JPH11177180A - 自励発振型半導体レーザおよびその動作方法 - Google Patents

自励発振型半導体レーザおよびその動作方法

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JPH11177180A
JPH11177180A JP33563797A JP33563797A JPH11177180A JP H11177180 A JPH11177180 A JP H11177180A JP 33563797 A JP33563797 A JP 33563797A JP 33563797 A JP33563797 A JP 33563797A JP H11177180 A JPH11177180 A JP H11177180A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 横方向への電流の広がりを簡便な手法で制御
することによって、自励発振可能な動作条件の範囲を広
くすることができ、しかも、動作条件の変化に対する安
定性および信頼性の高い自励発振を実現することができ
る自励発振型半導体レーザおよびその動作方法を提供す
る。 【解決手段】 p型クラッド層の上層部に設けたリッジ
ストライプ部の両側に部分にn型電流狭窄層10が埋め
込まれた電流狭窄構造を有するAlGaAs系自励発振
型半導体レーザにおいて、p型GaAsキャップ層11
上にp側電極12を設け、n型GaAs基板1の裏面に
n側電極14を設けるとともに、n型電流狭窄層10上
の所定部分に、p側電極12およびn側電極14から電
気的に分離された電極13を設ける。動作時には、電極
13を通じてn型電流狭窄層10に対して、レーザ駆動
用電圧とは独立に所定の正の電圧を印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は自励発振型半導体
レーザおよびその動作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザを光ディスク記録/再生装
置などの光源として応用する上で、戻り光ノイズをいか
に抑制するかが重要である。この戻り光ノイズを抑制す
るための対策の一つに、従来より、半導体レーザを自励
発振させることによってマルチモード化を図った、いわ
ゆる自励発振型半導体レーザが知られている。
【0003】従来、このような自励発振型半導体レーザ
においては、例えば、n型GaAs基板上にn型クラッ
ド層、活性層およびp型クラッド層が順次積層して設け
られ、p型クラッド層の上層部に設けられたストライプ
部の両側の部分にn型電流狭窄層が埋め込まれた電流狭
窄構造を有するとともに、ストライプ部に対応する部分
とその両側の部分との屈折率差が、通常のインデックス
ガイド型半導体レーザより小さくされ、横方向の光閉じ
込めが緩やかにされている。そして、動作時には、活性
層中のストライプ部の両側に対応する部分を可飽和吸収
体として作用させることにより、自励発振を実現してい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
自励発振型半導体レーザにおいては、動作条件が変化す
ると、具体的には、例えば、動作温度が70℃程度の高
温まで上昇すると、n型電流狭窄層による電流の阻止率
が室温動作時と比べて低下してキャリアがn型電流狭窄
層を通り抜け、キャリアの横方向(共振器長方向と垂
直、かつ、接合と平行な方向)への広がりが大きくなる
ため、活性層において、光分布とキャリア分布との適正
状態が崩れ、これまで可飽和吸収体として作用していた
部分がその役割を果たせなくなり、自励発振が停止する
という問題がある。このように、従来の自励発振型半導
体レーザでは、自励発振可能な動作条件が狭い範囲に限
られている上に、動作条件の変化に対する自励発振の安
定性および信頼性に欠ける面があった。
【0005】ところで、動作温度の上昇などによる横方
向への電流の広がりを抑える手法として、自励発振型半
導体レーザを製造する際に、n型電流狭窄層の厚さや不
純物濃度、あるいは、p型クラッド層の厚さ(特に、ス
トライプ部の両側の部分における厚さ)や不純物濃度を
制御することが考えられるが、いずれも完全なものでは
なく、制限がついてくる。具体的には、例えば、横方向
への電流の広がりを抑えるためには、ストライプ部の両
側の部分におけるp型クラッド層の厚さを小さくするこ
とが有効であるが、エピタキシャル成長やエッチングな
どによってこの部分の厚さを厳密に制御することは困難
であり、また、自励発振に対するマージンが低下した
り、レーザの他のパラメータが変化するなどの不都合が
生じるため、設計が困難となる。
【0006】したがって、この発明の目的は、横方向へ
の電流の広がりを簡便な手法で制御することによって、
自励発振可能な動作条件の範囲を広くすることができ、
しかも、動作条件の変化に対する安定性および信頼性の
高い自励発振を実現することができる自励発振型半導体
レーザおよびその動作方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の第1の発明は、第1導電型の第1のクラ
ッド層と、第1のクラッド層上の活性層と、活性層上の
第2導電型の第2のクラッド層とを有し、第2のクラッ
ド層の上層部に設けられたストライプ部の両側の部分に
電流狭窄層が埋め込まれた電流狭窄構造を有する自励発
振型半導体レーザにおいて、電流狭窄層に、レーザ駆動
用電極から電気的に分離された電極が接続されているこ
とを特徴とするものである。
【0008】この発明の第2の発明は、第1導電型の第
1のクラッド層と、第1のクラッド層上の活性層と、活
性層上の第2導電型の第2のクラッド層と、第2のクラ
ッド層上のストライプ状の開口を有する電流狭窄層と、
電流狭窄層の開口の部分における第2のクラッド層上に
設けられた第2導電型の第3のクラッド層とを有する自
励発振型半導体レーザにおいて、電流狭窄層に、レーザ
駆動用電極から電気的に分離された電極が接続されてい
ることを特徴とするものである。
【0009】この発明の第3の発明は、第1導電型の第
1のクラッド層と、第1のクラッド層上の活性層と、活
性層上の第2導電型の第2のクラッド層とを有し、第2
のクラッド層の上層部に設けられたストライプ部の両側
の部分に電流狭窄層が埋め込まれた電流狭窄構造を有
し、電流狭窄層に、レーザ駆動用電極から電気的に分離
された電極が接続されている自励発振型半導体レーザの
動作方法であって、外部からレーザ駆動用電極に対して
レーザ駆動用電圧を印加するとともに、電流狭窄層に対
して電極を通じてレーザ駆動用電圧とは独立に所定の電
圧を印加するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】この発明の第4の発明は、第1導電型の第
1のクラッド層と、第1のクラッド層上の活性層と、活
性層上の第2導電型の第2のクラッド層と、第2のクラ
ッド層上のストライプ状の開口を有する電流狭窄層と、
電流狭窄層の開口の部分における第2のクラッド層上に
設けられた第2導電型の第3のクラッド層とを有し、電
流狭窄層に、レーザ駆動用電極から電気的に分離された
電極が接続されている自励発振型半導体レーザの動作方
法であって、外部からレーザ駆動用電極に対してレーザ
駆動用電圧を印加するとともに、電流狭窄層に対して電
極を通じてレーザ駆動用電圧とは独立に所定の電圧を印
加するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】この発明において、電流狭窄層は、典型的
には第1導電型のものであるが、場合によっては、この
電流狭窄層は絶縁性または半絶縁性のものであってもよ
い。
【0012】この発明の第3の発明および第4の発明に
おいては、電流狭窄層に対して印加する電圧を、例えば
動作温度など、自励発振型半導体レーザの動作条件に応
じて制御するようにしてもよい。
【0013】この発明の第3の発明において、第2のク
ラッド層がp型クラッド層で電流狭窄層の導電型がn型
である場合は、この電流狭窄層に対して正の電圧を印加
し、第2のクラッド層がp型クラッド層で電流狭窄層が
絶縁性または半絶縁性のものである場合は、この電流狭
窄層に対して負の電圧を印加する。一方、この発明の第
3の発明において、第2のクラッド層がn型クラッド層
で電流狭窄層の導電型がp型である場合は、この電流狭
窄層に対して負の電圧を印加し、第2のクラッド層がn
型クラッド層で電流狭窄層が絶縁性または半絶縁性のも
のである場合は、この電流狭窄層に対して正の電圧を印
加する。
【0014】この発明の第4の発明において、第2のク
ラッド層および第3のクラッド層がp型クラッド層で電
流狭窄層の導電型がn型である場合は、この電流狭窄層
に対して正の電圧を印加し、第2のクラッド層および第
3のクラッド層がp型クラッド層で電流狭窄層が絶縁性
または半絶縁性のものである場合は、この電流狭窄層に
対して負の電圧を印加する。一方、この発明の第4の発
明において、第2のクラッド層および第3のクラッド層
がn型クラッド層で電流狭窄層の導電型がp型である場
合は、この電流狭窄層に対して負の電圧を印加し、第2
のクラッド層および第3のクラッド層がn型クラッド層
で電流狭窄層が絶縁性または半絶縁性のものである場合
は、この電流狭窄層に対して正の電圧を印加する。
【0015】上述のように構成されたこの発明によれ
ば、電流狭窄層に対して、レーザ駆動用電極から電気的
に分離された電極が接続されていることにより、動作時
に、この電極を通じて電流狭窄層に対して外部からレー
ザ駆動用電圧と独立に所定の電圧を印加することが可能
である。そして、このように、電流狭窄層に対して所定
の電圧を印加することによって、この電流狭窄層中に固
定電荷が発生し、さらに、この電流狭窄層中に発生した
固定電荷による静電誘導効果によって、第2のクラッド
層中または第2のクラッド層および第3のクラッド層の
双方の中に、これと反対極性の固定電荷が発生するた
め、素子内を流れる電流は、ストライプ部の中央に集中
するようになる。このため、動作条件が変化した場合で
あっても、活性層中に注入されるキャリアの横方向への
広がりが抑制され、その結果、活性層中のストライプ部
の両側に対応する部分に、可飽和吸収領域が安定に形成
されるようになり、例えば動作温度が高い場合など、従
来は自励発振が不可能であった厳しい動作条件のもとで
の自励発振が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0017】まず、この発明の第1の実施形態について
説明する。図1は、この第1の実施形態によるAlGa
As系自励発振型半導体レーザを示す。このAlGaA
s系自励発振型半導体レーザはSCH(Separate Confi
nement Heterostructure)構造を有し、活性層は多重量
子井戸(MQW)構造を有するものである。
【0018】図1に示すように、この第1の実施形態に
よるAlGaAs系自励発振型半導体レーザにおいて
は、例えば、n型GaAs基板1上にn型Alx2Ga
1-x2Asバッファ層2を介して、n型Alx1Ga1-x1
sクラッド層3、n型Alx2Ga1-x2As光導波層4、
ノンドープのAlx3Ga1-x3As層を量子井戸層とする
MQW構造の活性層5、p型Alx2Ga1-x2As光導波
層6、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層7、ノンドー
プのAlx2Ga1-x2As光導波層8およびp型Alx1
1-x1Asクラッド層9が順次積層されている。
【0019】Alx2Ga1-x2As光導波層8およびp型
Alx1Ga1-x1Asクラッド層9は、一方向に延びる所
定幅のリッジストライプ形状を有する。このリッジスト
ライプ部の両側の部分には、例えばn型Alx1Ga1-x1
Asクラッド層10aと、この上のn型GaAs層10
bとからなるn型電流狭窄層10が埋め込まれている。
この場合、n型電流狭窄層10は、リッジストライプ部
上の部分を含む全面に設けられており、リッジストライ
プ部上の所定部分にp型Alx1Ga1-x1Asクラッド層
9に達する所定幅のストライプ状の開口10cを有す
る。ここで、n型電流狭窄層10のうち、上層のn型G
aAs層10bは、この上に設けられる電極(後述す
る)とのコンタクトを良好にするための役割を有してい
る。
【0020】横方向の両端の一部を除くn型電流狭窄層
10および開口10cの部分におけるp型Alx1Ga
1-x1Asクラッド層9の上には、開口10cを埋めるよ
うにしてp型GaAsキャップ層11が設けられてい
る。
【0021】ここで、n型Alx1Ga1-x1Asクラッド
層3、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層7、p型Al
x1Ga1-x1Asクラッド層9およびn型Alx1Ga1-x1
As層10aにおけるx1は、n型Alx2Ga1-x2As
バッファ層2、n型Alx2Ga1-x2As光導波層4、p
型Alx2Ga1-x2As光導波層6およびAlx2Ga1-x2
As光導波層8におけるx2より大きくされ、また、こ
のx2は、活性層5の量子井戸層としてのAlx3Ga
1-x3As層におけるx3より大きくされている。すなわ
ち、x1>x2>x3である。これらについてそれぞれ
一例を挙げると、x1=0.47、x2=0.3、x3
=0.13である。
【0022】このAlGaAs系自励発振型半導体レー
ザにおいては、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層7と
p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層9との間にAlx2
1-x2As光導波層8が挿入されていることによって、
横方向にステップ状の屈折率分布が作りつけられてお
り、これによって、横方向の光導波が行われているが、
この場合、リッジストライプ部における高屈折率の部分
とその両側における低屈折率の部分との屈折率差が、通
常のインデックスガイド型半導体レーザの場合と比べて
小さく、横方向への光の閉じ込めが緩やかにされてい
る。
【0023】また、このAlGaAs系自励発振型半導
体レーザを構成する各半導体層の厚さの一例を挙げる
と、n型Alx2Ga1-x2Asバッファ層2の厚さは1μ
m、n型Alx1Ga1-x1Asクラッド層3の厚さは1.
5μm、n型Alx2Ga1-x2As光導波層4、p型Al
x2Ga1-x2As光導波層6およびAlx2Ga1-x2As光
導波層8の厚さはそれぞれ70nm、p型Alx1Ga
1-x1Asクラッド層7の厚さは0.35μm、p型Al
x1Ga1-x1Asクラッド層9の厚さは1.3μm、n型
電流狭窄層10のうち、n型Alx1Ga1-x1As層10
aの厚さは0.8μm、n型GaAs層10bの厚さは
0.5μm、p型GaAsキャップ層11の厚さは1.
5μmである。
【0024】p型GaAsキャップ層11上には、例え
ばTi/Pt/Au電極のようなp側電極12がオーミ
ックコンタクトして設けられている。また、横方向の両
端において、p型GaAsキャップ層11で覆われてい
ないn型電流狭窄層10上の所定部分には、例えばAu
Ge/Ni電極のような電極13が、n型GaAs層1
0bとオーミックコンタクトして設けられている。一
方、n型GaAs基板1の裏面には、例えばAuGe/
Ni電極のようなn側電極14がオーミックコンタクト
して設けられている。このように、このAlGaAs系
自励発振型半導体レーザにおいては、n型電流狭窄層1
0上に、p側電極12およびn側電極14から分離され
た電極13が設けられていることによって、外部からこ
の電極13を通じてn型電流狭窄層10に対して、レー
ザ駆動用電圧とは独立に所定の電圧を印加することが可
能となっている。
【0025】次に、上述のように構成されたこのAlG
aAs系自励発振型半導体レーザの動作について説明す
る。
【0026】すなわち、このAlGaAs系自励発振型
半導体レーザを発振させる場合は、例えば、p側電極1
2に2〜3V程度の正の電圧を印加し、n側電極14を
接地する。ここで、まず、動作温度が室温程度で、電極
13に電圧を印加しない場合の動作について説明する。
この場合、図2に示すように、活性層5中において、電
流(ここでは、活性層5に対してn型Alx1Ga1-x1
sクラッド層3側から注入される電子e- を示す)は、
ほぼリッジストライプ部に対応した部分に広がるのに対
して、光は、横方向の閉じ込めが緩やかにされているこ
とによって、リッジストライプ部に対応する部分を越え
て広がり、その結果、活性層5中のリッジストライプ部
の両側に対応する部分に可飽和吸収領域15が形成され
る。したがって、動作温度が室温程度の場合は、活性層
5中に上述のように可飽和吸収領域15が形成されるこ
とによって、電極13に特に電圧を印加しなくても、こ
のAlGaAs系自励発振型半導体レーザは、自励発振
する。
【0027】これに対して、動作温度が室温から上昇
し、例えば70℃程度の高温になった場合、電極13に
電圧が印加されていないと、n型電流狭窄層10による
電流の阻止率が室温動作時に比べて低下し、その結果、
活性層5中において、横方向への電流の広がりが室温動
作時に比べて大きくなり、室温動作時に可飽和吸収領域
15が形成されていた部分にもキャリアが注入されるよ
うになるため、自励発振が停止する。そこで、このAl
GaAs系自励発振型半導体レーザにおいては、動作温
度が上昇した場合は、電極13を通じてn型電流狭窄層
10に対して、レーザ駆動用電圧とは独立に所定の正の
電圧を印加し、動作温度の上昇による横方向への電流の
広がりを抑制するようにしている。
【0028】電極13を通じてn型電流狭窄層10に対
して正の電圧を印加した場合、図3に示すように、この
n型電流狭窄層10中においては、電子が電極13側に
吸い寄せられ、n型不純物によるプラス(+)の固定電
荷が残される。一方、n型電流狭窄層10との接合部の
近傍におけるp型Alx1Ga1-x1Asクラッド層7、p
型Alx1Ga1-x1Asクラッド層9およびp型GaAs
キャップ層11中においては、n型電流狭窄層10に発
生したプラス(+)の固定電荷による静電誘導効果によ
ってホールが反発され、その結果、p型不純物によるマ
イナス(−)の固定電荷が発生する。このため、キャリ
アのうち、電子e- は、p型Alx1Ga1-x1Asクラッ
ド層7、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層9およびp
型GaAsキャップ層11中に発生したマイナス(−)
の固定電荷の影響によって反発され、リッジストライプ
部の中央に集中するようになり、ホール(図示せず)
は、n型電流狭窄層10中に発生したプラス(+)の固
定電荷の影響によって反発され、電子e- の場合と同様
にリッジストライプ部の中央に集中するようになる。
【0029】このように、このAlGaAs系自励発振
型半導体レーザにおいては、n型電流狭窄層10に対し
て所定の正の電圧を印加することによって、動作温度が
上昇した場合であっても電流の広がりを抑制することが
できるため、活性層5中のリッジストライプ部の両側に
対応する部分に、室温動作時におけると同様に可飽和吸
収領域15が形成され、安定した自励発振が可能とな
る。なお、このAlGaAs系自励発振型半導体レーザ
の場合、動作温度が70℃のとき、電極13に5〜10
V程度の正の電圧を印加することによって、5mW程度
の出力まで自励発振が可能となる。
【0030】このAlGaAs系自励発振型半導体レー
ザを、例えば、光ディスク記録/再生装置などの光源と
して用いた場合、自励発振動作が必要とされる再生時に
は、電極13を通じてn型電流狭窄層10に正の電圧を
印加し、このAlGaAs系自励発振型半導体レーザを
例えば5mWの出力で自励発振させる。このとき、こ例
えば温度センサーおよびマイクロプロセッサなどを組み
合わせて用い、このAlGaAs系自励発振型半導体レ
ーザの動作温度を常時モニターし、n型電流狭窄層10
に印加する電圧を動作温度に応じて制御する(具体的に
は、動作温度が上昇するにつれて、n型電流狭窄層10
に印加する電圧が大きくなるように制御する)ことによ
って、このAlGaAs系自励発振型半導体レーザを、
動作温度の変化によらずほぼ一定の状態で自励発振させ
ることも可能である。一方、記録時には、特に自励発振
動作させる必要がないため、n型電流狭窄層10への電
圧の印加を停止し、このAlGaAs系自励発振型半導
体レーザを、例えば20〜30mWの出力で高出力動作
させる。
【0031】次に、上述のように構成された、この第1
の実施形態によるAlGaAs系自励発振型半導体レー
ザの製造方法について説明する。
【0032】すなわち、このAlGaAs系自励発振型
半導体レーザを製造するためには、まず、図4に示すよ
うに、n型GaAs基板1上にn型Alx2Ga1-x2As
バッファ層2、n型Alx1Ga1-x1Asクラッド層3、
n型Alx2Ga1-x2As光導波層4、MQW構造の活性
層5、p型Alx2Ga1-x2As光導波層6、p型Alx1
Ga1-x1Asクラッド層7、Alx2Ga1-x2As光導波
層8およびp型Alx1Ga1-x1Asクラッド層9を、例
えばMOCVD法により順次成長させる。
【0033】次に、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層
9の全面に例えばCVD法によりSiO2 膜やSiN膜
を形成した後、これをエッチングによりパターニングし
て所定幅のストライプ形状のマスク(図示せず)を形成
し、このマスクをエッチングマスクとして用いて、ウエ
ットエッチング法により、p型Alx1Ga1-x1Asクラ
ッド層6の表面が露出するまでエッチングする。これに
よって、図5に示すように、Alx2Ga1-x2As光導波
層8およびp型Alx1Ga1-x1Asクラッド層9が、一
方向に延びる所定幅のリッジストライプ形状にパターニ
ングされる。この後、エッチングマスクとして用いたマ
スクを除去する。
【0034】次に、図6に示すように、全面にn型電流
狭窄層10としてのn型Alx1Ga1-x1As層10aお
よびn型GaAs層10bを、例えばMOCVD法によ
り順次成長させる。次に、リッジストライプ部上の所定
部分におけるn型電流狭窄層10を選択的にエッチング
することにより、この部分に開口10cを形成する。次
に、n型電流狭窄層10の開口10cの部分を埋めるよ
うにして全面にp型GaAsキャップ層11を例えばM
OCVD法により成長させる。
【0035】次に、図7に示すように、p型GaAsキ
ャップ層11の全面にp側電極12を形成する。
【0036】次に、p側電極12の全面に例えばCVD
法によりSiO2 膜やSiN膜を形成した後、これをエ
ッチングによりパターニングして、リッジストライプ部
の近傍に対応する部分を覆い、横方向の両端の一部に開
口を有する所定形状のマスク(図示せず)を形成する。
次に、このマスクをエッチングマスクとして、n型電流
狭窄層10の表面が露出するまでエッチングすることに
より、図8に示すように、p型GaAsキャップ層11
およびp側電極12を所定形状にパターニングする。
【0037】次に、横方向の両端において露出したn型
電流狭窄層10上の所定部分を除いた部分をレジストパ
ターン(図示せず)で覆い、全面にAuGe/Ni膜を
形成した後、レジストパターンをその上のAuGe/N
i膜とともに除去(リフトオフ)することにより、図9
に示すように、n型電流狭窄層10上の所定部分に電極
13を形成する。
【0038】次に、n型GaAs基板1をその裏面側か
らラッピングすることにより所定の厚さにする。この
後、図1に示すように、このn型GaAs基板1の裏面
にn側電極14を形成する。以上により、目的とするA
lGaAs系自励発振型半導体レーザが製造される。
【0039】以上のように、この第1の実施形態によれ
ば、n型電流狭窄層10にp側電極12およびn側電極
14から電気的に分離された電極13が接続され、動作
時に、この電極13を通じてn型電流狭窄層10に対し
て、レーザ駆動用電圧とは独立に所定の正の電圧を印加
するようにしていることによって、例えば動作温度が上
昇した場合など、動作条件が変化した場合であっても、
活性層5中に注入されるキャリアの横方向へ広がりを抑
制することができる。このため、この第1の実施形態に
よれば、AlGaAs系自励発振型半導体レーザの自励
発振可能な動作条件の範囲を、従来と比べて広くするこ
とができ、また、n型電流狭窄層10に印加する電圧を
動作条件に応じて制御することにより、動作条件が変化
した場合であっても自励発振の状態を維持することがで
きるため、動作条件の変化に対する自励発振の安定性お
よび信頼性の向上を図ることができる。
【0040】また、この第1の実施形態によれば、動作
時にn型電流狭窄層10に対して正の電圧を印加すると
いう簡便な手法で、自励発振動作を制御、維持するよう
にしていることにより、通常の自励発振型半導体レーザ
の構造と比較して、n型電流狭窄層10に電極13を接
続するだけの変更で済むため、開発コストが低い上に、
自励発振に対するマージンを大きくすることができるた
め、製造が容易であり、また、自励発振動作の制御は、
素子内を流れる電流の横方向への広がりを抑制すること
のみによって実現されるため、他のレーザ特性の設計の
自由度が増すという利点をも有する。
【0041】次に、この発明の第2の実施形態について
説明する。図10は、この第2の実施形態によるAlG
aAs系自励発振型半導体レーザの断面図である。この
AlGaAs系自励発振型半導体レーザはSCH構造を
有し、活性層はMQW構造を有するものである。
【0042】図10に示すように、この第2の実施形態
によるAlGaAs系自励発振型半導体レーザにおいて
は、例えば、n型GaAs基板21上にn型Alx2Ga
1-x2Asバッファ層22を介して、n型Alx1Ga1-x1
Asクラッド層23、n型Alx2Ga1-x2As光導波層
24、ノンドープのAlx3Ga1-x3As層を量子井戸層
とするMQW構造の活性層25、p型Alx2Ga1-x2
s光導波層26およびp型Alx1Ga1-x1Asクラッド
層27が順次積層されている。
【0043】p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層27上
には、例えばn型Alx1Ga1-x1Asクラッド層28a
とこの上のn型GaAs層28bとからなり、一方向に
延びる所定幅のストライプ状の開口28cを有するn型
電流狭窄層28が積層されている。横方向の両端の一部
を除くn型電流狭窄層28およびその開口28cの部分
におけるp型Alx1Ga1-x1Asクラッド層27上に
は、ノンドープのAlx2Ga1-x2As光導波層29を介
してp型Alx1Ga1-x1Asクラッド層30が積層され
ている。このp型Alx1Ga1-x1Asクラッド層30上
には、p型GaAsキャップ層31が設けられている。
【0044】ここで、n型Alx1Ga1-x1Asクラッド
層23、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層27、n型
Alx1Ga1-x1As層28aおよびp型Alx1Ga1-x1
Asクラッド層30におけるx1は、n型Alx2Ga
1-x2Asバッファ層22、n型Alx2Ga1-x2As光導
波層24、p型Alx2Ga1-x2As光導波層26および
Alx2Ga1-x2As光導波層29におけるx2より大き
くされ、また、このx2は、活性層25の量子井戸層と
してのAlx3Ga1-x3As層におけるx3より大きくさ
れている。すなわち、x1>x2>x3である。これら
についてそれぞれ一例を挙げると、x1=0.47、x
2=0.3、x3=0.13である。
【0045】このAlGaAs系自励発振型半導体レー
ザにおいては、開口28cにおけるp型Alx1Ga1-x1
Asクラッド層27とp型Alx1Ga1-x1Asクラッド
層30との間にAlx2Ga1-x2As光導波層29が挿入
されていることによって、横方向にステップ状の屈折率
分布が作りつけられており、これによって、横方向の光
導波が行われている。なお、この場合、リッジストライ
プ部における高屈折率の部分とその両側における低屈折
率の部分との屈折率差が、通常のインデックスガイド型
半導体レーザの場合と比べて小さく、横方向への光の閉
じ込めが緩やかにされている。
【0046】また、このAlGaAs系自励発振型半導
体レーザを構成する各半導体層の厚さの一例を挙げる
と、n型Alx2Ga1-x2Asバッファ層22の厚さは1
μm、n型Alx1Ga1-x1Asクラッド層23の厚さは
1.5μm、n型Alx2Ga1-x2As光導波層24、p
型Alx2Ga1-x2As光導波層26およびAlx2Ga
1-x2As光導波層29の厚さはそれぞれ70nm、p型
Alx1Ga1-x1Asクラッド層27の厚さは0.35μ
m、n型電流狭窄層28のうち、n型Alx1Ga1-x1
s層28aの厚さは0.4μm、n型GaAs層28b
の厚さは0.3μm、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド
層30の厚さは1μm、p型GaAsキャップ層31の
厚さは0.5μmである。
【0047】p型GaAsキャップ層31上には、例え
ばTi/Pt/Au電極のようなp側電極32がオーミ
ックコンタクトして設けられている。また、横方向の両
端において、p型GaAsキャップ層31、p型Alx1
Ga1-x1Asクラッド層30およびAlx2Ga1-x2As
光導波層29で覆われていないn型電流狭窄層28上の
所定部分には、例えばAuGe/Ni電極のような電極
33が、n型GaAs層28bとオーミックコンタクト
して設けられている。一方、n型GaAs基板21の裏
面には、例えばAuGe/Ni電極のようなn側電極3
4がオーミックコンタクトして設けられている。このよ
うに、このAlGaAs系自励発振型半導体レーザにお
いては、n型電流狭窄層28上に、p側電極32および
n側電極34から分離された電極33が設けられている
ことによって、外部からこの電極33を通じてn型電流
狭窄層28に対して、レーザ駆動用電圧とは独立に所定
の電圧を印加することが可能となっている。
【0048】上述のように構成されたこの第2の実施形
態によるAlGaAs系自励発振型半導体レーザは、第
1の実施形態によるAlGaAs系自励発振型半導体レ
ーザと同様の動作を行うことができる。
【0049】次に、上述のように構成されたこの第2の
実施形態によるAlGaAs系自励発振型半導体レーザ
の製造方法について説明する。
【0050】すなわち、このAlGaAs系自励発振型
半導体レーザを製造するためには、まず、図11に示す
ように、n型GaAs基板21上にn型Alx2Ga1-x2
Asバッファ層22、n型Alx1Ga1-x1Asクラッド
層23、n型Alx2Ga1-x2As光導波層24、活性層
25、p型Alx2Ga1-x2As光導波層26、p型Al
x1Ga1-x1Asクラッド層27およびn型電流狭窄層2
8を構成するn型Alx1Ga1-x1As層28aとn型G
aAs層28bとを、例えばMOCVD法により順次成
長させる。
【0051】次に、n型電流狭窄層28上に、SiO2
膜やSiN膜などからなる一方向に延びた所定幅のスト
ライプ状の開口を有するマスク(図示せず)を形成す
る。次に、このマスクをエッチングマスクとして用い
て、ウエットエッチング法により、n型電流狭窄層28
を選択的にエッチングする。これによって、図12に示
すように、n型電流狭窄層28に一方向に延びるストラ
イプ状の開口28cが形成される。この後、エッチング
に用いたマスクを除去する。
【0052】次に、図13に示すように、n型電流狭窄
層28の全面にその開口28cを埋め込むようにして、
Alx2Ga1-x2As光導波層29およびp型Alx1Ga
1-x1Asクラッド層30を例えばMOCVD法により順
次成長させ、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層30の
全面にp型GaAsキャップ層31を例えばMOCVD
法により成長させる。
【0053】次に、図14に示すように、p型GaAs
キャップ層31の全面にp側電極32を形成する。
【0054】次に、p側電極32の全面に例えばCVD
法によりSiO2 膜やSiN膜を形成した後、これをエ
ッチングによりパターニングして、リッジストライプ部
の近傍に対応する部分を覆い、横方向の両端の一部に開
口を有する所定形状のマスク(図示せず)を形成する。
次に、このマスクをエッチングマスクとして、n型電流
狭窄層28の表面が露出するまでエッチングすることに
より、図15に示すように、Alx2Ga1-x2As光導波
層29、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層30、p型
GaAsキャップ層31およびp側電極32を所定形状
にパターニングする。
【0055】次に、横方向の両端において露出したn型
電流狭窄層28上の所定部分を除いた部分をレジストパ
ターン(図示せず)で覆い、全面にAuGe/Ni膜を
形成した後、レジストパターンをその上のAuGe/N
i膜とともに除去(リフトオフ)することにより、図1
6に示すように、n型電流狭窄層28上の所定部分に電
極33を形成する。
【0056】次に、n型GaAs基板21をその裏面側
からラッピングすることにより所定の厚さにする。この
後、図10に示すように、このn型GaAs基板21の
裏面にn側電極34を形成する。以上により、目的とす
るAlGaAs系自励発振型半導体レーザが製造され
る。
【0057】この第2の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様の利点を得ることができる。
【0058】次に、この発明の第3の実施形態について
説明する。図17は、この第3の実施形態によるAlG
aAs系自励発振型半導体レーザの断面図である。この
AlGaAs系自励発振型半導体レーザは、垂直共振器
構造を有する面発光型のものである。図17において、
図10と同一または対応する部分には、同一の符号を付
す。
【0059】図17に示すように、このAlGaAs系
自励発振型半導体レーザにおいては、n型GaAs基板
21上に、n型Alx1Ga1-x1Asバッファ層22を介
して、レーザ構造を構成する各半導体層が、第2の実施
形態によるAlGaAs系自励発振型半導体レーザと同
様に積層されている。ただし、この場合、n型電流狭窄
層28は、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層27上の
n型GaAs層28dと、このn型GaAs層28d上
のn型Alx2Ga1-x2As層28eとからなる。ここ
で、n型電流狭窄層28のうち、n型GaAs層28d
の厚さは例えば0.1μmである。また、このAlGa
As系自励発振型半導体レーザにおいては、所定部分に
反射鏡(図示せず)が設けられ、これによって、n型G
aAs基板21の主面と垂直な方向に共振器構造が形成
されており、n型GaAs基板21の裏面側の所定部分
には、レーザ光を取り出すための溝21aが設けられて
いる。
【0060】また、このAlGaAs系自励発振型半導
体レーザにおいては、n型GaAs基板21上にp型G
aAsキャップ層31まで積層した後、n型GaAs基
板21の裏面側からエッチングを行うことにより、横方
向の両端の部分に、n型電流狭窄層28のn型GaAs
層28dを露出させている。したがって、この場合、電
極33は、n型電流狭窄層28のうち、p型Alx1Ga
1-x1Asクラッド層27と接する側に設けられたn型G
aAs層28dとコンタクトしている。
【0061】ここで、n型Alx1Ga1-x1Asクラッド
層23、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層27および
p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層30におけるx1
は、n型Alx2Ga1-x2Asバッファ層22、n型Al
x2Ga1-x2As光導波層24、p型Alx2Ga1-x2As
光導波層26、n型Alx2Ga1-x2As層28eおよび
Alx2Ga1-x2As光導波層29におけるx2より大き
くされ、また、このx2は、活性層25の量子井戸層と
してのAlx3Ga1-x3As層におけるx3より大きくさ
れている。すなわち、x1>x2>x3である。これら
についてそれぞれ一例を挙げると、x1=0.47、x
2=0.3、x3=0.13である。
【0062】このAlGaAs系自励発振型半導体レー
ザのその他の構成は、第2の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザと同様であるので、説明を
省略する。
【0063】このAlGaAs系自励発振型半導体レー
ザは、p側電極32およびn側電極34から電気的に分
離された電極33を通じて、n型電流狭窄層28に対し
て所定の正の電圧を印加することによって、第1の実施
形態によるAlGaAs系自励発振型半導体レーザと同
様の動作を行うことができる。
【0064】この第3の実施形態によれば、垂直共振器
構造を有する面発光型のAlGaAs系自励発振型半導
体レーザにおいて、第1の実施形態と同様の利点を得る
ことができる。
【0065】以上この発明の実施形態について具体的に
説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定される
ものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変
形が可能である。例えば、実施形態において挙げた数
値、材料、構造などはあくまで例にすぎず、これらに限
定されるものではない。
【0066】具体的には、上述の第1〜第3の実施形態
におけるn型電流狭窄層10、28は、n型Alx1Ga
1-x1As層10a、28aとn型GaAs層10b、2
8bとの積層構造、または、n型GaAs層28dとn
型Alx2Ga1-x2As層28eとの積層構造を有するも
のであるが、これらは、例えば、単層のn型AlGaA
s層またはn型GaAs層であってもよい。
【0067】また、第1〜第3の実施形態におけるn型
電流狭窄層10、28に代えて、絶縁性または半絶縁性
の電流狭窄層を用いてもよい。具体的には、例えば、電
流狭窄層を半絶縁性とする場合には、CoまたはFeな
どがドープされた半絶縁性のAlGaAs層やGaAs
層を用いて電流狭窄層を構成する。なお、第1〜第3の
実施形態において、電流狭窄層を絶縁性または半絶縁性
とした場合、動作時には、この電流狭窄層に対して負の
電圧を印加する。このときの動作原理は、第1の実施形
態において説明した動作原理と同様である。具体的に
は、例えば、第1の実施形態において、n型電流狭窄層
10の代わりに半絶縁性の電流狭窄層を用いた場合を例
に説明すると、この半絶縁性の電流狭窄層に対して負の
電圧を印加することによって、電流狭窄層中の電極と反
対側の部分にプラス(+)の電荷が誘導され、一方、こ
の電流狭窄層との接合部の近傍におけるp型Alx1Ga
1-x1Asクラッド層7、p型Alx1Ga1-x1Asクラッ
ド層9およびp型GaAsキャップ層11中には、電流
狭窄層に発生したプラス(+)の固定電荷による静電誘
導効果によってホールが反発される結果、マイナス
(−)の固定電荷が発生する。このため、キャリアのう
ち、電子e- は、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層
7、p型Alx1Ga1-x1Asクラッド層9およびp型G
aAsキャップ層11中に発生したマイナス(−)の固
定電荷の影響によって反発され、リッジストライプ部の
中央に集中するようになり、ホール(図示せず)は、電
流狭窄層中に発生したプラス(+)の固定電荷の影響に
よって反発され、電子e- の場合と同様にリッジストラ
イプ部の中央に集中するようになる。
【0068】また、例えば、上述の第1〜第3の実施形
態において、基板や各半導体層の導電型を反対にしても
よい。この場合、電流狭窄層としては、導電型がp型の
ものを用いるか、あるいは、絶縁性または半絶縁性のも
のを用いる。なお、p型の電流狭窄層を用いた場合は、
動作時には、このp型の電流狭窄層に対して負の電圧を
印加し、絶縁性または半絶縁性の電流狭窄層を用いた場
合は、動作時には、この絶縁性また半絶縁性の電流狭窄
層に対して正の電圧を印加する。
【0069】また、第1〜第3の実施形態においては、
この発明をSCH構造のAlGaAs系自励発振型半導
体レーザに適用した場合について説明したが、この発明
は、DH(Double Heterostructure)構造のAlGaA
s系自励発振型半導体レーザに適用することも可能であ
る。また、活性層は、MQW構造以外の構造であっても
よい。
【0070】さらに、第1〜第3の実施形態において
は、この発明をAlGaAs系自励発振型半導体レーザ
に適用した場合について説明したが、この発明は、Al
GaAs系自励発振型半導体レーザ以外に、AlGaI
nP系自励発振型半導体レーザ、II−VI族化合物半
導体を用いた自励発振型半導体レーザおよび窒化物系I
II−V族化合物半導体を用いた自励発振型半導体レー
ザに適用することも可能である。なお、通常、II−V
I族化合物半導体を用いた自励発振型半導体レーザにあ
っては、電流狭窄層の材料としてAl2 3 が用いら
れ、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた自励発
振型半導体レーザにあっては、電流狭窄層の材料として
SiO2 が用いられるが、電流狭窄層の材料としてこの
ような絶縁体を用いた場合であっても、上述の実施形態
のおいて説明した効果と同様の効果を得ることができ
る。
【0071】なお、この発明と同様の技術思想は、自励
発振型半導体レーザ以外の通常の半導体レーザに適用す
ることも可能であり、この場合、半導体レーザの動作時
に電流狭窄層に対して所定の電圧を印加することによっ
て、通常の半導体レーザを自励発振動作させることも可
能である。また、自励発振型半導体レーザのように、横
方向の屈折率差Δnが小さく、光の閉じ込めが緩やかに
されている場合は、横方向への光の広がりは、活性層へ
のキャリアの注入状態の影響をほとんど受けないが、イ
ンデックスガイド型半導体レーザのように、自励発振型
半導体レーザと比較して横方向の屈折率差Δnが大きく
され、光の閉じ込めが強くされている場合は、電流狭窄
層に電圧を印加して、活性層へのキャリアの注入状態を
変化させることにより、ビーム形状を直接制御すること
が可能である。具体的には、この場合、電流狭窄層に対
して電圧を印加することによって、電圧を印加しないと
きに比べて、活性層中におけるキャリアの横方向への広
がりが小さくなるため(キャリアの注入領域が狭くなる
ため)、遠視野像(FFP)の水平方向におけるビーム
広がり角θ//を大きくすることができる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、電流狭窄層にレーザ駆動用電極から電気的に分離さ
れた電極が接続されていることにより、動作時に、外部
から電極を通じて電流狭窄層に対してレーザ駆動用電圧
とは独立に所定の電圧を印加するという簡便な手法で、
自励発振を制御することができ、これによって、自励発
振可能な動作条件の範囲が広く、しかも、動作条件の変
化に対する自励発振の安定性および信頼性の高い自励発
振型半導体レーザを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザの断面図である。
【図2】 この発明の第1の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザの動作を説明するための断
面図である。
【図3】 この発明の第1の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザの動作を説明するための断
面図である。
【図4】 この発明の第1の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するため
の断面図である。
【図5】 この発明の第1の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するため
の断面図である。
【図6】 この発明の第1の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するため
の断面図である。
【図7】 この発明の第1の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するため
の断面図である。
【図8】 この発明の第1の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するため
の断面図である。
【図9】 この発明の第2の実施形態によるAlGaA
s系自励発振型半導体レーザの断面図である。
【図10】 この発明の第2の実施形態によるAlGa
As系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するた
めの断面図である。
【図11】 この発明の第2の実施形態によるAlGa
As系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するた
めの断面図である。
【図12】 この発明の第2の実施形態によるAlGa
As系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するた
めの断面図である。
【図13】 この発明の第2の実施形態によるAlGa
As系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するた
めの断面図である。
【図14】 この発明の第2の実施形態によるAlGa
As系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するた
めの断面図である。
【図15】 この発明の第2の実施形態によるAlGa
As系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するた
めの断面図である。
【図16】 この発明の第2の実施形態によるAlGa
As系自励発振型半導体レーザの製造方法を説明するた
めの断面図である。
【図17】 この発明の第3の実施形態によるAlGa
As系自励発振型半導体レーザの断面図である。
【符号の説明】
1,21・・・n型GaAs基板、3,23・・・n型
Alx1Ga1-x1Asクラッド層、4,24・・・n型A
x2Ga1-x2As光導波層、5,25・・・活性層、
6,26・・・p型Alx2Ga1-x2As光導波層、7,
9,27,30・・・p型Alx1Ga1-x1Asクラッド
層、8,29・・・Alx2Ga1-x2As光導波層、1
0,28・・・n型電流狭窄層、10a,28a・・・
n型Alx1Ga1-x1As層、10b,28b,28d・
・・n型GaAs層、28e・・・n型Alx2Ga1-x2
As層、11,31・・・p型GaAsキャップ層、1
2,32・・・p側電極、13,33・・・電極、1
4,34・・・n側電極

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の第1のクラッド層と、 上記第1のクラッド層上の活性層と、 上記活性層上の第2導電型の第2のクラッド層とを有
    し、 上記第2のクラッド層の上層部に設けられたストライプ
    部の両側の部分に電流狭窄層が埋め込まれた電流狭窄構
    造を有する自励発振型半導体レーザにおいて、 上記電流狭窄層に、レーザ駆動用電極から電気的に分離
    された電極が接続されていることを特徴とする自励発振
    型半導体レーザ。
  2. 【請求項2】 上記電流狭窄層の導電型は第1導電型で
    あることを特徴とする請求項1記載の自励発振型半導体
    レーザ。
  3. 【請求項3】 上記電極は上記電流狭窄層にオーム性接
    触するものであることを特徴とする請求項2記載の自励
    発振型半導体レーザ。
  4. 【請求項4】 上記電流狭窄層は絶縁性または半絶縁性
    であることを特徴とする請求項1記載の自励発振型半導
    体レーザ。
  5. 【請求項5】 第1導電型の第1のクラッド層と、 上記第1のクラッド層上の活性層と、 上記活性層上の第2導電型の第2のクラッド層と、 上記第2のクラッド層上のストライプ状の開口を有する
    電流狭窄層と、 上記電流狭窄層の上記開口の部分における上記第2のク
    ラッド層上に設けられた第2導電型の第3のクラッド層
    とを有する自励発振型半導体レーザにおいて、 上記電流狭窄層に、レーザ駆動用電極から電気的に分離
    された電極が接続されていることを特徴とする自励発振
    型半導体レーザ。
  6. 【請求項6】 上記電流狭窄層の導電型は第1導電型で
    あることを特徴とする請求項5記載の自励発振型半導体
    レーザ。
  7. 【請求項7】 上記電極は上記電流狭窄層にオーム性接
    触するものであることを特徴とする請求項6記載の自励
    発振型半導体レーザ。
  8. 【請求項8】 上記電流狭窄層は絶縁性または半絶縁性
    であることを特徴とする請求項5記載の自励発振型半導
    体レーザ。
  9. 【請求項9】 第1導電型の第1のクラッド層と、 上記第1のクラッド層上の活性層と、 上記活性層上の第2導電型の第2のクラッド層とを有
    し、 上記第2のクラッド層の上層部に設けられたストライプ
    部の両側の部分に電流狭窄層が埋め込まれた電流狭窄構
    造を有し、 上記電流狭窄層に、レーザ駆動用電極から電気的に分離
    された電極が接続されている自励発振型半導体レーザの
    動作方法であって、 外部から上記レーザ駆動用電極に対してレーザ駆動用電
    圧を印加するとともに、上記電流狭窄層に対して上記電
    極を通じて上記レーザ駆動用電圧とは独立に所定の電圧
    を印加するようにしたことを特徴とする自励発振型半導
    体レーザの動作方法。
  10. 【請求項10】 上記電流狭窄層に対して印加する上記
    電圧を上記自励発振型半導体レーザの動作条件に応じて
    制御するようにしたことを特徴とする請求項9記載の自
    励発振型半導体レーザの動作方法。
  11. 【請求項11】 第1導電型の第1のクラッド層と、 上記第1のクラッド層上の活性層と、 上記活性層上の第2導電型の第2のクラッド層と、 上記第2のクラッド層上のストライプ状の開口を有する
    電流狭窄層と、 上記電流狭窄層の上記開口の部分における上記第2のク
    ラッド層上に設けられた第2導電型の第3のクラッド層
    とを有し、 上記電流狭窄層に、レーザ駆動用電極から電気的に分離
    された電極が接続されている自励発振型半導体レーザの
    動作方法であって、 外部から上記レーザ駆動用電極に対してレーザ駆動用電
    圧を印加するとともに、上記電流狭窄層に対して上記電
    極を通じて上記レーザ駆動用電圧とは独立に所定の電圧
    を印加するようにしたことを特徴とする自励発振型半導
    体レーザの動作方法。
  12. 【請求項12】 上記電流狭窄層に対して印加する上記
    電圧を上記自励発振型半導体レーザの動作条件に応じて
    制御するようにしたことを特徴とする請求項11記載の
    自励発振型半導体レーザの動作方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015170792A (ja) * 2014-03-10 2015-09-28 ソニー株式会社 半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法ならびに半導体素子

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