JPH11198403A - 画像形成方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体吐出ヘッドの回復処理の際に、液体の循
環供給路に介装されたフィルタに捕捉された気泡を円滑
に排除することができない。 【解決手段】 インク１１を吐出するプリントヘッド１
２とインク１１を貯留するインクタンク２１との間でイ
ンク１１を循環させるための循環流入路２２および循環
流出路２８を有し、プリントヘッド１２の吐出口１４か
らプリントシート１６にインク１１を吐出してプリント
を行う画像形成装置であって、循環流入路２２および循
環流出路２８に介装されてインク１１中の異物を捕捉す
るためのフィルタ３５と、吐出口１４からのインク１１
の吐出状態を良好にするための回復処理の際に、このフ
ィルタ３５に対する気泡の通過を促進させるためのイン
ク加熱装置３４とを具える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液体吐出ヘッドの
吐出口から液体を吐出してプリント媒体にプリントを行
う画像形成方法およびその装置に関し、特に液体の供給
路に介装されたフィルタに対する気泡の通過特性を改善
したものである。

【０００２】

【従来の技術】インクや、このインクのプリント性を調
整するための処理液などの液体をインクジェットヘッド
の吐出口から吐出し、紙や樹脂フィルム、あるいは布帛
や金属などのプリント媒体に所望の画像を形成するイン
クジェットプリント装置は、プリントヘッドがこのよう
なプリント媒体に対して非接触であるため、静粛性に優
れ、プリント速度が速く、高密度プリントが可能であっ
てカラー化が容易であり、装置全体を小型化できるなど
の利点を挙げることができる。

【０００３】インクジェットヘッドを用いるインクジェ
ットプリント装置においては、インクジェットヘッドか
ら液体が正常に吐出されるように、液体の供給路の途中
にフィルタを介装し、ここを流れる液体に含まれる塵埃
などの異物などをフィルタによって捕捉し、インクジェ
ットヘッドの吐出口に接続する液路などにこのような異
物が入り込んで目詰まりを起こさないように配慮してい
る。

【０００４】このような従来のフィルタの概略構造を図
５に示す。すなわち、液体の循環供給路を構成する配管
１ａ, １ｂの途中には、筒状をなすフィルタユニット２
の両端部が介装されており、このフィルタユニット２に
は例えば直径が１０μm よりも大きな異物を捕捉可能な
フィルタ３が組み込まれている。従って、図中、右側か
ら左側に向けて流れる液体４に混在する異物のうち、直
径が１０μm よりも大きなもの５や、直径が１０μm よ
りも大きな気泡６などは、このフィルタ３に捕捉されて
下流側へ流れ込まないようになっている。

【０００５】しかしながら、フィルタ３の上流側に捕捉
された気泡６が大径化すると、これが配管１ａに対する
流路抵抗となるため、図示しないインクジェットヘッド
に対して充分な量の液体を供給することができず、イン
クジェットヘッドからの液体の吐出が不安定となり、最
悪の場合にはインクを吐出されない状態が生ずる。そこ
で、インクジェットヘッドの回復処理を行って配管１ａ
中の気泡６を取り除くようにしている。

【０００６】回復時には、図示しないポンプにより液体
貯溜タンクから循環供給路の一方、すなわち往路を介し
てインクジェットヘッドに液体を圧送し、さらにこの圧
送によりインクジェットヘッドから循環供給路の他方、
すなわち復路を介して液体貯溜タンクに液体を還流させ
る。この還流により、往路および復路やインクジェット
ヘッド内に存在する気泡が液体貯溜タンク内に戻され、
この液体貯溜タンクから大気中に放出される。

【０００７】この際、循環供給路を構成する往路や復路
の途中に設けられたフィルタユニット２を気泡６が通過
しなければならない。気泡６がフィルタユニット２を通
過するためには、フィルタ３の表面で液体と気体とが形
成しているメニスカスが破壊されるように、ある一定の
圧力差をフィルタ３の前後、すなわち上流側と下流側と
の間に与える必要がある。

【０００８】図５に示した従来のものでは、回復処理の
際にポンプによって液体の圧送を行うと、全ての液体が
往路のフィルタユニット２のフィルタ３を通過するた
め、フィルタ３での圧力損失によってフィルタ３の前後
に大きな圧力差が生じ、気泡６がフィルタユニット２を
通過するようになっている。

【０００９】フィルタ３を通過した液体および気泡６
は、インクジェットヘッド内に入り、その吐出口から液
体の一部が外部へ流出して液路内の気泡を押し出し、残
りの液体インクジェットヘッドから出て復路にあるフィ
ルタユニット２へ入る。往路に組み込まれたフィルタユ
ニット２の場合と同様に、復路に設けたフィルタユニッ
ト２のフィルタ３の圧力損失によって、フィルタ３の前
後に圧力差が生じることにより、気泡はフィルタユニッ
ト２を通過し、液体貯溜タンクに還流される。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】従来のインクジェット
プリント装置では、上述したようなインクジェットヘッ
ドの回復処理を行っても、循環供給路の途中に設けられ
たフィルタユニット２のフィルタ３に捕捉された気泡６
を完全に取り除くことができなかった。このため、気泡
６がすぐに大型化してしまうため、回復処理を頻繁に行
う必要がある。

【００１１】今後、インクジェットヘッドが高密度化す
ると共にプリント速度が高速化するに連れ、フィルタ３
がより密になる結果、こうした気泡６による液体の吐出
状態が不安定となったり、吐出できなくなる状態が顕著
に起こる可能性があるため、回復処理をさらに頻繁に行
わなければならず、インクジェットプリント装置の稼働
率が大幅に低下し、大きな問題となる。

【００１２】

【発明の目的】本発明の目的は、液体の循環供給路に介
装されたフィルタに捕捉される気泡を液体吐出ヘッドの
回復処理に際して完全に取り除き、高密度化および高速
化したインクジェットプリント装置の稼働率を向上させ
得る画像形成方法およびその装置を提供することにあ
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の形態は、
液体を吐出する液体吐出ヘッドと液体を貯留する液体貯
溜タンクとの間で液体を循環させるための循環流路を有
する液体吐出記録装置を用い、前記液体吐出ヘッドの吐
出口からプリント媒体に液体を吐出してプリントを行う
画像形成方法であって、前記液体吐出ヘッドに対する液
体の供給路の途中にて液体中の異物をフィルタを用いて
捕捉するステップと、前記吐出口からの液体の吐出状態
を良好にするための回復処理の際に、前記フィルタに対
する気泡の通過を促進させるステップとを具えたことを
特徴とするものである。

【００１４】また、本発明の第２の形態は、液体を吐出
する液体吐出ヘッドと液体を貯留する液体貯溜タンクと
の間で液体を循環させるための循環流路を有し、前記液
体吐出ヘッドの吐出口からプリント媒体に液体を吐出し
てプリントを行う画像形成装置であって、前記循環流路
の少なくとも一方に介装されて前記液体中の異物を捕捉
するためのフィルタと、このフィルタに対する気泡の通
過を促進させるための気泡通過促進手段とを具えたこと
を特徴とするものである。

【００１５】本発明によると、フィルタに捕捉される気
泡は、吐出口からの液体の吐出状態を良好にするための
回復処理の際に、気泡通過促進手段によって液体と共に
フィルタを通過して排除される。

【００１６】

【発明の実施の形態】本発明の第１の形態による画像形
成方法において、前記フィルタに対する気泡の通過を促
進させるステップは、前記フィルタに流入する液体を加
熱するステップや、フィルタに流入する液体に超音波振
動を与えるステップを有するものであっても良い。ま
た、前記液体は、プリント媒体にプリントを行うための
インクまたはプリント媒体に対するインクのプリント性
を調整するための処理液であっても良い。

【００１７】本発明の第２の形態による画像形成装置に
おいて、前記液体貯溜タンク内の液体を前記液体吐出ヘ
ッドに供給するための第１のポンプを前記循環流路の一
方に設け、前記液体吐出ヘッドに供給される液体を前記
液体貯溜タンクに戻す第２のポンプを他方の前記循環流
路に設けるようにしても良く、この場合、前記気泡通過
促進手段は、前記第１および第２のポンプの作動に連動
して作動するものであっても良く、前記他方の循環流路
に設けられる前記第２のポンプは、前記液体貯溜タンク
内の液体を前記液体吐出ヘッドに供給可能であっても良
い。また、前記気泡通過促進手段は、前記液体を加熱す
るための加熱手段や、前記液体に超音波振動を与えるた
めの超音波発生手段を有するものであっても良く、この
場合、前記加熱手段は、前記フィルタおよびこのフィル
タよりも上流側の前記循環流路の少なくとも一方を加熱
するものであっても良い。さらに、前記液体吐出ヘッド
は、前記吐出口から液体を吐出するための吐出エネルギ
ー発生部を有するものであっても良く、この場合、前記
吐出エネルギー発生部は、熱エネルギーを発生する電気
熱変換体を有するものであっても良い。

【００１８】

【実施例】本発明をフルラインタイプのインクジェット
プリント装置に応用した実施例について、図１〜図４を
参照しながら詳細に説明するが、本発明はこのような実
施例に限らず、これらをさらに組み合わせたり、同様な
課題を内包する他の分野の技術にも応用することができ
る。

【００１９】本実施例によるインクジェットプリント装
置の概略構造を図１に示し、このインクジェットプリン
ト装置に搭載されるプリントヘッドの概略構造を図２に
示し、このプリントヘッドに対するインク供給系の概念
を図３に示す。すなわち、それぞれ黒色, 黄色, マゼン
タ色, シアン色のインク１１に対応したバブルジェット
方式の４個のプリントヘッド１２は、吐出エネルギー発
生手段として電気熱変換体１３をそれぞれ有し、その通
電時に対応する吐出口１４からインク１１中に生じる気
泡を圧力源としてインク滴を吐出させるものであり、ヘ
ッドホルダ１５に所定間隔で固定されている。なお、各
プリントヘッド１２は、４００dpi の密度で４７３６個
の吐出口１４が形成され、縦長にしたＡ３サイズのプリ
ントシート１６の全幅に亙って同時にプリントすること
が可能なフルラインタイプのものである。

【００２０】本実施例におけるプリントヘッド１２は、
エッチング・蒸着・スパッタリングなどの半導体製造プ
ロセス工程を経て、基板１７上に成膜された電気熱変換
体１３や電極１８, インク路壁１９を形成する溝付き板
２０などで構成されている。インク１１は、インクタン
ク２１から循環流入路２２を介してプリントヘッド１２
の共通インク室２３内に供給される。共通インク室２３
内に供給されたインク１１は、毛管現象によりインク路
２４に供給され、インク路２４先端の吐出口１４でメニ
スカスを形成することにより、安定に保持される。ここ
で電気熱変換体１３に通電することにより、電気熱変換
体１３の上に位置するインク１１が加熱されて発泡現象
が発生し、その発泡エネルギーにより吐出口１４からイ
ンク滴が吐出される。

【００２１】また、各プリントヘッド１２の吐出口１４
の目詰まり状態を検出するため、電気熱変換体１３に通
電しているにも拘らずインク１１が吐出されないプリン
トヘッド１２の吐出口１４の場所（吐出口番号）を検出
するための読み取りヘッド２５をヘッドホルダ１５に設
けてある。

【００２２】２６は、キャッピングユニットであり、こ
のインクジェットプリント装置のスタンバイ時なと、非
プリント時にヘッドホルダ１５を図中、二点鎖線で示す
位置まで引き上げることにより、キャッピングユニット
２６をプリントヘッド１２の吐出口１４が開口する吐出
口面２７を覆うように押し当てる。また、キャッピング
ユニット２６は、プリントヘッド１２とインクタンク２
１との間でのインク１１の循環によるプリントヘッド１
２の吐出回復時には、循環流入路２２および循環流出路
２８にそれぞれ組み込まれた回復ポンプ２９, ３０の作
動により、吐出口１４から押し出される廃インクの受皿
となり、この廃インクは図示しない廃インクタンクに導
かれる。一方の回復ポンプ２９は、インクタンク２１内
のインク１１をプリントヘッド１２に供給するためのも
のであり、他方の回復ポンプ３０は、インク１１の循環
時に正転してプリントヘッド１２に供給されるインク１
１をインクタンク２１に戻す作用を持つ他、回復処理の
一環として逆転し、プリントヘッド１２の吐出口１４か
らキャッピングユニット２６に強制的にインク１１を押
し出す作用を持つ。これら回復ポンプ２９, ３０の作動
や停止操作などは、制御装置３１からの指令によって行
われる。

【００２３】３２は循環流入路２２に介装されたフィル
タユニット、３３は循環流出路２８に介装されたフィル
タユニットである。３４は、これらフィルタユニット３
２,３３に隣接して循環流入路２２および循環流出路２
８を覆うように設けられたインク加熱装置であり、プリ
ント開始の操作で各プリントヘッド１２の電気熱変換体
１３が画像データに応じて駆動されると同時に、循環流
入路２２および循環流出路２８内のインク１１を加熱し
始める。この時、回復ポンプ２９, ３０はその作動を停
止した状態にあり、インク１１は、プリントヘッド１２
から吐出されるインク１１の消費に伴い、毛管現象によ
ってインクタンク２１から循環流入路２２および循環流
出路２８を通ってインク加熱装置３４に入り、ここで温
められてフィルタユニット３２, ３３にそれぞれ組み込
まれたフィルタ３５を通過し、プリントヘッド１２に供
給される。この間に、インク１１に含まれる異物がフィ
ルタ３５に捕捉され、プリントヘッド１２側へは供給さ
れない。

【００２４】フィルタ３５を通過するインク１１は、イ
ンク加熱装置３４によって加熱されてその粘度が低下し
ているため、インク１１中に気泡が混在していても、こ
の気泡はフィルタ３５に捕捉されることなく、フィルタ
３５を通過するため、フィルタ３５に気泡が捕捉される
ことによって、循環流入路２２や循環流出路２８内を流
れるインク１１の流路抵抗が増大してしまうような不具
合を未然に防止することができる。この結果、シリアル
タイプのものよりもインクの消費が大きい本実施例のフ
ルラインタイプのプリントヘッド１２であっても、フィ
ルタ３５の面積や循環流入路２２および循環流出路２８
の通路断面積を特別に大きく設定せずとも、プリントヘ
ッド１２に対するインク１１の供給を円滑に行うことが
できる。

【００２５】３６は、プリントヘッド１２の各々に所定
間隔を介して対向配設されるプリントシート１６を搬送
するための無端の帯電吸着ベルト、３７は、帯電吸着ベ
ルト３６を介して各プリントヘッド１２に対向配設され
るバックプラテンである。

【００２６】３８は、普通紙などのプリントシート１６
が収納されて装置本体に着脱自在に装着される給送カセ
ット、３９は、給送カセット３８に収容された最上面の
プリントシート１６を１枚だけ送り出して給送するピッ
クアップローラである。４０は、ピックアップローラ３
９より送り出されたプリントシート１６を搬送路４１へ
搬送する搬送ローラであり、４２は搬送路４１の出口側
に配設された搬送ローラである。

【００２７】４３および４４は、プリントシート１６に
対するプリント操作によって付着したインク滴を熱風に
より乾燥定着させるヒータおよびファン、４５は定着の
終了したプリントシート１６を装置外に排出する排出ロ
ーラ、４６は排出されたプリントシート１６を順次スタ
ックするトレイである。

【００２８】本実施例では、回復処理の開始と同時に、
循環流入路２２および循環流出路２８内のインク１１を
加熱し始める。この時、インク１１は、インクタンク２
１から循環流入路２２を通ってインク加熱装置３４に入
り、ここで温められてフィルタユニット３２に組み込ま
れたフィルタ３５を通過し、プリントヘッド１２を通過
し再びインク加熱装置３４に入り循環流出路２８を通
る。この間に、インク１１に含まれる異物がフィルタ３
５に捕捉され、プリントヘッド１２側へは供給されな
い。

【００２９】フィルタ３５を通過するインク１１は、イ
ンク加熱装置３４によって加熱されてその粘度が低下し
ているため、インク１１中に気泡が混在していても、こ
の気泡はフィルタ３５に捕捉されることなく、フィルタ
３５を通過するため、フィルタ３５に気泡が捕捉される
ことによって、循環流入路２２や循環流出路２８内を流
れるインク１１の流路抵抗が増大してしまうような不具
合を未然に防止することができる。

【００３０】この結果、プリントヘッド１２の吐出口１
４が高密度化し、フィルタ３５のメッシュが密となった
場合でも、回復処理によってフィルタ３５上に気泡が残
らず、回復処理回数を大幅に減らすことができ、インク
ジェットプリント装置の稼働率を向上させることができ
る。

【００３１】一方、プリント開始の操作が行われると、
指定されたサイズのプリントシート１６がピックアップ
ローラ３９によって給送カセット３８から送り出され
る。送り出されたプリントシート１６は、搬送ローラ４
０, ４２によって、予め帯電伏態で回転すると共にバッ
クプラテン３７によって平面形状とされている帯電吸着
ベルト３６に乗せられる。プリントシート１６の先端部
が個々のプリントヘッド１２の下部に到着するのに連動
し、各プリントヘッド１２の電気熱変換体１３が画像デ
ータに応じて駆動され、この駆動により、画像情報に応
じたインク滴が吐出口１４からプリントシート１６の表
面に向けて飛翔し、その着弾によりプリントシート１６
の表面にカラー画像が形成される。この時、インク加熱
装置３４も作動して加熱されたインク１１がフィルタユ
ニット３２, ３３を通ってプリントヘッド１２に供給さ
れることは、上述した通りである。

【００３２】プリントシート１６が吸湿性の悪い場合、
その表面に付着した液滴が乾燥せず、排出ローラ４５や
上に重ねられるプリントシート１６などに摺接してプリ
ントシート１６の表面が汚れてしまうので、ヒータ４３
およびファン４４によって強制乾燥を行って定着させ
る。定着の終了したプリントシート１６は、排出ローラ
４５によってトレイ４６上へ排出される。

【００３３】上述した実施例では、フィルタユニット３
２, ３３に対して接続する循環流入路２２および循環流
出路２８の部分をインク加熱装置３４によって加熱する
ようにしたが、フィルタユニット３２, ３３全体をこの
インク加熱装置３４によってさらに加熱することも可能
であり、このインク加熱装置３４に代えて超音波発生装
置を設けることも可能である。

【００３４】このような本発明の他の実施例におけるイ
ンク供給系の概念を図４に示すが、先の実施例と同一機
能の部材にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説
明は省略するものとする。すなわち、超音波発生装置４
７は、フィルタユニット３２, ３３に対して接続する循
環流入路２２および循環流出路２８の部分に加え、これ
らフィルタユニット３２, ３３をも覆っており、循環流
入路２２および循環流出路２８のみならず、フィルタユ
ニット３２, ３３も超音波振動させるようにしている。

【００３５】インク１１は、インクタンク２１から循環
流入路２２を通って超音波発生装置３４に入り、フィル
タユニット３２に組み込まれたフィルタ３５を通過し、
プリントヘッド１２を通過し、再びインク加熱装置３４
に入り、循環流出路２８を通るが、この間にインク１１
中に含まれる異物がフィルタ３５に捕捉され、プリント
ヘッド１２側へは供給されない。

【００３６】回復処理の開始により、循環流入路２２お
よび循環流出路２８内のインク１１に超音波振動が与え
られ、フィルタ３５を通過するインク１１は超音波発生
装置３４によって泡が細かくなり、フィルタ３５に捕捉
されることなくフィルタ３５を通過するため、フィルタ
３５に気泡が捕捉されることによって循環流入路２２や
循環流出路２８内を流れるインク１１の流路抵抗が増大
してしまうような不具体を未然に防止することができ
る。

【００３７】この結果、プリントヘッド１２の吐出口１
４が高密度化し、フィルタ３５のメッシュが密となった
場合でも、回復処理によってフィルタ３５上に気泡が残
らず、回復処理回数を大幅に減らすことができ、インク
ジェットプリント装置の稼働率を向上させることができ
る。

【００３８】なお、本発明は、特にインクジェット方式
の中でも、液体の吐出を行わせるために利用されるエネ
ルギーとして熱エネルギーを発生する手段（例えば、電
気熱変換体やレーザ光など）を具え、この熱エネルギー
により液体の状態変化を生起させる方式のインクジェッ
トプリント装置において優れた効果をもたらすものであ
る。かかる方式によれば、プリントの高密度化および高
精細化が達成できるからである。

【００３９】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書や、同第４７４
０７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用い
て行うものが好ましい。この方式は、いわゆるオンデマ
ンド型およびコンティニュアス型の何れにも適用可能で
あるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体が保持
されているシートや流路に対応して配置される電気熱変
換体に、プリント情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも１つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生
させ、インクジェットヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じ
させ、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体内
の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長お
よび収縮により、吐出口を介して液体を吐出させ、少な
くとも１つの液滴を形成する。この駆動信号をパルス形
状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるの
で、特に応答性に優れた液体の吐出が達成でき、より好
ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許
第４４６３３５９号明細書や、同第４３４５２６２号明
細書に記載されているようなものが適している。なお、
上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第４
３１３１２４号明細書に記載されている条件を採用する
と、さらに優れたプリントを行うことができる。

【００４０】また、インクジェットヘッドの構成として
は、上述の各明細書に開示されているような吐出口と流
路と電気熱変換体との組合せ構成（直線状液流路または
直角液流路）の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置さ
れている構成を開示する米国特許第４５５８３３３号明
細書や、米国特許第４４５９６００号明細書を用いた構
成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気
熱変換体に対し、共通するスリットを電気熱変換体の吐
出部とする構成を開示する特開昭５９−１２３６７０号
公報や、熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部
に対応させる構成を開示した特開昭５９−１３８４６１
号公報に基いた構成としても、本発明の効果は有効であ
る。すなわち、インクジェットヘッドの形態がどのよう
なものであっても、本発明によればインクジェットプリ
ント装置の稼働率を向上させることができるようになる
からである。

【００４１】さらに、プリント媒体のプリント領域の幅
方向に沿って走査移動させるシリアルタイプのもので
も、装置本体に固定されたインクジェットヘッド、ある
いは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な
接続や装置本体からの液体の供給が可能になる交換自在
のチップタイプのインクジェットヘッド、あるいはイン
クジェットヘッド自体に一体的に液体を貯えるタンクが
設けられたインクジェットカートリッジを用いた場合に
も、本発明は有効である。

【００４２】また、本発明のインクジェットプリント装
置の構成として、インクジェットヘッドの吐出回復手段
や、予備的な補助手段などを付加することは本発明の効
果を一層安定できるので、好ましいものである。これら
を具体的に挙げれば、インクジェットヘッドに対しての
キャッピング手段や、クリーニング手段, 加圧あるいは
吸引手段, 電気熱変換体やこれとは別の加熱素子あるい
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、プリントとは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げ
ることができる。

【００４３】また、搭載されるインクジェットヘッドの
種類や個数についても、例えば単色のインクに対応して
１個のみが設けられたものの他、プリント色や濃度を異
にする複数のインクに対応して複数個数設けられるもの
であってもよい。すなわち、例えばインクジェットプリ
ント装置のプリントモードとしては黒色などの主流色の
みのプリントモードだけではなく、インクジェットヘッ
ドを一体的に構成するか、複数個の組み合わせによるか
何れでもよいが、異なる色の複色カラーまたは混色によ
るフルカラーの各プリントモードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。この場合、プ
リント媒体に応じてインクのプリント性を調整するため
の処理液（プリント性向上液）をインクジェットヘッド
からプリント媒体に吐出することも有効である。

【００４４】さらに加えて、以上説明した本発明の実施
例においては、室温やそれ以下で固化し、室温で軟化も
しくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジ
ェット方式では液体自体を３０℃以上７０℃以下の範囲
内で温度調整を行って液体の粘性を安定吐出範囲にある
ように温度制御するものが一般的であるから、使用プリ
ント信号付与時に液状をなすものを用いてもよい。加え
て、熱エネルギーによる昇温を、固形状態から液体状態
への状態変化のエネルギーとして使用させることで積極
的に防止するため、または液体の蒸発を防止するため、
放置状態で固化し加熱によって液化するものを用いても
よい。何れにしても熱エネルギーのプリント信号に応じ
た付与によって液化し、液体が吐出されるものや、プリ
ント媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるものな
どのような、熱エネルギーの付与によって初めて液化す
る性質のものを使用する場合も本発明は適用可能であ
る。このような場合の液体は、特開昭５４−５６８４７
号公報あるいは特開昭６０−７１２６０号公報に記載さ
れるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は
固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して
対向するような形態としてもよい。本発明においては、
上述した各液体に対して最も有効なものは、上述した膜
沸騰方式を実行するものである。

【００４５】さらに加えて、本発明にかかる画像形成装
置の形態としては、コンピュータなどの情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダなどと
組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファク
シミリ装置や捺染装置の形態を採るものなどであっても
よい。

【００４６】

【発明の効果】本発明によると、液体吐出ヘッドに対す
る液体の供給路の途中に設けられたフィルタに対し、液
体吐出ヘッドの回復処理の際に気泡の通過を促進させる
ための手段を設けたので、フィルタに気体が捕捉される
ことによって、液体の循環が阻害されるような不具合を
未然に防止することができる。このため、液体吐出ヘッ
ドの回復処理回数を激減させることが可能であり、画像
形成装置の稼働率を大幅に向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による画像形成装置をインクジェットプ
リント装置に応用した一実施例の機構概念図である。

【図２】図１に示した実施例におけるインクジェットヘ
ッドの内部構造を破断状態で表す斜視図である。

【図３】図１に示した実施例におけるインク供給系を表
す機構概念図である。

【図４】本発明の他の実施例によるインク供給系を表す
機構概念図である。

【図５】本発明の対象となった液体の循環路中に介装さ
れるフィルタの概略構造を表す断面図である。

【符号の説明】

１１ インク １２ プリントヘッド １３ 電気熱変換体 １４ 吐出口 １５ ヘッドホルダ １６ プリントシート １７ 基板 １８ 電極 １９ インク路壁 ２０ 溝付き板 ２１ インクタンク ２２ 循環流入路 ２３ 共通インク室 ２４ インク路 ２５ 読み取りヘッド ２６ キャッピングユニット ２７ 吐出口面 ２８ 循環流出路 ２９, ３０ 回復ポンプ ３１ 制御装置 ３２, ３３ フィルタユニット ３４ インク加熱装置 ３５ フィルタ ３６ 帯電吸着ベルト ３７ バックプラテン ３８ 給送カセット ３９ ピックアップローラ ４０ 搬送ローラ ４１ 搬送路 ４２ 搬送ローラ ４３ ヒータ ４４ ファン ４５ 排出ローラ ４６ トレイ ４７ 超音波発生装置

Claims (13)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液体を吐出する液体吐出ヘッドと液体を
   貯留する液体貯溜タンクとの間で液体を循環させるため
   の循環流路を有する液体吐出記録装置を用い、前記液体
   吐出ヘッドの吐出口からプリント媒体に液体を吐出して
   プリントを行う画像形成方法であって、 前記液体吐出ヘッドに対する液体の供給路の途中にて液
   体中の異物をフィルタを用いて捕捉するステップと、 前記吐出口からの液体の吐出状態を良好にするための回
   復処理の際に、前記フィルタに対する気泡の通過を促進
   させるステップとを具えたことを特徴とする画像形成方
   法。
2. 【請求項２】 前記フィルタに対する気泡の通過を促進
   させるステップは、前記フィルタに流入する液体を加熱
   するステップを有することを特徴とする請求項１に記載
   の画像形成方法。
3. 【請求項３】 前記フィルタに対する気泡の通過を促進
   させるステップは、前記フィルタに流入する液体に超音
   波振動を与えるステップを有することを特徴とする請求
   項１に記載の画像形成方法。
4. 【請求項４】 前記液体は、プリント媒体にプリントを
   行うためのインクまたはプリント媒体に対するインクの
   プリント性を調整するための処理液であることを特徴と
   する請求項１から請求項３の何れかに記載の画像形成方
   法。
5. 【請求項５】 液体を吐出する液体吐出ヘッドと液体を
   貯留する液体貯溜タンクとの間で液体を循環させるため
   の循環流路を有し、前記液体吐出ヘッドの吐出口からプ
   リント媒体に液体を吐出してプリントを行う画像形成装
   置であって、 前記循環流路の少なくとも一方に介装されて前記液体中
   の異物を捕捉するためのフィルタと、 このフィルタに対する気泡の通過を促進させるための気
   泡通過促進手段とを具えたことを特徴とする画像形成装
   置。
6. 【請求項６】 前記循環流路の一方には、前記液体貯溜
   タンク内の液体を前記液体吐出ヘッドに供給するための
   第１のポンプが設けられ、他方の前記循環流路には前記
   液体吐出ヘッドに供給された液体を前記液体貯溜タンク
   に戻す第２のポンプが設けられていることを特徴とする
   請求項５に記載の画像形成装置。
7. 【請求項７】 前記気泡通過促進手段は、前記第１およ
   び第２のポンプの作動に連動して作動することを特徴と
   する請求項６に記載の画像形成装置。
8. 【請求項８】 前記他方の循環流路に設けられる前記第
   ２のポンプは、前記液体貯溜タンク内の液体を前記液体
   吐出ヘッドに供給可能であることを特徴とする請求項６
   または請求項７に記載の画像形成装置。
9. 【請求項９】 前記気泡通過促進手段は、前記液体を加
   熱するための加熱手段を有することを特徴とする請求項
   ５から請求項８の何れかに記載の画像形成装置。
10. 【請求項１０】 前記加熱手段は、前記フィルタおよび
    このフィルタよりも上流側の前記循環流路の少なくとも
    一方を加熱するものであることを特徴とする請求項９に
    記載の画像形成装置。
11. 【請求項１１】 前記気泡通過促進手段は、前記液体に
    超音波振動を与えるための超音波発生手段を有すること
    を特徴とする請求項５から請求項８の何れかに記載の画
    像形成装置。
12. 【請求項１２】 前記液体吐出ヘッドは、前記吐出口か
    ら液体を吐出するための吐出エネルギー発生部を有する
    ことを特徴とする請求項５から請求項１１の何れかに記
    載の画像形成装置。
13. 【請求項１３】 前記吐出エネルギー発生部は、熱エネ
    ルギーを発生する電気熱変換体を有することを特徴とす
    る請求項１２に記載の画像形成装置。