JPH11226817A - 放電加工用電極線の製造方法 - Google Patents

放電加工用電極線の製造方法

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JPH11226817A
JPH11226817A JP4438098A JP4438098A JPH11226817A JP H11226817 A JPH11226817 A JP H11226817A JP 4438098 A JP4438098 A JP 4438098A JP 4438098 A JP4438098 A JP 4438098A JP H11226817 A JPH11226817 A JP H11226817A
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powder
slurry
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electric discharge
electrode wire
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JP4438098A
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English (en)
Inventor
Koichi Tamura
幸一 田村
Masayoshi Aoyama
正義 青山
Masahito Watabe
雅人 渡部
Takamitsu Kimura
孝光 木村
Takahiro Sato
隆裕 佐藤
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Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】芯材2の外周表面にZn又はCu−Znからな
る表面層3を有する放電加工用電極線1を、電気メッキ
法や溶融メッキ法によらないで低コストに製造ことを可
能にする。 【解決手段】連続鋳造されたCu−In−Snの3元系
合金の線材に冷間伸線を施して所定の径に加工したもの
を芯材2とし、この芯材2の外周表面に、Zn粉、Cu
−Zn粉又はZn粉とCu−Zn粉の混合物を樹脂沈降
防止剤および溶剤と撹拌してスラリー状にして塗布し、
乾燥後、加熱焼結して表面層3を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ放電加工用
電極線、特にCu−Zn層被覆の高効率加工用電極線の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工は、電極線となる細い金
属ワイヤと被加工物との間に、加工液を媒体として、放
電現象を生じさせながら、被加工物を溶断して糸鋸式の
加工を行うもので、特定形状の電極を使用しないで、高
精度に三次元形状の製品を創成することができる。特に
加工の困難な超硬合金等の加工が高精度に行えるため、
近年、実用範囲が広がりつつある。
【0003】従来より用いられている放電加工用電極線
には、例えば65%重量%Cu−35重量%Zn黄銅電
極線がある。「伸銅技術研究会誌」26,(1987)
P181(発表者:折茂、石橋、奥野、尚)に記載のよ
うに、組成中のZn濃度が高いほど、加工速度を向上で
きることが知られている。
【0004】加工速度の向上は生産性の向上につながる
ことから、Znを芯材に含みながら加工速度を高めるた
めの提案が種々なされている。例えば、50%以上のZ
nを含む合金を芯材に被覆した電極線(特公昭57−5
648号公報)、Cu−Zn系合金芯材の表面にCu−
Zn相を有する線材(特開昭61−197126号公
報)、Zn等の低融点金属元素の濃度が金属線の外表面
ほど高くなっている線材(特公平4−35543号公
報)、銅被覆鋼線に導電性の良い金属を被覆した複合電
極線(特公昭57−5721号公報)、銅被覆鋼線の表
面に合金層を設け、そのZnの濃度が外表面に向かって
高くなるようにした電極線(特公平2−49849号公
報)、銅合金にZn又はZn合金を浸漬焼鈍させて表面
にZn富化層を形成した電極線製造方法(特開昭62−
218026号公報)、銅合金線の表面に所定の厚みの
Cu−Zn合金層を設け、さらにCu−Zn合金層の表
面に所定厚のZn層を設けた電極線(特開昭61−11
7021号公報)、熱伝導性に優れたCu合金、具体的
にはCr、Zr、Fe、Be、Co及びTiの中から選
んだ1種あるいは2種以上の元素を0.03〜5.0重
量%含有した合金(特開昭59−134624号公
報)、Cu合金をZn等の溶融浴に通して酸化を防ぎつ
つ冷却する電極線製造方法(特開昭59−123752
号公報)等を挙げることができる。
【0005】以上、列挙した放電加工用電極線及びその
製造方法は、いずれも高速加工のためにZn濃度が母材
より高いCu−Zn系合金層あるいはZn層を設けたも
のであり、基本的には特公昭57−5648号公報に示
すZnを含む金属被覆層を設けた電極線の延長上に位置
づけされるものである。また、放電加工の際には張力を
付与して加工するため、張力を高めるために、65%C
u−35%Zn黄銅線にCr、Mg、Zr、Ti、S
i、Mn、Al等の元素を添加した電極線も提案されて
いるが、これらの製造方法は、いずれも表面へZnを含
む合金層を形成させる方法として電気メッキ法あるいは
溶融メッキ法などが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
製造方法によると、表面へZnを含む合金層を形成させ
る方法として、電気メッキ法を用いた場合には、被覆が
厚くなると、メッキ時間が長くなるなどの作業効率が悪
くなり、設備が高価となり、廃液処理が必要となるとい
う欠点がある。また溶融メッキ法を用いた場合には、設
備、製造コストは安いが、浴通過中に芯材が軟化して所
望の引張り強度が得られなくなることや、メッキ浴中の
Zn濃度が変化し易く、偏肉を生じ易いという欠点があ
る。
【0007】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、芯材の外周表面にZn又はCu−Znからなる表面
層を有する放電加工用電極線を、電気メッキ法や溶融メ
ッキ法によらないで低コストに製造することができ、か
つ、加工速度の高速化、加工精度の向上および被加工物
の表面粗さの改善を実現し得る放電加工用電極線の製造
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、次のように構成したものである。
【0009】(1)請求項1に記載の発明は、芯材の外
周表面にZn又はCu−Znからなる表面層を有する放
電加工用電極線の製造方法において、連続鋳造されたC
u−In−Snの3元系合金の線材に冷間伸線を施して
所定の径に加工したものを芯材とし、この芯材の外周表
面に、Zn粉、Cu−Zn粉又はZn粉とCu−Zn粉
の混合物を樹脂沈降防止剤および溶剤と撹拌してスラリ
ー状にして塗布し、乾燥後、加熱焼結して前記表面層を
形成するものである。
【0010】Cu−In−Snの三元系固溶硬化型合金
を芯材として、その外周表面へZn又はCu−Znから
なる表面層を形成するものであり、芯材の連続鋳造法に
よるCu−In−Snの三元系合金は加工性に優れた合
金であることから、冷間伸線を施して所定の径に加工す
ることができ、途中の熱処理工程が省略可能となるの
で、製造コストが低減できる。また、芯材を構成するC
u−In−Snの三元系合金は、高強度、高導電性の合
金であることから、放電加工時の張力に耐え、断線を防
ぐことができる。
【0011】一方、芯材の表面にZn又はCu−Znか
らなる表面層を形成することにより、加工速度の向上が
可能となる。この表面層は、Zn粉、Cu−Zn粉又は
Zn粉とCu−Zn粉の混合物を樹脂沈降防止剤および
溶剤と撹拌してスラリー状にして塗布し、乾燥後、加熱
焼結して形成される。この方法は、従来の電気メッキ法
や溶融メッキ法における欠点がなく、放電加工用電極線
を低コストに製造することができ、かつ、加工速度の高
速化、加工精度向上および被加工物の表面粗さの改善を
実現することができる。
【0012】(2)請求項2に記載の発明は、前記Cu
−In−Snの3元系合金として、Inの含有量が0.
1〜0.25wt%、Snの含有量が0.10〜0.70
wt%で、残部がCuからなる合金を用いるものである。
この組成の合金とすることにより、特に放電加工用電極
線として優れた高強度かつ高導電性の合金線材特性が得
られる。
【0013】(3)請求項3に記載の発明は、前記スラ
リー中のCu−Zn粉又はZn粉とCu−Zn粉の混合
物を、Cu−20wt%〜50wt%Znの濃度範囲とし、
このスラリーを1層で又は複数層に分別して芯材の外周
表面に塗布し加熱焼結するものである。Zn濃度を20
〜50wt%m、好ましくは30〜50wt%の範囲にする
ことにより、高い濃度のZn層が可能となり、放電加工
速度の向上が顕著となると共に、膜厚が厚くかつ加工性
に優れた表面層を形成することができる。
【0014】(4)請求項4に記載の発明は、前記スラ
リーの塗布を、前記芯材の表面にZn粉末の第1のスラ
リーを塗布して乾燥させ、次いで前記第1のスラリー上
にZn濃度が30〜50%になるように調整したCu−
Zn粉末主体の第2のスラリーを塗布して乾燥させるこ
とにより、行うものである。このようにスラリーを複数
層に分別して芯材の外周表面に塗布し加熱焼結すること
により、表面層の表面に近い部分に金属間化合物相のα
相が形成され、内側にZn濃度の高い金属間化合物相で
あるβ相が形成され、かつβ相をα相が囲んでいるとい
う構造を得ることが可能となる。即ち、冷間加工を行っ
てもβ相に起因して生じるキズや割れが生じないため加
工性が損なわれず、しかも加工速度が内周部のβ相によ
って確保されるという構造が得られる。
【0015】(5)請求項5に記載の発明は、前記スラ
リー中のZn粉、Cu−Zn粉又はZn粉とCu−Zn
粉の混合物が10μm以下の微粒粉からなるものであ
る。このようにZn粉、Cu−Zn粉の粒子を10μm
とすることにより、樹脂溶剤と良く混合されたスラリー
となり、芯材の外周表面に均一に塗布することができ
る。
【0016】(6)請求項6に記載の発明は、前記加熱
焼結は、温度700〜900℃、走行速度1〜5m/min
の条件で行うものである。この条件下において、任意の
Cu−Znの膜厚層が可能となり、線材のサイズおよび
用途等に対応することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施形態に
基づいて説明する。
【0018】図1は本発明の形態に係る放電加工用電極
線の製造装置を示す。
【0019】直径11mmφの連続鋳造材としてのCu−
0.2wt%In−0.19wt%Sn合金線をノンスリッ
プ加工機によって直径5.6mmφまで伸線し、その後直
径0.9mmまで冷間伸線を行い、これを芯材とする。製
造装置10は、図1に示すように直径0.9mmのCu−
0.2wt%In−0.19wt%Sn合金線の芯材2がセ
ットされ、この芯材2を繰り出すペイオフ11と、第1
層のZn粉末スラリーを収容する第1の容器12と、ス
ラリーの溶剤成分を蒸発させる第1の熱風乾燥部13
と、第2層のCu−Zn粉末スラリーを収容する第2の
容器14と、スラリーの溶剤成分を蒸発させる第2の熱
風乾燥部15と、不活性ガス(N2 、Ar等)を導入す
る導入管16aおよび不活性ガスを排出する排出管16
bを備え、不活性ガス(N2 、Ar等)雰囲気中で温度
700〜900℃、走行速度1〜5m/minの条件で加熱
を行う加熱電気炉16と、冷却水17aが入った水槽1
7と、線材を定速で巻き取る定速巻取機18と、線材を
整列させつつ巻き取る整列巻取機19とを具備してい
る。
【0020】図2は図1に示す製造装置10によって製
造された放電加工用電極線の断面図である。この放電加
工用電極線1はCu−0.10〜0.25wt%In−
0.10〜0.7wt%Sn合金線の芯材2と、この芯材
2の表面に被覆されたCu−Zn合金の表面層3とから
構成される。
【0021】第1層のZn粉末スラリーは、アクリル系
樹脂(7%)、樹脂沈降防止剤(1%)および溶剤(ト
ルエン+キシレン23%)の配合液中にZn粉(69
%)を混合したものである。第2層のCu−Zn粉末ス
ラリーは、上記アクリル系樹脂(7%)、樹脂沈降防止
剤(1%)および溶剤(トルエン+キシレン23%)の
配合液中に、Cu−20%wt%Zn合金粉とZn粉を加
えて、全Zn濃度が50%濃度のZnスラリーとなるよ
うに調合したものである。
【0022】Zn粉およびCu−Zn粉は、10μm以
下の微粒粉であり、スラリーの粘度は約1000cps
である。これらのスラリーは、図示しないポンプよりそ
れぞれの第1および第2の容器12、14に循環供給さ
れて芯材2の外周表面に付着され、直径1.0〜1.5
mmサイズのテフロンダイスで絞って芯材2の表面に塗布
される。その後、熱風乾燥により芯材2の表面にZnを
含む表面層3を形成させ高温雰囲気中で焼結される。
【0023】次に、本装置10による電極線1の一製造
方法を図3の工程図を参照して説明する。
【0024】先ず連続鋳造法による直径11mmのCu−
0.20wt%In−0.19wt%Sn合金の荒引線をノ
ンスリップ加工機によって直径5.6mmまで伸線し、そ
の後直径5.6mmを直径0.9mmまで冷間伸線を行い、
直径0.9mmのCu−0.20wt%In−0.19wt%
Sn合金の芯材2を得る(ステップ100)。
【0025】次に、直径0.9mmのCu−0.20wt%
In−0.19wt%Snからなる芯材2をペイオフ11
にセットする。ペイオフ11から芯材2を第1の容器1
2に繰り出す。第1の容器12にて、ペイオフ11から
繰り出された芯材2の外周表面に第1層のZn粉末スラ
リーを塗布し(ステップ101)、これを第1の熱風乾
燥部13にて乾燥させ、スラリーの溶剤成分を蒸発させ
る(ステップ102)。
【0026】第2の容器14にて、第1層のZn粉末ス
ラリーの外周面に第2層のCu−Zn粉末スラリーを塗
布し(ステップ103)、これを第2の熱風乾燥部15
にて乾燥させ、スラリーの溶剤成分を蒸発させる(ステ
ップ104)。
【0027】第2の熱風乾燥部15を通過した線材を不
活性ガス(N2 、Ar等)雰囲気中で、温度700〜9
00℃、走行速度1〜5m/minの条件で加熱電気炉16
内を走行させ、Cu−Zn合金層3を形成する(ステッ
プ105)。表面合金層3が形成された線材(電極線
1)を水槽17にて表面酸化物を洗浄除去し(ステップ
106)、定速巻取機18を経て整列巻取機19に巻き
取る。
【0028】その後、整列巻取機19に巻き取った電極
線1を直径0.9mmから直径0.25まで冷間伸線して
放電加工用電極線1を得る(ステップ107)。以上の
加熱走行ラインでCu−In−Sn合金からなる芯材2
の外周表面にCu−Znからなる表面層3が加熱焼結さ
れる。
【0029】
【実施例】前記Cu−Zn表面層形成工程(ステップ1
05)を温度900℃、走行速度1m/minの条件で走行
処理した結果を、図4〜図6を参照して説明する。
【0030】図4は、前記洗浄除去工程(ステップ10
6)後、冷間伸線工程(ステップ107)前の直径0.
9mmの放電加工用電極線1の断面を示す顕微鏡写真であ
る。このときの直径0.9mmの芯材2の外周表面には、
厚さ45〜50μmのCu−Zn合金層である表面層3
が形成されていた。
【0031】図5は、前記冷間伸線工程(ステップ10
7)により直径0.25mmにした放電加工用電極線1の
断面を示す顕微鏡写真である。また図6はその0.25
mmφに伸線した放電加工用電極線1の表面層3からの距
離とZn濃度の関係を示す特性図である。このときの直
径0.25mmの芯材2の外周表面には、厚さ15〜20
μm程の約Cu−30〜45%濃度のZnの表面層3が
形成されていた。従って、表面層3にα相が存在し、更
に、より内側には、より高い濃度の部分、つまりβ相が
存在する。
【0032】
【表1】
【0033】表1は、直径0.9mmの芯材2の外周表面
に第1層Zn粉末スラリー(100%)を塗布乾燥後、
第2層としてCu−Zn粉の混合比率を変化させたスラ
リーを調合して加熱焼結した結果である。このうち実施
例1〜実施例3は、粉末スラリーの見掛けの混合比率が
Cu−30〜50%Zn濃度のものであり、これを外れ
た範囲のものが比較例1〜比較例3として示してある。
形成される表面層(Cu−Zn層)3につき、膜厚(μ
m)、合金の金属間化合物相(α、β)、加工性及び総
合評価として示してあり、○印が良好、△印が一部良
好、×印が不良として示してある。なお、表1中、「α
+β」とあるのは、加工の容易なα相と、加工の難しい
β相からなり、β相の周囲をα相が取り囲む構造が得ら
れることを意味する。
【0034】Cu−Zn合金層は、Zn粉およびCu−
Zn粉の組み合わせによって調整が可能である。即ち、
比較例1に示すように、第1層および第2層のスラリー
が共にZn粉の場合は、芯材2の境界はZnの拡散が主
となるため、20μm程度より厚い合金層が得られな
い。また、比較例3に示すように、第1層のスラリーが
Zn粉、第2層のスラリーがCu−20%Zn合金粉の
場合はZnの拡散とCu−Zn合金層の反応状態を生ず
るが、やはり合金層膜がそれほど成長しない。そこで両
者の中間付近に着目して、実施例3に示すように、Cu
−20%Zn合金粉にZn粉を加えてCu−50%Zn
粉スラリーを第2層にして加熱焼結したところ、Cu−
Zn合金層の反応が大きくなる結果、目標とするCu−
Zn合金層とすることが可能となった。従って実施例1
〜実施例3に示すようにスラリーの混合比率は、合金層
形成膜厚および加工性を評価すると、総合評価としては
Cu−30〜50%Zn濃度のものが良好な結果が得ら
れている。但し、Cu−20%Zn濃度のものも膜厚は
薄いけれども加工性は良い。従って、概略Cu−20%
〜50%Zn濃度のものが良好であり、特にCu−30
〜50%Zn濃度とすると膜厚の厚いものが得られるの
で好ましい。
【0035】
【表2】
【0036】表2は、図3の表面層形成工程(ステップ
105)における走行加熱温度による評価結果である。
950℃、600℃、1000℃で処理した比較例4、
5、6の合金形成膜厚は、50μm、5μm、20μm
とばらつきがあるのに対して、700〜900℃で処理
した実施例4〜6の合金形成膜はほぼ30〜60μmと
安定している。
【0037】本放電加工用電極線1の製造方法によると
次のような効果が得られる。
【0038】芯材2はCu−0.1〜0.25wt%In
−0.1〜0.7wt%Sn含有量とすることにより、高
強度、高導電性の優れた合金線材が得られる。またZn
粉およびCu−20%〜50%Zn粉は1層あるいは複
数層に組み合わせてから加熱焼結することにより、高い
濃度のZn層が可能となり、放電加工速度の向上が顕著
となる。また芯材のCu−In−Zn合金線は連続鋳造
法による製造が可能であり、しかも途中の熱処理工程が
省略できるほど加工性に優れているので、製造コストの
低減を図ることができる。
【0039】またZn粉、Cu−Zn粉の粒子を10μ
mとすることにより、樹脂溶剤と良く混合されたスラリ
ーとなり、芯材2の外周表面に均一に塗布することがで
きる。
【0040】さらに、Cu−In−Sn合金の芯材2の
外周に表面層3を加熱焼結を施すための温度条件は70
0〜900℃、走行速度は1〜5m/minで行うことによ
り、任意のCu−Znの膜厚層が可能となり、線材のサ
イズおよび用途等に対応することができる。
【0041】なお、本発明は、上記実施の形態に限定さ
れず、種々の実施の形態が可能である。例えば表面層3
のZn濃度は高いほど放電時の加工速度が向上するの
で、粉末のスラリーの組み合わせを、第1のスラリーと
してCu−Zn粉スラリーとし、第2層のスラリーとし
てZn粉スラリーのようにしてもよく、更に第3層を用
いて、塗布することも可能である。これにより、目的に
応じた合金層厚さあるいはZn濃度を調整することがで
きる。
【0042】また表面層3のCu−30〜50%Zn粉
の配合形態は、Zn粉とCu粉の組み合わせ又はCu−
Zn合金粉とZn粉の組み合わせでもよい。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
のような優れた効果が得られる。
【0044】(1)請求項1に記載の発明によれば、連
続鋳造されたCu−In−Snの3元系合金の線材に冷
間伸線を施して所定の径に加工したものを芯材とするも
のであり、この線材は加工性に優れるため、冷間伸線を
施して所定の径に加工することができる。即ち、途中の
熱処理工程を省略し、製造コストを低減することができ
る。また、芯材を構成するCu−In−Snの三元系合
金は、高強度、高導電性の合金であることから、放電加
工時の張力に耐え、断線を防ぐことができる。
【0045】一方、芯材の表面にZn又はCu−Znか
らなる表面層を形成することにより、加工速度の向上が
可能となる。この表面層は、Zn粉、Cu−Zn粉又は
Zn粉とCu−Zn粉の混合物を樹脂沈降防止剤および
溶剤と撹拌してスラリー状にして塗布し、乾燥後、加熱
焼結して形成されるため、従来の電気メッキ法や溶融メ
ッキ法における欠点がなく、放電加工用電極線を低コス
トに製造することができ、かつ、加工速度の高速化、加
工精度向上および被加工物の表面粗さの改善を実現する
ことができる。
【0046】(2)請求項2に記載の発明によれば、前
記Cu−In−Snの3元系合金に、Inの含有量が
0.1〜0.25wt%、Snの含有量が0.10〜0.
70wt%で、残部がCuからなる合金を用いるので、特
に放電加工用電極線として優れた高強度かつ高導電性を
確保することができる。
【0047】(3)請求項3に記載の発明によれば、前
記スラリー中のCu−Zn粉又はZn粉とCu−Zn粉
の混合物を、Cu−20wt%〜50wt%Znの濃度範囲
とし、このスラリーを1層で又は複数層に分別して芯材
の外周表面に塗布し加熱焼結するものであるので、高い
濃度のZn層の形成が可能となり、放電加工速度の向上
が顕著となる。
【0048】(4)請求項4に記載の発明によれば、前
記スラリーの塗布を、前記芯材の表面にZn粉末の第1
のスラリーを塗布して乾燥させ、次いで前記第1のスラ
リー上にZn濃度が30〜50%になるように調整した
Cu−Zn粉末主体の第2のスラリーを塗布して乾燥さ
せることにより、行うので、表面層の表面に近い部分の
α相が形成され、内側にβ相が形成され、かつβ相をα
相が囲んだ構造を得ることが可能となる。これにより、
その後の冷間加工を行ってもβ相に起因して生じるキズ
や割れが生じて加工性が損なわれることを回避すること
ができ、しかも加工速度を内周部のβ相によって確保す
ることができる。
【0049】(5)請求項5に記載の発明によれば、前
記スラリー中のZn粉、Cu−Zn粉又はZn粉とCu
−Zn粉の混合物が10μm以下の微粒粉からなるの
で、樹脂溶剤と良く混合されたスラリーとなり、芯材の
外周表面に均一に塗布することができる。
【0050】(6)請求項6に記載の発明によれば、前
記加熱焼結が、温度700〜900℃、走行速度1〜5
m/minの条件で行われ、この条件下においては、任意の
Cu−Znの膜厚層が可能となるので、線材のサイズお
よび用途等に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を実施する放電加工用電極線
の製造装置の一例を示す構成図である。
【図2】図1の製造装置で製造された放電加工用電極線
の断面図である。
【図3】本発明の製造方法に係る放電加工用電極線の一
製造工程を示す図である。
【図4】伸線前の直径0.9mmの放電加工用電極線の断
面を示す顕微鏡写真である。
【図5】直径0.25mmに伸線した放電加工用電極線の
断面を示す顕微鏡写真である。
【図6】直径0.25mmに伸線した放電加工用電極線の
表面層からの距離とZn濃度の関係を示す特性図であ
る。
【符号の説明】
1 放電加工用電極線 2 芯材 3 表面層 10 製造装置 11 ペイオフ 12 第1の容器 13 第1の熱風乾燥部 14 第2の容器 15 第2の熱風乾燥部 16 加熱電気炉 16a 不活性ガス導入管 16b 不活性ガス排出管 17 水槽 17a 冷却水 18 定速巻取機 19 整列巻取
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 孝光 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 (72)発明者 佐藤 隆裕 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯材の外周表面にZn又はCu−Znから
    なる表面層を有する放電加工用電極線の製造方法におい
    て、連続鋳造されたCu−In−Snの3元系合金の線
    材に冷間伸線を施して所定の径に加工したものを芯材と
    し、この芯材の外周表面に、Zn粉、Cu−Zn粉又は
    Zn粉とCu−Zn粉の混合物を樹脂沈降防止剤および
    溶剤と撹拌してスラリー状にして塗布し、乾燥後、加熱
    焼結して前記表面層を形成することを特徴とする放電加
    工用電極線の製造方法。
  2. 【請求項2】前記Cu−In−Snの3元系合金とし
    て、Inの含有量が0.1〜0.25wt%、Snの含有
    量が0.10〜0.70wt%で、残部がCuからなる合
    金を用いることを特徴とする請求項1記載の放電加工用
    電極線の製造方法。
  3. 【請求項3】前記スラリー中のCu−Zn粉又はZn粉
    とCu−Zn粉の混合物は、Cu−20wt%〜50wt%
    Znの濃度範囲とし、このスラリーを1層で又は複数層
    に分別して芯材の外周表面に塗布し加熱焼結することを
    特徴とする請求項1又は2記載の放電加工用電極線の製
    造方法。
  4. 【請求項4】前記スラリーの塗布は、前記芯材の表面に
    Zn粉末の第1のスラリーを塗布して乾燥させ、次いで
    前記第1のスラリー上にZn濃度が30〜50%になる
    ように調整したCu−Zn粉末主体の第2のスラリーを
    塗布して乾燥させることを特徴とする請求項1又は2記
    載の放電加工用電極線の製造方法。
  5. 【請求項5】前記スラリー中のZn粉、Cu−Zn粉又
    はZn粉とCu−Zn粉の混合物が10μm以下の微粒
    粉からなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記
    載の放電加工用電極線の製造方法。
  6. 【請求項6】前記加熱焼結は、温度700〜900℃、
    走行速度1〜5m/minの条件で行うことを特徴とする請
    求項1、2、3、4又は5記載の放電加工用電極線の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107971591A (zh) * 2017-12-19 2018-05-01 宁波康强微电子技术有限公司 超精密切割极细铜线的制备方法
CN109909568A (zh) * 2019-04-16 2019-06-21 宁波博德高科股份有限公司 一种电火花线切割加工用电极丝及其制备方法

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