JPH11198679A - 表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 大幅な省スペース化および構成の簡略化を図
れる表示装置を提供する。 【解決手段】 この表示装置は、車両のフロントガラス
１の内面に貼り付けられて設置される透明なＥＬ表示素
子３と、その表示内容を制御する制御部とを備えてい
る。ＥＬ表示素子３は、その発光層が透明有機材料で形
成された有機ＥＬ表示素子であり、直流低電圧で駆動で
きるとともに、高輝度が得られるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、航空機、
船舶等の移動体の運転者前方の視界内に設置される表示
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、自動車において、ヘッドアップ
ディスプレイとして知られている従来の表示装置は、ダ
ッシュボード内部に配設された表示ユニットの表示画像
を、フロントガラス内面に配設されたコンバイナ（反射
部材）等に投影することによって、表示を行うようにな
っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の表示装置では、フロントガラス内面に設置される
コンバイナとは別に、表示画像作製用の表示ユニットを
ダッシュボード内部に配設する必要があるので、ダッシ
ュボード内に表示ユニットのための設置スペースを確保
する必要があり、省スペース化の妨げになるという問題
がある。また、表示ユニットの表示面からコンバイナへ
向かう表示光に不要な光が混入しないように特別な遮光
対策を施す必要があり、これが構成の複雑化を招いてい
るという問題もある。

【０００４】そこで、本発明は前記問題点に鑑み、大幅
な省スペース化および構成の簡略化を図れる表示装置を
提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の技術的手段は、移動体を運転操作する運転者前方の視
界内に設置され、所定の電圧が印加されると所定の光を
発する透明な発光層と、その発光層を両側から挟み込む
透明な電極層とを有する透明なＥＬ表示素子と、前記Ｅ
Ｌ表示素子の前記両電極層間に所定の電圧を印加し、前
記発光層の発光状態を制御することにより、前記ＥＬ表
示素子に所定の視認情報を表示させる制御部と、を備え
ることを特徴とする。

【０００６】好ましくは、前記ＥＬ表示素子は、前記発
光層が、透明有機材料で構成された有機ＥＬ表示素子で
あるのがよい。

【０００７】また、好ましくは、前記ＥＬ表示素子は、
フロントガラス内面に装着されるのがよい。

【０００８】また、前記ＥＬ表示素子は、車室内におけ
るフロントガラスに面する位置に、前記フロントガラス
に対向させて設置されてもよい。

【０００９】また、前記ＥＬ表示素子は、フロントガラ
ス内部に埋め込まれて設置されてもよい。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施形態に係る
表示装置のＥＬ表示素子が車両のフロントガラス内面側
に設置された様子を示す図であり、図２は図１の要部断
面図であり、図３は図１の表示装置の構成を示す図であ
る。この表示装置は、車両のフロントガラス１の内面側
に貼り付けられて設置される透明なＥＬ表示素子３と、
ダッシュボード５内等に設置される制御部７とを備えて
構成されている。

【００１１】ＥＬ表示素子３は、図３に示されるよう
に、薄いガラス基板や透明樹脂基板等からなる透明基板
１１と、その透明基板１１上に形成されるＩＴＯ（イン
ジウム−チン−オキサイド）膜等の透明性を有する材料
からなる透明電極層１３と、さらにその上に形成される
透明な有機材料からなる単層あるいは複数層の有機発光
層１５と、さらにその上に形成される仕事関数の低い超
薄膜からなる透明電極層１７と、さらにその上に形成さ
れるＩＴＯ膜等の透明性を有する材料からなる透明導電
膜１９と、ガラス、あるいはアクリル等の透明樹脂から
なる透明カバー２１と、を備えて構成されている。な
お、透明基板１１および透明カバー２１には、適度な可
撓性を確保するために、透明樹脂材料により形成された
ものを使用するのが好ましい。

【００１２】これらの透明電極層１３，１７、有機発光
層１５および透明導電膜１９は、各種の蒸着技術により
所定の膜厚に形成されるようになっている。特に、透明
電極層１７は、透明性を確保するため光の透過が可能な
超薄膜に形成する必要がある。このように蒸着して形成
される素子部２３は、透明基板１１と、透明カバー２１
とによって封止されており、透明カバー２１は、その内
部が不活性ガスや窒素ガス等で満たされた状態で、透明
基板１１の周縁部と接着剤２５によって固定されるよう
になっている。

【００１３】ここで、透明電極層１７の材料としては、
Ｍg／Ａg、Ａl／Ｌi、Ａl／ＬiＦ等の有機発光層１５へ
の電子注入効率の高いものが選択される。有機発光層１
５は、単層型と、複数の層が積層された積層型のものと
があり、陽極である透明電極層１３と陰極である透明電
極層１７とによって両側から挟み込まれた状態で設けら
れている。

【００１４】このように透明電極層１３，１７、有機発
光層１５および透明導電膜１９が積層されて形成される
素子部２３には、所定の視認情報を表示するために、画
像形成用のマトリックス状に配設された複数の画素部、
所定の形状および所定の配列状態で配設された複数のセ
グメント部、あるいは所定の情報が対応付けられた図形
や記号の形状に形成された表示セル部が設けられてい
る。

【００１５】そして、その各画素部、各セグメント部、
あるいは表示セル部の透明電極層１３は、それぞれ所定
の接続ライン２７によって制御部７に接続され、またそ
の各画素部、各セグメント部、あるいは表示セル部の透
明電極層１７および透明導電膜１９は、それぞれ所定の
接続ライン２９によって制御部７に接続されている。

【００１６】ここで、ＥＬ表示素子３は、両透明電極層
１３，１７間に、透明電極層１３側が陽極となるよう
に、直流電圧が印加されると、有機発光層１５内に、透
明電極１５側からホール（正孔）、透明電極層１７側か
ら電子が注入され、有機発光層１５が、そのホールと電
子との結合に伴って所定の色の光を発するようになって
おり、制御部７は、接続ライン２７，２９を通じて、各
画素部、各セグメント部、あるいは表示セル部の両透明
電極層１３，１７間に印加する直流電圧を制御し、その
各画素部等の有機発光層１５の発光状態を制御すること
により、ＥＬ表示素子３に所定の視認情報を表示させる
ようになっている。

【００１７】なお、ここでは透明基板１１の上に透明電
極層１３、有機発光層１５、透明電極層１７および透明
導電膜１９の順に積層するようにしたが、この逆に、透
明基板１１の上に透明電極層１７、有機発光層１５、透
明電極層１３および透明導電膜１９の順に積層してもよ
い。

【００１８】また、透明基板１１の外側、透明カバー２
１の内側または外側に一層または複数層の紫外線吸収層
を設けることや、透明基板１１、透明カバー２１に紫外
線吸収材を添加することにより、耐候性、耐紫外線性に
優れたものとすることもできる。

【００１９】このように構成されるＥＬ表示素子３は、
適度な可撓性を有するパネル状のシート部材であり、図
１および図２に示されるように、車両のフロントガラス
１の内面（車外側表面でもよい）に接着剤等によって貼
り付けられて設置されるようになっている。

【００２０】ＥＬ表示素子３の表示内容としては、車速
度等の車両の運行に直接必要な情報や、エアコン、オー
ディオ機器等の各種電装品の設定状態を示す情報や、ナ
ビゲーション情報などが表示されるようになっている。
図１の図示例では、ナビゲーションション情報が表示さ
れるようになっており、図１中、３１は、車両の進むべ
き方向を矢印にて表示する表示内容であり、３３は、次
の左折または右折地点までの距離を数値表示する表示内
容であり、３５は、車両の進行方向の変化に応じて東西
南北の方角表示３５ａを回転させることより、車両が進
んでいる方角を示す表示内容である。

【００２１】以上のように、本実施形態によれば、透明
なパネル状のＥＬ表示素子３が、フロントガラス１の内
側に設置され、そのＥＬ表示素子３自体が発する光によ
り所定の視認情報の表示が行われるようになっているの
で、従来のように、表示画像をコンバイナに投影するた
めの表示ユニットをダッシュボード内部等に設ける必要
がなく、また特別な遮光対策を施す必要もなく、大幅な
省スペース化および構成の簡略化が図れる。

【００２２】また、本実施形態に係るＥＬ表示素子３
は、有機発光層１５を備えた有機ＥＬ表示素子であるの
で、直流低電圧により発光させることが可能であり、ま
た高輝度が得られるという利点があり、消費電力が小さ
くてしかも高輝度が得られ、駆動の容易な表示装置を構
成することができる。

【００２３】ＥＬ表示素子３がフロントガラス１の内面
に貼り付けられて設置されるようになっているので、貼
り付けるだけで容易に設置できるという利点がある。

【００２４】なお、本実施形態では、ＥＬ表示素子３を
フロントガラス１に貼り付けて設置したが、図４に示さ
れるように、ＥＬ表示素子３をガラス等の透明板に挟み
込む等の方法で補強して適度な剛性を有する板状の表示
パネル４１としたものを、車室内におけるフロントガラ
ス１の内面側に対向させて設置するようにしてもよい。
このときの表示パネル４１の設置方法としては、例えば
ダッシュボード５上に設置された基台４３に、傾倒角度
が調節できるように立設する方法が考えられる。

【００２５】また、本実施形態では、ＥＬ表示素子３を
フロントガラス１に貼り付けて設置したが、フロントガ
ラス１内部に埋め込んで設置するようにしてもよい。

【００２６】さらに、本実施形態では、ＥＬ表示素子３
に有機ＥＬ表示素子を使用したが、発光層１５が透明な
無機材料で形成された透明な無機ＥＬ素子を使用しても
よい。

【００２７】

【発明の効果】以上のように、請求項１ないし５記載の
発明によれば、透明なパネル状のＥＬ表示素子が、移動
体を運転操作する運転者前方の視界内に設置され、その
ＥＬ表示素子自体が発する光により所定の視認情報の表
示が行われるようになっているので、従来のように、表
示画像をコンバイナに投影するための表示ユニットをダ
ッシュボード内部等に設ける必要がなく、また特別な遮
光対策を施す必要もなく、大幅な省スペース化および構
成の簡略化が図れる。

【００２８】請求項２記載の発明によれば、有機ＥＬ表
示素子は、直流低電圧により発光させることが可能であ
り、また高輝度が得られるという利点があるので、消費
電力が小さくてしかも高輝度が得られ、駆動の容易な表
示装置を構成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る表示装置のＥＬ表示
素子が車両のフロントガラス内面側に設置された様子を
示す図である。

【図２】図１の要部断面図である。

【図３】図１の表示装置の構成を示す図である。

【図４】図３の表示装置に備えられるＥＬ表示素子の設
置方法の変形例を示す図である。

【符号の説明】

１ フロントガラス ３ ＥＬ表示素子 ７ 制御部 １１ 透明基板 １３，１７ 透明電極層 １５ 有機発光層 １９ 透明導電膜 ２１ 透明カバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西浦 洋三 愛知県名古屋市南区菊住１丁目７番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内 (72)発明者 上羽 良信 大阪市此花区島屋１丁目１番３号 住友電 気工業株式会社内 (72)発明者 上村 卓 大阪市此花区島屋１丁目１番３号 住友電 気工業株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移動体を運転操作する運転者前方の視界
   内に設置され、所定の電圧が印加されると所定の光を発
   する透明な発光層と、その発光層を両側から挟み込む透
   明な電極層とを有する透明なＥＬ表示素子と、 前記ＥＬ表示素子の前記両電極層間に所定の電圧を印加
   し、前記発光層の発光状態を制御することにより、前記
   ＥＬ表示素子に所定の視認情報を表示させる制御部と、
   を備えることを特徴とする表示装置。
2. 【請求項２】 前記ＥＬ表示素子は、前記発光層が、透
   明有機材料で構成された有機ＥＬ表示素子であることを
   特徴とする請求項１記載の表示装置。
3. 【請求項３】 前記ＥＬ表示素子は、フロントガラス内
   面に装着されることを特徴とする請求項１または２記載
   の表示装置。
4. 【請求項４】 前記ＥＬ表示素子は、車室内におけるフ
   ロントガラスに面する位置に、前記フロントガラスに対
   向させて設置されることを特徴とする請求項１または２
   記載の表示装置。
5. 【請求項５】 前記ＥＬ表示素子は、フロントガラス内
   部に埋め込まれて設置されることを特徴とする請求項１
   または２記載の表示装置。