JPH11236399A - モノクローナル抗体 - Google Patents

モノクローナル抗体

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JPH11236399A
JPH11236399A JP10040553A JP4055398A JPH11236399A JP H11236399 A JPH11236399 A JP H11236399A JP 10040553 A JP10040553 A JP 10040553A JP 4055398 A JP4055398 A JP 4055398A JP H11236399 A JPH11236399 A JP H11236399A
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JP
Japan
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antibody
monoclonal antibody
hybridoma
peptide
hsa
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JP10040553A
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English (en)
Inventor
Koichiro Hirata
広一郎 平田
Hisahiko Iwamoto
久彦 岩本
Keisuke Miura
圭介 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
A & T kk
Tokuyama Corp
Original Assignee
A & T kk
Tokuyama Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 体液中のAGEのひとつであるカルボキシメ
チル化ヘモグロビンを簡便に測定することの出来る新規
な免疫学的定量方法を提供すること。 【解決手段】 例えばハイブリドーマ2B3(生命研菌
寄第 16632号)によって製造されたカルボキシメ
チル化ヘモグロビンに特異的に反応するモノクローナル
抗体を含んでなる免疫学的測定試薬を使用して、体液中
のカルボキシメチル化ヘモグロビンを測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボキシメチル
化ヘモグロビンを特異的に認識するモノクローナル抗
体、該抗体産生細胞、該抗体を用いるカルボキシメチル
化ヘモグロビンの免疫学的測定方法、及び免疫学的測定
試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カルボキシメチル化タンパク質
(以下「CM−タンパク」と表記することもある。)は
メイラード反応後期生成物(以下「AGE」と略すこと
もある。)の主要成分であると考えられており(Iked
a,K.,et.al.,Biochemistry,vol.35,p8075,1
996)、これらの定性或いは定量方法としては、特異抗
体を用いる方法や、CM−タンパクを加水分解してガス
クロマトグラフィー/質量分析にてカルボキシメチル化
(以下「CM化」と略すこともある。)されたアミノ酸
を検出する方法等が知られている。しかしながら、ガス
クロマトグラフィー/質量分析にてCM−タンパクを間
接的に測定する方法は操作が煩雑であり感度も低いとい
う問題があることから、測定が容易であり感度も高い特
異抗体を用いる方法が多用されている。
【0003】上記の特異抗体を用いた測定方法では、試
験管内(in vitro)で作製したCM−タンパクについて
は酵素標識免疫学的測定法(ELISA法)、ラジオイ
ムノアッセイ法(RIA法)、ウエスタンブロッティン
グ法による検出が可能であり、組織におけるCM−タン
パクについては免疫学的組織染色法が可能である。とこ
ろが、体液中のCM−タンパクについては、体液を直接
ELISA法やRIA法、ウエスタンブロッティング法
にて測定することは不可能であるため、ドットブロッテ
ィング法により検出を行うか、又は体液由来のCM−タ
ンパクをアルカリやプロテナーゼK等で前処理を行い、
該タンパクを変性あるいは切断してからELISA法に
て検出する方法が行われていた。
【0004】しかしながら、体液中のCM−タンパクを
ドットブロッティング法で測定する場合には操作が煩雑
であるばかりでなく、CM−タンパク濃度を再現性良く
測定するための手技の習得に時間を要するという欠点が
あった。また、体液由来のCM−タンパクをELISA
法で測定する場合には、上記のような前処理が必要であ
るが、該前処理工程でタンパク質のCM化が起こらない
ように注意する必要があり、操作も煩雑で時間を要する
という問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】体液中のAGEの中で
もカルボキシメチル化ヘモグロビン(以下「CM−H
b」と略すこともある。)は、糖尿病或いは糖尿病合併
症との関連性が強く示唆されており、該CM−Hbを測
定することは臨床検査等の見地から意義のあることであ
るが、上記したように、体液中のCM−Hbを簡単に測
定する方法はこれまで知られていない。本発明の課題
は、体液中のCM−Hbを簡単に測定する方法を開発す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、CM−Hbとの
み特異的に反応するモノクローナル抗体を用いれば、被
検体を処理することなく簡便に血中のCM−Hb濃度を
測定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、第一の本発明は、CM−Hbに特異
的に反応するモノクローナル抗体である。また、第二の
本発明はCM−Hbに特異的に反応するモノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマである。更に、第三の本
発明は、CM−Hbに特異的に反応するモノクローナル
抗体を用いることを特徴とするCM−Hbの免疫学的測
定方法であり、第四の本発明は、CM−Hbに特異的に
反応するモノクローナル抗体を含んでなるCM−Hb測
定用免疫学的測定試薬である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のモノクローナル抗体は、
CM−Hbに特異的に反応する。ここでCM−Hbと
は、ヘモグロビン(以下「Hb」と略すこともある)の
N末端アミノ基または側鎖アミノ基の水素が少なくとも
1箇所以上CM化されたHbを言う。なお、CM化部位
はHbのα鎖でもβ鎖でも良い。また、CM−Hbに特
異的に反応するとは、例えばCM化HSA(HSA:人
血清アルブミン)、CM化コラーゲン、CM化γグロブ
リン等の、CM−Hb以外のCM−タンパクとは反応し
ないか、若しくは反応したとしても非常に弱くしか反応
しないことを言う。より具体的に言えば、CM−Hb以
外のCM−タンパクとの反応よりもCM−Hbとの反応
の方が100倍以上高いアフィニティを有することを言
う。なお、本発明のモノクローナル抗体は、CM−Hb
に特異的に反応するものであれば、そのタイプ(グロブ
リンクラス)は特に限定されず、現在知られているどの
ようなグロブリンクラスのものも含まれる。また、本発
明でいうモノクローナル抗体とは、通常のモノクローナ
ル抗体のみならず、該抗体の部分分解物(Fab、Fa
b'、Fab'2等)、及び該抗体の活性フラグメント
(抗体の抗原認識部位)が存在する部分構造等も含む。
【0009】本発明のモノクローナル抗体の製造方法は
特に限定されないが、免疫用の抗原(以下「免疫原」と
いうこともある)としてCM−Hbを動物に免疫した後
に免疫動物から抗体産生細胞を分取し、分取した細胞を
好適な培地で培養して製造する方法、又は分取した上記
の抗体産生細胞を形質細胞腫細胞と融合させてハイブリ
ドーマとし、該ハイブリドーマを培養したり或いは動物
体内に移植して増幅させて製造する方法等により好適に
製造することが出来る。
【0010】以下に、本発明のモノクローナル抗体を製
造することが出来るハイブリドーマ(以下、「本発明の
ハイブリドーマ」ともいう。)を用いて本発明のモノク
ローナル抗体を製造する方法について具体的に説明す
る。ここで、ハイブリドーマとは種類の異なる二つの細
胞(親株)を人工的に融合させてできる雑種細胞のこと
で、例えば、培養できるように樹立してある形質細胞腫
細胞と、生体からとった抗体産生細胞とを融合させるこ
とにより作ることが出来る。該ハイブリドーマは培養可
能であり、しかも抗体産生能を持つ。
【0011】本発明のハイブリドーマとは、CM−Hb
に対して特異的な反応性を有するモノクローナル抗体を
産生できるものであれば特に制限されないが、一般に動
物の免疫、細胞融合、融合細胞の選択、特異抗体産生細
胞の選択、及びクローニング等の一連の工程を経て調製
されるハイブリドーマであって、CM−Hbに対して特
異的な反応性を有するモノクローナル抗体を生産するも
のをいう。
【0012】先ず、動物の免疫について説明する。免疫
原であるCM−Hbは、Hbのアミノ酸の側鎖アミノ基
又はN末端アミノ基の水素をカルボキシメチル基に置換
することにより得られる。このときの方法としては公知
の方法が何ら制限なく使用でき、例えば「新生化学講座
1、タンパク質4」(日本生化学会編、第13〜16項、東
京化学同人、1991年3月20日発行)に記されている還元
アルキル化法により行うことが出来る。即ち、アルデヒ
ド化合物とHbをホウ酸緩衝液やリン酸緩衝液等の水溶
液に溶解し、水素化ホウ素ナトリウムや水素化シアノホ
ウ素ナトリウム等の水素化物還元剤の存在下でpH8〜
10の条件で反応させれることにより得られる。これよ
り高いpH条件下であるとタンパク質等が変性する恐れ
があり、これより低いpH条件下であると水素化物還元
剤が不安定になる。該反応を特異的且つ定量的に進行さ
せるために、反応温度は室温以下が好ましいが、さらに
好ましくは0〜10℃で行うのが良い。得られたCM−
Hb溶液は透析や限外濾過を行い、未反応の還元剤やア
ルデヒド化合物を除去して用いられる。
【0013】次いで、上記のようにして得られたCM−
Hbを免疫原として動物に免役する。免疫に際して、使
用される免疫原は精製されたCM−Hbを含む溶液であ
れば特に制限されないが、フロイントの完全アジュバン
トと混合したものを用いるのが好ましい。免疫される動
物としては、哺乳動物が好ましく、例えばマウス、モル
モット、ラット、ウサギ、ヒツジ、ニワトリ等があげら
れるが、扱いやすさの点からマウスが特に好ましい。免
疫方法は、周知の適当な方法を適宜組み合わせて実施で
きる。通常は、動物の皮下、筋肉内、腹腔内の少なくと
も1箇所以上に免疫原を注射することによって行われる
が、形質細胞腫細胞と抗体産生細胞を高い確率で融合さ
せるためには皮下、特に四肢のリンパ節に免疫原を注射
することがより好ましい。初回免疫から約1〜2週間毎
に数回免疫を行い、最終免疫より約3〜5日後に免疫動
物から抗体産生細胞を分取する。抗体産生細胞として
は、脾臓細胞やリンパ節B細胞等の抗体産生能を有する
細胞を摘出すればよい。
【0014】次に、細胞融合以降の工程について説明す
る。細胞融合することによりハイブリドーマを作成する
際に必要なもう一方の親株である形質細胞腫細胞として
は、一般に骨髄腫(ミエローマ)細胞が用いられる。骨
髄腫細胞としては、例えばマウス由来のP3U1、65
3、SP2、X63−Ag8、NS−1、MPC−11
等、ラット由来のAG1、AG2、AG3、RCY3、
210等、ヒト由来のSKO−007等が使用できる
が、マウス由来のものが好ましく、入手の容易さや実績
等から特にP3U1、653が好ましい。さらには、抗
体産生細胞と骨髄腫細胞とは同種動物由来であることが
好ましい。
【0015】細胞融合は、ポリエチレングリコールを用
いる方法、センダイウイルスを用いる方法、電気融合等
が使用できるが、KohlerとMilsteinの方法(Nature,25
6,495-497(1975))またはこれに準じるポリエチレン
グリコールを用いた方法は操作が簡便であり好ましい。
該方法は、30〜50%ポリエチレングリコール(平均
分子量1,000〜4,000)を用いて30〜40℃
の温度で、抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを1〜10分間
混合することによって行われる。細胞融合により得られ
るハイブリドーマの選択は、ハイブリドーマのみが生育
できる選択培地中で培養することにより行うことができ
る。例えばHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、
チミジン)培地、Haz(ヒポキサンチン−アザセリ
ン)培地が好ましいものとして挙げられる。例えばHA
T選択方法は、細胞融合に前記のようなHGPRT(ヒ
ポキサンチン−グアニン ホスホリボシル トランスフ
ェラーゼ)欠損株であるミエローマ細胞を用いた場合に
有効である。細胞融合後HAT培地で培養することによ
り、HGPRT欠損株のミエローマ細胞はアミノプテリ
ンで生育が阻害され、アミノプテリンに耐性のハイブリ
ドーマのみを選択的に増殖させることができる。
【0016】このようにして得られたハイブリドーマの
中から、CM−Hbに対し特異的に反応するモノクロー
ナル抗体を産生しているものを選択する。この選択は、
上記培養によりハイブリドーマの増殖が認められたウェ
ルの培養上清中を採取し、CM−Hbに対する抗体の有
無を、例えば、ELISA法のような酵素免疫測定法等
によって調べれば良い。続いて、CM−Hbに対する抗
体が存在しているウェル中のハイブリドーマをクローニ
ングすれば良い。クローニングとは、上記特異抗体産生
細胞をひとつのクローンに由来する均一な細胞集団にす
ることであり、例えば限界希釈法、ソフトアガロー上の
コロニーを拾い上げる方法、シングルセルマニュピュレ
ーション法、FACS法等が挙げられるが、限界希釈法
が簡便で好ましい。
【0017】以上の方法により単一なモノクローナル抗
体産生細胞を選択することができる。選択されたハイブ
リドーマ細胞株は、2〜10mlの培地で増殖させ液体
窒素中で凍結保存しておくことができる。なお、本発明
のハイブリドーマのひとつであるハイブリドーマ2B3
は、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、1
998年2月10日に「ハイブリドーマ CM−Hb
2B3」{寄託番号:生命研菌寄第16632号(FE
RM P−16632)}として受託された。
【0018】本発明のハイブリドーマを用いた本発明の
モノクローナル抗体の作成方法としては、ハイブリドー
マを用いた抗体の作成方方法として従来公知の方法が何
ら制限なく使用できる。例えば、ハイブリドーマを動物
の腹腔内に移植し増幅させ、腹水を回収することによっ
てモノクローナル抗体を作製することができる。このよ
うにして得られた抗体は、必要に応じて精製して使用す
ることができる。精製法としては、例えば硫酸アンモニ
ウム分画法、ポリエチレングリコール分画法、エタノー
ル分画法、プロテインAカラムあるいはプロテインGカ
ラム等を用いたアフィニティークロマトグラフィー法、
イオン交換カラムクロマトグラフィー法、ゲル濾過カラ
ムクロマトグラフィー法、電気泳動法等の常法を用いる
ことにより精製することができる。これらの中でアフィ
ニティークロマトグラフィー法が好ましく、特にプロテ
インAカラムを用いる方法が好ましい。
【0019】このようにして得られたモノクローナル抗
体は、CM−Hbに対する反応特異性を確認するのが好
ましい。該確認は、該抗体がCM−Hbとは反応する
が、N末端及び側鎖アミノ基がCM化されていないHb
(以下「非CM−Hb」と略すこともある)あるいはC
M−Hb以外のCM−タンパクとは反応しないことをE
LISA法により調べることにより行うことが出来る。
非CM−Hbの作成方法としては、CM−Hbを認識す
るポリクローナル抗体を担持した担体を詰めたカラム
に、検体全血より得られたHb(CM−Hbを含む)を
流す操作を繰り返し、カラムの通過画分として非CM−
Hbを得る方法等が挙げられる。CM−Hb以外のCM
−タンパクとしては、上記のCM−Hb作成と同様の方
法により作成されたCM−HSA等を使用することが出
来る。
【0020】本発明のモノクローナル抗体はCM−Hb
に特異的に反応するため、該モノクローナル抗体を使用
することにより、抗原抗体反応を利用して体液等の検体
中のCM−Hbを測定することが出来る。
【0021】例えば、上記抗原抗体反応に基づく不溶性
担体の凝集反応を利用して検体中のCM−Hbを検出す
ることができる(免疫凝集法)。また、本発明のモノク
ローナル抗体あるいはCM−Hbに放射性物質、各種色
素類、コロイド類、酵素等を結合させて抗原抗体反応を
行った後に、該結合させた物質に由来する放射活性、酵
素活性等を測定することによって、検体中のCM−Hb
を検出することが出来る(標識免疫測定法)。このと
き、使用できる放射性物質としては放射性ヨード、放射
性炭素等が挙げられる。色素としてはフルオレセインイ
ソチオシアネート、テトラメチルローダミン等の蛍光色
素類を使用するのが好ましいがこれに限定されるもので
はない。またコロイドとしては金コロイド等が使用でき
る。酵素としてはぺルオキシダ−ゼ、アルカリホスファ
ターゼ等が使用できる。さらに本発明のモノクローナル
抗体とともに、上記色素、コロイド類、酵素等を標識し
た二次抗体を使用してCM−Hbの検出に用いることも
できる。また本発明のモノクローナル抗体は、必要に応
じて他のCM−Hbに対するモノクローナル抗体又はポ
リクローナル抗体と組み合わせてCM−Hbの検出に用
いることができる。
【0022】前記免疫凝集法について具体的に例示すれ
ば、定性的方法としてはラテックス凝集法、マイクロタ
イター法等が、定量的測定法としてはラテックス定量法
等がそれぞれ挙げられる。
【0023】また、前記標識免疫測定法について具体的
に例示すれば、定量的測定法としてはラジオイムノアッ
セイ法、エンザイムノアッセイ法、蛍光イムノアッセイ
法、化学発光イムノアッセイ法等を、半定量的測定法と
してはウエスタンブロッティング法、ドットブロッティ
ング法等をそれぞれ例示できる。
【0024】これら各測定法における操作、手順等は一
般に採用されているそれらと特に異ならず、公知の非競
合法や競合法、サンドイッチ法等に準じることができ
る。
【0025】例えば標識免疫測定法における非競合法を
例示すると、検体由来の既知量のHbを固定化した固相
に対し、酵素あるいは放射性同位元素等によって標識さ
れた本発明のモノクローナル抗体を反応させ、洗浄した
後、固相に結合した酵素活性あるいは放射活性を測定す
ることによって行われる。反応及び洗浄後の残存活性が
大きいほど、固相に結合した本発明のモノクローナル抗
体の量が多いことになる。あるいは本発明のモノクロー
ナル抗体を固相に固定し、酵素あるいは放射性同位元素
等によって標識された検体由来の既知量のHbを反応さ
せてもよい。
【0026】また競合法を例示すると、本発明のモノク
ローナル抗体を固定化した固相に対し、酵素あるいは放
射性同位元素等によって標識された人工的に作製した標
準CM−Hbと検体とを競合的に反応させ、洗浄した
後、固相に結合した酵素活性あるいは放射活性を測定す
ることによって行われる。固相に残存する酵素あるいは
放射活性が少ないほど、検体中のCM−Hbによって標
準CM−Hbの結合が競合的に阻害されたことになる。
【0027】更にサンドイッチ法を例示すると、CM−
Hbと結合する物質を固定化した固相と検体とを接触さ
せ、該固相に結合した検体中のCM−Hbの量を、酵素
等によって標識されたCM−Hbと結合する物質によっ
て測定することによって行われる。ここで、あらかじめ
固相に吸着させておくCM−Hbと結合する物質と、酵
素等によって標識されたCM−Hbと結合する物質のど
ちらか一方、好ましくはその両方がCM−Hbと特異的
に結合する物質でなければならない。CM−Hbと結合
する物質の少なくとも一方に本発明のモノクローナル抗
体を用いればよい。CM−Hbと結合する他の物質とし
ては、CM−Hbに対するポリクローナル抗体の他に、
抗Hb抗体等のHbが結合あるいは吸着することのでき
る物質を用いることができる。
【0028】本発明の免疫試薬とは、本発明のモノクロ
ーナル抗体とCM−Hbの特異的な抗原抗体反応を利用
し、CM−Hbを検出できる試薬であればその形態は特
に限定されない。例えば、前述した非競合法、競合法及
びサンドイッチ法等の各方法に対応するように、本発明
のモノクローナル抗体及び/又はCM−Hbを適宜不溶
性担体に担持した形態をとることが出来る。この様な各
免疫試薬を測定方法に応じて用いて、検体中のCM−H
bと本発明のモノクローナル抗体とを接触させることに
よって起こる抗原抗体反応を検出することにより検体中
のCM−Hbが測定できる。この様な抗原抗体反応の検
出は、本発明の免疫試薬がいわゆる免疫凝集反応である
場合には不溶性担体の凝集等を利用して検出することが
できるし、本発明の免疫試薬がいわゆる標識免疫試薬で
ある場合には比色、発光、蛍光等の物理量の変化として
検出することができる。
【0029】本発明の免疫試薬の具体的な態様を例示す
れば、定性試薬としてはラテックス凝集試薬、マイクロ
タイター試薬等を、定量試薬としてはラジオイムノアッ
セイ試薬、エンザイムイムノアッセイ試薬、蛍光イムノ
アッセイ試薬、化学発光イムノアッセイ試薬、ラテック
ス定量試薬等をそれぞれ例示できる。
【0030】本発明のモノクローナル抗体あるいは検体
中のCM−Hb抗原を担持する不溶性担体の種類及び形
状は、使用目的に応じて適宜選択すればよい。その材質
としては、通常の免疫測定用担体として用いられるも
の、例えばガラス、多糖類又はその誘導体、シリカゲ
ル、多孔性セラミックス、金属酸化物、赤血球、あるい
はポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリルアミ
ド、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂及びこれらに公
知の方法によりスルホン基、アミノ基等の反応性官能基
を導入したものが挙げられ、その形状としてはビーズ
状、テストプレート状、球状、ディスク状、チューブ
状、フィルター状等が例示できる。
【0031】本発明のモノクローナル抗体または検体中
のCM−Hbの不溶性担体への固定化法は、物理的吸着
法、共有結合法、イオン結合法、架橋法等の公知の方法
が何ら制限なく使用できる。例えば固相としてマイクロ
プレートを用いた場合、モノクローナル抗体の溶液をマ
イクロプレートのウェルに注入し1〜48時間反応させ
ることによって吸着させることができる。
【0032】本発明の免疫試薬が標識免疫測定試薬であ
る場合、該試薬(本発明の標識免疫測定試薬ともい
う。)を用いたCM−Hbの測定の基本操作は通常の検
定法、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)法、EL
ISA法、ウエスタンブロッティング法、ドットブロッ
ティング法等の酵素免疫測定(EIA)法等に従うこと
ができる。これら各検定法における操作、手順等は一般
に採用されているそれらと特に異ならず、公知の非競合
法や競合法、サンドイッチ法等に準じることができる。
非競合法においては、例えば本発明のモノクローナル抗
体を不溶性担体に担持した試薬に、検体中のCM−Hb
を接触させればよい(その逆でも良い)。競合法におい
ては、例えば人工的に作製した標準CM−Hbを不溶性
担体に特定量担持し、一方で予め特定量の検体中のCM
−Hbと特定量の本発明のモノクローナル抗体を反応さ
せた後に、該不溶性担体と本発明のモノクローナル抗体
を接触させればよい。サンドイッチ法においては、例え
ば本発明のモノクローナル抗体を不溶性担体に特定量担
持した試薬に、検体中のCM−Hbを接触させ、更にC
M−Hbに対する抗体を接触させればよい。これらの測
定方法により検体HbのCM化率、あるいは検体Hb中
のCM化物の量を測定することができる。ここで、CM
化率とは、タンパク質のアミノ基が平均してどの程度C
M化されているかを示す指標である。
【0033】なお、上記本発明の標識免疫測定試薬にお
ける標識剤としては放射性ヨード、放射性炭素等の放射
性物質、フルオレセインイソチオシアネートやテトラメ
チルローダミン等の蛍光物質、アルカリホスファターゼ
やパーオキシダーゼ等の酵素等をそれぞれ例示できる。
かかる方法にて得られた抗原抗体反応生成物は、放射
能、比色、蛍光、発光等を利用して検出される。
【0034】また、標準CM−Hbの標識は、CM−H
bのHb部位をビオチン化抗Hb抗体で認識させた後に
アビジンを介して酵素標識する等、公知の方法が採用さ
れる。標識する物質としては酵素、放射性同位元素の他
に発光物質、蛍光物質等を用いることも可能である。酵
素はアルカリホスファタ−ゼ、ぺルオキシダ−ゼ、β−
D−ガラクトシダ−ゼ等が用いられる。酵素活性の測定
は、例えばアルカリホスファタ−ゼを用いた場合にはp
-ニトロフェニルリン酸等の基質と反応させ、酵素反応
により生じた反応生成物の量を吸光度を測定することに
より行う等、公知の方法が採用される。
【0035】前記本発明の標識免疫測定試薬において、
不溶性担体に担持される本発明のモノクローナル抗体あ
るいは検体中のCM−Hbの量は、一般に不溶性担体の
表面積当たり0.01〜1000μg/cm2の割合で
あり、通常この程度の担持量を得るためには単体を0.
001〜1000μgの検体中のCM―Hbあるいは本
発明のモノクローナル抗体と接触させれば良い。なお、
Hbに対する抗体を不溶性担体に担持した場合には、上
記したように検体中のCM―Hbを接触させた後、更に
本発明のモノクローナル抗体を接触させればよい。この
時、不溶性担体に担持していない本発明のモノクローナ
ル抗体は、標識剤で標識されたものを使用することが好
ましい。
【0036】また、本発明の免疫試薬が免疫凝集試薬で
ある場合、該試薬(本発明の免疫凝集試薬ともいう。)
を用いた検体中のCM−Hb測定の基本操作は、通常の
検定法、例えば赤血球凝集反応法、受身凝集反応法、免
疫比蝋法、免疫比濁法等に従うことができる。これらの
各検定法における操作、手順等は一般に採用されている
それらに準じることができる。モノクローナル抗体を固
定化する固相としては特に制限されるものではないが、
ポリスチレン等でできたビーズやマイクロプレートが使
用される。例えば粒子状の不溶性担体1gに対して、本
発明のモノクローナル抗体を上記方法にて0.001〜
100mg担持した粒子(以下、「感作粒子」と略すこ
ともある)を、0.001〜15重量%となるように水
性媒体に分散させて免疫試薬の有効成分として使用すれ
ばよい。抗体を担持する不溶性担体の粒径は、抗原抗体
反応後の凝集の起こり安さや凝集の判別のし易さなどの
観点から、平均粒径が0.05〜10μmの不溶性担体
を使用するのが好適である。かかる方法にて作成した感
作粒子を検体中のCM−Hb抗原と接触させ、該感作粒
子の凝集の度合を測定すれば良い。粒子の凝集の度合は
目視、光学的測定等従来の方法が制限なく使用できる。
【0037】後述する実施例にも示されるように、糖尿
病あるいは糖尿病合併症患者由来のHbに占めるCM−
Hbの割合は健常者のそれに比べて有意に高く、更に、
糖尿病合併症の重篤度と検体Hbに占めるCM−Hbの
割合の間には正の相関が見らる。また、透析患者由来の
Hbに占めるCM−Hbの割合も健常者のそれと比較し
て有意に高く、更に、透析アミロイドーシスを発症した
患者由来のHbにおいては、CM−Hbの占める割合
が、透析アミロイドーシスを発症していない透析患者由
来のHbと比較して有意に高い。したがって、CM−H
bは、臨床検査の領域において糖尿病あるいは糖尿病合
併症のマーカー、あるいは透析患者におけるアミロイド
ーシスのマーカーとなりうる。即ち、血液中のHbのC
M化率を測定することにより、糖尿病あるいは糖尿病合
併症にかかっているか否かを判断したり、糖尿病の進行
度合いを予測したり、あるいは糖尿病合併症の発症や進
行度合いを予測したりすることが可能となり、また、透
析アミロイドーシスの発症の有無を予測することも可能
となる。
【0038】このため、本発明の免疫学的測定試薬は、
糖尿病用診断試薬、糖尿病合併症用診断試薬、あるいは
透析アミロイドーシス用診断試薬、さらには糖尿病、糖
尿病合併症、あるいは透析アミロイドーシスの治療もし
くは予防用の薬剤の薬効評価試薬として有益に用いられ
る。即ち、本発明の免疫学的測定試薬を用いて臨床検査
に被検体として多されている血液中のCM−Hb抗原
量を測定した場合には診断試薬として働き、また糖尿病
あるいは糖尿病合併症用治療薬の投与による血液中に含
まれるCM−Hbの量あるいは割合の減少度等を測定す
る場合には薬効評価試薬として機能する。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は該実施例に限定されるものではない。
【0040】実施例1 (1) 〔抗原の作成〕 以下の方法によりCM−Hbの生成及び精製を行った。
Hb(SIGMA社)をホウ酸緩衝液(0.1M pH
9.0)中1mg/mlとなるように調整し、この溶液
200mlを室温で2時間、1Mグリオキシル酸溶液1
80mlと共に撹拌後、さらに室温で2時間、10mg
/ml水素化シアノホウ素ナトリウム溶液20mlと共
に撹拌することでCM−Hbを生成した。さらにリン酸
緩衝液(3.3mM pH7.4)中で透析膜を用いて
20時間透析後、限外濾過を行い精製CM−Hbを得
た。
【0041】(2) 〔マウスの免疫〕 上記の方法で精製されたCM−Hbを、リン酸緩衝生理
食塩水(以下「PBS」と略すこともある)に0.2m
g/mlとなるよう希釈後、フロイントの完全アジュバ
ントと等量混合し、BALB/cマウス(雌、5週令)
一匹当り0.2mlを腹腔内投与することによって初回
免疫した。以後2週間間隔で3回、CM−HbのPBS
溶液をフロイントの不完全アジュバントと等量混合した
溶液を、マウス1匹当り0.2ml腹腔内投与し追加免
疫を行った。最後の追加免疫の2週間後、CM−Hbの
PBS溶液0.1mlを静脈内投与することにより最終
免疫した。
【0042】(3) 〔細胞融合〕 上記の方法で最終免疫を行った3日後に免疫マウスから
脾臓を摘出し、脾臓細胞を10%ウシ胎児血清(FC
S)を含むRPMI‐1640培地に懸濁した。一方、
マウスミエローマ細胞P3U1を10%FCSを含むR
PMI‐1640培地で培養し、対数増殖期で細胞を集
め細胞融合に用いた。マウス脾臓細胞とP3U1をそれ
ぞれ血清を含まないRPMI‐1640培地で3回洗浄
した後、5:1の比率で混合し、1,500rpmで5
分間遠心して培地を除去した。細胞沈殿物に50%ポリ
エチレングリコール1500を0.5ml徐々に加え、
1,800rpmで8分遠心した。次に血清を含まない
RPMI‐1640培地20mlを徐々に加えた後、
1,500rpmで5分間遠心して上清を除去した。沈
殿した細胞をHAT培地(1×10-4Mヒポキサンチ
ン、4×10-7Mアミノプテリン、1.5×10-5Mチ
ミジン、20%FCSを含むRPMI−1640培地)
50mlに懸濁し、96ウェルマイクロプレートの各ウ
ェルに0.1mlずつ分注した。この融合細胞を5%C
2、37℃で培養した。細胞融合の1日後に各ウェルに
0.1mlずつHAT培地を加えた。7〜10日後に増
殖したハイブリドーマのコロニーが観察された。ハイブ
リドーマが増殖してきたウェルは全部で235ウェル
(53%)であった。
【0043】(4) 〔スクリーニング〕 ハイブリドーマが十分増殖したウェルの上清を採取し、
以下のようにしてELISA法を行うことにより、CM
−Hbに対する抗体を産生しているハイブリドーマを選
択した。
【0044】上記の方法で得られたCM−HbをPBS
で1μg/mlの濃度に希釈し、96ウェルのEIA用
マイクロプレートに1ウェル当り100μlずつ分注
し、4℃で一晩インキュベーションした。マイクロプレ
ートからCM−Hb溶液を除去し、0.05%Twee
n80を含むPBS(以下「T−PBS」と略すことも
ある)で3回洗浄した後、各ウェルに1%ウシ血清アル
ブミンを含むPBS(以下「B−PBS」と略すことも
ある)を250μl加え4℃に保存し抗原吸着プレート
として以後の操作に用いた。抗原吸着プレートをT−P
BSで3回洗浄し、ハイブリドーマ培地上清をそれぞれ
のウェルに100μlずつ加え37℃で1時間インキュ
ベーションした。その後培地上清を除去し、T−PBS
で3回洗浄した後、二次抗体溶液を各ウェルに100μ
lずつ加え37℃で1時間インキュベーションした。二
次抗体としては、ぺルオキシダ−ゼ標識抗マウス免疫グ
ロブリン抗体(カッペル社)をB−PBSで500倍希
釈して用いた。二次抗体溶液を除去し、T−PBSで3
回洗浄した後、発色基質溶液を各ウェルに100μlず
つ加え室温で30分間インキュベーションした。発色基
質溶液は、0.01%過酸化水素、0.3mg/mlA
BTS、[2、2`−アジノビス(3−エチルベンゾチア
ゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム]、を含む
0.1Mクエン酸緩衝液(pH5.0)を用いた。適当
量の発色を確認後に1%SDSを各ウェルに加え反応を
停止し、波長410nmでの吸光度を測定した。
【0045】(5) 〔ハイブリドーマのクローニン
グ〕 上記の方法のスクリーニングによってCM−Hbと強く
反応するハイブリドーマを選択し、限界希釈法によりク
ローニングを行った。ハイブリドーマを20%FCSを
含むRPMI‐1640培地で0.5個/0.1mlの
濃度となるように希釈し、96ウェルマイクロプレート
の各ウェルに0.1mlずつ分注した。この細胞を5%
CO2、37℃で培養した。ハイブリドーマが単一のコ
ロニーで増殖してきたウェルの培養上清について、上記
の方法と同様にしてELISA法を行い、CM−Hbに
対する抗体を産生しているハイブリドーマを選択した。
その中でCM−Hbと最も強く反応するモノクローナル
抗体を安定的に産生するハイブリドーマとして2B3を
得た。得られたハイブリドーマ2B3は、「ハイブリド
ーマ CM−Hb 2B3」として工業技術院生命工学
工業技術研究所へ寄託した(寄託番号:生命研菌寄第1
6632号(FERM P−16632))。
【0046】(6) 〔モノクローナル抗体の免疫グロ
ブリンクラス〕 ELISA法によるモノクローナル抗体タイピングキッ
ト(アメリカン・コ−レックス社)を用い、ハイブリド
ーマ培養上清中の抗体の免疫グロブリンクラスを調べ
た。このキットはマウス免疫グロブリンの各クラス、サ
ブクラスに特異的なウサギIgG抗体を用いて、上記の
ようなELISA法に準じた方法で免疫グロブリンクラ
スを調べるものである。ハイブリドーマ2B3が産生す
るモノクローナル抗体の免疫グロブリンクラスはIgG
であった。
【0047】(7) 〔モノクローナル抗体の調整〕 ハイブリドーマ2B3株を、10%FCSを含むRPM
I−1640培地で培養した。ハイブリドーマの培養上
清に等量の飽和硫酸アンモニウムを加え、遠心分離し沈
殿を分取した。この沈殿を少量の10mMトリス塩酸緩
衝液(pH8.5)に溶解させ、同じ緩衝液に対して透
析した。透析後遠心分離し不溶物を除き、これをDEA
E−セルロースカラムにかけた。緩衝液で洗浄後、食塩
濃度勾配により溶出しIgG画分を分取した。この画分
をゲル濾過HPLCカラム(バイオラッド社、Bio−Sil
TSK250)にかけ、クロマトグラフィーを行うことによ
り精製モノクローナル抗体を得た。
【0048】(8) 〔CM化ペプチド(CM−ペプチ
ド)の作成〕 Hbのβ鎖N末端のバリン残基を含むペプチド(アミノ
酸配列:Val−His−Leu−Thr−Pro−G
lu−Glu−Cys 以下「ペプチドβN」と表記す
ることもある)、あるいはHbのβ鎖66番目のリジン
残基を含むペプチド(アミノ酸配列:Ala−His−
Gly−Lys−Lys−Val−Leu−Gly−A
la−Phe−Ser−Cys 以下「ペプチドβ6
6」と表記することもある)、あるいはHbのα鎖61
番目のリジン残基を含むペプチド(アミノ酸配列:Gl
y−His−Gly−Lys−Lys−Val−Ala
−Asp−Ala−Leu−Thr−Cys 以下「ペ
プチドα61」と表記することもある)等をペプチド合
成装置を用いて固相法により合成した。アミノ酸のアミ
ノ基の保護はt−ブトキシカルボニル基(Boc)を用
い、C末端の保護基として不溶性の高分子担体であるプ
ラリドキシムレジン(Pam resin)を用いた。
【0049】他のリジン残基のアミノ基等を適当な方法
で保護した後、ジクロロメタン中0℃で2時間グリオキ
シル酸と反応後、さらに2時間水素化シアノホウ素ナト
リウムと反応することで、該ペプチドのβ鎖N末端のバ
リン残基、β鎖66番目のリジン残基あるいはα鎖61
番目のリジン残基のアミノ基に相当する部位だけをCM
化した。0℃で1.5時間フッ化水素処理することで固
相樹脂よりペプチドを切り離すとともに保護基を除去し
て、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により
精製した。これによりHbのβ鎖N末端のバリン残基だ
けがCM化されたペプチド(アミノ酸配列:(CM)V
al−His−Leu−Thr−Pro−Glu−Gl
u−Cys 以下「CM−ペプチドβN」と表記するこ
ともある)、あるいはHbのβ鎖66番目のリジン残基
だけがCM化されたペプチド(アミノ酸配列:Ala−
His−Gly−Lys−Lys(CM)−Val−L
eu−Gly−Ala−Phe−Ser−Cys 以下
「CM−ペプチドβ66」と表記することもある)、あ
るいはHbのα鎖61番目のリジン残基だけがCM化さ
れたペプチド(アミノ酸配列:Gly−His−Gly
−Lys−Lys(CM)−Val−Ala−Asp−
Ala−Leu−Thr−Cys 以下「CM−ペプチ
ドα61」と表記することもある)を得た。それぞれの
CM−ペプチドの純度は質量分析及びアミノ酸分析によ
り確認した。
【0050】(9)〔CM−HSAの作成〕 ホウ酸緩衝液(pH9)に溶解した1mg/mlのHS
A 1mlに、pH9に調製した0.25Mのグリオキ
シル酸(SIGMA社製)1mlを混合し、0℃で12
時間放置した。その後、1mgの水素化シアノホウ素ナ
トリウムを加え更に12時間放置し、タンパク質のアミ
ノ基をCM化した。また、対照として、グリオキシル酸
を添加しないこと以外は同様の方法でHSAを処理し
た。
【0051】上記各処理後のHSAのCM化率を、トリ
ニトロベンゼンスルホン酸(以下「TNBS」と略すこ
ともある)を用いて、CM化されたアミノ基と未反応の
アミノ基の比を測定することで、以下に示すような方法
により求めた。
【0052】即ち、前記のCM−HSA及びグリオキシ
ル酸処理していないHSAの各試料0.5mlを、0.
1Mの四ホウ酸ナトリウムを含む0.1Mの水酸化ナトリ
ウム水溶液0.5mlにそれぞれ加えた。次いで、再結
晶化し希塩酸で洗浄した後、蒸留水で1.1Mに調製し
たTNBSを、20μl加え撹拌した。30分後に1.
5mMの亜硫酸ナトリウムを含む98.5mMのリン酸二
水素ナトリウムを2ml加えて反応を停止させ、蒸留水
で10倍に希釈した後に420nmの吸光度を測定し
た。CM−HSAの吸光度は0.03であり、グリオキ
シル酸処理をしていないHSA(対照)の吸光度は1.
25であった。上記のいずれのHSAも含まない系で同
様の測定を行ったところ、吸光度は0.03であったの
で、CM−HSAのCM化率は100%であることが解
った。
【0053】かかる方法で得られたCM−HSAは、2
0mM PBSで4℃にて2日間透析し、未反応のグリ
オキシル酸や水素化シアノホウ素ナトリウムを除去し、
精製CM−HSAを得た。
【0054】(10)〔モノクローナル抗体の性質〕 BIA−core(ファルマシア社)のセンサーチップ
上に、上記の方法で作成したCM−Hb、市販Hb(S
IGMA社)、上記の方法で作成したCM−HSAをア
ミンカップリング法により固定した。アミンカップリン
グに用いる試薬及び操作はBIA−core用キット及
び通常の操作手順に従った。センサーチップ表面に固定
されたタンパク質量は50〜60ng/mm2であっ
た。ハイブリドーマ2B3が産生するモノクローナル抗
体をHEPES緩衝液(pH7.4、0.15M Na
Cl)に50μg/mlとなるよう溶解し、10μl/
minの流速で30μlの該抗体溶液をセンサーチップに
注入し、センサーチップに固定化したそれぞれのタンパ
ク質と該モノクローナル抗体との親和定数を調べた。測
定及び解析はBIA−coreでの通常の操作手順に従
った。上記センサーチップに固定化された各タンパク質
と本発明のモノクローナル抗体との親和定数を表1に示
す。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示されるように、本発明の抗体はC
M−Hbと特異的に結合した(親和定数:6.28×1
8)。Hb(SIGMA社)やCM−HSA等とは結
合せず、該抗体はCM化されていないHbやHb以外の
CM−タンパクとは反応しない(親和定数:共に1×1
3未満)ことが分かった。
【0057】BIA−coreのセンサーチップ上に、
実施例1の方法で作成したCM−ペプチド(CM−ペプ
チドβN、CM−ペプチドβ66、CM−ペプチドα6
1)及びCM化していない同一アミノ酸配列のペプチド
(ペプチドβN、ペプチドβ66、ペプチドα61)
を、C末端システイン残基を利用してチオールカップリ
ング法により固定した。チオールカップリングに用いる
試薬及び操作はBIA−core用キット及び通常の操
作手順に従った。センサーチップ表面に固定されたペプ
チド量は5〜6ng/mm2であった。ハイブリドーマ
2B3が産生するモノクローナル抗体をHEPES緩衝
液(pH7.4、0.15M NaCl)に50μg/
mlとなるよう溶解し、10μl/minの流速で30μ
lの該抗体溶液をセンサーチップに注入し、センサーチ
ップに固定化したそれぞれのペプチドと該モノクローナ
ル抗体との親和定数を調べた。測定及び解析はBIA−
coreでの通常の操作手順に従った。結果を表2に示
す。
【0058】
【表2】
【0059】表2に示されるようにハイブリドーマ2B
3が産生するモノクローナル抗体は、β鎖N末端のアミ
ノ基がCM化されたペプチド(CM−ペプチドβN)と
特異的に反応し(親和定数:7.84×107)、他の
CM−ペプチド(CM−ペプチドβ66、CM−ペプチ
ドα61)及びCM化していないペプチド(ペプチドβ
N、ペプチドβ66、ペプチドα61)とは反応しなか
った(親和定数:何れも1×103未満)。
【0060】(11)〔CM−Hbに対するヤギポリク
ローナル抗体(抗CM−Hbヤギポリクローナル抗体)
の作成〕 免疫用の動物としてヤギを選び、上記作成したCM−H
bを抗原として以下の要領で免疫した。
【0061】2mg/mlになるように調製した該抗原
溶液1.5mlにフロイントの完全アジュバント1.5
mlを加えたものをヤギの皮下に注射した。その後、2
週間おきに2mg/mlの該抗原0.75mlに、フロ
イントの完全アジュバント0.75mlを加えたものを
追加免疫した。この間、CM−Hbに対するポリクロー
ナル抗体が産生されたか否かを確認するために、2週間
に1回ヤギの静脈から部分採血した。6週間後、抗CM
−Hbヤギポリクローナル抗体が産生されたことをEL
ISA法で確認し、全採血した。
【0062】(12) 〔抗CM−Hbヤギポリクロー
ナル抗体用アフィニティ精製カラムの作成 〕 25mlのアフィゲル15を75mlの10mM酢酸緩
衝液(pH4.5)で洗浄した後、10mg/mlのH
b溶液を62.5ml加え、室温で1時間緩やかに撹拌
した。次いで、未反応のHbを濾過にて除去し、1Mの
エタノールアミンを30ml加え、室温で緩やかに撹拌
し、未反応のN−ヒドロキシサクシイミドエステルをブ
ロッキングした。該Hbを固定化した支持体をカラムに
詰め、280nmの吸光度が0になるまでイオン交換水
で洗浄した。更に、20mMのPBSでカラムを平衡化
した。
【0063】(13) 〔抗CM−Hbヤギポリクロー
ナル抗体のアフィニティ精製〕 作成した抗CM−Hbヤギポリクローナル抗体を1mg
/mlになるように20mMのPBSで希釈したもの
を、100mg程度になるように該アフィニティ精製カ
ラムにアプライした。次いで、280nmの吸光度が0
になるまで20mMのPBSを流速0.5ml/min
で流した。カラムに結合しなかった抗体を抗CM−Hb
ヤギポリクローナル抗体として回収した。280nmの
吸光度が0になったところで、20mMのPBSから
0.1Mのグリシン緩衝液(pH3.0)に換え、カラ
ムに結合している不要なタンパク質を溶離させ、20m
MのPBSでカラムを平衡化し、回収した抗体を再度カ
ラムにアプライし、カラムに結合しなかった抗体を回収
した。この操作を更に1回繰り返し、アフィニティ精製
した抗CM−Hbヤギポリクローナル抗体を得た。該抗
体を用いて、検体中のHbをCM−Hbと非CM−Hb
とにアフィニティー精製により分離精製した。
【0064】(14)〔非CM−Hbのアフィニティ精
製〕 上記と同様の方法で、抗CM−Hbヤギポリクローナル
抗体を固定したアフィニティー精製カラムを作成した。
該カラムを用いて上記と同様の方法により、検体Hbか
ら該カラムの3回目の通過画分として非CM−Hbを分
離精製した。
【0065】(15)〔抗Hbポリクローナル抗体のビ
オチン標識〕 該抗体のビオチン標識はプロテインビオチニレーション
システム(GIBCO社製)を用いて行った。
【0066】市販の抗Hbポリクローナル抗体((株)
日本バイオテスト研究所製)を、1.5mg/mlにな
るように20mMのPBSで調製した溶液に、0.05
Mになるように炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)を
加えた。次いで、該抗体溶液6.7mlに説明書に従っ
て作成した50mg/mlのCAB−NHSエステル溶
液26μlを加え、室温で1時間緩やかに撹拌し、0.
11Mになるように塩化アンモニウムを加えて反応を停
止させた。その後、本キットに付属のカラムで抗体溶液
を脱塩した。更に、キット付属のavidin/HAB
Aを用いて、導入されたビオチンのモル数を測定したと
ころ、抗Hbポリクローナル抗体1モルに対してビオチ
ンは14モル結合していた。
【0067】(16)〔非CM−Hbと本発明で得られ
たハイブリドーマ2B3が産生するモノクローナル抗体
との反応性〕 上記の方法で得られた非CM−Hbと本発明で得られた
ハイブリドーマ2B3が産生するモノクローナル抗体と
の反応性を調べた。
【0068】ハイブリドーマ2B3が産生するモノクロ
ーナル抗体を、炭酸ナトリウム緩衝液(pH9)に3μ
g/mlとなるよう希釈したものを、96ウェルのEI
A用マイクロプレートの各ウェルに0.3mlずつ加
え、37℃で1時間放置し固定した。マイクロプレート
から抗体溶液を除去し、0.1%Tween20を含む
トリス塩酸緩衝液(pH7.4、0.15M NaC
l)で3回洗浄した後、各ウェルに、20mM MOP
S(pH7.4、0.01% Tween20及び0.
15M NaClを含む)で希釈した非CM−Hb及び
ヒト全血検体のHbを、それぞれ各ウェル当たり10
0、50、25、12.5μgとなるように0.1ml
ずつ加え、37℃で15分放置した。各ウェルより溶液
を除去し、0.5%Tween20を含むトリス塩酸緩
衝液(pH7.4、0.15M NaCl)で3回洗浄
した後、ビオチン化した抗Hbポリクローナル抗体を2
0mMMOPS(pH7.4、0.15M NaCl)
に1μg/mlとなるよう希釈し、各ウェルに0.1m
lずつ加え37℃で15分放置した。溶液を除去し0.
1%Tween20を含むトリス塩酸緩衝液(pH7.
4、0.15M NaCl)で3回洗浄した後、ABC
キット(ベクスタイン社)に従いアビジンを介して抗原
抗体複合体(2B3―CM−Hb―ビオチン化抗Hb抗
体)をアルカリホスファターゼ標識した。溶液を除去し
0.1%Tween20を含むトリス塩酸緩衝液(pH
7.4、0.15M NaCl)で3回洗浄した後、発
色基質溶液を各ウェルに0.1mlずつ加え、室温で4
分放置した。発色基質溶液はp−ニトロフェニルリン酸
の2−エタノールアミン水溶液(BIO-RAD社)。反応
後、0.5Mの NaOHを各ウェルに0.1mlずつ
加え反応を停止し、波長460nmでの吸光度を測定し
た。検体中のCM−Hbに由来する、発色強度の測定結
果を図1に示す。ヒト全血検体では濃度依存的に増加す
る反応が確認されたが、非CM−Hbとは反応が確認さ
れず、該抗体は非CM−Hbとは反応しないことが分か
った。
【0069】以上の知見より、ハイブリドーマ2B3が
産生するモノクローナル抗体は、N末端のアミノ基の水
素がCM化されたHbと特異的に反応することが判っ
た。
【0070】実施例2 〔モノクローナル抗体を用いた
サンドイッチ法によるヒト全血中のCM−Hbの定量〕 ハイブリドーマ2B3が産生するモノクローナル抗体を
用いて、ヒト全血中のCM−Hbの定量方法を検討し
た。実施例1(16)と同様の方法で、サンドイッチE
LISA法により検討した。検体試料として、20mM
MOPS(pH7.4、0.01% Tween20
及び0.15M NaClを含む)で200、400、
800倍希釈した糖尿病患者及び健常者の全血を0.1
mlずつ用いた。検体中のCM−Hbに由来する、発色
強度の測定結果を図2に示す。糖尿病患者の検体は、健
常者と比較して有意に高い値を示した。
【0071】さらに、各検体の糖尿病合併症の重篤度
と、検体中のCM−Hbに由来する発色強度との関係を
図3に示す。各検体の糖尿病合併症の重篤度と、検体中
のCM−Hbに由来する発色強度の間には、有意な相関
が確認された。
【0072】以上のことは、本発明で得られたハイブリ
ドーマ2B3が産生するモノクローナル抗体を免疫学的
測定法に用いることによって、糖尿病又は糖尿病合併症
の新規マーカーであるCM−Hbを容易に直接測定でき
ることを意味する。
【0073】実施例3 〔Hbのカルボキシメチル化リ
ジン残基を認識するモノクローナル抗体の作成と、該抗
体を用いたサンドイッチ法によるヒト全血中のCM−H
bの定量〕 実施例1(8)で作成した、β鎖66番目のリジン残基
をCM化したペプチド(CM−ペプチドβ66)を用い
て、実施例1と同様の方法でマウスの免疫、細胞融合、
融合細胞の選択、特異抗体産生細胞の選択、クローニン
グ等を行い、抗CM−Hbモノクローナルを産生するハ
イブリドーマ(11B9)を得た。
【0074】実施例1(10)と同様の方法で、実施例
1(8)で作成したCM−ペプチド(CM−ペプチドβ
N、CM−ペプチドβ66、CM−ペプチドα61)及
びCM化していない同一アミノ酸配列のペプチド(ペプ
チドβN、ペプチドβ66、ペプチドα61)と、ハイ
ブリドーマ11B9が産生するモノクローナル抗体との
相互作用をBIA−coreを用いて調べ親和定数を計
算した。結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】表3に示されるように、ハイブリドーマ1
1B9が産生するモノクローナル抗体は、β鎖66番目
のリジン残基のアミノ基がCM化されたペプチド(CM
−ペプチドβ66)と特異的に反応し(親和定数:1.
24×108)、他のCM−ペプチド(CM−ペプチド
βN、CM−ペプチドα61)及びCM化していないペ
プチド(ペプチドβN、ペプチドβ66、ペプチドα6
1)とは反応しなかった(親和定数:いずれも1×10
3未満)。
【0077】実施例1(10)と同様の方法で、化学的
に合成したCM−Hb、Hb(SIGMA社)、CM−HS
A等とハイブリドーマ11B9が産生するモノクローナ
ル抗体との相互作用をBIA−coreを用いて調べ親
和定数を計算した。結果を表4に示す。
【0078】
【表4】
【0079】表4に示されるように、ハイブリドーマ1
1B9が産生するモノクローナル抗体はCM−Hbと特
異的に結合し(親和定数:4.56×109)、Hb(S
IGMA社)やCM−HSA等とは結合せず、該抗体はCM
化されていないHbやHb以外のCM−タンパクとは反
応しない(親和定数:いずれも1×103未満)ことが
分かった。
【0080】実施例1(16)と同様の方法で、実施例
1(14)で作製した非CM−Hb及び人全血検体Hb
と、ハイブリドーマ11B9が産生するモノクローナル
抗体との相互作用をサンドイッチELISA法により調
べた。測定結果を図4に示す。ヒト全血検体では濃度依
存的に増加する反応が確認されたが、非CM−Hbとは
反応が確認されず、該抗体はCM化されていないHbと
は反応しないことが分かった。
【0081】以上の知見より、ハイブリドーマ11B9
が産生するモノクローナル抗体は、β鎖66番目のリジ
ン残基のアミノ基の水素がCM化されたHbと特異的に
反応することが判った。
【0082】実施例4 〔ハイブリドーマ11B9の産
生するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELI
SA法によるヒト全血中のCM−Hbの定量〕 実施例1(16)と同様の方法で、ハイブリドーマ11
B9の産生するモノクローナル抗体を用いたサンドイッ
チELISA法により、透析患者の内、透析アミロイド
ーシスを発症している患者及び発症していない患者検体
中のCM−Hbの定量を行った。検体中のCM−Hbに
由来する発色強度の測定結果を図5に示す。透析アミロ
イドーシスを発症した患者検体中のCM−Hb由来の発
色強度は、透析アミロイドーシスを発症していない患者
検体と比較して有意に高い値を示した。
【0083】以上のことは、本発明で得られたハイブリ
ドーマ11B9の産生するモノクローナル抗体を用いた
免疫学的測定方法が、透析アミロイドーシスの新規マー
カーであるCM−Hbの測定に有用であることを意味す
る。
【0084】実施例5 〔Hbのカルボキシメチル化リ
ジン残基を認識するモノクローナル抗体の作成と、該抗
体を用いたサンドイッチ法によるヒト全血中のCM−H
bの定量〕 実施例1(8)で作成した、α鎖61番目のリジン残基
をCM化したペプチド(CM−ペプチドα61)を用い
て、実施例1と同様の方法でマウスの免疫、細胞融合、
融合細胞の選択、特異抗体産生細胞の選択、クローニン
グ等を行い、抗CM−Hbモノクローナルを産生するハ
イブリドーマ(7F9)を得た。
【0085】実施例1(10)と同様の方法で、実施例
1(8)で作成したCM−ペプチド(CM−ペプチドβ
N、CM−ペプチドβ66、CM−ペプチドα61)及
びCM化していない同一アミノ酸配列のペプチド(ペプ
チドβN、ペプチドβ66、ペプチドα61)と、ハイ
ブリドーマ7F9が産生するモノクローナル抗体との相
互作用をBIA−coreを用いて調べ親和定数を計算
した。結果を表5に示す。
【0086】
【表5】
【0087】表5に示されるように、ハイブリドーマ7
F9が産生するモノクローナル抗体は、α鎖61番目の
リジン残基のアミノ基がCM化されたペプチド(CM−
ペプチドα61)と特異的に反応し(親和定数:2.5
6×107)、他のCM−ペプチド(CM−ペプチドβ
N、CM−ペプチドβ66)及びCM化していないペプ
チド(ペプチドβN、ペプチドβ66、ペプチドα6
1)とは反応しなかった(親和定数:何れも1×103
未満)。
【0088】実施例1(10)と同様の方法で、化学的
に合成したCM−Hb、Hb(SIGMA社)、CM−HS
A等とハイブリドーマ7F9が産生するモノクローナル
抗体との相互作用をBIA−coreを用いて調べ親和
定数を計算した。結果を表6に示す。
【0089】
【表6】
【0090】表6に示されるようにハイブリドーマ7F
9が産生するモノクローナル抗体はCM−Hbと特異的
に結合した(親和定数:8.75×108)。Hb(SIG
MA社)やCM−HSA等とは結合せず、該抗体はCM化
されていないHbやHb以外のCM−タンパクとは反応
しない(親和定数:何れも1×103未満)ことが分か
った。
【0091】実施例1(16)と同様の方法で、実施例
1(14)で作製した非CM−Hb及び人全血検体Hb
と、ハイブリドーマ7F9が産生するモノクローナル抗
体との相互作用をサンドイッチELISA法により調べ
た。測定結果を図6に示す。ヒト全血検体では濃度依存
的に増加する反応が確認されたが、非CM−Hbとは反
応が確認されず、該抗体はCM化されていないHbとは
反応しないことが分かった。
【0092】以上の知見より、ハイブリドーマ7F9が
産生するモノクローナル抗体は、α鎖61番目のリジン
残基のアミノ基の水素がCM化されたHbと特異的に反
応することが判った。
【0093】実施例6 〔ハイブリドーマ7F9の産生
するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELIS
A法によるヒト全血中のCM−Hbの定量〕 実施例1(16)と同様の方法で、ハイブリドーマ7F
9の産生するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ
ELISA法により、透析患者の内、透析アミロイドー
シスを発症している患者及び発症していない患者検体中
のCM−Hbの定量を行った。検体中のCM−Hbに由
来する発色強度の測定結果を図7に示す。透析アミロイ
ドーシスを発症した患者検体中のCM−Hb由来の発色
強度は、透析アミロイドーシスを発症していない患者検
体と比較して有意に高い値を示した。
【0094】以上のことは、本発明で得られたハイブリ
ドーマ7F9の産生するモノクローナル抗体を用いた免
疫学的測定方法が、透析アミロイドーシスの新規マーカ
ーであるCM−Hbの測定に有用であることを意味す
る。
【0095】比較例1 〔抗CM−HSAウサギポリク
ローナル抗体の抗原特異性と該抗体を用いたサンドイッ
チELISA法によるヒト全血中のCM−Hbの定量〕 以下の方法で作成した抗CM−HSAウサギポリクロー
ナル抗体を用いて、該抗体の抗原特異性を調べるととも
に、該抗体を用いてサンドイッチELISA法によるヒ
ト全血中のCM−Hbの測定系の構築を試みた。
【0096】(1)〔抗CM−HSAウサギポリクロー
ナル抗体の作製〕 体重が2kg以上のウサギに、実施例1(9)作成した
CM−HSAを抗原として以下の要領で免疫した。
【0097】2mg/mlになるように調製した該抗原
溶液0.5mlにフロイントの完全アジュバント0.5
mlを加えたものをウサギの耳静脈に注射した。その
後、2週間おきに2mg/mlの該抗原0.25ml
に、フロイントの完全アジュバント0.25mlを加え
たものを追加免疫した。この間、CM−HSAに対する
ポリクローナル抗体が産生されたか否かを確認するため
に、2週間に1回ウサギの外縁耳静脈から部分採血し
た。6週間後、抗CM−HSAポリクローナル抗体が産
生されたことをELISA法で確認し、全採血した。
【0098】(2)〔抗CM−HSAウサギポリクロー
ナル抗体の精製〕 実施例1(12)と同様の方法で、HSAをカラムに固
定化した抗CM−HSAウサギポリクローナル抗体用の
アフィニティー精製用カラムを作製した。該カラムを用
いて実施例1(13)と同様にして、上記の方法で作成
した抗CM−HSAウサギポリクローナル抗体をアフィ
ニティー精製した。
【0099】(3)〔抗CM−HSAウサギポリクロー
ナル抗体のビオチン標識〕 該抗体のビオチン標識は、実施例1(15)と同様の方
法でプロテインビオチニレーションシステム(GIBCO社
製)を用いて行った。抗CM−HSAウサギポリクロー
ナル抗体1モルに対してビオチンは14モル結合してい
た。
【0100】(4)〔抗CM−HSAウサギポリクロー
ナル抗体の抗原特異性〕 抗CM−HSAウサギポリクローナル抗体の抗原特異性
を以下に示すような競合ELISA法で調べた。
【0101】抗体濃度が1μg/mlとなるように20
mMのPBSで希釈した抗CM−HSAウサギポリクロ
ーナル抗体に、実施例1(9)の方法で作成したCM−
HSAをそれぞれ0.1、1、10、100μg/ml
となるように添加した。この溶液を37℃で1時間放置
し、CM−HSAで阻害された抗体溶液として使用し
た。
【0102】また、実施例1(1)の方法で調製したC
M−Hbを1μg/mlの抗CM−HSAウサギポリク
ローナル抗体溶液に、それぞれ0.1、1、10、10
0μg/mlとなるように添加した。この溶液を37℃
で1時間放置し、CM−Hbで阻害された抗体溶液とし
て使用した。
【0103】同様に、Hb及びHSAを1μg/mlの
抗CM−HSAウサギポリクローナル抗体溶液に、それ
ぞれ0.1、1、10、100μg/mlとなるように
添加した。この溶液を37℃で1時間放置し、Hb及び
HSAで阻害された抗体溶液として使用した。
【0104】競合法ELISAを行うにあたり、作成し
たCM−HSAを1μg/mlとなるように20mMの
PBSで希釈した。次いで、上記希釈したCM−HSA
溶液を96穴イムノプレート(NUNC社製)に1ウェ
ル当たり100μlアプライし、37℃で1時間放置
し、該CM−HSAをイムノプレートに固定した。1時
間後、イムノプレートに結合していないCM−HSAを
除去し、0.5wt%のゼラチンを含む20mMのPB
Sを1ウェル当たり100μlアプライし、37℃で1
時間放置し、CM−HSAが結合していない部分をブロ
ッキングした。1時間後、該ゼラチン溶液を除去し、2
0mMのPBSで3回洗浄した後、上記濃度のCM−H
bで阻害された抗体溶液を1ウェル当たり100μlア
プライし、37℃で1時間放置した。その後、20mM
のPBSで3回洗浄し、上記作成したビオチン標識抗C
M−HSAウサギポリクローナル抗体を1ウェル当たり
0.1μgアプライし、37℃で1時間放置した。更
に、20mMのPBSで3回洗浄し、取扱説明書に従い
調製したアルカリホスファターゼで標識されたビオチン
とアビジンの混合溶液(フナコシ社製:vectastain AB
Cキット)を1ウェル当たり100μlアプライし、3
7℃で1時間放置した。更に、0.05wt%のTwe
en20を含む20mMのPBSで3回洗浄し、アルカ
リホスファターゼ基質キット(BIO‐RAD社製)を用い
て、能書に従い調製した基質溶液を1ウェル当たり10
0μlアプライした。室温で5分間放置した後、0.4
Mの水酸化ナトリウム溶液を1ウェル当たり100μl
加え、アルカリホスファターゼの反応を停止させ、40
5nmの吸光度を測定した。結果を図8に示す。この結
果より、CM−HSAのみならずCM−Hbを阻害剤と
して用いた場合でも、抗CM−HSAウサギポリクロー
ナル抗体とCM−HSAとの反応が阻害されたことか
ら、作成した抗CM−HSAウサギポリクローナル抗体
はCM−Hbとも反応性を示すことが判った。
【0105】上記と同様の方法で、抗CM−HSAウサ
ギポリクローナル抗体と種々のタンパク質及びCM化タ
ンパク質との反応特異性を調べた。抗CM−HSAウサ
ギポリクローナル抗体が特異的に反応する化合物及び反
応しない化合物を表7に示す。
【0106】
【表7】
【0107】この結果から、抗CM−HSAウサギポリ
クローナル抗体がCM化されたタンパク質及びCM化物
と結合することが示唆された。
【0108】(5)〔抗CM−HSAウサギポリクロー
ナル抗体を用いたサンドイッチ法によるヒト全血中のC
M−Hbの定量〕 抗CM−HSAウサギポリクローナル抗体を用いて、実
施例1(16)と同様の方法でサンドイッチELISA
法によりヒト全血中のCM−Hbの定量を行った。しか
しながら、該方法によりヒト全血中のCM−Hbの定量
を行うことはできなかった。
【0109】以上の結果から、ハイブリドーマ2B3が
産生するモノクローナル抗体を用いたELISA系では
検体中のCM−Hbを測定できたが(実施例1)、抗C
M−HSAウサギポリクローナル抗体を用いたELIS
A系では、検体中のCM−Hbを測定することはできな
かった(比較例1)。このことより、種々のCM−タン
パクを認識する抗体では、血中のCM−HbをELIS
A法で検体の前処理を行うことなく検出することはでき
なかった。
【0110】
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体を使用すれ
ば、体液中のCM−Hbを煩雑な前処理を必要とするこ
となく、特異的にかつ簡便に測定することが可能となっ
た。このことは糖尿病、糖尿病合併症、透析アミロイド
ーシス等の新規マーカーであるCM−Hbを容易に直接
測定できることを意味するものであり、その工業的意義
は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本図は、本発明のハイブリドーマ2B3が産
生するモノクローナル抗体と検体及び非CM−Hbとの
反応性をサンドイッチELISA法にて調べた結果を示
す図である。
【図2】 本図は、糖尿病患者及び健常者それぞれ10
検体中のCM−Hb量を、ハイブリドーマ2B3が産生
するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELIS
A法で測定した結果を示す図である。該図において、縦
軸は検体中のHb1mg当たりに含まれるCM−Hbの
ユニット量(U)を表し、、横軸は糖尿病患者及び健常
者の区別を表す。
【図3】 本図は、糖尿病患者の単位検体Hbに含まれ
るCM−Hb量と各検体の糖尿病合併症重篤度との相関
関係を調べた結果を示す図である。該図において縦軸は
検体中のHb1mg当たりに含まれるCM−Hbのユニ
ット量(U)を表し、横軸は糖尿病合併症の重篤度を表
す。
【図4】 本図は、本発明のハイブリドーマ11B9が
産生するモノクローナル抗体と検体及び非CM−Hbと
の反応性をサンドイッチELISA法にて調べた結果を
示す図である。
【図5】 本図は、透析患者の内、透析アミロイドーシ
スを発症した患者及び発症していない患者それぞれ10
検体中のCM−Hb量を、ハイブリドーマ11B9が産
生するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELI
SA法で測定した結果を示す図である。なお、該図にお
いて縦軸は検体中のHb1mg当たりに含まれるCM−
Hbのユニット量(U)を表し、横軸は透析アミロイド
ーシスを発症した患者及び発症していない患者の区別を
表す。
【図6】 本図は、本発明のハイブリドーマ7F9が産
生するモノクローナル抗体と検体及び非CM−Hbとの
反応性をサンドイッチELISA法にて調べた結果を示
す図である。
【図7】 本図は、透析患者の内、透析アミロイドーシ
スを発症した患者及び発症していない患者それぞれ10
検体中のCM−Hb量を、ハイブリドーマ7F9が産生
するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELIS
A法で測定した結果を示す図である。なお、該図におい
て、縦軸は検体中のHb1mg当たりに含まれるCM−
Hbのユニット量(U)を表し、横軸は透析アミロイド
ーシスを発症した患者及び発症していない患者の区別を
表す。
【図8】 本図は、作成した抗CM−HSA抗体の抗原
特異性を競合ELISA法にて調べた結果を示す図であ
る。なお、該図において、縦軸は405nmの吸光度を
表し、横軸は各阻害剤の添加量{各well当たりの添
加されたタンパク質(阻害剤)の量}を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C12P 21/08 C12N 15/00 C (72)発明者 三浦 圭介 山口県徳山市御影町1番1号 株式会社ト クヤマ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシメチル化ヘモグロビンに特異
    的に反応するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のモノクローナル抗体を産
    生するハイブリドーマ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のモノクローナル抗体を用
    いることを特徴とするカルボキシメチル化ヘモグロビン
    の免疫学的測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のモノクローナル抗体を含
    んでなるカルボキシメチル化ヘモグロビン測定用免疫学
    的測定試薬。
JP10040553A 1998-02-23 1998-02-23 モノクローナル抗体 Pending JPH11236399A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002005936A (ja) * 2000-06-26 2002-01-09 Shino Test Corp 酵素免疫測定法による測定試薬及び測定方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002005936A (ja) * 2000-06-26 2002-01-09 Shino Test Corp 酵素免疫測定法による測定試薬及び測定方法

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