JP4478255B2 - 酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法 - Google Patents

酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法に関し、更に詳しくは、高い透明性を有し、かつ、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ、特に、環境温度が変化しても水蒸気バリア性の変化が少ない温度依存性に優れた酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れた包装用材料として種々のものが開発され、提案されているが、それらの一つとして、近年、酸化アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、あるいは、酸化ケイ素蒸着ポリエステルフィルム等の無機酸化物の蒸着膜を有する蒸着フィルムが知られている。
而して、上記の酸化アルミニウム蒸着ポリエステルフィルムは、酸化ケイ素蒸着ポリエステルフィルムと比較して、ボイル包装適性、あるいは、レトルト包装適性等に優れ、更に、透明性等にも優れていることから、近年、軟包装分野において、広範に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の酸化アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム等の酸化アルミニウム蒸着フィルムにおいて、高い透明性を有する酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造するために、例えば、酸化アルミニウムを蒸発源として蒸着する場合があるが、この場合には、透明性に優れたものを製造することはできるという利点を有するが、酸化アルミニウムの蒸発温度が高く、かつ、その熱効率が著しく劣ることから、高コストになるという問題点があり、更に、蒸着時に基材フィルムへの熱的影響が大きいという問題点もある。
このため、基材フィルムの上に、気相中で酸化アルミニウム蒸気と酸素ガスとを反応させながら酸化アルミニウムの蒸着膜を形成する反応蒸着方法が知られているが、この場合、酸素ガスの供給量が多いと、高透明な酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造することができるが、酸素ガスバリア性等が劣るという問題点があり、また、酸素ガスの供給量が少ないと酸素ガスバリア性等は良くなるが、透明性が劣り、更に、透明性を高めるために、空気中に放置して完全に酸化させることも試みられているが、この場合には、その処理に長時間を必要とし、コスト的に問題点がある。
また、蒸着インラインで酸化アルミニウム蒸着膜面に酸素プラズマを照射し、その蒸着膜面に、反応性の高い高活性酸素を導入し、酸化アルミニウムと水酸化アルミニウムとからなる複合膜を形成する方法も知られているが、この場合には、複合膜が、よりアモルファスになり、例えば、温度変化により酸素ガスバリア性が大きく変化し、温度依存性の高い、使用性に劣る複合膜になるという問題点がある。
更にまた、蒸着オフラインで酸化アルミニウム蒸着膜面を処理することにより、上記と同様に、酸化アルミニウムと水酸化アルミニウムとからなる複合膜を形成する方法も知られているが、この場合においても、上記と同様に、温度依存性が高くなり、高温において酸素ガスバリア性が劣化する複合膜になるという問題点がある。
いずれにしても、酸化アルミニウム蒸着フィルムは、その酸化アルミニウム蒸着膜が、高い透明性を有するという利点があるが、酸素ガスバリア性等において酸化ケイ素蒸着樹脂フィルムよりも劣り、酸素ガスバリア性、水蒸気ガスバリア性等について、酸化ケイ素蒸着樹脂フィルムに及ばないものである。
また、酸化アルミニウム蒸着フィルムにおいて、その酸素ガスバリア性、水蒸気ガスバリア性等を上げるために、酸化アルミニウム蒸着膜の膜厚を厚くすることも試みられているが、酸化アルミニウム蒸着膜の膜硬度が高く、例えば、積層ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工工程において酸化アルミニウム蒸着膜にクラックが発生し、その要をなさないという問題点がある。
更に、基材フィルムの表面に、予め、蒸着用アンダ−コ−ト剤等をコ−ティングし、酸化アルミニウム蒸着膜あるいは酸化ケイ素蒸着膜等との密着強度等を向上させて、その酸素ガスバリア性、水蒸気ガスバリア性等を向上させることも試みられているが、酸化アルミニウム蒸着膜の場合には、その効果が認められないものである。
そこで本発明は、高い透明性を有し、かつ、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ、特に、環境温度が変化しても水蒸気バリア性の変化が少ない温度依存性が充分に小さい酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々検討の結果、基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中で反応させながらその反応系をインラインで調整して、得られる蒸着フィルムの500nmでの全光線透過率を、上記の基材フィルムの500nmでの全光線透過率を100としたときに、90〜98%の範囲の全光線透過率を有する微着色状態である酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して蒸着フィルムを製造し、次いで、該蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、次に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面が外側になるように巻き返し、しかる後、上記の巻き返した蒸着フィルムを温度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環境中に48時間以上放置して恒温恒湿処理することにより蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜を高透明化し、当該蒸着フィルムの500nmでの全光線透過率を99%以上に改質させてなる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造したところ、極めて高い透明性を有し、更に、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ、特に、環境温度が変化しても水蒸気バリア性の変化が少ない温度依存性が充分に小さい酸化アルミニウム蒸着フィルムを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中で反応させて酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した蒸着フィルムであり、更に、該蒸着フィルムが、その500nmでの全光線透過率を、基材フィルムの500nmでの全光線透過率を100としたときに、90〜98%の微着色状態になるようにインラインで調整しながら酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した蒸着フィルムからなり、かつ、該蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜を内側にして巻き取り、次に、その酸化アルミニウムの蒸着膜を外側に巻き返した後、温度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環境中に48時間以上放置して、該蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜を高透明化し、当該蒸着フィルムの500nmでの全光線透過率を99%以上に改質させてなることを特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法等に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法について説明すると、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムは、まず、真空蒸着装置等を使用し、基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中で反応させながらその反応系をインラインで調整して、得られる蒸着フィルムの500nmでの全光線透過率を、上記の基材フィルムの500nmでの全光線透過率を100としたときに、90〜98%の範囲の全光線透過率を有する微着色状態である酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して蒸着フィルムを製造し、次いで、該蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、次に、更に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面が外側になるように巻き返し、しかる後、上記の巻き返した蒸着フィルムを温度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環境中に48時間以上放置して恒温恒湿処理を施すことにより製造することができるものである。
【0007】
上記の本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法について、その一例である巻き取り式真空蒸着機を例示して更に具体的に説明すると、図1に示すように、巻き取り式真空蒸着装置1の真空チャンバ−2の中で、巻き出しロ−ル3から繰り出す基材フィルム4は、ガイドロ−ル5、6を介して、冷却したコ−ティングドラム7に案内され、ここで、るつぼ8で蒸着源9として熱せられたアルミニウム(金属)を蒸発させ、その際に、酸素吹き出し口10より酸素ガス等を供給し、上記のアルミニウム蒸気と酸素ガスとを反応させながら、冷却したコ−ティングドラム7上の基材フィルム4の表面に、マスク11、11を介して酸化アルミニウムの蒸着膜を成膜化し、次いで、該酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した基材フィルム4を、その酸化アルミニウムの蒸着膜を内側にして、ガイドロ−ル5´、6´を介して、巻き取りロ−ル12に巻き取って、基材フィルム4の上に酸化アルミニウムの蒸着膜を形成してなる蒸着フィルを製造する。
而して、本発明においては、上記で製造した蒸着フィルムは、その酸化アルミニウムの蒸着膜が完全に透明ではないことから、その透明化をオフラインで行うものである。
すなわち、本発明においては、図示しないが、上記で製造した蒸着フィルムを真空チャンバ−から取り出した後、巻き返し機等を使用して、その酸化アルミニウムの蒸着膜面が外側になるように巻き返し、しかる後、その巻き返した蒸着フィルムを温度35〜45℃の範囲で、相対湿度80〜100%の範囲の一定条件下において48時間以上放置して恒温恒湿処理を施して該蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜を高透明化し、当該蒸着フィルムの500nmでの全光線透過率を99%以上に改質させて、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造するものである。
本発明においては、上記の巻き返しの段階で、酸化アルミニウムの蒸着膜面が空気と接触し、該酸化アルミニウムの蒸着膜に存在する10Å以下の細孔に空気中の酸素が取り込まれ、更に、温度35〜45℃の範囲で、相対湿度80〜100%の範囲の一定条件下において48時間以上放置して恒温恒湿処理することにより、酸化アルミニウムの蒸着膜に水蒸気を接触させることにより、アモルファスな酸化アルミニウムの蒸着膜に改質することを可能とするものである。
【0008】
上記の製造法において、基材フィルムとしては、無色透明な各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トあるいはポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
この樹脂のフィルムないしシ−トは、単層、あるいは、2層以上の共押し出し法で製膜したもの、あるいは、例えば、フラット法による逐次2軸延伸法、同時2軸延伸法、チュ−ブラ−同時2軸延伸法等を利用して二軸方向に延伸加工されているもの等を使用することができ、更に、その厚さとしては、フィルムないしシ−トの製造時の安定性等から、約7〜100μm位、好ましくは、9〜25μm位が望ましい。
また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、必要ならば、その表面に、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレ−ム処理、その他等の表面活性処理を任意に施すことができる。
また、本発明においては、蒸着膜との強固を密着強度を達成するために、例えば、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アミン系、その他等のアンカ−コ−ト剤を第1の薄膜を形成する蒸着工程で、インライン、あるいは、オフラインで形成することもできる。
更に、本発明においては、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加剤を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、それらを含有する樹脂のフィルムないしシ−ト等も使用することができる。
【0009】
而して、本発明においては、基材フィルムとしては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、テレフタル酸とエチレングリコ−ルとの縮合反応で得られるポリエチレンテレフタレ−トフィルム等のジカルボン酸の酸成分とジオ−ルのアルコ−ル成分との脱水縮合物であるポリエステル系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが望ましいものである。
上記のポリエステル系樹脂としては、その目的に応じて、例えば、酸成分、あるいは、アルコ−ル成分に他の成分を使用したり、あるいは、部分的に多成分を使用してコポリマ−とすることもできる。
更に、上記のポリエステル系樹脂のフィルムないしシ−トとしては、通常の一般タイプのものの他、透明タイプ、易接着性タイプ、レトルトタイプ、その他、特殊なタイプのもの等のいずれのもでも使用することができる。
【0010】
次に、本発明において、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜としては、透明性に優れ、非結晶性の酸化アルミニウムの蒸着膜が好ましく、具体的には、式AlOX (ただし、式中、Xは、1〜1.5の数を表す。)で表される酸化アルミニウムの蒸着膜が好ましいものである。
また、本発明において、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜の膜厚としては、50〜500Å位、より好ましくは、150〜300Å位が望ましく、而して、上記において、300Åより厚くなると、その膜の可撓性が低下し、膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、150Å未満であると、そのバリア性等の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
而して、本発明において、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜は、具体的には、例えば、蒸着原料としてアルミニウムを用い、エレクトロンビ−ムガン等でアルミニウムを蒸発させ、そのアルミニウムの蒸発気相中に酸素ガス等を供給することでアルミニウムを酸化させて、基材フィルムの上に酸化アルミニウムの蒸着膜を低コストで良好に形成するものである。
上記において、酸化反応を効率的に行うためには、マイクロウエ−ブ波を照射しながら蒸着する方法も利用することができる。
本発明において、上記の蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(物理気相成長法、Physical Vapor Deposition法、PVD法)によって、酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、これを使用することができる。
また、上記において、蒸着原料の加熱方式としては、例えば、エレクトロンビ−ム(EB)方式、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式等を用いることができ、本発明においては、熱効率が良く、高速で蒸着が可能なエレクトロンビ−ム方式の真空蒸着法がより好ましいものである。
【0011】
ところで、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムにおいて、酸化アルミニウムの蒸着膜の透明性は、アルミニウムと反応させる酸素ガスの供給量によって決まるものであり、酸素ガスの供給量が多いと、透明性は良好になるが酸素ガスバリア性は悪くなり、また、酸素ガスの供給量が少ないと、酸素ガスバリア性良好になるが、透明性は悪化することになるものである。
而して、本発明においては、蒸着インラインで酸素ガスの供給量を調整し、蒸着フィルムの500nmでの全光線透過率を、上記の基材フィルムの500nmでの全光線透過率を100としたときに、90〜98%の範囲、好ましくは、94〜97%の範囲の全光線透過率を有する微着色状態である酸化アルミニウムの蒸着膜を形成するものである。
本発明においては、上記で酸化アルミニウム蒸着膜を形成した基材フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、しかる後、更に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面が外側になるように巻き返し、次いで、上記の巻き返した蒸着フィルムを温度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環境中に48時間以上放置して恒温恒湿処理することにより、該蒸着フィルムの全光線透過率を99%以上に調整して、本発明にかかる高透明性を有する酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造することができるものである。
【0012】
而して、本発明において、上記のような製造法で得られる本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムAは、図2の概略的断面図で示すように、基材フィルム4の片面に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中で反応させてなる酸化アルミニウムの蒸着膜21を設けた蒸着フィルムからなり、更に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面の巻き返しを反転させて恒温恒湿処理してなるものである。
上記の酸化アルミニウム蒸着フィルムは、その500nmでの全光線透過率が、99%以上の高透明性を有し、かつ、23℃/100%RHおよび38℃/100%RHの2温度帯における各々の水蒸気透過度を基に、酸化アルミニウム蒸着フィルムが、酸化アルミニウムの蒸着膜と基材フィルムとからなる2層構成の複合フィルムからなると仮定して得られる酸化アルミニウムの蒸着膜の23℃/100%RHにおける水蒸気透過係数(P23)が、38℃/100%RHにおける水蒸気透過係数(P38)よりも常に小さく、23〜38℃の温度帯において発熱的な水蒸気透過性を示す酸化アルミニウムの蒸着膜であり、更に、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜の23℃/100%RHにおける水蒸気透過係数(P23)が、1×10-17 〜3.0×10-17 g・cm2 /cm・sec・cmHgの範囲にあり、また、上記の酸化アルミニウム蒸着膜の38℃/100%RHにおける水蒸気透過係数(P38)が、5×10-17 〜7×10-17 g・cm2 /cm・sec・cmHgの範囲にあり、かつ、酸化アルミニウムの蒸着膜の水蒸気透過係数の温度変化が、アレニウスの式によるその見掛けの活性化エネルギ−が、20kcal/mol以下で温度依存性の低い酸化アルミニウムの蒸着膜からなることを特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィルムにかかるものである。
【0013】
上記の本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムについて、下記の方法で酸化アルミニウムの蒸着膜の水蒸気透過係数を測定した。
まず、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムについて、その水蒸気透過度をモコン(MOCON)法で、米国、モダンコントロ−ル(MODERN CONTROL)社製の水蒸気透過度測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMTRAN)3/31〕を使用して測定した。
本発明においては、上記の測定の前に、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜の膜厚を蛍光X線分析法にかかる絶対検量線法で測定した。
また、本発明において、上記のモコン法における測定条件としては、酸化アルミニウムの蒸着膜面を水蒸気側に、また、基材フィルム面を窒素ガス側になるように測定セルに取り付け、温度23℃と38℃の2温度帯で、相対湿度をいずれの場合も100%RHの条件に設定して測定した。
次に、本発明においては、上記のような測定とは別に、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材フィルムの水蒸気透過度を上記と同じ条件で測定した。
本発明において、水蒸気透過度(g/m2 ・day・atm)から水蒸気透過係数(g・m2 /cm・sec・cmHg)への変換は、測定サンプルの膜厚を水蒸気透過度に加味して、1辺が1cmの立方体に換算して水蒸気の圧力分圧差が1cmHgの場合の水蒸気の透過量(標準状態、℃/1atm)を計算することで得られる(『包装技術便覧』、発行所、日本包装技術協会、発行日、1995年7月1日、第1340頁〜第1355頁参照)。
ここで、酸化アルミニウムの蒸着膜のみの水蒸気透過係数は、次の式を基に計算される。
L/P=a1/p1+a2/p2
上記の式において、Lは、酸化アルミニウム蒸着フィルムの厚さ(a1+a2)を表し、a1は、酸化アルミニウムの蒸着膜の厚さを表し、a2は、基材フィルムの厚さを表し、Pは、酸化アルミニウム蒸着フィルムの水蒸気透過係数を表し、p1は、目的とする酸化アルミニウムの蒸着膜の水蒸気透過係数を表し、p2は、基材フィルムの水蒸気透過係数を表す。
上記のようにして得た酸化アルミニウムの蒸着膜の23℃と38℃における水蒸気透過係数をそれぞれP23とP38とすると、酸化アルミニウムの蒸着膜の水蒸気透過の活性化エネルギ−は、次の式で表すアレニウスの式も基に計算される。
LogP23/P38=−E/2.303R(1/T1 −1/T2
上記の式において、Eは、自由エネルギ−(cal/mol)を表し、Rは、気体定数(1.987cal・K-1・mol-1)を表し、T1 は、23℃の絶対温度(°K)を表し、T2 は、38℃の絶対温度(°K)を表わす。
【0014】
而して、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムは、上記のような測定により、前述のように、基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中で反応させてなる酸化アルミニウムの蒸着膜を設けた酸化アルミニウム蒸着フィルムであり、更に、該酸化アルミニウム蒸着フィルムは、その500nmでの全光線透過率が、99%以上の高透明性を有し、かつ、23℃/100%RHおよび38℃/100%RHの2温度帯における各々の水蒸気透過度を基に、酸化アルミニウム蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜の23℃/100%RHにおける水蒸気透過度が、酸化アルミニウムの蒸着膜の38℃/100%RHにおける水蒸気透過度より常に小さく、更に、23〜38℃の温度帯では発熱的な水蒸気透過性を示す酸化アルミニウムの蒸着膜であり、更に、酸化アルミニウムの蒸着膜の23℃/100%RHにおける水蒸気透過度が、1×10-17 〜3.0×10-17 g・cm2 /cm・sec・cmHgの範囲にあり、また、酸化アルミニウムの蒸着膜の38℃/100%RHにおける水蒸気透過度が、5×10-17 〜7×10-16 g・cm2 /cm・sec・cmHgの範囲にあり、かつ、酸化アルミニウムの蒸着膜の水蒸気透過係数の温度変化が、アレニウスの式によるその見掛けの活性化エネルギ−が、20kcal/mol以下で温度依存性の低い酸化アルミニウムの蒸着膜であることを特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィルムにかかるものである。
【0015】
上記のようにして製造した本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムは、例えば、樹脂のフィルム、紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせて、例えば、ラミネ−トして種々の複合フィルムを製造し、種々の物品を充填包装するに適した包装材料を製造可能とするものである。
上記の樹脂のフィルムとしては、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
また、上記において、紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
また、上記にといて、金属素材としては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、アルミニウム蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用することができる。
【0016】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して複合フィルムを製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0017】
次に、本発明において、上記のような複合フィルムを使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した複合フィルムを使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の複合フィルムを、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の複合フィルムを使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0018】
次にまた、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙基材を積層した複合フィルムを製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0019】
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているものである。
【0020】
【実施例】
次に本発明について以下に実施例を挙げて更に詳しく説明する。
実施例1〜3
(1).基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(500nmにおける全光線透過率=91.2%)を使用し、これをエレクトロンビ−ム(EB)加熱方式の物理気相成長法(PVD)による真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で3種の蒸着フィルムを製造した。
Figure 0004478255
(2).上記で製造した各蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、しかる後該蒸着フィルムを蒸着機より取り出し、次いで該蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を外側にして巻き返した後、40℃/90%RHの恒温恒湿条件に3日間保管して恒温恒湿処理して、3種の本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造した。
(3).次に、上記で製造した各酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)をドライラミネ−ション法で積層して、下記の層構成からなる3種の本発明にかかる複合フィルムを製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用い、接着剤量は、4.5g/m2 (固形分量)とした。
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・酸化アルミニウム蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0021】
実施例4〜6
(1).上記の実施例1〜3において製造した蒸着フィルムを35℃/80%RHの恒温恒湿条件に7日間保管して恒温恒湿処理する条件とした他は、上記の実施例1〜3と同様にして、実施例4〜6の3種の本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造した。
(2).次に、上記で製造した各酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をドライラミネ−ション法で積層して、下記の層構成からなる3種の本発明にかかる複合フィルムを製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用い、接着剤量は、3.5g/m2 (固形分量)とした。
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・酸化アルミニウム蒸着膜/接着剤層/厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルム
【0022】
比較例1〜3
(1).基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(500nmにおける全光線透過率=91.2%)を使用し、これをエレクトロンビ−ム(EB)加熱方式のPVD真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で3種の蒸着フィルムを製造した。
なお、酸素ガス供給量を調整し、蒸着フィルムの全光線透過率が、上記の実施例1〜3よりも高い透過率になるように調整した。
Figure 0004478255
(2).上記で製造した各蒸着フィルムを、その酸化アルミニウム蒸着膜面を内側にして巻き取り、しかる後該蒸着フィルムを蒸着機より取り出し、次いで蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を外側にして巻き返した後、40℃/90%RHの恒温恒湿条件に3日間保管して恒温恒湿処理して、3種の酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造した。
(3).次に、上記で製造した各酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)をドライラミネ−ション法で積層して、下記の層構成からなる3種の複合フィルムを製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用い、接着剤量は、4.5g/m2 (固形分量)とした。
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・酸化アルミニウム蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0023】
比較例4〜5
(1).上記の実施例1において製造した蒸着フィルムを巻き返し操作を行わないで、蒸着機から取り出して、そのままの状態で40℃/90%RHの恒温恒湿条件に7日間保管して恒温恒湿処理して製造した酸化アルミニウム蒸着フィルムを比較例4とし、また、上記の実施例1において製造した蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、しかる後該蒸着フィルムを蒸着機より取り出し、次いで蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を外側にして巻き返した後、23℃、湿度35%RH〜60%RHの恒温恒湿条件に10日間保管して恒温恒湿処理して製造した酸化アルミニウム蒸着フィルムを比較例5とした。
(2).次に、上記で製造した各酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)をドライラミネ−ション法で積層して、下記の層構成からなる2種の複合フィルムを製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用い、接着剤量は、3.5g/m2 (固形分量)とした。
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・酸化アルミニウム蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0024】
実験例1
上記の実施例1〜6、および、比較例1〜5で製造した蒸着フィルム、および、酸化アルミニウム蒸着フィルムについて、その全光線透過率、酸化アルミニウムの蒸着膜の膜厚、透明性、水蒸気透過度等を測定した。
上記の全光線透過率は、分光光度計(島津製作所株式会社製、機種名、UV−2200)を使用し、透過光の500nmにおける直線光と散乱光の合計値を全光線として透過率を測定した。
また、酸化アルミニウム蒸着膜の膜厚は、前述のように、蛍光X線分析計を用いて、絶対検量線法により酸化アルミニウムの蒸着膜の膜厚を測定した。
更にまた、水蒸気透過度は、モコン(MOCON)法で、米国、モダンコントロ−ル(MODERN CONTROL)社製の水蒸気透過度測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMTRAN)3/31〕を使用して測定した。
その結果を下記の表1に示す。
【0025】
(表1)
Figure 0004478255
Figure 0004478255
Figure 0004478255
上記の表1において、全光線透過率の単位は、(%)であり、膜厚の単位は、(Å)であり、水蒸気透過度の単位は、(g/m2 ・day・atm)である。
また、上記の表1において、透明性は、酸化アルミニウム蒸着フィルムと蒸着フィルムとの全光線透過率の差より判定し、◎は、極めて良好、○は、良好、×は、やや着色を意味する。
【0026】
実験例2
次に、上記の実施例1〜6、および、比較例1〜5で製造した酸化アルミニウム蒸着フィルムについて、その23℃および38℃における水蒸気透過度係数および活性エネルギ−をを測定した。
上記の水蒸気透過度係数および活性エネルギ−は、前述のしたとおりの方式で測定した。
その結果を下記の表2に示す。
【0027】
(表2)
Figure 0004478255
Figure 0004478255
上記の表2において、酸化アルミニウム蒸着フィルム水蒸気透過度係数の単位は、(g・cm2 /cm・sec・cmHg)×1017であり、また、活性化エネルギ−の単位は、(Kcal/mol)である。
【0028】
上記の実験例1〜2から明らかなように、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムにおいては、蒸着時に基材フィルムの全光線透過率を100%とした時に90〜97%に設定し、更に、その蒸着フィルムを、その蒸着膜面を外側にして巻き返し、35〜45℃/80〜100%RHの恒温恒湿条件で2日間以上放置することにより、その全光線透過率を更に高めることができ、その結果、透明性が蒸着直後よりも格段に向上するものである。
更に、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの水蒸気透過係数から得られる活性化エネルギ−は、正の値をとり、しかも、20kcal以下の値を示すことから、比較例のもの(活性化エネルギ−>20kcal)と比較して、温度依存性が極端に小さいものである。
なお、比較例4〜5のものは、活性化エネルギ−は、20kcal以下であるが、このものは、透明性が悪く、使用に耐え得ないものである。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中で反応させながらその反応系をインラインで調整して、蒸着フィルムの500nmでの全光線透過率を、上記の基材フィルムの500nmでの全光線透過率を100としたときに、90〜98%の範囲の全光線透過率を有する微着色状態である酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、次いで、該酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した基材フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、次に、更に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面が外側になるように巻き返し、次いで、上記の巻き返した蒸着フィルムを温度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環境中に48時間以上放置して恒温恒湿処理することにより酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造して、該酸化アルミニウム蒸着フィルムの全光線透過率を99%以上に調整することができ、極めて高い透明性を有し、更に、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ、特に、環境温度が変化しても水蒸気バリア性の変化が少ない温度依存性が充分に小さい酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻き取り式真空蒸着機についてその一例を示す概略的構成図である。
【図2】本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
1 巻き取り式真空蒸着装置
2 真空チャンバ−
3 巻き出しロ−ル
4 基材フィルム
5 ガイドロ−ル
5´ ガイドロ−ル
6 ガイドロ−ル
6´ ガイドロ−ル
7 コ−ティングドラム
8 るつぼ
9 蒸着源
10 酸素吹き出し口
11 マスク
12 巻き取りロ−ル
21 酸化アルミニウムの蒸着膜
A 酸化アルミニウム蒸着フィルム

Claims (3)

  1. 2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムからなる基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中で反応させて酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した蒸着フィルムであり、
    更に、該蒸着フィルムが、その500nmでの全光線透過率を、基材フィルムの500nmでの全光線透過率を100としたときに、90〜98%の微着色状態になるようにインラインで調整しながら酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した蒸着フィルムからなり、
    かつ、該蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜を内側にして巻き取り、次に、その酸化アルミニウムの蒸着膜を外側に巻き返した後、温度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環境中に48時間以上放置して、該蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜を高透明化し、当該蒸着フィルムの500nmでの全光線透過率を99%以上に改質させてなること
    を特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィルム。
  2. 酸化アルミニウム蒸着フィルムが、23℃/100%RHおよび38℃/100%RHの2温度帯における各々の水蒸気透過度を基に、酸化アルミニウム蒸着フィルムが、酸化アルミニウムの蒸着膜と基材フィルムとからなる2層構成の複合フィルムからなると仮定して得られる酸化アルミニウムの蒸着膜の23℃/100%RHにおける水蒸気透過係数(P23)が、38℃/100%RHにおける水蒸気透過係数(P38)よりも常に小さく、23〜38℃の温度帯において発熱的な水蒸気透過性を示す酸化アルミニウムの蒸着膜であり、更に、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜の23℃/100%RHにおける水蒸気透過係数(P23)が、1×10-17 〜3.0×10-17 g・cm2 /cm・sec・cmHgの範囲にあり、また、上記の酸化アルミニウム蒸着膜の38℃/100%RHにおける水蒸気透過係数(P38)が、5×10-17 〜7×10-17 g・cm2 /cm・sec・cmHgの範囲にあり、かつ、酸化アルミニウムの蒸着膜の水蒸気透過係数の温度変化が、アレニウスの式によるその見掛けの活性化エネルギ−が、20kcal/mol以下で温度依存性の低い酸化アルミニウムの蒸着膜であることを特徴とする上記の請求項1に記載する酸化アルミニウム蒸着フィルム。
  3. 酸化アルミニウムの蒸着膜が、膜厚150〜300Åの範囲内であることを特徴とする上記の請求項1〜2に記載する酸化アルミニウム蒸着フィルム。
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