JPH11182589A - 2方向同時空転・ロック切替えクラッチ - Google Patents

2方向同時空転・ロック切替えクラッチ

Info

Publication number
JPH11182589A
JPH11182589A JP9354947A JP35494797A JPH11182589A JP H11182589 A JPH11182589 A JP H11182589A JP 9354947 A JP9354947 A JP 9354947A JP 35494797 A JP35494797 A JP 35494797A JP H11182589 A JPH11182589 A JP H11182589A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
retainer
sprag
sprags
diameter surface
ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9354947A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3895024B2 (ja
Inventor
Masahiro Kurita
昌弘 栗田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP35494797A priority Critical patent/JP3895024B2/ja
Publication of JPH11182589A publication Critical patent/JPH11182589A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3895024B2 publication Critical patent/JP3895024B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 正転・逆転方向のいずれの方向にもロック状
態を保ち、外部からの操作によって、正転・逆転方向の
いずれの方向も同時に回転可能になるという新たな機能
を持ったクラッチを提供する。 【解決手段】 内輪1の外径面および外輪2の内径面の
一方に、揺動自在に複数のスプラグ3を配置する。前記
外径面および内径面の他方を、円筒面状のスプラグ接触
面2aとする。スプラグ3は、中立角度で内外輪の相互
間の回転を許し、傾くことでスプラグ接触面2aに摩擦
接触して内外輪1,2間の相対回転をロックするものと
する。スプラグ3を中立角度に保持する状態と揺動自在
な状態とに切り替えるスプラグ角度規制手段13を設け
る。この手段13は、保持器4と、保持器固定用溝7A
と、係合突部9とで構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種の機器の機
械構造部分、例えば、自然状態では正転・逆転方向共に
自由に回転できないが、必要に応じて正転・逆転方向共
に同時に自由に回転が可能な機能を必要とする機械構造
部分に使用できる2方向同時空転・ロック切替えクラッ
チに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、手押し車の車輪やドアの車輪
は、何らかの方法で止めない限り、傾斜面においては水
平方向の分力や慣性力のために動くことが可能である。
このために、用途によっては、外部から車輪にブレーキ
機構を付加して危険を防止を図っているのが現状であ
る。図14に、従来から知られているワンウェイクラッ
チの代表的な構造例を示す。このクラッチは、軸81、
外輪82、ころ83、保持器84、およびばね85で構
成されている。外輪82には、傾斜カム面86が設けら
れており、ばね85は、ころ83をカム面の狭い側に押
し付けて、軸固定時には外輪82の時計方向への回転に
対しては即座にロックする構造となっている。図13
は、従来のスプラグ式のワンウェイクラッチを示す。こ
のクラッチは、外輪101と内輪102との間に、外径
面がカム面となるスプラグ103を介在させ、ばね10
4でスプラグ103を規制したものである。また、図1
5にツーウェイクラッチの代表的な構造例を示す。この
クラッチの特徴は、外輪92に、互いに対向する2つの
傾斜カム面97を持つことと、保持器94を必要に応じ
て周方向に移動させるための手段(この例ではレバー9
8)を持つことである。これによって、時計方向あるい
は反時計方向に外輪92のロック方向を切り替える機能
を持つことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記各ワンウェイクラ
ッチは、名前のとおり一方向への回転のみをロックする
だけである。ツーウェイクラッチはレバー等の操作によ
って、時計方向あるいは反時計方向だけにロックする機
能があるが、両方向回転共にロックする機能は持ってい
ない。したがって、いずれも、安全性を要求する手押し
車の車輪やドア用の車輪等が要求するクラッチとしての
機能はなかった。
【0004】この発明の目的は、正転・逆転方向のいず
れの方向にもロック状態を保ち、外部からの操作によっ
て、正転・逆転方向のいずれの方向も同時に回転可能に
なるという新たな機能を持った2方向同時空転・ロック
切替えクラッチを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の2方向同時空
転・ロック切替えクラッチは、内輪の外径面および外輪
の内径面のいずれか一方に、円周方向に揺動自在に複数
のスプラグを配置し、前記外径面および前記内径面の他
方を、円筒面状のスプラグ接触面としたものである。前
記スプラグは、中立角度で前記スプラグ接触面に非接触
状態となって内外輪の相対回転を許し、かつ正逆の任意
方向に傾くことで前記スプラグ接触面に摩擦接触して内
外輪間の相対回転をロックするものとする。また、前記
スプラグを前記中立角度に保持する状態と揺動自在な状
態とに切り替えるスプラグ角度規制手段を設ける。な
お、前記内輪は、リング状のものに限らず、軸であって
も良い。この構成によると、スプラグ角度規制手段で角
度保持しない状態では、スプラグは正逆の両方向に揺動
自在であり、内外輪間に相対回転が生じかけると、その
回転に伴ってスプラグが傾き、内輪または外輪のスプラ
グ接触面に摩擦接触する。そのため、内外輪間の相対回
転がロックされる。スプラグ角度規制手段でスプラグを
中立角度に保持させると、スプラグはスプラグ接触面に
非接触状態となって内外輪の相互間の正逆任意方向の回
転を許す。このように、この2方向同時空転・ロック切
替えクラッチは、正転・逆転方向のいずれの方向にもロ
ック状態を保ち、外部からの操作によって、正転・逆転
方向のいずれの方向も同時に回転可能になる。
【0006】この構成の2方向同時空転・ロック切替え
クラッチにおいて、前記スプラグは、側面形状が略T字
状とされ、内輪の外径面および外輪の内径面のいずれか
一方に形成された揺動支点溝に基端が揺動自在に係合し
たものである。このようにスプラグの側面形状を略T字
状とすることで、正逆いずれの方向に傾いた場合にも内
外輪間の相対回転をロックする機能が得易い。また、内
輪または外輪に形成された揺動支点溝にスプラグの基端
を揺動自在に係合させることにより、スプラグの揺動自
在な支持を簡単な構造で行える。
【0007】上記各構成において、前記スプラグ角度規
制手段は、内外輪間に介在して前記各スプラグの内外輪
半径方向の中間部分を円周方向に対してほぼ隙間なく嵌
合させるポケットを有する保持器と、内輪または外輪の
うちのスプラグ揺動支点側輪と前記保持器とのいずれか
一方に設けられた保持器固定用溝と他方に設けられた係
合突部とでなり、これら保持器固定用溝と係合突部と
は、前記外力の非付与状態で互いに緩み状態に噛み合
い、かつ前記外力の付与状態で密に噛み合うものとして
も良い。また、前記保持器と前記スプラグ接触面との間
に所定の摩擦力を与える弾性体を設けることが好まし
い。この構成の場合、常時は、保持器固定用溝と係合突
部とが緩み状態に噛み合っており、この緩み範囲で保持
器とスプラグ揺動支点側輪との相対回転が可能となる。
そのため、保持器でスプラグを中立角度に保持する機能
は生じず、前記のようにスプラグの摩擦接触で内外輪間
の両方向の回転がロックされる。保持器に所定の外力を
与えると、保持器固定用溝と係合突部とが密に噛み合
い、保持器は前記揺動支点側輪に拘束されて、その保持
しているスプラグを中立角度に保持する。そのため、回
転部材の両方向の回転が可能となる。弾性体は、ロック
解除後に外力を除いて再度ロック状態とするときに、内
外輪の回転位相のずれに連れて摩擦力で即座に揺動させ
るものであり、これにより確実に回転ロックが生じる。
【0008】また、前記構成において、前記保持器固定
用溝および係合突部が、互いに軸方向に噛み合うもので
あり、前記内外輪の回転中心と同芯上で回転可能な操作
部材を前記保持器の側面と対面して設け、この操作部材
と前記保持器とに、操作部材の回転に伴って前記外力と
なる軸方向力を前記保持器に作用させる操作用カム面を
各々設け、前記操作部材を保持器から離れる方向に付勢
する復帰用弾性体を設けても良い。この構成の場合、回
転ロック状態から、操作部材を回転させると、操作用カ
ム面の作用で、保持器に軸方向力が与えられ、保持器固
定用溝と係合突部とが密に噛み合う。これより、前記の
ようにスプラグが中立角度に保持され、内外輪の両方向
の相対回転が可能となる。
【0009】この保持器固定用溝および係合突部は、互
いに径方向に噛み合うものとしても良い。この場合に、
前記保持器は前記外力で弾性変形可能な材質とし、前記
内外輪の回転中心と同芯上で回転可能な操作部材を設
け、この操作部材と前記保持器とに、操作部材の回転に
伴って前記外力となる径方向力を前記保持器に作用させ
る操作用カム面を各々設ける。この構成の場合、回転ロ
ック状態から、操作部材を回転させると、操作用カム面
の作用で、保持器に径方向力が与えられ、この径方向力
で保持器が弾性変形して、保持器固定用溝と係合突部と
が密に噛み合う。これより、前記のようにスプラグが中
立角度に保持され、回転部材の両方向の回転が可能とな
る。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の第1の実施形態を図1
ないし図7と共に説明する。この2方向同時空転・ロッ
ク切替えクラッチは、内輪1と、外輪2と、スプラグ3
と、保持器4と、板ばね等の弾性体5と、操作部材16
Aとで構成される。内輪1は、図2に示すように厚肉円
筒状に形成されており、その外径面にはスプラグ3の揺
動支点溝6が円周方向の複数箇所に設けられている。各
揺動支点溝6は円弧溝とされ、等間隔に配置されてい
る。内輪1の片側の幅面には、保持器固定用溝7Aが円
周方向の複数箇所に設けられている。例えば、保持器固
定用溝7Aは揺動支点溝6と交互若しくは1個とびに設
けられている。保持器固定用溝7Aは、溝幅の中心部が
深くなる断面形状のものであり、この例では概ねV字状
の断面形状とされている。なお、内輪1は、この例では
円筒状としたが、軸であっても良い。すなわち、軸に直
接にカム溝6や保持器固定用溝7Aが加工されていても
良い。
【0011】図1に示すように、外輪2は、その内径面
部分を円筒面状のスプラグ接触面2aとしてある。外輪
2は、この例では厚肉円筒状の部品としてあるが、外径
面は円筒面に限らず、車輪形状や、プーリ形状、あるい
はその他の目的に応じた任意形状であっても良い。スプ
ラグ3は、側面形状が略T字状に形成され、各先端部分
が円弧状に丸められたものであり、その脚片部分の基端
が内輪1の揺動支点溝6に嵌合して揺動自在に支持され
ている。このスプラグ3は、直立姿勢となる中立角度で
スプラグ接触面2aに非接触状態となって内外輪1,2
の相互間の回転を許し、かつ正逆の任意方向に傾くこと
で前記スプラグ接触面2aに摩擦接触して内外輪1,2
間の相対回転をロックするものとしてある。
【0012】保持器4は、図3に示すように円筒状に形
成され、円周方向の複数箇所に、スプラグ3を保持する
ポケット8が内外径に貫通して形成されている。保持器
4の内径面の一側部には鍔部19が形成され、この鍔部
19の内面における周方向複数箇所に、内輪1の各保持
器固定用溝7Aと噛み合う係合突部9Aが設けられてい
る。係合突部9Aは三角形状の山形とされている。保持
器4における係合突部9Aのある幅面と反対側の幅面に
は、複数のばね固定用ピン10が設けられている。保持
器4の係合突部9Aと、内輪1の保持器固定用溝7Aと
で、案内手段14Aが構成される。この案内手段14A
と保持器4とで、スプラグ角度規制手段13が構成され
る。保持器4のポケット8の断面形状は、図7に拡大し
て示すように、保持器4の厚み方向の中間部分がスプラ
グ3の脚片部分の幅と略同じ幅であって、この中間部分
よりも外径側に大きく次第に広がり、かつ内径側にも若
干広がる形状とされている。この内径側の広がり部分は
なくし、図10のようなポケット断面形状としても良
い。
【0013】図4は、保持器4に弾性体5を取付けた状
態を示す。弾性体5は、リング状の側板5aと、この側
板から放射状に延びるアーム状の複数のばね片5bとか
らなる板ばねで構成される。ばね片5bは、側板5aか
ら斜め外径側に延びて先端部分が軸方向と略平行となる
ように折り曲げられており、その先端部分が外輪2の内
径面であるスプラグ接触面2aに押し付け状態に接触す
る。弾性体5は、保持器4に設けられたばね固定用ピン
10を側板5aの孔に挿通し、加締ることで保持器4に
固定されている。弾性体5の固定は、加締による他に、
溶着やねじ止め、あるいは鋲止め、または接着でも良
い。
【0014】弾性体5は、外輪2の回転に対して保持器
4が一定の摩擦力を保持して連れ回る機能が得られれば
良いのであるから、ばね部材の他にゴム等の弾性体を用
いても良い。例えば、図9(A)に変形例を示すよう
に、保持器4の外径面に設けた円周溝にOリング等から
なるリング状の弾性体5Aを埋め込むか、あるいはこれ
とは逆に外輪2の内径面に円周溝を形成してリング状の
弾性体を埋め込んでも良い。リング状の弾性体には、O
リングの代わりに、波形に屈曲した線ばねまたは板ばね
(図示せず)を用いても良い。また、同図(B)に示す
ように、保持器4の外径面に局部的に設けた凹部に弾性
体5Bを埋め込むようにしても良い。さらに、このよう
な弾性体を設ける代わりに、保持器4を多角形にする
か、保持器4の外径面に突部を設けるなどして、保持器
4の周方向の複数箇所が外輪2の内径面に当たり、保持
器4自体の弾性で外輪2に対して連れ回りが生じる程度
の一定の摩擦力が得られるようにしても良い。
【0015】図1において、操作部材16Aは、円周方
向の一部にレバー部16aを有するリング状の部材であ
り、内輪1を取付けた軸20の外径面に回転自在に嵌合
させてある。内輪1は、軸20の小径部と大径部との間
の段差面20aから若干離れてその小径部に嵌合状態に
固定してあり、また保持器固定用溝7Aのある幅面を前
記段差面側に向けて配置してあり、操作部材16Aは、
内輪1と前記段差面20aとの間に介在している。ま
た、図5に示すように操作部材16Aは、保持器4の幅
面と対向する面の周方向複数箇所(図示では4か所)
に、操作部材16Aの回転に伴って外力FA となる径方
向力を保持器4に作用させる操作用カム面17Aを設け
てある。また、これら操作用カム面17Aに各々接する
複数の操作用カム面18Aを、保持器4の幅面に形成し
てある。これら操作用カム面17A,18Aは、緩い勾
配のV字状の山形としてある。隣合う操作用カム面17
A間の部分は、平坦面部17Bとされている。なお、こ
の緩い勾配のV字状の山形は、操作用カム面17A,1
8Aのいずれか一方にのみにあっただけでも良く、他は
部分的な凸部でもよい。また、保持器4に、前記外力F
A と反対方向の外力Pを得る復帰用弾性体21を内蔵状
態に取付けてある。この復帰用弾性体21は板ばねから
なり、保持器4の内径面に径方向に沿って設けて取付溝
22に嵌め込み状態に取付けてある。
【0016】上記構成のクラッチ機能の説明をする。図
1に示す自然状態では、スプラグ3は中立角度となって
いるが、保持器4は操作部材16Aで押し付けられてお
らず、内輪1の保持器固定用溝7Aと保持器4の係合突
部9Aとは緩み状態で嵌まりあっている。そのため、こ
の保持器固定用溝7Aと係合突部9Aとの隙間分だけ、
保持器4は内輪1に対して位相のずれが自在であり、そ
の範囲でスプラグ3は正逆の任意方向に自由に傾動でき
る。したがって、図6(B)のように外輪2が時計方向
に回転しかけ、保持器4が弾性体5による摩擦力で若干
の連れ回りを生じると、保持器4でスプラグ3が傾けら
れ、スプラグ3が外輪2に内径面であるスプラグ接触面
2aに強く摩擦接触し、外輪2のそれ以上の時計方向の
回転が阻止される。図1の自然状態から、図6(C)の
ように外輪2が反時計回りに回転しかけたときも、時計
回りのときと同様に、スプラグ3で回転が阻止される。
このように、操作部材16Aの保持器4に対する非作用
状態では、内外輪1,2間の正逆両方向の相対回転がロ
ックされる。
【0017】図1の状態から、レバー16aの操作によ
り操作部材16Aを略45°回転させると、操作部材1
6Aと保持器4の操作用カム面17A,18Aの突部同
志が当たり、保持器4は内輪1に押し付けられる。その
ため、内輪1の保持器固定用溝7Aと保持器4の係合突
部9Aとが隙間なく噛み合い、保持器4が内輪1と同じ
位相に拘束される。この状態で、保持器4のポケット8
に保持されているスプラグ3は中立角度となり、保持器
4の位相が拘束されていることから、スプラグ3は中立
角度に保持される。スプラグ3は、中立角度では外輪2
のスプラグ接触面2aに非接触状態となっており、内外
輪1,2の相互間の任意方向の回転を許す。操作部材1
6Aを元の角度に戻すと、操作部材16Aによる保持器
4の押し付けが解除され、また復帰用弾性体21の付勢
力で保持器固定用溝7Aと係合突部9Aとの噛み合いが
即座に緩み状態となり、スプラグ3が揺動自在となる。
そのため、元の回転ロック状態に戻る。このように、常
時は正転・逆転方向のいずれの方向にもロック状態を保
ち、外部からの操作によって、正転・逆転方向のいずれ
の方向も同時に回転可能になるという従来に例の無い機
能を得ることができる。このため、例えば、このクラッ
チを、手押し車やドア用の軸受と共に使用した場合、手
を放せば車輪やドアはその場所に留まっている様な安全
な機構が安価に実現できる。
【0018】この場合に、図7からも分かるように、保
持器4はスプラグ3の揺動中心に近い箇所をポケット内
面で押すため、僅かな変位wでスプラグ3がロックをす
る。そのため、図8(A)に示すローラ3Aを用いた比
較参考例に比べて、変位wの値は数分の一になり、クラ
ッチ遅れ角が小さくできる。図8(A)に示す比較参考
例の2方向同時空転・ロック切替えクラッチは、スプラ
グ3に代えてローラ3Aを用い、内輪2にV溝状のカム
面6Aを設けたものである。その他の構成はこの実施形
態と同じである。このようにローラ3Aを用いても、常
時は正転・逆転方向のいずれの方向にもロック状態を保
ち、外部からの操作によって、正転・逆転方向のいずれ
の方向も同時に回転可能になるという機能が得られる。
【0019】クラッチ遅れ角につき、図8(A)の参考
例と比較して計算例を説明する。なお、計算を簡単にす
るため、途中計算は直線型クラッチとして説明する。各
部の実寸は、図8(B)および同図(C)に示すものと
する。図8(B)のローラ式の例において、 δ:径方向隙間 α0 :カム面角度 w1 :ロックまでの移動距離 である。図8(C)のスプラグ式の例において、 δ:径方向隙間 α1 :中立時のストラト角 α0 :ロック時のストラト角 h1 :回転中心Oから作用点Qまでのスプラグ中心長さ h2 :作用点Qから先端までのスプラグ中心長さ である。 ローラ3Aの移動量:w1 (中立時からロック時まで
の移動量) w1 =δ/ tanα0 スプラグの移動量:w22 =h1 ( sinα1 − sinα0 ) これよりα1 を求めると、 α1 = cos -1 〔(h1 +h2 ) cosα0 −δ〕/(h
1 +h2 ) 実用的な値での計算 ここで、δ =0.03 α0 =10° h1 =2.5 h2 =7.5 とした場合、 w1 =0.170 w2 =0.0406 遅れ角度θ(半径R=32,R=35として) a.ローラの場合 θ= tan -1 (0.17/32)=0.304 b.スプラグの場合 θ= tan -1 (0.046/35)=0.0665 以上のように、スプラグクラッチとすることで、遅れ角
θは、ローラ式とした場合の0.0665/0.304
倍であり、約1/4.6となる。このように遅れ角θを
大幅に小さくすることができる。
【0020】図11はこの発明の第2の実施形態を示
す。この例は、図1〜図8の実施形態に対して、内輪1
と保持器4との間に設ける案内手段14、および外力付
与用の操作部材16と保持器4との関係を変えたもので
あり、その他の構成は図1〜図8の実施形態と同じであ
る。この例では、保持器固定用溝7を内輪1の片側の幅
面の外径面に設け、これに噛み合う係合突部9を保持器
4の内径面に設けている。操作部材16は、円周方向の
一部にレバー部16aを有するリング状の部材であり、
内輪1を取付けた軸20の外径面に回転自在に嵌合させ
てある。内輪1は、軸20の小径部と大径部との間の段
差面20aから若干離れてその小径部に嵌合状態に固定
してあり、また保持器固定用溝7のある幅面を前記段差
面20a側に向けて配置してあり、操作部材16は、内
輪1と前記段差面との間に介在している。操作部材16
は、保持器4の外周に位置する鍔状のリング部16bを
有し、このリング部16bの内径面の1か所または周方
向複数箇所(図示では4か所)に操作部材16の回転に
伴って径方向の外力Fを保持器4に作用させる操作用カ
ム面17が設けてある。操作用カム面17は、リング部
16bの内径面となる円の一部の弦となる直線に形成し
てある。また、これら操作用カム面17に各々接する複
数の操作用カム面18を、保持器4の外径面に円弧状断
面の突部によって形成してある。この実施形態の場合、
操作部材16を略45°回したり、戻したりるすことに
より、保持器4に径方向に外力Fが与えられたり、外力
Fが解除されたりし、回転ロック状態とそのロックの解
除状態とに切替えられる。
【0021】図12は、この発明の2方向同時空転・ロ
ック切替えクラッチAを車両用のシート背もたれ傾き角
度調整装置として利用した例を示す。シート30の背も
たれ31は、背もたれ支持部材32に係合自在に支持さ
れており、この背もたれ21の傾動中心と中心位置が一
致するように、2方向同時空転・ロック切替えクラッチ
Aが配置される。このクラッチAは、その内輪1および
外輪2のいずれか一方が背もたれ支持部材32に固定さ
れ、他方が背もたれ31に固定される。なお、背もたれ
31には、起立側に付勢する復帰ばね33を設けてお
く。クラッチAは、前記いずれの実施形態のものであっ
ても良い。
【0022】
【発明の効果】この発明の2方向同時空転・ロック切替
えクラッチは、正転・逆転方向のいずれの方向にもロッ
ク状態を保ち、外部からの操作によって、正転・逆転方
向のいずれの方向も同時に回転可能になるという従来に
例のない機能を持ったものとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の第1の実施形態にかかるク
ラッチの破断正面図、(B)は同図(A)のI−I線断
面図である。
【図2】同クラッチの内輪の斜視図である。
【図3】同クラッチの保持器の斜視図である。
【図4】同保持器に弾性体を取付けた状態の斜視図であ
る。
【図5】(A)はその保持器と操作部材の関係を示す斜
視図、(B)は同保持器にばね部材および復帰用弾性体
を取付けた状態の斜視図、(C)はその復帰用弾性体の
斜視図である。
【図6】作用説明図である。
【図7】スプラグ部分の拡大断面図である。
【図8】(A)は比較提案例となる2方向同時空転・ロ
ック切替えクラッチの要部の断面図、(B)はその寸法
関係の説明図、(C)は前記実施形態にかかるクラッチ
の寸法関係の説明図である。
【図9】(A)は保持器と弾性体との組み合わせの変形
例の部分断面図、(B)は他の変形例の部分断面図であ
る。
【図10】スプラグと保持器のポケット部の変形例との
関係を示す拡大断面図である。
【図11】(A)はこの発明の第2の実施形態にかかる
クラッチの破断正面図、(B)はその断面図である。
【図12】この発明の2方向同時空転・ロック切替えク
ラッチを応用したシート背もたれ傾き角度調整装置の側
面図である。
【図13】従来例の断面図である。
【図14】他の従来例の断面図である。
【図15】さらに他の従来例の断面図である。
【符号の説明】
1…内輪 2…外輪 3…スプラグ 4…保持器 5…弾性体 7A…保持器固定用溝 9A…係合突部 13…スプラグ角度規制手段 14A…案内手段 16A…操作部材 17,18…操作用カム面 17A,18A…操作用カム面 21…復帰用弾性体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪の外径面および外輪の内径面のいず
    れか一方に、円周方向に揺動自在に複数のスプラグを配
    置し、前記外径面および前記内径面の他方を、円筒面状
    のスプラグ接触面とし、前記スプラグは、中立角度で前
    記スプラグ接触面に非接触状態となって内外輪の相対回
    転を許し、かつ正逆の任意方向に傾くことで前記スプラ
    グ接触面に摩擦接触して内外輪間の相対回転をロックす
    るものとし、前記スプラグを前記中立角度に保持する状
    態と揺動自在な状態とに切り替えるスプラグ角度規制手
    段を設けた2方向同時空転・ロック切替えクラッチ。
  2. 【請求項2】 前記スプラグは、側面形状が略T字状と
    され、内輪の外径面および外輪の内径面のいずれか一方
    に形成された揺動支点溝に基端が揺動自在に係合したも
    のである請求項1記載の2方向同時空転・ロック切替え
    クラッチ。
  3. 【請求項3】 前記スプラグ角度規制手段は、内外輪間
    に介在して前記各スプラグの内外輪半径方向の中間部分
    を円周方向に対してほぼ隙間なく嵌合させるポケットを
    有する保持器と、内輪または外輪のうちのスプラグ揺動
    支点側輪と前記保持器とのいずれか一方に設けられた保
    持器固定用溝と他方に設けられた係合突部とでなり、こ
    れら保持器固定用溝と係合突部とは、前記外力の非付与
    状態で互いに緩み状態に噛み合い、かつ前記外力の付与
    状態で密に噛み合うものとし、前記保持器と前記スプラ
    グ接触面との間に所定の摩擦力を与える弾性体を設けた
    請求項1または請求項2記載の2方向同時空転・ロック
    切替えクラッチ。
  4. 【請求項4】 前記保持器固定用溝および係合突部が、
    互いに軸方向に噛み合うものであり、前記内外輪の回転
    中心と同心上で回転可能な操作部材を前記保持器の側面
    と対面して設け、この操作部材と前記保持器とに、操作
    部材の回転に伴って前記外力となる軸方向力を前記保持
    器に作用させる操作用カム面を各々設け、前記操作部材
    を保持器から離れる方向に付勢する復帰用弾性体を設け
    た請求項3記載の2方向同時空転・ロック切替えクラッ
    チ。
  5. 【請求項5】 前記保持器固定用溝および係合突部が、
    互いに径方向に噛み合うものであり、前記保持器は前記
    外力で弾性変形可能な材質とし、前記内外輪の回転中心
    と同芯上で回転可能な操作部材を設け、この操作部材と
    前記保持器とに、操作部材の回転に伴って前記外力とな
    る径方向力を前記保持器に作用させる操作用カム面を各
    々設けた請求項3記載の2方向同時空転・ロック切替え
    クラッチ。
JP35494797A 1997-12-24 1997-12-24 2方向同時空転・ロック切替えクラッチ Expired - Fee Related JP3895024B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35494797A JP3895024B2 (ja) 1997-12-24 1997-12-24 2方向同時空転・ロック切替えクラッチ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35494797A JP3895024B2 (ja) 1997-12-24 1997-12-24 2方向同時空転・ロック切替えクラッチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11182589A true JPH11182589A (ja) 1999-07-06
JP3895024B2 JP3895024B2 (ja) 2007-03-22

Family

ID=18440974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35494797A Expired - Fee Related JP3895024B2 (ja) 1997-12-24 1997-12-24 2方向同時空転・ロック切替えクラッチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3895024B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001193759A (ja) * 1999-12-30 2001-07-17 Gkn Viscodrive Gmbh 粘性カップリング
WO2002012746A1 (en) * 2000-08-08 2002-02-14 Ntn Corporation Clutch unit
JP2002283863A (ja) * 2001-03-27 2002-10-03 Kawasaki Heavy Ind Ltd 不整地走行用の四輪駆動車
JP2010216596A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Univance Corp 動力伝達装置
JP2020190255A (ja) * 2019-05-20 2020-11-26 株式会社椿本チエイン カムクラッチ
WO2020235358A1 (ja) 2019-05-20 2020-11-26 株式会社椿本チエイン カムクラッチ
WO2022259736A1 (ja) 2021-06-08 2022-12-15 株式会社椿本チエイン カムクラッチ
WO2023074054A1 (ja) 2021-10-27 2023-05-04 株式会社椿本チエイン カムクラッチ

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001193759A (ja) * 1999-12-30 2001-07-17 Gkn Viscodrive Gmbh 粘性カップリング
WO2002012746A1 (en) * 2000-08-08 2002-02-14 Ntn Corporation Clutch unit
US6955251B2 (en) 2000-08-08 2005-10-18 Ntn Corporation Clutch unit
CN100451373C (zh) * 2000-08-08 2009-01-14 株式会社Ntn 离合装置
JP2002283863A (ja) * 2001-03-27 2002-10-03 Kawasaki Heavy Ind Ltd 不整地走行用の四輪駆動車
JP2010216596A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Univance Corp 動力伝達装置
JP2020190255A (ja) * 2019-05-20 2020-11-26 株式会社椿本チエイン カムクラッチ
WO2020235137A1 (ja) * 2019-05-20 2020-11-26 株式会社椿本チエイン カムクラッチ
WO2020235358A1 (ja) 2019-05-20 2020-11-26 株式会社椿本チエイン カムクラッチ
KR20220008844A (ko) 2019-05-20 2022-01-21 가부시기가이샤쯔바기모도체인 캠 클러치
KR20220008832A (ko) 2019-05-20 2022-01-21 가부시기가이샤쯔바기모도체인 캠 클러치
US11808313B2 (en) 2019-05-20 2023-11-07 Tsubakimoto Chain Co. Cam clutch
WO2022259736A1 (ja) 2021-06-08 2022-12-15 株式会社椿本チエイン カムクラッチ
WO2023074054A1 (ja) 2021-10-27 2023-05-04 株式会社椿本チエイン カムクラッチ
KR20240087829A (ko) 2021-10-27 2024-06-19 가부시기가이샤쯔바기모도체인 캠 클러치

Also Published As

Publication number Publication date
JP3895024B2 (ja) 2007-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6206164B1 (en) Dual-mode two-way clutch
JP3723786B2 (ja) 不可逆的調整機構およびそのような機構を含む乗物用シート
JP2008241044A (ja) ラチェットワンウェイクラッチ組立体
JPH0575551U (ja) ローディングカム装置
US6374974B1 (en) Roller type clutch mechanism
JP2002337062A (ja) 回転出力装置
JPH11182589A (ja) 2方向同時空転・ロック切替えクラッチ
JP3789400B2 (ja) 不可逆的調整機構およびそのような機構を含む乗物用シート
JPH0735823B2 (ja) ロ−ラ同期型一方向クラツチ
JPH11264426A (ja) 2方向同時空転・ロック切替えクラッチ
JP3547859B2 (ja) 2方向差動クラッチ
JP3865911B2 (ja) シート背もたれ傾き調整装置
JP3865910B2 (ja) 2方向同時空転・ロック切替えクラッチ
JP3874914B2 (ja) クラッチ一体型軸受
JP2004011784A (ja) 一方向クラッチ
JP2000065086A (ja) 2方向空転・ロック切替えクラッチ
JP3779068B2 (ja) 2方向空転・ロック切替えクラッチ
KR20220008844A (ko) 캠 클러치
JP2001012512A (ja) 一方向クラッチおよび一方向クラッチ一体型軸受
JP2004049890A (ja) 自動車座席の背当て部のための傾斜調節金具
US20240151277A1 (en) Positive clutch
JP6542953B1 (ja) 回転体の回転状態を切り換え可能な回転制御装置
JP2001355653A (ja) クラッチ
CN116792424A (zh) 凸轮离合器
JP2003028200A (ja) 一方向クラッチ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060801

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061212

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061213

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees