JPH11276858A - 含フッ素化合物ガスの分解剤およびその製造法 - Google Patents

含フッ素化合物ガスの分解剤およびその製造法

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JPH11276858A
JPH11276858A JP10098231A JP9823198A JPH11276858A JP H11276858 A JPH11276858 A JP H11276858A JP 10098231 A JP10098231 A JP 10098231A JP 9823198 A JP9823198 A JP 9823198A JP H11276858 A JPH11276858 A JP H11276858A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉状酸化鉄を固相還元して鉄粉を製造するさ
いに副生する還元残渣物の新たな用途を見いだす。 【解決手段】 酸化鉄原料,炭素質還元剤および石灰質
系添加剤を容器内に装填して900℃以上鉄の融点以下
の温度に加熱して酸化鉄原料を鉄粉にまで還元したあ
と,この還元処理物から還元鉄粉を分離して得た還元残
渣物からなる含フッ素化合物ガスの分解剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,含フッ素化合物ガ
スを分解するための分解剤およびその製造法に関する。
本明細書において,「含フッ素化合物ガス」とは,炭素
数が1〜6の炭化水素類の水素の一部または全部をフッ
素で置換した弗化炭素類,これら弗化炭素類のフッ素の
一部または水素の一部がフッ素以外のハロゲン元素で置
換されたハロゲン化弗化炭素類,さらには,窒素または
硫黄のフッ素化合物例えばNF3やSF6等の,常温常圧
で気体状の化合物,或いは常温では液体であるが他の不
活性ガスが同伴すると0.01容量%以上のその蒸気を
含む混合ガスを生成する化合物を言う。
【0002】
【従来の技術】前記に定義した含フッ素化合物ガスは熱
的に安定であり,熱媒体として,或いは半導体製造プロ
セスにおけるエッチング用やクリーニング用のガスとし
て利用されているが,大気中に放出されると,分解され
ないまま成層圏に達してオゾン層を破壊したり,大気中
に滞留して地球温暖化に影響を及ぼすことが懸念されて
おり,使用後には分解することが好ましいとされてい
る。すなわち,使用済の含フッ素化合物ガスは無害物質
に分解されることが必要である。
【0003】従来より,かような含フッ素化合物ガスを
分解する技術として,燃焼分解法,反応剤分解法,触媒
分解法等が提案されている。このうち分解作用をもつ反
応剤を用いる反応剤分解法は,設備的にも費用的にも,
また二次処理の簡易さにおいても他の方法にない利点が
ある。
【0004】このような含フッ素化合物ガスの分解法と
して,固体状炭素とアルカリ土類金属の酸化物を含有し
た分解剤を使用する方法を本願と同一出願人らは開発し
た(例えば特開平6−293501号 特開平7−24
255号,特開平8−187302号公報,特開平9−
24242号公報,特開平9−24243号公報,特開
平10−15349号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記の反応剤分解法に
用いる分解剤は,原材料費用に加えて種々の製造工程を
経るので製造費用も嵩むという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決する手
段として,本発明によれば,酸化鉄原料,炭素質還元剤
および石灰質系添加剤を容器内に装填して900℃以上
鉄の融点以下の温度に加熱して酸化鉄原料を鉄粉にまで
還元したあと,この還元処理物から還元鉄粉を分離して
得た還元残渣物からなる含フッ素化合物ガスの分解剤を
提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明者らは,固相還元法による
還元鉄粉製造の際に発生する廃材が含フッ素化合物ガス
の分解剤として極めて有用な性能を有することを見い出
した。
【0008】粉状鉄鉱石を粉状炭素質材料で固相還元す
る鉄粉製造法はいわゆるヘガネス鉄粉法としてその原理
が旧来より知られているが,工業的にこれを実施する場
合には,耐火性容器(窯)内に酸化鉄原料(鉄鉱石,ミ
ルスケール,硫酸滓等の酸化鉄の粉状物質)と炭素質還
元剤(例えばコークス粉,チャー炭,木炭,活性炭等の
粉状の炭素質材料)を装填すると共に,主として原材料
中のS(硫黄)を固定するためのカルシウム源(通常は
石灰粉)も同時に装填し,該容器に蓋をしてトンネル炉
内を通炉させる。
【0009】このようにして,容器内に装填された酸化
鉄原料,炭素質還元剤および石灰質系添加剤を900℃
以上鉄の融点以下の温度に加熱して酸化鉄原料を鉄粉に
まで還元するのであるが,この還元処理を終えたあとは
窯が冷えてから還元処理物を窯から取出し,この還元処
理物から還元鉄粉を分離する工程に移す。この分離工程
は通常は磁選機や分級機を用いる乾式の機械的方法で実
施され,これによって還元鉄粉と還元残渣物とに分別さ
れる。分離された還元鉄粉は各種の用途例えば溶接棒
用,粉末冶金用,発熱剤用,脱酸素剤用,その他に供さ
れる。他方,還元残渣物については,分級処理によって
分別された100μm以上の粒度のものは炭素源を比較
的多量に含有しているので,再度還元剤として使用可能
であるが,100μm未満の粒度のものは再利用するに
は炭素源が少なく且つ再利用に適さない夾雑物も多いの
で,そのまま廃材となっている。
【0010】このようにして副生する還元残渣物は,こ
れまで他の利用方法がなかったのが実状である。ところ
が,この還元残渣物は含フッ素化合物ガスの分解剤とし
て極めて有用な性質を自然に備えていることを本発明者
らは見い出した。すなわち,後記の実施例に示すよう
に,該還元残渣物に含フッ素化合物ガスを所要温度で接
触させると,該化合物をほぼ完全に分解できることを知
った。該還元残渣物は還元処理時に高温で処理されてい
るので,一種の焼結処理がなされており,これを分析し
てみると,単体炭素分が約10〜40wt.%,CaO分と
して約20〜40wt.%,鉄分が約2〜15wt.%,硫黄分
が約2〜15wt.%であって,これらの成分および反応物
が一体的に混和された組織状態を有している。このよう
なことから,該還元残渣物はこのままで含フッ素化合物
ガスの分解剤として極めて有用な性質を有しているもの
と考えられる。
【0011】含フッ素化合物ガスとして用いる本発明の
前記還元残渣物は,単体炭素分が少なくとも10wt.%以
上,好ましくは20wt.%以上で,CaO分が約20wt.%
以上,好ましくは30wt.%含有するものであるのがよ
く,したがって,この条件を満たすものであれば,還元
処理物から還元鉄粉を磁選機で分離した状態のもの,こ
れをさらに分級して得られた粗粒分および細粒分のいず
れのものでも使用可能であるが,そのうちでも,磁選後
のものを分級して得られた細粒分を使用するのが最も経
済的である。しかし,磁選後のものを分級して得られた
粗粒分はそれなりの大きな粒径を有しており且つ比較的
ポーラスで強度も有する粒体であるので,特に二次処理
を行わなくてもそのまま分解剤として使用できる形態を
有している点で,細粒分のものにはない有利な面があ
る。
【0012】また,該還元残渣物が単体炭素分やCaO
分が比較的低濃度の成分組成を有するものとして得られ
た場合には,これを主原料として,これに適量の単体状
炭素および/またはアルカリ土類金属の酸化物を配合し
て含フッ素化合物ガスの分解に適する形態に変えること
ができる。また,該還元残渣物が微粉状の形態で得られ
た場合にはこれを分解剤に適する大きさの粒子に造粒す
ることもできる。
【0013】還元残渣物を主原料として,これに単体状
炭素および/またはアルカリ土類金属の酸化物を適量配
合して分解剤を構成する場合には,還元残渣物に炭素質
材料(例えばチャー炭,コークス,木炭又は活性炭な
ど)とアルカリ土類金属の酸化物,水酸化物,または塩
類等の化合物等を所望量混合して造粒するのがよい。造
粒に際しては,水またはエタノール等を用いてペースト
状とし,これを押し出し機等でペレット状とすることが
でき,ついで造粒品を乾燥処理するか,場合によっては
熱処理を行う。熱処理を行う場合には,該造粒品を不活
性ガス雰囲気下で300〜700℃の温度範囲で熱処理
すればよい。このようにして,必要量の単体状炭素およ
び/またはアルカリ土類金属の酸化物を含有した含フッ
素化合物ガス分解剤が得られる。また,これらの配合物
に加えて,必要に応じてアルカリ金属例えばカリウム等
が含有されるように,アルカリ金属源を適量配合するこ
ともできる。
【0014】反応剤を構成する単体状炭素とアルカリ土
類金属の酸化物の相対割合は,両者の重量比で言えば,
半々か後者の方が多めの方がよい。単体状炭素(C)
と,アルカリ土類金属酸化物(MO)(Mはアルカリ土
類金属)とのモル比で言えば,C/MOのモル比=0.
9〜2.3,好ましくは0.9〜1.9,さらに好ましく
は1.4〜1.9である。
【0015】前記の単体状炭素およびアルカリ土類金属
に加えてアルカリ金属が反応剤中に共存すると,共存し
ない場合に比べて分解温度を低下させても,高い分解率
で弗化炭素類を分解することができるようになる。アル
カリ金属としては,Li,Na,K,Rb,Csなどが
あるが,Kが顕著に分解温度を低下させることができる
ことが判明している。反応剤中のアルカリ金属量として
は,アルカリ土類金属を1.0としたときの原子比で0.
01〜0.3の範囲であればよく,この比が0.3より多
くなるように含有しても,その効果は飽和すること,ま
た単体状炭素およびアルカリ土類金属の含有量が相対的
に低下することから,好ましいことではない。またこの
比が0.01未満では,分解温度を低下させる効果が見
られない。好ましいアルカリ金属量はこの比が0.02
〜0.2の範囲,さらに好ましくは0.03〜0.1の範
囲である。
【0016】アルカリ金属としてKを反応剤中に含有さ
せるには水酸化物,炭酸塩,リン酸塩,アルミン酸塩,
硝酸塩または硫酸塩等の化合物の形態で配合すればよ
く,これら化合物を単独で或いは複合して,粉状のもの
はそのまま,塊状のものは100μm以下に粉砕して配
合すればよい。また,これら化合物の水溶液で添加する
こともできる。このように,反応剤中に適量のK成分が
存在すると,低い分解温度でも十分な弗化炭素類が分解
する理由については必ずしも明確ではないが,この場合
には,分解に供する弗化炭素類の気体中に酸素が含まれ
ていなくても(無酸素雰囲気下でも),低い温度で十分
な分解が進行することから,反応剤の活性が高まるので
あろうと推察される。
【0017】このようにして構成した本発明に従う含フ
ッ素化合物ガス分解剤は,分解しようとする含フッ素化
合物ガスと,含フッ素化合物ガスの種類に応じて酸素の
存在下もしくは不存在下で所要の温度で接触させると,
効率よく分解することができる。例えば,パーフルオロ
カーボンまたはハイドロフルオロカーボンは,酸素の存
在下で300℃以上の温度で本発明の分解剤と接触させ
ると効率よく分解させることができる。この場合の加熱
温度の下限はパーフルオロカーボンまたはハイドロフル
オロカーボンの種類によって異なる。必要な温度を維持
すれば,酸素が存在しない場合にも或る程度分解する。
他方,クロロフルオロカーボン等の塩素含有のフロンガ
スの場合には,同じ反応剤を用いて同じように分解処理
を行っても,酸素の存在はそれほど寄与することなく,
非酸化性雰囲気の方がより分解が進行する場合もある。
【0018】含フッ素化合物ガスが弗化窒素の場合に
は,本発明に従う分解剤と200℃以上の温度で接触さ
せることにより効率よく分解できる。そのさい,分解剤
との接触温度を200〜450℃の範囲とするか若しく
は700℃以上とすると弗化炭素の副生を抑制でき,ま
た分解剤との接触温度を350℃以上とすると窒素酸化
物の副生を抑制できる。
【0019】含フッ素化合物ガスが弗化硫黄の場合に
は,本発明に従う分解剤と300℃以上の温度で接触さ
せることにより効率よく分解できる。そのさい,分解剤
との接触温度を450℃以上とすると硫黄酸化物例えば
SO2の副生を抑制できる。
【0020】含フッ素化合物ガスが弗化窒素または弗化
硫黄の場合には,単体状炭素およびアルカリ土類金属の
一種または二種以上に加えて,さらにアルカリ金属の一
種または二種以上を適量含有した分解剤を使用すると,
アルカリ金属を含有しない場合に比べて,低域の温度域
から窒素酸化物や硫黄酸化物の副生をより有利に抑制で
きる。
【0021】いずれにしても,含フッ素化合物ガスを本
発明の分解剤と接触させる場合には処理対象とする該ガ
スを不活性ガス例えば窒素ガスをキャリヤとして所定の
温度に維持された分解剤に連続的または間欠的にに供給
するようにするのが便宜である。図1にその分解法の例
を示す。
【0022】図1は,本発明法を実施する装置の一例を
示したものである。図中の1は金属製の反応容器(管)
であり,この中に本発明に従う分解剤2が装填される。
図例のものは管状の反応容器1を縦型にしたものであ
り,分解剤2は容器内に固定した通気性床3の上に装填
されている。反応容器1の金属管としてはステンレス鋼
またはニッケル基合金からなる管を使用することができ
る。
【0023】反応容器1は加熱炉4内に設置される。図
示の加熱炉4は,通電により発熱する発熱体を用いた電
気ヒータ5を熱源としたもので,この電気ヒータ5によ
って炉内雰囲気6の温度が所要の温度に昇温し,この炉
内の熱が金属製反応容器壁を介して反応剤2に伝達され
る。炉内雰囲気6の温度を所要の温度に高めることがで
きるものであれば,熱源としては電気ヒータに限られる
ものではない。例えば燃焼排ガスなどの高温ガスを熱源
とすることもできる。
【0024】このようにして加熱炉4内に設置される反
応容器1には被処理ガス導入口7が設けられ,この被処
理ガス導入口7は含フッ素化合物ガス(図例では弗化炭
素ガス)を入れた弗化炭素容器8に配管接続される。弗
化炭素容器8は必要に応じて加熱手段9により間接加熱
できるようにしておき,この加熱により弗化炭素容器8
内のガス圧を高める。また,容器8からのガス放出管1
0には流量調整弁11を介装する。図1の実施例では,
弗化炭素容器8に加えて,酸素ガスボンベ12と窒素ガ
スボンベ13を別置きし,これらから,酸素ガスと窒素
ガスをそれぞれ流量調整弁14,15を介装したガス放
出管16,17を経ていったんガスヘッダー18に導く
と共にこのヘッダー18に弗化炭素を導くことにによ
り,弗化炭素ガスに酸素ガスを添加すると共にキャリヤ
としての窒素ガスを混合し,このヘッダー18で混合さ
れた被処理ガスをガス供給管19を経て反応容器1の被
処理ガス導入口7に送り込むようにしてある。
【0025】なおこの例に限らず,含フッ素化合物ガス
(被処理ガス),窒素および酸素を予め混合してなる混
合ガスを一つの容器内に準備し,この混合ガスを直接的
に被処理ガス導入口7に送り込むようにしてもよいし,
被処理ガス容器8に窒素ガスを送り込み,この窒素ガス
によって被処理ガスを容器から強制的に送り出し,その
放出管路に酸素ガスを添加するようにしてもよい。いず
れにしても,酸素ガス導入管を容器8自身または容器8
から被処理ガス導入7に至るまでの配管に接続するよう
にする。
【0026】他方,反応容器1のガス排出口20には排
ガス管路21が接続され,この排ガス管路21はハロゲ
ン吸収ビン22に接続され,このビン22にガス放出管
23が取付けられている。また,排ガス管路21にはサ
ンプリング管24が取付けられ,このサンプリング管2
4でサンブリングされた排ガスはガス分析器25に送ら
れる。
【0027】図1の装置において,反応容器1内の分解
剤2には加熱炉4内の雰囲気温度が容器壁を通じて伝達
されるが,分解反応や分解剤中の炭素の酸化反応等の反
応による熱収支と,導入ガスと排出ガスによって出入す
る熱容量の収支によって温度が変化するが,図示のよう
に,分解剤2のほぼ中心に挿入された温度センサー(熱
電対)31によって,反応帯域の温度を温度測定器32
で検出し続け,この温度が所定の温度に維持されるよう
に,熱源5からの供給熱量を制御する。また,加熱炉4
内の炉内雰囲気6の温度も温度センサー33によって検
出しその検出値に基づいて加熱炉自体の温度制御も適宜
行う。
【0028】このようにして,被処理ガス中のフッ素化
合物ほぼ完全に(100%近い分解率)で分解し,分解
したフッ素は反応剤中のアルカリ土類金属と反応してフ
ッ化アルカリ土類金属となり,排ガス中には弗化炭素類
やフッ素は残存しなくなる。なお,排ガスは図示しない
排ガス酸化装置に導くことにより,排ガス中のCOの全
てをCO2に酸化させることができる。
【0029】
【実施例】〔実施例1〕酸化鉄原料(鉄鉱石換算で約7
2重量%),炭素質還元剤(カーボン換算で約25重量
%)およびカルシウム源(生石灰換算で約3重量%)か
らなる粉状原料を耐火製容器に装填して蓋をし,最高温
度1150℃まで約20時間で加熱し,その最高温度1
150℃で約70時間均熱処理したあと,炉冷および放
冷した。この処理を経た容器内材料を容器から取出し,
磁選機で還元鉄粉と還元残渣物とを分離した。
【0030】分離された粉粒状の還元残渣物を分析した
ところ,単体状炭素が27.3重量%,非炭素系固形分
が71.3重量%,揮発分が1.4重量%であった。非炭
素系固形分の約半分はCaOであり,鉄を含有してい
る。CaOと鉄の分析を行ったところ,CaO量は還元
残渣物中の35.3重量%であり,Fe量は還元残渣物
中の2重量%であった。このFeはその殆んどが金属鉄
である。
【0031】この還元残渣物の粉粒体をいったん水と混
練し,得られたペースト状物を平均粒径約6mmの疑似
粒子にに造粒し,乾燥したあと,窒素雰囲気中で600
℃で熱処理した。得られた焼成品を整粒し1.4〜4.0
mmの粒体品を得た。
【0032】得られた粒体品を図1の反応容器1内に1
00g装填し,分解に供する含フッ素化合物ガスとして
パーフルオロエタン(C26)を使用し,本文で説明し
たように被処理ガスに酸素ガスを添加するとともに,窒
素ガスをキャリアとして反応管1に導入した。その際,
被処理ガスの流量は0.15リットル/分の一定とし,
パーフルオルエタンと酸素ガスの濃度はいずれも10vo
l.%とした。
【0033】被処理ガスの導入は,発熱体5への通電を
開始し,分解剤2の中心部の温度が800℃となった事
を確かめた上で行った。反応の間は,分解剤2の中心部
(反応剤の嵩のうちもっとも高温となる部位)に挿入し
た熱電対31で計測される温度が800℃が維持される
ように管状炉の通電量を制御した。
【0034】反応管1から排出される排ガスの一部はサ
ンプリングし続けてガス分析器25に導き,残部は苛性
ソーダ溶液を入れたフッ素吸収ビン22を通じた後系外
に排出した。排ガスの分析は排ガス中に含まれる弗化炭
素,その他のフッ素化合物,O2 ,N2 ,CO2 ,CO
について行なった。弗化炭素,O2 ,N2 ,CO2
ついてはガスクロマトグラフィを使用し,COについて
はCOガス検知管を使用し,その他のフッ素化合物につ
いてはイオンクロマトグラフィを用いた。
【0035】処理結果を表1に示した。表1の反応結果
の欄に示した30分後の分解率,弗化炭素の分解量,反
応剤のCaO消費率はそれぞれ次のようにして求めたも
のである。
【0036】〔30分後の分解率%〕反応開始から30
分経過した時点の排ガスサンプルから,排ガス中に残存
している弗化炭素量を測定し,被処理ガス中の弗化炭素
に対する排ガス中の弗化炭素の100分率をもって表し
た。
【0037】〔弗化炭素の分解量(g)〕反応終点まで
に分解した弗化炭素の量である。反応終点は分解率が9
5%に低下した時点とした。実際には,30分毎の排ガ
ス分析値から30分毎の分解率を求め,各30分間に流
入した弗化炭素量にその時の分解率を掛けた値をその3
0分間の分解量とし,反応開始から分解率が95%に低
下する時点までの分解量の積算値をもって,弗化炭素の
分解量(g)とした。
【0038】〔反応剤のCaO消費率%〕前記の反応終
点に至るまでに消費した分解剤中のCaO量の百分率で
ある。CaOの消費はCaF2 の生成で起きると仮定
し,反応終点までに分解した弗化炭素中のフッ素量の積
算値と,排ガス中に検出されるフッ素量の積算値とか
ら,Caに固定されたフッ素量の積算値を求め,反応終
点までに消費したCaO量を算出した。
【0039】表1の結果から該還元残渣物単独からなる
分解剤を使用した場合でも,非常に安定な含フッ素化合
物ガスであるパーフルオルエタンの30分後の分解率は
ほぼ100%に達し,弗化炭素の分解剤として非常に有
用であることがわかる。
【0040】〔実施例2〕分解剤中の単体状炭素とCa
Oとのモル比(C/CaO)が1.67となるように,
実施例1と同じ還元残渣物に消石灰を配合した以外は,
実施例1と同様に処理して焼成された粒体品を得た。こ
の粒体品を分解剤として実施例1と同じ条件でパーフル
オルエタンの分解に供した。その処理結果を表1に併記
した。
【0041】〔参考例〕チャー炭と消石灰をC/CaO
のモル比が1.67となるように混合し,実施例1と同
じように処理して焼成された粒体品を得た。この粒体品
を分解剤として実施例1と同じ条件でパーフルオルエタ
ンの分解に供した。その処理結果を表1に併記した。
【0042】
【表1】
【0043】〔実施例3〕パーフルオロエタンに代え
て,バーフルオロメタン,トリフルオロメタン,1,
1,1,2−テトラフルオロエタンを使用した以外は,
実施例1と同様の試験を行った。ただし,各ガスの分解
温度については,800℃,450℃,350℃とし
た。試験結果を表2に示す。表2には参考のために実施
例1の上記の結果も併記した。表2の結果から,いずれ
の被処理ガスの場合にも,30分後の分解率はほぼ10
0%に達することがわかる。
【0044】
【表2】
【0045】〔実施例4〕パーフルオロエタンに代え
て,3弗化窒素,6弗化硫黄を使用した以外は,実施例
1と同様の試験を行った。試験結果を表3に示した。表
3に見られるように,いずれの被処理ガスも30分後の
分解率はほぼ100%に達し,また副生成物の発生も見
られなかった。
【0046】
【表3】
【0047】〔実施例5〕実施例1で得た還元残渣物
に,K/Caの原子比が0.04/1となるように水酸
化カリウムを添加した後,実施例1と同様に処理して焼
成された粒体品を得た。この粒体品を分解剤として分解
温度700℃として実施例1と同様にパーフルオルエタ
ンの分解に供した。その処理結果を表4に示した。表4
に見られるように,分解温度が実施例1より低くても3
0分後の分解率はほぼ100%に達した。
【0048】
【表4】
【0049】〔実施例6〕パーフルオロエタンに代え
て,フロン113(C2Cl33 )を使用し,そして分
解処理時に酸素ガスを供給しなかった以外は,実施例1
と同様の試験を行った。その結果を表5に示したが,3
0分後の分解率はほぼ100%に達した。
【0050】
【表5】
【0051】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によると,
粉状酸化鉄を固相還元するさいの副生物である還元残渣
物の新たな用途が拡大され,資源の有効利用が図られる
と共にそれを廃棄する場合と比べて環境改善がなされ,
しかもそれが新たな製品価値を有することから還元鉄粉
の製造原価の低下に資することができる。そして,含フ
ッ素化合物ガスの無害化に貢献できると共に,その無害
化処理のための低廉な分解剤を供給できるので,含フッ
素化合物ガスの分解コストの低減に大きく寄与すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を実施する装置の一例を示した機器配
置系統図である。
【符号の説明】
1 反応容器 2 分解剤 3 通気性床 4 加熱炉 5 電気ヒーター 8 弗化炭素源 12 酸素ガス源 13 窒素ガス源 20 ガス排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浦野 広明 岡山県岡山市築港栄町7番地 同和鉄粉工 業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化鉄原料,炭素質還元剤および石灰質
    系添加剤を容器内に装填して900℃以上鉄の融点以下
    の温度に加熱して酸化鉄原料を鉄粉にまで還元したあ
    と,この還元処理物から還元鉄粉を分離して得た還元残
    渣物からなる含フッ素化合物ガスの分解剤。
  2. 【請求項2】 該還元残渣物そのものだけからなる請求
    項1に記載の含フッ素化合物ガスの分解剤。
  3. 【請求項3】 該還元残渣物を主原料とし,これに適量
    の単体状炭素および/またはアルカリ土類金属の酸化物
    を配合してなる請求項1に記載の含フッ素化合物ガスの
    分解剤。
  4. 【請求項4】 アルカリ金属の化合物をさらに配合して
    なる請求項2または3に記載の含フッ素化合物ガスの分
    解剤。
  5. 【請求項5】 酸化鉄原料,炭素質還元剤および石灰質
    系フラックスを容器内に装填して900℃以上鉄の融点
    以下の温度に加熱して酸化鉄原料を鉄粉にまで還元した
    あと,この還元処理物から還元鉄粉を分離し,この還元
    鉄粉を分離して得た還元残渣物に,炭素質材料およびア
    ルカリ土類金属含有材料を混合し,その混合物を造粒す
    ることからなる含フッ素化合物ガス分解剤の製造法。
  6. 【請求項6】 混合物にはアルカリ金属の化合物がさら
    に配合される請求項5に記載の含フッ素化合物ガス分解
    剤の製造法。
  7. 【請求項7】 造粒品を不活性ガス雰囲気下で300〜
    700℃の温度範囲で熱処理する請求項5または6に記
    載の含フッ素化合物ガス分解剤の製造法。
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