JPH11171843A - 嵩密度の大きい[s,s]−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の結晶およびその取得方法 - Google Patents
嵩密度の大きい[s,s]−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の結晶およびその取得方法Info
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- JPH11171843A JPH11171843A JP9332334A JP33233497A JPH11171843A JP H11171843 A JPH11171843 A JP H11171843A JP 9332334 A JP9332334 A JP 9332334A JP 33233497 A JP33233497 A JP 33233497A JP H11171843 A JPH11171843 A JP H11171843A
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- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C229/00—Compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton
- C07C229/02—Compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton having amino and carboxyl groups bound to acyclic carbon atoms of the same carbon skeleton
- C07C229/04—Compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton having amino and carboxyl groups bound to acyclic carbon atoms of the same carbon skeleton the carbon skeleton being acyclic and saturated
- C07C229/24—Compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton having amino and carboxyl groups bound to acyclic carbon atoms of the same carbon skeleton the carbon skeleton being acyclic and saturated having more than one carboxyl group bound to the carbon skeleton, e.g. aspartic acid
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- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C227/00—Preparation of compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton
- C07C227/38—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
- C07C227/40—Separation; Purification
- C07C227/42—Crystallisation
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- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 嵩密度が0.45〜1.2g/cm3 で
ある[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸の結晶、
ならびにpH1.9〜4.5および温度40〜80℃に
調整した[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸また
はその塩の水溶液を冷却し[S,S]-エチレンジアミン-N,
N'-ジコハク酸を析出させる該結晶の取得方法。 【効果】 常温ないし冷却下で鉱酸を添加する通常の酸
析方法で得られる嵩密度が0.2g/cm3 程度の針状
結晶に比べて格段に洗浄・乾燥・輸送効率がよく、酸析
で生成する塩類や[S,S]-EDDSの環化物等の不純物を
ほとんど含まず、高品質である。
ある[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸の結晶、
ならびにpH1.9〜4.5および温度40〜80℃に
調整した[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸また
はその塩の水溶液を冷却し[S,S]-エチレンジアミン-N,
N'-ジコハク酸を析出させる該結晶の取得方法。 【効果】 常温ないし冷却下で鉱酸を添加する通常の酸
析方法で得られる嵩密度が0.2g/cm3 程度の針状
結晶に比べて格段に洗浄・乾燥・輸送効率がよく、酸析
で生成する塩類や[S,S]-EDDSの環化物等の不純物を
ほとんど含まず、高品質である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は嵩密度の大きい[S,
S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸(以下、「[S,S]
-EDDS」と略記する)の結晶およびその取得方法に
関する。[S,S]-EDDSは生分解性キレート剤として洗
浄剤組成物、写真用漂白剤、無電解メッキ助剤および過
酸化物安定剤等の用途が期待されている。
S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸(以下、「[S,S]
-EDDS」と略記する)の結晶およびその取得方法に
関する。[S,S]-EDDSは生分解性キレート剤として洗
浄剤組成物、写真用漂白剤、無電解メッキ助剤および過
酸化物安定剤等の用途が期待されている。
【0002】
【従来の技術】エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸の
[S,S]-異性体の製造方法としては、(1)Patel R.N.らの
水酸化カルシウム存在下、L−アスパラギン酸とジブロ
ムエタンからの化学合成法〔WO 95-12570 号公報〕、
(2) 遠藤らのフマル酸とエチレンジアミンからの酵素的
合成法〔特開平9-140390号およびEP-A-0805211号各公
報〕、(3) T. Nishikiori ら〔J. Antibiot. 37, 426-4
27(1994)〕および Z. Hansら〔WO 96-36725 号公報〕の
放線菌を用いる発酵法、等が知られている。得られた
[S,S]-EDDSは一般に鉱酸による酸析、水や有機溶媒
による洗浄、熱風や減圧下での乾燥等を経て回収される
が、酸析等の効率的な回収方法に関してはほとんど検討
がなされていない。
[S,S]-異性体の製造方法としては、(1)Patel R.N.らの
水酸化カルシウム存在下、L−アスパラギン酸とジブロ
ムエタンからの化学合成法〔WO 95-12570 号公報〕、
(2) 遠藤らのフマル酸とエチレンジアミンからの酵素的
合成法〔特開平9-140390号およびEP-A-0805211号各公
報〕、(3) T. Nishikiori ら〔J. Antibiot. 37, 426-4
27(1994)〕および Z. Hansら〔WO 96-36725 号公報〕の
放線菌を用いる発酵法、等が知られている。得られた
[S,S]-EDDSは一般に鉱酸による酸析、水や有機溶媒
による洗浄、熱風や減圧下での乾燥等を経て回収される
が、酸析等の効率的な回収方法に関してはほとんど検討
がなされていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの実験によ
れば、例えば、前記(2) の酵素的合成法により得られた
[S,S]-EDDSの反応液に常温ないし冷却下で鉱酸を添
加する通常の酸析方法では、析出する[S,S]-EDDSは
極めて嵩高い針状結晶であり、この結晶は水等による洗
浄効率が悪く混入する不純物の除去が困難なこと、乾燥
に長時間を要すること、単位重量当たりの容積が大きい
ため輸送効率が悪いこと等の問題が提起された。さら
に、この問題を解決するため、酸析の際のpHおよび温
度条件等について種々検討を行った結果、嵩密度の大き
い円柱状結晶が得られる条件を見出す反面、全く意外に
も、酸析後の結晶を除去した母液中にかなりの量の下記
構造式〔1〕、〔2〕等で示されるエチレンジアミン-
N,N'-ジコハク酸の環化物が含まれており、ある酸析条
件が分子内環化反応を促進し、[S,S]-EDDSの回収率
低下を引起していることが確認された。
れば、例えば、前記(2) の酵素的合成法により得られた
[S,S]-EDDSの反応液に常温ないし冷却下で鉱酸を添
加する通常の酸析方法では、析出する[S,S]-EDDSは
極めて嵩高い針状結晶であり、この結晶は水等による洗
浄効率が悪く混入する不純物の除去が困難なこと、乾燥
に長時間を要すること、単位重量当たりの容積が大きい
ため輸送効率が悪いこと等の問題が提起された。さら
に、この問題を解決するため、酸析の際のpHおよび温
度条件等について種々検討を行った結果、嵩密度の大き
い円柱状結晶が得られる条件を見出す反面、全く意外に
も、酸析後の結晶を除去した母液中にかなりの量の下記
構造式〔1〕、〔2〕等で示されるエチレンジアミン-
N,N'-ジコハク酸の環化物が含まれており、ある酸析条
件が分子内環化反応を促進し、[S,S]-EDDSの回収率
低下を引起していることが確認された。
【0004】
【0006】したがって、本発明は嵩高さおよび[S,S]-
EDDSの環化物の生成を抑制し、これらに由来する種
々の問題を同時に解決することを課題とする。これらの
問題の解決は工業的生産において極めて重要である。
EDDSの環化物の生成を抑制し、これらに由来する種
々の問題を同時に解決することを課題とする。これらの
問題の解決は工業的生産において極めて重要である。
【0007】なお、エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸
の環化物に関する報告は、Vasil'ev, V. P. ら〔Zh. Ne
org. Khim. (1989), 34(2), 381-385 〕やその他の研究
者により、その異性体混合物 ([R,R]-、[S,S]-、[R,S-/
S,R]- 混合物)由来のものが報告されている。しかし、
光学活性な[S,S]-異性体単独に由来するものの報告は無
い。
の環化物に関する報告は、Vasil'ev, V. P. ら〔Zh. Ne
org. Khim. (1989), 34(2), 381-385 〕やその他の研究
者により、その異性体混合物 ([R,R]-、[S,S]-、[R,S-/
S,R]- 混合物)由来のものが報告されている。しかし、
光学活性な[S,S]-異性体単独に由来するものの報告は無
い。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のpHおよび温
度条件下に酸析を行うことが上記課題の解決に有効であ
ることを見出し本発明を完成した。
解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のpHおよび温
度条件下に酸析を行うことが上記課題の解決に有効であ
ることを見出し本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、嵩密度が0.45〜
1.2g/cm3 であることを特徴とする[S,S]-エチレ
ンジアミン-N,N'-ジコハク酸の結晶、ならびにpH1.
9〜4.5および温度40〜80℃に調整した[S,S]-エ
チレンジアミン-N,N'-ジコハク酸またはその塩の水溶液
を冷却し[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸を析
出させることを特徴とする上記[S,S]-エチレンジアミン
-N,N'-ジコハク酸の結晶の取得方法、である。
1.2g/cm3 であることを特徴とする[S,S]-エチレ
ンジアミン-N,N'-ジコハク酸の結晶、ならびにpH1.
9〜4.5および温度40〜80℃に調整した[S,S]-エ
チレンジアミン-N,N'-ジコハク酸またはその塩の水溶液
を冷却し[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸を析
出させることを特徴とする上記[S,S]-エチレンジアミン
-N,N'-ジコハク酸の結晶の取得方法、である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のエチレンジアミン-N,N'-
ジコハク酸は[S,S]-異性体であるが、全異性体量に対す
る割合は90重量%以上の組成ものが対象となる。ま
た、本発明でいう「嵩密度」は、水分(結晶水を含む)
15重量%以下の乾燥品についてJIS規格K5101
に基づいて測定した値として定義される。
ジコハク酸は[S,S]-異性体であるが、全異性体量に対す
る割合は90重量%以上の組成ものが対象となる。ま
た、本発明でいう「嵩密度」は、水分(結晶水を含む)
15重量%以下の乾燥品についてJIS規格K5101
に基づいて測定した値として定義される。
【0011】酸析は、例えば、前記フマル酸とエチレン
ジアミンからの酵素的合成法〔特開平9-140390号および
EP-A-0805211号各公報〕で得られる0.1重量%〜飽和
濃度の[S,S]-EDDSのアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩またはアンモニウム塩等の水溶液を、pH1.9
〜4.5、好ましくは2.5〜4.0の範囲、温度40
〜80℃、好ましくは40〜60℃の範囲に調整後、徐
々に冷却することにより行うことができる。通常、冷却
温度は30〜5℃、冷却時間はpHや温度条件により異
なるが、30分〜48時間の範囲である。なお、結晶の
析出に伴いpHが徐々に上昇するが、この場合必要に応
じ酸を添加して所定のpHとなるように調整する。pH
調整は、通常、硫酸、塩酸等の鉱酸を用いて行なわれ
る。また、上記酸析操作は回分、連続何れでも行うこと
ができる。
ジアミンからの酵素的合成法〔特開平9-140390号および
EP-A-0805211号各公報〕で得られる0.1重量%〜飽和
濃度の[S,S]-EDDSのアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩またはアンモニウム塩等の水溶液を、pH1.9
〜4.5、好ましくは2.5〜4.0の範囲、温度40
〜80℃、好ましくは40〜60℃の範囲に調整後、徐
々に冷却することにより行うことができる。通常、冷却
温度は30〜5℃、冷却時間はpHや温度条件により異
なるが、30分〜48時間の範囲である。なお、結晶の
析出に伴いpHが徐々に上昇するが、この場合必要に応
じ酸を添加して所定のpHとなるように調整する。pH
調整は、通常、硫酸、塩酸等の鉱酸を用いて行なわれ
る。また、上記酸析操作は回分、連続何れでも行うこと
ができる。
【0012】上記本発明の構成は、嵩密度の高い円柱状
の結晶を得るに充分である。一方、構造式〔1〕および
〔2〕で示される[S,S]-EDDSの環化物は、pHが低
い程、温度が高い程、またこれらの条件に曝す時間が長
い程生成し易い。環化物生成は[S,S]-EDDS結晶の回
収率の低下をもたらすだけでなく、母液中に残存した環
化物は結晶に付着し品質低下の原因となるが、上記好ま
しいとする各条件は該環化物の生成をより少ない状態に
抑制し得る。本発明では最終的に[S,S]-EDDS環化物
が1重量%以下の[S,S]-EDDS結晶が得られる。
の結晶を得るに充分である。一方、構造式〔1〕および
〔2〕で示される[S,S]-EDDSの環化物は、pHが低
い程、温度が高い程、またこれらの条件に曝す時間が長
い程生成し易い。環化物生成は[S,S]-EDDS結晶の回
収率の低下をもたらすだけでなく、母液中に残存した環
化物は結晶に付着し品質低下の原因となるが、上記好ま
しいとする各条件は該環化物の生成をより少ない状態に
抑制し得る。本発明では最終的に[S,S]-EDDS環化物
が1重量%以下の[S,S]-EDDS結晶が得られる。
【0013】析出した結晶の取得は濾過、遠心分離等の
通常の方法が採用できる。次いで、粗結晶中の酸析の際
生成した硫酸塩類や環化物等を水や有機溶媒を用いて洗
浄する。この洗浄に関しても特に制限は無く、リンス、
スラリー洗浄等の通常の方法で行うことができる。ま
た、洗浄後の湿結晶の乾燥は品温が80℃以下となる温
度で行えばよい。
通常の方法が採用できる。次いで、粗結晶中の酸析の際
生成した硫酸塩類や環化物等を水や有機溶媒を用いて洗
浄する。この洗浄に関しても特に制限は無く、リンス、
スラリー洗浄等の通常の方法で行うことができる。ま
た、洗浄後の湿結晶の乾燥は品温が80℃以下となる温
度で行えばよい。
【0014】
【実施例】分析、測定方法等: (1) エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸およびその環化
物 遠心により除菌した[S,S]-EDDS溶液または結晶の
0.5N水酸化ナトリウム溶液を液体クロマトグラフィ
ー(カラム:Inertsil ODS-3、移動相:2mM Tetra-n-bu
tylammonium Hydroxide 、2mM CuSO4 、50mM H3 PO4 、
流速:1.0ml/min、温度:40℃、検出波長:220nm) に
より分析した。
物 遠心により除菌した[S,S]-EDDS溶液または結晶の
0.5N水酸化ナトリウム溶液を液体クロマトグラフィ
ー(カラム:Inertsil ODS-3、移動相:2mM Tetra-n-bu
tylammonium Hydroxide 、2mM CuSO4 、50mM H3 PO4 、
流速:1.0ml/min、温度:40℃、検出波長:220nm) に
より分析した。
【0015】(2) エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸の
光学純度 遠心により除菌した[S,S]-EDDS溶液または結晶の
0.5N水酸化ナトリウム溶液を液体クロマトグラフィ
ー(カラム:MCI GEL CRS 10W 、移動相:10mM CuSO4、
流速:0.5ml/min 、温度:室温、検出波長:254nm) に
より分析した。
光学純度 遠心により除菌した[S,S]-EDDS溶液または結晶の
0.5N水酸化ナトリウム溶液を液体クロマトグラフィ
ー(カラム:MCI GEL CRS 10W 、移動相:10mM CuSO4、
流速:0.5ml/min 、温度:室温、検出波長:254nm) に
より分析した。
【0016】(3) 嵩密度 乾燥結晶品について、カサ比重測定器 東京蔵持科学器
械製作所(JIS規格K5101)を用いて測定した。
械製作所(JIS規格K5101)を用いて測定した。
【0017】製造例1 [S,S]-EDDS溶液の調整:Brevundimonas sp. TN−
3株を特開平9-140390号公報の実施例1記載の方法に従
い培養して菌体を得た。この菌体を100mM、pH
9.2のほう酸緩衝液に懸濁し、45℃、8時間、熱処
理を行った。集菌後、菌体をフマル酸143g/l、エ
チレンジアミン37g/lおよび水酸化マグネシウム5
4g/lを含むpH8.5の反応液に懸濁した。水酸化
ナトリウム溶液を用いて反応液のpHを8.5に調整し
ながら、40℃、3日間、攪拌しながら反応させた。反
応終了後は遠心分離により除菌し、480mMの[S,S]-
EDDS([S,S]-体の全異性体に対する割合が98.8
重量%)を含み、[S,S]-EDDSの環化物を全く含まな
い上清を得た。
3株を特開平9-140390号公報の実施例1記載の方法に従
い培養して菌体を得た。この菌体を100mM、pH
9.2のほう酸緩衝液に懸濁し、45℃、8時間、熱処
理を行った。集菌後、菌体をフマル酸143g/l、エ
チレンジアミン37g/lおよび水酸化マグネシウム5
4g/lを含むpH8.5の反応液に懸濁した。水酸化
ナトリウム溶液を用いて反応液のpHを8.5に調整し
ながら、40℃、3日間、攪拌しながら反応させた。反
応終了後は遠心分離により除菌し、480mMの[S,S]-
EDDS([S,S]-体の全異性体に対する割合が98.8
重量%)を含み、[S,S]-EDDSの環化物を全く含まな
い上清を得た。
【0018】比較例1 100mlの[S,S]-EDDS溶液に室温(20℃)下で
濃硫酸を添加しpH1.95に調整した。1時間静置し
た後、析出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水100m
lで洗浄して湿結晶を得た。80℃で一夜乾燥した結晶
は針状結晶(0.05〜0.2mm径×0.5〜3mm
長)であり、嵩密度は0.2g/cm3、残存する硫酸
根は264ppmであった。また、母液中の環化物含量
は[S,S]-EDDSに対し0.5重量%であった。
濃硫酸を添加しpH1.95に調整した。1時間静置し
た後、析出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水100m
lで洗浄して湿結晶を得た。80℃で一夜乾燥した結晶
は針状結晶(0.05〜0.2mm径×0.5〜3mm
長)であり、嵩密度は0.2g/cm3、残存する硫酸
根は264ppmであった。また、母液中の環化物含量
は[S,S]-EDDSに対し0.5重量%であった。
【0019】実施例1 上記[S,S]-EDDS溶液100mlを80℃とした後、
濃硫酸を添加しpH3.75に調整した。その後、30
℃に達するまで2時間かけて徐々に冷却した。この間、
濃硫酸を少しずつ添加しながらpH3.75を保持する
ようにコントロールした。析出した結晶をブフナーで濾
過し脱塩水100mlで洗浄して湿結晶を得た。80℃
で一夜乾燥した結晶は円柱状結晶(0.3〜0.6mm
径×1〜3mm長)であり、嵩密度は0.58g/cm
3 、残存する硫酸根は97ppmであった。また、母液
中の環化物含量は[S,S]-EDDSに対し8.5重量%で
あった。
濃硫酸を添加しpH3.75に調整した。その後、30
℃に達するまで2時間かけて徐々に冷却した。この間、
濃硫酸を少しずつ添加しながらpH3.75を保持する
ようにコントロールした。析出した結晶をブフナーで濾
過し脱塩水100mlで洗浄して湿結晶を得た。80℃
で一夜乾燥した結晶は円柱状結晶(0.3〜0.6mm
径×1〜3mm長)であり、嵩密度は0.58g/cm
3 、残存する硫酸根は97ppmであった。また、母液
中の環化物含量は[S,S]-EDDSに対し8.5重量%で
あった。
【0020】実施例2 上記[S,S]-EDDS溶液100mlを80℃とした後、
濃硫酸を添加しpH3.2に調整した。1時間60℃に
保温した後、21.5℃に達するまで1時間かけて徐々
に冷却した。2時間の実験の間、濃硫酸を少しずつ添加
しながらpH3.2を保持するようにコントロールし
た。析出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水100ml
で洗浄して湿結晶を得た。80℃で一夜乾燥した結晶は
円柱状結晶(0.3〜0.6mm径×1〜3mm長)で
あり、嵩密度は0.57g/cm3、残存する硫酸根は
94ppmであった。また、母液中の環化物含量は[S,
S]-EDDSに対し5重量%であった。
濃硫酸を添加しpH3.2に調整した。1時間60℃に
保温した後、21.5℃に達するまで1時間かけて徐々
に冷却した。2時間の実験の間、濃硫酸を少しずつ添加
しながらpH3.2を保持するようにコントロールし
た。析出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水100ml
で洗浄して湿結晶を得た。80℃で一夜乾燥した結晶は
円柱状結晶(0.3〜0.6mm径×1〜3mm長)で
あり、嵩密度は0.57g/cm3、残存する硫酸根は
94ppmであった。また、母液中の環化物含量は[S,
S]-EDDSに対し5重量%であった。
【0021】実施例3 上記[S,S]-EDDS溶液100mlを60℃とした後、
濃硫酸を添加しpH3.2に調整した。30分間60℃
に保温した後、21.5℃に達するまで1時間かけて徐
々に冷却した。1時間30分の実験の間、濃硫酸を少し
ずつ添加しながらpH3.2を保持するようにコントロ
ールした。析出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水10
0mlで洗浄して湿結晶を得た。80℃で一夜乾燥した
結晶は円柱状結晶(0.3〜0.6mm径×1〜3mm
長)であり、嵩密度は0.55g/cm3 、残存する硫
酸根は93ppmであった。また、母液中の環化物含量
は[S,S]-EDDSに対し3重量%であった。
濃硫酸を添加しpH3.2に調整した。30分間60℃
に保温した後、21.5℃に達するまで1時間かけて徐
々に冷却した。1時間30分の実験の間、濃硫酸を少し
ずつ添加しながらpH3.2を保持するようにコントロ
ールした。析出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水10
0mlで洗浄して湿結晶を得た。80℃で一夜乾燥した
結晶は円柱状結晶(0.3〜0.6mm径×1〜3mm
長)であり、嵩密度は0.55g/cm3 、残存する硫
酸根は93ppmであった。また、母液中の環化物含量
は[S,S]-EDDSに対し3重量%であった。
【0022】実施例4 上記[S,S]-EDDS溶液100mlを3倍に希釈し40
℃とした後、濃硫酸を添加しpH3.2に調整した。2
0℃に達するまで1時間かけて徐々に冷却し、この間、
濃硫酸を少しずつ添加しながらpH3.2を保持するよ
うにコントロールした。析出した結晶をブフナーで濾過
し脱塩水100mlで洗浄して湿結晶を得た。80℃で
一夜乾燥した結晶は円柱状結晶(0.2〜0.7mm径
×1〜3.5mm長)であり、嵩密度は0.56g/c
m3 、残存する硫酸根は90ppmであった。また、母
液中の環化物含量は[S,S]-EDDSに対し0.5重量%
であった。
℃とした後、濃硫酸を添加しpH3.2に調整した。2
0℃に達するまで1時間かけて徐々に冷却し、この間、
濃硫酸を少しずつ添加しながらpH3.2を保持するよ
うにコントロールした。析出した結晶をブフナーで濾過
し脱塩水100mlで洗浄して湿結晶を得た。80℃で
一夜乾燥した結晶は円柱状結晶(0.2〜0.7mm径
×1〜3.5mm長)であり、嵩密度は0.56g/c
m3 、残存する硫酸根は90ppmであった。また、母
液中の環化物含量は[S,S]-EDDSに対し0.5重量%
であった。
【0023】
【発明の効果】本発明の[S,S]-EDDSの結晶は、嵩密
度が0.45〜1.2g/cm3 の円柱状(約 0.2〜0.
7mm 径×約 1〜3.5mm 長)であり、常温ないし冷却下で
鉱酸を添加する通常の酸析方法で得られる嵩密度が0.
2g/cm3 程度の針状(約0.05〜0.2mm 径×約 0.5〜
3mm 長)の結晶に比べて格段に洗浄・乾燥・輸送効率が
よく、酸析で生成する塩類や[S,S]-EDDSの環化物等
の不純物をほとんど含まず、高品質である。
度が0.45〜1.2g/cm3 の円柱状(約 0.2〜0.
7mm 径×約 1〜3.5mm 長)であり、常温ないし冷却下で
鉱酸を添加する通常の酸析方法で得られる嵩密度が0.
2g/cm3 程度の針状(約0.05〜0.2mm 径×約 0.5〜
3mm 長)の結晶に比べて格段に洗浄・乾燥・輸送効率が
よく、酸析で生成する塩類や[S,S]-EDDSの環化物等
の不純物をほとんど含まず、高品質である。
フロントページの続き (72)発明者 遠藤 隆一 神奈川県横浜市鶴見区大黒町10番1号 日 東化学工業株式会社中央研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 嵩密度が0.45〜1.2g/cm3 で
あることを特徴とする[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジ
コハク酸の結晶。 - 【請求項2】 不純物としての下記構造式〔1〕および
/または〔2〕で示されるエチレンジアミン-N,N'-ジコ
ハク酸の環化物が1重量%以下である請求項1記載の
[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸の結晶。 - 【請求項3】 pH1.9〜4.5および温度40〜8
0℃に調整した[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコハク
酸またはその塩の水溶液を冷却し[S,S]-エチレンジアミ
ン-N,N'-ジコハク酸を析出させることを特徴とする請求
項1または2記載の[S,S]-エチレンジアミン-N,N'-ジコ
ハク酸の結晶の取得方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9332334A JPH11171843A (ja) | 1997-11-18 | 1997-11-18 | 嵩密度の大きい[s,s]−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の結晶およびその取得方法 |
EP98954716A EP1033362B1 (en) | 1997-11-18 | 1998-11-18 | Crystals of [s,s]-ethylenediamine-n,n'-disuccinic acid with high bulk density and method of obtaining the same |
DE69830191T DE69830191T2 (de) | 1997-11-18 | 1998-11-18 | [s,s]-ethylendiamin-n,n'-dibernsteinsäure-kristalle mit hoher schüttdichte und ein verfahren zu ihrer herstellung |
PCT/JP1998/005175 WO1999025680A1 (fr) | 1997-11-18 | 1998-11-18 | Cristaux d'acide [s,s]-ethylenediamine-n,n'-disuccinique possedant une densite volumique elevee et leur procede de preparation |
US09/530,964 US6414189B1 (en) | 1997-11-18 | 1998-11-18 | Crystals of [S,S]-ethylenediamine-N,N′-disuccinic acid with high bulk density and method of obtaining the same |
US10/083,536 US6495716B2 (en) | 1997-11-18 | 2002-02-27 | [S,S]-ethylenediamine-N,N′-disuccinic acid crystal with high bulk density and process for obtaining the same |
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---|---|---|---|
JP9332334A JPH11171843A (ja) | 1997-11-18 | 1997-11-18 | 嵩密度の大きい[s,s]−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の結晶およびその取得方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11171843A true JPH11171843A (ja) | 1999-06-29 |
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Family Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7569701B2 (en) | 2002-04-10 | 2009-08-04 | Nippon Zoki Pharmaceutical Co., Ltd. | Crystal form of 5-hydroxy-1-methylimidazolidin-2,4-dione |
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US5466867A (en) * | 1994-07-11 | 1995-11-14 | Albemarle Corporation | Method for producing [S,S]-ethylenediamine-N,N'-disuccinic acid from its calcium salt |
US5587512A (en) * | 1994-07-11 | 1996-12-24 | Albemarle Corporation | Process for obtaining [S,S]-ethylenediamine-n,n'-disuccinic acid from a salt solution of such acid and l-aspartic acid |
JPH09194448A (ja) * | 1996-01-17 | 1997-07-29 | Nitto Chem Ind Co Ltd | 二分子のアミノ酸の連結によるジアミン型ポリアミノ酸の製造方法およびそれらを含む生分解性キレート剤 |
JPH10259170A (ja) * | 1997-03-17 | 1998-09-29 | Nitto Chem Ind Co Ltd | アミノポリカルボン酸の製造方法 |
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1997
- 1997-11-18 JP JP9332334A patent/JPH11171843A/ja active Pending
-
1998
- 1998-11-18 DE DE69830191T patent/DE69830191T2/de not_active Expired - Lifetime
- 1998-11-18 US US09/530,964 patent/US6414189B1/en not_active Expired - Lifetime
- 1998-11-18 WO PCT/JP1998/005175 patent/WO1999025680A1/ja active IP Right Grant
- 1998-11-18 EP EP98954716A patent/EP1033362B1/en not_active Expired - Lifetime
-
2002
- 2002-02-27 US US10/083,536 patent/US6495716B2/en not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7569701B2 (en) | 2002-04-10 | 2009-08-04 | Nippon Zoki Pharmaceutical Co., Ltd. | Crystal form of 5-hydroxy-1-methylimidazolidin-2,4-dione |
US7858806B2 (en) | 2002-04-10 | 2010-12-28 | Nippon Zoki Pharmaceutical Co., Ltd. | Crystal form of 5-hydroxy-1-methylhydantoin |
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Publication number | Publication date |
---|---|
WO1999025680A1 (fr) | 1999-05-27 |
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DE69830191T2 (de) | 2006-02-16 |
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