JPH11262514A - 重炭酸塩含有薬液容器包装体及び炭酸ガス分圧コントロール剤 - Google Patents

重炭酸塩含有薬液容器包装体及び炭酸ガス分圧コントロール剤

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JPH11262514A
JPH11262514A JP10067184A JP6718498A JPH11262514A JP H11262514 A JPH11262514 A JP H11262514A JP 10067184 A JP10067184 A JP 10067184A JP 6718498 A JP6718498 A JP 6718498A JP H11262514 A JPH11262514 A JP H11262514A
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carbon dioxide
bicarbonate
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gas
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JP10067184A
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English (en)
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Hidekatsu Shoji
英克 庄司
Minoru Oka
実 岡
Yoshiki Maesaki
義樹 前崎
Hiroshi Honda
浩 本田
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Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Factory Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期保存に対して安定であり、且つ比較的安
価である重炭酸塩含有薬液容器包装体を提供する。 【解決手段】 重炭酸塩を含有する液体製剤を充填した
水蒸気及びガス透過性プラスチック容器及び該容器を包
装する水蒸気及びガス難透過性プラスチック包材を備え
ており、更に該プラスチック容器と該プラスチック包材
との空間部に、炭酸ガスをあらかじめ吸着させた炭酸ガ
ス分圧コントロール剤、及び必要に応じて炭酸ガス又は
炭酸ガス含有気体が存在することを特徴とする重炭酸塩
含有薬液容器包装体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重炭酸塩を含有す
る液体製剤を長期安定保存できる薬液容器包装体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】通常、薬剤には、塩化ナトリウム等極く
限られた物を除き、水、酸素、光等の経時的負荷に対し
て不安定なものが多いため、これら薬剤の保存には、古
くからガラス製容器が利用されてきた。しかし、最近で
は薬剤学、容器の素材、製造法、製造機械等の発展か
ら、産業廃棄物処理が容易で医療従事者が使い易いプラ
スチック製容器の使用が増えつつある。
【0003】しかし、上記プラスチック製容器を、重炭
酸塩が配合された製剤の収容用容器として用いた場合、
下記の欠点がある。
【0004】重炭酸塩は、経時的に水、炭酸ガスを発生
して炭酸塩を生じるが、ガラスアンプルのような密閉系
では下式に示すように重炭酸塩、炭酸塩、水及び炭酸ガ
スの平衡関係が保たれることが知られている。
【0005】
【化1】
【0006】これに対して、上記重炭酸塩を含む製剤を
通常医療用に用いられているプラスチック容器に充填し
た場合、該プラスチック容器が炭酸ガス及び水蒸気を透
過し易いため、重炭酸塩から発生する炭酸ガス及び水
(水蒸気)は、容器壁を通って容器外へ揮散してしま
う。そのため上記式(1)の平衡関係は、右辺に傾いて
炭酸塩を生成し、配合の本来の目的を達し得なくなった
り、粉末製剤を溶解させた後の薬液のpH上昇をきたし
て薬剤の安定性を損なう等の弊害が見られる。
【0007】国際公開番号WO 94/16663にはか
かる弊害を解消するべく、重炭酸塩を含有する粉末製剤
を充填したプラスチック容器とこれを包装したプラスチ
ック包材との空間部に、(1)炭酸ガスを充填するこ
と、(2)炭酸ガス発生型脱酸素材を存在させること、
(3)炭酸ガスを飽和吸着させた乾燥剤を存在させるこ
との少なくとも1つの手段を採用する技術が記載されて
いる。しかし、該方法は重炭酸塩を含有する粉末製剤の
みを対象としたものであって、重炭酸塩を含有する液体
製剤の安定化の方法については何ら記載されていない。
【0008】一方、調製時の汚染を防ぐという衛生面等
から無菌状態で密封した液体製剤も必要とされている。
このうち、重炭酸塩を含有する液体製剤、例えば炭酸水
素ナトリウム水溶液にあっては、分解して炭酸ガスが発
生し、製剤のpHが上昇するという欠点がある。かかる
重炭酸塩含有液体製剤の安定化を目的とした包装体に関
して、プラスチック製容器をガス難透過性の二次包装材
に収容乃至包装し、上記容器と二次包装材との間の空間
部を炭酸ガス雰囲気とする技術も開発されている(特開
平5−49675号公報、特開平5−261141号公
報、特開平6−339512号公報)。この技術は、上
記空間部に炭酸ガス雰囲気を形成することにより、重炭
酸塩含有液体製剤の可逆的分解反応の進行を抑制して該
液体製剤のpHの上昇の抑制(即ち、安定化)を図るも
のである。
【0009】しかしながら、上記技術によると、長期保
存する場合等は二次包材からの緩慢なガス透過が起こる
恐れがあり、また、バリアー性能の高い二次包材を用い
ることも考えられるが、そのような二次包材は高価であ
り、その種類も限られている。さらに、耐衝撃性を向上
させ、ピンホールを発生しにくくするためには、包材を
厚くする必要があるが、高価な素材を厚くするとさらに
経済的に不利となり、実用的ではなくなるという弊害が
ある。
【0010】また、上記特開平5−49675号公報に
はプラスチック容器と二次包装材の空間部に炭酸ガス発
生型脱酸素剤を存在させ、該空間部及び該容器中の酸素
を炭酸ガスに変換し、この炭酸ガスを液体製剤に溶け込
ませて液体製剤のpH低下を図る技術も記載されてい
る。しかし、炭酸ガス発生型脱酸素剤は高価であるとい
う欠点を有している。また、炭酸ガス発生型脱酸素剤を
用いた場合、炭酸ガスを発生させるための反応には水と
酸素を必要とするが、かかる場合にバリアー性能があま
り高くない二次包材を用いると、脱酸素剤使用の効果が
十分に達成し難い。即ち、一般的に、バリアー性能が高
くないフィルムは、炭酸ガスの方が酸素より通気性が高
く、炭酸ガス発生型脱酸素剤を用いても、二次包材の外
部から酸素が実質的に入りにくく、また、二次包材の内
側には酸素があまり存在せず、結果として炭酸ガスを発
生させるための反応があまり起こらず、空間部の炭酸ガ
ス濃度を高めるという効果が十分に発揮できない。従っ
て、当該公報に開示された方法においても、上記弊害を
充分に解消しているとはいい難い。
【0011】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、上記弊害
が解消され、長期保存に対して安定であり、且つ比較的
安価である重炭酸塩含有薬液容器包装体を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、重炭酸
塩を含有する液体製剤を充填した水蒸気及びガス透過性
プラスチック容器と、該容器を収容した水蒸気及びガス
難透過性プラスチック包材を備えており、更に該プラス
チック容器と該プラスチック包材との空間部に、炭酸ガ
スをあらかじめ吸着させた炭酸ガス分圧コントロール
剤、及び必要に応じて炭酸ガス又は炭酸ガス含有気体が
存在することを特徴とする重炭酸塩含有薬液容器包装体
に係るものである。
【0013】本発明の薬液容器包装体によれば、容器と
包材の空間部に炭酸ガス分圧コントロール剤が存在し、
該コントロール剤が炭酸ガスを放出することにより容器
中の炭酸ガス濃度を高めることができ、それにより液体
製剤中の重炭酸塩の分解を抑制し、重炭酸塩を配合した
本来の目的であるHCO3-の供給が達成できる。また、
重炭酸塩の分解を抑制することにより液体製剤のpHの
上昇が抑制でき、液体製剤を長期保存しても安定とな
る。
【0014】また、本発明に用いる炭酸ガス分圧コント
ロール剤は、炭酸ガス濃度を高めるために、炭酸ガス発
生型脱酸素剤を用いた場合とは異なり空間部に水と酸素
を必要としない。従って、炭酸ガス発生型脱酸素剤を用
いた場合とは異なり、ガスバリアー性が中程度の性能の
素材を包材として用いても、容器中の炭酸ガス濃度を高
めることができる。ガスバリアー性が中程度の性能の素
材は、ガスバリアー性が高い高性能の素材と比べ安価で
あるため、ピンホールを発生しにくくするために厚さを
増して耐衝撃性を向上させても、経済的に有利である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の重炭酸塩含有薬液容器包
装体は、典型的には、重炭酸塩を含有する液体製剤を充
填した水蒸気及びガス透過性プラスチック容器並びに該
プラスチック容器を包装乃至収容する水蒸気及びガス難
透過性プラスチック包材を備えており、さらに、該プラ
スチック容器と該プラスチック包材との空間部に、炭酸
ガスをあらかじめ吸着させた炭酸ガス分圧コントロール
剤、及び必要に応じて炭酸ガス又は炭酸ガス含有気体が
存在するものである。
【0016】図1に、本発明重炭酸塩含有薬液容器包装
体の一実施形態を示す。図1において、符号1は、重炭
酸塩含有液体製剤を収容するための水蒸気及びガス透過
性プラスチック容器を示す。符号2は、プラスチック容
器1を収容した水蒸気及びガス難透過性プラスチック包
材を示す。符号3は、重炭酸塩を含有する液体製剤を示
すものである。符号4は、錠剤形態の炭酸ガス分圧コン
トロール剤を示す。図1において、該コントロール剤
は、小袋5に収容され、プラスチック容器と包材との空
間部に存在している。
【0017】図1は、本発明重炭酸塩含有薬液容器包装
体の単なる一例を示すものであって、本発明は、後述の
ように、他の実施形態をも含むものである。
【0018】以下に、本発明の重炭酸塩含有薬液容器包
装体をより詳細に説明する。
【0019】1.重炭酸塩を含有する液体製剤 本発明に用いる重炭酸塩としては、特に限定されない
が、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素
アンモニウム等が例示でき、その他の重炭酸塩であって
もよい。これらは少なくとも2種以上組み合わせてもよ
い。これら重炭酸塩の内、特に炭酸水素ナトリウムが好
ましい。
【0020】重炭酸塩を含有する液体製剤としては、上
記重炭酸塩を水中に溶解、分散又は懸濁させてなるもの
であり、重炭酸塩を必要とする液体製剤であれば特に限
定されるものではない。このような重炭酸塩含有液体製
剤としては、例えば重炭酸塩を含有している解毒剤、人
工腎臓透析液、腹膜透析液、輸液、(歯科用)根管拡大
剤、人工髄液、眼内潅流液、心臓潅流液、心筋保護液、
腹腔洗浄液、臓器保存液等が挙げられる。
【0021】液体製剤は、重炭酸塩以外に他の薬剤を含
んでいてもよい。液体製剤に含有される他の薬剤として
は、グルコース等の糖質、脂肪乳剤、アミノ酸、ビタミ
ン類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム
等が例示できる。
【0022】2.プラスチック容器 上記重炭酸塩含有液体製剤を充填するためのプラスチッ
ク容器としては、本発明の目的を達成できるものであれ
ば特に限定されるものではなく、例えば、重ねたシート
の周囲をヒートシールして得られるバッグであってもよ
く、ブロー成形により得られる容器等であってもよい。
また、プラスチック容器は、通常は、口部材を有してい
る。
【0023】プラスチック容器の素材としては、例えば
製剤用プラスチック容器として慣用されている水蒸気及
びガスを透過する性質を有するプラスチックを素材とす
るものが好ましく使用できる。
【0024】具体的には、水蒸気及びガス透過性である
ポリエチレン(例えば、LDPE、LLDPE、HDP
E等)、ポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体、
エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド等が例示でき
る。
【0025】また、本発明においては、これら素材を組
み合わせた多層フィルムも使用できる。
【0026】本発明の重炭酸塩含有液体製剤を充填する
ためのプラスチック容器の形状については特に限定はな
く、使用目的に応じて任意の形状とすることができる。
その構造としては、一般的には、プラスチック容器は1
室からなるものでよい。或いは、例えば、プラスチック
容器が、弱シール部を介した連通可能な少なくとも2室
からなる構造であってもよい。
【0027】本発明の重炭酸塩含有液体製剤を充填する
ためのプラスチック容器の容量等についても特に限定は
なく、使用目的に応じて任意の容量等を採用すればよ
い。
【0028】3.プラスチック包材 本発明において用いるプラスチック包材(二次包装材と
も呼ばれる)は、この分野で通常使用されているもの
を、特に限定されず使用することができ、いわゆるガス
バリヤー特性を有するものであれば特に限定されること
なく広範囲のものが使用できる。特に、上記のプラスチ
ック容器と比較して水蒸気及びガスを透過しにくい、即
ち水蒸気及びガス難透過性(以下、単に「ガス難透過
性」という場合がある)を有するプラスチックを素材と
するものが好ましい。
【0029】ガス難透過性プラスチック素材の中でも、
高性能の素材と中程度の性能の素材があるが、本発明に
おいてはいずれの素材も使用できる。高性能の素材とし
ては、一般的には、乾燥時のガス透過率が、10ml/
(m2・24h・atm)未満程度のものをいい、中程
度の性能の素材としては、一般的には、10〜200m
l/(m2・24h・atm)程度のものをいう。本発明
においては、中程度の性能の素材を用いた場合であって
も、空間部の炭酸ガス濃度をコントロールできる。特
に、膜厚を増して耐衝撃性を向上させる必要のある用途
においては、安価な中程度の性能の素材を使用すること
ができるので経済的に有利である。
【0030】具体的には、プラスチック包材の素材とし
ては、例えば、水蒸気及びガス難透過性であるアルミラ
ミネート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポ
リビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−
ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。また、本発
明においてはこれらを組み合わせた多層フィルムも使用
できる。多層フィルムとして用いる場合には、前記した
ポリエチレン、ポリプロピレン等の水蒸気及びガス透過
性フィルムとも組み合わせて使用できる。多層フィルム
の組み合わせとしては、PET/PVA/LLDPE、O
PP/Ny/EVOH/LLDPE等が挙げられる。
【0031】これらプラスチック包材の形状又は容量
も、使用目的に応じて適宜選択されるものであって、プ
ラスチック容器と炭酸ガス分圧コントロール剤を包装で
き、且つ、一定の空間部が形成できれば、特に限定され
るものではない。
【0032】4.空間部 容器と包材との空間部の容積は、内溶液の種類によって
も変わり得るものであり、炭酸ガス分圧コントロール剤
が収容できるに足る容積であれば特に限定されるもので
はない。
【0033】5.炭酸ガス分圧コントロール剤 本発明において用いる炭酸ガス分圧コントロール剤は、
代表的には、炭酸ガスの吸収・放出を可逆的に行い、本
発明の上記プラスチック容器とプラスチック包材との間
の空間部のような密閉空間に存在させた場合、当該密閉
空間の炭酸ガス濃度をコントロールできるものを意味
し、前記特開平5−49675号公報に記載の水分と酸
素の存在下で炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生型脱酸素
剤とは明確に区別される。本発明では、プラスチック容
器と、プラスチック包材との間の空間部の炭酸ガス分圧
が減少すると、これを補償するように炭酸ガス分圧コン
トロール剤が炭酸ガスを放出して、該空間部の炭酸ガス
分圧を一定に保つか又は増大させる。
【0034】炭酸ガス分圧コントロール剤としては、炭
酸ガスの吸収・放出を可逆的に行い、上記の如き密閉空
間内の炭酸ガス濃度をコントロールできるものであれば
特に限定されるものでないが、炭酸ガスを吸着させたゼ
オライト、活性炭、イオン交換樹脂、スチレンアミノ樹
脂、カルボジイミド、ポリエチレンイミン等が例示でき
る。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。これらの中でも、ゼオライト、活性炭及び
イオン交換樹脂が好ましく、吸着量の点からはゼオライ
トがより好ましく、コストの面からは活性炭がより好ま
しい。これらゼオライト、活性炭、イオン交換樹脂、ス
チレンアミノ樹脂、カルボジイミド、ポリエチレンイミ
ン等の形態は特に限定されないが、例えば、粉末の形
態、粉末を圧縮成型した錠剤形態等にできる。
【0035】これら炭酸ガス分圧コントロール剤は、ゼ
オライト、活性炭、イオン交換樹脂、スチレンアミノ樹
脂、カルボジイミド、ポリエチレンイミン等に真空加熱
・乾燥処理等の適当な前処理を施し、炭酸ガス雰囲気下
に放置することにより、好ましくは炭酸ガスが飽和吸着
されるまで放置することにより、炭酸ガスを吸着させる
ことができる。
【0036】炭酸ガスは、ゼオライト、活性炭、イオン
交換樹脂、スチレンアミノ樹脂、カルボジイミド、ポリ
エチレンイミン等に飽和吸着させてもよく、飽和吸着量
以下の量を吸着させてもよい。
【0037】これら炭酸ガス分圧コントロール剤には、
粉末、錠剤型等の種々の形状のものが包含される。粉
末、錠剤型等のコントロール剤は、上記空間部にそのま
ま入れてもよいし、予め紙、通気性をもたせたポリエチ
レン袋等のガス透過性の小袋に収容し、該小袋を空間部
に入れてもよい。
【0038】該コントロール剤は、プラスチック容器と
包材との空間部に存在していればよく、錠剤形態以外の
形態であってもよく、例えば、プラスチック容器及び/
又はプラスチック包材上に接着等されていてもよい。或
いは、炭酸ガス分圧コントロール剤は、接着等されてお
らず、プラスチック容器と包材の空間部内において移動
可能であってもよい。
【0039】さらに、ゼオライト等を塗布したフィルム
やシートに炭酸ガスを吸着させた形状のものも本発明の
炭酸ガス分圧コントロール剤に含まれる。このようなフ
ィルム又はシートは、例えば、溶融させたポリエチレン
等のプラスチックにゼオライト等を均一に混合し、イン
フレーション方式でフィルムとする方法、接着剤でポリ
エチレン等のプラスチック等のフィルムにゼオライトを
塗布する方法により製造することができる。
【0040】炭酸ガス分圧コントロール剤の使用量は、
重炭酸塩含有液体製剤の分解を抑制するのに有効な炭酸
ガス分圧を与えるのに足る量以上であればよい。例え
ば、3ヶ月間、空間部の炭酸ガス濃度を一定に保つよう
な量の炭酸ガスが、使用する炭酸ガス分圧コントロール
剤に保持されていればよい。例えば、重炭酸塩5〜30
重量%の液体製剤20ml当たり0.5〜5g、特に1
〜2g用いることが好ましい。
【0041】従来、包装体内雰囲気の炭酸ガス濃度を高
めるために用いていた炭酸ガス発生型脱酸素剤は、炭酸
ガスを発生するために水と酸素を必要とし、包装体内の
炭酸ガス濃度が低くなっても、酸素が存在しなければ炭
酸ガスを発生することができなかった。これに対して本
発明で用いる炭酸ガス分圧コントロール剤は、包装体内
部の酸素が存在するか否かに拘わらず、包装体内雰囲気
をコントロールすべく炭酸ガスの発生及び吸収が行われ
るという点で優れている。
【0042】よって、本発明は、上記したような炭酸ガ
ス分圧コントロール剤自体をも提供するものである。
【0043】6.本発明の包装体の製造方法 本発明の重炭酸塩含有薬液容器包装体は、例えば、以下
の方法に従って製造することができる。
【0044】まず重炭酸塩を含有する液体製剤を、水蒸
気及びガス透過性プラスチック容器に充填して該容器を
常法に従って密封する。その後、該プラスチック容器を
炭酸ガス分圧コントロール剤と共に、水蒸気及びガス難
透過性プラスチック包材を用いて包装する。包装は、例
えば、予めバッグ状にしたプラスチック包材に重炭酸塩
含有液体製剤を充填したプラスチック容器と炭酸ガス分
圧コントロール剤を入れる等して行うことができる。最
後に、プラスチック包材を常法に従い熔閉する等して密
閉する。
【0045】尚、上記に加えて、本発明においては、プ
ラスチック包材を密閉する前に、容器と包材の空間部を
炭酸ガス又は炭酸ガス含有気体、例えば炭酸ガスと空気
の混合ガスにより満たすことも可能である。
【0046】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため実施
例を挙げる。
【0047】実施例1〜4 7%炭酸水素ナトリウム水溶液20mlをLDPE製の
プラスチックアンプル(LDPEの密度約0.9、厚さ
約500μm、容積約30ml)に充填し、常法により
密封した。該アンプルを炭酸ガス分圧コントロール剤と
ともにガス難透過性である包材(いずれも容積60m
l)に入れた。炭酸ガス分圧コントロール剤及び使用量
並びに包材の種類は下記の表1に示す通りである。
【0048】尚、炭酸ガス分圧コントロール剤は、以下
のようにして製造した。まず、ゼオライト又は活性炭を
ポリエチレン製小袋に2gずつ充填し、0 atm、1
10℃にて真空加熱乾燥を24時間行った。次いでこれ
を室温まで冷却させ、1atmにて炭酸ガス張り込みを
1時間行った後、調整ガス(CO2 20%、空気80
%)によるパージを1時間行って炭酸ガスを吸着させた
炭酸ガス分圧コントロール剤を得た。
【0049】包材中に炭酸ガス40%、空気60%の混
合ガスを封入した後、該包材を熔閉し、図1のような本
発明薬液容器包装体を得た。
【0050】比較例1 液体製剤入り容器を表1に示す包材で包装し、炭酸ガス
分圧コントロール剤を存在させない以外は上記実施例1
〜4と同様にして薬液容器包装体を得た。
【0051】
【表1】
【0052】[製剤安定性試験]上記実施例1〜4及び
比較例1において得られた液体製剤の薬液容器包装体
を、それぞれ40℃、75%RH下に保存し、製造直
後、保存1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後の溶液のpH測
定を行った。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】該表2から、炭酸ガス分圧コントロール剤
を使用した場合、炭酸ガス分圧コントロール剤を使用し
ない場合と比較して溶液のpHの変動が少なく、液剤の
安定性に優れていることが判る。また、OPP/Ny/E
VOH/LLDPEのような中程度の性能のガス難透過
性プラスチックを包材として使用した場合も、PET/
PVA/LLDPEのような高性能のガス難透過性プラ
スチックを用いた場合には劣るが、充分な安定性を示し
た。
【0055】実施例5 ポリエチレン製の連通可能な隔壁を有する2室からなる
プラスチックバッグ(厚み:約260μm)の隔室に、
それぞれ下記の薬液を充填閉塞し、熱水シャワー滅菌し
た(滅菌後の各室薬液混合後のpH:7.24)。この
ものを炭酸ガス分圧コントロール剤と共にガス難透過性
である包材に入れた。炭酸ガス分圧コントロール剤は、
実施例1で使用したゼオライトを3個(合計6g)を用
い、包材は、実施例2と同じフィルムを使用した。
【0056】包材中に炭酸ガス40%と空気60%の混
合ガスを封入した後(空間量:400ml)、該包材を
熔閉し、本発明薬液容器包装体を得た。
【0057】[薬液処方] 第1室 300ml中に、以下の成分を含む 塩化カルシウム・2水塩 0.17 g 塩化マグネシウム・6水塩 0.22 g ブドウ糖 0.61 g 第2室 700ml中に、以下の成分を含む 塩化ナトリウム 7.15 g 塩化カリウム 0.13 g 炭酸水素ナトリウム 1.94 g リン酸2水カリウム 0.15 g
【0058】
【発明の効果】本発明において使用する炭酸ガス分圧コ
ントロール剤は、炭酸ガスを平衡吸脱着し得るので、系
の炭酸ガス濃度に応じて炭酸ガス放出量を調整すること
が可能である。従って、単に炭酸ガスを空間部に充填す
る方法や炭酸ガス発生型脱酸素剤を使用する方法に比べ
て、容器と包材との空間部の炭酸ガス濃度を一定に保ち
やすいという利点がある。
【0059】また、炭酸ガスを放出する充分な量をゼオ
ライト等の炭酸ガス分圧コントロール剤が吸着している
という理由から、本発明では、包材のガスバリヤー性が
高度でなくてもよい。
【0060】かくして、本発明によれば、重炭酸塩を含
有する液体製剤の変性、変質等を生じせしめることな
く、該製剤をプラスチック容器内に安定に保持でき、重
炭酸塩配合の目的を達成させ得る。
【0061】さらに、従来のプラスチック容器と二次包
装材との間の空間部を炭酸ガス雰囲気とする技術によれ
ば、製剤の安定化の目的を達成するためには高性能のガ
ス難透過性フィルムが必要であり、従ってある程度の厚
さを有する高価なフィルムを用いる必要があった。本発
明によれば70μm程度の比較的薄くてガス透過率が1
0ml/(m2・24h・atm)以上の、安価な中程度
の性能のガス難透過性フィルムを用いても十分に製剤を
安定化することができる。また、安価な中程度の性能の
ガス難透過性フィルムの中からも、包装体の使用、運搬
等の条件に応じて適宜フィルムを選択することが可能と
なる。さらに中程度の性能のガス難透過性フィルムは、
一般的に高性能の難透過性フィルムより安価であるの
で、膜厚を増してピンホールを発生しにくくした素材を
実用的に使用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明薬液容器包装体の一例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1 水蒸気及びガス透過性プラスチック容器 2 水蒸気及びガス難透過性プラスチック包材 3 重炭酸塩含有液体製剤 4 炭酸ガス分圧コントロール剤 5 小袋

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重炭酸塩を含有する液体製剤を充填した
    水蒸気及びガス透過性プラスチック容器並びに該容器を
    包装する水蒸気及びガス難透過性プラスチック包材を備
    えており、更に該プラスチック容器と該プラスチック包
    材との空間部に、炭酸ガスをあらかじめ吸着させた炭酸
    ガス分圧コントロール剤が存在することを特徴とする重
    炭酸塩含有薬液容器包装体。
  2. 【請求項2】 炭酸ガス分圧コントロール剤として、ゼ
    オライト、活性炭、イオン交換樹脂、スチレンアミノ樹
    脂、カルボジイミド、ポリエチレンイミンからなる群よ
    り選択される少なくとも1種を使用する請求項1記載の
    重炭酸塩含有薬液容器包装体。
  3. 【請求項3】 炭酸ガス分圧コントロール剤として、ゼ
    オライトを使用する請求項2記載の重炭酸塩含有薬液容
    器包装体。
  4. 【請求項4】 炭酸ガス分圧コントロール剤として、活
    性炭を使用する請求項2記載の重炭酸塩含有薬液容器包
    装体。
  5. 【請求項5】 重炭酸塩が、炭酸水素ナトリウムである
    請求項1記載の重炭酸塩含有薬液容器包装体。
  6. 【請求項6】 重炭酸塩を含有する薬液が、重炭酸塩を
    含有する解毒剤、人工腎臓透析液、腹膜透析液、輸液、
    (歯科用)根管拡大剤、人工髄液、眼内潅流液、心臓潅
    流液、心筋保護液、腹腔洗浄液及び臓器保存液からなる
    群より選択される請求項1に記載の重炭酸塩含有薬液容
    器包装体。
  7. 【請求項7】 プラスチック容器とプラスチック包材と
    の空間部に、更に、炭酸ガス又は炭酸ガス含有気体が充
    填されている請求項1〜6のいずれかに記載の重炭酸塩
    含有薬液容器包装体。
  8. 【請求項8】 炭酸ガスの吸収・放出を可逆的に行い、
    密閉空間内で炭酸ガス濃度をコントロールできるゼオラ
    イト、活性炭、イオン交換樹脂、スチレンアミノ樹脂、
    カルボジイミド、ポリエチレンイミンからなる群より選
    択される少なくとも1種を含む炭酸ガス分圧コントロー
    ル剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006306465A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 外装袋と、それを用いたアルカリ性薬液充填容器収容体およびアルカリ性薬液充填容器の保管方法
JP2009106849A (ja) * 2007-10-30 2009-05-21 Japan Vilene Co Ltd 吸脱着エレメント、およびそれを用いた二酸化炭素濃度調整装置、二酸化炭素濃度調整システム、並びに二酸化炭素濃度調整方法。
JP2016112562A (ja) * 2014-03-13 2016-06-23 MiZ株式会社 水素含有生体適用液の製造装置
CN114617161A (zh) * 2022-04-01 2022-06-14 君合百安仓储科技(北京)有限公司 一种恒压型气调剂

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