JPH11280722A - カシメ部材、その製造方法およびこのカシメ部材を備えた大電流回路基板 - Google Patents

カシメ部材、その製造方法およびこのカシメ部材を備えた大電流回路基板

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JPH11280722A
JPH11280722A JP8136198A JP8136198A JPH11280722A JP H11280722 A JPH11280722 A JP H11280722A JP 8136198 A JP8136198 A JP 8136198A JP 8136198 A JP8136198 A JP 8136198A JP H11280722 A JPH11280722 A JP H11280722A
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hardness
flange
fastener
caulking
circuit board
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JP8136198A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Sunamoto
昌利 砂本
Einosuke Adachi
栄之資 足立
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 信頼性を大幅に向上させ、製造方法が簡単で
製造コストを削減できるカシメ部材、その製造方法およ
びこのカシメ部材を備えた大電流回路基板を提供する。 【解決手段】 まず、銅を冷間圧造もしくは研削によっ
て板厚の均一な筒状形とフランジ部8とに加工する。そ
の後、後にカシメ部16となる部分にのみ焼鈍処理を行
い、硬度の低い部分15aと硬度の高い部分15bとが
形成されたファスナー15を製造する。最後に、ファス
ナー15をプリント基板4の貫通孔5に挿入した後油圧
プレス等を用いてファスナー15の上端からファスナー
15に荷重12をかける。その結果、硬度の低い部分1
5aは外側に膨張し、カシメ部16を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はカシメ部材とその
製造方法および大電流回路を形成するための大電流回路
基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大電流回路基板装置は従来はプリント基
板にバスバーを取り付け、回路部品を接続させたもので
あり、その取り付け方法として半田を用いて行っていた
が、工程数が多くなることや電気的、機械的信頼性が低
いという問題点があった、これを解決するものとして特
公平7−16090号公報ではファスナーであるナット
付きカシメ部品によりボルトを用いてプリント基板にバ
スバーおよび回路部品を接続するものが開示されてい
る。
【0003】図6は特公平7−16090号公報で開示
された従来の大電流回路基板を示す断面図である。図に
おいて、1は回路部品、2は回路部品1に固定されたリ
ード端子、3はリード端子2に設けられたネジ山、4は
プリント基板、5はプリント基板4に設けられた貫通
孔、6はファスナー、7はファスナー6のカシメ部、8
はファスナー6のフランジ部、9は例えば幅12mm、
厚さ1.2mmの細長い銅板で形成され、大電流を流す
ことができるバスバー、10はバスバー9に設けられた
貫通孔、11はプリント基板5およびバスバー9をリー
ド端子2に固定するネジである。
【0004】また、図7は従来のカシメ前のファスナー
を示す断面図である。図に示すように、ファスナー6は
先端のフランジ部8を除き同一外径を有する筒状体であ
る。この筒状体の板厚は2段構成になっており、フラン
ジ部8の近傍部分の板厚は遠方部分の板厚よりも薄く形
成されている。以下、フランジ部8の近傍部分を肉薄部
6a、遠方部分を肉厚部6bと称する。
【0005】図6に示した大電流回路基板は図7に示し
たファスナー6にカシメ部を形成することにより、バス
バー9から供給された大電流をファスナー6を介してプ
リント基板4の表側から裏側に通電するものである。次
に、ファスナーのカシメ方法について説明を行うことに
より大電流回路基板の製造方法について説明する。
【0006】まず、図6に示したプリント基板4の所望
の位置にファスナー6の外径より0.1mm〜0.5m
m程度大きい貫通孔5を設け、その貫通孔5にファスナ
ー6を挿入する。次に、図7に示すように、油圧プレス
等を用いてファスナー6の上端からファスナー6に荷重
12をかける。その結果、ファスナー6の軸方向13に
応力が加えられ肉薄部6aのみが外周方向に膨れるよう
に力が作用し、図6に示すように、ファスナー6に肉薄
部6aからなるカシメ部7が形成される。
【0007】その後、バスバー9の貫通孔10およびフ
ァスナー6の空洞にネジ11を挿入し、リード端子2の
ネジ穴3にネジ止めすることにより大電流回路基板が完
成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の大電流回路基板
は以上のように構成、製造されており、半導体スイッチ
ング素子例えばIGBT,IPM等の大容量化に伴い、
通電容量が増加した場合などには、ファスナーの設計変
更を行わない場合ファスナーのカシメ部の接触面積を広
げ、固着力を高めなければならない。そのためにはカシ
メ荷重を増加させファスナーのカシメ部を大きくする必
要があるが、カシメ荷重を増加させすぎるとファスナー
の肉薄部にクラックが発生し、最悪の場合ファスナーが
壊れてしまうという問題点があった。
【0009】また、ファスナーの設計変更を行うことに
よりファスナーの数を増加させたとしてもファスナーを
カシメるためにはカシメ荷重も増加させなければなら
ず、場合によってはカシメを行う装置自体を更新しなけ
ればならないという問題点があった。
【0010】更に、図7に示すように、ファスナー6に
は肉薄部6aと肉厚部6bとを形成しなければならず、
ファスナー6を形成する際に穴加工を2度行わなければ
ならず製造方法が複雑で製造コストが高くなるという問
題点があった。
【0011】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、信頼性を大幅に向上でき、製造
方法が簡単で製造コストを削減できるカシメ部材、その
製造方法および大電流回路基板を提供することを目的と
している。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
るカシメ部材は、第1の胴部の硬度を第2の胴部の硬度
よりも低くしたものである。
【0013】この発明の請求項2に係るカシメ部材は、
第1の胴部の径方向の厚みを記第2の胴部の径方向の厚
みよりも薄く形成したものである。
【0014】この発明の請求項3に係るカシメ部材は、
第1の胴部の硬度を第2の胴部の硬度よりも低く、さら
に上記第1の胴部の硬度をフランジ部に近い方から段階
的に順次硬度を高くしたものである。
【0015】この発明の請求項4に係る大電流回路基板
は、板状部材として、プリント基板および大電流通電用
のバスバーのいずれか一方または双方とするカシメ部材
を備えたものである。
【0016】この発明の請求項5に係るカシメ部材の製
造方法は、導電性金属を加工して、板厚の均一な円筒形
の胴部と上記胴部の軸方向の一端に上記胴部から径方向
外方へ突出したフランジ部とを形成する工程と、上記胴
部を上記フランジ部に近い第1の胴部と上記フランジ部
から遠い第2の胴部とに区分し、上記第1の胴部にのみ
焼鈍処理を行い上記第1の胴部の硬度を上記第2の胴部
の硬度よりも低くする工程とを備えたものである。
【0017】この発明の請求項6に係るカシメ部材の製
造方法は、導電性金属を加工して、第1の胴部と上記第
1の胴部に連なり径方向の厚みが上記第1の胴部の径方
向の厚みよりも厚い第2の胴部とからなる円筒形の胴部
と上記第1の胴部の軸方向の一端に上記第1の胴部から
径方向外方へ突出したフランジ部とを形成する工程と、
上記胴部全体に焼鈍処理を行い上記第1の胴部の硬度を
上記第2の胴部の硬度よりも低くする工程とを備えたも
のである。
【0018】この発明の請求項7に係るカシメ部材の製
造方法は、導電性金属を加工して、円筒形の胴部と上記
胴部の軸方向の一端に上記胴部から径方向外方へ突出し
たフランジ部とを形成する工程が冷間圧造による加工工
程であるものである。
【0019】この発明の請求項8に係るカシメ部材の製
造方法は、導電性金属を加工して、円筒形の胴部と上記
胴部の軸方向の一端に上記胴部から径方向外方へ突出し
たフランジ部とを形成する工程が研削による加工工程で
あるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の
実施の形態1の大電流回路基板を示す断面図である。図
において、14は半導体スイッチング素子等の電気部
品、15はカシメ部材であるファスナー、16はファス
ナー15のカシメ部、8はファスナー15のフランジ
部、9は例えば幅12mm、厚さ1.2mmの細長い銅
板で形成され、大電流を流すことができるバスバー、1
0はバスバー9に設けられた貫通孔、4は板上部材であ
るプリント基板、5はプリント基板4に設けられた貫通
孔、17はバスバー9およびファスナー15を電気部品
14に固定するネジである。
【0021】また、図2はこの発明の実施の形態1のカ
シメ前のファスナーを示す断面図である。図に示すよう
に、ファスナー15は先端のフランジ部8を除き同一外
径を有する筒状体であり、15aは第1の胴部である硬
度の低い部分、15bは第2の胴部である硬度の高い部
分である。さらに、12はファスナー15をカシメると
きの荷重であり、13はファスナー15の軸方向であ
る。
【0022】次に、ファスナー15の製造方法について
説明する。例えば、ファスナー15を導電性金属である
C1100,C1220,C1201等のJIS−H−
3100に示された銅を素材とし、研削もしくは冷間圧
造(プレス)によって板厚の均一な筒状に加工する。こ
のとき、ファスナー15は例えば長さ13.5mm、外
径9.5mm、フランジ部の外径12mmに形成され
る。その後、後にカシメ部16となる部分にのみ焼鈍処
理を行い、硬度の低い部分15aと硬度の高い部分15
bとを形成する。
【0023】ここで、銅の加工を冷間圧造で製造した場
合、銅を叩いたり引き伸ばしたりすることにより塑性変
形を起こさせてファスナー15の筒形状を形作るので、
銅の塑性変形を起こした部分は加工硬化を起こして固く
なり、結晶粒も細かくなる。また、銅の加工を研削加工
で製造した場合でも、加工速度を早めると加工時に発生
する熱と物理的な衝撃により銅は加工硬化を起こし固く
なり、その結晶粒は細かくなる。
【0024】この加工硬化を起こして固くなり、細かい
結晶粒となった銅のうち後にカシメ部16となる部分に
のみ焼鈍処理を行い加工硬化時の内部歪みを取り銅の再
結晶を起こさせ、銅を軟化させる。この焼鈍処理はファ
スナー15の焼鈍処理を行う必要のある部分15aにの
みパルスエキシマレーザ,パルスCO2レーザ,酸素バ
ーナー等で熱をかけると良い。また、ファスナー15の
寸法が大きい場合は必要な部分15aだけを油に浸した
状態で焼鈍を行っても良い。
【0025】この焼鈍処理はファスナー15の銅の加工
硬化の度合いによって条件は様々に変化する。例えば、
C1100材から冷間圧造によって加工し、油を利用し
て焼鈍してファスナー15を形成した場合では、温度は
150〜350℃,時間は15分〜6時間程度が望まし
い。
【0026】この実施の形態1の場合ではC1100材
から冷間圧造によって加工した後、150℃,3時間の
油中での焼鈍処理を行うことにより、硬度の低い部分1
5aと硬度の高い部分15bとの硬度がそれぞれビッカ
ース硬度で80,120程度となるファスナー15を製
造した。
【0027】次に、このファスナー15を使用した大電
流回路基板の製造方法について説明する。まず、図2に
示すように、ファスナー15をプリント基板4に設けら
れた貫通孔5に挿入する。この貫通孔5の寸法はファス
ナー15の外径より0.1mm〜0.5mm程度大き
い。
【0028】次に、油圧プレス等を用いてファスナー1
5の上端からファスナー15に荷重12をかける。この
とき、本発明の長さ13.5mm外径9.5mmのファ
スナー15は1個あたりのカシメ荷重12は650kg
fであり、従来の本発明と同一寸法のビッカース硬度8
5の均一なファスナー6の1個あたりのカシメ荷重12
は700kgfであった。したがって、本発明のファス
ナー15の方がカシメ荷重12を低く設定することがで
き、カシメ部にクラック等が入るのを防ぐことができ
る。これにより機械的信頼性を向上させることができ
る。
【0029】その結果、ファスナー15の軸方向13に
応力が加えられるが、このとき、ファスナー15は硬度
の低い部分15aと硬度の高い部分15bとから形成さ
れているので、硬度の低い部分15aの方が硬度の高い
部分15bよりも応力が大きくなる。そのため、荷重1
2を増加させていくと、硬度の低い部分15aの方が硬
度の高い部分15bよりも先に塑性変形を開始する。
【0030】つまり、硬度の低い部分15aは上を硬度
の高い部分15bに、下をプリント基板4に拘束される
ことによって外側に膨張し、カシメ部16を形成する。
その後、所望のカシメ形状が得られたら荷重12を取
る。その結果、ファスナー15はプリント基板4に取り
付けられ、大電流回路基板が形成される。最後に、図2
に示すように、ファスナー15,電気部品14およびバ
スバー9とをネジ17を用いてネジ止めすることにより
大電流回路基板装置が完成する。
【0031】カシメ部の直径を測定したところ、本発明
のファスナー15は12.7mm,従来のファスナー6
は12.0mmであり、本発明のファスナー15の方が
カシメ部の直径を大きく形成でき、プリント基板4との
接触面積を大幅に向上させることができた。これによっ
て電気的信頼性を向上させることができる。
【0032】また、ここではファスナー15をプリント
基板4に設けられた貫通孔5にカシメた場合について説
明を行ったが、これに限ることなく、ファスナー15は
バスバー9だけにカシメても良い。また、バスバー9と
プリント基板4との両方にカシメても良く、これは、バ
スバー9とプリント基板4とを2枚重ねたものにカシメ
ても良いし、バスバー9とプリント基板4とを個々にカ
シメても良い。
【0033】図3はバスバーとプリント基板とを個々に
カシメた図である。図において、16aは第1のカシメ
部であり、16bは第2のカシメ部である。図に示すよ
うに、プリント基板4はフランジ部8と第1のカシメ部
16aとで、バスバー9は第1のカシメ部16aと第2
のカシメ部16bとでカシメられている。このとき、第
1のカシメ部16aは第2のカシメ部16bよりも硬度
を低く形成しており、第2のカシメ部16bはファスナ
ー15の先端部分の硬度の高い部分15bよりも硬度を
低く形成している。この様にすれば、2か所で同時にカ
シメることができ、大電流回路基板を簡単に製造するこ
とができる。
【0034】また、ファスナー15をカシメる対象とし
て上記以外にも、プラスチック等でもよい。また、電気
部品14の取り付け方によってはネジ17を止めるため
の雌ネジをファスナー15の硬度の高い部分15bの内
部に設けても良い。
【0035】実施の形態2.図4はこの発明の実施の形
態2の大電流回路基板を示す断面図である。図におい
て、14は半導体スイッチング素子等の電気部品、18
はカシメ部材であるファスナー、19はファスナー18
のカシメ部、8はファスナー18のフランジ部、9は例
えば幅12mm、厚さ1.2mmの細長い銅板で形成さ
れ、大電流を流すことができるバスバー、10はバスバ
ー9に設けられた貫通孔、4はプリント基板、5はプリ
ント基板4に設けられた貫通孔、17はバスバー9およ
びファスナー18を電気部品14に固定するネジであ
る。
【0036】また、図5はこの発明の実施の形態2のカ
シメ前のファスナーを示す断面図である。図に示すよう
に、ファスナー18は先端のフランジ部8を除き同一外
径を有する筒状体である。この筒状体の板厚は2段構成
になっており、フランジ部8の近傍部分の板厚は遠方部
分の板厚よりも薄く形成されている。ここで、第1の胴
部であるフランジ部8の近傍部分を肉薄部18a、第2
の胴部である遠方部分を肉厚部18bと称する。更に、
肉薄部18aは肉厚部18bよりも硬度が低く形成され
ている。12はファスナー15をカシメるときのカシメ
荷重であり、13はファスナー15の軸方向である。
【0037】次に、ファスナー18の製造方法について
説明する。例えば、ファスナー18をC1100,C1
220,C1201等のJIS−H−3100に示され
た銅を素材とし、研削もしくは冷間圧造(プレス)によ
って加工して肉薄部18aと肉厚部18bとを有する筒
状体を形成する。その後、全体に焼鈍処理を行うと、肉
薄部18aの方が肉厚部18bよりも熱容量が小さいた
めに温度上昇が早くなり、焼鈍の進行速度が変化する。
このため、肉薄部18aの方が肉厚部18bよりも早く
焼鈍されるため肉薄部18aの方が肉厚部18bよりも
硬度を低く形成することができる。
【0038】銅の加工を冷間圧造で製造した場合、銅を
叩いたり引き伸ばしたりすることにより塑性変形を起こ
させてファスナー18の形状を形作る。このため銅の塑
性変形を起こした部分は加工硬化を起こして固くなり、
結晶粒も細かくなる。また、銅の加工を研削加工で製造
した場合でも、加工速度を早めると加工時に発生する熱
と物理的な衝撃により銅は加工硬化を起こし固くなり、
その結晶粒は細かくなる。
【0039】この加工硬化を起こして固くなり、細かい
結晶粒となった銅に焼鈍処理を行い加工硬化時の内部歪
みを取り銅の再結晶を起こさせ、銅を軟化させる。この
焼鈍処理はファスナー18の銅の加工硬化の度合いによ
って条件は様々に変化する。例えば、C1100材から
冷間圧造によって加工してファスナー18を形成した場
合では、温度は150〜400℃,時間は30分〜10
時間程度が望ましい。
【0040】この実施の形態2の場合ではC1100材
から冷間圧造によって加工した後、200℃,1時間の
焼鈍処理を行うことにより、肉薄部18aと肉厚部18
bとの硬度がそれぞれビッカース硬度で85,125程
度となるファスナー18を製造した。
【0041】次に、このファスナー18を使用した大電
流回路基板の製造方法について説明する。このとき、フ
ァスナー15は例えば長さ13.5mm、外径9.5m
m、フランジ部の外径12mmに形成される。まず、図
5に示すように、ファスナー18をプリント基板4に設
けられた貫通孔5に挿入する。この貫通孔5の寸法はフ
ァスナー18の外径より0.1mm〜0.5mm程度大
きい。
【0042】次に、油圧プレス等を用いてファスナー1
8の上端からファスナー18に荷重12をかける。この
とき、本発明の長さ13.5mm外径9.5mmのファ
スナー18は1個あたりのカシメ荷重12は550kg
fであり、従来の本発明と同一寸法のビッカース硬度8
5の均一なファスナー6の1個あたりのカシメ荷重12
は700kgfであった。したがって、本発明のファス
ナー18の方がカシメ荷重12を低く設定することがで
き、カシメ部にクラック等が入るのを防ぐことができ
る。これにより機械的信頼性を向上させることができ
る。
【0043】その結果、ファスナー18の軸方向13に
応力が加えられるが、このとき、肉薄部18aの方が肉
厚部18bよりも応力が大きくなる。そのため、荷重1
2を増加させていくと、肉薄部18aの方が肉厚部18
bよりも先に塑性変形を開始する。
【0044】つまり、肉薄部18aは上をカシメ後の肉
厚部18bに、下をプリント基板4に拘束され、外側に
膨張し、カシメ部19を形成する。その後、所望のカシ
メ形状が得られたら荷重12を取り、ファスナー15は
プリント基板4に取り付けられ、大電流回路基板が形成
される。最後に、図4に示すように、ファスナー18と
電気部品14とバスバー9とをネジ17を用いてネジ止
めすることにより大電流回路基板装置が完成する。
【0045】カシメ部の直径を測定したところ、本発明
のファスナー18は13.5mm,従来のファスナー6
は12.0mmであり、本発明のファスナー18の方が
カシメ部の直径を大きく形成でき、プリント基板4との
接触面積を大幅に向上させることができた。これによっ
て電気的信頼性を向上させることができる。
【0046】また、ここではファスナー18をプリント
基板4に設けられた貫通孔5にカシメた場合について説
明を行ったが、これに限ることなく、ファスナー15は
バスバー9だけにカシメても良い。また、バスバー9と
プリント基板4との両方にカシメても良く、これは、バ
スバー9とプリント基板4とを2枚重ねたものにカシメ
ても良いし、バスバー9とプリント基板4とを個々にカ
シメても良い。
【0047】また、ファスナー18をカシメる対象とし
て上記以外にも、プラスチック等でもよい。また、電気
部品14の取り付け方によってはネジ17を止めるため
の雌ネジをファスナー18の肉厚部18bの内部に設け
ても良い。
【0048】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、第1の
胴部の硬度を第2の胴部の硬度よりも低くしたので、カ
シメ部が軟らかく変形し易くなり、カシメ時の荷重を小
さく、カシメ部を大きく形成することができ、機械的、
電気的接続の信頼性を大幅に向上させる効果がある。
【0049】また、第1の胴部の径方向の厚みを第2の
胴部の径方向の厚みよりも薄く形成したので、カシメ部
が軟らかく変形し易くなり、カシメ時の荷重を小さくで
き、カシメ部を大きく形成することができ、機械的、電
気的接続の信頼性を大幅に向上させる効果がある。
【0050】また、第1の胴部の硬度を第2の胴部の硬
度よりも低く、さらに上記第1の胴部の硬度をフランジ
部に近い方から段階的に順次硬度を高くしたので、一つ
のカシメ部材で2個以上のカシメ対象物を一度にカシメ
ることができ、大電流回路基板を簡単に製造することが
できる。
【0051】さらに、この発明の大電流回路基板は、板
状部材として、プリント基板および大電流通電用のバス
バーのいずれか一方または双方とするカシメ部材を備え
たので、プリント基板またはバスバーにカシメ部材を強
固に固着させることができ、機械的、電気的接続の信頼
性の高い大電流回路基板を得ることができる。
【0052】さらに、この発明のカシメ部材の製造方法
は、導電性金属を加工して、板厚の均一な円筒形の胴部
と上記胴部の軸方向の一端に上記胴部から径方向外方へ
突出したフランジ部とを形成する工程と、上記胴部を上
記フランジ部に近い第1の胴部と上記フランジ部から遠
い第2の胴部とに区分し、上記第1の胴部にのみ焼鈍処
理を行い上記第1の胴部の硬度を上記第2の胴部の硬度
よりも低くする工程とを備えるようにしたので、カシメ
部材の加工が容易で、製造コストを削減できるととも
に、カシメ部が軟らかく変形し易くなるので、機械的、
電気的接続の信頼性を大幅に向上できる効果がある。
【0053】また、導電性金属を加工して、第1の胴部
の径方向の厚みが第2の胴部の径方向の厚みよりも薄い
円筒形の胴部と上記胴部の軸方向の一端に上記胴部から
径方向外方へ突出したフランジ部とを形成する工程と、
上記胴部全体に焼鈍処理を行い上記第1の胴部の硬度を
上記第2の胴部の硬度よりも低くする工程とを備えるよ
うにしたので、焼鈍処理が間単にでき、カシメ時の荷重
をより小さく、カシメ部をさらに大きく形成することが
でき、機械的、電気的接続の信頼性を大幅に向上できる
効果がある。
【0054】また、導電性金属を加工して、円筒形の胴
部と上記胴部の軸方向の一端に上記胴部から径方向外方
へ突出したフランジ部とを形成する工程が冷間圧造によ
る加工工程であるので、金属が加工硬化を起こして固く
なり、結晶粒も細かくなるので、焼鈍処理により金属を
容易に軟化させることができる効果がある。
【0055】また、導電性金属を加工して、円筒形の胴
部と上記胴部の軸方向の一端に上記胴部から径方向外方
へ突出したフランジ部とを形成する工程が研削による加
工工程であるので、金属が加工硬化を起こして固くな
り、結晶粒も細かくなるので、焼鈍処理により金属を容
易に軟化させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の大電流回路基板を
示す断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1のカシメ前のファス
ナーを示す断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の大電流回路基板を
示す断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態2の大電流回路基板を
示す断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態2のカシメ前のファス
ナーを示す断面図である。
【図6】 従来の大電流回路基板を示す断面図である。
【図7】 従来のカシメ前のファスナーを示す断面図で
ある。
【符号の説明】
4 プリント基板、8 フランジ部、9 バスバー、1
5,18 ファスナー、16,19 カシメ部、15a
硬度の高い部分、15b 硬度の低い部分、16a
第1のカシメ部、16b 第2のカシメ部、18a 肉
薄部、18b 肉厚部。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒形の胴部と上記胴部の軸方向の一端
    に上記胴部から径方向外方へ突出したフランジ部とを備
    え、上記胴部が上記フランジ部に近い第1の胴部と上記
    フランジ部から遠い第2の胴部とからなり、軸方向に加
    圧することによって上記第1の胴部を径方向外方へ屈曲
    変形させ、上記屈曲変形した第1の胴部と上記フランジ
    部とで板状部材を圧接挟持するようにしたカシメ部材に
    おいて、 上記第1の胴部の硬度を上記第2の胴部の硬度よりも低
    くしたことを特徴とするカシメ部材。
  2. 【請求項2】 第1の胴部の径方向の厚みを第2の胴部
    の径方向の厚みよりも薄く形成したことを特徴とする請
    求項1記載のカシメ部材。
  3. 【請求項3】 円筒形の胴部と上記胴部の軸方向の一端
    に上記胴部から径方向外方へ突出したフランジ部とを備
    え、上記胴部が上記フランジ部に近い第1の胴部と上記
    フランジ部から遠い第2の胴部とからなり、第1の胴部
    に板上部材を所定の間隔を有して2個以上配設し、軸方
    向に加圧することによって上記第1の胴部を径方向外方
    へ2個以上屈曲変形させ、上記屈曲変形した第1の胴部
    と上記フランジ部とで一つの板状部材を、上記屈曲変形
    した第1の胴部同士でその他の板状部材を圧接挟持する
    ようにしたカシメ部材において、 上記第1の胴部の硬度を上記第2の胴部の硬度よりも低
    く、さらに上記第1の胴部の硬度を上記フランジ部に近
    い方から段階的に順次硬度を高くしたことを特徴とする
    カシメ部材。
  4. 【請求項4】 板状部材として、プリント基板および大
    電流通電用のバスバーのいずれか一方または双方とする
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
    カシメ部材を備えた大電流回路基板。
  5. 【請求項5】 導電性金属を加工して、板厚の均一な円
    筒形の胴部と上記胴部の軸方向の一端に上記胴部から径
    方向外方へ突出したフランジ部とを形成する工程と、上
    記胴部を上記フランジ部に近い第1の胴部と上記フラン
    ジ部から遠い第2の胴部とに区分し、上記第1の胴部に
    のみ焼鈍処理を行い上記第1の胴部の硬度を上記第2の
    胴部の硬度よりも低くする工程とを備えたカシメ部材の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 導電性金属を加工して、第1の胴部と上
    記第1の胴部に連なり径方向の厚みが上記第1の胴部の
    径方向の厚みよりも厚い第2の胴部とからなる円筒形の
    胴部と上記第1の胴部の軸方向の一端に上記第1の胴部
    から径方向外方へ突出したフランジ部とを形成する工程
    と、上記胴部全体に焼鈍処理を行い上記第1の胴部の硬
    度を上記第2の胴部の硬度よりも低くする工程とを備え
    たカシメ部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 導電性金属を加工して、円筒形の胴部と
    上記胴部の軸方向の一端に上記胴部から径方向外方へ突
    出したフランジ部とを形成する工程が冷間圧造による加
    工工程であることを特徴とする請求項5または6記載の
    カシメ部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 導電性金属を加工して、円筒形の胴部と
    上記胴部の軸方向の一端に上記胴部から径方向外方へ突
    出したフランジ部とを形成する工程が研削による加工工
    程であることを特徴とする請求項5または6記載のカシ
    メ部材の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002213469A (ja) * 2000-11-20 2002-07-31 Nsk Ltd 車輪支持用ハブユニットの製造方法とその製造用押型
JP2013242010A (ja) * 2012-05-22 2013-12-05 Nippon Pop Rivets & Fasteners Ltd ボルト留め用補強カラー
JP2014078553A (ja) * 2012-10-09 2014-05-01 Toyota Motor Corp 電気機器ケース及びパワーコントロールユニット
JP2019103341A (ja) * 2017-12-06 2019-06-24 矢崎総業株式会社 配索材の接続構造
DE102018220907B4 (de) 2017-12-06 2024-07-11 Yazaki Corporation Verdrahtungselementverbindungsstruktur

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