JPH11201095A - 送風機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機器に搭載されて用いられる軸流式などの送
風機にとって、機器の設置条件以外に運転条件で大きく
変化する動作点条件に対応し、通風抵抗の低い条件で、
空力・騒音性能の劣化を押さえると共に、通風抵抗の高
い条件での空力性能の劣化を抑える。 【解決手段】 送風機１３にとって、通風抵抗の低い条
件では、気流は翼間で気流の主成分は軸方向成分ため、
羽根５の外周側５ｄからほぼ軸方向に吹き出し、オリフ
ィス１４の吐出側１６の内壁面１６ａに沿って吹き出
す。また、通風抵抗の高い条件では、気流は翼間では気
流の軸方向成分が低下し半径方向成分が増加して羽根５
から吐出する際、オリフィス１４の吐出側１６に向かい
吹き出すが、吐出側１６に設けた溝１７を通過すること
で吐出側１６の内壁面１６ａに衝突し阻害される気流は
少なくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、セパレート型空気
調和機の室外機などの機器に搭載されて用いられる送風
機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、軸流式送風機などの送風機は、セ
パレート型空気調和機の室外機などの機器の搭載される
送風機として、幅広く使用されており、機器の小型化，
機器の設置条件の多様化に伴い、搭載される送風機は、
より高性能化、低騒音化が望まれる傾向にある。

【０００３】従来の空気調和機の室外機等に用いられる
送風機としては、実開平２−６２３２７号公報に示され
ているものがある。

【０００４】以下、図面を参照しながら、上述した従来
の送風機について説明する。図１３〜図１５は従来の低
圧型の送風機の構造を示すものである。図１３〜図１５
において、１は軸流式の送風機の本体であり、２はモー
タであり、３はモータ２にハブ４を取り付け、ハブ４の
周囲に複数の羽根５を配設した羽根車であり、６は羽根
車３の羽根５の吐出側の外周を囲むオリフィスである。
オリフィス６は、ベルマウス状の吸込側７と、前記ベル
マウス状の吸込側７の外側に前記ベルマウス状の吸込側
７の円筒状の周壁部７ａに沿って環状に形成されたリブ
８と、前記リブ８の吐出側に設けられたラッパ状のリン
グ９と、前記ベルマウス状の吸込側７の円筒状の周壁部
７ａと環状のリブ８の間に設置され、軸方向に可動する
円筒状のリング１０からなる。また、１１は、送風機１
が搭載されたセパレート型空気調和機の室外機の本体で
あり、１２は、送風機１の吸い込み側に設置された熱交
換器である。

【０００５】以上のように構成された軸流式の送風機に
ついて以下その動作を説明する。まず、モータ２が羽根
車３を所定の回転方向に回転することで、空気が、羽根
車３内に吸い込まれ、羽根５の作用により静圧と動圧が
付加されて羽根車３から送風機１の吐出側へ吹き出され
送風作用を為す。

【０００６】ここで、軸流式の送風機１が搭載されてい
るセパレート型空気調和機の室外機１１を軸流式の送風
機１の吐出側に建築物の外壁など障害物（図示せず）が
近接する場所に設置する場合、図１４で示すように、ベ
ルマウス状の吸込側７の円筒状の周壁部７ａと環状のリ
ブ８の間に設置された円筒状のリング１０を、ベルマウ
ス状の吸込側７の円筒状の周壁部７ａと環状のリブ８の
間に収納する。

【０００７】このため、送風機１の吐出側に障害物が近
接するような送風機１にとって通風抵抗が高い条件で
は、送風機１が吹き出す風量が低下し、羽根車３の複数
の羽根５の内部にて気流の軸方向成分が低下し、半径方
向成分が増す。そして、気流は、羽根５の外周側５ｄか
らオリフィス６の吐出側に向かい斜めに吹き出すが、オ
リフィス６の吐出側にあたるリング９はラッパ状に広が
っているため、気流がリング９の内壁に沿って流れる。
従って、送風機１が通風抵抗が高い条件下でも空力性能
の低下（風量の低下）が抑えられる。

【０００８】また、軸流式の送風機１が搭載されている
セパレート型空気調和機の室外機１１を軸流式の送風機
１の吐出側に障害物（図示せず）のない場所に設置する
場合、図１５で示すように、ベルマウス状の吸込側７の
円筒状の周壁部７ａと環状のリブ８の間に設置された円
筒状のリング１０を、ベルマウス状の吸込側７の円筒状
の周壁部７ａと環状のリブ８の間からオリフィス６の吐
出方向に引き出して設置する。

【０００９】このため、送風機１の吐出側に障害物がな
いような送風機１にとって通風抵抗が低い条件では、送
風機１は所定の風量を吹き出し、羽根車３の複数の羽根
５の内部にて、気流は、軸方向成分が大きく軸方向をむ
いて流れる。そして、気流は、羽根５の外周側５ｄから
ほぼ軸方向に吹き出す。ここで、オリフィス６の吐出側
にあたる部分には円筒状のリング１０を設置しているた
め、軸方向に吹き出す気流がリング１０の内壁に沿って
流れ、気流の剥離を起こさない。従って、送風機１は、
通風抵抗が低い条件下でも騒音の増加、空力性能の劣化
が抑えられる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
構成では、送風機１が運転される条件が限定され、かつ
ある程度予測された場合に、羽根車３の吐出気流方向に
合わせたオリフィス６の吐出側形状とすることができる
が、セパレート型空気調和機の室外機１１などの送風機
１が搭載される機器の設置条件のみで送風機１にとって
の通風抵抗が変化するだけでなく、セパレート型空気調
和機の室外機１１に搭載される熱交換器１２に露付き・
着霜などといった送風機１の搭載される機器の運転条件
によって、送風機１に対する通風抵抗が大きく変化する
ことがある。

【００１１】つまり、セパレート型空気調和機の室外機
１１の軸流式の送風機１の吐出側に障害物のない場所に
設置した場合などの機器の基本的な運転条件が送風機１
にとって通風抵抗の低い条件の場合に、ベルマウス状の
吸込側７の円筒状の周壁部７ａと環状のリブ８の間に設
置された円筒状のリング１０を、ベルマウス状の吸込側
７の円筒状の周壁部７ａと環状のリブ８の間からオリフ
ィス６の吐出方向に引き出して設置しても、送風機１の
内部の熱交換器１２に露付き・着霜などが起き送風機１
の搭載される機器の運転条件によって送風機１に対する
通風抵抗が高い条件に変化した場合に、送風機１にとっ
て吹き出す風量が低下し、羽根車３の複数の羽根５の内
部にて気流の軸方向成分が低下し、半径方向成分が増
し、気流は、羽根５の外周側５ｄからオリフィス６に向
かい斜めに吹き出す。

【００１２】そして、オリフィス６の吐出方向に引き出
して設置した円筒状のリング１０の内壁面に衝突して、
吐出方向を軸方向に強制的に変更されて吐出する。

【００１３】よって、送風機１の空力性能が劣化し、か
つ騒音が増加するとともに、送風機１の空力性能の劣化
により、熱交換器１２を通過する風量が低下し、露付き
・着霜がさらに進み、熱交換器１２の熱交換能力が大幅
に低下する。従って、セパレート型の空気調和機の室外
機１１などの機器に搭載されて用いられる軸流式などの
送風機１にとって、機器の設置条件以外に機器の運転条
件によって大きく変化する動作点条件に対応し、通風抵
抗の低い条件で、空力・騒音性能の劣化を押さえると共
に、通風抵抗の高い条件での空力性能の劣化を抑えるこ
とが要求されている。

【００１４】本発明は、軸流式などの送風機において、
搭載される機器の設置条件以外に機器の運転条件などの
大きく変化する動作点条件に対応し吹き出し方向が変化
する羽根の外周側からの吐出気流を阻害せず、動作点条
件が大きく変化しても、送風機の空力性能の劣化と送風
騒音の増加を抑えることを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明は、羽根車の吐出側外周を囲むオリフィスの
吸込側の内壁面が、気流の吐出方向ほど内径の小さくな
る略円弧状とし、吐出側に前記羽根車の回転軸に平行な
溝を放射状に複数設けることにより、低圧型の送風機に
とって通風抵抗の低い条件では、羽根外周側から羽根車
内部に流入する気流は、略円弧状断面のオリフィス吸込
側内壁面に導かれて流れ、羽根車の翼間では、気流の主
成分が軸方向成分ため、羽根外周側からほぼ軸方向に吹
き出し、オリフィス吐出側の内壁面に沿って送風機より
吹き出す。

【００１６】また、送風機にとって通風抵抗の高い条件
では、羽根外周側から流入した気流は、羽根車の翼間で
は気流の軸方向成分が低下し、半径方向成分が増加し、
羽根から吐出する際、オリフィスの吐出側に向かい吹き
出すが、吐出側に設けた溝を吐出気流が通ることで、吐
出側の内壁面に衝突し阻害される吐出気流は少なくな
り、吐出気流全体としては半径方向に広がりながら吐出
する。

【００１７】従って、送風機が搭載される機器の設置条
件以外に機器の運転条件などによって大きく変化する送
風機の動作点条件に対応し、羽根車からの吹き出し方向
が変化する羽根の外周側からの吐出気流を阻害せず、空
力性能の劣化と送風騒音の増加を抑える送風機が得られ
る。

【００１８】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１記載の発明は、
モータ，羽根車，オリフィスから成り、前記羽根車は、
前記モータに取り付けられたハブと、前記ハブの周囲に
設けられた複数の羽根から成り、前記オリフィスは、前
記羽根車の吐出側の外周を囲み、吸い込み側の内壁断面
が気流の吐出方向ほど内径の小さくなる略円弧状であ
り、前記オリフィスの吐出側に前記羽根車の回転軸に平
行な溝を放射状に複数設けた送風機であり、送風機にと
って通風抵抗の条件では、羽根外周から羽根車内部に流
入する気流は、略円弧状断面のオリフィス吸込側内壁面
に導かれて流れ、羽根車の翼間では、気流の主成分が軸
方向成分ため、羽根外周からほぼ軸方向に吹き出し、オ
リフィス吐出側の内壁面に沿って送風機より吹き出す。

【００１９】また、送風機にとって通風抵抗の高い条件
では、羽根外周側から流入した気流は、羽根車の翼間で
は気流の軸方向成分が低下し、半径方向成分が増加し、
羽根から吐出する際、オリフィスの吐出側に向かい吹き
出すが、吐出側に設けた溝部を吐出気流が通ることで、
吐出側の内壁面に衝突し阻害される吐出気流は少なくな
り、吐出気流全体としては半径方向に広がりながら吐出
する。

【００２０】従って、送風機が搭載される機器の設置条
件以外に機器の運転条件によって大きく変化する送風機
の動作点条件に対応し、吹き出し方向が変化する羽根の
外周側からの吐出気流を阻害せず、通風抵抗が低い条件
での空力性能の劣化と送風騒音の増加を抑えると共に通
風抵抗が高い条件での空力性能の劣化を抑えるという作
用を有する。

【００２１】請求項２記載の発明は、請求項１記載の送
風機の発明に加えて、オリフィスの吐出側に、羽根車の
回転軸に平行に設けた複数の放射状の溝を、前記オリフ
ィスの外周ほど、前記羽根車の回転方向に前傾させたも
のであり、送風機にとって通風抵抗の高い条件で、羽根
外周側から流入した気流が、羽根車の翼間では気流の軸
方向成分が低下し半径方向成分が増加し羽根から吐出す
る際、溝を羽根車の回転方向に前傾させることで、羽根
の回転により周方向成分を有する羽根外周側吐出気流
が、大きく方向をかえること無く溝部に流入し、流れの
偏向が少なくなると共に、溝が前傾することで羽根から
の吐出気流が通過する溝の長さが長くなることで、吐出
気流が溝部で減速され、動圧が静圧に回収できるディフ
ューザ効果が働き、送風機にとって通風抵抗が低い条件
での空力性能の劣化と送風騒音の増加を抑えると共に通
風抵抗が高い条件での空力性能が向上するという作用を
有する。

【００２２】請求項３記載の発明は、請求項１請求項２
記載の発明に加えて、オリフィスの吐出側に、羽根車の
回転軸に平行に設けた複数の放射状の溝を、前記羽根車
の回転軸と同一の中心をもつ円筒断面で切断した際の断
面積が前記オリフィスの外周ほど大きくなるようにした
ものであり、送風機にとって通風抵抗の高い条件では、
羽根外周側から流入した気流が、羽根車の翼間では気流
の軸方向成分が低下し半径方向成分が増加し羽根から吐
出する際、溝の断面積が外周ほど大きくなることで、羽
根外周から吐出気流が溝部通過する際で十分に減速さ
れ、溝が動圧が静圧に有効に回収できるディフューザと
して有効に働き、通風抵抗が低い条件での空力性能の劣
化と送風騒音の増加を抑えると共に通風抵抗の高い条件
での空力性能が大幅に向上するという作用を有する。

【００２３】

【実施例】以下、本発明の実施例について図１〜図１２
を用いて説明する。

【００２４】尚、従来例と同一構成の部分については重
複をさけるため、同一符号を付けて説明を省略する。

【００２５】（実施例１）図１〜図４は本発明の実施例
の送風機を示す。図１〜図４において、１３は軸流式の
低圧型の送風機本体であり、オリフィス１４の吸い込み
側１５の内壁断面は気流の吐出方向ほど内径の小さくな
る略円弧状であり、オリフィス１４の吐出側１６の内壁
断面は気流の吐出方向ほど内径の大きくなる略円弧状で
あり吐出側１６に羽根車３の回転軸３ａに平行な溝１７
を放射状に複数設けている。

【００２６】この構成により、送風機１３にとって通風
抵抗の低い条件では、図５で示すように羽根５の外周か
ら羽根車３内部に流入する気流は、オリフィス１３の略
円弧状断面の吸込側１５内壁面に導かれて流れ、羽根車
１３の翼間で気流の主成分は軸方向成分ため、羽根５の
外周側５ｄからほぼ軸方向に吹き出し、オリフィス１４
の吐出側１６の内壁面１６ａに沿って送風機１３より吹
き出す。

【００２７】また、送風機１３にとって通風抵抗の高い
条件では、図６で示すように羽根５の外周から流入した
気流は、羽根車３の翼間では気流の軸方向成分が低下し
半径方向成分が増加し、羽根５の外周側５ｄから吐出す
る際、オリフィス１４の吐出側１６に向かい吹き出す
が、吐出側１６に設けた溝部１７を吐出気流が通ること
で、吐出側１６の内壁面１６ａに衝突し阻害される吐出
気流は少なくなり、羽根５の外周側５ｄの吐出気流全体
としては半径方向に広がりながら吐出する。

【００２８】従って、セパレート型の空気調和機の室外
機１１の設置条件以外に運転条件などによって、大きく
変化する送風機１３の動作点条件に対応し、吹き出し方
向が変化する羽根５の外周側５ｄからの吐出気流を阻害
せず、通風抵抗が低い条件での空力性能の劣化と送風騒
音の増加を抑えると共に通風抵抗が高い条件での空力性
能の劣化を抑える。

【００２９】（実施例２）図５〜図７は本発明の実施例
２の送風機を示す。尚、実施例と同一構成の部分につい
ては重複をさけるため同一符号を付け説明を省略する。

【００３０】１８は、オリフィス１４の吐出側１６に羽
根車３の回転軸３ａに平行に設けた複数の放射状の溝
で、オリフィス１４の外周ほど、羽根車３の回転方向に
前傾させている。

【００３１】この構成により、送風機１３にとって通風
抵抗の高い条件では、羽根５の外周側５ｄから流入した
気流が、羽根車３の翼間では気流の軸方向成分が低下し
半径方向成分が増加し羽根５の外周側５ｄから吐出し、
オリフィス１４の吐出側１６に向かい吹き出す際、溝１
８を羽根車３の回転方向に前傾させることで、羽根５の
回転により周方向成分を有する羽根５の外周側５ｄの吐
出気流が、方向を大きく変えること無く溝１８に流入
し、流れの偏向が少なくなると共に、溝１８が前傾する
ことで羽根５からの吐出気流が通過する溝１８の長さが
長くなることで、吐出気流が溝１８で減速され、動圧が
静圧に回収できるディフューザ効果が働き、通風抵抗が
低い条件での空力性能の劣化と送風騒音の増加を抑える
と共に通風抵抗が高い条件での空力性能が向上する。

【００３２】（実施例３）図８〜図１０は本発明の実施
例３の送風機を示す。尚、実施例１と同一構成の部分に
ついては重複をさけるため同一符号を付け説明を省略す
る。

【００３３】１９は、オリフィス１４の吐出側１６に羽
根車３の回転軸３ａに平行に設けた複数の放射状の溝
で、羽根車３の回転軸と同一の中心をもつ円筒断面Ｂ−
Ｂ，Ｃ−Ｃで切断した際の断面積が円筒断面Ｂ−Ｂに比
べ、円筒断面Ｃ−Ｃが大きくなるようにオリフィスの外
周ほど大きくしている。

【００３４】この構成により、送風機１３にとって通風
抵抗の高い条件では、羽根５の外周側５ｄから流入した
気流が、羽根車３の翼間では気流の軸方向成分が低下し
半径方向成分が増加し羽根５の外周側５ｄから吐出して
オリフィス１４の吐出側１６に向かい吹き出す際、溝１
９の断面積が外周ほど大きくなることで、溝１９を通過
する際で十分に減速され、溝１９が動圧が静圧に有効に
回収できるディフューザとして有効に働き、通風抵抗が
低い条件での空力性能の劣化と送風騒音の増加を抑える
と共に通風抵抗が高い条件での空力性能が大幅に向上す
る。

【００３５】尚、以上の説明では、軸流式の送風機を例
に説明したが、斜流式の低圧型の送風機でも同様に実施
可能である。

【００３６】また、上記説明では、軸流式の送風機が搭
載される機器をセパレート型空気調和機の室外機を例に
説明したが、送風機と熱交換器等が組み合わされて搭載
される冷蔵庫，自動販売機，及び、コンデンシングユニ
ット等のその他の冷蔵，冷凍機器でも同様に実施可能で
ある。

【００３７】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、オリフィ
スの吸い込み側の内壁断面が気流の吐出方向ほど内径の
小さくなる略円弧状であり、オリフィスの吐出側に羽根
車の回転軸に平行な溝を放射状に複数設けることによ
り、送風機にとって通風抵抗の低い条件では、羽根外周
から羽根車内部に流入する気流は、オリフィスの略円弧
状断面の吸込側内壁面に導かれて流れ、羽根車の翼間で
は、気流の主成分は軸方向成分ため、羽根の外周からほ
ぼ軸方向に吹き出し、オリフィスの吐出側の内壁面に沿
って送風機より吹き出す。

【００３８】また、送風機にとって通風抵抗の高い条件
では、羽根外周から流入した気流は、羽根車の翼間では
気流の軸方向成分が低下して半径方向成分が増加し、羽
根から吐出する際、オリフィスの吐出側に向かい吹き出
すが、吐出側に設けた溝を吐出気流が通ることで、吐出
側の内壁面に衝突し阻害される吐出気流は少なくなり、
羽根の外周側の吐出気流全体としては半径方向に広がり
ながら吐出する。

【００３９】従って、送風機が搭載される機器の設置条
件以外に機器の運転条件などによって、大きく変化する
送風機の動作点条件に対応し、吹き出し方向が変化する
羽根の外周側からの吐出気流を阻害せず、運転条件によ
って動作点条件が大きく変化しても、通風抵抗が低い条
件での空力性能の劣化と送風騒音の増加を抑えると共に
通風抵抗が高い条件での空力性能の劣化を抑えるという
有利な効果が得られる。

【００４０】また、オリフィスの吐出側に羽根車の回転
軸に平行に設けた複数の放射状の溝をオリフィスの外周
ほど羽根車の回転方向に前傾させることで、送風機にと
って通風抵抗の高い条件では、羽根の外周側から流入し
た気流が、羽根車の翼間では気流の軸方向成分が低下し
半径方向成分が増加し羽根の外周側から吐出してオリフ
ィスの吐出側に向かい吹き出す際、羽根の回転により周
方向成分を有する羽根の外周側の吐出気流が、方向を大
きく変えること無く溝に流入し、流れの偏向が少なくな
ると共に、溝が前傾することで羽根からの吐出気流が通
過する溝の長さが長くなることで、吐出気流が溝で減速
され、動圧が静圧に回収できるディフューザ効果が働
き、通風抵抗が低い条件での空力性能の劣化と送風騒音
の増加を抑えると共に通風抵抗が高い条件での空力性能
が向上するという有利な効果が得られる。

【００４１】また、オリフィスの吐出側に羽根車の回転
軸に平行に設けた複数の放射状の溝を、羽根車の回転軸
と同一の中心をもつ円筒断面で切断した際の断面積がオ
リフィスの外周ほど大きくすることで、送風機にとって
通風抵抗の高い条件では、羽根の外周側から流入した気
流が、羽根車の翼間では気流の軸方向成分が低下し半径
方向成分が増加し羽根の外周側から吐出してオリフィス
の吐出側に向かい吹き出す際、溝の断面積が外周ほど大
きくなることで、溝を通過する際に十分に減速され、溝
が動圧が静圧に有効に回収できるディフューザ効果とし
て有効に働き、通風抵抗が低い条件での空力性能の劣化
と送風騒音の増加を抑えると共に通風抵抗が高い条件で
の空力性能が大幅に向上するという有利な効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１における軸流型の送風機の断
面図

【図２】本発明の実施例１における軸流型の送風機の吐
出側正面図

【図３】本発明の実施例１における軸流型の送風機のＡ
１−Ａ１断面図

【図４】本発明の実施例１における軸流型の送風機が搭
載されるセパレート型空気調和機の室外機の断面図

【図５】本発明の実施例１における軸流型の送風機が通
風抵抗の低い条件で運転された場合の送風機の要部状態
図

【図６】本発明の実施例１における軸流型の送風機が通
風抵抗の高い条件で運転された場合の送風機の要部状態
図

【図７】本発明の実施例２における軸流型の送風機の断
面図

【図８】本発明の実施例２における軸流型の送風機の吐
出側正面図

【図９】本発明の実施例２における軸流型の送風機のＡ
２−Ａ２断面図

【図１０】本発明の実施例３における軸流型の送風機の
断面図

【図１１】本発明の実施例３における軸流型の送風機の
吐出側正面図

【図１２】本発明の実施例３における軸流型の送風機の
Ａ３−Ａ３断面図

【図１３】従来の軸流型の送風機が搭載されるセパレー
ト型空気調和機の室外機の断面図

【図１４】従来の軸流型の送風機が通風抵抗の高い条件
で運転された場合の送風機の要部状態図

【図１５】従来の軸流型の送風機が通風抵抗の低い条件
で運転された場合の送風機の要部状態図

【符号の説明】

２ モータ ３ 羽根車 ３ａ 回転軸 ４ ハブ ５ 羽根 １３ 送風機 １４ オリフィス １５ 吸い込み側 １６ 吐出側 １７，１８，１９ 溝

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 モータ，羽根車，オリフィスから成り、
   前記羽根車は、前記モータに取り付けられたハブと、前
   記ハブの周囲に設けられた複数の羽根から成り、前記オ
   リフィスは前記羽根車の吐出側の外周を囲み、吸い込み
   側の内壁断面が気流の吐出方向ほど内径の小さくなる略
   円弧状であり、吐出側に前記羽根車の回転軸に平行な溝
   を放射状に複数設けた送風機。
2. 【請求項２】 オリフィスの吐出側に、羽根車の回転軸
   に平行に設けた複数の放射状の溝を、前記オリフィスの
   外周ほど、前記羽根車の回転方向に前傾させた請求項１
   記載の送風機。
3. 【請求項３】 オリフィスの吐出側に、羽根車の回転軸
   に平行に設けた複数の放射状の溝を、前記羽根車の回転
   軸と同一の中心をもつ円筒断面で切断した際の断面積が
   前記オリフィスの外周ほど大きくなる請求項１、あるい
   は請求項２記載の送風機。