JPH11157921A - 酸化物セラミックス材料およびこれを用いた多層配線基板 - Google Patents

酸化物セラミックス材料およびこれを用いた多層配線基板

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JPH11157921A
JPH11157921A JP10249547A JP24954798A JPH11157921A JP H11157921 A JPH11157921 A JP H11157921A JP 10249547 A JP10249547 A JP 10249547A JP 24954798 A JP24954798 A JP 24954798A JP H11157921 A JPH11157921 A JP H11157921A
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oxide
ceramic material
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manganese
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JP10249547A
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Osamu Inoue
修 井上
Yasuhiro Sugaya
康博 菅谷
Junichi Kato
純一 加藤
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミナの含有率を高くして、高熱伝導率等
のアルミナ本来の特性を示し、同時に、低抵抗な配線金
属と同時焼成可能な、低温焼結性を持つ基板材料を与え
る。 【解決手段】 主成分として酸化アルミニウムを含み、
さらに液相生成温度が700℃以上1060℃以下の定
比化合物を形成しうる2種類以上の金属酸化物を含む酸
化物セラミックス材料。低比化合物を形成しうる2種類
以上の金属酸化物としては、酸化マンガンと酸化バナジ
ウム、酸化バナジウムと酸化マグネシウム、酸化マンガ
ンと酸化ビスマスの組み合わせが挙げられる。また酸化
アルミニウムの含有量は70重量パーセント以上である
ことが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LSI、ICやチ
ップ部品を搭載した無機多層配線基板やその他広範囲の
用途に用いられる、アルミナ(酸化アルミニウム、Al
23)を主体とした酸化物セラミック材料、およびこれ
を用いた多層配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体IC等を実装する多層配線基板に
は、大きく分けてガラスエポキシ等の有機材料が主体と
なる有機系基板と、アルミナ等のセラミックスやガラス
が主体となる無機系基板がある。無機系基板は、一般に
耐熱性が高く、高熱伝導、低熱膨張、高信頼性といった
特徴を有し、幅広く用いられている。無機系多層基板
は、大きく、HTCC(High Temperature Co-fired Ce
ramics)系とLTCC(Low Temperature Co-fired Cer
amics)系に分類できる。HTCCは基材として、Al2
3やAlN、BeO、SiC−BeOなどを用いたも
のである。これらのセラミックス材料は、粉末状の原料
を成形した後、1600℃以上の高温で焼成することに
よって製造される。このため、多層基板の内部に形成さ
れる導体材料としては、融点の高いMoやWが用いられ
る。このMoやWは、導体としては抵抗率が高いという
欠点があるが、抵抗率の低いAgやCuは融点が低く、
高温での焼成では融解してしまい、配線導体として用い
ることができない。また、1600℃以上という焼成温
度は、エネルギー的にも大きな損失である。
【0003】そこで、アルミナ等のセラミックス原料
を、AgやCuの溶けない低温で焼結可能としたもの
が、LTCCである。LTCCは、セラミック原料に、
低融点のガラス原料を混合することによって、低温での
焼成を可能としたもので、例えば、ほうけい酸鉛ガラス
+アルミナや、ほうけい酸ガラス+コージエライト系、
その他各種の組成系がある。これらは900℃以下の温
度で焼成可能であるために、低抵抗のAgやCuを内部
導体として用いることができる。このため無機系多層基
板としては、HTCCよりもこのLTCCが、現在主流
になりつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のLTCCでは、低温焼成のためにガラスを50重量%
程度以上含有している。ガラスは熱伝導率が低いため、
HTCC用材料の有している高熱伝導率という特性は、
LTCCでは失われるという問題点を有する。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するために、
熱伝導率の高いアルミナの含有率を大きくしたまま、低
温で焼成可能とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上のような問題点を解
決するために、本発明の酸化物セラミック材料は、主成
分がアルミナで、副成分として、液相生成温度が700
℃以上1060℃以下の定比化合物を形成しうる2種類
以上の金属酸化物を含むことを特徴とする。ここで言う
液相生成温度とは、その定比化合物を加熱昇温した時
に、初めて液相が生じる温度のことで、多くの場合、そ
の温度で、その定比化合物は分解して、液相と他の化合
物になる。
【0007】この定比化合物を形成しうる2種類以上の
金属酸化物の少なくとも一種類が、酸化マンガン、酸化
バナジウムのいずれかであることが望ましく、特に、酸
化マンガンと酸化バナジウム、酸化バナジウムと酸化マ
グネシウム、酸化マンガンと酸化ビスマスのいずれかの
組み合わせであることが望ましい。
【0008】さらに、第4及び5番目の成分として、酸
化マンガンと酸化チタンを含むことが望ましい。ただ
し、定比化合物を形成する酸化物として、酸化マンガン
か酸化チタンのいずれか一方が含まれる場合には、もう
一方のみを第4成分として含めばよい。
【0009】その中でも特に、副成分として酸化マンガ
ンと酸化バナジウム及び酸化チタンとを少なくとも含
み、さらに酸化ビスマスと酸化銅からなる群から1種類
以上、および/または酸化カルシウム、酸化ストロンチ
ウム及び酸化バリウムからなる群から1種類以上含むこ
とが望ましい。
【0010】また、このセラミックスに含まれる酸化ア
ルミニウムは70重量%以上、98重量%以下であるこ
とが望ましい。
【0011】また、本材料は、1060℃以下の温度で
焼成されることが望ましく、さらに960℃以下の温度
で焼成されることがより望ましい。
【0012】また、本材料の熱伝導率が、5W/m・K
以上であることが望ましい。
【0013】また、本発明の無機多層基板は、上記のセ
ラミックス材料からなる絶縁層と、導体を少なくとも有
する。この導体は銅または銀を主成分とすることが望ま
しい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。アルミナ(酸化アルミニウム、Al
23)と各種の金属酸化物の粉末を、ボールミル等の混
合機を用いて良く混合する。この混合粉末に、ポリビニ
ルアルコール等の成形用有機バインダを少量混合し、メ
ッシュを通過させて顆粒状に造粒する。この造粒粉末を
適当なサイズの金型に入れ、加圧プレスを用いて成形
し、成形体を得る。
【0015】また同じ混合粉末に、シート成型用の有機
バインダと溶剤を十分に混合・混練してスラリーを作製
し、このスラリーを、ベースフィルム上に引きのばして
シート状に形成した後、このシートを乾燥して、グリー
ンシートとする。
【0016】一方、導体用金属またはその前駆体粉末
と、酸化物ガラス粉末、有機バインダと溶剤とからなる
有機ビヒクル成分とを十分に混合・混練して内層配線用
導体ペーストを作製する。同一組成、あるいは組成比を
若干変えて、同様にビア用導体ペーストを作製する。先
に作製したグリーンシートにビア孔加工を施す。その
後、ビア用導体ペーストをグリーンシートのビア孔に充
填する。次に内層配線用導体ペーストを用いて、グリー
ンシート上に配線パターンを印刷した後、これらのグリ
ーンシートを積層して積層体を形成する。以上のように
して用意した、本発明の酸化物を主成分とする成形体と
グリーンシート積層体とを、加熱炉内で600℃程度の
温度で脱バインダ処理し、その後さらに1000℃前後
の適当な温度で焼成して、焼結体および多層基板を得
る。
【0017】本発明では、アルミナ粉末と酸化マンガ
ン、酸化バナジウム、酸化チタン粉末等を混合すること
により、通常のアルミナに比べてはるかに低い温度で焼
結可能とすることが出来、製造エネルギーや製造に使用
する炉のコストに関して、非常に有利となる。また、1
060℃以下で焼成可能となるため、低抵抗のCuを導
体として用いて同時焼成することができ、多層基板等へ
応用した場合に、高い熱伝導を保つことができる。さら
に、酸化ビスマス粉末あるいは酸化銅粉末と混合するこ
とにより、より低い温度で焼結可能とすることが出来、
960℃以下で焼成可能となるため、低抵抗のAgを導
体として用いて同時焼成することができる。
【0018】さらに、酸化カルシウム、酸化ストロンチ
ウム、酸化バリウムのいずれか1種類以上を含めば、そ
の誘電的な特性が改善される。ただしアルミナの量は、
これらを含めた全体の70重量%以上、より望ましくは
80重量%以上とするのが良い。また、以上のアルミナ
以外の添加物は、その相互の比率が特定範囲内となる方
が、焼結性、誘電特性とも、より良くなる。
【0019】原料に用いるアルミナ粉末の粒径として
は、極端に荒くない限り使用可能であるが、より低温で
高密度とするためには、粒径が小さい方が良く、1μm
以下であることが望ましい。一方、成形する場合のこと
を考えると、あまり小さすぎると扱いにくいため、0.
1μm以上であることが望ましい。アルミナ以外の添加
物の粒径は、これよりも多少大きくてもかまわない。
【0020】本発明の多層基板に用いる導体は、特に限
定されないが、低温で焼結可能であるという特徴を生か
すためには、低抵抗な銅や銀を主成分とすることが望ま
しい。特に銀を用いる方が、空気中で脱バインダ可能で
あるために、望ましい。
【0021】成形体やグリーンシートの作製方法は特に
限定はなく、例えば金型一軸成形法、等方圧プレス法
や、ドクターブレード法、カレンダ法、ロールコーター
法などが使用できる。
【0022】またシートを保持するベースフィルムとし
ては、例えばポリエチレン系樹脂やポリエステル系樹
脂、紙などが使用できる。さらに絶縁シートにビア孔加
工を施す方法としては、例えばパンチングやレーザー加
工などが使用できる。
【0023】積層体の熱処理の雰囲気は特に限定は無
く、用いる導体金属の種類と、脱バインダ、メタライ
ズ、焼成などの目的に応じ適宜選択でき、例えば大気、
窒素、水素、二酸化炭素あるいはそれらの混合ガスなど
が使用できる。
【0024】本発明により、アルミナを主体とするセラ
ミックスが低温で焼結する理由は明らかではないが、一
応以下のように考えられる。すなわち、難焼結性のアル
ミナを低温で焼結させようとする場合、添加物による液
相の介在は不可欠である。しかしながら、液相が生成し
さえすれば良いという訳ではなく、液相生成温度が重要
である。すなわち、液相生成温度が高すぎると、当然な
がら低温での焼結に寄与できない。逆に液相があまりに
低い温度、例えば650℃ぐらいで生成すると、650
℃付近では液相が存在しても、温度が低すぎて物質移動
速度が遅いために焼結があまり進展せず、またこの液相
存在下で、焼成温度を物質移動速度が大きくなる800
℃程度以上に上げると、焼結が進展する以前に、液相だ
けが焼結体より下にしみ出してしまい、この場合も焼結
に寄与できない。
【0025】これに対して特定の液相生成温度を持つ定
比化合を形成しうる添加物を用いると、この定比化合物
の生成によって、液相の生成温度が特定範囲に限定さ
れ、その結果、効果的にアルミナの焼結促進に寄与でき
るものと考えられる。定比化合物の液相生成温度を70
0℃以上、1060℃以下に限定するのも、同じ理由に
よる。なお、酸化マンガンや酸化バナジウムを含む系が
特に効果的であるのは、生成する液相とアルミナの濡れ
性や、液相へのアルミナの溶解性が、液相組成によって
異なるためと考えられる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。 <実施例1>出発物質として、試薬の酸化アルミニウム
(Al23)粉末、および各種金属酸化物の粉末を用い
た。これらを、表1の組成比となり、かつ合計重量が2
00gとなるように秤量し、アルミナボールを用いたボ
ールミルにて12時間、湿式混合した。粉末を乾燥後、
少量のポリビニルアルコール水溶液を混合し、#32メ
ッシュのふるいを通過させて製粒した。この粉末を、金
型にて、直径12mm、厚さ約1mmのサイズに一軸加
圧成形した。得られた成形体を、空気中500℃にて1
時間加熱してバインダアウトを行った後、1060℃に
て30分間焼成した。焼結体のサイズと重量を測定して
焼結密度を算出した。
【0027】また、同じ焼結体を複数作製し、これを粉
砕して、ピクノメーターを用いて真密度を測定し、焼結
密度/真密度より相対焼結密度を求めた。また、レーザ
ーフラッシュ法にて、試料の熱伝導率を測定した。結果
を表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように、アルミナ単独、
あるいは各種の添加物を1種類のみ用いた場合、用いた
添加物の融点が低い、Bi23やV25であっても、ま
ったく焼結しなかった。これに対して、試料No.8,
9,13,16,21,23,24のように、定比化合
物を形成しうる酸化物の組み合わせで、かつその液相生
成温度が700℃以上1060℃以下の場合には、かな
り高密度となり、熱伝導率も10W/m・K以上となっ
た。
【0030】試料No.11,18,20,22は定比
化合物を形成するが、その液相生成温度が高すぎ、一
方、試料No.15も定比化合物を形成するが、その液
相生成温度が650℃と、700℃より低いため、焼結
はあまり進まなかった。なお、このNo.16やNo.
24からわかるように、定比化合物を2種類以上形成す
る場合、その内の最も低い液相生成温度が、700℃以
上1060℃以下である必要がある。
【0031】次に、低温焼結性を示した試料No.8,
9,13,16,21,23,24を比較してみると、
試料No.8,9,13が最も高密度であり、No.2
3と24がこれに次、No.16と21は、他のものに
比べて低密度であった。従って、酸化マンガンか酸化バ
ナジウムを含む組み合わせが効果が大きく、特に酸化マ
ンガンと酸化バナジウム、酸化マンガンと酸化ビスマ
ス、酸化バナジウムと酸化マグネシウムの組み合わせ
が、最大の効果を発揮した。
【0032】<実施例2>実施例1と同様の方法で、表
2の組成比となる原料粉末を調製し、これより実施例1
と同様の方法で、940℃にて6時間焼成し、焼結体を
作製し、同様に相対焼結密度と熱伝導率を測定した。結
果を表2に示した。
【0033】
【表2】
【0034】表2から明らかなように、アルミナ単独、
あるいは各種の添加物を1種類のみ用いた場合、低融点
の添加物量が40重量%まで多くなっても、焼結体の密
度は高くならず、また熱伝導率も低かった。これに対し
て、低液相生成温度の定比化合物を形成する、MnとV
の酸化物の複合添加では、少量の添加でも顕著な緻密化
の効果が認められ、緻密化に伴って熱伝導率も向上し
た。しかしながら、添加量がある程度以上となると、熱
伝導率は低下し始め、添加量40重量%では極端に低く
なった。
【0035】本発明のアルミナ量を70重量%以上に限
定するのは、70重量%未満となると、この実施例に示
されるように、アルミナの含有量が減少しすぎて、アル
ミナ本来の特性が発揮されなくなるためであり、さらに
は、アルミナ量は80重量%以上であることがより望ま
しい。一方、アルミナが一定以上含まれるので有れば、
2種類の酸化物、本実施例での酸化マンガンと酸化バナ
ジウムの混合比率は、緻密化と熱伝導率に関する限り、
試料No.13〜15に示されるように1:1の比率で
ある必要はなく、かなり幅広い任意の比率で用いること
が可能であった。
【0036】次に、同じアルミナ含有率(88重量%)
で比較すると、試料No.13はMnとVの酸化物を含
むのに対して、試料No.18は、さらにTiの酸化物
を含み、MnとTiを同時に含むこととなる。その結
果、MnとVのみの試料No.13よりも、より高密度
でかつ高熱伝導率となった。同様の関係は、MgとVの
酸化物を含む試料No.19に、さらにMnとTiの酸
化物を加えた試料No.20の間にも見られた。
【0037】すなわち、実施例1に示したように、Mn
とTiのみの添加自体は、低温焼結にあまり寄与しなか
ったが、低温焼結を可能とする2種類の金属酸化物に、
さらにMnとTiの酸化物を含むことによって、より緻
密化し、より高熱伝導率となった。なお2種類の酸化物
の内1種類がMnかTiの酸化物の場合には、もう一方
のみを加えれば良いことは、試料No.18より明白で
ある。
【0038】次に、試料No.21では、MnとVにさ
らにBiを加えたもので、MnとVのみの試料No.1
3およびMnとBiのみの試料No.17と比べ、より
緻密化した。これは、MnとV、MnとBiという、低
液相生成温度の定比化合物を形成する2種類の酸化物の
組み合わせを、2組含む系であり、このように、複数含
むことによって、より効果が顕著となった。
【0039】試料No.22も同様に、MgとV、Mn
とVを含み、No.23もMgとV、MnとBiを含む
ために、より効果的である。ところが、第3成分を含ん
でも、試料No.24のような場合には、No.19に
比べて特に優位性はなかった。さらに、最も高密度、高
熱伝導率となった、No.18,20,21,23を比
較すると、Mn,V,Tiの3成分を同時に含むNo.
18と20が、誘電損失が特に小さいという特徴があっ
た。
【0040】以上をまとめると、低液相生成温度の定比
化合物を形成する2種類の酸化物の組み合わせを、2組
以上含むか、または、1組とMnとTiを含むことで、
1組含むよりも、より緻密化、高熱伝導率化が可能であ
った。また、誘電損失も考慮すると、Mn,V,Tiの
3成分を同時に含むものが、最も良好であった。
【0041】<実施例3>実施例1と同様の方法で、各
成分の酸化物の重量比が表3の組成比となる原料粉末を
調製した。なお、アルカリ土類金属には、炭酸カルシウ
ム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムを原料粉末とし
て用い、それぞれ熱分解してCaO,SrO,BaOと
なった時の重量比が(表3)となるように秤量した。こ
れより(実施例1)と同様の方法で、900〜1040
℃の各温度で1時間焼成して焼結体を得た。得られた焼
結体の相対密度を測定し、96%以上となる最も低い焼
結温度を求めた。またこの時の焼結体の熱伝導率と誘電
損失を測定した。結果を表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】表3から明らかなように、Mn,V,Ti
にさらにBi,Cuを単独、あるいは複合添加すること
で、より低温で緻密化可能となった。また、Ca,S
r,Baを加えることで、誘電損失が大幅に改善され
た。
【0044】<実施例4>実施例3と同様の方法で、ア
ルミナが90重量%、その他の成分の合計が10重量%
となり、このその他の成分中の各酸化物の重量比が表4
となる原料粉末を調製し、これより実施例3と同様の方
法で、920℃の各温度で2時間焼成した。得られた焼
結体の相対密度、熱伝導率、誘電損失を測定した。結果
を表4に示した。
【0045】
【表4】
【0046】表4から明らかなように、Mn,V,T
i,Bi,Cu,Sr複合添加系で、密度、熱伝導率、
誘電損失の全てが良好となるのは、酸化マンガンが15
重量%以上40重量%以下、酸化バナジウムが20重量
%以上70重量%以下、酸化チタンが1重量%以上5重
量%以下、酸化ビスマスと酸化銅の合計量が5重量%以
上40重量%以下、炭酸ストロンチウムの量が、酸化ス
トロンチウム換算で1重量%以上10重量%以下の場合
であった。
【0047】本発明者は、ストロンチウムをカルシウ
ム、バリウム、あるいはこれらの組み合わせに変えて同
様の実験を行ったが、いずれの場合も、その合計量が酸
化物換算で1重量%以上10重量%以下の場合に、密
度、熱伝導率、誘電損失の全てが良好となった。
【0048】また、本発明者は、アルミナの量を70〜
98重量%に変えて、同様の実験を行った。その結果、
アルミナ量が増加するほど、良好な特性とするために
は、より高い温度で焼成する必要が生じ、また減少する
ほど、得られる焼結体の熱伝導率が低下したが、添加物
間の比率については、、酸化マンガンが15重量%以上
40重量%以下、酸化バナジウムが20重量%以上70
重量%以下、酸化チタンが1重量%以上5重量%以下、
酸化ビスマスと酸化銅の合計量が5重量%以上40重量
%以下、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バ
リウムの合計量が、酸化物換算で1重量%以上10重量
%以下の場合に、最も良好な特性が得られた。
【0049】<実施例5>実施例1と同様の方法で、A
23が90重量%、Mn34が3重量%、V25が5
重量%、TiO2が2重量%となるように秤量し、湿式
混合、乾燥後、この混合粉末70重量%にバインダとし
てバインダとしてアクリル系樹脂15重量%と、溶剤と
してトルエンを15重量%用意し、ボールミルで十分に
混合、混練した後、脱泡し、スラリーを作製した。この
スラリーを、表面に離型処理を施したベースフィルム
(ポリフェニルサルファイド)上にドクターブレード法
で厚み約200μmのシート状に成形した。比較のた
め、Al23を99重量%、MgOを1重量%含む粉末
を用いて、上記と同様にスラリーを作製し、ベースフィ
ルム上にアルミナグリーンシートを作製した。
【0050】次に導体ペーストの原料として、銀または
銅とガラスの粉末を用意した。これらの粉末に、有機バ
インダとしてエチルセルロース系樹脂を、溶剤としての
テルピネオールを適当量加え、3本ロールで十分に混
合、混練して内層配線導体用ペーストとビア導体用ペー
スとをそれぞれ作製した。
【0051】次に、グリーンシートの所定箇所にφ0.
15mmのビア孔をパンチングにより穿孔し、必要枚数
の絶縁シートのビア孔にビア用導体ペーストを充填した
後、内層配線用ペーストを用いてシート上にスクリーン
印刷法により配線パターンを形成した。ベースフィルム
をはがして絶縁シートを積層し、80℃で熱圧着して積
層体を得た。
【0052】導体中の金属が銀の場合、得られた積層体
を加熱炉内の大気中600℃で脱バインダ処理した後、
さらに所定の温度にて焼成した。また金属が銅の場合、
積層体を加熱炉内で、酸素60ppmを含む窒素中雰囲
気下にて700℃で脱バインダ処理し、さらに所定の温
度にて、酸素20ppmを含む窒素ガス雰囲気中で焼成
した。こうして得られた無機多層配線基板の内層配線と
ビア導体の導通および基板強度を評価した。結果を表5
に示した。
【0053】
【表5】
【0054】表5より明らかなように、低抵抗の銀や銅
を主成分とする導体を用いた場合、その融点に合わせ
て、Agを導体とした場合は940℃程度以下、Cuを
導体とした場合は1060℃程度以下で焼成する必要が
あるが、本発明の材料を用いた場合、900℃以下でも
緻密化可能であるため、1060℃以下の適当な焼成温
度を選ぶことができ、導体の導通、基板強度等も問題が
ない。これに対して、従来のアルミナの場合、基板とし
ての強度が発現する温度(1500℃以上)で焼成する
と銀や銅が融解してしまい、導体が断線し、使用するこ
とができなかった。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明は、酸化アルミニウ
ムと、特定の2種類以上の金属酸化物を含有するセラミ
ック材料であり、従来よりも遥かに低温で焼成すること
が可能であるため、エネルギーコストや使用する炉の制
限が緩くなる。また、酸化アルミニウムの含有量が多い
ために、熱伝導率が高いなど、本来のアルミナに類似し
た特性を示し、アルミナの代替え材料として用いること
ができる。また1060℃以下で焼結可能なために、そ
の内部に、抵抗率の低い銅や銀を主成分とする導体を含
む構成とすることができ、無機多層基板その他の電極・
配線を含む用途に極めて有用である。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化アルミニウムを主成分として含み、
    副成分として、液相生成温度が700℃以上1060℃
    以下の定比化合物を形成しうる2種類以上の金属酸化物
    を含むことを特徴とする酸化物セラミックス材料。
  2. 【請求項2】 上記定比化合物を形成しうる2種類以上
    の金属酸化物の少なくとも一方が、酸化マンガン又は酸
    化バナジウムであることを特徴とする請求項1に記載の
    酸化物セラミックス材料。
  3. 【請求項3】 上記定比化合物を形成しうる2種類以上
    の金属酸化物が、酸化マンガンと酸化バナジウムの組み
    合わせ、酸化バナジウムと酸化マグネシウムの組み合わ
    せ、酸化マンガンと酸化ビスマスの組み合わせからなる
    群から選ばれ少なくとも一つの組み合わせを含むことを
    特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物セラミックス
    材料。
  4. 【請求項4】さらに、酸化マンガンと酸化チタンを同時
    に含むこと特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記
    載の酸化物セラミックス材料。
  5. 【請求項5】 上記副成分として少なくとも酸化マンガ
    ン、酸化バナジウム及び酸化チタンを含み、さらに次の
    A群の酸化物を1種類以上含むことを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか一つに記載の酸化物セラミックス材
    料。A群:酸化ビスマス、酸化銅。
  6. 【請求項6】 上記副成分として少なくとも酸化マンガ
    ン、酸化バナジウム及び酸化チタンを含み、さらに次の
    B群の酸化物を1種類以上含むことを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか一つに記載の酸化物セラミックス材
    料。B群:酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化
    バリウム。
  7. 【請求項7】 上記副成分として酸化マンガン、酸化バ
    ナジウム及び酸化チタンを含み、さらに次のA群および
    B群の酸化物をそれぞれ1種類以上含むことを特徴とす
    る請求項5又は6に記載の酸化物セラミックス材料。 A群:酸化ビスマス、酸化銅 B群:酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリ
    ウム。
  8. 【請求項8】 上記副成分を構成する酸化マンガン、酸
    化バナジウム、酸化チタン、そして上記A群とB群のそ
    れぞれから選ばれた1種類以上の酸化物の合計量に対す
    る上記各酸化物の比率が、それぞれ 15重量%≦ 酸化マンガン≦40重量%、 20重量%≦ 酸化バナジウム≦70重量%、 1重量%≦ 酸化チタン≦10重量%、 5重量%≦ A群酸化物≦40重量%、 1重量%≦ B群酸化物≦10重量% であることを特徴とする請求項7に記載の酸化物セラミ
    ックス材料。
  9. 【請求項9】 上記酸化アルミニウムの含有率が70重
    量%以上98重量%以下であることを特徴とする請求項
    1〜8のいずれか一つに記載の酸化物セラミックス材
    料。
  10. 【請求項10】 1060℃以下の温度で焼成可能であ
    ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載
    の酸化物セラミックス材料。
  11. 【請求項11】 960℃以下の温度で焼成可能である
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載
    の酸化物セラミックス材料。
  12. 【請求項12】 熱伝導率が5W/m・K以上であるこ
    とを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の
    酸化物セラミックス材料。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか一つに記載
    の酸化物セラミックス材料からなる絶縁層と、導体を少
    なくとも有することを特徴とする多層配線基板。
  14. 【請求項14】 上記導体が銅または銀を主成分とする
    ことを特徴とする請求項13に記載の多層配線基板。
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