JPH11199380A - シリコンウエーハ及び結晶育成方法 - Google Patents
シリコンウエーハ及び結晶育成方法Info
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Abstract
の発生を抑制する。 【解決手段】 CZ法により単結晶13を育成する。原
料融液12を生成する際に、結晶中の炭素濃度が1×1
016atoms/cm3 以上となるように、坩堝3の内底面上に
炭素粉末10を投入し、その後で多結晶原料11を装填
する。原料融液12から単結晶13を引き上げるときの
引き上げ速度を、OSFリングが結晶最外周部より内側
に生じるか、若しくは外側に消滅する高速度とする。結
晶中の炭素濃度を1×1016atoms/cm3 以上とすること
により、空孔クラスタ発生域における0.13以上の空
孔クラスタの単位面積当たりの個数が、1回のSC1洗
浄後の段階で0.5個/cm2 以下に減少する。
Description
素材として使用されるシリコンウエーハ、及びそのウエ
ーハを製造するための結晶育成方法に関する。
シリコンウエーハは、主にCZ法により育成されたシリ
コン単結晶から採取される。CZ法とは、周知の如く、
石英坩堝内に生成されたシリコンの原料融液に種結晶を
漬け、種結晶及び石英坩堝を逆方向に回転させながら種
結晶を引き上げることにより、その下にシリコンの単結
晶を育成する方法である。
て製造されたシリコンウエーハは、熱酸化処理を受けた
ときに、OSFリングと呼ばれるリング状の酸化誘起積
層欠陥を生じることが知られている。OSFリングはそ
れ自体が半導体素子の特性を劣化させる原因になるだけ
でなく、リングの外側と内側では物性が異なり、OSF
リングの外側には格子間原子の凝集が原因とされる転位
クラスタが発生するが、OSFリングの内側は比較的健
全とされている。一方、このOSFリングについては、
引き上げ速度が速くなるに連れて単結晶の外周側へ移動
することが知られている。
リングが、デバイス形成の際の有効部から除外される結
晶最外周部に分布するような高速引き上げ条件で単結晶
の育成を行っており、生産性の点からもこの高速引き上
げは好ましいものである。
いわけではない。この部分には空孔の凝集が原因とされ
る空孔クラスタが発生している。この欠陥は、ウエーハ
の表面をエッチングすると小さなピットとなって現れる
が、非常に小さなため、これまでは特に問題視されるこ
とはなかった。しかし、近年の著しい集積度の増大に伴
ってパターン幅が非常に微細化したため、高グレードの
ウエーハではこの空孔クラスタさえも問題になり始め
た。
ン単結晶の薄膜を成長させた所謂エピタキシャルウエー
ハには殆ど発生しないが、このウエーハは非常に高価で
あるため、CZ法による単結晶の引き上げで空孔クラス
タの少ない結晶を育成することが要求されるようにな
り、この観点から、高グレードの結晶育成では、これま
でとは逆に引き上げ速度を遅くし、OSFリングを引き
上げ結晶の最外周部より内側に発生させて欠陥部分を中
心部に集中させるか、若しくは中心部で消滅させて空孔
クラスタ個数の低減を図る低速引き上げ法が考えられて
いる。
速引き上げでは、高速引き上げに比べて生産性が著しく
低下するという問題がある。また、引き上げ速度を遅く
することにより、引き上げ時間が長くなるため、有転位
化を生じる危険性が大きくなり、この有転位化による歩
留りの低下も問題になる。
を経て製造されるシリコンウエーハは、高速引き上げに
よるものに比べて高価となる。
1/2位置に発生させる場合は、最大引き上げ速度の
0.7倍程度の低速で引き上げを行うことが必要とされ
ており、OSFリングを結晶中心部で消滅させる場合
は、最大引き上げ速度の0.6倍程度の低速引き上げが
必要とされている。
かも製造コストが安いシリコンウエーハを提供すること
にある。
させずとも、空孔クラスタの発生を抑制することができ
る結晶育成方法を提供することにある。
ス材料として使用される一般のシリコン単結晶では、炭
素は不純物として扱われており、不可避的に混入する分
を除き、この炭素は含まれていないのが通例である。不
可避的に混入する炭素としては、大きく別けてシリコン
の多結晶原料に不純物として含まれるものと、単結晶の
育成過程で周囲のグラファイト製ヒータから混入するも
のの2つがあるが、その濃度は一般のウエーハで0.5
×1016atoms/cm3 以下である。また、一部ではウエー
ハを強化するために炭素を積極的に添加することも行わ
れているが、そのような炭素強化型ウエーハでも、炭素
濃度は1×1016atoms/cm3 未満である。
れた場合に、空孔クラスタの発生を抑制する因子になり
得ることが本発明者らによる種々の実験調査から明らか
となった。これを踏まえて、本発明者らは空孔クラスタ
に及ぼす炭素濃度の影響を子細に調査した結果、炭素濃
度が1×1016atoms/cm3 以上の場合に、OSFリング
内側での空孔クラスタの発生が顕著に抑制され、低速引
き上げが必要とされなくなることを知見した。
れる理由は現時点では定かではないが、一応次のように
考えられる。炭素起因の析出物により、その周辺のSi
格子が圧縮して歪み、この歪みを緩和させるのに空孔が
消費されるためと考えられる。
造するためには、炭素がドープされた原料融液から単結
晶を引き上げる必要がある。本発明者らは、坩堝内の原
料融液に炭素をドープする方法についても調査検討し
た。その結果、以下の知見を得ることができた。
料融液に炭素粉末を添加する方法では、溶け残りや飛散
が生じ、原料融液の炭素濃度が正確に管理されないだけ
でなく、溶け残った粉末や飛散した粉末が単結晶に取り
込まれて有転位化を生じるという問題がある。
素粉末の添加方法について検討した結果、坩堝内で多結
晶原料を溶解して原料融液を生成する際に、多結晶原料
の装填に先立って坩堝の内底面上に炭素粉末を敷いてお
くと、その粉末の飛散が防止されるだけでなく、高温の
坩堝底部によって炭素粉末が効率的に加熱され、その粉
末の溶け残りが生じなくなることを知見した。
1×1016atoms/cm3 以上であり、且つ、空孔クラスタ
発生域における0.13μm以上の空孔クラスタの単位
面積当たりの発生個数が、1回のSC1洗浄後で0.5
個/以下であることを構成上の特徴点とする。
16atoms/cm3 以上とすることにより、空孔クラスタ発生
域における空孔クラスタの発生が顕著に抑制される。ま
た、最近の結晶育成は低酸素化及び低温化により酸素が
析出しにくい傾向にあり、その結果、ウエーハは酸素析
出物によるゲッタリング能力を低下させているが、結晶
中の炭素は酸素が析出するときの析出核となり、その酸
素析出を促進するので、炭素濃度の増大はウエーハのゲ
ッタリング能力を高める点からも好都合である。
制する点から2×1016atoms/cm3以上が好ましく、5
×1016atoms/cm3 以上が特に好ましい。しかし、余り
に高濃度であると、有転位化の原因となるので、上限に
ついては5×1017atoms/cm3 以下が好ましく、2×1
017atoms/cm3 以下が特に好ましい。
発生するものについてはそのリングの内側を意味し、O
SFリングが外側に消滅したものについてはウエーハ全
体を意味する。また、OSFリングが結晶中心部で消滅
したものにおいては、空孔クラスタ発生域は存在しな
い。
処理することによりその表面に発現し観察が可能とな
り、その処理程度によって観察可能な空孔クラスタの大
きさ及び個数が変化する。本発明で言う空孔クラスタの
大きさ及び個数は、1回のSC1洗浄を行った段階で発
現する空孔クラスタについてのものである。なお、SC
1洗浄は、ウエーハの欠陥検査に広く用いられている前
処理法であり、代表的なものとしてNH4 OH:H2 O
2 :H2 O=1:1:5のSC1洗浄液により75℃×
20分の条件でウエーハを洗浄する処理を挙げることが
できる。
m2 以下としたが、0.1個/cm2 以下が好ましく、
0.03個/cm2 以下が特に好ましい。
用いてシリコン単結晶を育成する結晶育成方法におい
て、育成結晶中の炭素濃度が1×1016atoms/cm3 以上
となるように炭素がドープされたシリコン融液より単結
晶を引き上げるものである。
内底面上に炭素粉末を投入し、その後に多結晶原料を装
填する方法が好ましい。
×1016atoms/cm3 以上としたのは、これ未満ではウエ
ーハの炭素濃度として1×1016atoms/cm3 以上が確保
されなくなり、空孔クラスタの発生が十分に抑制されな
いからである。好ましい下限は2×1016atoms/cm3 以
上であり、5×1016atoms/cm3 以上が特に好ましい。
炭素濃度の上限は特に規定しないが、極端に高濃度とな
ると有転位化の原因となるので、5×1017atoms/cm3
以下が好ましく、2×1017atoms/cm3 以下が特に好ま
しい。
且つ有転位化による歩留り低下を抑制するために、OS
Fリングが結晶の最外周部に発生するか外側に消滅する
高速引き上げが好ましいが、OSFリングが結晶の最外
周部より内側に発生する低速引き上げを採用して、空孔
クラスタの発生域を狭めることも可能である。
基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る結晶
育成方法の説明図で、(a)は原料溶解工程、(b)は
引き上げ工程を示す。
の上面中心部に連結されたプルチャンバ2とを備えてい
る。これらは、軸方向を垂直とした略円筒状の真空容器
からなり、図示されない水冷機構を有している。メイン
チャンバ1の内部には、略中央に位置して坩堝3が配置
されると共に、坩堝3の外側に位置してヒータ4及び保
温筒5が配置されている。
容器とからなり、回転式かつ昇降式の支持軸6により支
持されている。坩堝3の上方には、回転式かつ昇降式の
引き上げ軸7がプルチャンバ2を通して吊り下げられ、
引き上げ軸7の下端には種結晶8が装着されている。
すように、チャンバを解体した状態で、坩堝3の内底面
上に炭素粉末10を投入し、その上からシリコンの多結
晶原料11を装填する。炭素粉末10の投入量は、結晶
前半部の炭素濃度が1×1016atoms/cm3 以上となるよ
うに調整され、これにより結晶後半部の炭素濃度は5×
1016atoms/cm3 以上となる。
て、その内部を真空排気した状態でヒータ4を作動させ
て、坩堝3内の原料を溶解する。このようにして、所定
量の炭素がドープされたシリコンの原料融液12を坩堝
3内に生成する〔図1(b)参照〕。
(b)に示すように、引き上げ軸7の下端に装着された
種結晶8を原料融液12に浸漬し、この状態から坩堝3
と引き上げ軸7を逆方向に回転させながら引き上げ軸7
を上昇させる。これにより、種結晶8の下方にシリコン
の単結晶13が育成される。ここにおける引き上げ速度
は、OSFリングが結晶の最外周部に生じるか若しくは
その外側に消滅する高速度とされる。
s/cm3 以上の炭素を含むものとなり、その結果、高速引
き上げによって育成された単結晶であるにもかかわらず
空孔クラスタの発生が抑制された高品質結晶となる。
によって育成されているので、生産性が高く安価であ
る。加えて、有転位化の危険性が低いので、歩留りが高
く、この点からも経済性に優れる。
3の内底面上に敷いて原料溶解を行うので、炭素粉末が
完全に溶け、その溶け残りによる炭素濃度のバラツキ及
び有転位化が防止される。しかも、炭素粉末の飛散が生
じないので、飛散粉末の落下による有転位化も防止され
る。従って、無転位化引き上げ歩留りが一層高い。
ることにより、本発明の効果を明らかにする。
入した。粉末サイズは約1μmである。次に、通常のシ
リコン多結晶原料100kgを装填し、その後、p型ド
ーパントとしてボロン−シリコン合金0.6g添加し
た。このようにして原料の装填を行った後、チャンバ内
を10TorrのAr雰囲気にし、ヒータパワーを70
kwに設定して、多結晶原料を溶解した。そして、この
溶解により生成された原料融液から、100方位の種結
晶により直径が8インチのシリコン単結晶を1000m
m育成した。このときの結晶成長速度(引き上げ速度)
は、OSFリングが結晶の最外周部に発生する0.8m
m/分に設定した。
合、及び多結晶原料の装填後に炭素粉末を投入した場合
についても、同様の結晶育成を実施した。炭素粉末を投
入しない場合の引き上げ速度は、上述の0.8mm/分
(高速引き上げ)と、OSFリングが中心部に発生する
0.5mm/分(低速引き上げ)の2種類とした。
上げ率、育成結晶のトップから500mmの位置で切り
出したサンプルウエーハの炭素濃度及び空孔クラスタ個
数を調査した結果を表1に示す。空孔クラスタ個数は、
サンプルウエーハを鏡面研磨し、SC1洗浄後パーティ
クルカウンタにより0.13μm以上の空孔クラスタの
個数(COP数)をカウントしたものである。
が積極的にドープされていない場合は、ウエーハ1枚当
たり180個(密度は0.57個/cm2 )の空孔クラ
スタが発生するが、結晶中の炭素濃度が1×1016atom
s/cm3 以上となるように炭素粉末を投入することによ
り、空孔クラスタ数は35個以下(密度は0.112個
/cm2 以下)に減少する。但し、多結晶原料装填後に
炭素粉末を投入した場合は、粉末の溶け残り等のため無
転位引き上げ率が低下し、結晶中の炭素濃度も狙い値よ
り低下する。
下させた場合も空孔クラスタの個数はウエーハ1枚当た
り25個に減少するが、無転位引き上げ率は20%に低
下する。また、速度低下による生産性の低下が大きいこ
とは言うまでもない。
のシリコンウエーハは、空孔クラスタが少ない上に、結
晶育成工程で引き上げ速度を低下させずとも製造される
ので、低速育成工程を経て製造されたウエーハと比べて
安価である。
速度を低下させずとも空孔クラスタの発生を抑えること
ができるので、生産性及び無転位歩留りが高い。従っ
て、高品質のウエーハを安価に製造することができる。
であり、(a)は原料溶解工程、(b)は引き上げ工程
を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 炭素濃度が1×1016atoms/cm3 以上で
あり、且つ、空孔クラスタ発生域における0.13μm
以上の空孔クラスタの単位面積当たりの発生個数が、1
回のSC1洗浄後で0.5個/cm2 以下であることを
特徴とするシリコンウエーハ。 - 【請求項2】 CZ法を用いてシリコン単結晶を育成す
る結晶育成方法において、育成結晶中の炭素濃度が1×
1016atoms/cm3 以上となるように炭素がドープされた
シリコン融液より単結晶を引き上げることを特徴とする
結晶育成方法。 - 【請求項3】 坩堝内でシリコンの多結晶原料を溶解し
てシリコン融液を生成する際に、坩堝の内底面上に炭素
粉末を投入し、その後に多結晶原料を装填することを特
徴とする請求項2に記載の結晶育成方法。
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