JPH11278079A - 車両用駆動装置 - Google Patents

車両用駆動装置

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JPH11278079A
JPH11278079A JP8360798A JP8360798A JPH11278079A JP H11278079 A JPH11278079 A JP H11278079A JP 8360798 A JP8360798 A JP 8360798A JP 8360798 A JP8360798 A JP 8360798A JP H11278079 A JPH11278079 A JP H11278079A
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JP
Japan
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shaft
transmission
engagement element
gear
output
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JP8360798A
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Inventor
Toshio Kobayashi
利雄 小林
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コンパクトでかつ潤滑油の攪拌抵抗の減少が得
られ、しかも容易に4輪駆動車用駆動装置に変更可能な
車両用駆動装置を提供する。 【解決手段】縦置きエンジン10、トルクコンバータ2
0、ベルト式無段変速機30を順次連結し、エンジン1
0のクランク軸11と同軸上に出力軸51を配置し、出
力軸51の下方に出力軸51からの出力をフロントディ
ファレンシャル装置40に動力伝達するフロントドライ
ブ軸53を配置し、出力軸51にサンギヤ57がスプラ
イン嵌合するダブルピニオン式プラネタリギヤ60、変
速機30からキャリヤ65に動力伝達する入力部材5
8、キャリヤ65から出力軸51に動力伝達する第1多
板クラッチ70、リングギヤ62を回転係止する第2多
板ブレーキ80を有し、第1多板クラッチ70及び第2
多板ブレーキ80を選択的に作動せしめてフロントドラ
イブ軸53に前後進切換えして動力伝達する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縦置き配置された
エンジンに用いられる車両用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジン及び変速機を縦置きに配
置した駆動装置に関しては実開昭63−84453号公
報の先行技術がある。
【0003】この先行技術には、エンジンと、トルクコ
ンバータと、ベルト式無段変速機のプライマリ軸と、プ
ラネタリギヤ式の前後進切換装置を車体前後方向に同軸
上で配置し、ベルト式無段変速機のセカンダリ軸を上記
入力駆動系の下方に配置し、このセカンダリ軸上に別の
プラネタリギヤ式の減速機を設け、前輪または後輪へ動
力伝達する駆動系が示されている。
【0004】しかし、この駆動装置にあっては、エンジ
ン、トルクコンバータ、前後進切換装置及び変速機のプ
ライマリ軸等の入力駆動系が車体前後方向に同軸上で配
置されることから車体前後方向の長さが大となり、かつ
上記入力駆動系の下方にセカンダリ軸等の出力駆動系が
軸間を離して配置されているため、上記入力駆動系は比
較的高い位置となり、駆動系の後部が車室下部に形成さ
れるトンネル内に大きく張り出した状態でエンジンルー
ム内に収容設置される。
【0005】この駆動装置の張り出しに伴ってトンネル
が車室内に大きく張り出し、かつエンジンルームと車室
とを区画するトーボードが車室側に押しやられて車室内
の有効居住空間が制限されて居住性に影響を及ぼすと共
に、駆動装置とトーボードが接近して配置され、前面衝
突時のクラッシュストロークを充分に確保しようとする
と更に居住性に影響を与え、またエンジンルーム内の作
業空間が得難く、駆動装置の脱着時や整備等の円滑な作
業が妨げられるおそれがある。
【0006】この対策としては、エンジン、トルクコン
バータ及びベルト式無段変速機のプライマリ軸を車体前
後方向で同軸上に配置し、エンジンの下方のベルト式無
段変速機の出力駆動系であるセカンダリ軸側に前後進切
換装置を配置して変速機からの出力を前後進切換装置を
介してドライブ軸によりディファレンシャル装置に動力
伝達するように構成して車体前後方向の長さの縮小化を
図ることが考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記先行技術
のものにあっては、トルクコンバータとベルト式無段変
速機との間に介装される前後進切換装置がエンジンの下
方に位置することから車体前後方向の長さは縮小される
が、エンジンの下方に前後進切換装置が上下関係に配置
することから駆動装置の全高が増大され、エンジンフー
ドを低くする、いわゆるスラントノーズ化が制限されて
車両設計に自由度が拘束される。またこれをベースとし
た4輪駆動車用駆動装置に変更する場合には、前後進切
換装置からの出力を更に分岐する必要があり、前後進切
換装置とディファレンシャル装置との間に動力分配装置
を介在させなければならず、エンジンの下方が大きく張
り出し、かつ構造が複雑になり好ましくない。また駆動
装置の全高の低減化としては、エンジン側を右或いは左
方向に傾倒させる等が考えられるが、他の駆動装置との
車載互換性等の点で問題が生じる。
【0008】一方、一般にフロントディファレンシャル
装置、ベルト式無段変速機、前後進切換装置及び動力分
配装置を収容するトランスミッションケースは連続して
一体的に構成され、これらの内デフオイルが用いられる
フロントディファレンシャル装置を除く、ベルト式無段
変速機及び動力分配装置等は同一の潤滑油(ATF)で
潤滑する構造となっているが、これらを収容するケース
下部に貯留するスペースを確保するため、上記前後進切
換装置及び動力分配装置等の一部が潤滑油の静止油面下
に没することになる。
【0009】この状態で車両を運転すると、前後進切換
装置及び動力分配装置に潤滑油がつれ回る。この連れ回
り現象は、車速の増大に伴って顕著に表れ、潤滑油の攪
拌抵抗が増大して動力伝達効率が低下し、燃費を悪化さ
せる。
【0010】また、同一形状のエンジンルーム構造体内
にベルト式無段変速機、手動変速機(マニュアルトラン
スミッション、MT)及び有段自動変速機(オートマチ
ックトランスミッション、AT)等との車載互換性を有
することが望ましく、比較的コンパクトに設計可能な手
動変速機と全長寸法やトランスミッションケース外周寸
法、いわゆる胴回り寸法を略同一にすれば車載搭載の支
持部材や排気系の共用化が可能になる。
【0011】従って、本発明はかかる点に鑑みなされた
ものであって、その目的は、駆動装置のコンパクト化が
得られ、かつ潤滑油の攪拌抵抗の減少が得られ、しかも
構成部品の共用化を図ることにより車載互換性に優れた
4輪駆動車用駆動装置に変更可能な車両用駆動装置を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1に記載の車両用駆動装置の発明は、縦置き配置のエ
ンジンと、該エンジンからの出力が入力される変速機
と、上記エンジンのクランク軸に対して下方に配置され
てディファレンシャル装置に動力伝達するドライブ軸
と、上記エンジンのクランク軸と略同軸上に配置されて
上記ドライブ軸に動力伝達する出力軸と、該出力軸にサ
ンギヤが動力伝達可能に嵌合するダブルピニオン式プラ
ネタリギヤと、該ダブルピニオン式プラネタリギヤのキ
ャリヤに変速機からの出力を動力伝達する入力部材と、
上記ダブルピニオン式プラネタリギヤのキャリヤからの
出力を上記出力軸に動力伝達する第1摩擦係合要素と、
上記ダブルピニオン式プラネタリギヤのリングギヤを回
転係止する第2摩擦係合要素とを有し、上記第1及び第
2の摩擦係合要素を選択的に作動せしめて前後進切換え
することを特徴とする。
【0013】この請求項1の発明によると、出力軸及び
前後進切換装置となるダブルピニオン式プラネタリギ
ヤ、第1及び第2の摩擦係合要素がエンジンのクランク
軸と同軸上に配置され、ドライブ軸がクランク軸の下方
に平行配置されることから、駆動装置の高さが増大する
ことなくコンパクト化が得られ、更に出力軸、ダブルピ
ニオン式プラネタリギヤ、各摩擦係合要素等の下方に潤
滑油を貯留しコントロールバルブ等を格納するオイルパ
ンを効率的に配置することが可能になると共に、出力
軸、ダブルピニオン式プラネタリギヤ、各摩擦係合要素
等の回転部が比較的高位置に配置されて走行中における
潤滑油による攪拌抵抗の減少が得られて動力伝達に向上
及び燃費の向上が図れ、かつ潤滑油の劣化が防止され
る。
【0014】請求項2に記載の発明は、請求項1の車両
用駆動装置において、前進段は第1摩擦係合要素がキャ
リヤからの出力を出力軸に動力伝達可能でかつ第2摩擦
係合要素が上記リングギヤ回転許容状態であり、後退段
は第1摩擦係合要素が解放状態でかつ第2摩擦係合要素
が上記リングギヤ回転係止状態であることを特徴とす
る。
【0015】この請求項2の発明によると、第1及び第
2摩擦係合要素の選択的な作動により前後進切換えが可
能になると共に、サンギヤとリングギヤの歯数諸元によ
り適切な変速比が得られる。
【0016】請求項3に記載の発明は、縦置き配置のエ
ンジンと、該エンジンからの出力が入力される変速機
と、上記エンジンのクランク軸に対して下方に配置され
てフロントディファレンシャル装置に動力伝達するフロ
ントドライブ軸と、上記エンジンのクランク軸と略同軸
上に配置されて上記フロントドライブ軸に動力伝達する
出力軸と、上記変速機と入力切換手段介在許容距離離間
してサンギヤが上記出力軸に動力伝達可能に嵌合するダ
ブルピニオン式プラネタリギヤと、該ダブルピニオン式
プラネタリギヤのキャリヤに変速機からの出力を動力伝
達する入力部材と、上記ダブルピニオン式プラネタリギ
ヤのキャリヤからの出力を上記出力軸に動力伝達する第
1摩擦係合要素と、上記ダブルピニオン式プラネタリギ
ヤのリングギヤを回転係止する第2摩擦係合要素とを有
し、前進段は第1摩擦係合要素がキャリヤからの出力を
出力軸に動力伝達可能でかつ第2摩擦係合要素が上記リ
ングギヤ回転許容状態であり、後退段は第1摩擦係合要
素が解放状態でかつ第2摩擦係合要素が上記リングギヤ
回転係止状態であることを特徴とする。
【0017】請求項3の発明によると、前後進切換装置
となるダブルピニオン式プラネタリギヤ、第1及び第2
多板クラッチが、エンジンのクランク軸と同軸上に配置
されフロントドライブ軸がクランク軸の下方に配置され
ることから、請求項1及び2の発明の効果に加え、変速
機とダブルピニオン式プラネタリギヤとの間を入力切換
手段介在許容距離離間させることによって後述する4輪
駆動車用駆動装置への変更が容易な2輪駆動車用駆動装
置が提供される。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項3の車両
用駆動装置において、4輪駆動の場合は、上記エンジン
のクランク軸と略同軸上に配置されてリヤディファレン
シャル装置に動力伝達するリヤドライブ軸と、出力軸と
リヤドライブ軸との間を動力伝達する第5摩擦係合要素
と、上記入力部材に代えて設けられ、上記ダブルピニオ
ン式プラネタリギヤのリングギヤ及びキャリヤに上記変
速機からの出力を選択的に動力伝達する入力切換手段と
を有し、上記第1摩擦係合要素がダブルピニオン式プラ
ネタリギヤのキャリヤからの出力をリヤドライブ軸に動
力伝達可能であって、上記入力切換手段及び上記各摩擦
係合要素を選択的に作動せしめて上記変速機からの入力
を上記ダブルピニオン式プラネタリギヤを介して所定の
比率で動力配分及び前後進切換えしてフロントドライブ
軸及びリヤドライブ軸に動力伝達することを特徴とす
る。
【0019】請求項4の発明によると、請求項3の発明
において、第3、第4、第5の摩擦係合要素及び、リヤ
ディファレンシャル装置へ動力伝達するリヤドライブ軸
等を付加的に配設することによって請求項3における2
輪駆動車用駆動装置を比較的容易に4輪駆動車用駆動装
置に変更できる。
【0020】請求項5に記載の発明は、請求項4の車両
用駆動装置において、入力切換手段が、前進段において
係合して変速機からの出力をリングギヤへ動力伝達する
第3摩擦係合要素と、後退段において係合して変速機か
らの出力をキャリヤへ動力伝達する第4摩擦係合要素と
を有することを特徴とする。
【0021】請求項5の発明によると、前進段において
係合して変速機からの出力をリングギヤへ動力伝達する
第3摩擦係合要素と、後退段において係合して変速機か
らの出力をキャリヤへ動力伝達する第4摩擦係合要素と
により入力切換手段が構成される。
【0022】請求項6に記載に発明は、請求項4または
5の車両用駆動装置において、前進段はダブルピニオン
式プラネタリギヤがキャリヤとサンギヤに所定の比率で
動力配分するセンタディファレンシャル装置として機能
し、かつ第5摩擦係合要素を動力伝達状態にしてキャリ
ヤとサンギヤとの間の差動制限を行うことを特徴とす
る。
【0023】請求項6の発明によると、ダブルピニオン
式プラネタリギヤによってセンタディファレンシャル装
置としての機能及び第5摩擦係合要素によって差動制限
が得られ、適切な走行状態が得られる。
【0024】請求項7の発明は、請求項1から6の車両
用駆動装置において、変速機が、上記エンジンのクラン
ク軸と同軸上に配置されたプライマリ軸と、該プライマ
リ軸と平行配置されたプライマリ軸と、上記プライマリ
軸及びセカンダリ軸に各々設けられたプライマリプーリ
及びセカンダリプーリと、該プライマリプーリとセカン
ダリプーリとの間に巻き掛けられた駆動ベルトとを有
し、上記駆動ベルトのプライマリプーリとセカンダリプ
ーリとに対する巻付径の比率を換えて無段階に変速する
ベルト式無段変速機であることを特徴とする。
【0025】請求項7の発明によると、変速機を、エン
ジンのクランク軸と同軸上に配置されたプライマリ軸を
具備するベルト式無段変速機により構成することによっ
て、より駆動装置のコンパクト化が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。
【0027】図1において、本発明が適用される車両用
駆動装置としてベルト式無段変速機付2輪駆動車用駆動
装置の駆動系について説明する。
【0028】符号10は縦置き配置のエンジンであり、
縦置きエンジン10に接合されてトルクコンバータ20
を収容するトルクコンバータケース1、このトルクコン
バータケース1の後方にベルト式無段変速機30及びフ
ロントディファレンシャル40を収容するデフアンドコ
ンバータハウジング2、このデフアンドコンバータハウ
ジング2の後方に後述する軸承板3を介して前後進切換
装置50を収容するケース4及びケース4の後方に位置
してケース4の後端を閉鎖するエンドカバー5が順次接
合されてトランスミッションケース6を形成し、トラン
スミッションケース6の下部にオイルパン7が取り付け
られる。
【0029】エンジン10のクランク軸11がトルクコ
ンバータケース1内部のトルクコンバータ20に連結
し、トルクコンバータ20からの入力軸21がデフアン
ドコンバータハウジング2内部のベルト式無段変速機3
0のプライマリ軸31に連結することにより、クランク
軸11からの動力をトルクコンバータ20を介して無段
変速機30のプライマリ軸31に伝動構成される。
【0030】そして無段変速機30で無段変速した動力
をセカンダリ軸32に出力し、セカンダリ軸32からの
出力をケース4内部の前後進切換装置50に入力し、前
後進切換装置50によってディファレンシャル装置、例
えばフロントディファレンシャル装置40を介して前輪
に伝動するされる。
【0031】次に、図2乃至図4によってトルクコンバ
ータ20、ベルト式無段変速機30、フロントディファ
レンシャル装置40及び前後進切換装置50について順
次説明する。
【0032】トルクコンバータ20は、図2に要部断面
を示すようにデフアンドコンバータハウジング2及び軸
承板3にボールベアリングを介してクランク軸11に対
して同軸上で回転自在に軸支される入力軸21を有して
いる。
【0033】入力軸21は、その外周が円筒状で基端に
設けられたフランジ部がデフアンドコンバータハウジン
グ2にボルト結合されたステータ軸22によって回転自
在に囲まれ、ステータ軸22の外周にはインペラ24に
一体的に結合されたオイルポンプドライブ軸が回転自在
に軸支されている。
【0034】インペラ24は、その外周がフロントカバ
ー25の外周と一体的に結合され、フロントカバー25
の外周に設けられたスタータリングギヤ25a及びドラ
イブプレート26を介してクランク軸11にボルト結合
することによってクランク軸11と一体的に回転駆動さ
れる。
【0035】インペラ24と対向して入力軸21にスプ
ライン嵌合するタービン27が配置され、インペラ24
とタービン27との間においてステータ軸22にワンウ
ェイクラッチを介して支持されるステータ28が介装さ
れ、ステータ軸22の基端にオイルポンプドライブ軸に
よって回転駆動されるオイルポンプ8が設けられてい
る。
【0036】そして、クランク軸11が回転すると、イ
ンペラ24が回転駆動され、インペラ24の回転によっ
てオイルを介してタービン27にインペラ24の回転と
同方向のトルク伝達することによりタービン27とスプ
ライン嵌合する入力軸21を回転駆動する。
【0037】ベルト式無段変速機30は、互いに平行配
置されたプライマリ軸31及びセカンダリ軸32と、プ
ライマリ軸31とセカンダリ軸32に各々設けられたプ
ライマリプーリ33及びセカンダリプーリ34と、これ
ら両プーリ33、34間に巻き掛けられた駆動ベルト3
5とを有し、各プーリ33、34のプーリ溝巾を変える
ことにより、各プーリ33、34に対する駆動ベルト3
5の有効巻き付け径の比率を換えて無段階に変速するよ
うに構成されている。
【0038】このため上記入力軸21と一体に形成され
たプライマリ軸31に設けられるプライマリプーリ33
は、プライマリ軸31と一体に形成された固定シーブ3
3aと、この固定シーブ33aに対して軸方向への移動
を可能にする可動シーブ33bを有している。
【0039】可動シーブ33bの固定シーブ33aと反
対側の背面には断面が略L字状の第1ピストン37aが
固定されており、この第1ピストン37aはプライマリ
軸31に中心部が固定された有底円筒状の第1シリンダ
37bと協働して油圧室37Aを形成し、更に可動シー
ブ33bの背面に固定される第2ピストン37cが上記
第1シリンダ37bに連接一体に設けられた第2シリン
ダ37dに嵌合して油圧室37Bを形成すると共に、プ
ーリ溝巾を狭くする方向に可動シーブ33bを付勢する
スプリングを具備する油圧アクチュエータ37が設けら
れている。
【0040】プライマリ軸31には油圧室37A、37
Bに連通する油路が形成され、スロットル開度等に基づ
いて油圧制御ユニット9によって制御され、軸承板3に
形成される油路を介して油圧アクチュエータ37の油圧
室37A、37B内に給排する油圧によって可動シーブ
33bをプライマリ軸31に沿って移動させることによ
ってプーリ溝巾を可動制御している。
【0041】一方、プライマリ軸31と平行配置される
セカンダリ軸32は、デフアンドコンバータハウジング
2及び軸承板3にボールベアリングを介して回転自在に
軸支され、セカンダリ軸32に設けられるセカンダリプ
ーリ34は、セカンダリ軸32と一体形成された固定シ
ーブ34aと、この固定シーブ34aに対して軸方向へ
の移動を可能にする可動シーブ34bを有している。
【0042】可動シーブ34bの背面には略円筒状のシ
リンダ36aが固定されており、セカンダリ軸32に中
心部が固定されたピストン36bと協働して油圧室36
Aを形成すると共にプーリ溝巾を狭くする方向に可動シ
ーブ34bを付勢するスプリングを具備する油圧アクチ
ュエータ36が設けられている。
【0043】スロット開度等に基づいて油圧制御ユニッ
ト9によって制御されてケース4に形成される油路、ス
リーブ等を介して油圧アクチュエータ36の油圧室36
Aに油圧を給排するように構成され、かつセカンダリ軸
32の一端にはドライブスプロケット39が設けられて
いる。
【0044】ここでセカンダリプーリ34の可動シーブ
34bが油圧作用を受ける受圧面積に比べて、プライマ
リプーリ33の可動シーブ33bの油圧面積が大である
ことから油圧室37A、37B及び36Aに給排される
油圧に従ってプライマリプーリ33とセカンダリプーリ
34のプーリ溝巾が逆の関係に変化して各プーリ33、
34に対する駆動ベルト35の有効巻き付け径の比率を
無段階に変化し、無段変速した動力をセカンダリ軸32
に出力する。
【0045】フロントディファレンシャル装置40は、
デフケース41のクラウンギヤ取付部材に取り付けたク
ラウンギヤ43にテーパローラベアリング53aを介し
て回転自在に軸承板3に支持されたフロントドライブ軸
53が交差して噛み合っている。
【0046】一方、デフケース41にはピニオン軸44
aにより一対のピニオン44bが設けられ、両ピニオン
44bに噛み合う左右のサイドギヤ44cによってディ
ファレンシャルギヤ44を構成し、各サイドギヤ44c
に連結する駆動軸は、等速継手、アクスル軸等を介して
各前車輪に動力伝達する。
【0047】次に図2及び図2の要部拡大を示す図3に
よって前後進切換装置50について説明する。
【0048】前後進切換装置50は、エンジン10のク
ランク軸11、入力軸21、プライマリ軸31等に対し
て略同軸上に配置される出力軸51及び出力軸51に対
して下方に平行配置されるフロントドライブ軸53を有
している。
【0049】図2における矢視A方向からの配置を図4
に示すように、略車体幅中心軸上にクランク軸11の回
転軸芯11a、入力軸21、プライマリ軸31、出力軸
51が略車体幅中心軸上に車体前後方向に同軸上に位置
し、セカンダリ軸32がプライマリ軸31に対して略同
一高さで側方に平行配置されてプライマリプーリ33と
セカンダリプーリ34とが略同一高さで配置される。な
お符号Bは車体下部に形成されるトンネルである。
【0050】そしてフロントドライブ軸53が平面視プ
ライマリ軸31とセカンダリ軸32との間で、かつ下方
に配置されて上記クラウンギヤ43に噛合することによ
り無段変速機30との整合性を良好にして全体の上下方
向の寸法を抑えてコンパクト化を図っている。
【0051】出力軸51は、その先端にフロントドライ
ブ軸53に取り付けられたトランスファドリブンギヤ5
4と常時噛み合うトランスファドライブギヤ51aが形
成されると共に、先端部はボールベアリング51dを介
在して軸承板3にボルト結合された軸支部材48に回転
自在に軸支され、後端部はニードルベアリング52eを
介してエンドケース5に回転自在に支持されている。
【0052】また、出力軸51の軸方向中央部外周には
ダブルピニオン式プラネタリギヤ60のサンギヤ61が
嵌合するスプライン51bが形成され、また軸方向後端
部外周には後述する第1摩擦係合要素となる第1多板ク
ラッチ70のクラッチドラム71が嵌合するスプライン
51cが形成されている。
【0053】出力軸51に形成されるスプライン51b
に嵌合するダブルピニオン式プラネタリギヤ60は、ス
プライン51bにスプライン嵌合するサンギヤ61と、
リングギヤ62と、サンギヤ61及びリングギヤ62に
各々が噛み合いかつ互いに噛み合う第1及び第2のピニ
オン63、64と、第1及び第2のピニオン63、64
をニードルベアリングを介して回転自在に支持するキャ
リヤ65によって構成され、リングギヤ62をケース4
に係止することによりキャリヤ65に入力する動力によ
ってサンギヤ61をキャリヤ65に対して逆方向に回転
せしめる機能を有する。
【0054】軸支持部材48には固定軸55が設けら
れ、固定軸55は、出力軸51を囲む略円筒状であっ
て、基端のフランジ部をボルトによって軸支持部材48
に固定することで取り付けられ、固定軸62にはドライ
ブスプロケット39にサイレントチエーン49によって
動力伝達可能に連結されるドリブンスプロケット57が
ニードルベアリングを介して回転自在に設けられ、ドリ
ブンスプロケット57と上記ダブルピニオン式プラネタ
リギヤ60との間は、後述する入力切換手段109が介
装される間隙Lだけ離間している。
【0055】そしてドリブンスプロケット57とダブル
ピニオン式プラネタリギヤ60のキャリヤ65との間は
第1連結部材58a及び第1連結部材58aに連結して
後述する第4多板クラッチ120のクラッチスプライン
となる第2連結部材58bとからなる入力部材58によ
って連結されている。
【0056】ダブルピニオン式プラネタリギヤ60に対
して入力部材58と反対側には、ダブルピニオン式プラ
ネタリギヤ60のキャリヤ65からの出力を出力軸51
に動力伝達する第1多板クラッチ70が設けられてい
る。
【0057】第1多板クラッチ70は、クラッチドラム
71が出力軸51のスプライン51cに嵌合し、クラッ
チハブ72がボールベアリング72a及びブッシュ72
bのよってケース4及び出力軸51に回転自在に支持さ
れてダブルピニオン式プラネタリギヤ60のキャリヤ6
5にスプライン嵌合する。こうして第1多板クラッチ7
0はキャリヤ65と出力軸51との間に動力伝達可能に
介設される。そして油圧室73の油圧でピストン74を
介してクラッチドラム71とクラッチハブ72との間に
配設されるドライブプレート75aとドリブンプレート
75bとを圧接ことにより動力伝達するように構成され
る。ピストン74の油圧室73と反対側にはリテーナ7
6が設けられ、ピストン74にはリターンスプリング7
8の押圧力が付与されている。
【0058】ケース4とダブルピニオン式プラネタリギ
ヤ62との間にはトランスミッションケース6に係支し
てリングギヤ62を固定するための第2摩擦係合要素と
なる第2多板ブレーキ80が配設されている。
【0059】第2多板ブレーキ80は、油圧室81の油
圧でピストン82を介してケース4とリングギヤ62と
の間に配設されるドライブプレート83aとドリブンプ
レート83bとの圧接を図ることによりリングギヤ62
をトランスミッションケース6に係止固定するように構
成され、ピストン82にはリターンスプリング84の押
圧力が付与される。
【0060】トランスミッションケース6の下部に設け
られるオイルパン7内には、オイルポンプ8からの油圧
を車速センサ9a、スロットルセンサ9b、シフトスイ
ッチ9c等からの信号に基づく油圧制御回ユニット9に
よって制御され、上記第1多板クラッチ70、第2多板
ブレーキ80の各油圧室73、81及び無段変速機30
に供給するためのコントロールバルブ88が設けられて
いる。
【0061】次に、このように構成された車両用駆動装
置の作動を図5乃至図8に示す概略説明図及び図9に示
す各走行レンジにおける第1多板クラッチ70及び第2
多板ブレーキ80の連結状態を示す摩擦係合要素作動説
明図に従って説明する。この摩擦係合要素作動説明図に
おいて○印は、対応する第1多板クラッチ70及び第2
多板ブレーキ80が係合或いは作動していることを示し
ている。
【0062】先ず、エンジン10の動力は、クランク軸
11からトルクコンバータ20を介して無段変速機30
のプライマリ軸31に入力する。そしてプライマリ軸3
1、プライマリプーリ33、駆動ベルト35及びセカン
ダリプーリ34により無段階に変速してセカンダリ軸3
2に出力する。
【0063】セカンダリ軸32からの変速出力は、ドラ
イブスプロケット39からサイレントチエーン49を介
してドリブンスプロケット57に伝達され、ドライブス
プロケット39とドリブンスプロケット57の歯数諸元
に従って減速されて入力部材58を介してダブルピニオ
ン式プラネタリギヤ60のキャリヤ65へ入力される。
ここでニュートラル(N)レンジ、パーキング(P)レ
ンジでは第1多板クラッチ70及び第2多板ブレーキ8
0は共に解放されてキャリヤ65が回転駆動されて第1
及び第2のピニオン63、64がサンギヤ61の回りを
遊星回転するものの、出力軸51への動力伝達は遮断さ
れてこれ以降の動力伝達はしなくなる。
【0064】前進段となるドライブ(D)レンジでは、
第1多板クラッチ70が係合し、図5に動力伝達状態を
太線で示すようになる。即ち係合した第1多板クラッチ
70によりドリブンスプロケット57からの入力はダブ
ルピニオン式プラネタリギヤ60のキャリヤ65及び第
1多板クラッチ70を介して出力軸51をドリブンスプ
ロケット57と同方向に回転駆動し、トランスファドラ
イブギヤ51aに噛み合うトランスファドリブンギヤ5
4を介してフロントドライブ軸53を回転駆動してフロ
ントディファレンシャル装置40に動力伝達する。
【0065】従って、ダブルピニオン式プラネタリギヤ
60は、図6に示すように第2多板ブレーキ80による
リングギヤ62の係合が解除され、かつキャリヤ65と
出力軸51が第1多板クラッチ70介して一体的に結合
されることから出力軸51と共に全体が一体的に回転す
る。
【0066】一方後退段となるリバース(R)レンジで
は、第1多板クラッチ70の係合を解除すると共に、第
2多板ブレーキ80が係合して図7に動力伝達状態を太
線で示すようになる。即ち、係合する第2多板ブレーキ
80によりリングギヤ62をトランスミッションケース
6に回転係止する。
【0067】従って、ダブルピニオン式プラネタリギヤ
60は図8に示すように入力側のキャリヤ65の回転に
より互いに噛合した第1及び第2のピニオン63、64
は互いに逆方向に回転しつつリングギヤ62に沿って回
転してサンギヤ61をキャリヤ65と逆方向に回転して
出力軸51を入力側に対して逆方向に回転せしめ、出力
軸51のトランスファドライブギヤ51aに噛み合うト
ランスファドリブンギヤ54に出力してフロントドライ
ブ軸53を回転駆動する。
【0068】従ってドリブンスプロケット57からの入
力は、ダブルピニオン式プラネタリギヤ60のリングギ
ヤ62を第2多板ブレーキ80によってケース4に係止
することによりドライブ(D)レンジ状態と逆方向にフ
ロントドライブ軸53に出力され、このダブルピニオン
式プラネタリギヤ60は前後進切換機能を有する。
【0069】この場合、キャリヤ65の入力に対する出
力軸51,即ちフロントドライブ軸53に出力される変
速比は次式で設定される。
【0070】変速比=[ZS+(−ZR)]/ZS ここで上記ZS=37、ZR=82とすると、 変速比=[37+(−82)]/37=−1.216 となり、リバース(R)レンジでの減速比が適切に確保
される。
【0071】従って、ダブルピニオン式プラネタリギヤ
60及び第1多板クラッチ70、第2多板ブレーキ80
を主要部とする前後進切換装置が構成される。
【0072】よって、エンジン10のクランク軸11,
トルクコンバータ20、ベルト式無段変速機30のプラ
イマリ軸31及び出力軸51が同軸上に配置され、前後
進切換装置となるダブルピニオン式プラネタリギヤ6
0、第1多板クラッチ70、第2多板ブレーキ80が出
力軸51を囲むように出力軸51と同軸上に配置され、
フロントドライブ軸53が下方に平行配置されることか
ら、駆動装置の高さが増大することなくコンパクト化が
得られ、車室内の居住空間が容易に確保されると共に、
従来の手動変速機とトランスミッションケース6の外周
寸法、いわゆる胴回り寸法を略同一に変更可能で、手動
変速機(マニュアルトランスミッション、MT)及び有
段自動変速機(オートマチックトランスミッション、A
T)搭載車との車載互換性に優れ、搭載のための支持部
材や排気系の共用化が可能になる。
【0073】また、トーボードと駆動装置との間、即ち
トーボードの前方空間の増大に伴って衝突時のクラッシ
ュストロークが確保され、かつ駆動装置等の脱着時等作
業空間が確保できる。
【0074】更に、出力軸51、ダブルピニオン式プラ
ネタリギヤ60、第1多板クラッチ70、第2多板ブレ
ーキ80を同軸上に配置し、フロントドライブ軸53を
それらの下方かつ前方に平行配置することから、出力軸
51等の下方に潤滑油を貯留しコントロールバルブ88
を格納するオイルパン7を効率的に配置することが可能
になると共に、出力軸51、ダブルピニオン式プラネタ
リギヤ56及び第1多板クラッチ70、第2多板ブレー
キ80等の回転部が比較的上方に配置され、走行中にお
ける潤滑油による攪拌抵抗が減少して動力伝達効率の向
上が得られて燃費の向上が得れると共に潤滑油の劣化が
防止される。
【0075】上記、車両用駆動装置においてドライブス
プロケット57とダブルピニオン式プラネタリギヤ60
との間に入力切換手段を介装し、リヤディファレンシャ
ル装置に動力伝達する動力伝達機構を付加的に配設する
ことにより、上記車両用駆動装置の主要部を共用する4
輪駆動車用駆動装置を構成することができる。
【0076】そこで、図10乃至図19において上記車
両用駆動装置をベースとする4輪駆動車用駆動装置につ
いて述べる。ここで便宜上図1乃至図8と同一部分に同
一符号を付する。
【0077】図10は4輪駆動車用駆動系の概要を説明
する図であり、図11は同駆動装置の断面図、図12は
図11に示す断面図の要部拡大図である。
【0078】トランスミッションケース6を構成するケ
ース4及びエンドケース5に代えて4輪駆動車用のトラ
ンスファユニット100を収容するためのケース95及
びエクステンションケース96が軸承板3の後方に順次
接合される。
【0079】そして変速機30から入力されたエンジン
10からの駆動力をトランスファユニット100によっ
てデフアンドコンバータハウジング2内のフロントディ
ファレンシャル装置40を介して前輪に伝動構成する一
方、プロペラ軸98、リヤディファレンシャル装置99
等を介して後輪に伝動構成される。
【0080】次に図11及び図12によってトランスフ
ァユニット100の部分について述べる。
【0081】トランスファユニット100は、エンジン
10のクランク軸11、入力軸21、プライマリ軸31
等に対して略同軸上に配置される4輪駆動車用の出力軸
101、リヤドライブ軸102及び、出力軸101の下
方に平行配置される上記フロントドライブ軸53を有し
ている。
【0082】図11における矢視A方向からの配置を図
13に示すように、略車体幅中心線上にクランク軸11
の回転軸芯11a、入力軸21、プライマリ軸31、出
力軸101、リヤドライブ軸102が車体前後方向に略
同軸上に位置し、そして上記のフロントドライブ軸53
が平面視プライマリ軸31とセカンダリ軸32との間
で、かつ下方に配置されている。
【0083】従って、リヤドライブ軸102をプライマ
リ軸31と同軸上に配置することによってリヤドライブ
軸102の地上高を確保することのより、リヤドライブ
軸102から車体後方に自在継手を介して長く延設され
るプロペラ軸98等のロードクリアランスを確保してオ
フロード走行を良好にしている。
【0084】出力軸101は、その先端にフロントドラ
イブ軸53に取り付けられたトランスファドリブンギヤ
54と常時噛み合うトランスファドライブギヤ101a
が形成されると共に、先端部はボールベアリング51d
を介在して軸支部材48に回転自在に軸支され、後端部
はエクステンションケース96にボルト結合される軸保
持部材104に回転自在に支持されるリヤドライブ軸1
02にニードルベアリング101eを介して回転自在に
軸支されている。
【0085】また、出力軸101の軸方向中央部外周に
はダブルピニオン式プラネタリギヤ60のサンギヤ61
が嵌合するスプライン101bが、軸方向後端部外周に
は第5摩擦係合要素となる第5多板クラッチ130のク
ラッチハブ131が嵌合するスプライン101cが形成
されている。
【0086】出力軸101に形成されるスプライン10
1bに嵌合するダブルピニオン式プラネタリギヤ60
は、リングギヤ62に入力する動力をサンギヤ61とリ
ングギヤ62との歯車諸元によるトルク配分でサンギヤ
61とキャリヤ65に伝達し、リングギヤ62をケース
95に係止することによりキャリヤ65に入力する動力
によってサンギヤ61をキャリヤ65と逆方向に回転せ
しめる機能を有する。
【0087】ドリブンスプロケット57と上記ダブルピ
ニオン式プラネタリギヤ60との間にドリブンスプロケ
ット57からの出力をリングギヤ62或いはキャリヤ6
5に入力するための第3多板クラッチ110及び第4多
板クラッチ120とを有する入力切換手段119が設け
られている。
【0088】第3多板クラッチ110について述べる
と、固定軸55にブッシュを介して回転自在に軸支され
たクラッチドラム111がドリブンスプロケット57に
結合し、クラッチスプライン112がダブルピニオン式
プラネタリギヤ60のリングギヤ62に結合する。
【0089】このようにして第3多板クラッチ110は
ドリブンギヤ57とリングギヤ62との間にバイパスし
て動力伝達可能に介設される。そして油圧室113の油
圧でピストン114を介してクラッチドラム111とク
ラッチスプライン112との間に配設されたドライブプ
レート115aとドリブンプレート115bとの圧接を
図ることにより動力伝達するように構成されている。
【0090】またピストン114の油圧室113と反対
側にピストン116を介してリテーナ117が設けら
れ、ピストン114にはピストン116を介してリター
ンスプリング118の押圧力が付勢される。
【0091】第4多板クラッチ120について述べる
と、クラッチドラム111を第3多板クラッチ110と
共用し、クラッチスプライン121をダブルピニオン式
プラネタリギヤ60のキャリヤ65に結合する。こうし
て第4多板クラッチ120は、ドリブンスプロケット5
7とキャリヤ65との間に動力伝達可能に介設される。
【0092】そして油圧室122の油圧でピストン11
6を介してクラッチドラム111とクラッチスプライン
121との間に配設されたドライブプレート123aと
ドリブンプレート123bとの圧接を図ることにより動
力伝達するように構成され、ピストン116にはリター
ンスプリング118の押圧力が付勢される。
【0093】なお、第3及び第4多板クラッチ110及
び120の油圧室113及び122に発生する遠心油圧
は、バランス油圧室124の油圧によって相殺される。
【0094】ダブルピニオン式プラネタリギヤ60に対
して入力切換手段119と反対側にはダブルピニオン式
プラネタリギヤ60のキャリヤ65からの出力をリヤド
ライブ軸102に動力伝達する第1多板クラッチ70が
設けられる。
【0095】第1多板クラッチ70は、クラッチハブ7
2がボールベアリング72aを介在して回転自在にケー
ス95に軸支され、かつブッシュ72bを介して出力軸
101に回転自在に軸支されると共に、キャリヤ65に
スプライン嵌合する一方、クラッチドラム71がリヤド
ライブ軸102に結合されている。
【0096】そして油圧室73の油圧でピストン74を
介してクラッチドラム71とクラッチハブ72との間に
配設されたドライブプレート75aとドリブンプレート
75bとの圧接を図ることにより動力伝達するように構
成される。
【0097】出力軸101とクラッチドラム73との間
には出力軸101とクラッチドラム73とを選択的に動
力伝達する第5摩擦係合要素となる第5多板クラッチ1
30が配設される。
【0098】第5多板クラッチ130は、クラッチドラ
ム73を第1多板クラッチ70と共用すると共に、クラ
ッチハブ131が出力軸101のスプライン101cに
スプライン嵌合して出力軸101とクラッチドラム73
との間に動力伝達可能に介設される。
【0099】そして油圧室132の油圧でピストン13
3を介してクラッチドラム73とクラッチハブ131と
の間のドライブプレート134aとドリブンプレート1
34bとの圧接を図ることにより動力伝達するように構
成され、かつリテーナ135により油圧室132による
遠心油圧を相殺するバランス油圧室136が設けられ、
ピストン133にはリターンスプリング137の押圧力
が付勢される。
【0100】トランスミッションケース6の下部に設け
られるオイルパン7内には、オイルポンプ8からの油圧
を車速センサ9a、スロットルセンサ9b、シフトスイ
ッチ9c、前輪回転数センサ9d、後輪回転数センサ9
e、蛇角センサ9f等からの信号に基づく油圧制御ユニ
ット9によって制御され、各多板クラッチ及び多板ブレ
ーキ70、80、110、120、130の各油圧室及
び無段変速機30に供給するためのコントロールバルブ
88が設けられている。
【0101】次に、このように構成された4輪駆動車用
駆動装置の作動を図14乃至図18に示す概略説明図及
び図19に示す各走行レンジにおける各多板クラッチ及
び多板ブレーキ70、80、110、120、130の
連結状態を示す摩擦係合要素作動説明図に従って説明す
る。摩擦係合要素作動説明図において○印は、対応する
多板クラッチ及び多板ブレーキが係合或いは作動してい
ることを示し、(○)は後述する必要に応じて係合或い
は作動していることを示している。
【0102】先ず、エンジン10の動力は、クランク軸
11からトルクコンバータ20を介して無段変速機30
のプライマリ軸31に入力する。そしてプライマリ軸3
1、プライマリプーリ33、駆動ベルト35及びセカン
ダリプーリ34により無段階に変速してセカンダリ軸3
2に出力する。
【0103】セカンダリ軸32からの変速出力は、ドラ
イブスプロケット39、サイレントチエーン49を介し
てドリブンスプロケット57に伝達され、第3多板クラ
ッチ110と第4多板クラッチ120へ入力される。こ
こでニュートラル(N)レンジ、パーキング(P)レン
ジでは第3及び第4の多板クラッチ110、120は解
放されて動力伝達遮断状態となり、これ以降の動力伝達
はしなくなる。
【0104】前進段となるドライブ(D)レンジでは、
第3多板クラッチ110及び第1多板クラッ70が係合
し、図14に動力伝達状態を太線で示すようになる。即
ち係合した第3多板クラッチ110によりドリブンスプ
ロケット57からダブルピニオン式プラネタリギヤ60
のリングギヤ62に動力伝達すると共に、第1多板クラ
ッチ70によりダブルピニオン式プラネタリギヤ60の
キャリヤ65とリヤドライブ軸102とを動力伝達可能
に連結する。
【0105】従って、ダブルピニオン式プラネタリギヤ
60は、図15に示すように入力側のリングギヤ62が
第2ピニオン64に噛み合い、第2ピニオン64に噛み
合う第1ピニオン63がサンギヤ61に噛み合い、サン
ギヤ61及びキャリヤ65をリングギヤ62と同一方向
に回転させてサンギヤ61とキャリヤ65とに所定の配
分比でトルクを伝達しながら作動回転するように構成さ
れる。
【0106】そしてサンギヤ61とスプライン嵌合する
出力軸101を介して出力軸101のトランスファドラ
イブギヤ101aに噛み合うトランスファドリブンギヤ
54に出力してフロントドライブ軸53をリングギヤ6
2に対して逆方向に回転駆動すると共に、キャリヤ65
にスプライン嵌合するクラッチハブ72及び第1多板ク
ラッチ70を介してリヤドライブ軸102をリングギヤ
62と同一方向に回転駆動する。
【0107】また、トルク伝達時に第1ピニオン63及
び第2ピニオン64の自転と公転とによりサンギヤ61
とキャリヤ65との回転差を吸収するいわゆるセンタデ
ィファレンシャル装置として機能する。
【0108】ここで図15の略図を用いてダブルピニオ
ン式プラネタリギヤ60のトルク配分について説明す
る。
【0109】リングギヤ62の入力トルクをTi、サン
ギヤ61によるフロント側トルクをTF、キャリヤ65
によるリヤ側トルクをTR、サンギヤ61の歯数をZ
S、リングギヤ62の歯数をZRとすると、 Ti=TF+TR TF:TR=ZS:(ZR−ZS) が成立する。
【0110】このことからサンギヤ61の歯数ZSとリ
ングギヤ62の歯数ZRとを適切に設定することでフロ
ント側トルクTF及びリヤ側トルクTRの基準トルク配
分を自由に設定し得ることがわかる。
【0111】ここで上記のようにZS=37、ZR=8
2に仮定すると、 TF:TR=37:(82−37) になる。従って前後輪トルク配分率は TF:TR≒45:55 になり、前輪に約45%、後輪に約55%各々配分され
充分に後輪偏重の基準トルク配分に設定し得る。
【0112】一方第5多板クラッチ130は油圧室13
2の油圧でピストン133を介してドライブプレート1
34aとドリブンプレート134bを圧接せしめてクラ
ッチトルクTcを生じるように構成され、油圧制御ユニ
ット9によって制御されるコントロールバルブ88から
の油圧によってクラッチトルクTcを可変制御する。
【0113】ここで、前輪回転数センサ9d及び後輪回
転数センサ9eにより検出された前輪回転数NF、後輪
回転数NRは、油圧制御ユニット9に入力されるが滑り
易い路面走行時にはTF<TRの後輪偏重の基準トルク
配分で常に後輪が先にスリップすることから、スリップ
率S=NF/NR(S>0)に算出される。
【0114】このスリップ率Sと蛇角センサ9fから油
圧制御ユニット9に入力される蛇角ψとによって油圧制
御ユニット9の図16に示すマップからクラッチ圧Pc
を検索する。ここでS≧1のノンスリップではクラッチ
圧Pcは低い値にされていて、S<1のスリップ状態で
はスリップ率Sの減少に応じてクラッチ圧Pcを増大
し、スリップ率S1 以下になるとPmax に定める。この
クラッチ圧Pcにライン圧が調圧され第5多板クラッチ
130のクラッチトルクTcを可変制御する。
【0115】従って第5多板クラッチ130によってサ
ンギヤ61からのフロントドライブ軸側出力軸101
と、キャリヤ65、クラッチハブ72、第1多板クラッ
チ70を介して伝達されるリヤドライブ軸102との間
にバイパス系150が別個に構成される。
【0116】このバイパス系150では、後輪がスリッ
プすると、トランスファユニット100内で後輪回転数
NR>リングギヤ62の回転数>前輪回転数NFの差動
機能が成立し、クラッチトルクTcに応じてリヤドライ
ブ軸102側から第5板クラッチ130を介して出力軸
101にトルクがTcだけ増加して伝達し、出力軸10
1のトランスファドライブギヤ101aに噛み合うトラ
ンスファドリブンギヤ54を介してフロントドライブ軸
53に伝達され、一方リヤドライブ軸102にはクラッ
チトルクTc分を減じたトルクが伝達される。この結
果、前後輪トルクTF、TRは以下のようになる。
【0117】TF=0.45Ti+Tc TR=0.55Ti−Tc
【0118】従って、ノンスリップ状態においては、ク
ラッチトルクTcが零であることからTF:TR=4
5:55の後輪偏重にトルク配分され、後輪スリップ発
生時にクラッチトルクTcが生じると、このクラッチト
ルクTcに応じて図16に示すようにTF:TR=TF
1 :TR1 に変化して前輪トルクが積極的に増大制御さ
れ、後輪トルクが減じてスリップの発生がなくなり走破
性も良好になる。
【0119】一方前輪がスリップすると、トランスファ
ユニット100内で後輪回転数NR<リングギヤ62の
回転数<前輪回転数NFの差動機能が成立し、クラッチ
トルクTcに応じて出力軸101から第5多板クラッチ
130を介してリヤドライブ軸102にトルクが伝達
し、かつ出力軸101からトランスファドライブギヤ1
01aに噛み合うトランスファドリブンギヤ54を介し
てフロントドライブ軸53には後輪に流れたクラッチト
ルクTc分を減じたトルクが伝達され、前輪トルクが減
じてスリップの発生がなくなり走破性も良好になる。
【0120】上述のスリップの発生に伴うトルク配分制
御において旋回する場合にはその蛇角ψにより第5多板
クラッチ130の差動制限トルクが減少補正される。こ
のためトランスファユニット100の差動制限は減じて
回転数差を充分に吸収することが可能になり、タイトコ
ーナーブレーキング現象が回避され、良好な操縦性が確
保される。
【0121】後退段にとなるリバース(R)レンジで
は、第1多板クラッチ70及び第3多板クラッチ110
が解放され、第4多板クラッチ120、第5多板クラッ
チ130及び第2多板ブレーキ80が係合して図17に
示す動力伝達状態を太線で示すようになる。すなわち第
4多板クラッチ120を係合してドリブンスプロケット
57からダブルピニオン式プラネタリギヤ60のキャリ
ヤ65に動力伝達すると共に、第2多板ブレーキ80に
よりリングギヤ62をケース95に係止固定する。そし
て第5多板クラッチ130によって出力軸101からリ
ヤドライブ軸102に動力伝達可能にする。
【0122】従って、ダブルピニオン式プラネタリギヤ
60は図18に示すように入力側のキャリヤ65の回転
により互いに噛合した第1及び第2のピニオン63、6
4は互いに逆方向に回転しつつリングギヤ62に沿って
回転してサンギヤ61をキャリヤ65と逆方向に回転し
て出力軸101を入力側に対して逆方向に回転せしめ、
出力軸101のトランスファドライブギヤ101aに噛
み合うトランスファドリブンギヤ54に出力してフロン
トドライブ軸53をキャリヤ65と同方向に回転駆動す
る一方、第5多板クラッチ130を介してリヤドライブ
軸102をフロントドライブ軸53に対して逆方向に回
転駆動する。
【0123】従ってドリブンスプロケット67からの入
力は、ダブルピニオン式プラネタリギヤ60のリングギ
ヤ62を第2多板ブレーキ80によってケース95に係
止することによりドライブ(D)レンジ状態と逆方向に
フロントドライブ軸53及びリヤドライブ軸102に出
力され、このダブルピニオン式プラネタリギヤ60は前
後進切換機能を有する。
【0124】この場合、キャリヤ62の入力に対する出
力軸101すなわちフロントドライブ軸53及びリヤド
ライブ軸102に出力される変速比は次式で設定され
る。
【0125】変速比=[ZS+(−ZR)]/ZS ここで上記同様ZS=37、ZR=82とすると、 変速比=[37+(−82)]/37=−1.216 となり、リバース(R)レンジでの減速比が適切に確保
される。
【0126】一方、キャリヤ65に入力するトルクTi
はクラッチトルクTcに応じてリヤドライブ軸102に
伝達し、前輪には後輪に伝達したクラッチトルクTc分
を減じたトルクが入力され、この結果前後輪トルクT
F、TRは以下のようになる。
【0127】Ti=TF+TR TR=Ti−Tc TF=Tc
【0128】従って前輪スリップ時にはクラッチトルク
Tcを増大して、後輪トルクを積極的に増大制御して前
輪トルクを減じてスリップを生じなくして走破性を良好
にする。
【0129】更に旋回する場合には、その蛇角ψにより
第5多板クラッチ130の差動制限トルクが減少され、
回転数差を充分に吸収することが可能になり、タイトコ
ーナーブレーキング現象が回避され、操作性が良好にな
る。
【0130】従って、以上説明した本実施の形態では、
ベルト式無段変速機30の出力側に伝動構成した出力軸
101、リヤドライブ軸102を縦置きエンジン10の
クランク軸11の回転軸芯と略同軸上に配置し、フロン
トドライブ軸53を出力軸101の下方に平行配置し、
出力軸101にサンギヤ62が結合するダブルピニオン
式プラネタリギヤ60を設け、無段変速機30からの出
力をリングギヤ62に伝達する第3多板クラッチ11
0、キャリヤ65に伝達する第4多板クラッチ120、
キャリヤ65とリヤドライブ軸102を動力伝達可能に
連結する第1多板クラッチ70、出力軸101とリヤド
ライブ軸102とを動力伝達可能に連結する第5多板ク
ラッチ130及びリングギヤ62を係止する第2多板ブ
レーキ80を設け、これら第1、第3、第4及び第5の
各多板クラッチ70、110、120、130及び第2
多板ブレーキ80を制御することにより前進段であるド
ライブ(D)レンジ及び後退段であるリバース(R)レ
ンジでは前後輪に適切なトルク配分及び差動制限を可能
にするセンターディファレンシャル装置として機能して
良好な走行が得られ、かつドライブ(D)レンジ、リバ
ース(R)レンジへの切換時の前後進切換装置として機
能する。
【0131】よって、従来センターディファレンシャル
装置用及び前後進切換装置用として各々専用のダブルピ
ニオン式プラネタリギヤを要したが単一のダブルピニオ
ン式プラネタリギヤによって両機能が達成され、高性能
を維持しつつ駆動装置の構成及び制御の簡素化及び軽量
化が可能になり、コスト低減及び全長が短縮されてコン
パクト化が得られ、トーボードと駆動装置との間が充分
に離間し、車室内の居住空間が容易に確保されて居住性
がもたされる。
【0132】また、特に出力軸101、リヤドライブ軸
102、ダブルピニオン式プラネタリギヤ60及び各多
板クラッチ及び多板ブレーキ70、80、110、12
0、130がエンジン10のクランク軸11の回転軸芯
と略同軸上に配置され、フロントドライブ軸53をそれ
らの下方に平行配置することから、手動変速機とトラン
スミッションケース6の外周寸法、いわゆる胴回り寸法
を略同一に形成可能でかつ、従来一般に使用される手動
変速機、有段自動変速機と略同一のレイアウトが可能に
なり、手動変速機及び有段自動変速機等搭載車との車載
互換性に優れ、搭載のための支持部材や排気系の共用化
が可能になる。
【0133】またトーボードと駆動装置との間、即ちト
ーボードの前方空間の増大に伴って衝突時のクラッシュ
ストロークが確保され、駆動装置脱着時のの作業空間と
して有効活用できる。
【0134】更に、フロントドライブ軸53の後方で上
記出力軸101等の下方に潤滑油を貯留しコントロール
バルブ88を格納するオイルパン7を効率的に配置する
ことが可能になると共に、出力軸101、ダブルピニオ
ン式プラネタリギヤ60及び第1、第2、第3、第4及
び第5の各多板クラッチ及び多板ブレーキ70、80、
110、120、130の回転部が比較的上方に配置さ
れることから、走行中における潤滑油による攪拌抵抗が
減少して動力伝達効率の向上が得られて燃費の向上が得
れると共に潤滑油の劣化が防止される。
【0135】以上説明した実施の形態によると、2輪駆
動車用駆動装置と4輪駆動車用駆動装置との相互間にお
いて、トルクコンバータ20、ベルト式無段変速機3
0、フロントディファレンシャル装置40及びこれらを
収容するトランスミッションケース6のトルクコンバー
タケース1、デフアンドコンバータハウジング2、軸承
板3は勿論とトランスファユニット50及び100にお
いてもダブルピニオン式プラネタリギヤ60、第1多板
クラッチ70、第2多板ブレーキ80等の多くの主要部
の共用化が得られ、2輪駆動車要駆動装置をベースとし
て第3、第4及び第5の多板クラッチ及び、リヤドライ
ブ軸等のリヤディファレンシャル装置に動力伝達する動
力伝達機構を付加的に配置することにより容易に4輪駆
動車用駆動装置を構成することが可能になり大幅な製造
コストの削減が可能になる。
【0136】上記実施の形態ではトルクコンバータ20
を用いたが、トルクコンバータ20に代えて発進クラッ
チとして電磁クラッチや湿式クラッチ等を用いることも
可能であり、また無段変速機30のセカンダリ軸32に
設けられたサイレントドライブギヤ39とサイレントド
リブンギヤ57との間にサイレントチエーン49を巻き
掛けて無段変速機30からの出力をトランスファユニッ
ト50或いは100に動力伝達したが、サイレントチエ
ーン49によらずアイドルギヤを介在して動力伝達する
ことも可能であり、本発明は上記実施の形態に限定され
ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可
能である。
【0137】
【発明の効果】以上説明した車両用駆動装置によると、
前後進切換装置となるダブルピニオン式プラネタリギ
ヤ、第1及び第2摩擦係合要素が、エンジンのクランク
軸と同軸上に配置され、ドライブ軸がクランク軸の下方
に平行配置されることから、駆動装置の高さが増大する
ことなくコンパクト化が得られ、コンパクト化に伴い車
載互換性に優れ、車載状態においてトンネル内への突出
量の削減によるトンネル断面積の削減が可能で車室内の
居住空間が確保されて居住性の向上がもたらされると共
に、衝突時のクラッシュストローク及び組立、整備等の
作業空間が確保できる。
【0138】更にダブルピニオン式プラネタリギヤ、第
1及び第2摩擦係合要素等の下方に潤滑油を貯留するコ
ントロールバルブ等を格納するオイルパンを効率的に配
置することが可能になると共に、ダブルピニオン式プラ
ネタリギヤ、第1及び第2摩擦係合要素等の回転部が比
較的高位置に配置されて走行中における潤滑油による攪
拌抵抗の減少が得られて動力伝達効率の向上及び燃費の
向上が図れ、かつ潤滑油の劣化が防止される。
【0139】また、変速機とダブルピニオン式プラネタ
リギヤとの間に入力切換手段を介装し、複数の摩擦係合
要素及び動力伝達機構を付加的に配設することによって
比較的容易に4輪駆動車用駆動装置の主要部が構成で
き、共用部品が多く、大幅な製造コストの削減が可能に
なる等本発明特有の効果を有し、自動車の製造及び利用
分野に貢献すること大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用駆動装置の一実施の形態の
駆動系を示す図である。
【図2】同じく、車両用駆動装置を説明する要部断面図
である。
【図3】同じく、図2の要部拡大断面図である。
【図4】同じく、図2における矢視A方向から見た要部
配置説明図である。
【図5】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図6】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図7】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図8】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図9】同じく、作動を示す摩擦係合要素作動説明図で
ある。
【図10】同じく、本実施の形態の車両用駆動装置を4
輪駆動車用駆動装置への転用を説明する駆動系を示す図
である。
【図11】同じく、車両用駆動装置を説明する要部断面
図である。
【図12】同じく、図11の要部拡大断面図である。
【図13】同じく、図11における矢視A方向から見た
要部配置説明図である。
【図14】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図15】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図16】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図17】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図18】同じく、作用を示す概略説明図である。
【図19】同じく、作動を示す摩擦係合要素作動説明図
である。
【符号の説明】
10 エンジン 11 クランク軸 20 トルクコンバータ 30 ベルト式無段変速機 31 プライマリ軸 32 セカンダリ軸 33 プライマリプーリ 34 セカンダリプーリ 35 駆動ベルト 40 フロントディファレンシャル装置 50 前後進切換装置 51 出力軸 53 フロントドライブ軸 58 入力部材 60 ダブルピニオン式プラネタリギヤ 61 サンギヤ 62 リングギヤ 65 キャリヤ 70 第1多板クラッチ(第1摩擦係合要素) 80 第2多板ブレーキ(第2摩擦係合要素) 99 リヤディファレンシャル装置 109 入力切換手段 100 トランスファユニット 101 出力軸 102 リヤドライブ軸 110 第3多板クラッチ(第3摩擦係合要素) 120 第4多板クラッチ(第4摩擦係合要素) 130 第5多板クラッチ(第5摩擦係合要素)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】縦置き配置のエンジンと、 該エンジンからの出力が入力される変速機と、 上記エンジンのクランク軸に対して下方に配置されてデ
    ィファレンシャル装置に動力伝達するドライブ軸と、 上記エンジンのクランク軸と略同軸上に配置されて上記
    ドライブ軸に動力伝達する出力軸と、 該出力軸にサンギヤが動力伝達可能に嵌合するダブルピ
    ニオン式プラネタリギヤと、 該ダブルピニオン式プラネタリギヤのキャリヤに変速機
    からの出力を動力伝達する入力部材と、 上記ダブルピニオン式プラネタリギヤのキャリヤからの
    出力を上記出力軸に動力伝達する第1摩擦係合要素と、 上記ダブルピニオン式プラネタリギヤのリングギヤを回
    転係止する第2摩擦係合要素とを有し、 上記第1及び第2の摩擦係合要素を選択的に作動せしめ
    て前後進切換えすることを特徴とする車両用駆動装置。
  2. 【請求項2】前進段は、第1摩擦係合要素がキャリヤか
    らの出力を出力軸に動力伝達可能でかつ第2摩擦係合要
    素が上記リングギヤ回転許容状態であり、 後退段は、第1摩擦係合要素が解放状態でかつ第2摩擦
    係合要素が上記リングギヤ回転係止状態であることを特
    徴とする請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 【請求項3】縦置き配置のエンジンと、 該エンジンからの出力が入力される変速機と、 上記エンジンのクランク軸に対して下方に配置されてフ
    ロントディファレンシャル装置に動力伝達するフロント
    ドライブ軸と、 上記エンジンのクランク軸と略同軸上に配置されて上記
    フロントドライブ軸に動力伝達する出力軸と、 上記変速機と入力切換手段介在許容距離離間してサンギ
    ヤが上記出力軸に動力伝達可能に嵌合するダブルピニオ
    ン式プラネタリギヤと、 該ダブルピニオン式プラネタリギヤのキャリヤに変速機
    からの出力を動力伝達する入力部材と、 上記ダブルピニオン式プラネタリギヤのキャリヤからの
    出力を上記出力軸に動力伝達する第1摩擦係合要素と、 上記ダブルピニオン式プラネタリギヤのリングギヤを選
    択的に回転係止する第2摩擦係合要素とを有し、 前進段は第1摩擦係合要素がキャリヤからの出力を出力
    軸に動力伝達可能でかつ第2摩擦係合要素が上記リング
    ギヤ回転許容状態であり、後退段は第1摩擦係合要素が
    解放状態でかつ第2摩擦係合要素が上記リングギヤ回転
    係止状態であることを特徴とする車両用駆動装置。
  4. 【請求項4】4輪駆動の場合は、 上記エンジンのクランク軸と略同軸上に配置されてリヤ
    ディファレンシャル装置に動力伝達するリヤドライブ軸
    と、 出力軸とリヤドライブ軸との間を動力伝達する第5摩擦
    係合要素と、 上記入力部材に代えて設けられ、上記ダブルピニオン式
    プラネタリギヤのリングギヤ及びキャリヤに上記変速機
    からの出力を選択的に動力伝達する入力切換手段とを有
    し、 上記第1摩擦係合要素がダブルピニオン式プラネタリギ
    ヤのキャリヤからの出力をリヤドライブ軸に動力伝達可
    能であって、上記入力切換手段及び上記各摩擦係合要素
    を選択的に作動せしめて上記変速機からの入力を上記ダ
    ブルピニオン式プラネタリギヤを介して所定の比率で動
    力配分及び前後進切換えしてフロントドライブ軸及びリ
    ヤドライブ軸に動力伝達することを特徴とする請求項3
    に記載の車両用駆動装置。
  5. 【請求項5】入力切換手段が、 前進段において係合して変速機からの出力をリングギヤ
    へ動力伝達する第3摩擦係合要素と、 後退段において係合して変速機からの出力をキャリヤへ
    動力伝達する第4摩擦係合要素と、 を有することを特徴とする請求項4に記載の車両用駆動
    装置。
  6. 【請求項6】前進段は、ダブルピニオン式プラネタリギ
    ヤがキャリヤとサンギヤに所定の比率で動力配分するセ
    ンタディファレンシャル装置として機能し、かつ第5摩
    擦係合要素を動力伝達状態にしてキャリヤとサンギヤと
    の間の差動制限を行う請求項4または5に記載の車両用
    駆動装置。
  7. 【請求項7】上記変速機が、 上記エンジンのクランク軸と同軸上に配置されたプライ
    マリ軸と、 該プライマリ軸と平行配置されたプライマリ軸と、 上記プライマリ軸及びセカンダリ軸に各々設けられたプ
    ライマリプーリ及びセカンダリプーリと、 該プライマリプーリとセカンダリプーリとの間に巻き掛
    けられた駆動ベルトとを有し、 上記駆動ベルトのプライマリプーリとセカンダリプーリ
    とに対する巻付径の比率を換えて無段階に変速するベル
    ト式無段変速機であることを特徴とする請求項1〜6に
    記載の車両用駆動装置。
JP8360798A 1998-03-30 1998-03-30 車両用駆動装置 Withdrawn JPH11278079A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005088770A (ja) * 2003-09-18 2005-04-07 Advics:Kk 車両の前後輪駆動力配分制御装置
WO2006046868A1 (en) * 2004-10-29 2006-05-04 Dti Group B.V. Drive provided with a continuously variable transmission and a changeable reverse shaft

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