JPH11269687A - 電解用電極 - Google Patents

電解用電極

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JPH11269687A
JPH11269687A JP10073730A JP7373098A JPH11269687A JP H11269687 A JPH11269687 A JP H11269687A JP 10073730 A JP10073730 A JP 10073730A JP 7373098 A JP7373098 A JP 7373098A JP H11269687 A JPH11269687 A JP H11269687A
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JP
Japan
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iridium
coating layer
platinum
electrode
thickness
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JP10073730A
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English (en)
Inventor
Minoru Ogiso
稔 小木曽
Eisaku Ushiku
英作 牛久
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Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Original Assignee
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩素発生効率が高く、長寿命な白金イリジウ
ム系電極を提供する。 【解決手段】 チタニウム基材上に、厚さ 0.1〜 5μm
の白金被覆層、厚さ 0.1〜 5μmのイリジウム被覆層及
び厚さ 0.1〜 0.5μmのイリジウム酸化物被覆層が順に
形成された電極とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希薄な食塩水を電気分
解して殺菌効果を持つ強酸性水を生成するための電極、
有機物含有排水の電解清浄化処理等の用途に使用される
不溶性電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強酸性水は殺菌効果をもつ水で、 100mg
/lから1000mg/l程度の濃度の希薄な食塩水を隔膜電気分
解して陽極液より得られる。強酸性水の電解生成では、
市水と濃厚食塩水を混合して電気分解する方法がとられ
ている。市水中には、カルシウムやマグネシウムが含ま
れているため、強酸性水製造装置の稼働につれて、電極
上にはカルシウム塩やマグネシウム塩が付着してくる。
これらを除くために、電極極性を反転させる逆電解操作
を行う。強酸性水製造に用いる電極としては、チタニウ
ム等の弁金属基材上に酸化イリジウム単体や酸化イリジ
ウムと金属白金等からなる電極活性材料をバインダとと
もに焼成して形成させる焼き付け電極やチタニウム等の
弁金属基材上に白金メッキを施した電極等が用いられて
きた。この内白金メッキによる電極は、電極の製造条件
を焼き付け電極に比べて安定して製造できる利点があ
り、寿命において安定した特性を示し、電圧の上昇が緩
やかに起こるために、電極の交換時期を予め予測するこ
とが出来る利点があり、さらに逆電解操作に丈夫である
利点がある。しかし、焼き付け電極に比べて、希薄な食
塩水中での塩素発生効率が劣る欠点があり、より多くの
電流を隔膜電気分解セルに投入する必要があるので、結
果として電極寿命が短くなってしまうという問題が有っ
た。
【0003】白金メッキを施した電極は、触媒活性物質
層が金属白金であるので、消耗がおこっても、不導体化
した電極基材にかかる電圧と白金メッキ部分にかかる電
圧の差は、焼き付け電極に比べて大きい。基材は保護さ
れ、剥落部に流れていた電流は剥落を起こしていない触
媒活性物質層に流れるようになる。従って高電流密度条
件や高電圧条件下でも基材の損傷を抑制される。白金層
と電極基材との間の損傷も、徐々に進むので、電極の消
耗は電圧の上昇などで、事前に判断できる。消耗は、徐
々にすすむため前述の酸化イリジウムを含む焼き付け電
極に比べて、交換計画を立てやすい。しかし火力発電に
おける冷却水用の海水電解を例にとれば、陽極として使
用した際に、酸素の発生量が多く塩素の発生量が少なく
なってしまう欠点がある。すなわち酸素発生が支配的で
あり、酸素以外の電解生成物を得る場合には不利であ
る。また酸素を発生する場合においても、酸素過電圧が
高く電力を多く投入する必要がある。電流密度が高けれ
ばなおさらにこの傾向は、顕著になる。従って工業用の
不溶解性陽極を用いた電解操作では、寿命判定や電解条
件を加味して酸化イリジウムを含む焼き付け電極や白金
の電解などが適宜用いられている。
【0004】さらに、これら電極の改良として、多孔質
の白金層に酸化イリジウム等の白金族金属酸化物を3次
元的に担持した電極が提案されている(特開昭58−1
71589号公報)。この発明の代表的実施形態は、電
気メッキによって形成された多孔質白金被覆層に白金族
金属酸化物を形成する化合物含有溶液を塗布し、熱分解
によって白金被覆層の表面及び孔内に白金族金属酸化物
を形成担持させて得られる3次元的電極構造であり、こ
の構造をとることにより、白金と白金族金属酸化物とい
う2つの電気化学的活性成分の有する利点を最大限に活
用し、低い過電圧と高い耐久性を有す電極を得るという
発明の効果をもたらす点に特徴がある。
【0005】しかしながら、上記の3次元構造からなる
電極を用いた場合においても、昨今の厳しい使用条件下
すなわち、高電流密度条件や高電圧条件下では耐久性の
点で必ずしも満足出来ない状況が発生することがある。
例えば、長期の使用において、白金族金属酸化物層が白
金層から剥落してしまい、著しい特性の劣化が観察され
る例が見られるが、これは白金層中の孔内であっても液
中反応場になる限り液の流通による物理的剥離の危険に
さらされており、反応時電極表面に印加された電圧によ
って形成される局部電場が引き金となって白金族金属酸
化物層の剥落が生じるものと推測される。この場合、前
述の熱分解法で形成された白金族金属酸化物層では白金
層との接合強度が不足することが原因して、剥落が進行
しやすいものと推定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来電極の欠点である高電流密度条件や高電圧条件下での
基材の損傷を抑制することができるとともに、塩素など
酸素以外の電解生成物の生成効率に優れた電極を提供す
るものである。
【0007】
【課題をを解決するための手段】本発明は、チタニウ
ム、ニオブ及びタンタルより選択される1種以上の金属
を含む電極基材上に、(a)白金被覆層、(b)イリジ
ウム被覆層及び(c)イリジウム酸化物被覆層が順に形
成されてなる電極である。白金被覆層及びイリジウム被
覆層の厚みを 0.1〜5 μmとし、イリジウム酸化物被覆
層の厚みを 0.1〜0.5 μmとすることが望ましい。この
ような構造を採用することにより、白金被覆層とイリジ
ウム被覆層とは金属同士のため、またイリジウム被覆層
とイリジウム酸化物被覆層とは同一元素成分系のため高
い接合強度を有するものであり、電極全体としての膜強
度が向上するものと考えられ、結果として後述するよう
な高耐久性を維持出来る所となる。
【0008】本発明によれば、5A/dm2以上200A/dm2以下
といった高電流密度条件や高電圧条件下での基材の損傷
を抑制し、酸化イリジウム電極などと同様の触媒活性の
得られる電極が得られる。また電極の寿命点付近では、
電解電圧の上昇または、電解電流の低下が徐々に始まる
ため、電圧値や電流値の変化で事前に電極の寿命を判定
できる。酸化イリジウム電極の欠点と白金メッキ電極の
欠点を補うことができるので、電極の利用分野におい
て、応用範囲が広くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】基材に用いるチタニウム、ニオ
ブ、タンタル等の弁金属の入手は容易である。ニオブと
タンタル、ニオブとチタニウム等の合金も好ましい。電
気化学的活性成分層の剥落後に、基材表面が不動態化し
て、電極基材が保護されれば良いからである。基材の前
処理には、エメリーによるブラスト処理や化学エッチン
グ法により基材表面を粗にしておくとメッキ電着物と基
材との密着性が良くなる。化学エッチング法において
は、フッ化物によるエッチング液がよく用いられるが、
この他にも、濃硫酸、塩酸、シュウ酸などによる液が使
用されフッ化物と混合して使用されることもある。これ
らの処理の他に、メッキ前の基材のコンディションを整
えるための、硫酸浸漬工程や水洗工程、フッ化物溶液中
での酸化物除去工程等の公知の前処理方法を組み合わせ
ても良い。
【0010】白金被覆層とイリジウム被覆層形成方法に
は、特に限定はなく、薄板を圧着接合したいわゆる白金
イリジウムクラッド、真空蒸着やスパッタリング等のド
ライメッキ、湿式電気メッキ等の種々の方法が適用可能
である。電気メッキの場合、硫酸浴のほか中性浴やアル
カリ浴のものを適宜選択して使用できる。イリジウムと
白金の間に、白金−酸化物の拡散層を形成させてもよ
い。
【0011】イリジウム酸化物層の形成には、いわゆる
「熱分解法」が好適である。「熱分解法」によれば、イ
リジウム化合物溶液をイリジウム被覆層に塗布乾燥し、
加熱することによりイリジウム被覆層上に薄く均一なイ
リジウム酸化物の膜が形成される。熱処理温度は、大気
または簡便な酸化雰囲気で、概ね 400℃乃至 800℃の範
囲で行う。 400℃未満では、長寿命化にあまり効果がな
く、大気で行った場合800℃を超えた温度では基材の酸
化が激しく好ましくない。 800℃を超えた温度で熱処理
を施す場合は、基材の損傷を防止するために、真空下、
窒素雰囲気、アルゴン雰囲気で処理するのが良いが、設
備費用やコストがかかる。処理時間は、概ね数分から数
時間程度であるが、長時間行う場合には低い温度で、短
時間で行うためには高い温度で良い。熱処理条件は、適
宜選択すれば良いが、大気中では、 450℃から 650℃の
間で10分から60分程度が良い。こうして熱分解によって
生成するイリジウムは上記温度範囲では容易に酸化され
る為、ほぼ完全なイリジウム酸化物膜が形成されている
ものと考えられる。イリジウム酸化物被覆層の形成に際
して、熱処理が行われるので、電極寿命は増大する。こ
のようにして熱処理を施したものは、白金メッキによる
単層の電極を熱処理した際の、寿命に対する効果は、1.
3 倍程度であるが、本発明の多層膜電極においては、熱
処理の効果は2.5 倍であった。この効果は電気メッキに
よる結晶の成長方向、粒子の生成と熱処理との相互作用
によるものと考えられる。
【0012】本発明による電極では、表面から順に酸化
イリジウム、イリジウム、白金の被覆層が形成されてい
る。電極表面の酸化イリジウムが剥落もしくは消耗した
場合でも、電気分解に伴いイリジウムは、陽極酸化によ
り酸化イリジウムに変化すると考えられる。海水電解を
例にとれば、正電解中、酸化イリジウムの作用により、
高い塩素発生効率が得られるが、上記の通り、本発明の
電極にあっては、第2層のイリジウムが消耗し尽くさな
い限り、常に酸化イリジウムが表面に露出した形態を取
れるため、安定的に塩素発生効率が得られる。
【0013】さらに、基材とイリジウム被覆層の中間に
白金被覆層を設けているので、イリジウムの回収が容易
になるという効果と電極基材が保護されるという効果が
ある。使用済みのイリジウムを使用した電極から、イリ
ジウムを回収するには塩酸塩素水にて溶解する方法があ
る。しかし、表面の僅かなイリジウムを回収する際に、
基材も溶解してしまうので、薬液を多く使用し、基材を
再利用することができない。中間に白金被覆層を設ける
と、王水により白金部分が溶解しイリジウムは箔、及び
微細な粉として基材より分解することができる。基材に
は、チタニウム、ニオブ、タンタル等の金属や合金を用
いるので、王水には溶解しないため、少ない薬液で回収
することができ、基材も再利用することができる。分離
されたイリジウム粉や箔、白金の溶液は、前述の方法に
比べれば、回収は容易である。イリジウム被覆層の下地
に、白金被覆層が形成してあるため、イリジウム被覆層
が消耗しても基材が露出することはない。露出した白金
被覆層は電解に寄与するので、仮にイリジウム被覆層の
剥落が進んでも、電解性能の低下は抑えられる。電圧の
上昇は、この間に徐々に進行するので、白金被覆層が露
出しはじめた時点で電極を交換すれば良い。
【0014】熱処理が加えてあると、白金被覆層の上層
には、イリジウムの拡散層が生じている。このため、白
金層が露出した当初は、白金イリジウムの合金に近い状
態なので熱処理を加えた電極は、更に優れた特性を示
す。
【0015】酸化イリジウム被覆層の厚みは 0.1〜 0.5
μmとし、イリジウム被覆層の厚みは、経済性や作業性
を考慮して 0.2から 5.0μm程度施すのが好ましい。ま
た白金については、 0.1から 2.0μm程度にするのが良
い。特に白金については、電極のイリジウム被覆層の消
耗が始まり、交換するまでの時間を考慮して設定するこ
とができる。
【0016】本発明による電極は、低い電流密度から高
電流密度まで使用することができ、5A/dm2以上の条件に
おいて優れた性能を示す。上限は、実用面を考えて200A
/dm2以下とする。
【0017】以下本発明の実施例について説明する。
【0018】
【実施例1】幅10mm長さ 100mmのリードをもつ縦40mm×
横50mm×厚さ 1mmのチタニウム板を電極基材として本発
明の電極を作成した際の実施例について示す。まず、チ
タニウム板をサンドブラスト法により粗化してメッキの
前処理とした。メッキの前処理は、酸性脱脂液(日本エ
レクトロプレイティング・エンジニヤース株式会社製:
イートレックス15)に30秒浸漬の後、水洗し、アルカリ
性脱脂液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤ
ース株式会社製:イートレックス11)に超音波下で1分
間浸漬し水洗いした。さらにチタンの酸化皮膜を除去す
るため、 1%の硝酸を含む 5%の酸性フッ化アンモニウ
ム溶液に1分間浸漬し、水洗、 5%硫酸溶液30秒浸漬を
行い、水洗した。前処理の後、浴温50℃、電流密度0.5A
/dm2、撹拌条件下で白金メッキを行い、1.4μm厚の白
金被覆層を形成した。白金メッキ浴は、ジニトロジアン
ミン白金塩をベースとした硫酸浴によって行った。続い
て浴温80℃、電流密度0.15A/dm2 、撹拌条件下でイリジ
ウムメッキを行い0.6μm厚のイリジウム被覆層を形成
した。イリジウムメッキ浴は、ヘキサブロモイリジウム
(III)酸ナトリウムとシュウ酸による浴によって行っ
た。最後に塩化イリジウム酸ナトリウム10gを20mlのブ
タノールに溶解した溶液を上記白金・イリジウム被覆層
上に塗布乾燥後、大気中 600℃で5時間焼成し、イリジ
ウム酸化物被覆層を形成した。被覆層全体の膜厚は2.15
μmであった。
【0019】(評価1、有効塩素濃度測定)海水電解や
ソーダ電解を想定して、塩素の発生効率を測定した際の
試験の方法について示す。幅60mm、長さ 100mmの電極を
6枚使用し、極間距離 3mmで 5セルとしたバイポーラ型
隔膜電解槽に、 2 l/分の速度で陰極液流量と陽極液流
量比を 1:1とし、20℃の塩化ナトリウム溶液(濃度 100
0ppm)を流した。隔膜には、プラチックの枠に整流桟の
付いたものに、フッ素系の陽イオン交換膜を張ったもの
を使用した。1セルあたり電流密度で7.5A/dm2、の電流
を印加し、5分後に陽極側より流出する液中の有効塩素
濃度を沃素滴定法により測定したところ116ppmであっ
た。
【0020】(評価2、寿命試験)本実施例は、電極の
寿命試験をした際の方法について示す。横幅20mm、縦幅
80mm、深さ 100mmの塩化ビニル製の水槽に、下部より塩
化ナトリウムの溶液を送り込む入口を設け、深さ20mmの
ところより液がオーバーフローする液排出口を設けた無
隔膜電解セルにて加速寿命試験を実施した。実施例1に
て示した電極寸法である幅10mm、長さ 100mmのリードを
もつ縦40mm×横50mm×厚さ1mmの電極を陰極および陽極
とし、極間距離 3mmにてセルの中央に配し、200A/dm2
電流密度で 700時間定電流電解を行ない、結果を図1に
示す。なお塩化ナトリウム溶液は、室温にて濃度5g/1の
ものを 50ml/分の速度で連続して試験セルに送り込ん
だ。本試験では、電流密度を高くして加速試験となるよ
うにしている。この試験方法に従い寿命試験を行ったと
ころ、本発明にかかる電極は表面がわずかに黒ずんだも
のの、被覆層の厚みにほとんど変化がなく、 700時間経
過時点での消耗量はわずか0.05μm(約 2.3%に相当)
であった。
【0021】
【実施例2】実施例1に示した電極の寸法のチタニウム
板を5%フッ酸に1分浸漬して表面を粗化した。別に、
白金箔とイリジウム箔を重ねてから圧接して白金の厚み
が 100μmでイリジウムの厚みが 300μmのクラッド状
金属箔を用意し、前記チタニウム板に白金側を下にして
載せ、圧接してイリジウム被覆と白金被覆がなされたチ
タニウム板を作成し、最後に実施例1と同様にして酸化
イリジウムをイリジウム被覆層上に形成した。こうして
6枚の試料を用意し実施例1の手順により寿命試験を行
ったところ、電極の表面がわずかに黒ずんだが、電極厚
みはほとんど変化がなかった。
【0022】
【実施例3】実施例2と同様にしてフッ酸により表面粗
化したチタニウム板を用意し、実施例1の手順によって
白金被覆層、イリジウム被覆層、酸化イリジウム被覆層
を順に形成した後、実施例1の手順にしたがってイリジ
ウム被覆層、酸化イリジウム被覆層を順にもう1層ずつ
形成した。これを実施例1の手順により寿命試験を行っ
たところ、電極の表面がわずかに黒ずんだが、被覆層の
厚みにはほとんど変化がなく、 700時間経過時点での消
耗量はわずか0.05μm(約 1.8%に相当)で寿命試験前
の2.85μmから2.80μmに減少しただけであった。
【0023】
【従来例1】実施例1に示した電極の寸法のもので、チ
タニウムの板に白金メッキにより平均厚みが2.05μmの
白金被覆層のみを形成した電極を6枚用意した。この電
極についても実施例1の手順により有効塩素濃度測定を
行ったところ、濃度45ppmに止まり、実施例1をかなり
下回った。また実施例1の手順により寿命試験を行い、
結果を図1に併せて示した。図1からわかるように、電
極の著しい消耗が認められ、被覆層膜厚が寿命試験 700
時間経過時点で約1.00μm即ち被覆層のほぼ半分が消耗
していた。
【0024】
【従来例2】従来例1に示した電極の寸法のもので、チ
タニウムの板に白金メッキにより白金被覆層のみを形成
したものについて実施例1の手順により酸化イリジウム
被覆層を形成した試料を6枚作成した。実施例1の手順
により有効塩素濃度測定を行ったところ80ppmであり、
実施例1をやや下回った。さらに実施例1の手順により
寿命試験を行ったところ、電極の消耗が認められ、被覆
層の厚みが寿命試験前の2.15μmから1.95μmに減少
し、消耗量は0.20μm(約 9.3%に相当)にも及んでい
た。
【0025】以上示したように、本発明及び従来例2に
よる電極は、最外層に設けた酸化イリジウム被覆層の働
きで有効塩素濃度が高いことから、塩素発生効率が高い
が、従来例1に示した様に白金メッキのみでは塩素発生
効率が低く、酸素発生が多くなることがわかる。また、
寿命試験に示した通り、本発明にかかる電極は加速電解
試験を行った場合膜厚減少量が、従来例1〜2に比べ、
はるかに少なく長寿命であることがわかる。
【0026】
【発明の効果】本発明による、酸性水生成用電極によれ
ば、 (1)イリジウムの電気メッキによる電極の構成によ
り、電極の長寿命化と、メンテナンス上での利点を得る
ことができる。 (2)高電流密度条件での電極の消耗を抑え、ひいては
本発明を組み込んだ装置では、長期間の使用に耐えう
る。 (3)高価な貴金属を容易に回収することができ、基材
も再利用が可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明と従来例との比較評価を行うために実施
した電極寿命試験の結果を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタニウム、ニオブ及びタンタルより選
    択される1種以上の金属を含む電極基材上に、(a)白
    金被覆層、(b)イリジウム被覆層及び(c)イリジウ
    ム酸化物被覆層が順に形成されてなる電極。
  2. 【請求項2】 白金被覆層及びイリジウム被覆層の厚み
    が 0.1〜 5μmであり、イリジウム酸化物被覆層の厚み
    が 0.1〜 0.5μmであることを特徴とする請求項1に記
    載の電極。
  3. 【請求項3】 白金被覆層及びイリジウム被覆層はメッ
    キによって形成されたものであり、イリジウムの酸化物
    被覆層はイリジウムの化合物溶液を熱分解して形成され
    たものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    電極。
  4. 【請求項4】 上記(a)(b)(c)の3層が繰返し
    形成されてなる請求項1乃至3に記載の電極。
JP10073730A 1998-03-23 1998-03-23 電解用電極 Pending JPH11269687A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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