JPH11183941A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

エレクトロクロミック素子

Info

Publication number
JPH11183941A
JPH11183941A JP9364870A JP36487097A JPH11183941A JP H11183941 A JPH11183941 A JP H11183941A JP 9364870 A JP9364870 A JP 9364870A JP 36487097 A JP36487097 A JP 36487097A JP H11183941 A JPH11183941 A JP H11183941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
polymer
electrochromic
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9364870A
Other languages
English (en)
Inventor
Izuru Sugiura
出 杉浦
Masaaki Kobayashi
正明 小林
Yoshinori Nishikitani
禎範 錦谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Mitsubishi Oil Corp filed Critical Nippon Mitsubishi Oil Corp
Priority to JP9364870A priority Critical patent/JPH11183941A/ja
Publication of JPH11183941A publication Critical patent/JPH11183941A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性高分子化合物をエレクトロクロミック
物質に用いたエレクトロクロミックミラーを提供する。 【解決手段】 少なくとも1枚は透明である、2枚の導
電基板の間に、特定の導電性高分子化合物を含有するエ
レクトロクロミック層を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示素子、調光ガ
ラス、自動車等の防眩ミラーとして、あるいは屋内で使
用される装飾用ミラーなどのエレクトロクロミックミラ
ーとして有用なエレクトロクロミック素子に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
のエレクトロクロミック素子としては、例えば、酸化タ
ングステン(WO3 )のような無機酸化物を真空蒸着法
またはスパッタリング法で透明導電基板上に成膜し、こ
れを発色剤(エレクトロクロミック物質)としたものが
知られている(特開昭63−18336号公報)。しか
し、真空蒸着法またはスパッタリング法の実施には、真
空ポンプの設置が不可欠であるので、発色剤となる膜の
形成がコスト高になる不都合がある。そのため、より簡
便に、且つ安価に製造可能なエレクトロクロミックミラ
ーの開発が望まれている。そこで、本発明は、このよう
な実状に鑑みなされたものであり、その目的は、簡便な
工程で安価に製造可能なエレクトロクロミック素子を提
供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のエレクトロクロミック素子は、少なくとも
1枚は透明である、2枚の導電基板の間に、(A)下記
の一般式(1)で表される繰り返し単位からなる重合体
および下記の一般式(2)で表される繰り返し単位から
なる重合体を含有するエレクトロクロミック層または
(B)下記の一般式(1)で表される繰り返し単位およ
び下記の一般式(2)で表される繰り返し単位からなる
共重合体を含有するエレクトロクロミック層を設けたも
のである。
【化6】 (式中、X- 、Y- は同一であっても異なってもよく、
それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 - 、BF4
- 、PF6 - 、CH3 COO- 、CH3 (C6 4 )S
3 - から選ばれる対アニオンを示し、R1 は水素また
は炭素数1〜5のアルキル基を、R2 は炭素数1〜10
の炭化水素残基を、R3 は炭素数1〜20のアルキル
基、アリール基またはアラルキル基を、Ar1 は2価の
芳香族炭化水素残基を各々表す。)
【化7】 (式中、R4 は水素または炭素数1〜5のアルキル基、
5 、R7 、R8 及びR9 は水素または炭素数1〜20
の炭化水素基または炭化水素残基を表し、それぞれ同一
でも異なっても良い。Ar2 及びAr3 は2価の芳香族
炭化水素残基を示す。cは0以上の整数を、dは1以上
の整数を各々示す。) また、本発明のエレクトロクロミック素子は、少なくと
も1枚は透明である、2枚の導電基板の間に、(A)下
記の一般式(3)で表される繰り返し単位からなる重合
体および上記の一般式(2)で表される繰り返し単位か
らなる重合体を含有するエレクトロクロミック層または
(B)下記の一般式(3)で表される繰り返し単位およ
び上記の一般式(2)で表される繰り返し単位、さらに
所望により上記の一般式(1)で表される繰り返し単位
からなる共重合体を含有するエレクトロクロミック層を
設けたものである。
【化8】 (式中、X- 、Y- は同一であっても異なってもよく、
それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 - 、BF4
- 、PF6 - 、CH3 COO- 、CH3 (C6 4 )S
3 - から選ばれる対アニオンを示し、R10、R12は水
素または炭素数1〜5のアルキル基を、R11、R13は炭
素数1〜10の炭化水素残基を、Ar4 、Ar5 は2価
の芳香族炭化水素残基を各々表す。) 上記エレクトロクロミック層が、イオン伝導性物質層を
兼ねていることが好ましい。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を詳しく説明
する。本発明においては、少なくとも1枚は透明であ
る、2枚の導電基板が使用されるが、ここで導電基板と
は電極としての機能を果たす基板を意味する。従って、
本発明で言う導電基板には、基板自体を導電性材料で構
成させたものと、導電性を持たない基板の少なくとも一
方の表面に電極層を積層させた積層板などが包含され
る。導電性を備えているか否かに拘らず、基板自体は常
温において平滑な面を有していることが必要であるが、
その面は平面であっても曲面であっても差し支えなく、
応力で変形するものであっても差し支えない。本発明で
使用される導電基板の少なくとも一方は透明導電基板で
あり、他方は透明であっても、不透明であっても、光を
反射できる反射性導電基板であってもよい。2枚の導電
基板をいずれも透明導電基板としたものは、表示素子や
調光ガラスに、1枚を透明導電基板、もう1枚を不透明
導電基板としたものは表示素子に、そして1枚を透明導
電基板、もう1枚を反射性導電基板としたものはエレク
トロクロミックミラーに適している。透明導電基板は、
通常、透明基板上に透明電極層を積層させた形態にあ
る。ここで、透明とは可視光領域匂いて10〜100%
の光透過率を有することを意味する。また、不透導電明
基板としては、(1)金属板、(2)導電性を持たない
不透明基板(透明でない各種のプラスチック、ガラス、
木材、石材等が使用可能)の一方の面に電極槽を積層さ
せた積層体などが例示できる。一方、反射性導電基板の
形態としては、(1)導電性を持たない透明又は不透明
な基板上に反射性電極層を積層させた積層体、(2)導
電性を持たない透明基板の一方の面に透明電極層を、他
方の面に反射層を積層させた積層体、(3)導電性を持
たない透明基板上に反射層を、その反射層上に透明電極
層を積層させた積層体、(4)反射板を基板とし、これ
に透明電極層を積層させた積層体、および(5)基板自
体が光反射層と電極層の両方の機能を備えた板状体など
が例示できる。透明基板の素材には、格別な制限はな
く、例えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等が
使用できる他、無色あるいは有色の透明性樹脂、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサ
ルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリ
メチルメタクリレート、ポリスチレン等が使用可能であ
る。本発明の透明電極層は文字通り透明で、電極として
の機能を果たす薄膜を意味し、そのような薄膜として
は、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン等の金
属又はITO(In2 3 −SnO2 )、酸化錫、酸化
銀、酸化亜鉛、酸化バナジウム等の金属酸化物からなる
導電性薄膜などが挙げられる。この膜の膜厚は、通常1
00〜5,000オングストローム、好ましくは500
〜3,000オングストロームの範囲にあり、表面抵抗
(抵抗率)は、通常0.5〜500Ω/cm2 、好まし
くは1〜50Ω/cm2 の範囲にある。導電性薄膜の形
成方法には、任意の方法が採用可能であって、薄膜を構
成する金属又は金属酸化物等の種類により、適宜な方法
が選択できる。通常は真空蒸着法、イオンプレーティン
グ法、スパッタリング法、あるいはゾルゲル法等が採用
される。この際、膜厚は薄膜の透明性が損なわれない範
囲で選択されることは勿論である。導電性薄膜には、酸
化還元能の付与、導電性の向上、電気二重層容量の付与
の目的で、部分的に不透明な電極活性物質を付与するこ
ともできるが、その付与量は薄膜全体の透明性が損なわ
れない範囲で選ばれる。不透明な電極活性物質として
は、例えば、銅、銀、金、白金、鉄、タングステン、チ
タン、リチウム等の金属;ポリアニリン、ポリチオフェ
ン、ポリピロール、フタロシアニンなどの酸化還元能を
有する有機物;活性炭、グラファイトなどの炭素材、V
2 5、MnO2 、NiO、Ir2 3 などの金属酸化
物またはこれらの混合物が挙げられる。そして、電極活
性物質を導電性薄膜に結着させるためには、任意の樹脂
バインダーを使用することができる。導電性薄膜上に不
透明な電極活性物質等を付与した一例としては、ITO
薄膜上に、活性炭素繊維、グラファイト、アクリル樹脂
等からなる組成物の塗膜を、ストライプ状またはドット
状等の微細パターンを設けたものがあり、他の一例とし
ては金(Au)薄膜上に、V2 5 、アセチレンブラッ
ク、ブチルゴム等からなる組成物の塗膜をメッシュ状に
設けたものがある。本発明の反射性電極層は、鏡面を有
し、しかも電極として電気化学的に安定な機能を発揮す
る薄膜を意味し、そのような薄膜としては、例えば、
金、白金、タングステン、タンタル、レニウム、オスミ
ウム、イリジウム、銀、ニッケル、パラジウム等の金属
膜や、白金−パラジウム、白金−ロジウム、ステンレス
等の合金膜が挙げられる。このような鏡面を備えた薄膜
の形成には、任意の方法を採用可能であって、例えば、
真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング
法などを適宜採用することができる。反射性電極層を設
ける基板は透明であるか、不透明であるかを問わない。
従って、反射性電極層を設ける基板としては、先に例示
した透明基板の他、透明でない各種のプラスチック、ガ
ラス、木材、石材等が使用可能である。本発明で言う反
射板または反射層は、鏡面を有する基板又は薄膜を意味
し、例えば、銀、クロム、アルミニウム、ステンレス等
の板状体又はその薄膜を意味する。基板自体が反射層と
電極機能を兼ね備える板状体としては、上記反射性電極
層として例示したもののうち、自己支持性があるものが
挙げられる。
【0005】次に本発明のエレクトロクロミック層につ
いて説明する。本発明のエレクトロクロミック層の特徴
は、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位からな
る重合体(重合体(I) )と、下記の一般式(2)で表さ
れる繰り返し単位からなる重合体(重合体(II))を含有
しているか、あるいは、一般式(1)で表される繰り返
し単位と、一般式(2)で表される繰り返し単位を有す
る共重合体(共重合体(III) )を含有している点、もし
くは、下記の一般式(3)で表される繰り返し単位から
なる重合体(重合体(IV))と、下記の一般式(2)で表
される繰り返し単位からなる重合体(重合体(II))を含
有しているか、あるいは、一般式(3)で表される繰り
返し単位と、一般式(2)で表される繰り返し単位、さ
らに所望により一般式(1)で表される繰り返し単位を
有する共重合体(共重合体(V) )を含有している点にあ
る。
【化9】 一般式(1)において、X- 、Y- は同一であっても異
なってもよく、それぞれ個別にハロゲンアニオン、Cl
4 - 、BF4 - 、PF6 - 、CH3 COO-、CH3
(C6 4 )SO3 - から選ばれる対アニオンを示し、
ハロゲンアニオンとしては、F- 、Cl- 、Br- 、I
- 等が挙げられる。R1 は水素または炭素数1〜5のア
ルキル基を示し、このアルキル基としては、メチル基、
エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチ
ル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等があげられる。
1 は水素又はメチル基であることが特に好ましい。R
2 は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の炭化水
素残基を示し、例えば2価のアルキレン基、アラルキレ
ン基、などの炭化水素基であり、具体的には、 等を挙げることができる。なかでも−CH2 −であるこ
とが特に好ましい。R3 は炭素数1〜20、好ましくは
3〜8のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を
示し、アルキル基としては、メチル基、エチル基、i−
プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチ
ル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシ
ル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が、アラルキ
ル基としては、ベンジル基等が例示できる。Ar1 は2
価の芳香族炭化水素残基を示し、炭素数6〜20、好ま
しくは6〜12のものが挙げられ、具体的には、フェニ
レン基(o-、m-、p-)、置換フェニレン基(置換基とし
ては、様々なものが挙げられるが、典型的にはアルキル
置換フェニレン基等)、ビフェニレン基、ナフチレン基
などが挙げられる。なかでも、m-またはp-位のフェニレ
ン基が特に好ましい。重合体(I) は一般式(1)で表さ
れる繰り返し単位を2個以上有し、通常は2〜500
個、好ましくは2〜100個、さらに好ましくは5〜5
0個有し、実質的に線状重合体である。
【化10】 一般式(2)において、R4 は水素または炭素数1〜5
のアルキル基を示し、このアルキル基としては、メチル
基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−
ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられ
る。R4 は水素またはメチル基であることが特に好まし
い。R5 、R7 、R8 およびR9 は、水素原子、炭素数
1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基または炭化
水素残基を示し、それぞれ同一でも異なっても良い。こ
の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
基、t−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基等のアルキル基、トリル基、エチルフェニル基等のア
ルキルフェニル基、フェニル基等のアリール基、アラル
キル基などが挙げられ、また炭化水素残基としては、メ
トキシフェニル基、エトキシフェニル基などのアルコキ
シフェニル基などが挙げられる。Ar2 、Ar3 は同じ
でも異なっても良く、2価の芳香族炭化水素残基を示
し、炭素数6〜20、好ましくは6〜12のものが挙げ
られ、具体的には、フェニレン基(o-、m-、p-)、置換
フェニレン基(置換基としては、R5 と同様なものが挙
げられるが、典型的にはアルキル置換フェニレン基
等)、ビフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられ
る。cは0以上の整数であり、通常0〜20、好ましく
は0〜10、更に好ましくは0〜5である。dは1以上
であり、通常1〜20、好ましくは1〜5である。重合
体(II)は一般式(2)での繰り返し単位を2個以上有
し、通常は2〜500個、好ましくは5〜100個有
し、実質的に線状重合体である。
【化11】 一般式(3)において、X- 、Y- は同一であっても異
なってもよく、それぞれ個別にハロゲンアニオン、Cl
4 - 、BF4 - 、PF6 - 、CH3 COO-、CH3
(C6 4 )SO3 - から選ばれる対アニオンを示し、
ハロゲンアニオンとしては、F- 、Cl- 、Br- 、I
- 等が挙げられる。R10、R12は同じでも異なっても良
く、水素または炭素数1〜5のアルキル基を示し、この
アルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピ
ル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、
n−ペンチル基等が挙げられる。R10、R12は水素又は
メチル基であることが特に好ましい。R11、R13は同じ
でも異なっても良く、炭素数1〜10の炭化水素残基を
示し、具体的には、 等を挙げることができる。なかでも−CH2 −であるこ
とが特に好ましい。Ar4 、Ar5 は同じでも異なって
も良く、2価の芳香族炭化水素残基を示し、具体的に
は、フェニレン基(o-、m-、p-)、置換フェニレン基
(置換基としては、様々なものが挙げられるが、典型的
にはアルキル置換フェニレン基等)、ビフェニレン基な
どが挙げられる。なかでも、m-またはp-位のフェニレン
基が特に好ましい。重合体(IV) は一般式(3)で表さ
れるそれぞれの繰り返し単位をそれぞれ2個以上有し、
通常は2〜500個、好ましくは2〜100個、さらに
好ましくは5〜50個それぞれ有し、実質的に線状重合
体である。エレクトロクロミック層に含まれるエレクト
ロクロミック物質が、重合体(I)と重合体(II)との混合
体で構成される場合、重合体(I) :重合体(II)の混合割
合(ビオロゲン構造:フェニレンアミン構造[モル組成
比])は任意に選ぶことができるが、通常は1:500
〜100:1、好ましくは1:50〜10:1の範囲に
ある。また、重合体(IV)と重合体(II)との混合体で構成
される場合、重合体(IV):重合体(II)の混合割合(ビオ
ロゲン構造:フェニレンアミン構造[モル組成比])は
任意に選ぶことができるが、通常は1:500〜10
0:1、好ましくは1:50〜10:1の範囲にある。
エレクトロクロミック物質が共重合体(III) で構成され
る場合も、共重合体(III) における一般式(1)の繰り
返し単位:一般式(2)の繰り返し単位の比率(ビオロ
ゲン構造:フェニレンアミン構造[モル組成比])は任
意に選ぶことができるが、通常は1:500〜100:
1、好ましくは1:50〜10:1の範囲にある。そし
て、共重合体(III) は各繰り返し単位をそれぞれ2個以
上有し、通常は2〜500個、好ましくは5〜100個
有している。また、エレクトロクロミック物質が共重合
体(V) で構成される場合、共重合体(V) における一般式
(3)の繰り返し単位:一般式(2)の繰り返し単位の
比率(ビオロゲン構造:フェニレンアミン構造[モル組
成比])は任意に選ぶことができるが、通常は1:50
0〜100:1、好ましくは1:50〜10:1の範囲
にある。そして、共重合体(V) は各繰り返し単位をそれ
ぞれ2個以上有し、通常は2〜500個、好ましくは2
〜100個有している。また、共重合体(V) において、
一般式(1)で表される構造単位も含有する場合、共重
合体(V) における一般式(1)の繰り返し単位:一般式
(3)の繰り返し単位の比率[モル組成比]は任意に選
ぶことができるが、通常は99:1〜1:99、好まし
くは70:30〜30:70の範囲が望ましい。共重合
体(III) および共重合体(V) は、各々ブロック共重合
体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであって
も差し支えない。
【0006】重合体(I) 、重合体(II)、共重合体(III)
、重合体(IV) および共重合体(V)は、公知の方法を利
用して容易に製造することができるが、その一例を挙げ
ると次の通りである。重合体(I) は、まず、ビピリジル
とR3 Yとを実質的に1:1の比で反応させ、下記の一
般式(4)で表されるモノ置換ビピリジルを得た後、反
応性基をもつ下記の一般式(5)で表される化合物と反
応させ、重合体(I) の前駆体モノマーである下記の化合
物(6)を製造し、次いで、前駆体モノマーを有機溶媒
中で、過酸化ベンゾイル等の公知の開始剤を用いてラジ
カル重合させることにより、容易に製造することができ
る。
【化12】
【化13】
【化14】 (式中、X- 、Y- 、R1 、R2 及びR3 は一般式
(1)におけるX- 、Y- 、R1 、R2 及びR3 と同一
の基を示す。) 重合体(II)は、まず、下記の一般式(7)で表されるア
ミン化合物と、反応性基をもつ下記の一般式(8)で表
される化合物とを反応させ、重合体(II)の前駆体モノマ
ーである下記の化合物(9)を製造し、ついで、前駆体
モノマーを有機溶媒中で、過酸化ベンゾイル等の公知の
開始剤を用いてラジカル重合させる方法で容易に製造す
ることができる。
【化15】
【化16】
【化17】 (式中、R4 、R5 、R7 、R8 、R9 、Ar2 及びA
3 は、一般式(2)におけるR4 、R5 、R7
8 、R9 、Ar2 及びAr3 と同一の基を示し、Zは
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンを示す。) 一般式(8)で表される化合物の具体例としてはアクリ
ル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどを挙げる
ことができる。一般式(7)で表される化合物としては
フェニレンジアミン、N−メチルフェニレンジアミン、
N,N’−ジメチルフェニレンジアミン、N,N,N’
−トリメチルフェニレンジアミン、N−エチルフェニレ
ンジアミン、N,N’−ジエチルフェニレンジアミン、
N,N,N’−トリエチルフェニレンジアミン、N−フ
ェニルフェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルフェ
ニレンジアミン、N,N,N’−トリフェニルフェニレ
ンジアミン、N−トリルフェニレンジアミン、N,N’
−トリルフェニレンジアミン、N,N,N’−トリトリ
ルフェニレンジアミン、N−(4−アミノフェニル)−
N’−フェニルフェニレンジアミン、N−(4−アミノ
フェニル)−N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン
、N−(4−アミノフェニル)−N,N’,N’−ト
リフェニルフェニレンジアミン、N−(4−アミノフェ
ニル)−N’,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、
N−(4−アミノフェニル)−N−トリルフェニレンジ
アミン、N−(4−アミノフェニル)−N−フェニル−
N’−トリルフェニレンジアミン、N−(4−アミノフ
ェニル)−N−トリル−N’−フェニルフェニレンジア
ミン、N−(4−アミノフェニル)−N,N’−ジトリ
ルフェニレンジアミン、N−(4−アミノフェニル)−
N’,N’−ジトリルフェニレンジアミン、N−(4−
アミノフェニル)−N−フェニル−N’,N’−ジトリ
ルフェニレンジアミン 、N−(4−アミノフェニル)
−N,N’−ジフェニル−N’−トリルフェニレンジア
ミン、N−(4−アミノフェニル)−N,N’,N’−
トリトリルフェニレンジアミン、N−(4−アミノフェ
ニル)−N−メチルフェニレンジアミン、N−(4−ア
ミノフェニル)−N−フェニル−N’−メチルフェニレ
ンジアミン、N−(4−アミノフェニル)−N−メチル
−N’−フェニルフェニレンジアミン、N−(4−アミ
ノフェニル)−N,N’−ジメチルフェニレンジアミ
ン、N−(4−アミノフェニル)−N’,N’−ジメチ
ルフェニレンジアミン、N−(4−アミノフェニル)−
N−フェニル−N’,N’−ジメチルフェニレンジアミ
ン 、N−(4−アミノフェニル)−N,N’−ジフェ
ニル−N’−メチルフェニレンジアミン、N−(4−ア
ミノフェニル)−N,N’,N’−トリメチルフェニレ
ンジアミン、ベンジジン、N−メチルベンジジン、N,
N’−ジメチルベンジジン、N,N,N’−トリメチル
ベンジジン、N−エチルベンジジン、N,N’−ジエチ
ルベンジジン、N,N,N’−トリエチルベンジジン、
N−フェニルベンジジン、N,N’−ジフェニルベンジ
ジン、N,N,N’−トリフェニルベンジジン、N−ト
リルベンジジン、N,N’−トリルベンジジン、N,
N,N’−トリトリルベンジジン、N−(4−アミノフ
ェニル)−N’−フェニルベンジジン、N−(4−アミ
ノフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン 、N
−(4−アミノフェニル)−N,N’,N’−トリフェ
ニルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N’,
N’−ジフェニルベンジジン、N−(4−アミノフェニ
ル)−N−トリルベンジジン、N−(4−アミノフェニ
ル)−N−フェニル−N’−トリルベンジジン、N−
(4−アミノフェニル)−N−トリル−N’−フェニル
ベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N,N’−
ジトリルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−
N’,N’−ジトリルベンジジン、N−(4−アミノフ
ェニル)−N−フェニル−N’,N’−ジトリルベンジ
ジン 、N−(4−アミノフェニル)−N,N’−ジフ
ェニル−N’−トリルベンジジン、N−(4−アミノフ
ェニル)−N,N’,N’−トリトリルベンジジン、N
−(4−アミノフェニル)−N−メチルベンジジン、N
−(4−アミノフェニル)−N−フェニル−N’−メチ
ルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−N−メチ
ル−N’−フェニルベンジジン、N−(4−アミノフェ
ニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、N−(4−ア
ミノフェニル)−N’,N’−ジメチルベンジジン、N
−(4−アミノフェニル)−N−フェニル−N’,N’
−ジメチルベンジジン、N−(4−アミノフェニル)−
N,N’−ジフェニル−N’−メチルベンジジン、N−
(4−アミノフェニル)−N,N’,N’−トリメチル
ベンジジン等が挙げられる。共重合体(III) は、一般式
(6)で表される化合物と一般式(9)で表される化合
物とを均一に溶解させ得る有機溶媒中で、アゾビスイソ
ブチロニトリル等の公知の開始剤を用いてラジカル重合
させる方法で容易に製造することができる。重合体(IV)
は、ビピリジルと一般式(10)で表される化合物と
を実質的に1:1の比で反応させ、下記の一般式(1
1)で表されるモノ置換ビピリジルを得た後、反応性基
をもつ下記の一般式(12)で表される化合物と1:1
の比で反応させ、重合体(IV) の前駆体モノマーである
下記の化合物(30)を製造し、次いで、前駆体モノマ
ーを有機溶媒中で、過酸化ベンゾイル等の公知の開始剤
を用いてラジカル重合させることにより、容易に製造す
ることができる。
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】 (式中、X- 、Y- 、R10、R11、R12、R13、Ar4
及びAr5 は一般式(3)で定義したところに同じ。) 共重合体(V) は、一般式(13)で表される化合物と一
般式(9)で表される化合物とを均一に溶解させ得る有
機溶媒中で、アゾビスイソブチロニトリル等の公知の開
始剤を用いてラジカル重合させる方法で容易に製造する
ことができる。
【0007】一般に、エレクトロクロミック素子は、少
なくとも1枚は透明である2枚の導電基板の間にエレク
トロクロミック物質の層を配し、さらに、イオン伝導性
物質の層、即ち電解質層を設けるのが通常であるが、本
発明のエレクトロクロミック素子にあっては、エレクト
ロクロミック物質を含有する層が電解質層を兼ねている
こと、換言すれば、エレクトロクロミック層と電解質層
が実質的に同一の単一層であることが好ましい。この好
ましい態様のエレクトロクロミック発色層は、電圧を印
可することで容易に酸化還元され着消色する。エレクト
ロクロミック発色層の厚さは、通常1μm〜3mm、好
ましくは10μm〜1mmの範囲にある。本発明に於い
て、イオン伝導性物質とは、エレクトロクロミック層に
着色、消色、色変化等を起こさせることができる物質を
指し、このイオン伝導性物質は、通常、室温で1×10
-7S/cm以上のイオン伝導度を示すことが好ましい。
本発明で使用可能なイオン伝導性物質は、液系イオン伝
導性物質、ゲル化液系イオン伝導性物質及び固体系イオ
ン伝導性物質に大別される。
【0008】液系イオン伝導性物質は、溶媒に塩類、酸
類、アルカリ類等の支持電解質を溶解して調製すること
ができる。この溶媒としては、支持電解質を溶解できる
ものであれば特に限定されないが、特に極性をするもの
が好ましい。具体的には、水が使用できる外、メタノー
ル、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカ
ーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタ
ン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロ
ラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメト
キシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プ
ロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリ
ル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、
メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソ
ラン、スルホラン、トリメチルホスフェイト、ポリエチ
レングリコール等の有機極性溶媒が使用可能で、なかで
も、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニト
リル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラ
ン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラ
ヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリ
ル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメ
チルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメ
チルホスフェイト、ポリエチレングリコールなどの有機
極性溶媒が望ましい。各溶媒は単独使用でも混合使用で
も差し支えない。支持電解質としての塩類は、特に限定
されず、各種のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩な
どの無機イオン塩、4級アンモニウム塩、環状4級アン
モニウム塩などが使用可能である。具体的には、LiC
lO4 、LiSCN、LiBF4、LiAsF6 、Li
CF3 SO3 、LiPF6 、LiI、NaI、NaSC
N、NaClO4 、NaBF4 、NaAsF6 、KSC
N、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩:(C
3 4 NBF4 、(C2 5 4 NBF4 、(n−C
4 9 4 NBF4 、(C2 5 4 NBr、(C2
5 4 NClO4 、(n−C4 9 4 NClO4 等の
4級アンモニウム塩および環状4級アンモニウム塩等が
各種塩類を挙げることができる。支持電解質としての酸
類は、特に限定されず、無機酸、有機酸などが使用可能
である。具体的には、硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン
酸類、カルボン酸類などが挙げられる。支持電解質とし
てのアルカリ類も、特に限定されず、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが使用でき
る。液系イオン伝導性物質を2枚の導電基板の間の所望
個所に注入するには、真空注入法や大気注入法が採用で
きるほか、導電基板を対向させてその周縁部をシール
し、基板間の間隙にメニスカス法によって注入する方法
が採用可能である。
【0009】ゲル化液系イオン伝導性物質は、上記の液
系イオン伝導性物質に、さらにポリマーを含有させた
り、ゲル化剤を含有させたすることで調製することがで
きる。この場合のポリマーとしては、例えば、ポリアク
リロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化
ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリウレタン、ポリ
アクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリ
アクリルアミド、セルロース、ポリエステル、ポリプロ
ピレンオキサイド、ナフィオンなどが使用可能である。
またゲル化剤としては、例えば、オキシエチレンメタク
リレート、オキシエチレンアクリレート、ウレタンアク
リレート、アクリルアミド、寒天などが使用可能であ
る。ゲル化液系イオン伝導性物質を導電基板の間の所望
個所に注入するには、真空注入法や大気注入法が採用で
きるほか、導電基板を対向させてその周縁部をシール
し、基板間の間隙にメニスカス法によって注入する方法
が採用可能である。
【0010】固体系イオン伝導性物質には、室温で固体
であり、かつイオン導電性を有する物質が使用でき、例
えば、ポリエチレンオキサイド、オキシエチレンメタク
リレートのポリマー、ナフィオン、ポリスチレンスルホ
ン酸、Li3 N、Na- β-Al2 3 、Sn(HPO
4 2 ・H2 Oなどが使用可能である。特にオキシアル
キレンメタクリレート系化合物、オキシアルキレンアク
リレート系化合物またはウレタンアクリレート系化合物
を重合することによって得られる高分子化合物(以下、
これを高分子固体電解質と呼ぶ)は、固体系イオン伝導
性物質として好ましい。
【0011】高分子固体電解質の第1の例は、下記の一
般式(14)で示されるウレタンアクリレートと、先に
示した有機極性溶媒と支持電解質を含む組成物(以下組
成物Aと略す)を固化することにより得られる高分子化
合物である。
【化22】 (式中、R14およびR15は同一または異なる基であっ
て、下記の一般式(15)〜(17)から選ばれる基を
示し、R16およびR17は同一または異なる基であって、
炭素数1〜20、好ましくは2〜12の2価炭化水素残
基を示し、Yはポリエーテル単位、ポリエステル単位、
ポリカーボネート単位またはこれらの混合単位を示す。
またeは1〜100、好ましくは1〜50、さらに好ま
しくは1〜20の範囲の整数を示す。)
【化23】
【化24】
【化25】 一般式(15)〜(17)に於いて、R18〜R20は同一
または異なる基であって、水素原子または炭素数1〜3
のアルキル基を示し、またR21は炭素数1〜20の、好
ましくは2〜8の2〜4価有機残基を示す。この有機残
基としては、アルキルトリル基、アルキルテトラリル基
及び下記の一般式(18)で示されるアルキレン基等の
炭化水素残基が挙げられる。
【化26】 一般式(18)に於いて、R22は炭素数1〜3のアルキ
ル基または水素を示し、fは0〜6の整数を示す。fが
2以上の場合、R22は同一でも異なっても良い。一般式
(18)で示されるアルキレン基等の炭化水素残基は、
水素原子の一部が炭素数1〜6、好ましくは1〜3のア
ルコキシ基又は炭素数6〜12のアリールオキシ基など
の含酸素炭化水素基で置換されていて差し支えない。一
般式(15)〜(17)に於けるR21の具体例を摘記す
ると、 等を好ましく挙げることができる。一般式(14)のR
16及びR17で示される2価炭化水素残基には、鎖状2価
炭化水素基、芳香族炭化水素基、含脂環炭化水素基など
が含まれるが、鎖状2価炭化水素基としては、先の一般
式(18)で示されるアルキレン基等を挙げることがで
き、芳香族炭化水素基および含脂環炭化水素基として
は、下記の一般式(19)〜(21)で示される炭化水
素基等が挙げられる。
【化27】
【化28】
【化29】 一般式(19)〜(21)に於いて、R23およびR24
同一または異なる基であって、フェニレン基、置換フェ
ニレン基(アルキル置換フェニレン基等)、シクロアル
キレン基、置換シクロアルキレン基(アルキル置換シク
ロアルキレン基等)を示す。R25〜R28は同一または異
なる基であって、水素原子または炭素数1〜3のアルキ
ル基を示す。また、gは1〜5の整数を示す。一般式
(14)に於けるR16およびR17の具体例は、下記の一
般式(22)〜(28)で例示できる。
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】 一般式(14)に於けるYはポリエーテル単位、ポリエ
ステル単位およびポリカーボネート単位またはこれらの
混合単位を示すが、このポリエーテル単位、ポリエステ
ル単位、ポリカーボネート単位及びこれらの混合単位と
しては、それぞれ下記の一般式(a)〜(d)で示され
る単位を挙げることができる。
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】 一般式(a)〜(d)に於いて、R29〜R34は同一また
は異なる基であって、炭素数1〜20、好ましくは2〜
12の2価の炭化水素残基を示し、hは2〜300、好
ましくは10〜200の整数を、iは1〜300、好ま
しくは2〜200の整数を、jは1〜200、好ましく
は2〜100の整数を、kは1〜200、好ましくは2
〜100の整数を、lは1〜300、好ましくは10〜
200の整数をそれぞれ示す。R29〜R34は、直鎖また
は分岐のアルキレン基であることが好ましく、さらに言
えば、R31はメチレン基、エチレン基、トリメチレン
基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチ
レン基、プロピレン基のいずれかであることが、R29
30およびR32〜R34はエチレン基、プロピレン基のい
ずれかであることが好ましい。また、一般式(a)〜
(d)に於いて、各単位は同一のいわゆる単独重合で
も、異なる単位の共重合でも、いずれのものでもよい。
一般式(14)で示されるウレタンアクリレートの分子
量は、通常、重量平均分子量で2,500〜30,00
0、好ましくは3,000〜20,000の範囲にあ
る。また、ウレタンアクリレート1分子中の重合官能基
数は、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4が望
ましい。一般式(14)で示されるウレタンアクリレー
トは、公知の方法により容易に製造することができ、そ
の製法は特に限定されるものではない。
【0012】上記した組成物Aを調製する際に使用する
有機極性溶媒(有機非水溶媒)の量は、ウレタンアクリ
レート100重量部に対して通常100〜1200重量
部、好ましくは200〜900重量部の範囲で選ばれ
る、有機非水溶媒の使用量が少なすぎると、イオン伝導
度が低下し、なく、また有機非水溶媒の使用量が多すぎ
ると、組成物Aが固化した後の機械強度が低下してしま
う場合がある。支持電解質には先に例示したもの使用で
き、その使用量は有機非水溶媒に対し0.1〜30重量
%、好ましくは1〜20重量%の範囲で選ばれる。組成
物Aは、基本的には、ウレタンアクリレートと有機非水
溶媒(有機極性溶媒)と支持電解質からなる基本成分を
固化することにより得られるが、この組成物には本発明
の目的を損なわない範囲で任意成分を必要に応じて加え
ることができ、そうした任意成分としては、例えば架橋
剤や重合開始剤(光または熱)などが挙げられる。組成
物Aを2枚の導電基板の間の所望個所に注入するには、
真空注入法や大気注入法が採用できるほか、導電基板を
対向させてその周縁部をシールし、基板間の間隙にメニ
スカス法によって組成物Aを注入する方法が採用可能で
ある。そして、基板間に注入された組成物Aを適宜な方
法で固化させることにより、高分子固体電解質層を形成
させることができる。重合性成分または架橋性成分など
が、重合(重縮合)ないしは架橋反応によって硬化し、
組成物全体が常温において実質的に流動しない状態とな
ることをいう。なお、この場合ネットワーク状の基本構
造を有する。
【0013】高分子固体電解質の第2の例は、アクリロ
イル変性ポリアルキレンオキシドと、上記した有機極性
溶媒と支持電解質を含む組成物(以下組成物Bと略す)
を固化することにより得られる高分子化合物である。上
記アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドの一例は、
一般式(29)で表される単官能アクリロイル変性ポリ
アルキレンオキシドである。
【化41】 一般式(29)に於いて、R35、R36、R37およびR38
は、各々個別に水素または炭素数1〜5のアルキル基を
示し、そのアルキル基としては、メチル基、エチル基、
i-プロピル基、n-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル
基、n-ペンチル基等が挙げられ、特にR35〜R37はそれ
ぞれ水素又はメチル基であることが、R38は水素、メチ
ル基又はエチル基であることが好ましい。一般式(2
9)のmは、1以上の整数、通常1≦m≦100、好ま
しくは2≦m≦50、さらに好ましくは2≦m≦30の
範囲の整数を示す。一般式(29)で示される化合物の
具体例としては、オキシアルキレンユニットを1〜10
0個、好ましくは2〜50個、さらに好ましくは1〜2
0個の範囲で持つメトキシポリエチレングリコールメタ
クリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタク
リレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレ
ート、エトキシポリプロピレングリコールメタクリレー
ト、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メ
トキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキ
シポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリ
プロピレングリコールアクリレート、またはこれらの混
合物を挙げることができる。一般式(29)のmが2以
上の場合、オキシアルキレンユニットは互いに異なるい
わゆる共重合オキシアルキレンユニットを持つものでも
よく、その具体例としては、例えば、オキシエチレンユ
ニットを1〜50個、好ましくは1〜20個の範囲で持
ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜50個、好ま
しくは1〜20個の範囲で持つところの、メトキシポリ
(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレート、
エトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコールメタ
クリレート、メトキシポリ(エチレン・プロピレン)グ
リコールアクリレート、エトキシポリ(エチレン・プロ
ピレン)グリコールアクリレート、またはこれらの混合
物が挙げられる。
【0014】本発明で使用可能なアクリロイル変性ポリ
アルキレンオキシドの他の例は、一般式(30)で示さ
れる2官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシド及
び一般式(31)で表されるところの、3官能以上の多
官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドなどが挙
げられる。
【化42】
【化43】 一般式(30)において、R39、R40、R41およびR42
は、各々個別に水素または炭素数1〜5のアルキル基を
示す、このアルキル基としては、メチル基、エチル基、
i-プロピル基、n-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル
基、n-ペンチル基等が挙げられる。特にR39〜R42はそ
れぞれ水素又はメチル基であることが好ましい。一般式
(30)中のnは、1以上の整数、通常1≦n≦10
0、好ましくは2≦n≦50、さらに好ましくは2≦n
≦30の範囲の整数を示す。一般式(30)で示される
2官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドの具体
例は、オキシアルキレンユニットを1〜100個、好ま
しくは2〜50個、さらに好ましくは1〜20個の範囲
で持つポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリ
プロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレン
グリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール
ジメタクリレート、またはこれらの混合物等を挙げるこ
とができる。nが2以上の場合、オキシアルキレンユニ
ットが互いに異なるいわゆる共重合オキシアルキレンユ
ニットを持つものでもよく、その例としては、例えば、
オキシエチレンユニットを1〜50個、好ましくは1〜
20個の範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニットを
1〜50個、好ましくは1〜20個の範囲で持つところ
の、ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールジメタク
リレート、ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールジ
アクリレート、またはこれらの混合物などが挙げられ
る。一般式(31)に於いて、R43、R44およびR
45は、各々個別に水素または炭素数1〜5のアルキル基
を示し、このアルキル基としては、メチル基、エチル
基、i-プロピル基、n-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチ
ル基、n-ペンチル基等が挙げられる。R43〜R45は水素
又はメチル基であることが好ましい。4 一般式(3
1)のpは1以上の整数、通常1≦p≦100、好まし
くは2≦p≦50さらに好ましくは2≦p≦30の範囲
の整数を示し、qは連結基Lの連結数を示し、2≦q≦
4の整数を示す。連結基Lは、通常、炭素数1〜30、
好ましくは1〜20の2価、3価または4価の炭化水素
基である。2価炭化水素基としては、アルキレン基、ア
リーレン基、アリールアルキレン基、アルキルアリーレ
ン基、またはこれらを基本骨格として有する炭化水素基
などが挙げられ、具体的には、 などが挙げられる。3価の炭化水素基としては、アルキ
ルトリル基、アリールトリル基、アリールアルキルトリ
ル基、アルキルアリールトリル基、またはこれらを基本
骨格として有する炭化水素基などが挙げられ、具体的に
などが挙げられる。また、4価の炭化水素基としては、
アルキルテトラリル基、アリールテトラリル基、アリー
ルアルキルテトラリル基、アルキルアリールテトラリル
基、またはこれらを基本骨格として有する炭化水素基な
どが挙げられ、具体的には 等が挙げられる。多官能アクリロイル変性ポリアルキレ
ンオキシドの具体例としては、オキシアルキレンユニッ
トを1〜100個、好ましくは2〜50個、さらに好ま
しくは1〜20個の範囲で持つトリメチロールプロパン
トリ(ポリエチレングリコールアクリレート)、トリメ
チロールプロパントリ(ポリエチレングリコールメタク
リレート)、トリメチロールプロパントリ(ポリプロピ
レングリコールアクリレート)、トリメチロールプロパ
ントリ(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、
テトラメチロールメタンテトラ(ポリエチレングリコー
ルアクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポ
リエチレングリコールメタクリレート)、テトラメチロ
ールメタンテトラ(ポリプロピレングリコールアクリレ
ート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリプロピレ
ングリコールメタクリレート)、2,2−ビス[4−
(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フ
ェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ
ポリイソプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビ
ス[4−(メタクリロキシポリイソプロポキシ)フェニ
ル]プロパン、またはこれらの混合物等を挙げることが
できる。また、pが2以上の場合、オキシアルキレンユ
ニットが互いに異なるいわゆる共重合オキシアルキレン
ユニットを持つものでもよく、例えば、オキシエチレン
ユニットを1〜50個、好ましくは1〜20個の範囲で
持ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜50個、好
ましくは1〜20個の範囲で持つところの、トリメチロ
ールプロパントリ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリ
コールアクリレート)、トリメチロールプロパントリ
(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレ
ート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリ(エチレ
ン・プロピレン)グリコールアクリレート)、テトラメ
チロールメタンテトラ(ポリ(エチレン・プロピレン)
グリコールメタクリレート)、またはこれらの混合物な
どがその具体例である。一般式(29)で表される単官
能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドと一般式
(30)又は一般式(31)で表される多官能アクリロ
イル変性ポリアルキレンオキシドは併用することができ
る。併用する場合、単官能アクリロイル変性ポリアルキ
レンオキシド/多官能アクリロイル変性ポリアルキレン
オキシドの重量比は通常0.01/99.9〜99.9
/0.01、好ましくは1/99〜99/1、さらに好
ましくは20/80〜80/20の範囲にある。組成物
Bを調製するに際しての極性有機溶媒の使用量は、アク
リロイル変性ポリアルキレンオキシドに対して通常50
〜800重量%、好ましくは100〜500重量%の範
囲にあり、支持電解質の使用量は、アクリロイル変性ポ
リアルキレンオキシドおよび極性有機溶媒の重量和に対
して通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%の
範囲である。上記組成物Bには、必要の応じて光重合開
始剤や熱重合開始剤を添加することができ、その使用量
はアクリロイル変性ポリアルキレンオキシドに対して通
常0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量
%の範囲である。
【0015】組成物Bを少なくとも1枚は透明な2枚の
導電基板の間の所望個所に注入するには、真空注入法や
大気注入法が採用できるほか、2枚の導電基板を対向さ
せてその周縁部をシールし、基板間の間隙にメニスカス
法によって組成物Aを注入する方法が採用可能である。
そして、基板間に注入された組成物Aを適宜な方法で固
化させることにより、高分子固体電解質層を形成させる
ことができる。重合性成分(単官能または多官能アクリ
ロイル変性ポリアルキレンオキシド)または架橋性成分
などが、重合(重縮合)ないしは架橋反応によって硬化
し、組成物全体が常温において実質的に流動しない状態
となることをいう。なお、この場合ネットワーク状の基
本構造を有する。
【0016】以上説明した液系イオン伝導性物質、ゲル
化液系イオン伝導性物質並びに固体系イオン伝導性物質
は、本発明のエレクトロクロミック素子に必要な電解質
層を、エレクトロクロミック層とは個別に設ける際に使
用可能であるが、本発明にあっては、2枚の導電基板と
の間に挟持される単一層が、エレクトロクロミック層と
電解質層の両者の役割を担う態様が好ましい。この態様
の実現には、次の方法等を採用することができる。 イオン伝導性物質に液系又はゲル化液系を使用し、
これに上記した重合体(I) と重合体(II)を、あるいは共
重合体(III) を、あるいは重合体(IV)と重合体(II)
を、あるいは共重合体(V)を、均質に溶解又は分散さ
せるか、重合体(I) 及び重合体(II)または重合体(IV)
及び重合体(II)の前駆体モノマー又は共重合体(III)
または共重合体(V)の前駆体モノマーを、液系又はゲ
ル化液系イオン伝導性物質に溶かして重合させる方法。 イオン伝導性物質に固体系を、典型的には上記の高
分子固体電解質を使用し、その前駆体である組成物A又
は組成物B中に、重合体(I) と重合体(II)あるいは重合
体(IV)と重合体(II)を、あるいは共重合体(III)あ
るいは共重合体(V)を均質に溶解又は分散させて、組
成物を固化させるか、あるいは組成物A又は組成物B中
で、重合体(I) 及び重合体(II)または重合体(IV)及び
重合体(II)の前駆体モノマー又は共重合体(III) また
は共重合体(V)の前駆体モノマーを、重合させる方
法。
【0017】本発明のエレクトロクロミック素子は、2
枚の導電基板の間に、エレクトロクロミック層と電解質
層(イオン伝導性物質層)を個別に挟持させたものであ
っても、同一層がエレクトロクロミック層と電解質層の
役割を兼備するものであっても良いが、ここではエレク
トロクロミック層と電解質層とを同一層で兼ねるエレク
トロクロミック素子の製造法を、図面に沿って説明す
る。図1に示すエレクトロクロミック素子は、透明基板
1とその表面に積層させた透明電極層2からなる透明導
電基板と、透明又は不透明な基板5とその表面に積層さ
せた透明、不透明または反射性導電基板4との間に、エ
レクトロクロミック層兼電解質層3を挟持させた構造に
あり、このエレクトロクロミック素子は次の方法で製造
することができる。まず、透明基板1上に透明電極層2
を形成して積層板Aを、基板5上に透明、不透明または
反射性電極層4を形成して積層板Bを得る。次いで、積
層板Aと積層板Bを電極層が向き合うよう、1〜100
0μm程度の間隔で対向させ、注入口を除いた周縁をシ
ール材6でシールし、注入口付きの空セルを作成する。
続いて、本発明のエレクトロクロミック物質(重合体
(I) 及び重合体(II)、又は重合体(IV)及び重合体(I
I)、または共重合体(III)または共重合体(V) )と、
イオン伝導性物質(通常液状)を、上記の注入口から注
入した後、ここを封止することで、図1に示すエレクト
ロクロミックミラーを製造することができる。積層板A
と積層板Bを対向させる際には、両者の間隔を一定に確
保するためにスペーサーを用いることができる。スペー
サーとしては特に限定されないが、ガラス、ポリマー等
で構成されるビーズまたはシートを用いることができ
る。スペーサーは積層板の表面上に直接設けることもで
きる。イオン伝導性物質として本発明の固体系イオン伝
導性物質を使用した場合には、注入後組成物A又は組成
物Bを硬化させるが、これには硬化剤を併用又は併用し
ない熱硬化法、光硬化法が利用できる。また、本発明の
エレクトロクロミック素子は、透明基板1上に透明電極
層2、エレクトロクロミック層兼イオン導電性物質層3
を、記載順に順次形成した積層体A’と、基板5上に透
明、不透明または反射性電極層4を形成した積層体B’
をそれぞれ作成した後、積層体A’のエレクトロクロミ
ック層兼イオン伝導性物質層3と、積層体B’の電極層
4とを密着させ、両積層体の周縁をシール材6でシール
する方法で製造することもできる。図2には表示素子や
エレクトロクロミック調光ガラスの例を示す。透明基板
1の一方の面に透明電極層2を形成した透明導電基板2
枚を、両基板の透明電極層が向き合うよう、適宜な間隔
で対向させ、この間隙にエレクトロクロミック層兼イオ
ン伝導性物質層3を挟持させた構造にある。図2に示す
表示素子やエレクトロクロミック調光ガラスは、2枚の
透明電極層同士を用いること以外は、図1に示すエレク
トロクロミック素子の場合と同様の手順で製造すること
ができる。図3はエレクトロクロミックミラーの例を示
す。透明基板1の一方の面に透明電極層2を形成した透
明導電基板と、透明基板1の一方の面に透明電極層2
を、他方の面に反射層7を形成した反射性導電基板と
を、両基板の透明電極層が向き合うよう、適宜な間隔で
対向させ、この間隙にエレクトロクロミック層兼イオン
伝導性物質層3を挟持させた構造にある。図3に示すエ
レクトロクロミックミラーは、1枚の透明基板1の一方
の面に透明電極層2を、もう一方の面に反射層7を形成
させること以外は、図1に示すエレクトロクロミック素
子の場合と同様の手順で製造することができる。本発明
のエレクトロクロミック素子には、必要に応じて、紫外
線反射層や紫外線吸収層などの紫外線カット層、素子全
体もしくは各膜層の表面保護を目的とするオーバーコー
ト層などを設けることができる。紫外線カット層を設置
する場合は、これを透明基板1の外界側もしくは透明電
極層側に、オーバーコート層を設置する場合は、これを
透明基板1の外界側や反射層7の外界側などに設けるこ
とが好ましい。
【0018】
【発明の効果】本発明のエレクトロクロミック素子は、
特定の化合物を含有するエレクトロクロミック層を用い
ることにより応答速度が速く、十分な耐久性やメモリー
性を有する。本発明のエレクトロクロミック素子は、特
定の化合物を含有するエレクトロクロミック層を用い、
工程が簡便であるため、比較的容易にかつ安価に製造す
ることができ、また、係る化合物の仕様を変更すること
により着色濃度が容易に調節できるという優れた特徴を
有する。イオン伝導性物質層に固体電解質を用いること
が容易であり、従って、電解質溶液が飛び散ることがな
く、大型で安全性が高い素子を作ることができる。しか
も、本発明のエレクトロクロミック素子は、それぞれの
電極間に電圧を印加することによりエレクトロクロミッ
ク現象による発色・消色を起こすことができ、電圧印加
手段としては公知のものを利用することができる。以上
のことから、本発明のエレクトロクロミック素子は、表
示素子、調光ガラス、自動車等の防眩ミラー、あるいは
屋内で使用される装飾用ミラーなどのエレクトロクロミ
ックミラーなどに好適に使用することができる。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例に制限されるものではない。 実施例1(1)エレクトロクロミック化合物の合成 アセトン中で、ビピリジルとベンジルクロライドとを等
モル量で反応させて、モノ置換体N−ベンジルビピリジ
ニウムクロライドを得た。このN−ベンジルビピリジニ
ウムクロライド5.66g(20mmol)を2−プロ
パノール150mlに溶解させ、4−クロロメチルスチ
レン(4−ビニルベンジルクロライド)3.05g(2
0mmol)と重合禁止材としてヒドロキノン50mg
(0.45mmol)を加えて、室温で24時間攪拌
し、式(32)で示されるN−ベンジル−N’−ビニル
スチリルビピリジニウムジクロライドを得た。
【化44】 (2)電子供与体化合物の合成 500mlの3つ口フラスコにジフェニルアミン25.
4g(150mmol)、セシウムフロライド22.8
g(150mmol)を秤り取り、フラスコ内を窒素置
換して、ジメチルスルフォキシド250mlを加えて攪
拌した。1−フロロ−4−ニトロベンゼン21.3g
(150mmol)を加えてオイルバスで120℃に加
熱し、24時間攪拌を継続した。反応溶液を氷水に注ぎ
固体を析出させ、得られた固体を酢酸より再結晶させて
式(33)で表される化合物29.5g(102mmo
l)を得た。
【化45】 上記のようにして得られた化合物(33)のうち15.
0g(52mmol)を、500ml 3つ口フラスコ
に移し、ジメチルフォルムアミド200ml、5%パラ
ジウム/カーボン1.5gを加えて、常圧で水素を供給
した。室温で12時間攪拌を続けた後、パラジウムカー
ボンを濾過して除き、反応溶液を氷水に注いで固体を析
出させた。得られた白色固体を減圧乾燥させ、式(3
4)で示される化合物12.5g(48mmol)を得
た。
【化46】 化合物(34)12.5g(48mmol)を500m
lの3つ口フラスコに移し、ベンゼン250ml、トリ
エチルアミン10mlを加えて、氷冷下で攪拌した。メ
タクリル酸クロライド6.3g(60mmol)/ベン
ゼン20ml溶液を滴下した。反応溶液を1NHCl水
溶液で2回、水で2回、1NNaOH水溶液で2回それ
ぞれ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し
て13.4g(41mmol)の化合物(35)を得
た。
【化47】 (3)エレクトロクロミック化合物と電子供与体化合物
との重合 化合物(32)8.7g(20mmol)と化合物(3
5)6.6g(20mmol)とをγ−ブチロラクトン
30mlに溶解させ、AIBN0.2gを加えてオイル
バスで80℃に加熱し、化合物(32)と化合物(3
5)との共重合ポリマー溶液を得た。GPC分析より得
られたポリマーの平均分子量は約10,000であっ
た。(4)エレクトロクロミックミラーの作製 高反射性電極としてパラジウム薄膜の付いた基板を用
い、これを積層板Dとし、積層板Dの該パラジウムの周
辺部に、電解質前駆体溶液の注入口の部分を除いてエポ
キシ系接着剤を線状に塗布し、この上にSnO2 被覆さ
れた透明ガラス基板Cを、SnO2 面とパラジウム層と
が向かい合うように重ね合わせ、加圧しながら接着剤を
硬化させ、注入口付き空セルを作製した。一方、(3)
で得られた化合物(32)と化合物(35)との共重合
ポリマー溶液5.0gに、メトキシポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製
MEO4)[オキシエチレンユニット数4] 1.0
g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村
化学工業株式会社製 9G)[オキシエチレンユニット
数9]0.02g、過塩素酸リチウム0.4gを添加し
て均一溶液とした。暗室内で、上記均一溶液に光重合開
始剤である1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社
製、商品名「ダイキュア−1116」)0.02gを添
加した。この溶液を脱気後、上述のようにして作成した
セルの注入口より電解質前駆体として注入した。注入口
をエポキシ系接着剤で封止した後、透明基板側から蛍光
灯の光を当てて電解質前駆体を硬化させ、固体型電解質
を得た。このようにして図1に示す構成の全固体型エレ
クトロクロミックミラーを得た。このミラーは組み立て
た時点では着色しておらず、反射率は約85%であっ
た。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエレ
クトロクロミック特性を示した。すなわち、1.5Vの
電圧を印可すると着色し、反射率約15%となった。電
圧印可を停止後も着色状態を維持し100時間後も反射
率10%であった。
【0020】実施例2(1)エレクトロクロミック化合物の合成 ビピリジル3.12g(20mmol)をフラスコ中で
100mlのアセトニトリルに溶解させ、ここに4−ク
ロロメチルスチレン(4−ビニルベンジルクロライド)
6.10g(40mmol) と、重合禁止材としてヒド
ロキノン50mg(0.45mmol)を加えた。室温
で24時間攪拌した後、析出した固体を濾別、乾燥して
式(36)で表されるN,N‘−ジ−ビニルベンジルビ
ピリジニウムジクロライド7.84g(17mmol)
を得た。
【化48】 (2)エレクトロクロミック化合物と電子供与体化合物
との重合 化合物(36)4.6g(10mmol)と化合物(3
5)6.6g(20mmol)とをγ−ブチロラクトン
30mlに溶解させ、AIBN0.2gを加えてオイル
バスで80℃に加熱し、化合物(36)と化合物(3
5)との共重合ポリマー溶液を得た。GPC分析より得
られたポリマーの平均分子量は約12,000であっ
た。(3)エレクトロクロミック調光ガラスの作製 2枚の透明導電基板電極としてITO被覆された透明ガ
ラス基板A、Bを用い、透明ガラス基板Bの白金薄膜側
の周辺部に、電解質前駆体溶液の注入口の部分を除いて
エポキシ系接着剤を線状に塗布し、この上に透明ガラス
基板Aを、ITO面同士が向かい合うように重ね合わ
せ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き空セル
を作製した。一方、メトキシポリエチレングリコールモ
ノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 MEO
4)[オキシエチレンユニット数4] 1.0g、ポリ
エチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業
株式会社製 9G)[オキシエチレンユニット数9]
0.02g、γ−ブチロラクトン 4.0gの混合溶液
に、過塩素酸リチウム0.4gを添加し、均一溶液とし
た。暗室内で、上記均一溶液に光重合開始剤である1−
(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロパン−1−オン(メルク社製、商品名「ダイ
キュア−1116」)0.02gを添加し、均一溶液を
得た。ここに上記(2)で得た化合物(36)と化合物
(35)との共重合ポリマー溶液2mlを加えて均一化
させ、脱気後、上述のようにして作成したセルの注入口
より電解質前駆体として注入した。注入口をエポキシ系
接着剤で封止した後、両面から蛍光灯の光を当てて電解
質前駆体を硬化させ、高分子固体型電解質を得た。この
ようにして図2に示す構成の全固体型エレクトロクロミ
ック調光ガラスを得た。この調光ガラスは組み立てた時
点では着色しておらず、透過率は約90%であった。ま
た、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエレクトロ
クロミック特性を示した。すなわち、1.5Vの電圧を
印可すると着色し、633nmの波長の光の透過率約2
0%となった。電圧印可を停止後も着色状態を維持し1
00時間後も透過率20%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレクトロクロミック素子の構成の一
つを示す断面図である。
【図2】本発明のエレクトロクロミック調光ガラスの構
成の他の一つを示す断面図である。
【図3】本発明のエレクトロクロミックミラーの構成の
他の一つを示す断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 透明電極層 3 エレクトロクロミック発色層兼イオン伝導性物質層 4 透明、不透明または反射性電極層 5 基板 6 シール材 7 反射層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1枚は透明である、2枚の導
    電基板の間に、(A)下記の一般式(1)で表される繰
    り返し単位からなる重合体および下記の一般式(2)で
    表される繰り返し単位からなる重合体を含有するエレク
    トロクロミック層または(B)下記の一般式(1)で表
    される繰り返し単位および下記の一般式(2)で表され
    る繰り返し単位からなる共重合体を含有するエレクトロ
    クロミック層を設けたことを特徴とするエレクトロクロ
    ミック素子。 【化1】 (式中、X- 、Y- は同一であっても異なってもよく、
    それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 - 、BF4
    - 、PF6 - 、CH3 COO- 、CH3 (C6 4 )S
    3 - から選ばれる対アニオンを示し、R1 は水素また
    は炭素数1〜5のアルキル基を、R2 は炭素数1〜10
    の炭化水素残基を、R3 は炭素数1〜20のアルキル
    基、アリール基またはアラルキル基を、Ar1 は2価の
    芳香族炭化水素残基を各々表す。) 【化2】 (式中、R4 は水素または炭素数1〜5のアルキル基、
    5 、R7 、R8 及びR9 は水素または炭素数1〜20
    の炭化水素基または炭化水素残基を表し、それぞれ同一
    でも異なっても良い。Ar2 及びAr3 は2価の芳香族
    炭化水素残基を示す。cは0以上の整数を、dは1以上
    の整数を各々示す。)
  2. 【請求項2】 少なくとも1枚は透明である、2枚の導
    電基板の間に、(A)下記の一般式(3)で表される繰
    り返し単位からなる重合体および下記の一般式(2)で
    表される繰り返し単位からなる重合体を含有するエレク
    トロクロミック層または(B)下記の一般式(3)で表
    される繰り返し単位および下記の一般式(2)で表され
    る繰り返し単位、さらに所望により下記の一般式(1)
    で表される繰り返し単位からなる共重合体を含有するエ
    レクトロクロミック層を設けたことを特徴とするエレク
    トロクロミック素子。 【化3】 (式中、X- 、Y- は同一であっても異なってもよく、
    それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 - 、BF4
    - 、PF6 - 、CH3 COO- 、CH3 (C6 4 )S
    3 - から選ばれる対アニオンを示し、R10、R12は水
    素または炭素数1〜5のアルキル基を、R11、R13は炭
    素数1〜10の炭化水素残基を、Ar4 、Ar5 は2価
    の芳香族炭化水素残基を各々表す。) 【化4】 (式中、R4 は水素または炭素数1〜5のアルキル基、
    5 、R7 、R8 及びR9 は水素または炭素数1〜20
    の炭化水素基または炭化水素残基を表し、それぞれ同一
    でも異なっても良い。Ar2 及びAr3 は2価の芳香族
    炭化水素残基を示す。cは0以上の整数を、dは1以上
    の整数を各々示す。) 【化5】 (式中、X- 、Y- は同一であっても異なってもよく、
    それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 - 、BF4
    - 、PF6 - 、CH3 COO- 、CH3 (C6 4 )S
    3 - から選ばれる対アニオンを示し、R1 は水素また
    は炭素数1〜5のアルキル基を、R2 は炭素数1〜10
    の炭化水素残基を、R3 は炭素数1〜20のアルキル
    基、アリール基またはアラルキル基を、Ar1 は2価の
    芳香族炭化水素残基を各々表す。)
  3. 【請求項3】 上記エレクトロクロミック層が、イオン
    伝導性物質層を兼ねている請求項1又は2記載のエレク
    トロクロミック素子。
JP9364870A 1997-12-19 1997-12-19 エレクトロクロミック素子 Pending JPH11183941A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9364870A JPH11183941A (ja) 1997-12-19 1997-12-19 エレクトロクロミック素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9364870A JPH11183941A (ja) 1997-12-19 1997-12-19 エレクトロクロミック素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11183941A true JPH11183941A (ja) 1999-07-09

Family

ID=18482880

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9364870A Pending JPH11183941A (ja) 1997-12-19 1997-12-19 エレクトロクロミック素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11183941A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001055784A1 (fr) * 2000-01-26 2001-08-02 Nippon Oil Corporation Dispositif d'affichage electrochromique
JP2009541524A (ja) * 2006-06-23 2009-11-26 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 発色性側基を有する非晶質ポリマー
WO2011055792A1 (ja) * 2009-11-06 2011-05-12 国立大学法人九州大学 エレクトロクロミック材料

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001055784A1 (fr) * 2000-01-26 2001-08-02 Nippon Oil Corporation Dispositif d'affichage electrochromique
US6728022B2 (en) 2000-01-26 2004-04-27 Nippon Oil Corporation Electrochromic device
JP2009541524A (ja) * 2006-06-23 2009-11-26 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 発色性側基を有する非晶質ポリマー
WO2011055792A1 (ja) * 2009-11-06 2011-05-12 国立大学法人九州大学 エレクトロクロミック材料
JP5689071B2 (ja) * 2009-11-06 2015-03-25 国立大学法人九州大学 エレクトロクロミック材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000131722A (ja) エレクトロクロミック素子
JP3752010B2 (ja) 調光素子
US6203154B1 (en) Electrochromic element
KR20010102154A (ko) 전기착색 소자
US6023364A (en) Electrochromic mirror
US6437901B1 (en) Electrochromic device
US6532098B1 (en) Electrochromic element
US6285486B1 (en) Electrochromic mirror and electrochromic devices
JP4360663B2 (ja) エレクトロクロミックミラー
US6657768B2 (en) Electrochromic device
JPH11183938A (ja) エレクトロクロミック素子
JPH11183940A (ja) エレクトロクロミック素子
JPH11183941A (ja) エレクトロクロミック素子
US6538792B1 (en) Electrochromic device
JP4227716B2 (ja) エレクトロクロミック素子
JP2000235198A (ja) エレクトロクロミック素子
JPH11142892A (ja) エレクトロクロミックミラー
JP2000057844A (ja) 高分子固体電解質
JPH11142893A (ja) エレクトロクロミックミラー
JP2001188261A (ja) エレクトロクロミック素子
JP4166505B2 (ja) 高分子固体電解質
JPH11183939A (ja) エレクトロクロミック素子
JP2002311459A (ja) エレクトロクロミックミラーの駆動方法
JPH1138453A (ja) エレクトロクロミックミラー
JP2002311460A (ja) エレクトロクロミックミラーの駆動方法