JPH11223464A - 電気炉 - Google Patents

電気炉

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Publication number
JPH11223464A
JPH11223464A JP2479098A JP2479098A JPH11223464A JP H11223464 A JPH11223464 A JP H11223464A JP 2479098 A JP2479098 A JP 2479098A JP 2479098 A JP2479098 A JP 2479098A JP H11223464 A JPH11223464 A JP H11223464A
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JP
Japan
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furnace wall
furnace
refractory
refrigerant
cooling means
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JP2479098A
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Inventor
Nobuyuki Yoneda
信幸 米田
Atsushi Yamamoto
敦 山本
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気炉のホットスポット部における炉壁耐火
物の耐用を向上する。 【解決手段】 電気炉21の下部炉壁29bは、外周面
を形成する鉄皮36と、炉壁耐火物46と、気水冷却ジ
ャケット47とを含む。気水冷却ジャケット47は、周
方向においては各電極25に対応した位置であるホット
スポット部に設けられ、半径方向においては鉄皮36と
炉壁耐火物46との間に設けられ、高さ方向においては
溶湯面43aよりも上方に設けられる。ホットスポット
部の炉壁耐火物46には、熱伝導率の高いMgO−C系
耐火物が用いられる。下部炉壁29bの近傍には、冷媒
発生装置65が設けられる。冷媒発生装置65は、水ミ
ストと空気とから成る冷媒を発生し、冷媒は気水冷却ジ
ャケット47を冷却する。これによって、気水冷却ジャ
ケット47は、ホットスポット部の炉壁耐火物46を効
率的に冷却してその損傷を低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電極に通電してア
ーク熱を発生させ金属くず等の原料を溶解する金属溶解
用3相交流アーク式電気炉に関し、特に耐用に優れた電
気炉の炉壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気炉においては生産能力、電力
原単位、電極原単位および電力投入効率の向上を図るた
めに、大容量のトランスが導入され、高力率ロングアー
ク操業が行われている。その結果、炉壁および天井耐火
物への熱負荷が著しく増大し、耐火物のみの改善ではそ
れらの損耗や損傷を防止することが困難になってきてお
り、その対策として炉壁および天井には熱放散方式の水
冷構造が導入されている。
【0003】図8は、従来の電気炉の構成を簡略化して
示す正面断面図である。電気炉1は、炉本体3と炉蓋4
と電極5とを含んで構成される。炉本体3は、溶融金属
を貯留する容器であり、炉壁6と炉底7とを含んで構成
される。炉壁6は、上部炉壁6aと下部炉壁6bとから
成る。上部炉壁6aは、鉄皮8と水冷ジャケット9とを
含んで構成され、下部炉壁6bは鉄皮8と炉壁耐火物1
0とを含んで構成される。炉底7は、鉄皮8と炉底耐火
物11とを含んで構成される。水冷ジャケット9は、炉
壁6の上部側内周面に設けられており、かつ溶融金属1
3(以後、溶湯と略称することがある)の溶湯面13a
よりも上方に間隔をあけて設けられている。炉壁耐火物
10は、鉄皮8に内張りされており、水冷ジャケット9
の下方に設けられている。炉壁耐火物10の下部は溶湯
13中に浸漬されており、その上部は溶湯13の溶湯面
13aよりも上方に突出している。炉蓋4にも水冷ジャ
ケット4aが設けられている。電極5は、炉蓋4を貫通
して溶湯13の溶湯面直上まで垂下しており、水冷ジャ
ケット9および炉壁耐火物10の上部と向かい合ってい
る。炉壁耐火物10の電極5を臨む部分は、ホットスポ
ット部と呼ばれる。
【0004】図9は、図8に示す電気炉のホットスポッ
ト部における炉壁耐火物の構成を簡略化して示す正面断
面図である。炉壁耐火物10は、炉壁ワーク耐火物14
と、炉壁永久耐火物15と、炉壁不定形耐火物16とを
含んで構成される。炉壁永久耐火物15は、鉄皮8の内
周面に複層、たとえば2層形成されており、炉壁ワーク
耐火物14は炉壁永久耐火物15の内周面に炉壁不定形
耐火物16を介して1層形成されている。炉壁耐火物1
0の炉壁永久耐火物15には、MgO系耐火物が用いら
れており、炉壁ワーク耐火物14には主としてMgO−
C系耐火物が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
電気炉1は水冷ジャケット9を有しているので、前記熱
負荷の増大にも有効に対応することができる。しかしな
がら、次のような問題が残されている。 (1)前記水冷ジャケット9は、溶湯との接触によって
冷却水漏れが生じ水蒸気爆発の生ずる危険性を有してい
るので、溶湯と接触する位置には配置できない。したが
って、出湯時に溶湯13の溶湯面13aが形成される出
湯口周辺には、水冷ジャケット9を配置することができ
ない。このため、出湯口周辺の炉壁耐火物は損傷が大き
くなり、その耐用が大幅に短縮される。 (2)水冷ジャケット9よりも下方で、かつ溶湯13の
溶湯面13aよりも上方に内張りされている炉壁耐火物
10は、前記ホットスポット部において電極5のアーク
熱に近接位置からさらされるので、図8に示すように熱
負荷によって損傷部17が形成されやすい。その結果、
ホットスポット部の炉壁耐火物10の耐用が大幅に短縮
される。また、前記出湯口周辺のホットスポット部にお
いては、熱負荷による損傷にさらに出湯流による損傷が
加わるので、炉壁耐火物10の損傷は特に顕著であり、
その部分の炉壁耐火物10の耐用が特に大幅に短縮され
る。 (3)前記炉壁耐火物10の耐用の短縮は、耐火物補
修作業の回数を増大させるので、電気炉1の休止時間を
増大させ、電気炉1の能率および生産性を大幅に低下さ
せる。
【0006】本発明の目的は、前記問題を解決し、ホッ
トスポット部における炉壁耐火物の損傷を低減して、炉
壁耐火物の耐用を大幅に向上させることができる電気炉
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、外周面を鉄皮
で覆われた炉壁および炉底を有し、かつ略円筒状の炉壁
の上下方向途中位置に形成される出湯口を有する炉本体
と、炉本体を上方から塞ぐ炉蓋と、炉蓋を貫通して昇降
自在に設けられ、周方向に等間隔をあけて配置される3
本の電極とを備える金属溶解用3相交流アーク式電気炉
において、炉壁の鉄皮に内張りされる炉壁耐火物と、水
ミストおよび空気から成る冷媒を発生する冷媒発生手段
と、炉壁の鉄皮および炉壁耐火物の間に設けられ、炉壁
の周方向における各電極に対応した位置で炉壁の周方向
に部分的に延び、かつ金属溶解時における溶湯面付近か
ら出湯時における炉本体の傾動姿勢の溶湯面付近まで上
下に延び、冷媒発生手段によって発生される冷媒によっ
て冷却される冷却手段と、炉壁の鉄皮の内周面に配置さ
れ、冷却手段よりも上方で、かつ出湯時の炉本体の傾動
姿勢における溶湯面よりも上方に配置される水冷手段と
を含むことを特徴とする電気炉である。
【0008】本発明に従えば、冷却手段は炉壁の鉄皮と
炉壁耐火物との間で、かつ炉壁の周方向における各電極
に対応した位置、いわゆるホットスポット部に設けられ
ているので炉壁の温度が最も高くなるホットスポット部
の炉壁耐火物の温度を効果的に低下させることができ
る。また冷却手段を冷却する冷媒は、水ミストと空気と
から成るので、冷却能力が高く、ホットスポット部の炉
壁耐火物の温度を効果的に低下させることができる。ま
た、冷却手段はホットスポット部に設けられており、か
つ金属溶解時における溶湯面付近から出湯時における溶
湯面まで上下に延びているので、炉壁の温度が最も高
く、かつ溶湯の出湯流による溶損が生じやすい領域にお
ける炉壁耐火物の温度を効果的に低下させることができ
る。この結果、炉壁耐火物の損傷を大幅に抑制すること
ができ、炉壁耐火物の耐用を大幅に向上させることがで
きる。さらに、水冷手段は冷却手段よりも上方で、かつ
出湯時の溶湯面よりも上方に配置されているので、水冷
手段と溶湯との接触が回避され、水漏れによる水蒸気爆
発の危険性を防止することができる。
【0009】また本発明の前記冷却手段は、冷媒通路を
有し、かつ全体形状が鉄皮の内周面に沿って湾曲した形
状を有する金属製ケーシングと、ケーシング内に冷媒を
導入する冷媒導入口と、冷媒導入口から離間した位置
で、ケーシング内から冷媒を導出する冷媒導出口と、ケ
ーシング内で、かつ冷媒導入口と冷媒導出口との間でジ
グザグの冷媒通路を形成する金属製仕切板とを含むこと
を特徴とする。
【0010】本発明に従えば、ケーシングの全体形状が
鉄皮の内周面に沿って湾曲しているので、ケーシングの
内周面に対する耐火物の築造を鉄皮の内周面に対する場
合と同様に行うことができる。また、ケーシングには冷
媒導入口と冷媒導出口とが設けられており、ケーシング
内には冷媒導入口と冷媒導出口とを結ぶジグザグの冷媒
通路を形成する仕切板が設けられている。このように、
冷媒通路がジグザグに形成されているので、冷媒通路を
通過する冷媒とケーシングおよび仕切板との接触面積が
大幅に増大する。これによって、冷媒とケーシングおよ
び仕切板との熱交換を効率的に行うことができるので、
炉壁耐火物からケーシングおよび仕切板に伝熱される熱
量を冷媒によって効率的に抜熱することができる。この
結果、炉壁耐火物の温度を効果的に低下させることがで
きる。
【0011】また本発明の前記冷却手段の内周面に形成
される炉壁耐火物は、炭素を含むMgO系耐火物であ
り、かつその炭素含有率が30〜50重量%であること
を特徴とする。
【0012】本発明に従えば、ホットスポット部に設け
られる冷却手段の内周面の炉壁耐火物は適正量の炭素を
含むMgO系耐火物であるので、耐火物の熱伝導率が高
く、耐熱性、耐熱衝撃性、耐食性、耐酸化性が優れてい
る。このように、ホットスポット部の炉壁耐火物の熱伝
導率が高いので、前記冷却手段と組合せることによって
高温にさらされるホットスポット部の炉壁耐火物の温度
をさらに効率的に冷却することができる。
【0013】また本発明の前記炉壁には、出湯口と炉本
体の軸線とを結ぶ一直径線上に除滓口が出湯口と対向し
て形成されており、前記3本の電極は出湯口と除滓口か
らずれて配置され、出湯口近傍の一つの電極に対応する
一つの冷却手段が出湯口近傍まで炉壁の周方向に延びて
おり、各電極に対応する各冷却手段は炉壁の周方向に同
一長さずつ、かつ炉本体の軸線と各電極とを結ぶ各半径
線の周方向両側に同一長さずつ延びていることを特徴と
する。
【0014】本発明に従えば、3本の電極は出湯口と除
滓口からずれて配置されているので、出湯口と除滓口の
温度をホットスポット部の温度よりも低温に保つことが
できる。このため、出湯口と除滓口の耐用を向上させる
ことができる。また、出湯口と除滓口から放散される輻
射熱を低減することができるので、省エネルギを図るこ
とができる。また冷却手段が出湯口付近まで延びている
ので、水冷手段の設置が困難である出湯口付近を効果的
に冷却することができる。さらに冷却手段が炉壁の周方
向に同一長さずつ、かつ炉本体の軸線と各電極とを結ぶ
各半径線の周方向両側に同一長さずつ延びているので、
各ホットスポット部を確実かつ効果的に冷却することが
できる。
【0015】また本発明の前記冷却手段の内周面に形成
される炉壁耐火物は、少なくとも2層から成ることを特
徴とする。
【0016】本発明に従えば、冷却手段の内周面には少
なくとも2層から成る炉壁耐火物が形成されているの
で、溶湯の炉壁耐火物への侵入深さを抑制することがで
きる。その結果、冷却手段と溶湯との接触を回避するこ
とができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態であ
る電気炉の炉壁の構成を簡略化して示す周方向展開図で
あり、図2は本発明の実施の一形態である電気炉の構成
を簡略化して示す正面断面図であり、図3は図2に示す
電気炉の平面図であり、図4は図3の切断面線IV−I
Vから見た炉壁の縦断面図である。電気炉21は、金属
溶解用3相交流アーク式電気炉であり、炉本体23と、
炉本体23を上方から塞ぐ炉蓋24と、冷媒発生手段6
5と、電極25と、電極昇降装置37とを含んで構成さ
れる。
【0018】炉本体23は、縦の軸線31を有する上方
に開口した有底容器であり、外周面が鉄皮36によって
形成された炉壁29と、炉底30とを含んで構成され
る。炉壁29は、炉本体23の周壁であり、その形状は
大略的に円筒形である。炉壁29の軸線は、炉本体23
の縦の軸線31と同軸である。炉壁29には、その上下
方向途中位置に溶融金属を炉外に出湯するための出湯口
33が形成されており、炉壁29の出湯口33と対向す
る位置には除滓口34が形成されている。出湯口33と
除滓口34とは、縦の軸線31に垂直な同一面内に存在
し、除滓口34は出湯口33と縦の軸線31とを結ぶ一
直径線35上に存在する。炉壁29の構成については後
述する。
【0019】炉底30は、鉄皮36と、その内周面に形
成される炉底永久耐火物32aと、その内周面に形成さ
れる炉底ワーク耐火物32bとを含んで構成される。炉
底永久耐火物32aには、MgO系耐火れんがが用いら
れており、炉底ワーク耐火物32bにはMgOスタンプ
材またはMgO−C系耐火れんがが用いられている。
【0020】炉蓋24は、大略的に円錐台状に形成さ
れ、小天井部26と、大天井部27とを備える。炉蓋2
4の軸線は、前記縦の軸線31と同軸である。小天井部
26は耐火物構造であり、炉蓋24の軸線まわりに設け
られている。小天井部26には、電極25を挿入し得る
貫通孔26aが周方向に等間隔をあけて形成されてい
る。大天井部27は、水冷管28群を配置した水冷構造
であり、小天井部26の周囲を外囲するように設けられ
ている。
【0021】冷媒発生手段である冷媒発生装置65は、
炉本体23の近傍に設けられ、水ミストと空気とから成
る冷媒を発生する。冷媒は、後述のように水冷構造にす
ることのできない領域における炉壁29を冷却する。冷
媒発生装置65の構成については後述する。
【0022】電極25は黒鉛製であり、その形状は円柱
状である。電極25は、炉蓋24に形成されている貫通
孔26aに昇降自在に挿通されており、図3に示すよう
に炉蓋24の周方向に等間隔をあけて3本配置されてい
る。電極昇降装置37は、電極25を昇降変位させるた
めの装置であり、前記一直径線35に関して炉本体23
の一側方(図3の上方)に設けられている。電極25
は、電極クランプ38によって保持され、電極クランプ
38は電極支持アーム39を介して電極支柱40に連結
されている。電極支柱40は、縦の軸線31と平行な軸
線を有する支柱であり、電極支柱40の下端部には昇降
シリンダ41が固定されている。このため、電極25は
昇降シリンダ41の昇降によって電極支持アーム39お
よび電極支柱40とともに一体的に昇降する。電極昇降
装置37は、3本の電極25毎に個別に設けられてお
り、その構成はいずれも全く同一である。
【0023】電気炉21の操業は次のようにして行われ
る。炉本体23内に金属スクラップなどの主原料と加炭
材や造滓材などの副原料とを装入し、電極25に通電し
てアーク熱によって装入原料を溶解および溶融する。溶
解および溶融された溶融金属43およびスラグ44は、
炉本体23内に貯留され、溶融金属43の成分および温
度が予め定める値になるように精錬される。精錬完了
後、炉本体23は炉底30に設けられた傾動装置(図示
せず)によって出滓側(図2の右側)に傾動され、除滓
口34からスラグを排滓する。除滓完了後、炉本体23
は出湯側(図2の左側)に傾動され、出湯口33から溶
湯を出湯する。
【0024】電気炉21の操業中における炉壁29の温
度は、次のように推移する。操業初期においては、電極
25からのアーク熱は未溶解原料によって遮蔽されるの
で、炉壁29は直接熱負荷を受けない。このため、炉壁
29の温度は約1500℃未満の比較的低温度で推移す
る。原料の溶解が完了した後には、炉壁29は直接電極
25から熱負荷を受けるので、温度が急激に上昇し、約
1600℃の高温度に到達する。中でも、炉壁29の周
方向における各電極25に対応する位置、すなわち電極
25と炉壁29との間隔が最も近接している位置(図3
におけるA点)付近の領域(以後、ホットスポット部と
略称する)では約2000℃以上の高温度に到達する。
【0025】図1〜図4を参照して、前記炉壁29は、
上部炉壁29aと下部炉壁29bとから成る。上部炉壁
29aは鉄皮36と、水冷手段である水冷ジャケット4
8と、水冷手段である銅パネル48aとを含んで構成さ
れ、下部炉壁29bは、鉄皮36と、炉壁耐火物46
と、冷却手段である気水冷却ジャケット47とを含んで
構成される。下部炉壁29bの炉壁耐火物46は、図1
中に斜線で示すように溶融金属43の溶湯面43aから
上方に距離L1離れた位置まで炉壁全周にわたって形成
されており、出湯口33付近ではさらに溶湯面43aか
ら上方に距離L2離れた位置まで部分的に突出して形成
されている。溶湯面43aから上方に距離L2離れた位
置は、出湯時における炉本体23の傾動姿勢における溶
湯面45よりも上方に位置している。
【0026】前記炉壁耐火物46は、図4に示すように
炉壁ワーク耐火物49と、炉壁永久耐火物50と、炉壁
不定形耐火物51とから成る。炉壁永久耐火物50は、
張替えまでの耐用期間が炉壁ワーク耐火物49に比べて
非常に長い耐火物であり、下部炉壁29bの鉄皮36の
内周面および気水冷却ジャケット47の内周面に層状に
少なくとも1層形成される。気水冷却ジャケット47
は、電極25に対応した位置、すなわち前記ホットスポ
ット部に設けられている。炉壁永久耐火物50の層数
は、たとえば気水冷却ジャケット47の内周面では1層
であり、それ以外の鉄皮36の内周面では2層である。
気水冷却ジャケット47の内周面の炉壁永久耐火物50
には、熱伝導率の高いMgO−C系耐火物から成る耐火
れんがが用いられており、それ以外の部分の炉壁永久耐
火物には、熱伝導率の低い焼成MgO系耐火物から成る
耐火れんがが用いられている。
【0027】炉壁ワーク耐火物49は、定期的たとえば
1カ月毎に補修の行われる耐火物であり、炉壁29の半
径方向最内方に形成される。炉壁ワーク耐火物49の層
厚は、高温の炉内から熱負荷を直接受けるので、炉壁永
久耐火物50の層厚よりも厚く形成されている。炉壁ワ
ーク耐火物49には、炉壁全周にわたってMgO−C系
耐火物から成る耐火れんがが用いられている。炉壁不定
形耐火物51は、MgO系粒状耐火物であり、炉壁永久
耐火物50と炉壁ワーク耐火物49との間に形成され、
炉壁ワーク耐火物49の熱膨張を吸収する。
【0028】このように、気水冷却ジャケット47の内
周面の炉壁永久耐火物50および炉壁ワーク耐火物49
には熱伝導率の高いMgO−C系耐火物が用いられてい
るので、前記冷媒によって冷却される気水冷却ジャケッ
ト47の冷却効果を高めることができ、ホットスポット
部の炉壁ワーク耐火物49を効果的に冷却することがで
きる。また気水冷却ジャケット47以外の部分の炉壁永
久耐火物50には、熱伝導率の低い焼成MgO系耐火物
が用いられているので、炉壁からの抜熱を抑制すること
ができ、電気炉21の熱効率を高めることができる。さ
らに、気水冷却ジャケット47の内周面に炉壁永久耐火
物50と、炉壁ワーク耐火物49とが合わせて少なくと
も2層形成されているので、溶湯が炉壁ワーク耐火物4
9中に侵入しても、気水冷却ジャケット47と溶湯との
接触を回避することができる。気水冷却ジャケット47
の内周面に形成されるMgO−C系耐火物の炭素含有率
の適正範囲については後述する。
【0029】気水冷却ジャケット47は、水ミストと空
気とから成る冷媒によって冷却されるジャケットであ
り、冷却された気水冷却ジャケット47はさらに炉壁耐
火物46を冷却する。気水冷却ジャケット47の設置位
置は、炉壁29の周方向においては前記ホットスポット
部であり、炉壁29の半径方向においては鉄皮36と炉
壁永久耐火物50との間であり、炉壁29の上下方向に
おいては溶湯面43aの直上である。気水冷却ジャケッ
ト47の上下方向高さは、図1に示すように出湯口33
に最も近接した電極25に対応する気水冷却ジャケット
47においては、ほぼL2であり、他の2本の電極25
に対応する気水冷却ジャケット47においては、ほぼL
1である。すなわち、気水冷却ジャケット47の高さ
は、溶湯面43aから各炉壁耐火物46の上端部までの
距離とほぼ同一である。
【0030】各気水冷却ジャケット47の幅すなわち周
方向の長さはいずれも同一であり、かつ図3に示すよう
に前記縦の軸線31と、各電極25とを結ぶ各半径線6
3に関して周方向両側に同一長さL3ずつ延びている。
この結果、各気水冷却ジャケット47は、各ホットスポ
ット部を確実かつ効果的に冷却することができる。また
出湯口33に最も近接した電極25に対応する気水冷却
ジャケット47は、出湯口33近傍まで周方向に延びて
いるので、出湯口33とホットスポット部とが重なった
領域における炉壁耐火物46を効果的に冷却することが
できる。前記領域は、ホットスポット部の熱負荷による
損傷にさらに出湯流による損傷が加わる苛酷な領域であ
って、炉壁耐火物46が最も損傷しやすい領域である。
このため、最も耐用の短い前記領域における炉壁耐火物
46の損傷を抑制することができる。その結果、炉本体
23の耐用を大幅に向上させることができる。また気水
冷却ジャケット47が炉壁29の上下方向において溶湯
面43aの直上に設けられているので、水漏れ時の危険
性を回避するために水冷構造にすることのできない溶湯
面43aの直上位置における炉壁耐火物46を効果的に
冷却することができる。気水冷却ジャケット47の構成
については後述する。
【0031】前記上部炉壁29aの水冷ジャケット48
は、冷却水流路を有する炉壁保護部材であり、鉄皮36
の内周面に複数ユニット配置されている。水冷ジャケッ
ト48の構成は、図1に示すように鋼製の炉壁水冷管5
3を上部炉壁29aの周方向にジグザグ状に屈曲させて
パネル状に形成したものであり、全体形状が鉄皮36の
内周面に沿って湾曲した形状を有している。前記上部炉
壁29aの銅パネル48aは、水冷構造を有する銅製炉
壁保護部材であり、鉄皮36の内周面に水冷ジャケット
48よりも下方に複数ユニット配置されている。銅パネ
ル48aの形状は、水冷ジャケット48と同様に鉄皮3
6の内周面に沿って湾曲している。水冷ジャケット48
および銅パネル48aの設置位置は、炉壁耐火物46お
よび気水冷却ジャケット47よりも上方に配置されてお
り、かつ前記溶湯面43aおよび炉本体23の傾動姿勢
における溶湯面45よりも上方に配置されている。これ
によって、水冷ジャケット48および銅パネル48aと
溶融金属43との接触が回避されるので、水漏れによる
水蒸気爆発の危険性を防止することができる。また、水
冷ジャケット48よりも冷却能力の大きい銅パネル48
aが溶湯面に近い位置に配置されているので、万一溶湯
と銅パネル48aが接触することがあっても接触面の温
度上昇を抑制することができ、水漏れ発生の危険性を回
避することができる。
【0032】さらに電気炉21の操業中には、溶湯面4
3a上に浮遊しているスラグ44の飛散が活発に生じる
ので、水冷ジャケット48および銅パネル48aの炉壁
水冷管53のまわりの空間には、スラグが充填され、熱
伝導率の低いスラグ被覆層54が形成される。これによ
って、冷却水による炉本体23内からの抜熱を小さくす
ることができるので、電力原単位の低減を図ることがで
きる。また、スラグ被覆層54はスクラップと炉壁水冷
管53との直接接触を防止して炉壁水冷管53の破損を
防止することができるので、危険な水漏れの発生を未然
に防止することができる。
【0033】図5は、図1に示す気水冷却ジャケットの
構成を簡略化して示す斜視図である。気水冷却ジャケッ
ト47は、ケーシング56と、冷媒導入口57と、冷媒
導出口58と、仕切板59とを含んで構成される。ケー
シング56は金属製の中空パネル状溶接構造物であり、
全体形状は鉄皮36の内周面に沿って湾曲した形状を有
している。冷媒導入口57は、ケーシング56内に冷媒
を導入する管状部材であり、ケーシング56の周方向一
端側上部にケーシング56の半径方向外方側に突出して
設けられている。冷媒導出口58は、ケーシング56内
から冷媒を導出する管状部材であり、ケーシング56の
周方向他端部側下部に冷媒導入口57から離間してケー
シング56の半径方向外方側に突出して設けられてい
る。仕切板59は、ケーシング56の内部空間を仕切る
金属板であり、ケーシング56内に冷媒導入口57と冷
媒導出口58とを結び、かつ周方向に交互に折れ曲がる
ジグザグの冷媒流路を形成する。前記ケーシング56、
冷媒導入口57、冷媒導出口58および仕切板59の材
質は、たとえばステンレス鋼(SUS310)である。
【0034】図6は、図2に示す冷媒発生装置の構成を
簡略化して示す系統図である。冷媒発生装置65は、混
合器66と、噴霧ノズル67と、水ポンプ68と、水タ
ンク69と、空気圧縮機70と、空気ブロア71とを含
んで構成される。水タンク69に貯留されている水は、
水ポンプ68によって噴霧ノズル67に送られる。噴霧
ノズル67は、水を空気圧縮機70からの高圧空気によ
って霧化し、発生した水ミストを混合器66に送り込
む。混合器66は、水ミストと空気ブロア71からの空
気とを混合して水ミストと空気とから成る冷媒を発生さ
せ、発生した冷媒を空気を輸送媒体として冷媒供給管路
60に送り込む。水ミストと空気との割合は、ホットス
ポット部における炉壁ワーク耐火物49の温度低下量の
目標値に応じて設定される。水ポンプ68によって送ら
れる水の流量は、流量調整弁73によって調整され、空
気圧縮機70からの高圧空気の圧力は、圧力調整弁74
によって調整される。気水冷却ジャケット47は、図1
に示すように3本の電極25に対応して3基設けられて
おり、3基の気水冷却ジャケット47には図6に示すよ
うに冷媒供給管路60と、冷媒排出管路61とが接続さ
れている。冷媒供給管路60および冷媒排出管路61
は、気水冷却ジャケット47の各冷媒導入口57および
各冷媒導出口58にそれぞれ接続されている。
【0035】前記冷媒は、冷媒供給管路60および冷媒
導入口57を経て気水冷却ジャケット47のケーシング
56内に導入され、ジグザグの冷媒通路を通過して冷媒
導出口58および冷媒排出管路61を経て外部に排出さ
れる。このように、冷媒通路がジグザグに形成されてい
るので、冷媒通路を通過する冷媒とケーシング56およ
び仕切板59との接触面積が大幅に増大し、接触面にお
ける熱交換を効率的に行うことができる。このため、炉
壁耐火物46からケーシング56および仕切板59に伝
熱される熱量を冷媒によって効果的に抜熱することがで
きる。その結果、炉壁耐火物46の温度を効果的に低下
させることができる。また、冷媒が冷却能力の大きい水
ミストと空気とから成るので、気水冷却ジャケット47
に供給する冷媒流量を少なくしても所要の冷却効果を得
ることができる。したがって、冷媒発生装置65の構成
を簡素化、かつ小形化することができる。また、ケーシ
ング56の全体形状が鉄皮36の内周面に沿って湾曲し
ているので、ケーシング56の内周面に対する耐火物の
築造を鉄皮36の内周面に対する場合と同様に行うこと
ができる。その結果、築造作業性を向上することができ
る。本実施の形態の気水冷却ジャケット47は、ステン
レス鋼製であるけれども、その他の材料、たとえば熱伝
導性に優れた銅製でもよく、耐熱性に優れたセラミック
ス製でもよく、安価な鋼製でもよい。
【0036】再び図3を参照して、前記3本の電極25
は縦の軸線31に垂直な平面内において縦の軸線31を
中心とする同一ピッチ円上に存在しており、周方向に1
20°の間隔をあけて配置されている。3本の電極25
は、縦の軸線31と前記出湯口33と、前記除滓口34
とを結ぶ一直径線35に関して一方側(図3の上方)に
1本配置されており、前記一直径線35に関して他方側
に2本配置されている。このように、3本の電極25は
出湯口33および除滓口34からずれた位置に配置され
ているので、出湯口33および除滓口34は前記ホット
スポット部からずれた位置に存在する。したがって、そ
れらの最高到達温度をホットスポット部の温度よりも低
温に保つことができる。この結果、出湯口33および除
滓口34の耐用を向上させることができる。また、出湯
口33および除滓口34から放散される輻射熱を低減す
ることができるので、省エネルギを図ることができる。
【0037】図7は、MgO−C系耐火物の炭素含有率
と熱伝導率および耐酸化性指数との関係を示すグラフで
ある。図7を参照して、本実施形態におけるMgO−C
系耐火物の炭素含有率の適正範囲について説明する。図
7の横軸には、MgO−C系耐火物の炭素含有率が表さ
れており、図7の縦軸には、MgO−C系耐火物の熱伝
導率および耐酸化性指数が表されている。熱伝導率は、
JISR 2616に規定されている耐火断熱れんがの
熱流量による熱伝導率の試験方法に基づいて、MgO−
C系耐火物試料の1000℃における高温熱伝導率を測
定した。耐酸化性指数は、MgO−C系耐火物製の坩堝
を作成し、内部にFeOを充填した後、温度1700
℃、時間120hrの条件で加熱してMgO−C系耐火
物の酸化反応厚みを測定し、同様にして求めた炭素を含
まないMgO耐火物の酸化反応厚みを100として耐酸
化性指数を求めた。
【0038】図7から、MgO−C系耐火物の熱伝導率
は、耐火物中の炭素含有率の増大につれて大きくなり、
特に炭素含有率が30重量%以上で急激に増大するこ
と、MgO−C系耐火物の耐酸化性指数は耐火物中の炭
素含有率の増大につれて大きくなり、特に炭素含有率が
50重量%以上で急激に増大することなどが判る。前述
のように、前記気水冷却ジャケット47は、ホットスポ
ット部の炉壁耐火物46(MgO−C系耐火物)から伝
熱された熱量を抜熱して炉壁耐火物46を冷却している
ので、気水冷却ジャケット47の冷却能力はMgO−C
系耐火物の熱伝導率が大きくなるほど増大する。したが
って、MgO−C系耐火物の炭素含有率は、30重量%
以上であることが好ましい。しかしながら、前記炭素含
有率の増大は耐酸化性指数の増大を招き、MgO−C系
耐火物の酸化による損耗を促進させる。したがって、M
gO−C系耐火物の炭素含有率は50重量%以下である
ことが好ましい。また、MgO−C系耐火物は、耐熱
性、耐熱衝撃性、耐食性に優れている。この理由は、耐
熱性についてはMgOおよび炭素とも耐熱性に優れてい
るからであり、耐熱衝撃性については、炭素の含有によ
って熱伝導率が大きくなり、かつヤング率が小さくなる
からであり、耐食性については炭素の含有によって溶融
金属43およびスラグ44に対する濡れ性が低下するか
らである。
【0039】このように、MgO−C系耐火物は、耐熱
性、耐熱衝撃性および耐食性に優れており、かつ炭素含
有率を30〜50重量%に限定することによって熱伝導
率を高水準に保ったまま耐酸化性の低下を防止すること
ができる。このため、本実施の形態におけるMgO−C
系耐火物の炭素含有率は30〜50重量%に限定され
る。
【0040】以上述べたように、本実施の形態における
電気炉の炉壁構造においては、下部炉壁29bのホット
スポット部に気水冷却ジャケット47が設けられ、その
内周面に熱伝導率の大きいMgO−C系耐火物が内張り
されているので、ホットスポット部のMgO−C系耐火
物の温度を効果的に低下させることができる。この結
果、MgO−C系耐火物の損傷を抑制することができ、
その耐用を大幅に向上させることができる。
【0041】なお、気水冷却ジャケット47の構成は、
本実施の形態の構成のみに限定されるものではなく、た
とえば鋼管を屈曲させてパネル状に形成してもよい。
【0042】(実施例)本発明の電気炉21と、従来か
らの電気炉1とを用いて含クロム溶銑の溶製を行い、電
気炉の耐用の比較を行った。前記電気炉1,21の溶製
能力はいずれも150トン/チャージであり、トランス
容量はいずれも50MVAである。本発明の電気炉21
における下部炉壁29bの炉壁耐火物46は、ホットス
ポット部において図4に示すように構成されており、鉄
皮36の内面から半径方向内方に向かって気水冷却ジャ
ケット47、炉壁永久耐火物50、炉壁不定形耐火物5
1、炉壁ワーク耐火物49がこの順序に配置されてい
る。気水冷却ジャケット47は、板厚5mmのステンレ
ス鋼板(SUS310)製であり、その構成は図5に示
すとおりである。炉壁永久耐火物50は、気水冷却ジャ
ケット47の内周面については1層のMgO−C系耐火
れんがから成り、その層厚は65mmである。これに対
して、気水冷却ジャケット47の内周面以外の炉壁永久
耐火物50は、2層の焼成MgO−C系耐火れんがから
成り、その層厚は2層合計で、130mmである。炉壁
不定形耐火物51は、MgO系耐火物から成り、その厚
みは20mmであり、そのMgO含有率は95重量%で
ある。炉壁ワーク耐火物49は、全領域にわたって1層
のMgO−C系耐火れんがから成り、その層厚は350
mmである。
【0043】従来からの電気炉1における下部炉壁6b
の炉壁耐火物10は、図9に示すように構成されてお
り、鉄皮8の内面から半径方向内方に向かって、炉壁永
久耐火物15、炉壁不定形耐火物16、炉壁ワーク耐火
物14がこの順序に配置されている。炉壁永久耐火物1
5は、2層の焼成MgO系耐火れんがから成り、その層
厚は2層合計で130mmである。炉壁不定形耐火物1
6および炉壁ワーク耐火物14の成分系および層厚は本
発明の電気炉21のそれらと同一である。
【0044】表1にMgO−C系耐火れんが(材質記号
MC−1〜MC−3)および焼成MgO系耐火れんが
(材質記号M−1)の成分および特性値を示す。本実施
例では、MgO−C系耐火れんがの炭素含有率は3水準
変化している。また、気水冷却ジャケット47に供給さ
れる冷媒の流量は、水ミスト80kg/hr,空気5.
5Nm3/分である。
【0045】
【表1】
【0046】表2に、本発明の電気炉21を用いた実施
例と従来からの電気炉1を用いた比較例とについて、炉
壁耐火物の損耗速度、耐火物コスト指数および炉壁耐火
物の耐用を比較して示す。なお1チャージの所要時間
は、いずれの場合も約180分である。表2から、気水
冷却ジャケット47を備えた実施例1は、気水冷却ジャ
ケット47を備えていない比較例1に比べて、同一の炉
壁耐火物を用いても炉壁耐火物の耐用が約30%向上
し、耐火物コストが約15%低減すること、炭素含有率
の高いMgO−C系耐火れんがを用いた実施例2および
実施例3は実施例1に比べて炉壁耐火物の耐用がさらに
向上し、耐火物コストがさらに低減すること、特に炭素
含有率の最も高い実施例3は、比較例1に比べて炉壁耐
火物の耐用が約4倍となり、耐火物コストは約40%低
減することなどが判る。このように、本発明は従来技術
に比べて炉壁耐火物の耐用および耐火物コストを著しく
改善することができる。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の本発明によ
れば、水ミストおよび空気から成る冷媒によって冷却さ
れる冷却手段が炉壁の温度が最も高くなるホットスポッ
ト部および溶湯の出湯流による溶損が生じやすい領域に
設けられているので、それらの領域における炉壁耐火物
の温度を効果的に低下させることができる。したがっ
て、炉壁耐火物の損傷を大幅に抑制することができ、炉
壁耐火物の補修回数を大幅に低減することができる。こ
の結果、炉壁耐火物の耐用が大幅に向上するので、電気
炉の休止時間を大幅に低減することが可能となり、電気
炉の能率および生産性を大幅に向上することができる。
また、冷媒の冷却能力が大きいので、冷媒の供給流量を
少なくすることができ、冷媒発生手段の構成を簡素化か
つ小形化することができる。
【0049】また請求項2記載の本発明によれば、冷却
手段のケーシングには、冷媒通路がジグザグに形成され
ているので、炉壁耐火物から冷却手段に伝熱される熱量
を冷媒によって効率的に抜熱することができる。またケ
ーシングの全体形状が鉄皮の内周面に沿って湾曲して形
成されているので、ケーシングの内周面に対する耐火物
の築造を鉄皮の内周面に対する場合と同様に行うことが
できる。この結果、築造作業性を向上することができ
る。
【0050】また請求項3記載の本発明によれば、冷却
手段の内周面に形成される炉壁耐火物は、熱伝導率の高
いMgO−C系耐火物であるので、冷却手段の冷却効果
を高めることができる。したがって、ホットスポット部
の炉壁耐火物の温度をさらに効率的に冷却することがで
きる。
【0051】また請求項4記載の本発明によれば、3本
の電極は出湯口と除滓口とからずれて配置されているの
で、出湯口と除滓口の耐用を向上させることができる。
また、冷却手段が出湯口付近まで延びているので、水冷
手段の設置が困難である出湯口付近を効果的に冷却する
ことができる。さらに冷却手段が炉壁の周方向に同一長
さずつ、かつ電極に対応する位置を中心に両側に同一長
さずつ延びているので、各ホットスポット部を確実かつ
効果的に冷却することができる。
【0052】また請求項5記載の本発明によれば、冷却
手段の内周面には少なくとも2層から成る炉壁耐火物が
形成されているので、冷却手段と溶融金属との接触を回
避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である電気炉の炉壁の構
成を簡略化して示す周方向展開図である。
【図2】本発明の実施の一形態である電気炉の構成を簡
略化して示す正面断面図である。
【図3】図2に示す電気炉の平面図である。
【図4】図3の切断面線IV−IVから見た炉壁の縦断
面図である。
【図5】図1に示す気水冷却ジャケットの構成を簡略化
して示す斜視図である。
【図6】図2に示す冷媒発生装置の構成を簡略化して示
す系統図である。
【図7】MgO−C系耐火物の炭素含有率と熱伝導率お
よび耐酸化性指数との関係を示すグラフである。
【図8】従来の電気炉の構成を簡略化して示す正面断面
図である。
【図9】図8に示す電気炉のホットスポット部における
炉壁耐火物の構成を簡略化して示す正面断面図である。
【符号の説明】
1,21 電気炉 3,23 炉本体 4,24 炉蓋 5,25 電極 6,29 炉壁 7,30 炉底 8,36 鉄皮 9,48 水冷ジャケット 10,46 炉壁耐火物 14,49 炉壁ワーク耐火物 15,50 炉壁永久耐火物 16,51 炉壁不定形耐火物 33 出湯口 34 除滓口 37 電極昇降装置 47 気水冷却ジャケット 48a 銅パネル 65 冷媒発生装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面を鉄皮で覆われた炉壁および炉底
    を有し、かつ略円筒状の炉壁の上下方向途中位置に形成
    される出湯口を有する炉本体と、炉本体を上方から塞ぐ
    炉蓋と、炉蓋を貫通して昇降自在に設けられ、周方向に
    等間隔をあけて配置される3本の電極とを備える金属溶
    解用3相交流アーク式電気炉において、炉壁の鉄皮に内
    張りされる炉壁耐火物と、 水ミストおよび空気から成る冷媒を発生する冷媒発生手
    段と、 炉壁の鉄皮および炉壁耐火物の間に設けられ、炉壁の周
    方向における各電極に対応した位置で炉壁の周方向に部
    分的に延び、かつ金属溶解時における溶湯面付近から出
    湯時における炉本体の傾動姿勢の溶湯面付近まで上下に
    延び、冷媒発生手段によって発生される冷媒によって冷
    却される冷却手段と、 炉壁の鉄皮の内周面に配置され、冷却手段よりも上方
    で、かつ出湯時の炉本体の傾動姿勢における溶湯面より
    も上方に配置される水冷手段とを含むことを特徴とする
    電気炉。
  2. 【請求項2】 前記冷却手段は、 冷媒通路を有し、かつ全体形状が鉄皮の内周面に沿って
    湾曲した形状を有する金属製ケーシングと、 ケーシング内に冷媒を導入する冷媒導入口と、 冷媒導入口から離間した位置で、ケーシング内から冷媒
    を導出する冷媒導出口と、 ケーシング内で、かつ冷媒導入口と冷媒導出口との間で
    ジグザグの冷媒通路を形成する金属製仕切板とを含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の電気炉。
  3. 【請求項3】 前記冷却手段の内周面に形成される炉壁
    耐火物は、炭素を含むMgO系耐火物であり、かつその
    炭素含有率が30〜50重量%であることを特徴とする
    請求項1または2記載の電気炉。
  4. 【請求項4】 前記炉壁には、出湯口と炉本体の軸線と
    を結ぶ一直径線上に除滓口が出湯口と対向して形成され
    ており、前記3本の電極は出湯口と除滓口からずれて配
    置され、出湯口近傍の一つの電極に対応する一つの冷却
    手段が出湯口近傍まで炉壁の周方向に延びており、各電
    極に対応する各冷却手段は炉壁の周方向に同一長さず
    つ、かつ炉本体の軸線と各電極とを結ぶ各半径線の周方
    向両側に同一長さずつ延びていることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の電気炉。
  5. 【請求項5】 前記冷却手段の内周面に形成される炉壁
    耐火物は、少なくとも2層から成ることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の電気炉。
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