JPH11228433A - 消臭性を付与した抗菌剤 - Google Patents

消臭性を付与した抗菌剤

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JPH11228433A
JPH11228433A JP10054400A JP5440098A JPH11228433A JP H11228433 A JPH11228433 A JP H11228433A JP 10054400 A JP10054400 A JP 10054400A JP 5440098 A JP5440098 A JP 5440098A JP H11228433 A JPH11228433 A JP H11228433A
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JP
Japan
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test
antibacterial agent
hinokitiol
gel
weight
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JP10054400A
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Nobuhiro Suzuki
信弘 鈴木
Akira Miyaki
昭 宮木
Hatsuo Toyama
初夫 遠山
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  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】植物由来の成分をその有効成分とする、消臭性
を付与した抗菌剤を提供する。特に、病原性大腸菌O1
57をはじめとする食中毒菌やレジオネラ菌に対して有
効な抗菌剤を提供する。 【解決手段】フィトンチッドとヒノキチオールとを含
み、必要によりゲル化剤及び乳化剤を含んでなることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物由来の成分を
その有効成分とする消臭性を付与した抗菌剤に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に植物性の消臭剤は、植物の葉、茎
などから圧搾法、真空乾留法などにより有機化合物を抽
出し、何種類かの植物から抽出した有機化合物を混合し
たもので、植物由来の成分を有効成分としており安全性
が高く望ましい。しかし、このような消臭剤には一般的
に抗菌性は付与されておらず、抗菌性と消臭性とを併せ
もつ消臭性抗菌剤が望まれている。
【0003】ところで、近年は、調理施設等での暖房設
備の普及等により食中毒菌による食中毒が時期を問わ
ず、各所で発生しているのが現状であり、特に病原性大
腸菌O157は感染源の特定も困難で大きな社会問題と
なっている。また、浴槽中の湯を浄化して循環使用する
循環温浴器(所謂24時間風呂)が普及してきている
が、40℃前後のお湯を常時ためておくため、雑菌が繁
殖しやすく、特に肺炎の原因となるレジオネラ菌が繁殖
しやすいことが指摘されており、問題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、植物由来の成分をその有効成分とする、消臭性を付
与した抗菌剤を提供することにある。特に、病原性大腸
菌O157をはじめとする食中毒菌やレジオネラ菌に対
して有効な抗菌剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は鋭意研究の結果、多数の植物から抽出し
た植物エキスを有効成分とし、消臭性をもつとされるフ
ィトンチッドに、抗菌効果のあるとされるヒノキチオー
ル、β-ドラブリンなどのトロポロン骨格を有する有機
物を配合することにより、高い消臭効果と高い抗菌効果
とを併せもたせることができることを見出し、本発明を
完成した。即ち、本発明の消臭性を付与した抗菌剤は、
フィトンチッドとトロポロン骨格をもつ有機物とを含ん
でなること、を特徴としている。
【0006】なお、フィトンチッドは、ロシア語で、樹
木や草が炭素同化作用の時に酸素と一緒に発散する殺菌
作用のある芳香性物質(精油成分)のことを言う。フィ
トンチッドには消臭作用があり、悪臭を中和相殺により
消臭する。また、前記フィトンチッドとトロポロン骨格
をもつ有機物に加えて、さらに乳化剤を含有させること
が好ましい。また、前記トロポロン骨格をもつ有機物と
してはヒノキチオールとβ-ドラブリンが好ましい。さ
らにゲル化剤を添加してゲル状物とするとよい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。本発明におけるフィトンチッドの一例と
して、杉、檜、樅、イラクサ、楠、黒松、赤松、エゾマ
ツ、柿、熊笹、ヨモギ、茶、白樺、シソ、アロエ、サン
ショウ、アマ茶ズル等を主原料とした35種類の植物か
ら独特の圧搾装置と真空乾留装置により約180種類の
有機化合物を抽出し、これらをブレンドした抽出エキス
がある。かかる抽出エキスは水溶性で、高い消臭効果を
有している。
【0008】トロポロン骨格をもつ有機物としては、例
えば、ヒノキチオール(別名β-ツヤプリシン)、β-ド
ラブリン、これらの誘導体などが挙げられる。ヒノキチ
オールは、油溶性の結晶性物質で、強い抗菌性を有して
いる。ヒノキチオールについては、天然品と合成品のい
ずれでもよい。天然品は、青森産ヒバ油、台湾ヒノキ
油、ウェスタン・レッド・シーダー油などに含まれてい
る。天然品にはヒノキチオールとともに、ヒノキチオー
ルと同等の抗菌性をもつβ-ドラブリンが同量含まれて
いる。したがって合成品よりも天然品の方がコスト面に
おいて有利である。
【0009】上記フィトンチッドは水溶性であり、トロ
ポロン骨格をもつ有機物としてのヒノキチオールは油溶
性であるので、これらを均一に混合するには、乳化剤
(界面活性剤)を添加する。このような乳化剤として
は、ヒマシ油など両者を均一に混合させてエマルジョン
化できるものであれば特に制限はない。さらに、有機
酸、有機酸塩ないし有機酸エステルを添加すると、乳化
性が増す。このような有機酸類としては、例えばクエン
酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸トリエチルなどが挙
げられる。また、溶媒としては、水を用いるが、ヒノキ
チオールがアルコール溶解性をもつので、アルコールを
添加することもできる。ここで用いる水は、塩素やミネ
ラル分などの不純物を含まないイオン交換水が好まし
い。
【0010】上記各成分の配合割合は用いる成分の種類
により変動はあるが、トロポロン骨格をもつ有機物とし
てヒノキチオール及びβ-ドラブリンの少なくとも一種
を用いた場合、フィトンチッド0.3〜30重量%、ヒ
ノキチオール若しくはβ-ドラブリン0.1〜2重量
%、乳化剤0.5〜10重量%、有機酸類0.5〜5重
量%程度で、残部溶媒とする。フィトンチッドの添加量
が少なすぎると消臭効果が不十分となり、多すぎるとコ
スト高となる。ヒノキチオールの添加量が少なすぎると
十分な抗菌効果が得られず、多すぎるとコスト高とな
る。乳化剤や有機酸類の添加量が少なすぎるとエマルジ
ョン化が不十分となりヒノキチオール若しくはβ-ドラ
ブリンが結晶化して析出してしまい、一方多すぎると乳
化剤等が白濁化し沈殿物が多くなる。
【0011】使用形態としては、水溶液(液状物)とし
て用いることもできるが、冷蔵庫、車中、室内などで用
いるには、ゲル状物として容器に入れ有効成分を揮発さ
せるようにして用いるのが便利である。所謂24時間風
呂に使用するには、液状物を浴湯中に添加混合して用い
ることもできるが、容器に詰めたゲル状物を循環温浴器
の空気取り入れ口などに設置して用いることもできる。
ゲル状物とするにはゲル化剤として吸水性樹脂を添加す
ればよい。フィトンチッド、ヒノキチオール若しくはβ
-ドラブリンなどの有効成分は揮発性をもち、ゲル状物
とすることにより表面積を大きくして有効成分の揮発を
促し、消臭効果及び抗菌効果を高めることができる。ゲ
ル状物として空気中に放置すると、吸水性樹脂中の水が
蒸発するが、このとき、樹脂の表面に吸着している有効
成分を伴いながら蒸発する。
【0012】ゲル状物として用いる場合、ゲル状物全体
に対して吸水性樹脂4〜15重量%程度配合する。配合
割合が少なすぎると表面積が不足し有効成分の揮発性が
悪くなり、多すぎると揮発性は良くなるが、かさ比重が
小さくなり、同量の有効成分を含ませるのに大きな容器
を用いなければならなくなる。
【0013】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げてさらに具体的
に説明する。これらの実施例は特許請求の範囲を限定す
るものではない。また、これらの実施例では、フィトン
チッドとして株式会社東海興産製のフィトンチッド(商
品名「スメルナーク」)を、ヒノキチオールとして小川
香料株式会社製のヒノキチオール(商品名「ヒノキチオ
ール」)を使用した。このヒノキチオールにはβ-ドラ
ブリンは含まれていない。なお、”スメルナーク”は、
液体で、比重1.0037、油分0.2%、有機酸0.
37%、界面活性剤相当分1.38%、遊離アルカリ0
%である。また”ヒノキチオール”は、結晶、結晶性粉
末又は塊で、融点48〜52℃、乾燥減量0.5%以
下、含量98.0〜105.0%、重金属含量(Pbとし
て)20ppm以下、ヒ素含量(As2O3として)2ppm以下
である。
【0014】[抗菌効果試験]”スメルナーク”単独、カ
テキン単独、”ヒノキチオール”単独、”スメルナー
ク”と”ヒノキチオール”との混合液、のそれぞれにつ
いて抗菌効果を試験した。
【0015】実験例1 ”スメルナーク”の所定濃度の溶液を試験液とし、この
試験液に大腸菌(血清型O157:H7)の菌液を接種
した後、室温で作用させ、経時的に試験液中の生残菌の
有無を調べた。
【0016】試験菌として大腸菌、血清型O157:H
7、ベロ毒素非産生株(Escherichia coli ATCC 4388
8)を用いた。菌液を調製する際には、NA培地(普通寒
天培地(栄研化学株式会社製))で37±1℃、16〜
24時間前培養した菌体をNA培地に再度接種して37±
1℃、16〜20時間培養し、これによって得た菌体を
生理食塩水に均一に分散させて、1ml当たりの菌数が約
108となるように菌液を調製した。試験液としては、
検体(”スメルナーク”)原液そのまま、検体の10、
5、2.5%(V/V)溶液を調製し試験液とした。そ
して、試験液10mlに菌液1mlを接種し、室温で作用さ
せ、0.5、1、3、6時間後に、一白金耳量をNB培地
(肉エキス0.2%を添加した普通ブイヨン(栄研化学
株式会社製))に接種・培養(37℃ 2日間培養)
し、生育の有無を確認した。その結果を表1に示す。表
中の符号「+」は生育有り、符号「-」は生育無しをそれ
ぞれ示す。
【0017】
【表1】
【0018】実験例2 検体としてカテキンを用い、カテキンを精製水で1.
0、0.5、0.1%(W/V)溶液を調製して試験液
とした他は実験例1と同様に試験した。その結果を表2
に示す。表中の符号「+」は生育が有ることを示す。
【0019】
【表2】
【0020】実験例3 検体として”ヒノキチオール”を用い、”ヒノキチオー
ル”を5%(V/V)エタノール溶液で1.0、0.
1、0.01、及び0%(W/V)溶液を調製して試験
液とした他は実験例1と同様に試験した。その結果を表
3に示す。但し、0%試験液はエタノール溶液のみで、
抗菌効果がないことを証明するためのものである。表中
の符号「+」は生育有り、符号「-」は生育無しをそれぞ
れ示す。
【0021】
【表3】
【0022】実験例4 ”スメルナーク”の2.5%(V/V)溶液に”ヒノキ
チオール”を約1%添加したものを試験液とし、この試
験液に各種細菌の菌液を接種し、室温で作用させ、経時
的に試験液中の生残菌の有無を調べた。
【0023】試験菌として(1)大腸菌、血清型O15
7:H7、ベロ毒素非産生株(Escherichia coli ATCC
43888)、(2)大腸菌(Escherichia coli IFO 397
2)、(3)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus I
FO 12732)、(4)サルモネラ(Salmonella enteritid
is IFO 3313)、(5)腸炎ビブリオ(Vibrio parahaem
olyticus IFO 12711)を用いた。
【0024】菌液を調製する際には、大腸菌(O15
7:H7)、大腸菌、黄色ブドウ球菌及びサルモネラに
ついては、NA培地(普通寒天培地(栄研化学株式会社
製))で37±1℃、16〜24時間前培養した菌体を
NA培地に再度接種して37±1℃、16〜20時間培養
し、これによって得た菌体を生理食塩水に均一に分散さ
せて、1ml当たりの菌数が約108となるように菌液を
調整した。また、腸炎ビブリオについては、3%NaC
l添加NA培地(塩化ナトリウム3%を添加したNA培地)
で37±1℃、16〜24時間前培養した菌体を3%N
aCl添加NA培地に再度接種して37±1℃、16〜2
0時間培養し、それによって得た菌体を3%塩化ナトリ
ウム溶液に均一に分散させて、1ml当たりの菌数が約1
8となるように菌液を調製した。また、試験液は、”
スメルナーク”の2.5%(V/V)溶液80mlに、”
ヒノキチオール”の20%(W/V)エタノール溶液4m
lを添加することによって得られた。
【0025】そして、試験液10mlに菌液1mlを接種
し、室温で作用させ、30分、1、3及び6時間後に一
白金耳量をNB培地(肉エキス0.2%を添加した普通ブ
イヨン(栄研化学株式会社製))に接種・培養(37
℃、2日間培養)し、生育の有無を確認した。なお、腸
炎ビブリオについては、NB培地に代えて3%NaCl添
加NB培地(塩化ナトリウム3%を添加したNB培地)を用
いた。その結果を表4に示す。表中の符号「-」は生育
が無いことを示す。
【0026】
【表4】
【0027】実験例5 ”スメルナーク”と”ヒノキチオール”の混合液であっ
て、”ヒノキチオール”の添加量を0.75%、0.5
%、0.25%にした溶液をそれぞれ、試験液1)、試
験液2)、試験液3)とし、これらの試験液に細菌の菌
液を接種して室温で作用させ、そして試験液中の細菌の
生育の有無を経時的に観察した。
【0028】試験菌として(1)大腸菌(Escherichia
coli IFO 3972)、(2)黄色ブドウ球菌(Staphylococ
cus aureus IFO 12732)、を用いた。菌液を調製する際
には、まず、菌体をNA培地(普通寒天培地(栄研化学株
式会社製))で37±1℃、16〜24時間前培養して
から、再度NA培地に接種し37±1℃、16〜20時間
培養した。続いて、このようにして得た菌体を生理食塩
水に均一に分散させ、1ml当たりの菌数が約108とな
るように菌液を調整した。また、試験液1)、2)、
3)は、2.5%(V/V)の”スメルナーク”溶液8
0mlに、20%(W/V)の”ヒノキチオール”を含ん
だエタノールを適量ずつ加えることによって得られた。
【0029】そして、試験液1)、2)、3)10mlに
それぞれ、上述のように調製された菌液を1mlずつ接種
して室温で作用させた。それから10、30、60及び
180分後に、一白金耳量取り、NB培地(肉エキス0.
2%を添加した普通ブイヨン(栄研化学株式会社製))
に接種・培養(37℃、2日間培養)し、生育の有無を
観察した。その結果を表5に示す。表中の符号「-」は
生育が無いことを示す。
【0030】
【表5】
【0031】上記の実験結果から分かるように、大腸菌
(O157:H7)に対して”スメルナーク”単独で
は、原液においては抗菌効果が認められるが、希釈する
と効果が認められない。カテキンについては抗菌効果は
認められない。”ヒノキチオール”については抗菌効果
が認められる。そして、”スメルナーク”と”ヒノキチ
オール”とを混合したものでは、大腸菌(O157:H
7)に対してさらに強い抗菌効果が認められ、他の細菌
類(大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、腸炎ビブリ
オ)に対しても強い抗菌効果が認められる。また、”ス
メルナーク”と”ヒノキチオール”とを混合したもので
は、”ヒノキチオール”の添加量が0.25%以上あれ
ば、抗菌効果が認められる。
【0032】[ゲル状物の製造]ゲル状物1) ”スメルナーク”2.5重量%、”ヒノキ
チオール”1.0重量%、未変成アルコール(エタノー
ル)5重量%、乳化剤としてポリオキシエチレン硬化ヒ
マシ油(日本サーファクタント工業株式会社製、商品名
NIKKOL HCO−50)2.0重量%及びポリ
オキシエチレン硬化ヒマシ油(日本サーファクタント工
業株式会社製、商品名 NIKKOL HCO−60)
2.0重量%、クエン酸0.3重量%、クエン酸ソーダ
0.2重量%、吸水性樹脂(クラレ製、商品名KIゲル
201K)4.0重量%、残部イオン交換水となるよ
うな配合割合とし、未変成アルコールに”ヒノキチオー
ル”を溶かし、アルコールに溶かした”ヒノキチオー
ル”、”スメルナーク”及びその他の成分をイオン交換
水に溶かし均一に混合した。次いで、この混合液に吸水
性樹脂を添加混合して淡黄色で半透明のゲル状物1)を
得た。
【0033】ゲル状物2)未変成アルコール(エタノー
ル)の配合割合を20.0重量%とした他は上記ゲル状
物1)において述べたのと同様に処理して淡黄色で半透
明のゲル状物2)を得た。上記ゲル状物1)及びゲル状
物2)はアルコールを含むためアルコール臭を有する
が、2〜3日間放置するとアルコールが揮発してアルコ
ール臭は消える。
【0034】ゲル状物3)”スメルナーク”2.5重量
%、”ヒノキチオール”1.0重量%、クエン酸トリエ
チル3.0重量%、乳化剤としてポリオキシエチレン硬
化ヒマシ油(日本サーファクタント工業株式会社製、商
品名 NIKKOL HCO−50)1.0重量%、吸
水性樹脂(クラレ製、商品名 KIゲル 201K)
4.0重量%、残部イオン交換水となるような配合割合
とし、”ヒノキチオール”、クエン酸トリエチル、NI
KKOL HCO−50を混合し、これにイオン交換水
の一部を加えてミキサーで乳化した。次いで、この混合
液に吸水性樹脂を添加混合して淡黄色で半透明のゲル状
物3)を得た。このゲル状物3)は略無臭であった。
【0035】ゲル状物4)クエン酸トリエチル、ポリオ
キシエチレン硬化ヒマシ油(日本サーファクタント工業
株式会社製、商品名 NIKKOL HCO−50)及
び吸水性樹脂(クラレ製、商品名 KIゲル 201
K)の配合割合をそれぞれ7.0重量%、2.0重量
%、7.0重量%とした他は上記ゲル状物3)において
述べたのと同様に処理してゲル状物4)を得た。
【0036】[ゲル状物の抗菌効果試験1]検体1)とし
てゲル状物3)、検体2)としてゲル状物2)を用い、
図1に示すように、ゲル状物(検体)10を容器11に
詰め、各種細菌の菌液をそれぞれ塗抹した平板培地12
を、検体10とともに密閉容器(約2.7リットル)1
3に入れて10℃、35℃で培養後、生菌数を測定し
た。
【0037】試験菌として上記実験例4において用いた
ものとレジオネラ(Legionella pneumophila GIFU 913
4)を用いた。菌液を調製する際には、大腸菌(O15
7:H7)、大腸菌、黄色ブドウ球菌及びサルモネラに
ついては、NA培地(普通寒天培地(栄研化学株式会社
製))で37±1℃、16〜24時間前培養した菌体を
NA培地に再度接種して37±1℃、16〜20時間培養
し、これによって得た菌体をリン酸緩衝液に均一に分散
させて、1ml当たりの菌数が約103となるように菌液
を調製した。また、腸炎ビブリオについては、3%Na
Cl添加NA培地(塩化ナトリウム3%を添加したNA培
地)で37±1℃、16〜24時間前培養した菌体を3
%NaCl添加NA培地に再度接種して37±1℃、16
〜20時間培養し、これによって得た菌体を3%塩化ナ
トリウム溶液に均一に分散させて、1ml当たりの菌数が
約103となるように菌数を調製した。レジオネラにつ
いては、B-CYEα寒天培地(ポリメディア)で37±1
℃、16〜24時間前培養した菌体をB-CYEα寒天培地
に再度接種して37±1℃、16〜20時間培養し、こ
れによって得た菌体をリン酸緩衝液に均一に分散させ
て、1ml当たりの菌数が約103となるように菌数を調
製した。
【0038】そして、大腸菌(O157:H7)、大腸
菌、黄色ブドウ球菌及びサルモネラについては、SA平板
培地(標準寒天培地(栄研化学株式会社製))12に菌
液0.1mlを塗抹後、検体10とともに密閉容器13に
入れ、10℃ 7日間及び35℃ 2日間培養して、生
菌数を測定した。腸炎ビブリオについては、SA平板培地
に替えて3%NaCl添加SA平板培地(塩化ナトリウム
3%を添加したSA培地)を用いた。レジオネラについて
は、B-CYEα寒天培地12に菌液0.1mlを塗抹後、検
体10とともに密閉容器13に入れ、10℃ 7日間及
び35℃ 5日間培養して、生菌数を測定した。また、
検体10を入れずに培養したもの(対照)も同様に試験
した。その結果を表6に示す。表6において符号「−」
は菌体が生育しなかったことを示す。
【0039】
【表6】
【0040】表6の結果から、本発明の抗菌剤をゲル状
物とした場合にも、ゲル状物から揮発した有効成分が各
種細菌に対して高い抗菌効果を示すことが分かる。な
お、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ及びレジオネラにつ
いては、10℃では菌体が生育せず、低温に弱いことが
分かる。
【0041】[ゲル状物の抗菌効果試験2]検体として上
記ゲル状物4)を用いて、冷蔵庫(約294リットル)内
での各種細菌に対する抗菌効果試験を行った。
【0042】試験菌として(1)腸管出血性大腸菌O1
57、VT-2産生株(Escherichia coli IID 959)、
(2)大腸菌(Escherichia coli IFO 3972)、(3)
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO 1273
2)、(4)サルモネラ(Salmonella Typhimurium IFO
12529)、(5)腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolytic
us IFO 12711)を用いた。
【0043】腸管出血性大腸菌、大腸菌、黄色ブドウ球
菌及びサルモネラについては、SCD培地で18時間培養
した後、リン酸緩衝液に均一に分散させることによっ
て、1ml当たりの菌数が約104となるように調製され
た菌液を得た。腸炎ビブリオについては、3%NaCl
添加SCD培地(塩化ナトリウムを3%添加したSCD培地)
で18時間培養した後、3%NaCl添加リン酸緩衝液
に均一に分散させることによって、1ml当たりの菌数が
約104となるように調製された菌液を得た。
【0044】感受性ディスク用寒天培地(日水製薬株式
会社製)に、上述のように調製された菌液を0.1ml塗
抹し、24時間前から検体(ゲル状物4))が入ってい
る冷蔵庫(約294リットル、10℃)内に置いた。その
後、この冷蔵庫内での各試験菌株の生育の有無を1、
3、6、24時間後及び1週間後に観察した。また、対
照として、検体が入っていない冷蔵庫(約294リット
ル、10℃)内での各試験菌株の生育の有無も同様に観
察した。その結果を表7に示す。表中の符号「+」は生
育有り、符号「-」は生育無しをそれぞれ示す。
【0045】
【表7】
【0046】表7に示すように、対照では、24時間後
あるいは1週間後にはすべての試験菌株において生育が
認められるのに対して、検体を入れておいた場合には、
いずれの試験菌においても生育が認められなかった。こ
の結果より、本発明の消臭性を付与した抗菌剤のゲル状
物を冷蔵庫内に置いた場合、各種細菌に対して抗菌効果
を有することが分かる。
【0047】[ゲル状物の抗菌効果試験3]図2に示すよ
うに、浴槽15に40℃前後の湯16を200リットル
程溜め、循環温浴装置17を設置し、湯16の温度を4
0℃前後に保持するように循環温浴装置17を動作させ
て、上記ゲル状物3)28のレジオネラ菌に対する抗菌
効果を試験した。比較のため、オゾンを作用させた場
合、塩素を浴湯16に添加した場合、ブランクテストも
それぞれ実施した。ここで、オゾンの添加量は0.05
〜0.1g/時間程度とし、8時間連続的に作用させ
た。塩素は浴湯16中の塩素の初期濃度が1.5ppmと
なるように添加した。なお、試験中、室の雰囲気温度は
50℃程度であった。
【0048】循環温浴装置17は図3に示すように、ポ
ンプ18により浴湯16を吸引ノズル19から吸い込
み、ヘアキャッチャー20で髪の毛、糸屑等の大きなゴ
ミを取り除き、カートリッジフィルター21で湯垢等を
吸着しポンプ18への異物混入を防ぎ、ポンプ18によ
り吸い上げた浴湯を加圧しながらろ材22a、22bに
送り込む。ろ材22a、22bで有機物や雑菌を吸着除
去し、ヒーター23で加温・保温して吐出ノズル24か
ら浴槽15内に吐き出す。符号25は、オゾン発生器
で、このオゾン発生器25から発生したオゾンをエアー
チューブ26を介して吐出ノズル24に接続して吐出ノ
ズル24から吐出させることができる。このオゾン発生
器25を動作させてオゾンを作用させた(その他の場合
はオゾン発生器25を動作せず)。そして、このオゾン
発生器25の空気取り入れ口27に上記ゲル状物3)2
8を詰めた容器29を接続して、気化した抗菌剤を吐出
ノズル24から吐出させるようにした。この場合、オゾ
ン発生器25は動作させず、空気だけを吐出ノズル24
に送り込むようにした。なお、図3中の符号30は吸入
ホース、符号31は吐出ホース、符号32は逆止弁であ
る。このようにして試験した結果を表8に示す。
【0049】
【表8】
【0050】表8の結果から分かるように、オゾン処理
では8時間程度連続処理することにより抗菌効果が認め
られるが、数時間以上の長期間に亘って処理し続けない
と十分な抗菌効果が得られない。塩素添加の場合、高い
抗菌効果が認められるが、厚生省が認める許容量(1.
0ppm)以下にする必要があり、残留塩素濃度は時間の
経過とともに減少していくが、残留塩素の臭気(カルキ
臭)が残るため好ましくない。これに対し、本発明のゲ
ル状物の場合、4時間経過後には菌数が1000CFU/10
0ml以下になり十分な抗菌効果が認められる。と同時に
消臭効果もあるので浴湯や室内の消臭もでき好適であ
る。
【0051】[ゲル状物の消臭効果試験]上記したゲル状
物1)180g(検体1))及びゲル状物2)170g(検
体2))を直径72mm、高さ55mmの容器に所定量詰め、
容器の上部を開放した状態で、種々の場所に設置して消
臭効果を試験した。その結果を表9に示す。
【0052】
【表9】
【0053】表9の結果から、いずれの設備場所におい
ても消臭効果が良好であることが分かる。また、冷蔵庫
内に設置した場合には、庫内に置いた野菜などの生鮮食
料品の鮮度はゲル状物を設置しない場合に比べ20〜4
0%程度長く保持された。これは、抗菌効果が発揮され
たためと考えられる。
【0054】[重金属類、毒物等の含有分析試験]ゲル化
剤を添加しなかった他はゲル状物3)において述べたの
と同様に処理して得た液状物について、重金属類、毒物
等の含有分析試験を行った。その結果を表10に示す。
表10の結果から、本発明の抗菌剤から重金属類や毒物
等は検出されていないことが分かる。
【0055】
【表10】 [マウスにおける急性経口毒性試験]上記[重金属類、毒
物等の含有分析試験]において用いたものと同じ液状物
を検体として、OECD化学物質毒性試験指針(1987)
に準拠し、マウスにおける急性経口毒性試験(限度試
験)を財団法人日本食品分析センターにて行った。試験
動物として、4週齢のICR系雌雄マウスを日本エスエ
ルシー株式会社から購入し、約1週間の予備飼育を行っ
て健康に異常のないことを確認した後、試験に使用し
た。試験動物はポリカーボネート製ケージに各5匹収容
し、室温23±2℃、照明時間12時間/日に設定した
飼育室において飼育した。飼料(マウス・ラット用固形
飼料(ラボMRストック、日本農産工業株式会社製))及
び飲料水(水道水)は自由に摂取させた。
【0056】そして、試験群及び対照群ともに雌雄それ
ぞれ10匹を用い、投与前約4時間試験動物を絶食させ
た。体重を測定した後、試験群では雌雄ともに20ml/k
gの用量で検体を胃ゾンデを用いて強制単回経口投与し
た。対照群には雄では0.6ml、雌では0.5mlの精製
水を同様に投与した。観察期間は14日間とし、投与日
は頻回、翌日から1日1回の観察を行った。投与後1週
ごとに体重を測定し、t-検定により有意水準5%で群
間の比較を行った。試験期間終了時に動物すべてを剖検
した。
【0057】上記試験の結果、雌雄ともに観察期間中に
死亡例は認められなかった。臨床症状として、試験群で
は、雌雄ともに投与後数分から全例で自発運動の低下が
見られ、雄で2例、雌で1例に苦悶反応及び体姿勢の異
常(腹臥位)が見られた。また、雌雄それぞれ4例によ
ろめき歩行も見られた。苦悶反応は投与後30分後に、
その他の症状も5時間後にはおおむね回復し、投与後1
日以降には異常は見られなかった。対照群では、観察期
間を通して異常は見られなかった。体重変化として、投
与後1週及び2週の体重を測定した結果を表11に示
す。体重は平均値±標準偏差で表した(単位:g)。括
弧内に動物数を示した。この体重測定では、雌雄ともに
試験群と対照群の間で体重増加に差は見られなかった。
剖検所見として、観察期間終了後の剖検では、雌雄とも
に各群で主要臓器に異常は認められなかった。
【0058】OECD化学物質毒性試験指針(1987)で
は、検体が液体の場合、投与量は体重100g当たり2m
l(20ml/kg)を越えるべきではないと指示しており、
本試験ではこの投与し得る最高用量で死亡例は認められ
ず、剖検時にも異常は見られなかった。従って、検体の
マウスにおける単回経口投与による致死量は、雌雄とも
に20ml/kg以上であるものと認められた。
【0059】
【表11】
【0060】[ウサギにおける皮膚一次刺激性試験]ゲル
化剤を添加しなかった他はゲル状物3)において述べた
のと同様に処理して得た液状物を検体として、OECD
化学物質毒性試験指針(1987)に準拠し、ウサギを用い
た皮膚一次刺激性試験を財団法人日本食品分析センター
にて行った。
【0061】日本白色種雄ウサギを北山ラベス株式会社
から購入し、1週間以上の予備飼育を行って健康に異常
がないことを確認した後、試験に使用した。ウサギは、
22±2℃、照明時間12時間/日に設定された飼育室
内で、FRP製ケージに個別に収容された状態で、飼育
された。飼料としてウサギ用固形飼料(CR-3、日本クレ
ラ株式会社製)を給与し、また水道水を自由に摂取させ
た。
【0062】試験には3匹のウサギを使用した。試験の
24時間前に各ウサギの体幹背部被毛を剃り、体重測定
後、約2cm×3cmの試験部位を1匹当たり4つずつ設け
た。そのうち2つの試験部位には真皮まで達しないよう
に多化層にすり傷を付け(有傷)、また他の2つの試験
部位は無処置(無傷)とした。そして、有傷、無傷の試
験部位のうち各1つに、検体0.5mlが塗布された約2
cm×3cmのガーゼパッチを貼付し、絆創膏で固定させ
た。さらに、ガーゼパッチと皮膚がよく接触するように
手術用テープで固定させた。残りの試験部位は対照とし
た。
【0063】ガーゼパッチの曝露時間は4時間とした。
ガーゼパッチ除去後、試験区表面を70%エタノールで
清拭し、これから1、24、48及び72時間経過時に
観察し、皮膚反応の程度を評価した。皮膚反応の程度を
評価する際には、表12に示す評価基準に従って採点し
た。さらに、1、24及び48時間経過時の採点値を合
計して6で除して得た値の全ウサギの平均を算出するこ
とによって一次刺激性インデックス(P.I.I)を求め
た。また、必要に応じて72時間経過後も観察を続け
た。皮膚反応評価に関する採点結果を表13に示す。
【0064】
【表12】
【0065】
【表13】
【0066】表13の結果から分かるように、浮腫につ
いては皮膚反応が認められなかった。紅斑及び痂皮につ
いては、ガーゼパッチ除去後1時間経過時に、ガーゼパ
ッチを貼付したすべての試験部位で非常に軽度な紅斑若
しくははっきりした紅斑が見られた。しかし、1例(表
13中ウサギ1)においては24時間経過時には消失し
ており、他の例(ウサギ3)においては48時間経過時
には消失していた。残る1例(ウサギ2)に関しては、
無傷の試験部位では24時間経過時には軽減しており、
有傷の試験部位では皮膚反応はすり傷部分に限られてい
た。また、一次刺激性インデックス(P.I.I)の値は
0.7となった。OECD化学物質毒性試験指針(198
7)によると、この値は「弱い刺激物」の範疇に入り、
本試験に用いた検体は刺激性が弱いと評価される。
【0067】[ウサギにおける眼刺激性試験]上記の[ウ
サギにおける皮膚一次刺激性試験]で用いたものと同じ
液状物を検体として、OECD化学物質毒性試験指針
(1987)に準拠し、ウサギにおける眼刺激性試験を財団
法人日本食品分析センターにて行った。
【0068】日本白色種雄ウサギを北山ラベス株式会社
から購入し、1週間以上の予備飼育を行って健康に異常
がないことを確認した。また試験開始前24時間以内に
は両眼を検査して異常がないことを確認した。ウサギ
は、22±2℃、照明時間12時間/日に設定された飼
育室内で、FRP製ケージに個別に収容された状態で、
飼育された。飼料としてウサギ用固形飼料(CR-3、日本
クレラ株式会社製)を給与し、また水道水を自由に摂取
させた。
【0069】試験には3匹のウサギを使用した。各ウサ
ギについて体重を測定後、検体をイオン交換水で50%
(V/V)に希釈した試験液を、一方の眼の結膜嚢内に
0.1ml点眼し、約1秒間上下眼瞼を穏やかに合わせて
保持させた。もう一方の眼は対照とするため、イオン交
換水のみを同量点眼した。点眼してから1、24、48
及び72時間経過時に、スリットランプ(×10、興和
株式会社製)を用いて角膜、虹彩、結膜の観察を行い、
眼刺激反応の程度を評価した。眼刺激反応の程度を評価
する際には、表14に示す評価基準に従って採点し、ま
た評点を求めた。そして各ウサギについて合計評点を経
過時間ごとに計算し、さらに3匹のウサギの平均合計評
点を計算した。その結果を表15に示す。
【0070】
【表14】
【0071】
【表15】
【0072】検体を点眼してから1時間経過時には、2
例(表15中ウサギ1及び3)で結膜の発赤(採点
1)、浮腫(採点1)が見られ、また2例(ウサギ1及
び2)で分泌物(採点1〜2)が見られた。分泌物は検
体を含んだ涙液状又は白色固形状であった。24時間経
過時には、2例(ウサギ2及び3)については刺激反応
は消失した。残る1例(ウサギ1)では亢進し、結膜の
発赤(採点2)、浮腫(採点2)及び涙液状の分泌物
(採点3)が見られた。しかし、72時間経過時にはこ
の1例でも刺激反応は消失した。対照とした方の眼で
は、どの経過時においても刺激反応は全く認められなか
った。表15の結果から分かるように、平均合計評点の
最高値は4.7(1及び24時間経過時)であった。O
ECD化学物質毒性試験指針(1987)によると、この値
は「無刺激物」の範疇に入る。
【0073】[変異原性試験]上記の[ウサギにおける皮
膚一次刺激性試験]で用いたものと同じ液状物を検体と
して、変異原性試験を財団法人日本食品分析センターに
て行った。試験方法は労働省告示第77号(昭和63年
9月1日)に準拠した。つまり、細菌を検体が添加され
た平板培地で培養して、復帰変異により出現したコロニ
ーを計数し、その数を陰性対照及び陽性対照と比較する
ことによって、検体の変異原性の有無を調べた。
【0074】試験菌として、 (1)サルモネラ(Salmonella typhimurium TA 100) (2)サルモネラ(Salmonella typhimurium TA 98) (3)サルモネラ(Salmonella typhimurium TA 1535) (4)サルモネラ(Salmonella typhimurium TA 1537) (5)大腸菌(Escherichia coli WP2 uvrA) を用いた。
【0075】検体の添加量は1平板当たり156、313、62
5、1250、2500及び5000μgとした。それぞれについて、
代謝活性化条件及び代謝非活性化条件の両方の条件下で
培養した。代謝活性化条件では、活性化剤S9(キッコ
ーマン株式会社製、誘導物質フェノバルビタール、5,6-
ベンゾフラボン)を含んだS9溶液を平板培地に添加し
た。代謝非活性化条件では、替わりに0.1M Na-リン酸緩
衝液(ph7.4)を添加した。S9溶液の組成は以下の通り
である。
【0076】S9溶液の組成(1ml当たり) S9 0.1 ml MgCl 8 μmol KCl 33 μmol G-6-P 5 μmol NADPH 4 μmol NADH 4 μmol Na-リン酸緩衝液(ph7.4) 100 μmol
【0077】陰性対照では、検体を添加せずに培養し
た。また陽性対照では、検体の替わりに変異誘起物質を
添加した。各試験菌についての変異誘起物質の種類と添
加量を表16に示す。
【0078】
【表16】
【0079】試験菌を培養する手順を以下に示す。ま
ず、滅菌試験管内に、所定量の検体を含んだ試験液0.
1mlあるいは所定量の変異誘起物質(陽性対照)、S9
溶液(代謝活性化条件の場合)あるいは0.1MNa-
リン酸緩衝液(ph7.4)(代謝非活性化条件の場合)を
0.5ml、及び予め適当に調製された菌液0.1mlを順
次加える。次に、37℃に設定された恒温槽で20分間
振とうした後、トップアガー(0.6%"バクトアガー"(デ
ィフコ社製)、0.5%NaCl)を2ml加える。なお、このト
ップアガーには、サルモネラについては0.5mM L-ヒ
スチジン-0.5mM D-ビオチン溶液を、大腸菌につい
ては0.5mM L-トリプトファン溶液を1/10容量含ませ
ている。続いて、最小寒天グルコース平板培地(クリメ
ディアAM-N培地、オリエンタル酵母工業株式会社製)上
に一様に広げ、37℃に設定された恒温器の中で48時
間培養する。
【0080】本試験は2反復で行った。コロニーを計数
する際には、随時、自動コロニーカウンター(吉川工業
株式会社製)を利用した。表17に1平板当たりのコロ
ニー数の平均値を示す。また無菌試験として、最小寒天
グルコース平板培地に、菌液を加えないまま、試験液、
S9溶液及びトップアガーのみを添加し、37℃に設定
された恒温器の中で48時間培養して、コロニーの有無
を観察した。
【0081】
【表17】
【0082】無菌試験ではコロニーは観察されなかっ
た。また、表17に見られるように、検体を培地に添加
して培養しても、コロニー数が陰性対照とあまり変わら
なかった。一方、陽性対照と比較すると、コロニー数が
明らかに少なかった。すなわち検体を培地に添加して培
養しても、復帰変異により出現したコロニーは認められ
なかった。このことから、本発明の抗菌剤は変異原性を
もっていないと判定される。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように本発明の消臭性を付
与した抗菌剤によれば、植物由来の成分をその有効成分
としており安全性が高く、消臭性と抗菌効果とを併せも
たせることができる。また、本発明の消臭性を付与した
抗菌剤をゲル状物とすることにより、有効成分の揮発を
促し、消臭及び抗菌効果を高めることができる。特に、
病原性大腸菌O157などの食中毒菌やレジオネラ菌に
対しても高い抗菌効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゲル状物の抗菌効果試験方法の説明図。
【図2】浴槽での抗菌効果試験方法の説明図。
【図3】循環温浴装置の説明図。
【符号の説明】
10 ゲル状物(検体) 11 容器 12 平板培地 13 密閉容器 15 浴槽 16 浴湯 17 循環温浴装置 18 ポンプ 19 吸引ノズル 20 ヘアキャッチャー 21 カートリッジフィルター 22a、22b ろ材 23 ヒーター 24 吐出ノズル 25 オゾン発生器 26 エアーチューブ 27 空気取り入れ口 28 ゲル状物 29 容器 30 吸入ホース 31 吐出ホース 32 逆止弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61L 9/01 A61L 9/01 R

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィトンチッドとトロポロン骨格をもつ有
    機物とを含んでなることを特徴とする消臭性を付与した
    抗菌剤。
  2. 【請求項2】前記フィトンチッドと前記トロポロン骨格
    をもつ有機物に加えて、さらに乳化剤を含有してなる請
    求項1に記載の消臭性を付与した抗菌剤。
  3. 【請求項3】前記フィトンチッド、前記トロポロン骨格
    をもつ有機物、及び前記乳化剤に加えて、さらに有機酸
    を含有してなる請求項2に記載の消臭性を付与した抗菌
    剤。
  4. 【請求項4】前記トロポロン骨格をもつ有機物はヒノキ
    チオール及びβ-ドラブリンの少なくとも一種である請
    求項1〜3のいずれかに記載の消臭性を付与した抗菌
    剤。
  5. 【請求項5】前記トロポロン骨格をもつ有機物がヒノキ
    チオール及びβ-ドラブリンの少なくとも一種であり、
    前記フィトンチッド、ヒノキチオール若しくはβ-ドラ
    ブリン、前記乳化剤及び前記有機酸の配合割合が総重量
    に対して、それぞれ0.3〜30重量%、0.1〜2重
    量%、0.5〜10重量%及び0.5〜5重量%の範囲
    にある請求項3に記載の消臭性を付与した抗菌剤。
  6. 【請求項6】さらにゲル化剤を添加してゲル状物とした
    請求項1〜5のいずれかに記載の消臭性を付与した抗菌
    剤。
  7. 【請求項7】前記ゲル化剤が吸水性樹脂である請求項6
    に記載の消臭性を付与した抗菌剤。
  8. 【請求項8】前記吸水性樹脂の配合割合が、総重量に対
    して4〜15重量%の範囲にある請求項7に記載の消臭
    性を付与した抗菌剤。
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