JPH1123334A - 発熱抵抗体式空気流量測定装置およびその計測誤差補正方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】発熱抵抗体式空気流量測定装置の吸気温度変化
による計測誤差の低減を行う。 【解決手段】発熱抵抗体式空気流量測定装置からの流量
信号及び吸気温度センサからの吸気温度信号を使い、補
正マップを作成し、流量依存性をキャンセルする補正を
行う。 【効果】本発明によれば吸入温度変化に対する計測誤差
補正が広流量域に渡って可能なため、吸入空気の高精度
な計測ができ、環境保護等から望まれている高精度燃焼
制御が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動車用の内燃機関
に吸入される空気流量を測定する発熱抵抗体式空気流量
測定装置およびその計測誤差補正方法および装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】環境保護や省資源等から自動車のエンジ
ンに対して、より高精度な燃焼制御が要求され、吸入空
気流量を高精度に検出出来る空気流量計が望まれてい
る。このため空気の質量流量を直接計測できる発熱抵抗
体式空気流量測定装置を採用した制御システムが主流と
なっている。本発明に最も近い発熱抵抗体式空気流量測
定装置の公知の技術としては特開昭60−100218号があ
る。本従来技術は発熱抵抗体式空気流量測定装置の温度
特性の補正について述べた発明である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、計測される空気流量の如何に関わらず、流量信号に
対し、吸入空気温度に応じた一定の電圧を変化させるだ
けの補正であった。しかし、実際には発熱抵抗体に流れ
る空気の温度によって空気流量に対応する出力信号が変
化してしまう。これは以下の原因に起因しているもので
ある。

【０００４】発熱抵抗体式空気流量測定装置は図６に記
載するようなブリッジ回路により構成されており出力電
圧Ｖoutは式１により表される。

【０００５】 Ｖout＝√（Ａ＋Ｂ√（Ｑ）） …式１ ここで定数Ａ，Ｂは流量Ｑに対して一定であるが温度特
性を持っている。これは主にＡ，Ｂには空気の熱伝導率
が温度特性を持つためである。これはＡ，Ｂには熱伝導
率、或いは動粘性係数等の空気の物性値の変化が含まれ
るためである。従って、ブリッジ回路の出力は温度Ｔに
関する微係数ｄＶ／ｄＴは流量依存性を持つことにな
る。更に発熱抵抗体が保持される部材などへの発熱抵抗
体からの熱伝導の影響も上記、流量依存性の要因の一つ
である。このため上記従来技術においては広範囲な流量
でかつ、広範囲な温度範囲では補正しきれない問題があ
るのである。

【０００６】本発明の目的は広流量範囲かつ広温度範囲
な条件下に於いて発熱抵抗体式空気流量測定装置の温度
特性の改善を行うことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題に対応するため
には吸気管内における吸入空気温度を計測し、その温度
信号を用いてマイコン等により上記発熱抵抗体式空気流
量測定装置の出力温度特性の持つ流量依存性に対して誤
差を相殺するような補正を与えることにより達成され
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の実施例を以下の図面に従
い詳細に説明する。

【０００９】まず最初に、発熱抵抗体式空気流量測定装
置の動作原理について説明する。図５は発熱抵抗体式空
気流量測定装置の概略構成回路図である。発熱抵抗体式
空気流量測定装置の駆動回路９１は大きく分けてブリッ
ジ回路とフィードバック回路から成り立っている。吸入
空気流量測定を行うための発熱抵抗体３ＲＨ、吸入空気
温度を補償するための感温抵抗体４ＲＣ及びＲ１０，Ｒ
１１でブリッジ回路を組み、オペアンプＯＰ１を使いフ
ィードバックをかけながら発熱抵抗体３ＲＨと感温抵抗
体４ＲＣの間に一定温度差を保つように発熱抵抗体３Ｒ
Ｈに加熱電流Ｉｈを流して空気流量に応じた出力信号Ｖ
２を出力する。つまり流速の速い場合には発熱抵抗体３
ＲＨから奪われる熱量が多いため加熱電流Ｉｈを多く流
す。これに対して流速の遅い場合には発熱抵抗体Ｒｈか
ら奪われる熱量が少ないため加熱電流も少なくてすむの
である。

【００１０】図６は発熱抵抗式空気流量計の一例を示す
横断面であり、図７はその上流（左側）から見た外観図
である。

【００１１】発熱抵抗体式空気流量測定装置の構成部品
としては駆動回路を構成する回路基板２を内蔵するハウ
ジング部材１及び非導電性部材により形成される副空気
通路構成部材１０等があり、副空気通路構成部材１０の
中には空気流量検出のための発熱抵抗体３，吸入空気温
度を補償するための感温抵抗体４が導電性部材により構
成された支持体５を介して回路基板２と電気的に接続さ
れるように配置され、ハウジング，回路基板，副空気通
路，発熱抵抗体，感温抵抗体等、これらを発熱抵抗体式
空気流量測定装置の一体のモジュールとして構成されて
いる。また、吸気管路を構成する主空気構成部材２０の
壁面には穴２５があけられており、この穴２５より前記
発熱抵抗体式空気流量測定装置の副空気通路部分を外部
より挿入して副空気通路構成部材の壁面とハウジング部
材１とをネジ７等で機械的強度を保つように固定されて
いる。ここで副空気通路が挿入される主空気通路部分は
ほぼ円筒管であり、主空気通路の空気の流れる有効断面
積は副空気通路の出入口の配置箇所でほぼ同じである。
また、副空気通路構成部材１０と主空気通路構成部材の
間にシール材６を取り付けて、気密性を保っている。

【００１２】次に本発明の具体的な内容について説明す
る。

【００１３】まず、図２は内燃機関における吸気管の構
成要素を示した図である。空気の流れる上流側から説明
する。エアクリーナダーティサイドケース１５０とエア
クリーナクリーンサイドケース１５１とでエアクリーナ
エレメント１５２を挟むようにしてエアクリーナが構成
される。エアクリーナ下流側には発熱抵抗体式空気流量
測定装置の構成材料であるボディ部材１６０により主空
気通路の一部が構成され、インテークマニホールド１５
５とボディ部材１６０とを吸気ダクト１５８により接続
し、吸気管全体を構成している。

【００１４】内燃機関における各種センサ等からの信号
処理及び制御はエンジンコントロールユニット（以下Ｅ
ＣＵ）１００により行われる。従って本発明における発
熱抵抗体式空気流量測定装置の温度計測誤差補正につい
てもこのECU100内部において行われる。

【００１５】ECU100内部には入力回路部１０１ならびに
出力回路部１０２及び中央演算処理装置（以下ＣＰＵ）
１０３及びメモリ１０４を有している。ECU100内部の構
成要素間の情報の交換は矢印１０５ａ及び１０５ｂによ
り示した部分で行われる。

【００１６】吸気ダクト１５８には吸気温度センサ１５
７が取り付けられ吸入空気温度Ｔａを計測し、また、吸
気管を流れる吸入空気流量は発熱抵抗体３により計測さ
れ、それぞれがECU100に送られる。この際メモリ１０４
内に格納されている補正値に従いCPU103内部で温度によ
る計測誤差の補正を実施し、空気流量信号を算出し、求
められた結果に対して、燃料噴射のための制御信号はＴ
ｐとしてインジェクタ１５４に送られる。内燃機関に吸
入される吸入空気流量の計算ステップは概略図２のよう
になっている。

【００１７】吸気管を流れる吸入空気流量は発熱抵抗体
３により計測され出力電圧Ｖｏとして駆動回路モジュー
ル１６１より出力される。この出力電圧ＶｏはECU100に
供給される際、アナログ／デジタル変換器１７０により
デジタル信号化されＶｏＤとなる。次にこのＶｏＤは変
換回路１７１により空気流量に変換され、時間Ｔの間積
分器１７２により積分される。次にECU100内にエンジン
回転数信号Ｎｅを取り込み演算器１７３で１シリンダ当
りの空気流量Ｑａを算出する。この空気流量Ｑａと吸気
温度センサからの吸入空気温度信号Ｔａを使い発熱抵抗
体式空気流量測定装置の温度変化による計測誤差に対す
る補正処理を処理装置１７４内で行いインジェクタ１５
４噴射信号ｔｐとして出力する。

【００１８】補正処理内容としては例えば図３及び図４
に示すような補正処理を施す。図３は発熱抵抗体式空気
流量測定装置の回路モジュール部の温度を２０℃とし
て、吸気温度を８０℃とした時の計測誤差を吸気温度も
２０℃とした時の値を基準としてグラフ化したものであ
る。低流量ではプラス側の誤差、高流量ではマイナスの
誤差である。このため補正値としては低流量側でマイナ
ス、高流量側でプラスとして誤差を相殺するような補正
値としている。また、図４は同様に吸気温度及び回路モ
ジュール部を２０℃とした時の発熱抵抗体式空気流量測
定装置の出力値を基準として、吸気温度のみを−３０℃
とした時の計測誤差をグラフ化したものである。低流量
ではマイナス側の誤差、高流量ではプラスの誤差である
が、図３と同様に誤差を相殺するような補正を行う。

【００１９】このように発熱抵抗体式空気流量測定装置
の計測誤差は流量と温度により異なるため例えば図１に
示した処理装置１７４の補正には図５に示すような吸入
温度と空気流量のマップを作成しマップ内に補正値を書
き込んでおき、空気流量と吸入空気温度を読み込み補正
を行う。

【００２０】以上、説明した内容は補正をＥＣＵで行う
ことを前提に記述してきたが、近年、吸気温度センサを
内設して機能を拡大した発熱抵抗体式空気流量測定装置
も量産化されており、例えば発熱抵抗体式空気流量測定
装置内部にマイコンを搭載し、吸入空気温度と空気流量
を測定し、温度による計測誤差を補正した吸入空気流量
信号と吸気温度信号とをＥＣＵに送る構造でも効果は同
じである。

【００２１】

【発明の効果】本発明によれば吸入温度変化に対する計
測誤差補正が広流量域に渡って可能な発熱抵抗体式空気
流量測定装置を提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の温度補正を示すブロック図。

【図２】本発明の理解に必要な内燃機関の構成部品の概
略図。

【図３】発熱抵抗体式空気流量測定装置の吸気温度が高
温時の計測誤差を示すグラフ。

【図４】発熱抵抗体式空気流量測定装置の吸気温度が低
温時の計測誤差を示すグラフ。

【図５】本発明の補正の一例を示す温度と流量から成る
補正マップ。

【図６】発熱抵抗体式空気流量測定装置の構成回路図。

【図７】発熱抵抗体式空気流量測定装置の断面図。

【図８】図７を左側（上流側）より見た図。

【符号の説明】

１…ハウジング部材、２…回路基板、３…発熱抵抗体、
４…感温抵抗体、５…支持体、６…シール材、１０…副
空気通路構成部材、１１…副空気通路入口、１２…副空
気通路出口、１３…縦通路、１４…横通路、２０…主空
気通路構成部材、２２…主空気通路、２３…順方向空気
流れ、２５…穴、１００…エンジンコントロールユニッ
ト、１０１…入力回路部、１０２…出力回路部、１０３
…中央演算処理装置、１０４…メモリ、１０５…情報交
換部、１５０…エアクリーナダーティサイドケース、１
５１…エアクリーナクリーンサイドケース、１５２…エ
アクリーナエレメント、１５３…スロットルバルブ、１
５４…インジェクタ、１５５…インマニ、１５６…吸気
バルブ、１５７…吸気温度センサ、１５８…吸気ダク
ト、１７０…アナログ／デジタル変換器、１７１…空気
流量変換回路、１７２…積分器、１７３…演算器、１７
４…補正処理装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角広 崇 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】加熱電流を流して発熱し吸入空気への放熱
   を基に吸入空気流量を計測する発熱抵抗体式空気流量測
   定装置の計測誤差補正方法において、吸入空気温度を計
   測し、吸入空気温度と吸入空気流量に応じて前記計測誤
   差に対して補正を行うことを特徴とした発熱抵抗体式空
   気流量測定装置の計測誤差補正方法。
2. 【請求項２】請求項１に記載の出力信号補正方法として
   発熱抵抗体式空気流量測定装置からの空気流量と吸気温
   度から成るマップを作成し、このマップ内に格納された
   補正値により吸入空気温度に対する吸入空気流量信号の
   補正を行うことを特徴とする発熱抵抗体式空気流量測定
   装置の計測誤差補正方法。
3. 【請求項３】請求項１又は請求項２に記載の補正方法を
   行う計測誤差補正装置またはその補正手段を備えた内燃
   機関の制御装置。
4. 【請求項４】内燃機関に用いられ、加熱電流を流して発
   熱し吸入空気への放熱を基に吸入空気流量を計測する発
   熱抵抗体式空気流量測定装置において、前記内燃機関の
   吸気管内における吸入空気温度を計測する手段を具備
   し、更に吸入空気温度に応じて平均空気流量に対して補
   正を行う手段を有したことを特徴とした発熱抵抗体式空
   気流量測定装置。