JPH11254125A

JPH11254125A - スライディングノズルプレート

Info

Publication number: JPH11254125A
Application number: JP10057958A
Authority: JP
Inventors: Masanori Saito; 正宣斉藤
Original assignee: Kawasaki Refractories Co Ltd
Current assignee: JFE Refractories Corp
Priority date: 1998-03-10
Filing date: 1998-03-10
Publication date: 1999-09-21

Abstract

(57)【要約】【課題】製鋼用の取鍋、タンディッシュなどのス
ライディングノズル装置の耐火物部材であるスライディ
ングノズルプレートに関するものである。【解決手段】窒化硼素３〜３０ｗｔ％、窒化珪素、窒
化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、イットリアの
うち一種又は二種以上が７０〜９７ｗｔ％である複合材
１により、スライディングノズルプレート２の摺動面３
及び／又は内孔面４の一部又は全部を構成している。こ
のことにより、スライディングノズルプレート２のエッ
ジ部５および摺動面３の耐食性と耐熱衝撃性を向上さ
せ、スライディングノズルプレート２の耐用を向上させ
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は製鋼用の取鍋、タン
ディッシュなどのスライディングノズル装置の耐火物部
材であるスライディングノズルプレートに関するもので
ある。

【０００２】

【従来技術】従来の一般的なスライディングノズルプレ
ートは、アルミナ、ムライトなどの耐火原料と炭素等を
Ｓｉ系バインダー、ピッチ、フェノール樹脂等と混練
後、成形、焼成して製造している。

【０００３】上記スライディングノズルプレートは溶鋼
流による磨耗、急激な熱衝激、摺動による磨耗などによ
る物理的作用に加えて、溶鋼またはスラグなどによる化
学的侵食を受け、主に、溶鋼流路である内孔の損耗によ
るエッジ部分の欠け、摺動面の損耗によって使用できな
くなる。

【０００４】したがって、上記スライディングノズルプ
レートは、耐磨耗性、耐熱衝撃性、耐食性などに優れた
耐火物であることが必要である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このため、従来より上
記スライディングノズルプレートの耐熱衝撃性等を向上
させるため、低熱膨張材料を耐火骨材に使用すること等
が行われている。しかしながら、これら従来のスライデ
ィングノズルプレートでは、耐熱衝撃性等が十分ではな
く、エッジ部および摺動面の損傷を抑制する効果は少な
かった。

【０００６】本発明は、上記の事情を鑑みてなされたも
のであり、エッジ部および摺動面の損傷を抑制したスラ
イディングノズルプレートを提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、
図１〜図４に示すように窒化硼素３〜３０ｗｔ％、窒化
珪素、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、イッ
トリアのうち一種又は二種以上が７０〜９７ｗｔ％を主
成分とする複合材１により、スライディングノズルプレ
ート２の摺動面３及び／又は内孔面４の一部又は全部を
構成するという手段を採用している。

【０００８】窒化硼素を含む上記複合材１は、熱膨張率
が小さく、また六角板状結晶である窒化硼素を含むこと
によって、内部に発生した亀裂の伸長が妨げられるた
め、耐熱衝撃性に優れる。また、窒化硼素と溶鋼の接触
角が大きく濡れにくいので、上記複合材１の濡れ性が向
上する。更に、窒化硼素は六角板状結晶であり面方向に
剥がれ、滑りやすいため、上記複合材１の摺動抵抗が小
さくなるなどの特性がある。よって、この複合材１によ
り上記スライディングノズルプレート２の摺動面３及び
／又は内孔面４の一部又は全部を構成することによっ
て、使用時の熱衝撃による亀裂が入らず、エッジ部５及
び摺動面３の欠け、剥離が抑制でき、溶鋼に対する耐食
性に優れたスライディングノズルプレート２を製造する
ことができる。

【０００９】上記複合材１は、窒化硼素が３〜３０ｗｔ
％、好ましくは５〜２５ｗｔ％必要であり、窒化硼素が
３ｗｔ％より少ないと耐熱衝撃性に劣り、３０ｗｔ％よ
り多いと硬度不足となる。

【００１０】また、窒化硼素３〜５０ｗｔ％、窒化珪
素、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、イット
リアのうち一種又は二種以上が５０〜９７ｗｔ％を主成
分とする複合材１の開口した気孔に、(1) カルシア含有
量が３モル％以下であるジルコニア、(2) アルミナ、
(3) マグネシア、(4) イットリア、(5) ジルコニウム、
アルミニウム、シリコンの一種又は二種以上を含有する
炭化物、(6) 窒化物、(7)硼化物、(8) 酸窒化物、(9)
上記物質(1) 〜(8) を生成する前駆体、(10)上記物質
(1) 〜(8) を析出する溶液、以上(1) 〜(10)のうち一種
又は二種以上を、充填部分の開口気孔体積の０．５％以
上、かつ、表面から０．１mm以上の深さにわたって充填
した当該複合材１により、スライディングノズルプレー
ト２の摺動面３及び／又は内孔面４の一部又は全部を構
成するという手段も採用している。

【００１１】上記複合材１はシリコンを含むため、若
干、スラグに対する耐食性に劣り、また、硬度不足のた
めさし込んだ地金により摺動面３が荒れる場合がある
が、上記のように、上記気孔に耐食性を有する上記物質
を充填することによって上記気孔径が減少して外来成分
の浸透が抑制され、さらに上記物質が耐食性を有するこ
とにより外来成分による侵食が抑制される。

【００１２】また、上記気孔に上記物質を充填すること
によって硬度も増加するため、地金の差し込みによる稼
働面の損傷が減少する。更に、稼働面から所定の深さに
存在する上記気孔中のみに、上記物質を充填することか
ら耐熱衝撃性にも問題はなく、上記のように硬度も増加
するため、上記複合材１のみで使用する場合より多くの
窒化硼素を含有した複合材１を使用でき、より耐熱衝撃
性が向上する。

【００１３】上記気孔に充填する上記物質は充填部分の
開口気孔体積の０．５％以上、好ましくは２％以上必要
であり、また充填深さは０．１mm以上、好ましくは１mm
以上必要であり、それぞれ０．５％未満、０．１mm未満
では、耐食性、耐熱衝撃性の向上という上記効果は得ら
れない。

【００１４】上記ジルコニアはカルシア含有量が３モル
％未満である必要があり、該ジルコニアはカルシア含有
量が３モル％より多いと、溶鋼含有成分あるいはスラグ
成分にジルコニア内のカルシアが溶解してジルコニアが
細粒化するため、耐食性が低下する。

【００１５】上記複合材１の開口気孔内への上記物質の
充填は、上記物質又は／及び上記物質を生成する前駆体
の微細な固形粒子を液体に分散させたスラリー、又は／
及び上記物質を生成する前駆体、又は／及び上記物質を
析出する溶液を上記稼働面に含浸することによって達成
される。

【００１６】上記固形粒子を分散させるスラリーの溶媒
は水やアルコールなど従来公知の物質を使用できる。こ
の溶媒に上記固体粒子を析出する溶液を用いてもよく、
該溶媒中には加熱等の処理によって固化、析出する物の
他に有機バインダー、分散剤などのように後処理によっ
て分解除去されるものも含んでよい。

【００１７】またアルミナゾル、ジルコニアゾル等のよ
うにコロイド分散した液体も含まれる。上記物質を析出
する溶液は、加熱や加水分解等で上記固形粒子を析出す
るものであれば何でもよく、たとえば塩化物、酸塩化
物、硫化物、硝酸塩、酢酸塩等の水溶液や有機溶液、金
属アルコキシド等の有機金属化合物があげられる。また
窒素、還元雰囲気等で熱処理することによって窒化する
ことなどにより窒化物、炭化物等の非酸化物を形成する
有機金属化合物なども使用できる。もちろん二種以上を
混合して用いてもよい。

【００１８】上記物質を生成する前駆体は、たとえば水
酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、炭酸ジルコニ
ウム、炭酸アルミニウム等の水酸化物や炭酸塩のように
加熱によって上記物質に変化する固形粒子や、有機金属
ポリマー等がある。

【００１９】上記スラリーや溶液を上記気孔に含浸する
方法は、減圧及び／又は加圧等の公知の含浸方法でよ
く、浸漬や塗布によって浸透させてもよい。もちろん含
浸を繰り返すことによってより多くの粒子を充填するこ
とも可能である。

【００２０】次に、上記スラリーを含浸した場合は、上
記複合材１に含浸させた上記スラリーの溶媒を蒸発、除
去して使用する。上記物質を析出する溶液を含浸した場
合は、上記複合材１の熱処理などによって上記物質を析
出、固化させて使用する。上記いずれの場合も含浸粒子
を複合材１構成粒子と焼結させるような高温での熱処理
はしなくても良い。また必ずしも加熱処理は必要ではな
く、使用前の予熱、あるいは使用時の熱によって上記目
的を達成することもできる。もちろん１０００℃以上の
ような高温で熱処理することによって含浸物質と上記複
合材１の粒子を反応、焼結させてもよい。

【００２１】ただし、上記溶液として非酸化物を反応生
成させる有機金属化合物を使用する場合は、反応が生じ
る窒素、アルゴン、還元等の雰囲気、温度で熱処理する
必要がある。

【００２２】また、上記各手段において、上記複合材１
により上記スライディングノズルプレート２全体を作製
しても良いが、経済性の面からは、図１〜図４に示すよ
うに上記スライディングノズルプレート２の摺動面３及
び／又は内孔面４の一部又は全部に上記複合材１をはめ
込むように構成することが好ましい。尚、上記摺動面３
の一部に上記複合材１をはめ込む場合には、該複合材１
を、上記スライディングノズルプレート２の孔の部分よ
り、溶鋼を流すのを止めた時に上プレートの孔が位置す
る部分（ストップゾーン）６までの間に使用するのが効
果的である。

【００２３】さらに、摺動性に優れ、耐食性、耐熱衝撃
性にも問題ないことから、必ずしもピッチ含浸を行う必
要はない。もちろん、通常のスライディングノズルプレ
ートのようにピッチ含浸を行っても構わない。

【００２４】

【実施の形態】以下、本発明に係るスライディングノズ
ルプレートの実施例について、比較例を参考に説明す
る。

【００２５】尚、以下に示す各実施例および比較例に使
用した複合材１は、各原料粉末を所定形状に成形した
後、窒素雰囲気、１７５０℃×２時間焼成し、この焼結
体を必要に応じて切断、加工して使用した。

【００２６】また、スライディングノズルプレート２
は、上記複合材１がはめ込めるような窪みを有する形状
に製造し、この窪みに上記複合材１をはめ込み、耐火性
モルタルを介して接着させた。

【００２７】（実施例１）厚さ５mmの、窒化硼素２０ｗ
ｔ％、窒化珪素７０ｗｔ％、残りがアルミナとイットリ
アからなる複合材１を摺動面３にはめ込んだアルミナ・
カーボン質スライディングノズルプレート２の焼結体
（図１）。

【００２８】（実施例２）厚さ５mmの、窒化硼素１０ｗ
ｔ％、窒化珪素７０ｗｔ％、残りがアルミナとイットリ
アからなる複合材１を摺動面３にはめ込んだアルミナ・
カーボン質スライディングノズルプレート２の焼結体
（図１）。

【００２９】（実施例３）厚さ５mmの、窒化硼素２０ｗ
ｔ％、イットリアを８ｗｔ％含むジルコニア８０ｗｔ％
からなる複合材１を摺動面３にはめ込んだアルミナ・カ
ーボン質スライディングノズルプレート２の焼結体（図
１）。

【００３０】（実施例４）厚さ５mmの、窒化硼素２０ｗ
ｔ％、窒化アルミニウム７８ｗｔ％、残りがイットリア
からなる複合材１を摺動面３にはめ込んだアルミナ・カ
ーボン質スライディングノズルプレート２の焼結体（図
１）。

【００３１】（実施例５）厚さ３mmの、窒化硼素２０ｗ
ｔ％、窒化珪素７０ｗｔ％、残りがアルミナとイットリ
アからなる複合材１を摺動面３にはめ込み、ピッチ含浸
したアルミナ・カーボン質スライディングノズルプレー
ト２の焼結体（図１）。

【００３２】（実施例６）厚さ５mmの、窒化硼素２０ｗ
ｔ％、窒化珪素７０ｗｔ％、残りがアルミナとイットリ
アからなる複合材１にポリ塩化アルミニウム水溶液(Al₂
0₃25%)を２５kgf/cm²で加圧含浸して１２０℃で乾燥し
た後、４００℃で熱処理してアルミナを開口気孔体積の
１５％に充填したものを摺動面３にはめ込んだアルミナ
・カーボン質スライディングノズルプレート２（図
１）。

【００３３】（実施例７）厚さ１０mmの、窒化硼素２０
ｗｔ％、窒化珪素７０ｗｔ％、残りがアルミナとイット
リアからなる複合材１をZrO(OH)Cl ・nH₂O水溶液(ZrO₂
40%)に１０分間浸漬し、乾燥後４００℃で熱処理してジ
ルコニアを表面から１mm内部まで開口気孔体積の２５％
充填したものを摺動面３と内孔面４にはめ込み、ピッチ
含浸したアルミナ・カーボン質スライディングノズルプ
レート２（図４）。

【００３４】（実施例８）厚さ１０mmの、窒化硼素４０
ｗｔ％、窒化珪素５０ｗｔ％、残りがアルミナとイット
リアからなる複合材１にZrO(OH)Cl ・nH₂O水溶液(ZrO₂
40%)を１０kgf/cm ²で２分間加圧浸漬し、乾燥後２回含
浸を繰り返した後、４００℃で熱処理してジルコニアを
表面から５mm内部まで開口気孔体積の６０％充填したも
のを摺動面３と内孔面４にはめ込み、ピッチ含浸したア
ルミナ・カーボン質スライディングノズルプレート２
（図４）。

【００３５】（比較例１）上記各実施例において上記複
合材１をはめ込む基に使用したアルミナ・カーボン質ス
ライディングノズルプレート２。

【００３６】（比較例２）厚さ５mmの、窒化硼素２ｗｔ
％、窒化珪素８５ｗｔ％、残りがアルミナとイットリア
からなる複合材１を摺動面３にはめ込んだアルミナ・カ
ーボン質スライディングノズルプレート２の焼結体（図
１）。

【００３７】（比較例３）厚さ５mmの、窒化硼素４０ｗ
ｔ％、窒化珪素５０ｗｔ％、残りがアルミナとイットリ
アからなる複合材１を摺動面３にはめ込んだアルミナ・
カーボン質スライディングノズルプレート焼結体２（図
１）。

【００３８】（比較例４）厚さ１０mmの、窒化硼素４０
ｗｔ％、窒化珪素５０ｗｔ％、残りがアルミナとイット
リアからなる複合材１をZrO(OH)Cl ・nH₂O水溶液(ZrO₂
5%) に５分間浸漬し、乾燥後４００℃で熱処理してジル
コニアを表面から１mm内部まで開口気孔体積の０．３％
充填したものを摺動面３と内孔面４にはめ込み、ピッチ
含浸したアルミナ・カーボン質スライディングノズルプ
レート２（図４）。

【００３９】以上、図１及び図４を用いて説明を行った
が、図２及び図３のように、内孔面４に複合材１を設け
ても上記した同様の効果が得られる。以上のスライディ
ングノズルプレートの内孔面、摺動面に１６００℃の溶
鋼を受けた場合の亀裂の有無により耐熱衝撃性を、また
１５５０℃の溶鋼に浸漬した場合の侵食量（上記比較例
１を１００とした侵食比）を評価した。以上の結果を表
１に示す。

【００４０】

【表１】

【００４１】以上のように、比較例２では侵食量は向上
しているが亀裂が大きく、比較例３、比較例４では亀裂
はないが侵食量の向上していないのに対して、各実施例
１〜８は耐食性と耐熱衝撃性の両方が向上している。

【００４２】

【発明の効果】本発明のスライディングノズルプレート
では、上記複合材によりエッジ部および摺動面の一部又
は全部を構成することにより、このエッジ部および摺動
面の耐食性と耐熱衝撃性を向上させ、スライディングノ
ズルプレートの耐用を向上させることが可能になった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係るスライディングノズ
ルプレートの断面図及び平面図である。

【図２】本発明の実施の形態に係るスライディングノズ
ルプレートの断面図及び平面図である。

【図３】本発明の実施の形態に係るスライディングノズ
ルプレートの断面図及び平面図である。

【図４】本発明の実施の形態に係るスライディングノズ
ルプレートの断面図及び平面図である。

【符号の説明】

１複合材２スライディングノズルプレート３摺動面４内孔面５エッジ部６ストップゾーン

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】窒化硼素３〜３０ｗｔ％、窒化珪素、窒
化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、イットリアの
うち一種又は二種以上が７０〜９７ｗｔ％である複合材
により、摺動面及び／又は内孔面の一部又は全部を構成
したことを特徴とするスライディングノズルプレート。
【請求項２】窒化硼素３〜５０ｗｔ％、窒化珪素、窒
化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、イットリアの
うち一種又は二種以上が５０〜９７ｗｔ％である複合材
の開口した気孔に、(1) カルシア含有量が３モル％以下
であるジルコニア、(2) アルミナ、(3) マグネシア、
(4) イットリア、(5) ジルコニウム、アルミニウム、シ
リコンの一種又は二種以上を含有する炭化物、(6) 窒化
物、(7)硼化物、(8) 酸窒化物、(9) 上記物質(1) 〜(8)
を生成する前駆体、(10)上記物質(1) 〜(8) を析出す
る溶液、以上(1) 〜(10)のうち一種又は二種以上を、充
填部分の開口気孔体積の０．５％以上、かつ、表面から
０．１mm以上の深さにわたって充填した当該複合材によ
り、摺動面及び／又は内孔面の一部又は全部を構成した
ことを特徴とするスライディングノズルプレート。