JPH1047861A - 電気炉 - Google Patents

電気炉

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JPH1047861A
JPH1047861A JP20729096A JP20729096A JPH1047861A JP H1047861 A JPH1047861 A JP H1047861A JP 20729096 A JP20729096 A JP 20729096A JP 20729096 A JP20729096 A JP 20729096A JP H1047861 A JPH1047861 A JP H1047861A
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JP
Japan
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furnace
furnace wall
refractory
air
cooling means
Prior art date
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Withdrawn
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JP20729096A
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Atsushi Yamamoto
敦 山本
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉壁耐火物の耐用の大幅な向上が可能な電気
炉を提供する。 【解決手段】 電気炉の炉壁29は、外周面を形成する
鉄皮36と炉壁耐火物46と空冷ジャケット47と水冷
ジャケット48と銅パネル48aとを備えて構成され
る。水冷ジャケット48および銅パネル48aは溶融金
属の溶湯面43aおよび電気炉の傾動姿勢における溶湯
面45よりも上方に設けられ、炉壁耐火物46は銅パネ
ル48aよりも下方に設けられる。空冷ジャケット47
は、高さ方向においては溶湯面43aよりも上方で銅パ
ネル48aよりも下方に設けられ、炉壁29の周方向に
おいては、各電極25に対応した位置(ホットスポット
部)に設けられる。また、ホットスポット部の炉壁耐火
物46には、熱伝導率の高いMgO−C系耐火物が用い
られる。空冷ジャケット47は、ホットスポット部の炉
壁耐火物46を効率的に冷却して、その損傷を低減させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電極に通電してア
ーク熱を発生させ金属くず等の原料を溶解する金属溶解
用3相交流アーク式電気炉に関し、特に耐用に優れた電
気炉の炉壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気炉においては生産能力、電力
原単位、電極原単位および電力投入効率の向上を図るた
めに、大容量のトランスが導入され、高力率ロングアー
ク操業が行われている。その結果、炉壁および天井耐火
物への熱負荷が著しく増大し、耐火物のみの改善ではそ
れらの損耗や損傷を防止することが困難になってきてお
り、その対策として炉壁および天井には熱放散方式の水
冷構造が導入されている。
【0003】図9は、従来の電気炉の構成を簡略化して
示す正面断面図である。電気炉1は、炉本体3と炉蓋4
と電極5とを含んで構成される。炉本体3は、溶融金属
を貯留する容器であり、炉壁6と炉底7とを含んで構成
される。炉壁6は、鉄皮8と水冷ジャケット9と炉壁耐
火物10とを含んで構成され、炉底7は鉄皮8と炉底耐
火物11とを含んで構成される。水冷ジャケット9は、
炉壁6の上部側内周面に設けられており、かつ溶融金属
13(以後、溶湯と略称することがある)の溶湯面13
aよりも上方に間隔をあけて設けられている。炉壁耐火
物10は鉄皮8に内張りされており、水冷ジャケット9
の下方に形成されている。炉壁耐火物10の下部は溶湯
13中に浸漬されており、その上部は溶湯13の溶湯面
13aよりも上方に突出している。なお炉蓋4にも水冷
ジャケット4aが設けられている。電極5は、炉蓋4を
貫通して溶湯13の溶湯面直上まで垂下しており、水冷
ジャケット9および炉壁耐火物10の上部と向かい合っ
ている。
【0004】図10は、図9に示す電気炉の炉壁耐火物
の構成を簡略化して示す正面断面図である。炉壁耐火物
10は、炉壁ワーク耐火物14と炉壁永久耐火物15と
炉壁不定形耐火物16とを含んで構成される。炉壁永久
耐火物15は、鉄皮8の内周面に複層、たとえば2層形
成されており、炉壁ワーク耐火物14は炉壁永久耐火物
15の内周面に炉壁不定形耐火物16を介して1層形成
されている。なお、炉壁耐火物10の炉壁永久耐火物1
5には、MgO系耐火物が用いられており、炉壁ワーク
耐火物14には主としてMgO−C系耐火物が用いられ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
電気炉1は水冷ジャケット9を有しているので、前記熱
負荷の増大にも有効に対応することができる。しかしな
がら、なおも次のような問題が残されている。
【0006】(1)前記水冷ジャケット9は、溶湯との
接触によって冷却水漏れが生じ水蒸気爆発の生ずる危険
性を有しているので、溶湯と接触する位置には配置でき
ない。したがって、出湯時に溶湯13の溶湯面13aが
形成される出湯口周辺には、水冷ジャケット9を配置す
ることができない。このため、出湯口周辺の炉壁耐火物
は損傷が大きくなり、その耐用が大幅に短縮される。
【0007】(2)水冷ジャケット9よりも下方で、か
つ溶湯13の溶湯面13aよりも上方に内張りされてい
る炉壁耐火物10は、前記ホットスポット部において電
極5のアーク熱に近接位置からさらされるので、図9に
示すように熱負荷によって損傷部17が形成されやす
い。その結果、ホットスポット部の炉壁耐火物10の耐
用が大幅に短縮される。また、前記出湯口周辺のホット
スポット部においては、熱負荷による損傷にさらに出湯
流による損傷が加わるので、炉壁耐火物10の損傷が特
に顕著であり、その部分の炉壁耐火物10の耐用が特に
大幅に短縮される。
【0008】(3)前記炉壁耐火物10の耐用の短縮
は、耐火物補修作業の回数を増大させるので、電気炉1
の休止時間を増大させ、その能率および生産性を大幅に
低下させる。
【0009】本発明の目的は、前記問題を解決し、炉壁
耐火物の損傷を低減して、炉壁耐火物の耐用を大幅に向
上させることが可能な電気炉を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、縦の軸線を有
する略円筒状の炉壁と炉底とを有し、炉壁の上下方向途
中位置に形成される出湯口を有する炉本体と、炉本体を
上方から塞ぐ炉蓋と、炉蓋を貫通して昇降自在に設けら
れ、周方向に等間隔をあけて配置される3本の電極とを
備える金属溶解用3相交流アーク式電気炉において、炉
本体の外周面を形成する鉄皮と、炉壁の鉄皮に内張りさ
れる炉壁耐火物と、炉壁の鉄皮と炉壁耐火物との間に設
けられ、炉壁の周方向における各電極に対応した位置で
炉壁の周方向に部分的に延び、かつ金属溶解時における
溶湯面付近から出湯時における炉本体の傾動姿勢の溶湯
面付近まで上下に延びている空冷手段と、炉壁の鉄皮の
内周面に配置され、空冷手段よりも上方で、かつ出湯時
の炉本体の傾動姿勢における溶湯面よりも上方に配置さ
れる水冷手段とを含むことを特徴とする電気炉である。
本発明に従えば、空冷手段は炉壁の鉄皮と炉壁耐火物と
の間で、かつ炉壁の周方向における各電極に対応した位
置、いわゆるホットスポット部に設けられているので、
炉壁の温度が最も高くなるホットスポット部の炉壁耐火
物の温度を効果的に低下させることができる。また、空
冷手段はホットスポット部に設けられており、かつ金属
溶解時における溶湯面付近から出湯時における溶湯面ま
で上下に延びているので、炉壁の温度が最も高く、かつ
溶湯の出湯流による溶損が生じやすい領域における炉壁
耐火物の温度を効果的に低下させることができる。この
結果、炉壁耐火物の損傷を大幅に抑制することができ、
炉壁耐火物の耐用を大幅に向上させることができる。さ
らに、水冷手段は空冷手段よりも上方で、かつ出湯時の
溶湯面よりも上方に配置されているので、水冷手段と溶
湯との接触が回避され、水漏れによる水蒸気爆発の危険
性を防止することができる。
【0011】また本発明の前記空冷手段は、空気通路を
有し、かつ全体形状が鉄皮の内周面に沿って湾曲した形
状を有する金属製ケーシングと、ケーシング内に冷却用
空気を導入する空気導入口と、空気導入口から離間した
位置で、ケーシング内から冷却用空気を導出する空気導
出口と、ケーシング内で、かつ空気導入口と空気導出口
との間でジグザグの空気通路を形成する金属製仕切板と
を含むことを特徴とする。本発明に従えば、ケーシング
の全体形状が鉄皮の内周面に沿って湾曲しているので、
ケーシングの内周面に対する耐火物の築造を鉄皮の内周
面に対する場合と同様に行うことができる。また、ケー
シングには空気導入口と空気導出口とが設けられてお
り、ケーシング内には空気導入口と空気導出口とを結ぶ
ジグザグの空気通路を形成する仕切板が設けられてい
る。このように空気通路がジグザグに形成されているの
で、空気通路を通過する冷却用空気とケーシングおよび
仕切板との接触面積が大幅に増大する。これによって、
冷却用空気とケーシングおよび仕切板との熱交換を効率
的に行うことができるので、炉壁耐火物からケーシング
および仕切板に伝熱される熱量を冷却用空気によって効
率的に抜熱することができる。この結果、炉壁耐火物の
温度を効果的に低下させることができる。
【0012】また本発明の前記空冷手段の内周面に形成
される炉壁耐火物は、炭素を含むMgO系耐火物であ
り、かつその炭素含有率が30〜50重量%であること
を特徴とする。本発明に従えば、ホットスポット部に設
けられる空冷手段の内周面の炉壁耐火物は適正量の炭素
を含むMgO系耐火物であるので、耐火物の熱伝導率が
高く、耐熱性、耐熱衝撃性、耐食性、耐酸化性が優れて
いる。このように、ホットスポット部の炉壁耐火物の熱
伝導率が高いので、前記空冷手段と組合わせることによ
って高温にさらされるホットスポット部の炉壁耐火物の
温度をさらに効率的に冷却することができる。
【0013】また本発明の前記炉壁には、出湯口と炉本
体の軸線とを結ぶ一直径線上に除滓口が出湯口と対向し
て形成されており、前記3本の電極は出湯口と除滓口か
らずれて配置され、出湯口近傍の一つの電極に対応する
一つの空冷手段が出湯口近傍まで炉壁の周方向に延びて
おり、各電極に対応する各空冷手段は炉壁の周方向に同
一長さずつ、かつ炉本体の軸線と各電極とを結ぶ各半径
線の周方向両側に同一長さずつ延びていることを特徴と
する。本発明に従えば、3本の電極は出湯口と除滓口か
らずれて配置されているので、出湯口と除滓口の温度を
ホットスポット部の温度よりも低温に保つことができ
る。このため出湯口と除滓口の耐用を向上させることが
できる。また出湯口と除滓口から放散される輻射熱を低
減することができるので、省エネルギを図ることができ
る。また空冷手段が出湯口付近まで延びているので、水
冷手段の設置が困難である出湯口付近を効果的に冷却す
ることができる。さらに空冷手段が炉壁の周方向に同一
長さずつ、かつ炉本体の軸線と各電極とを結ぶ各半径線
の周方向両側に同一長さずつ延びているので、各ホット
スポット部を確実かつ効果的に冷却することができる。
【0014】また本発明の前記空冷手段の内周面に形成
される炉壁耐火物は、少なくとも2層から成ることを特
徴とする。本発明に従えば、空冷手段の内周面には少な
くとも2層から成る炉壁耐火物が形成されているので、
溶湯の炉壁耐火物中への侵入深さを抑制することがで
き、その結果、空冷手段と溶湯との接触を回避すること
ができる。
【0015】また本発明の前記空冷手段の空気導入口お
よび空気導出口は、ケーシングの上部に設けられること
を特徴とする。本発明に従えば、空冷手段の空気導入口
および空気導出口がケーシングの上部に設けられている
ので、それらと空冷手段の上方に設けられている水冷手
段との間隔は小さくなる。その結果、空気導入口および
空気導出口に対する熱負荷が水冷手段の冷却効果によっ
て大幅に低減され、それらの耐久性が大幅に向上する。
またこれによって、空気導入口および空気導出口と溶湯
面との間隔が大きくなるので、溶湯が炉壁耐火物中に侵
入しても空気導入口および空気導出口を通過して炉外に
漏れる危険性を解消することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態であ
る電気炉の炉壁の構成を簡略化して示す周方向展開図で
あり、図2は本発明の実施の一形態である電気炉の構成
を簡略化して示す正面断面図であり、図3は図2に示す
電気炉の平面図であり、図4は図2に示す電気炉の炉壁
構造を簡略化して示す縦断面図である。
【0017】本実施の形態における電気炉21は、金属
溶解用3相交流アーク式電気炉であり、炉本体23と、
炉本体23を上方から塞ぐ炉蓋24と、3本の電極25
と、電極昇降装置37とを含んで構成される。炉蓋24
は、大略的に円錐台状に形成され、小天井部26と大天
井部27とを備える。小天井部26は耐火物構造であ
り、炉蓋24の中央部に設けられている。小天井部26
には、電極25を挿入し得る貫通孔26aが形成されて
いる。大天井部27は、水冷管28群を配置した水冷構
造であり、小天井部26の周囲を外囲するように設けら
れている。
【0018】炉本体23は、上方に開口部を有し、外周
面が鉄皮36によって形成された有底容器であり、炉壁
29と炉底30とを含んで構成される。炉壁29は、炉
本体23の側面部であり、その形状は大略的に円筒形に
形成されている。炉壁29は、縦の軸線を有しており、
その軸線31は炉本体23の軸線と同軸である。炉壁2
9には、その上下方向途中位置に溶融金属を炉外に出湯
するための出湯口33が形成されており、炉壁29の出
湯口33と対向する位置には除滓口34が形成されてい
る。除滓口34は、出湯口33と炉壁29の軸線(以
後、縦の軸線31と略称する)とを結ぶ一直径線35上
に存在する。なお炉壁29の構成については後述する。
【0019】炉底30は、鉄皮36と、その内周面に形
成される炉底永久耐火物32aと、その内周面に形成さ
れる炉底ワーク耐火物32bとを含んで構成される。な
お炉底永久耐火物32aには、MgOれんがが用いられ
ており、炉底ワーク耐火物32bにはMgOスタンプ材
またはMgO−C系耐火物が用いられている。電極25
は黒鉛製であり、その形状は円柱状に形成されている。
電極25は、炉蓋24に形成されている貫通孔26aに
昇降自在に挿通されており、図3に示すように炉蓋24
の周方向に等間隔をあけて配置されている。
【0020】電極昇降装置37は、電極25を昇降変位
させるための装置であり、電極クランプ38と、電極支
持アーム39と、電極支柱40と、昇降シリンダ41と
を含んで構成される。電極クランプ38は、たとえば水
冷式銅鋳物製であり、電極25を着脱自在に保持する。
電極支持アーム39は、電極クランプ38を介して電極
25を支持するアームであり、前記縦の軸線31に垂直
な平面内に存在する。電極支柱40は、縦の軸線31と
平行な軸線を有する支柱であり、前記出湯口33と縦の
軸線31とを結ぶ一直径線35に関して炉本体23の一
側方(図3において紙面の上方側)に立設されている。
電極支持アーム39と電極支柱40とは、絶縁物を介し
て一体的に固定されており、全体形状は大略的にT字状
に形成されている。電極支持アーム39の遊端部には、
電極クランプ38が固定されており、電極支柱40の下
端部には昇降シリンダ41が固定されている。このた
め、電極25は電極クランプ38によって保持され、昇
降シリンダ41の昇降によって電極支持アーム39およ
び電極支柱40とともに一体的に昇降する。なお、電極
昇降装置37は、3本の電極25毎に個別に設けられて
おり、その構成はいずれも全く同一である。
【0021】電気炉21の操業は次のようにして行われ
る。炉本体23内に金属スクラップなどの主原料と加炭
材や造滓材などの副原料とを装入し、電極25に通電し
てアーク熱によって装入原料を溶解および溶融する。溶
解および溶融された溶融金属43およびスラグ44は、
炉本体23内に貯留され、溶融金属43の成分および温
度が予め定める値になるように精錬される。精錬完了
後、炉本体23は炉底30に設けられた傾動装置(図示
せず)によって出滓側に傾動され、除滓口34からスラ
グを排滓する。除滓完了後、炉本体23は出湯側に傾動
され、出湯口33から溶湯を出湯する。電気炉21の操
業中における炉壁29の温度は、次のように推移する。
操業初期においては、電極25からのアーク熱は未溶解
原料によって遮蔽されるので、炉壁29は直接熱負荷を
受けない。このため、炉壁29の温度は約1,500℃
未満の比較的低温度で推移する。しかしながら、原料の
溶解が完了した後には炉壁29は直接電極25から熱負
荷を受けるので、温度が急激に上昇し、約1,600℃
の高温度に到達する。なかでも炉壁29の周方向におけ
る各電極25に対応する位置、すなわち電極25と炉壁
29との間隔が最も近接している位置(図3におけるA
点)付近の領域(以後、ホットスポット部と略称する)
では約2,000℃以上の高温度に到達する。
【0022】図1〜図4を参照して、前記炉壁29は鉄
皮36と炉壁耐火物46と空冷手段である空冷ジャケッ
ト47と水冷手段である水冷ジャケット48および銅パ
ネル48aとを含んで構成される。炉壁耐火物46は、
図1中に斜線で示すように溶融金属43の溶湯面43a
から上方に距離L1離れた位置まで炉壁29の全周にわ
たって形成されており、出湯口33付近ではさらに溶湯
面43aから上方に距離L2離れた位置まで部分的に突
出して形成されている。なお、溶湯面43aから上方に
距離L2離れた位置は、出湯時における炉本体23の傾
動姿勢における溶湯面45よりも上方に位置している。
【0023】本実施の形態における炉壁耐火物46は、
図4に示すように炉壁ワーク耐火物49と炉壁永久耐火
物50と炉壁不定形耐火物51とから成る。炉壁永久耐
火物50は、張替えまでの耐用期間が炉壁ワーク耐火物
49に比べて非常に長い耐火物であり、炉壁29の鉄皮
36の内周面または空冷ジャケット47の内周面に層状
に少なくとも1層形成される。なお、空冷ジャケット4
7は、電極25に対応した位置、すなわち前記ホットス
ポット部に設けられている。炉壁永久耐火物50の層数
は、たとえば空冷ジャケット47の内周面では1層であ
り、それ以外の鉄皮36の内周面では2層である。な
お、空冷ジャケット47の内周面の炉壁永久耐火物50
には、熱伝導率の高いMgO−C耐火れんがが用いられ
ており、それ以外の部分の炉壁永久耐火物には、熱伝導
率の低い焼成MgOれんがが用いられている。炉壁ワー
ク耐火物49は、定期的、たとえば1カ月毎に補修の行
われる耐火物であり、炉壁29の半径方向最内方に形成
される。炉壁ワーク耐火物49の層厚は、高温の炉内か
ら熱負荷を直接受けるので、炉壁永久耐火物50の層厚
よりも厚く形成されている。なお、炉壁ワーク耐火物4
9には炉壁全周にわたってMgO−Cれんがが用いられ
ている。炉壁不定形耐火物51は、MgO系粒状耐火物
であり、炉壁永久耐火物50と炉壁ワーク耐火物49と
の間に形成され、炉壁ワーク耐火物49の熱膨張を吸収
する。
【0024】このように、空冷ジャケット47の内周面
の炉壁永久耐火物50および炉壁ワーク耐火物49に
は、熱伝導率の高いMgO−Cれんがが用いられている
ので、空冷ジャケット47の冷却効果を高めることがで
き、ホットスポット部の炉壁ワーク耐火物49を効果的
に冷却することができる。また、空冷ジャケット47以
外の部分の炉壁永久耐火物50には、熱伝導率の低い焼
成MgOれんがが用いられているので、炉壁からの抜熱
を効果的に抑制することができ、熱効率を高めることが
できる。さらに、空冷ジャケット47の内周面に炉壁永
久耐火物50と炉壁ワーク耐火物49とが合わせて少な
くとも2層形成されているので、溶湯が炉壁ワーク耐火
物49中に侵入しても侵入深さを抑制することができ、
空冷ジャケット47と溶湯との接触を回避することがで
きる。なお、空冷ジャケット47の内周面に形成される
MgO−C系耐火物の炭素含有率の適正範囲については
後述する。
【0025】空冷ジャケット47は、冷却用空気によっ
て炉壁耐火物46を冷却するための部材であり、炉壁耐
火物46と組合わせて用いられる。空冷ジャケット47
の設置位置は、炉壁29の周方向においては前述のよう
に3本の電極25に対応した位置、すなわち前記ホット
スポット部であり、炉壁29の半径方向においては鉄皮
36と炉壁永久耐火物50との間であり、炉壁29の高
さ方向においては溶湯面43aの直上である。空冷ジャ
ケット47の高さは、出湯口33に最も近接した電極2
5に対応する空冷ジャケット47においては、ほぼL2
であり、他の2本の電極25に対応する空冷ジャケット
47においては、ほぼL1である。したがって、各空冷
ジャケット47の高さは、溶湯面43aから各炉壁耐火
物46の上端部までの距離とほぼ同一である。
【0026】また、各空冷ジャケット47の周方向の長
さはいずれも同一であり、かつ前記縦の軸線31と各電
極25とを結ぶ各半径線に関して周方向両側に同一長さ
ずつ延びている。この結果、各空冷ジャケット47は、
各ホットスポット部を確実かつ効果的に冷却することが
できる。またこれによって、出湯口33に最も近接した
電極25に対応する空冷ジャケット47は、出湯口33
近傍まで周方向に延びることができるので、ホットスポ
ット部の熱負荷による損傷にさらに出湯流による損傷が
加わる過酷な領域における炉壁耐火物46を効果的に冷
却することができる。このため、炉壁耐火物46の損傷
を抑制することができ、その結果、炉本体23の耐用を
大幅に向上させることができる。なお、空冷ジャケット
47の構成については後述する。
【0027】水冷ジャケット48は、冷却水流路を有す
る炉壁保護部材であり、鉄皮36の内周面に複数ユニッ
ト配置されている。水冷ジャケット48の構成は、鋼製
の炉壁水冷管53を炉壁29の周方向にジグザグ状に屈
曲させてパネル状に形成したものであり、全体形状が鉄
皮36の内周面に沿って湾曲した形状を有している。銅
パネル48aは、水冷構造を有する銅製炉壁保護部材で
あり、鉄皮36の内周面に水冷ジャケット48よりも下
方に複数ユニット配置されている。銅パネル48aの形
状は、水冷ジャケット48と同様に鉄皮36の内周面に
沿って湾曲している。水冷ジャケット48および銅パネ
ル48aの設置位置は、炉壁耐火物46および空冷ジャ
ケット47よりも上方に配置されており、かつ前記溶湯
面43aおよび炉本体23の傾動姿勢における溶湯面4
5よりも上方に配置されている。これによって、水冷ジ
ャケット48および銅パネル48aと溶融金属43との
接触が回避されるので、水漏れによる水蒸気爆発の危険
性を防止することができる。また、水冷ジャケット48
よりも冷却能の大きい銅パネル48aが溶湯面に近い位
置に配置されているので、万一溶湯と銅パネル48aが
接触することがあっても、接触面の温度上昇を抑制する
ことができ、水漏れ発生の危険性を回避することができ
る。
【0028】さらに電気炉21の操業中には、溶湯面4
3a上に浮遊しているスラグの飛散が活発に生じるの
で、水冷ジャケット48の炉壁水冷管53のまわりの空
間には、スラグが充填され、熱伝導率の低いスラグ被覆
層54が形成される。これによって、冷却水による炉本
体23内からの抜熱を可及的に小さくすることができる
ので、電力原単位の低減を図ることができる。また、ス
ラグ被覆層54はスクラップと炉壁水冷管53との直接
接触を防止して炉壁水冷管53の破損を防止することが
できるので、危険な水漏れの発生を未然に防止すること
ができる。
【0029】図5は図1に示す空冷ジャケットの構成を
簡略化して示す斜視図であり、図6は図5に示す空冷ジ
ャケットの空気配管を示す系統図である。空冷ジャケッ
ト47は、ケーシング56と空気導入口57と空気導出
口58と仕切板59とを含んで構成される。ケーシング
56は金属製の中空パネル状溶接構造物であり、全体形
状が鉄皮36の内周面に沿って湾曲した形状を有してい
る。
【0030】空気導入口57は、ケーシング56内に冷
却用空気を導入する部材であり、金属製の導入管57a
と導入箱57bとから成る。空気導入口57は、ケーシ
ング56の周方向一端側上部にケーシング56の半径方
向外方側に突出して設けられている。空気導出口58
は、ケーシング56内から冷却用空気を導出する部材で
あり、金属製の導出管58aと導出箱58bとから成
る。空気導出口58は、ケーシング56の周方向他端部
側上部に空気導入口57から離間してケーシング56の
半径方向外方側に突出して設けられている。
【0031】仕切板59は、ケーシング56の内部空間
を仕切る金属板であり、ケーシング56内に空気導入口
57と空気導出口58とを結びかつ前記縦の軸線31方
向に交互に折れ曲がるジグザグの空気流路を形成する。
前記ケーシング56、空気導入口57、空気導出口58
および仕切板59の材質は、たとえばステンレス鋼(S
US310)である。前記空冷ジャケット47は、前述
のように3本の電極25に対応して炉壁29の周方向に
等間隔をあけて3基設けられており、3基の空冷ジャケ
ット47には図6に示すように空気供給管路60と空気
排出管路61とが接続されている。なお、空気供給管路
60および空気排出管路61は空冷ジャケット47の各
空気導入口57および各空気導出口58にそれぞれ並列
に接続されている。
【0032】ブロア(図示せず)から送風された冷却用
空気は、空気供給管路60および空気導入口57を経て
空気ジャケット47のケーシング56内に導入され、ジ
グザグの空気通路を通過して空気導出口58および空気
排出管路61を経て外部に排出される。このように、空
気通路がジグザグに形成されているので、空気通路を通
過する冷却用空気とケーシング56および仕切板59と
の接触面積が大幅に増大し、接触面における熱交換を効
率的に行うことができる。このため、炉壁耐火物46か
らケーシング56および仕切板59に伝熱される熱量を
冷却用空気によって効果的に抜熱することができ、その
結果、炉壁耐火物46の温度を効果的に低下させること
ができる。また、ケーシング56の全体形状が鉄皮36
の内周面に沿って湾曲しているので、ケーシング56の
内周面に対する耐火物の築造を鉄皮36の内周面に対す
る場合と同様に行うことができ、その結果築造作業性を
向上することができる。
【0033】さらに、空冷ジャケット47の空気導入口
57および空気導出口58がケーシング56の上部に設
けられているので、それらと空冷ジャケット47の上方
に設けられている銅パネル48aとの間隔が小さくな
る。この結果、空気導入口57および空気導出口58に
対する熱負荷が銅パネル48aの冷却効果によって大幅
に低減され、それらの耐久性が大幅に向上する。さらに
また、これによって空気導入口57および空気導出口5
8と溶湯面43aとの間隔が大きくなるので、溶湯が炉
壁耐火物46中に侵入しても空気導入口57および空気
導出口58から炉外へ漏れる危険性を解消することがで
きる。なお、空冷ジャケット47の材質としては、ステ
ンレス鋼ばかりでなく熱伝導性に優れた銅製でもよく、
耐熱性に優れたセラミックス製でもよく、安価な鋼製で
もよい。
【0034】図7は、電極の配列パターンを示す平面図
である。図7(1)は、本実施の形態の電極の配列パタ
ーンであり、図3に示す電極25の配列パターンと同一
である。図7(2)は、図7(1)に示す電極25の配
列パターンを前記縦の軸線31を中心として時計まわり
方向に30°角変位させた場合の電極25の配列パター
ンであり、図7(3)は図7(2)に示す電極25の配
列パターンを前記縦の軸線31を中心として時計まわり
方向に30°角変位させた場合の電極25の配列パター
ンであり、図7(4)は図7(3)に示す電極25の配
列パターンを前記縦の軸線31を中心として時計まわり
方向に30°角変位させた場合の電極25の配列パター
ンである。電極25の配列パターンは、角変位角度を細
かく変えることによって無限に存在する。しかしなが
ら、類似パターンをまとめることによって基本的には前
記4パターンによって表すことができる。
【0035】図7(1)に示す配列パターンでは、3本
の電極25が前記縦の軸線31に垂直な平面内において
縦の軸線31を中心とする同一ピッチ円上に存在してお
り、周方向に120°の間隔をあけて配置されている。
3本の電極25は、図7(1)において、縦の軸線31
と前記出湯口33とを結ぶ一直径線35に関して一方側
(図7(1)の上方側)に配置されている第1電極25
aと、前記一直径線35に関して他方側で出湯口33近
傍に配置されている第2電極25bと、前記一直径線3
5に関して他方側で除滓口34近傍に配置されている第
3電極25cとから成る。第1電極25aは、前記一直
径線35に垂直な縦の軸線31を通る直線上に存在して
おり、第2電極25bは、前記一直径線35を縦の軸線
31まわりに反時計方向に30°角変位した直線上に存
在しており、第3電極25cは前記一直径線35を縦の
軸線31まわりに時計まわり方向に30°角変位した直
線上に存在している。なお、電極昇降装置37は、炉本
体23の第1電極25a側外方に配置されている。
【0036】図7(2)に示す配列パターンでは、第2
電極25bが前記一直径線35上に存在し、電極昇降装
置37が炉本体23の出湯口33側外方に配置されてい
る。本配列パターンの電極昇降装置37の配置位置は、
電極支持アーム39が相互に接触して干渉し合わないよ
うに選ばれた位置である。しかしながら、前記炉本体2
3の出湯口33側外方には、溶融金属43を受湯する取
鍋が配置されているので、この配列パターンを実現する
ことは不可能である。
【0037】図7(3)に示す配列パターンは、図7
(1)に示す配列パターンを前記一直径線35まわりに
180°角変位した配列パターンであり、本発明の他の
実施の形態として用いることが可能な配列パターンであ
る。図7(4)に示す配列パターンでは、第1電極25
aが前記一直径線35上に存在し、電極昇降装置37が
炉本体23の除滓口34側外方に配置されている。本配
列パターンの電極昇降装置37の配置位置は、図7
(2)に示す配列パターンの場合と同様の方法で選ばれ
た位置である。しかしながら、炉本体23の除滓口34
側外方には、スラグ44を受けるスラグ鍋が配置されて
いるので、この配列パターンを実現することは不可能で
ある。
【0038】このように電極25を前記一直径線35上
に存在させることは、電極昇降装置37の配置位置を考
慮すれば不可能であるので、本発明の電極25は出湯口
33および除滓口34からずれた位置に配置される。こ
のため、出湯口33および除滓口34は、前記ホットス
ポット部からずれた位置に配置され、それらの最高到達
温度をホットスポット部の温度よりも低温に保つことが
できる。この結果、出湯口33および除滓口34の耐用
を向上させることができる。また、出湯口33および除
滓口34から放散される輻射熱を低減することができる
ので、省エネルギを図ることができる。
【0039】図8は、MgO−C系耐火物の炭素含有率
と熱伝導率および耐酸化性指数との関係を示すグラフで
ある。図8を参照して、本実施の形態におけるMgO−
C系耐火物の炭素含有率の適正範囲について説明する。
図8の横軸には、MgO−C系耐火物の炭素含有率が表
されており、図8の縦軸には、MgO−C系耐火物の熱
伝導率および耐酸化性指数が表されている。熱伝導率
は、JISR 2616に規定されている耐火断熱れん
がの熱流量による熱伝導率の試験方法に基づいて、Mg
O−C系耐火物試料の1000℃における高温熱伝導率
を測定した。耐酸化性指数は、MgO−C系耐火物製の
坩堝を作成し、内部にFeOを充填した後、温度170
0℃、時間120hrの条件で加熱してMgO−C系耐
火物の酸化反応厚みを測定し、同様にして求めた炭素を
含まないMgO耐火物の酸化反応厚みを100として耐
酸化性指数を求めた。
【0040】図8から、MgO−C系耐火物の熱伝導率
は、耐火物中の炭素含有率の増大につれて大きくなり、
特に炭素含有率が30重量%以上で急激に増大するこ
と、MgO−C系耐火物の耐酸化性指数は耐火物中の炭
素含有率の増大につれて大きくなり、特に炭素含有率が
50重量%以上で急激に増大することなどがわかる。前
述のように、前記空冷ジャケット47は、ホットスポッ
ト部の炉壁耐火物46(MgO−C系耐火物)から伝熱
された熱量を抜熱して炉壁耐火物46を冷却しているの
で、空冷ジャケット47の冷却能はMgO−C系耐火物
の熱伝導率が大きくなる程増大する。したがって、Mg
O−C系耐火物の炭素含有率は30重量%以上であるこ
とが好ましい。しかしながら、前記炭素含有率の増加は
耐酸化性指数の増大を招き、MgO−C系耐火物の酸化
による損耗を促進させる。したがって、MgO−C系耐
火物の炭素含有率は50重量%以下であることが好まし
い。また、MgO−C系耐火物は、耐熱性、耐熱衝撃
性、耐食性に優れている。この理由は、耐熱性について
はMgOおよび炭素とも耐熱性に優れているからであ
り、耐熱衝撃性については、炭素の含有によって熱伝導
率が大きくなり、かつヤング率が小さくなるからであ
り、耐食性については炭素の含有によって溶融金属43
およびスラグ44に対するぬれ性が低下するからであ
る。
【0041】このように、MgO−C系耐火物は、耐熱
性、耐熱衝撃性および耐食性に優れており、かつ炭素含
有率を30〜50重量%に限定することによって熱伝導
率を高水準に保ったまま耐酸化性の低下を防止すること
ができる。このため、本実施の形態におけるMgO−C
系耐火物の炭素含有率は30〜50重量%に限定され
る。
【0042】以上述べたように、本実施の形態における
電気炉の炉壁構造においては、炉壁29のホットスポッ
ト部に空冷ジャケット47が設けられ、その内周面に熱
伝導率の大きいMgO−C系耐火物が内張りされている
ので、ホットスポット部のMgO−C系耐火物の温度を
効果的に低下させることができる。この結果、MgO−
C系耐火物の損傷を抑制することができ、その耐用を大
幅に向上させることができる。
【0043】なお空冷ジャケット47の構成は、本実施
の形態の構成のみに限定されるものではなく、たとえば
鋼管を屈曲させてパネル状に形成してもよい。
【0044】
【実施例】本発明の電気炉21と従来からの電気炉1と
を用いて含クロム溶銑の溶製を行い、電気炉の耐用の比
較を行った。前記電気炉1,21の溶製能力はいずれも
150トン/チャージであり、トランス容量はいずれも
50MVAである。本発明の電気炉21の炉壁構造は、
ホットスポット部において図4に示すように構成されて
おり、炉壁29の外周面から半径方向内方に向かって鉄
皮36、空冷ジャケット47、炉壁永久耐火物50、炉
壁不定形耐火物51、炉壁ワーク耐火物49がこの順序
に配置されている。空冷ジャケット47は、板厚5mm
のステンレス鋼板(SUS310)製であり、その構成
は図5に示すとおりである。炉壁永久耐火物50は、空
冷ジャケット47の内周面については1層のMgO−C
れんがから成り、その層厚は65mmである。しかしな
がら、空冷ジャケット47の内周面以外の炉壁永久耐火
物50は、2層の焼成MgOれんがから成り、その層厚
は2層合計で、130mmである。炉壁不定形耐火物5
1はMgO系耐火物から成り、その厚みは20mmであ
り、そのMgO含有率は95重量%である。炉壁ワーク
耐火物49は、全領域にわたって1層のMgO−C系耐
火物から成り、その層厚は350mmである。なお空冷
ジャケット47に冷却用空気を供給するブロアの能力
は、15m3/分、1100mmAqである。
【0045】従来からの電気炉1の炉壁構造は、図10
に示すように構成されており、炉壁6の外周面から半径
方向内方に向かって、鉄皮8、炉壁永久耐火物15、炉
壁不定形耐火物16、炉壁ワーク耐火物14がこの順序
に配置されている。炉壁永久耐火物15は、2層の焼成
MgOれんがから成り、その層厚は2層合計で130m
mである。炉壁不定形耐火物16および炉壁ワーク耐火
物14の成分系および層厚は本発明の電気炉21のそれ
らと同一である。本実施例ではMgO−C系耐火物は、
炭素含有率を3水準変化させた。表1にMgO−Cれん
が(材質記号MC−1〜MC−3)および焼成MgOれ
んが(材質記号M−1)の成分および特性値を示す。
【0046】
【表1】
【0047】表2に、本発明の電気炉21を用いた実施
例と従来からの電気炉1を用いた比較例とについて、炉
壁耐火物の損耗速度、耐火物コスト指数および炉壁耐火
物の耐用を比較して示す。なお1チャージの所要時間
は、いずれの場合も約180分である。表2から、空冷
ジャケット47を備えた実施例1は、空冷ジャケット4
7を備えていない比較例1に比べて、同一の炉壁耐火物
を用いても炉壁耐火物の耐用が約20%向上し、耐火物
コストが約5%低減すること、炭素含有率の高いMgO
−Cれんがを用いた実施例2および実施例3は、炭素含
有率の低いMgO−Cれんがを用いた実施例1に比べ
て、炉壁耐火物の耐用がさらに向上し、耐火物コストが
さらに低減すること。特に炭素含有率の高い実施例3
は、比較例1に比べて炉壁耐火物の耐用が3倍となり、
耐火物コストが約30%低減することなどが判る。この
ように、本発明は従来技術に比べて炉壁耐火物の耐用お
よび耐火物コストを著しく改善することができる。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、空冷手段
は炉壁の温度が最も高くなるホットスポット部および溶
湯の出湯流による溶損が生じやすい領域における炉壁耐
火物の温度を効果的に低下させることができるので、炉
壁耐火物の損傷を大幅に抑制することができ、炉壁耐火
物の補修回数を大幅に低減することができる。この結
果、炉壁耐火物の耐用が大幅に向上するので、電気炉の
休止時間を大幅に低減することが可能となり、電気炉の
能率および生産性を大幅に向上することができる。
【0050】また本発明によれば、空冷手段のケーシン
グには、空気通路がジグザグに形成されているので、炉
壁耐火物からケーシングおよび仕切板に伝熱される熱量
を冷却用空気によって効率的に抜熱することができる。
またケーシングの全体形状が鉄皮の内周面に沿って湾曲
して形成されているので、ケーシングの内周面に対する
耐火物の築造を鉄皮の内周面に対する場合と同様に行う
ことができる。この結果、築造作業性を向上することが
できる。
【0051】また本発明によれば、空冷手段の内周面に
形成される炉壁耐火物は熱伝導率の高いMgO−C系耐
火物であるので、空冷手段の冷却効果を高めることがで
きる。したがって、ホットスポット部の炉壁耐火物の温
度をさらに効率的に冷却することができる。
【0052】また本発明によれば、3本の電極は出湯口
と除滓口とからずれて配置されているので、出湯口と除
滓口の耐用を向上させることができる。また、空冷手段
が出湯口付近まで延びているので、水冷手段の設置が困
難である出湯口付近を効果的に冷却することができる。
さらに、空冷手段が炉壁の周方向に同一長さずつ、かつ
電極を中心に両側に同一長さずつ延びているので、各ホ
ットスポット部を確実かつ効果的に冷却することができ
る。
【0053】また本発明によれば、空冷手段の内周面に
は少なくとも2層から成る炉壁耐火物が形成されている
ので、空冷手段と溶融金属との接触を回避することがで
きる。
【0054】また本発明によれば、空冷手段の空気導入
口および空気導出口がケーシングの上部に設けられてい
るので、空冷手段の上方に設けられている水冷手段の冷
却効果によってそれらの耐久性が大幅に向上する。また
これによって、空気導入口および空気導出口と溶湯面と
の間隔が大きくなるので、溶融金属が炉壁耐火物中に侵
入しても空気導入口および空気導出口を通過して炉外に
漏れる危険性を解消することができる。この結果、空冷
手段は、長期間にわたって確実にホットスポット部の炉
壁耐火物に対して冷却効果を発揮することができ、電気
炉の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である電気炉の炉壁の構
成を簡略化して示す周方向展開図である。
【図2】本発明の実施の一形態である電気炉の構成を簡
略化して示す正面断面図である。
【図3】図2に示す電気炉の平面図である。
【図4】図2に示す電気炉の炉壁構造を簡略化して示す
縦断面図である。
【図5】図1に示す空冷ジャケットの構成を簡略化して
示す斜視図である。
【図6】図5に示す空冷ジャケットの空気配管を示す系
統図である。
【図7】電極の配列パターンを示す平面図である。
【図8】MgO−C系耐火物の炭素含有率と熱伝導率お
よび耐酸化性指数との関係を示すグラフである。
【図9】従来の電気炉の構成を簡略化して示す正面断面
図である。
【図10】図9に示す電気炉の炉壁耐火物の構成を簡略
化して示す正面断面図である。
【符号の説明】
1,21 電気炉 3,23 炉本体 4,24 炉蓋 5,25 電極 6,29 炉壁 7,30 炉底 8,36 鉄皮 9,48 水冷ジャケット 10,46 炉壁耐火物 13a,43a 溶湯面 14,49 炉壁ワーク耐火物 15,50 炉壁永久耐火物 16,51 炉壁不定形耐火物 33 出湯口 34 除滓口 37 電極昇降装置 38 電極クランプ 39 電極支持アーム 47 空冷ジャケット 48a 銅パネル 53 炉壁水冷管 56 ケーシング 57 空気導入口 58 空気導出口 59 仕切板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦の軸線を有する略円筒状の炉壁と炉底
    とを有し、炉壁の上下方向途中位置に形成される出湯口
    を有する炉本体と、炉本体を上方から塞ぐ炉蓋と、炉蓋
    を貫通して昇降自在に設けられ、周方向に等間隔をあけ
    て配置される3本の電極とを備える金属溶解用3相交流
    アーク式電気炉において、 炉本体の外周面を形成する鉄皮と、 炉壁の鉄皮に内張りされる炉壁耐火物と、 炉壁の鉄皮と炉壁耐火物との間に設けられ、炉壁の周方
    向における各電極に対応した位置で炉壁の周方向に部分
    的に延び、かつ金属溶解時における溶湯面付近から出湯
    時における炉本体の傾動姿勢の溶湯面付近まで上下に延
    びている空冷手段と、 炉壁の鉄皮の内周面に配置され、空冷手段よりも上方
    で、かつ出湯時の炉本体の傾動姿勢における溶湯面より
    も上方に配置される水冷手段とを含むことを特徴とする
    電気炉。
  2. 【請求項2】 前記空冷手段は、 空気通路を有し、かつ全体形状が鉄皮の内周面に沿って
    湾曲した形状を有する金属製ケーシングと、 ケーシング内に冷却用空気を導入する空気導入口と、 空気導入口から離間した位置で、ケーシング内から冷却
    用空気を導出する空気導出口と、 ケーシング内で、かつ空気導入口と空気導出口との間で
    ジグザグの空気通路を形成する金属製仕切板とを含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の電気炉。
  3. 【請求項3】 前記空冷手段の内周面に形成される炉壁
    耐火物は、炭素を含むMgO系耐火物であり、かつその
    炭素含有率が30〜50重量%であることを特徴とする
    請求項1または2記載の電気炉。
  4. 【請求項4】 前記炉壁には、出湯口と炉本体の軸線と
    を結ぶ一直径線上に除滓口が出湯口と対向して形成され
    ており、前記3本の電極は出湯口と除滓口からずれて配
    置され、出湯口近傍の一つの電極に対応する一つの空冷
    手段が出湯口近傍まで炉壁の周方向に延びており、各電
    極に対応する各空冷手段は炉壁の周方向に同一長さず
    つ、かつ炉本体の軸線と各電極とを結ぶ各半径線の周方
    向両側に同一長さずつ延びていることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の電気炉。
  5. 【請求項5】 前記空冷手段の内周面に形成される炉壁
    耐火物は、少なくとも2層から成ることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の電気炉。
  6. 【請求項6】 前記空冷手段の空気導入口および空気導
    出口は、ケーシングの上部に設けられることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載の電気炉。
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