI DNA断片を切り出してプラ
スミドpUC119のSalI部位にサブクローニング
したもの)をSmaIで切断しBamHIリンカーをラ
イゲーションして、ヒトBTC cDNAを含む1.0k
b BamHI断片を単離した。このDNA断片を,参考
例4記載のプラスミドpTB1884をBglIIで切
断してBTC cDNA部分を除いたDNA断片と結合
させpTB1964を得た。pTB1964ではpTB
1884に比べてBTC cDNAの3’非翻訳領域が
0.3kb長くBTC遺伝子の本来のpoly A付加シグナルが
含まれている。pTB1964をXhoI−HindI
IIで切断して得られた1.4kb断片(hBTC cD
NA, SV40スプライシング部位およびSV40ポ
リA付加部位を含む)、およびHindIII−Bam
HIで切断して得られた2.3kb断片(pBR322由
来oriおよびアンピシリン耐性遺伝子を含む)を単離
し、これらと前述のラットエラスターゼIプロモーター
を含む0.75kb BglII−XhoI断片をT4
DNAリガーゼ反応によって連結し,プラスミドpTB
1969を得た[図10]。
【0039】
【実施例1】不活性化BTC遺伝子導入とBTC遺伝子
欠損ES細胞の選別 ほぼコンフルエントまで増殖した参考例2で得られたE
S細胞BDM−3(Cytotechnology 15, 1-5 (1996))
をトリプシン処理により解離し、ES細胞用培地(ES
M:DMEM、20% 非働化FBS、0.1mM 非必
須アミノ酸、1.0mM ピルビン酸ナトリウム、0.1m
M 2−ME、1×103U/ml rmLIF)を加えて反
応を止め遠心後、上清を除去し、HEPES緩衝生理食
塩液(21mM HEPES pH7.5、137mM Na
Cl、5mM KCl、0.7mM Na2HPO4、1g/リッ
トル グルコース)で再懸濁し、ES細胞懸濁液を調製
した。参考例3で得られたプラスミドpTB1875か
ら制限酵素SalIで切り出したターゲティングベクター
をフェノール−クロロホルム抽出し、エタノール沈殿を
行って精製後、HEPES緩衝生理食塩液に溶かした。
5×107個になるよう調製したES細胞懸濁液(0.5
ml)に終濃度10μg/mlのターゲティングベクターを
加え(ここで、より効率的な遺伝子導入細胞取得のため
には終濃度100μg/mlとなるように加える)、バイ
オラッド(Bio−Rad )社のジーンパルサーを用い、
250V 960μFでES細胞にベクターをエレクト
ロポレーションした。エレクトロポレーション後の細胞
は直径10cmのペトリディッシュには3×106個ずつ
播種し、播種後48時間はESMで培養し、その後培地
にG418(200μg/ml:GIBCO)と1−(2
−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシ
ル)−5−ヨードウラシル(FIAU;0.2μM ネ
イチャー 第344巻、172頁(1990年)に準じ
て調製)を加えてBTC遺伝子欠損ES細胞の選択培養
を開始した。2日ごとに培地を交換し9日から11日目
に増殖したコロニーを採取し、順次スケールアップして
培養した。得られたG418耐性株のBTC遺伝子欠損
の判定は採取した各細胞の一部よりDNAを抽出し、制
限酵素ApaIで消化した後、マウスゲノムDNAより調
製した2.0kbのEcoRV−SacI断片〔図1〕をプ
ローブAとして用いてサザンハイブリダイゼーション法
により行った。BTC遺伝子のノックアウト細胞株では
6.5kbp及び5.2kbpの位置にバンドが検出できた〔図
4〕。これに対して対照である野生株(BDM−3)で
は6.5kbpのバンドのみが検出できた。サザンハイブリ
ダイゼーションによる解析の結果、G418とFIAU
両方に耐性を示した686クローンのうち、16クロー
ンに変異が導入されている事が確認できた。BTCゲノ
ムDNAおよびプラスミドpTB1875を用いたター
ゲッティングコンストラクトを〔図1〕に示す。
【0040】
【実施例2】BTC欠損マウスの作出 実施例1で得られたBTC遺伝子がノックアウトされた
16クローンのES細胞株のうち3クローンについてそ
れぞれ、田川らの集合キメラ法〔細胞工学第14巻,946
頁(1995年)〕を行った。すなわち、参考例2に記載の
方法でホルモン剤を投与して過***を誘起し、ICR雄
マウスと交配後2.5日目に子宮潅流により採卵したI
CRマウス8細胞期胚を、酸性タイロード液(0.8g
NaCl,0.02g KCl,0.024g CaCl2
・2H2O,0.01g MgCl2・6H2O,0.1g
グルコース,0.4g ポリビニルピロリドン:100m
l,塩酸でpHを2.5に調整)のドロップに移して透
明帯を溶解させたのちBWW−Hepes培地〔細胞工
学 第13巻,1138頁(1994年)〕で洗浄した。予め直径
6cmペトリディッシュに作った針穴にミネラルオイル
でおおったBWW(Biggers, Whitten & Whittingham)
培地小ドロップ中にES細胞塊(10〜15個の細胞)
を入れ、ここに2.5日胚を2個ずつ入れて細胞塊と接
着させてCO2インキュベーターで一晩培養した。この
集合キメラ法によりできた胚盤胞(もしくは桑実胚)を
精管結紮した雄との交配により作製した偽妊娠2.5日
目のICRマウスを仮親として左右の子宮角へそれぞれ
約10個の胚を移植した。その結果、BDM−3細胞の
寄与率がほぼ100%および70%のキメラマウス
(雄)が得られた。
【実施例3】BTC欠損マウスの作出−2 実施例2で得られたキメラマウス(雄)をICRマウス
(白色,雌)にバックク ロスし,その産仔のコートカ
ラーの判定によりES細胞の生殖系列への分化能を調べ
た。BDM−3細胞の寄与率がほぼ100%のキメラマ
ウス(Q2)から得られた75匹の子マウスはすべて黒
色〜野生色を示し、産仔は全てES細胞由来であった。
70 %のキメラマウス(Q1)から得られた120匹
の子マウスでは、80匹がES細胞に 由来する黒色〜野
生色を示した。ES細胞由来の子マウスの尾から定法に
従ってDNAを抽出し、このゲノムDNAを 鋳型とし
てプライマーNeo2[5’−ACCTGCGTGCA
ATCCATCTTGTTC−3’(配列番号:9)]
およびプライマーmBT40[5’−TACACCTG
CCTTCAGGGCTAAATG−3’(配列番号:
10)]を用いてPCRを行い産物をアガロースゲルに
て解析した。Q2由来子マウス75匹のうち37匹、Q
1由来子マウスのうち、ES細胞に由来する黒色〜野生
色を示す80匹のうち32匹で、1.5kbpのバンド
の増幅が認められ図6、BTC遺伝子に変異(欠損)が
導入されたヘテロ接合体マウスであると考えられた。こ
れらのマウスDNAについて,制限酵素EcoRIで消
化したのち,実施例1と同様にプローブA(2.0kb
のECcoRI−SacI断片図1)を用いてサザンハ
イブリダイゼーションにて解析した。実施例1で得られ
たBTC遺伝子欠損ES細胞株BB15F11と同様に
6.1kbpおよび4.0kbpの位置にバンドが検出
され(図6、図7)、ヘテロ接合体マウスであることが
確認された。
【実施例4】BTC欠損マウスの性質 実施例3で得られたBTCヘテロ欠損マウスの雌雄を交
配することにより、ほぼ4分の1の確率でBTCホモ欠
損マウスが得られた。図8に実施例3と同様のサザンハ
イブリダイゼーション法による解析結果を示した。TC
ホモ欠損マウスでは4.0kbpのバンドのみが検出さ
れた。さらに,マウス腎臓からmRNAを調製し、BT
CのORF領域をプローブとしてノーザンブロット解析
を行った結果を図9に示した。 野生型マウス(BTC
+/+)では本来のBTC遺伝子に由来する3kbのバ
ンドが見られ、ヘテロマウス(BTC+/−)では3k
bのバンドおよびBTCとlacZの融合遺伝子に相当
する4.5kbのバンドが、またホモマウス(BTC−
/−)ではBTC/lacZ融合遺伝子の4.5kbの
バンドのみが検出された。すなわちBTCホモ欠損マウ
スではBTC遺伝子が破壊されBTCとlacZの融合
遺伝子が発現していることがmRNAレベルで確認され
た。BTCホモ欠損マウスは外見上特に異常は認められ
ず、出生後の体重の増加もホモ、ヘテロ、野生型群の間
に明らかな差は認められなかった。4週令、6週令、8
週令の各群を用いて絶食後グルコース投与(2g/k
g,ip)を行い、前後の血糖値を測定したが3群間に
有意の耐糖能の差を認めなかった。4週令および6週令
のホモ欠損マウスを用いて免疫組織化学および電顕によ
る形態学的検討を行った結果、膵島の成熟障害を示唆す
る知見が得られた。(1)生後4週において神経組織に
接した膵島が高頻度に認められた。(2)生後6週にお
いて,膵導管に取り囲まれた膵島や,導管を囲む膵島が
多数認められ、電顕において膵島細胞と膵外分泌細胞や
導管細胞との間に細胞間接着装置が観察された。
【実施例5】BTC遺伝子導入動物の作出 参考例5記載のプラスミドpTB1969を制限酵素C
laIで切断し、2.2kb DNA断片(ラットエラ
スターゼIプロモーターによるhBTC発現ユニット)
を単離した。このDNA溶液(10μg/ml,5mM Tr
is−HCl(pH7.4),0.1mMEDTA)をB
DF1マウスの受精卵にマイクロインジェクション法に
より注入したのち、偽妊娠0.5日目のICRマウスの
卵管に移植した(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、第7
8巻、第5016 頁、1981年)。生まれた子マウス121匹
の尾からゲノムDNAを調製し、プライマーREL−1
(参考例5に記載)およびプライマーBT107h
[5’−AGCAGTGGCAGGGAGCTGGC−
3’(配列番号:15)]を用いてPCR法により導入
遺伝子の検定を行った。PCRの結果、期待される1.
0kbのバンドが増幅された14匹のマウスについて、そ
のDNAを制限酵素BamHI消化したのち、ヒトBT
CcDNAをプローブとしてサザンハイブリダイゼーシ
ョン法による解析を行った。結果を図11に示した。1
コピーから10コピーの導入遺伝子が組み込まれたヒト
BTC遺伝子導入マウスが得られた。これらのマウスで
は膵臓acinar細胞でのBTCの特異的発現が期待
される(Nature vol.313,600−60
2,1985)。
【0041】
【発明の効果】本発明のBTC遺伝子が不活性化された
非ヒト動物胚幹細胞は、BTC遺伝子発現不全非ヒト動
物を作出する上で、非常に有用である。本発明のBTC
発現不全非ヒト動物は、BTCにより誘導され得る種々
の生物活性を欠失するため、BTCの生物活性の不活性
化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、BTC欠
損に起因する各種疾病の予防・治療薬にスクリーニング
や、BTC関連疾患の原因究明および治療法の検討に有
用である。さらに、BTCプロモーター活性の促進また
は阻害活性を有する化合物またはその塩のスクリーニン
グに有用である。本発明のBTC遺伝子導入非ヒト動物
は、高BTC症、BTC機能不全症などのBTC関連疾
患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検
討を行なうことができる。また、上記BTC関連疾患に
対する治療薬のスクリーニングに使用することができ
る。さらに、外来性BTC遺伝子またはその変異遺伝子
を含有し、動物において発現し得るベクターを含有して
なる遺伝子治療用医薬はBTC関連疾患の遺伝子治療薬
として有用である。本発明のスクリーニング方法は、B
TC欠損に起因する各種疾病の予防・治療薬、またはB
TCプロモーター活性の促進または阻害活性を有する化
合物またはその塩を効率良くスクリーニングすることが
できる。
【0042】
【配列表】
【配列番号:1】 配列の長さ:80 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 Asp Gly Asn Ser Thr Arg Ser Pro Glu
Thr Asn Gly Leu Leu Cys Gly 1 5
10 15 Asp Pro Glu Glu Asn Cys Ala Ala Thr
Thr Thr Gln Ser Lys Arg Lys 20 25
30 Gly His Phe Ser Arg Cys Pro Lys Gln
Tyr Lys His Tyr Cys Ile Lys 35 40
45 Gly Arg Cys Arg Phe Val Val Ala Glu
Gln Thr Pro Ser Cys Val Cys 50 55
60 Asp Glu Gly Tyr Ile Gly Ala Arg Cys
Glu Arg Val Asp Leu Phe Tyr 65 70
75 80
【0043】
【配列番号:2】 配列の長さ:80 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 Asp Gly Asn Thr Thr Arg Thr Pro Glu
Thr Asn Gly Ser Leu Cys Gly 1 5
10 15 Ala Pro Gly Glu Asn Cys Thr Gly Thr
Thr Pro Arg Gln Lys Val Lys 20 25
30 Thr His Phe Ser Arg Cys Pro Lys Gln
Tyr Lys His Tyr Cys Ile His 35 40
45 Gly Arg Cys Arg Phe Val Val Asp Glu
Gln Thr Pro Ser Cys Ile Cys 50 55
60 Glu Lys Gly Tyr Phe Gly Ala Arg Cys
Glu Arg Val Asp Leu Phe Tyr 65 70
75 80
【0044】
【配列番号:3】 配列の長さ:240 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列 GATGGGAATT CCACCAGAAG TCCTGAAACT AAT
GGCCTCC TCTGTGGAGA CCCTGAGGAA 60 AACTGTGCAG CTACCACCAC ACAATCAAAG CGG
AAAGGCC ACTTCTCTAG GTGCCCCAAG 120 CAATACAAGC ATTACTGCAT CAAAGGGAGA TGC
CGCTTCG TGGTGGCCGA GCAGACGCCC 180 TCCTGTGTCT GTGATGAAGG CTACATTGGA GCA
AGGTGTG AGAGAGTTGA CTTGTTTTAC 240
【0045】
【配列番号:4】 配列の長さ:240 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列 GATGGGAACA CAACCAGAAC ACCAGAAACC AAT
GGCTCTC TTTGTGGAGC TCCTGGGGAA 60 AACTGCACAG GTACCACCCC TAGACAGAAA GTG
AAAACCC ACTTCTCTCG GTGCCCCAAG 120 CAGTACAAGC ATTACTGCAT CCATGGGAGA TGC
CGCTTCG TGGTGGACGA GCAAACTCCC 180 TCCTGCATCT GTGAGAAAGG CTACTTTGGG GCT
CGGTGTG AGCGAGTGGA CCTGTTTTAC 240
【0046】
【配列番号:5】 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 AGAGTCAAGG ATCCCCCAAC CACT 24
【0047】
【配列番号:6】 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 AGCTGGTCAC TTAGGGCTGG GG 22
【0048】
【配列番号:7】 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GAATCGATAG AGTCAAGGAT CCCCCA 26
【0049】
【配列番号:8】 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GACTCGAGCT GGTCACTTAG GG 22
【0050】
【配列番号:9】 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 ACCTGCGTGC AATCCATCTT GTTC 24
【0051】
【配列番号:10】 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TACACCTGCC TTCAGGGCTA AATG
24
【0052】
【配列番号:11】 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCCAGACCTG TTTGCTCTCC ATAAC 25
【0053】
【配列番号:12】 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GAGTAGACCA CTGCCCCTTG CCATG 25
【0054】
【配列番号:13】 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GACTCAGTCC AGACCTGTTT GCTCTCC
27
【0055】
【配列番号:14】 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GACTCGAGTA GACCACTGCC CCTTG 25
【0056】
【配列番号:15】 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 AGCAGTGGCA GGGAGCTGGC
20
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】マウスゲノムDNAおよび参考例3で得られた
プラスミドpTB1875を用いたターゲティングコン
ストラクトを示す。図中、イントロン部分は細実線で、
エクソン部分は太実線で示した。また、LacZはβ−
ガラクトシダーゼ遺伝子を、NEOはネオマイシン耐性
遺伝子を、HSV−TKは単純ヘルペスウイルス−チミ
ジンキナーゼ遺伝子を示す。
【図2】参考例3で得られたターゲティングベクターp
TB1875の構築図を示す。図中、Apはアンピシ
リン耐性遺伝子を、HSV−TKは単純ヘルペスウイル
ス−チミジンキナーゼ遺伝子を示す。
【図3】参考例3で得られたターゲティングベクターp
TB1875の構築図を示す。図中、Aprはアンピシ
リン耐性遺伝子を、LacZはβ−ガラクトシダーゼ遺
伝子を、Neorはネオマイシン耐性遺伝子を、Tcr
テトラサイクリン耐性遺伝子を示す。
【図4】実施例1で得られたBTCノックアウトES細
胞株のサザンハイブリダイゼーションの結果を示す。
【図5】参考例4で得られたBTC遺伝子導入ベクター
pTB1884の構築図を示す。図中、Aprはアンピ
シリン耐性遺伝子を、MuLVLTRは、マウス白血病
ウイルス遺伝子−長末端反復配列を、hBTCはヒトベ
ータセルリン遺伝子を、SV40polyAはSV40
ポリA付加シグナルを示す。
【図6】マウスBTCゲノムDNAおよびターゲティン
グされた変異アレルを示す。図中、イントロン部分は細
実線で、エクソン部分は太実線で示した。また、Lac
Zはβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を、NEOはネオマイ
シン耐性遺伝子を示す。また、図中に実施例3で用いた
プライマー(Neo2、mBT40)およびプローブA
の位置を示す。
【図7】実施例3で得られたBTC欠損ヘテロ接合体マ
ウスのサザンハイブリダイゼーションの結果を示す電気
泳動図を示す。図中、レーン1〜5および7は作出した
ヘテロ接合体マウス各個体、レーン6は野性型マウス、
レーン8はBTCノックアウトES細胞株(BB15F
11)を示す。
【図8】実施例4で得られたBTCホモ欠損マウスのサ
ザンハイブリダイゼーションの結果を示す電気泳動図を
示す。図中、レーン1〜5はホモ欠損マウス、6,7は
ヘテロ欠損マウス、8は野性型マウスの各個体を示す。
【図9】BTC欠損マウスの腎臓におけるBTCの発現
をノーザンブロットで解析したの結果を示す図を示す。
図中、+/+は野性型、+/−はヘテロ欠損マウス、−
/−はホモ欠損マウスを示す。
【図10】参考例5で得られたヒトBTC遺伝子導入ベ
クターpTB1969のコンストラクトを示す。
【図11】実施例5で得られたヒトBTC遺伝子導入マ
ウスのサザンハイブリダイゼーションの結果を示す電気
泳動図を示す。図中、レーン1および2は導入DNA1
0コピーおよび1コピー、レーン3〜6は作出したBT
C遺伝子導入マウス各個体を示す。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不活性化ベータセルリン遺伝子配列を有す
    ることを特徴とするトランスジェニック非ヒト動物また
    は当該遺伝子配列を有するその子孫。
  2. 【請求項2】胚形成初期において導入された不活性化ベ
    ータセルリン遺伝子配列を、生殖細胞または体細胞に有
    する請求項1記載の動物。
  3. 【請求項3】レポーター遺伝子を導入することにより不
    活性化されたベータセルリン遺伝子配列を有し、該レポ
    ーター遺伝子がベータセルリンプロモーターの制御下で
    発現し得る請求項1記載の動物。
  4. 【請求項4】レポーター遺伝子が大腸菌由来β−ガラク
    トシダーゼ遺伝子である請求項3記載の動物。
  5. 【請求項5】不活性化ベータセルリン遺伝子配列を有す
    ることを特徴とする非ヒト動物胚幹細胞。
  6. 【請求項6】レポーター遺伝子を導入することにより不
    活性化されたベータセルリン遺伝子配列を有する請求項
    5記載の胚幹細胞。
  7. 【請求項7】外来性ベータセルリン遺伝子またはその変
    異遺伝子を組み込んだDNAを有することを特徴とする
    非ヒト動物または該DNAを有するその子孫。
  8. 【請求項8】非ヒト動物が非ヒト哺乳動物である請求項
    1または請求項7記載の動物または請求項5記載の胚幹
    細胞。
  9. 【請求項9】非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である請求項
    9記載の動物または胚幹細胞。
  10. 【請求項10】ゲッ歯動物がマウスである請求項9記載
    の動物または胚幹細胞。
  11. 【請求項11】請求項1記載の動物を用いることを特徴
    とする、ベータセルリンの欠損に起因する疾病の予防・
    治療薬のスクリーニング方法。
  12. 【請求項12】請求項3記載の動物に、試験化合物を投
    与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴と
    するベータセルリンプロモーター活性を促進または阻害
    する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  13. 【請求項13】請求項11記載のスクリーニング方法を
    用いて得られるベータセルリンプロモーター活性を促進
    または阻害する化合物またはその塩。
  14. 【請求項14】外来性ベータセルリン遺伝子またはその
    変異遺伝子を含有し、動物において発現しうるベクター
    を含有してなる遺伝子治療用医薬。
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