JPH11255917A - 金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム

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JPH11255917A
JPH11255917A JP5965498A JP5965498A JPH11255917A JP H11255917 A JPH11255917 A JP H11255917A JP 5965498 A JP5965498 A JP 5965498A JP 5965498 A JP5965498 A JP 5965498A JP H11255917 A JPH11255917 A JP H11255917A
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JP
Japan
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film
polyester film
terephthalate
metal plate
laminating
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JP5965498A
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English (en)
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Koji Kubo
耕司 久保
Hirobumi Murooka
博文 室岡
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工性に優れ、保味保香性、特にレトル
ト後の保味保香性が改善された金属板貼合せ成形加工用
ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 融点が210〜245℃である共重合ポ
リエチレンテレフタレートからなる二軸延伸フィルムで
あって、フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(T
e)と、DSC測定におけるガラス転移温度(Tg)が
下記式(1)および下記式(2)を満足し、かつ平均粒
径が0.05〜2.5μmであるテレフタル酸金属塩ま
たはアルキレンテレフタレート成分を含む金属塩の粒子
を0.005〜3重量%含有することを特徴とする金属
板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。 Tg≧78 … (1) Te−Tg≦30 … (2) (ここで、Tgは290℃加熱溶融−急冷後のDSC測
定におけるガラス転移温度(℃)、Teはフィルムの損
失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属板貼合せ成形加
工用ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは金属板
と貼合せて絞り加工などの製缶加工をする際優れた成形
加工性を示し、かつ耐熱性、耐レトルト性、保味保香
性、耐衝撃性などに優れた金属缶、例えば飲料缶、食品
缶などを製造し得る金属板貼合せ成形加工用ポリエステ
ルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】金属缶には内外面の腐蝕防止として一般
に塗装が施されているが、最近、工程簡素化、衛生性向
上、公害防止などの目的で、有機溶剤を使用せずに防錆
性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑
性フィルムによる被覆が試みられている。
【0003】すなわち、ブリキ、ティンフリースチー
ル、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムを
ラミネートした後、絞り加工等により製缶する方法の検
討が進められている。
【0004】この熱可塑性樹脂フィルムとしては、成形
加工性、耐熱性、耐衝撃性、保味保香性などの点で、共
重合ポリエステルフィルムが適していることが次第に明
らかになりつつある。しかしながら、このポリエステル
フィルムは緑茶類など極めて微妙な味わいが重要な飲
料、さらには無味無臭が要求されるミネラルウォーター
を内容物とした場合、必ずしも十分な保味保香性を示さ
ず、臭気や味に対する変化が感知される。
【0005】これに対し、特開平6−116376号で
は、特定量のアルカリ金属元素とゲルマニウム元素を含
有する共重合ポリエステルからなる、フレーバー性を向
上せしめた金属板成形加工用ポリエステルフィルムが提
案されている。しかし、このフィルムを用いた場合、コ
ールドパックシステムのような内容物をつめた段階で熱
のかからない工程では優れた保味保香性を示すが、レト
ルト処理のような内容物をつめた段階で熱処理が行われ
る工程においては、必ずしも十分な保味保香性が得られ
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の問題点を解消し、共重合ポリエステルフィ
ルムが持っている優れた耐熱性、耐衝撃性、耐レトルト
性を保持しながら、成形加工性に優れ、保味保香性、特
にレトルト処理後の保味保香性を改善した金属板貼合せ
成形加工用ポリエステルフィルムを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ある特定の融点を
有する共重合ポリエチレンテレフタレートを用い、特定
のガラス転移温度、動的粘弾性を有すると共に、平均粒
径が特定範囲内の外部析出粒子を特定量含有するフィル
ムとすれば、優れた成形加工性を保持しながら、保味保
香性、特にレトルト処理後の保味保香性が顕著に改善で
きることを見出し、本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、融点が210〜24
5℃である共重合ポリエチレンテレフタレートからなる
二軸延伸フィルムであって、フィルムの損失弾性率の最
高温ピーク温度(Te)と、DSC測定におけるガラス
転移温度(Tg)が下記式(1)および下記式(2)を
満足し、かつ平均粒径が0.05〜2.5μmであるテ
レフタル酸金属塩またはアルキレンテレフタレート成分
を含む金属塩の粒子を0.005〜3重量%含有するこ
とを特徴とする金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフ
ィルムである。
【0009】
【数2】Tg≧78 … (1) Te−Tg≦30 … (2) (ここで、Tgは290℃加熱溶融−急冷後のDSC測
定におけるガラス転移温度(℃)、Teはフィルムの損
失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。)
【0010】また、該共重合ポリエチレンテレフタレー
トの共重合成分は、2,6−ナフタレンジカルボン酸で
あることが好ましく、さらに、該フィルムをイオン交換
水で121℃、2時間抽出処理したときの抽出量が0.
5mg/inch2以下であることが好ましい。
【0011】本発明においては、種々の共重合ポリエス
テルのなかでも、優れた耐熱性、耐衝撃性、耐レトルト
性を保持しながら、保味保香性、特にレトルト処理後の
保味保香性を改善することができることから、エチレン
テレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリ
エステル、すなわち共重合ポリエチレンテレフタレート
(以下共重合PETと略することがある)を使用する。
【0012】本発明における共重合PETは、主たるジ
カルボン酸成分としてテレフタル酸、および主たるグリ
コール成分としてエチレングリコールからなる実質的に
線状となる共重合ポリエステルである。
【0013】本発明において、共重合PETの共重合成
分としては、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよ
い。
【0014】このジカルボン酸成分としてはイソフタル
酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如
き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボ
ン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカル
ボン酸等が例示でき、またジオール成分としては1,4
−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチ
レングリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフ
ェノールAの如き芳香族ジオールが例示できる。これら
は単独または二種以上を使用することができる。
【0015】共重合成分の割合は、その種類にもよる
が、結果としてポリマー融点が210〜245℃、好ま
しくは215〜240℃の範囲になる割合である。融点
が210℃未満では耐熱性が劣ることになる。一方、融
点が245℃を超えると、ポリマーの結晶性が大きすぎ
て成形加工性が損なわれる。
【0016】ここで、共重合PETの融点測定は、Du
Pont Instruments 910 DSC
を用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法
による。なおサンプル量は20mgとする。
【0017】さらに、本発明で用いる共重合PETの固
有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)は0.52
〜1.50であることが好ましく、さらに好ましくは
0.57〜1.00、特に好ましくは0.60〜0.8
0である。この固有粘度が0.52未満の場合には耐衝
撃性が不足することがあり好ましくない。他方、固有粘
度が1.50を超える場合には、成形加工性が損なわれ
ることがある。
【0018】本発明における共重合PETは、その製法
により限定されることはないが、テレフタル酸、エチレ
ングリコールおよび共重合成分をエステル化反応させ、
ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるま
で重縮合反応させて共重合PETとする方法、あるいは
テレフタル酸ジメチルエステル、エチレングリコールお
よび共重合成分をエステル交換反応させ、ついで得られ
た反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応
させて共重合PETとする方法を好ましく挙げることが
できる。また、上記の方法(溶融重合)により得られた
共重合PETは、必要に応じて固相状態での重合方法
(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとす
ることができる。
【0019】前記共重合PETには必要に応じて、酸化
防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、
滑剤、核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を加えることが
できる。
【0020】前記重縮合反応に使用する触媒としては、
アンチモン化合物(Sb化合物)、チタン化合物(Ti
化合物)、ゲルマニウム化合物(Ge化合物)などが好
ましく挙げられ、これらの中、チタン化合物、ゲルマニ
ウム化合物はフィルムの保味保香性の点でさらに好まし
い。チタン化合物としては、例えばチタンテトラブトキ
シド、酢酸チタンなどが好ましく挙げられる。また、ゲ
ルマニウム化合物としては、(イ)無定形酸化ゲルマニ
ウム、(ロ)微細な結晶性酸化ゲルマニウム、(ハ)酸
化ゲルマニウムをアルカリ金属またはアルカリ土類金属
もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解し
た溶液、(ニ)酸化ゲルマニウムを水に溶解した溶液な
どが好ましく挙げられる。さらに、アンチモン化合物お
よび/またはチタン化合物と組み合わせて使用すると、
保味保香性の改善と共に、製造コストを低減することも
できるので好ましい。
【0021】本発明のポリエステルフィルムは、二軸延
伸、熱固定した状態で使用される。このとき、ポリエス
テルフィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)
と、DSC測定におけるガラス転移温度(Tg)は下記
式(1)および下記式(2)を満足する必要がある。
【0022】
【数3】Tg≧78 … (1) Te−Tg≦30 … (2) (ここで、Tgは290℃加熱溶融−急冷後のDSC測
定におけるガラス転移温度(℃)、Teはフィルムの損
失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。)
【0023】フィルムのTgが78℃未満であると、耐
熱性が劣るようになりレトルト後の保味保香性が悪化す
る。このため、共重合PETの共重合成分としては、少
なくとも1成分に、共重合成分の割合を増加させたとき
にガラス転移温度が変化しないか、もしくは上昇するよ
うな成分を用いることが好ましい。共重合成分の割合を
増加させたときにガラス転移温度を上昇させるような成
分としては、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸が、ジオール成分としては1,4−シク
ロヘキサンジメタノールが好ましく例示できる。
【0024】ここで、ポリエステルのTgは、DSC測
定用パンに20mgのフィルムサンプルを入れ、290
℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パ
ンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du P
ont Instruments 910 DSCを用
い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方法に
よる。
【0025】さらに、Te−Tgの値が30を超える
と、フィルムの分子配向性や結晶性が高くなりすぎるた
めに成形加工性が著しく低下する。Teの値は共重合成
分および共重合量にもよるが、製膜条件により、特に二
軸延伸の倍率、延伸温度、熱固定温度で調整する方法が
好ましく挙げられる。
【0026】ここで、Teは動的粘弾性測定装置を用い
て測定周波数10Hz、動的変位±25×10-4cmに
て求められる。
【0027】本発明において共重合PET中には平均粒
径が0.05〜2.5μm、好ましくは0.1〜2.2
5μm、さらに好ましくは0.3〜2μmであるテレフ
タル酸金属塩またはアルキレンテレフタレート成分を含
む金属塩の粒子が滑剤として含有する。この平均粒径が
0.05μm未満では、滑り性の向上効果が不十分であ
り、フィルム製造工程において巻取り性が悪くなるので
好ましくない。他方この平均粒径が2.5μmを超える
場合は、深絞り製缶等の加工により変形した部分に粗大
粒子(例えば10μm以上の粒子)が起点となり、ピン
ホールを生じたり、場合によって破断を生じるので、好
ましくない。かかる金属塩粒子の具体例としては、
【0028】
【化1】
【0029】等を例示できる。金属塩粒子を形成する金
属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が好ま
しく例示される。
【0030】金属塩粒子は、その製法によって限定され
ることはない。代表例としては、テレフタル酸カルシウ
ム粒子の製造例について述べると、塩化カルシウム水溶
液にテレフタル酸水溶液を加えてテレフタル酸カルシウ
ムを析出させ、該テレフタル酸カルシウムを分離、水
洗、乾燥し、ついで無水のテレフタル酸カルシウムをグ
リコール例えばエチレングリコール等に分散させてスラ
リーとし、さらに該スラリーを常法の粒度調製処理、例
えば粉砕処理、分級処理などにかけて所定の平均粒径の
テレフタル酸カルシウムを分散させたグリコールスラリ
ーを得ることができる。また、エチレンテレフタレート
成分、あるいはこれとリン成分を含む金属塩の粒子は内
部析出粒子を調製する公知の方法によって製造すること
ができるが、この粒子製造は本発明における共重合PE
Tを製造する系とは別の系で行う必要がある。
【0031】共重合PET中の析出粒子の含有量は、
0.005〜3重量%とする必要があり、好ましくは
0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.
5重量%である。この添加量が0.005重量%未満で
は滑り性の向上効果が不十分であり、一方3重量%を超
えるとフィルムの破断が多発するので好ましくない。ま
た必要に応じて、本発明の効果を損わない範囲でその他
の滑剤を添加することもできる。
【0032】ポリエステルに滑剤を含有させる手段とし
ては従来から知られている手段を用いることができ、特
に限定されないが、共重合ポリエステルの製造時に滑剤
を添加する方法が好ましい。
【0033】本発明のフィルムの表面粗さ(Ra)は、
フィルムの巻取り性、保味保香性の点で15nm以下、
特に4〜15nmとするのが好ましい。
【0034】なお、フィルムの表面粗さ(Ra)は、J
IS−B0601に準じて求めた中心線平均粗さであ
り、フィルム表面粗さ曲線からその中心線の方向に測定
長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線を
X軸とし、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線Y=f
(x)で表わしたとき、次の式で与えられる値(Ra;
nm)をフィルム表面粗さとして定義する。
【0035】
【数4】
【0036】本発明においては、基準長を2.5mmと
して5個測定し、値の大きい方から1個を除いた4個の
平均値としてRaを表わす。
【0037】本発明のポリエステルフィルムは、特に食
品缶または飲料缶に用いられるものであるから、該フィ
ルムより溶出あるいは飛散する物質が少ないほど良い
が、それらの物質を全くなくすことは実質的に不可能で
ある。そこで、食品缶または飲料缶用途に使用するため
には、例えばイオン交換水で121℃、2時間抽出した
ときのフィルム1平方インチ当りの抽出量が0.5mg
以下であることが好ましく、0.1mg以下であること
が更に好ましい。
【0038】上記抽出量を少なくするには、フィルムの
ガラス転移温度を高くすればよい。フィルムのガラス転
移温度は該フィルムを構成するポリマーのガラス転移温
度と配向度によって決まるが、配向度を上げると成形加
工性が悪化するので、ポリマー(共重合PET)のガラ
ス転移温度を高くするのが好ましい。
【0039】また、フィルムの厚さ方向の屈折率は1.
500〜1.540であることが好ましく、1.505
〜1.530であることが更に好ましい。この屈折率が
低すぎると成形加工性が不十分となり、一方高すぎると
非晶に近い構造となるため、耐熱性が低下することがあ
る。
【0040】ここで、フィルムの厚さ方向の屈折率は、
アッベの屈折計の接眼側に偏光板アナライザーを取り付
け、単色光NaD線で測定する。マウント液は、ヨウ化
メチレンを用い、測定温度は25℃である。
【0041】本発明のフィルムは、好ましくは厚みが6
〜75μmである。更に8〜75μm、特に10〜50
μmであることが好ましい。厚みが6μm未満では加工
時に破れなどが生じやすくなり、一方75μmを超える
ものは過剰品質であって不経済である。
【0042】本発明のフィルムが貼合せられる金属板、
特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチ
ール、アルミニウム等の板が適切である。金属板へのポ
リエステルフィルムの貼合せは、例えば下記、の方
法で行うことができる。 金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィ
ルムを貼合せた後冷却し、金属板に接するフィルムの表
層部(薄層部)を非晶化して密着させる。 フィルムに予め接着剤層をプライマーコートしてお
き、この面と金属板を貼合せる。接着剤層としては公知
の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エポキシ−エ
ステル系接着剤、アルキッド系接着剤等を用いることが
できる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。
なお、フィルムの特性は下記の方法で測定した。 (1)ポリエステルの固有粘度 オルトクロロフェノール中、35℃で測定する。
【0044】(2)ポリエステルの融点 Du Pont Instruments 910 D
SCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める
方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0045】(3)ポリエステルのガラス転移温度(T
g) DSC測定用パンに20mgのフィルムサンプルを入
れ、290℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すば
やく試料パンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化
し、Du Pont Instruments 910
DSCを用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を
求める方法による。
【0046】(4)フィルムの損失弾性率の最高温ピー
ク温度(Te) 動的粘弾性測定装置を用いて測定周波数10Hz、動的
変位±25×10-4cmにて損失弾性率を求め、このと
きの最高温ピーク温度をもって示す。
【0047】(5)粒子の平均粒径 公知の方法でフィルムサンプルから内部析出粒子を分離
し、個々の粒子ができるだけ重ならないように散在さ
せ、金スパッタ装置によりこの表面に金属蒸着膜を20
〜30nmで形成させ、操作型電子顕微鏡で1万〜3万
倍で観察し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス
500にて画像処理し、100個の粒子から平均粒径を
求める。
【0048】(6)巻取り性 フィルム製造工程で、フィルムをロール状に巻き取る
際、滑り不良によって発生するロール表面の小突起を観
察し、下記の基準で評価した。 ◎:小突起は全く認められない。 ○:多少小突起が認められるが、取扱い上特に問題はな
い。 ×:小突起が多数発生し、取扱い性が悪化する。
【0049】(7)深絞り加工性 フィルムをポリエステルの融点以上に加熱した板圧0.
25mmのティンフリースチールの両面に貼合せ、水冷
した後150mm径の円板状に切り取り、絞りダイスと
ポンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側
面無継目容器(以下、缶と略す)を作成した。この缶に
ついて以下の観察および試験を行い、各々下記の基準で
評価した。 深絞り加工性−1 ○:フィルムに異常なく加工されたフィルムに白化や破
断が認められない。 △:フィルムの缶上部に白化認められる。 ×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。 深絞り加工性−2 ○:異常なく加工され、缶内フィルム面の防錆性試験
(1%NaCl水溶液を缶内に入れ、電極を挿入し、缶
体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を測定す
る。以下、ERV試験と略す)において0.2mA以下
を示す。 ×:フィルムに異常はないが、ERV試験では電流値が
0.2mAを超えており、通電箇所を拡大観察するとフ
ィルムの粗大滑剤を起点としたピンホール状の割れが認
められる。
【0050】(8)耐衝撃性 深絞り成形が良好な缶について、水を満注し、0℃に冷
却した後、各テストにつき10個ずつを高さ30cmか
ら塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV試験を行
った結果、 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えているか、ある
いは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0051】(9)耐熱脆化性 深絞りが良好であった缶を200℃×5分間加熱保持し
た後、前述の耐衝撃性評価を行った結果、 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えているか、ある
いは200℃×5分間加熱後既にフィルムのひび割れが
認められた。
【0052】(10)耐レトルト性 深絞り成形が良好な缶について、水を満注し、蒸気滅菌
器で120℃、1時間レトルト処理を行い、しかる後、
50℃で30日間保存した。得られた缶を各テストにつ
き10個ずつ高さ50cmから塩ビタイル床面に落とし
た後、缶内のERV試験を行った。 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えているか、ある
いは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0053】(11)保味保香性−1 深絞り成形が良好な缶について、イオン交換水を充填
し、常温下(20℃)30日間保管する。その浸漬液を
用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用
のイオン交換水と比較し、下記基準で評価した。 ◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化
を感じた。 〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 △:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 ×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。
【0054】(12)保味保香性−2 深絞り成形が良好な缶について、イオン交換水を充填
し、蒸気滅菌器で120℃、1時間レトルト処理を行
い、しかる後、常温下(20℃)30日間保管する。そ
の浸漬液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行
い、比較用のイオン交換水と比較し、下記基準で評価し
た。 ◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化
を感じた。 〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 △:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 ×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。
【0055】[実施例1〜5および比較例1〜2]表1
に示す共重合成分を共重合した共重合PET(固有粘度
0.64、平均粒径0.8μmのテレフタル酸カルシウ
ムを0.3重量%含有)を乾燥した後、溶融押出し、急
冷固化して未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸
フィルムを表1に示す温度および倍率で縦延伸した後、
表1に示す温度および倍率で横延伸し、更に180℃で
熱固定して二軸延伸フィルムを得た。
【0056】得られたフィルムの厚みは25μm、表面
粗さ(Ra)は14nmであった。また、フィルムのガ
ラス転移温度(Tg)と損失弾性率の最高ピーク温度
(Te)、フィルム厚さ方向の屈折率およびイオン交換
水抽出量を表2に、評価結果を表3に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】表3の評価結果から明らかなように、共重
合PETの融点が210〜245℃である本発明の場合
(実施例1〜5)は、良好な結果が得られたが、融点が
210℃未満の場合(比較例1)は、耐熱性が劣り、レ
トルト処理後の保味保香性が悪く、245℃を超える場
合(比較例2)は、成形加工性が不良であった。
【0061】[実施例6〜7および比較例3〜4]実施
例5において、それぞれ表4に示すように共重合比を変
更した共重合PETを溶融押出しし、急冷固化して得た
未延伸フィルムを、それぞれ表4に示す条件で延伸、熱
固定して二軸延伸フィルムを得た。
【0062】得られたフィルムの厚みは25μmであ
り、表面粗さ(Ra)、フィルムのガラス転移温度(T
g)と損失弾性率の最高ピーク温度(Te)、フィルム
厚さ方向の屈折率およびイオン交換水抽出量を表5に、
評価結果を表6に示す。
【0063】表6の評価結果から明らかなように、Tg
が78℃以上、かつTe−Tgが30℃以下の本発明の
場合(実施例6〜7)は、良好な結果が得られたが、T
gが78℃未満の場合(比較例3)は、耐熱性が劣り、
レトルト後の保味保香性が悪く、Te−Tgが30℃を
超える場合(比較例4)は、成形加工性が低下した。
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】[実施例8〜15および比較例5〜8]実
施例2において、テレフタル酸カルシウムの平均粒径お
よび含有量を表7に示すように変更した二軸延伸フィル
ムを得た。得られたフィルムの表面粗さ(Ra)を表
7、評価結果を表8に示す。
【0068】テレフタル酸カルシウム粒子の平均粒径が
0.05〜2.5μm、かつ含有量が0.005〜3.
0重量%である本発明の場合(実施例8〜15)は、良
好な結果が得られたが、平均粒径が0.05μm未満の
場合(比較例5)および含有量が0.005重量%未満
の場合(比較例7)は、滑り性の向上効果が不十分で、
フィルムの巻取り性が悪化し、平均粒径が2.5μmを
超える場合(比較例6)および含有量が3.0重量%を
超える場合(比較例7)は、深絞り加工時にピンホール
や破断が生じやすく、不適当であった。
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】[実施例16〜18]実施例2において、
テレフタル酸カルシウムの代わりに、実施例16では下
記化合物(1)を、実施例17では下記化合物(2)
を、実施例18では下記化合物(3)をそれぞれ添加
し、その他の条件は実施例2と同様にして二軸延伸フィ
ルムを得た。なお、各添加化合物の平均粒径、含有量は
実施例2と同じにした。
【0072】
【化2】
【0073】得られたフィルムの厚みは実施例16〜1
8ともそれぞれ25μmであり、フィルムの表面粗さ
(Ra)は実施例16では13nm、実施例17では1
5nm、実施例18では13nmであった。評価結果は
表9に示すとおりであり、実施例2と同様に良好な結果
が得られた。
【0074】[比較例9]実施例2において、テレフタ
ル酸カルシウムの代わりに、平均粒径0.8μmのシリ
カ粒子をエチレングリコールに分散させて、含有量が
0.3重量%となるように添加し、その他の条件は実施
例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0075】得られたフィルムの厚みは25μmであ
り、フィルムの表面粗さ(Ra)は16nmであった。
評価結果は表9に示すとおりであり、実施例2に比較し
て、特性がやや劣るものであった。
【0076】
【表9】
【0077】
【発明の効果】本発明の金属板貼合せ成形加工用ポリエ
ステルフィルムは、金属板と貼合わせた後製缶加工、例
えば深絞り加工して金属缶を成形するにあたり、共重合
ポリエステルが持っている優れた耐熱性、耐衝撃性、耐
レトルト性を保持しながら、成形加工性に優れ、保味保
香性、特にレトルト後の保味保香性が改善されたもので
あり、金属容器用フィルムとして極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/12 C08K 5/12 C08L 67/02 C08L 67/02 // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が210〜245℃である共重合ポ
    リエチレンテレフタレートからなる二軸延伸フィルムで
    あって、フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(T
    e)と、DSC測定におけるガラス転移温度(Tg)が
    下記式(1)および下記式(2)を満足し、かつ平均粒
    径が0.05〜2.5μmであるテレフタル酸金属塩ま
    たはアルキレンテレフタレート成分を含む金属塩の粒子
    を0.005〜3重量%含有することを特徴とする金属
    板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。 【数1】Tg≧78 … (1) Te−Tg≦30 … (2) (ここで、Tgは290℃加熱溶融−急冷後のDSC測
    定におけるガラス転移温度(℃)、Teはフィルムの損
    失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。)
  2. 【請求項2】 共重合ポリエチレンテレフタレートの共
    重合成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸である請求
    項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィル
    ム。
  3. 【請求項3】 フィルムをイオン交換水で121℃、2
    時間抽出処理したときの抽出量が0.5mg/inch
    2以下である請求項1または2記載の金属板貼合せ成形
    加工用ポリエステルフィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11277701A (ja) * 1998-03-31 1999-10-12 Teijin Ltd 金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム
JP2001154595A (ja) * 1999-12-01 2001-06-08 Teijin Ltd プラズマディスプレイ前面板用積層体

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JPH11277701A (ja) * 1998-03-31 1999-10-12 Teijin Ltd 金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム
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