JPH11157110A - サーマルヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】大気中の“ほこり”や“ごみ”が静電気等の作
用によって記録媒体の表面に付着し、発熱抵抗体列と記
録媒体との間に噛み込まれることによって印画不良や発
熱抵抗体の破損が発生していた。 【解決手段】上面に複数個の発熱抵抗体から成る発熱抵
抗体列２を有するヘッド基板１と、前記発熱抵抗体に電
気的に接続される配線導体を有する印刷配線板３とを放
熱板４上に載置させるとともに、ヘッド基板１と印刷配
線板３との接続部を、放熱板４に取着されたヘッドカバ
ー５で被覆して成り、印画に際して、記録媒体Ｐを前記
ヘッドカバー５の一部表面に摺接させることによって記
録媒体Ｐを発熱抵抗体列２上に案内するようにしたサー
マルヘッドであって、前記ヘッドカバー５の記録媒体摺
接面Ａに、記録媒体Ｐの摺接方向と略直交する方向に複
数の凸条６もしくは複数の溝を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はワードプロセッサや
ファクシミリ等のプリンタ機構として組み込まれるサー
マルヘッドに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ワードプロセッサ等のプリンタ機
構として組み込まれるサーマルヘッドは、例えば図４に
示す如く、上面に複数個の発熱抵抗体から成る発熱抵抗
体列１２を有するヘッド基板１１と、図示しない導電層
等を介して前記発熱抵抗体に電気的に接続される配線導
体を有した印刷配線板１３とを、アルミニウム製の放熱
板１４上に載置させるとともに、前記ヘッド基板１１と
印刷配線板１３との接続部を、放熱板１４に対してネジ
止め等によって取着されるヘッドカバー１５で被覆した
構造を有している。

【０００３】かかるサーマルヘッドは、ヘッド基板１１
上の発熱抵抗体に印刷配線板１３の配線導体を介して所
定の電力を印加し、発熱抵抗体を印画信号に基づいて個
々に選択的にジュール発熱させるとともに、該発熱した
熱を発熱抵抗体列１２上に搬送される感熱紙等の記録媒
体Ｐに伝導させ、所定の印画を形成することによってサ
ーマルヘッドとして機能するものである。

【０００４】尚、前記ヘッドカバー１５は、ヘッド基板
１１と印刷配線板１３との接続部を記録媒体Ｐの接触か
ら保護したり、印刷配線板１３に取着されるコネクタ１
６やコンデンサ１７等をカバーすることにより記録媒体
Ｐがコネクタ１６等の接触により傷つくのを防ぐ役割の
他に、記録媒体Ｐを表面の一部に摺接させて記録媒体Ｐ
を発熱抵抗体列１２上に案内する役割も有しており、こ
のようなヘッド基板１５の記録媒体摺接面Ａ’は平坦面
をなすように形成されていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のサーマルヘッドにおいては、印画動作時、大
気中の“ほこり”や“ごみ”が静電気等の作用によって
サーマルヘッド上に搬送される記録媒体Ｐの表面に付着
し、そのまま発熱抵抗体列１２上まで搬送されることが
ある。特に前述の“ほこり”や“ごみ”が記録媒体Ｐの
サーマルヘッド側表面（図４の下側）に付着している場
合、これらはヘッド基板１１上で発熱抵抗体列１２と記
録媒体Ｐとの間に噛み込まれてしまい、その結果、発熱
抵抗体の発する熱を記録媒体Ｐに良好に伝導させること
が不可となって印画不良を発生したり、或いは、前述の
噛み込みよって発熱抵抗体に局所的に強い押圧力が印加
され発熱抵抗体が破損するといった欠点を有していた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記欠点に鑑み
案出されたもので、本発明のサーマルヘッドは、上面に
複数個の発熱抵抗体から成る発熱抵抗体列を有するヘッ
ド基板と、前記発熱抵抗体に電気的に接続される配線導
体を有する印刷配線板とを放熱板上に載置させるととも
に、ヘッド基板と印刷配線板との接続部を、放熱板に取
着されたヘッドカバーで被覆して成り、印画に際して、
記録媒体を前記ヘッドカバーの一部表面に摺接させるこ
とによって記録媒体を発熱抵抗体列上に案内するように
したサーマルヘッドであって、前記ヘッドカバーの記録
媒体摺接面に、記録媒体の摺接方向と略直交する方向に
複数の凸条もしくは複数の溝を形成したことを特徴とす
るものである。

【０００７】また本発明のサーマルヘッドは、前記ヘッ
ドカバーの凸条もしくは溝の角部がＲ面とされているこ
とを特徴とするものである。

【０００８】更に本発明のサーマルヘッドは、前記ヘッ
ドカバーの凸条もしくは溝が５〜１０本／ｃｍの密度で
形成されていることを特徴とするものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づい
て詳細に説明する。図１は本発明のサーマルヘッドの一
形態を示す側面図、図２は図１のＸ部の部分拡大図、図
３は図１のサーマルヘッドに用いられるヘッドカバーの
平面図である。

【００１０】本形態のサーマルヘッドは、大略的に、ヘ
ッド基板１と印刷配線板３と放熱板４とヘッドカバー５
とで構成されている。

【００１１】前記ヘッド基板１は、アルミナセラミック
ス等から成る絶縁基板の上面に発熱抵抗体列２等を取着
させた構造を有している。

【００１２】前記ヘッド基板１上の発熱抵抗体列２は、
窒化タンタル等から成る複数個の発熱抵抗体を直線状に
配列させて成り、図示しない導電層等や後述する印刷配
線板３の配線導体等を介して外部からの電力が印加され
るとジュール発熱を起こし、感熱紙等の記録媒体Ｐに印
画を形成するのに必要な所定の温度、例えば３００℃の
温度となる。

【００１３】このような発熱抵抗体列２は従来周知のス
パッタリング法やフォトリソグラフィー技術を採用する
ことによって前述した絶縁基板の上面に複数個の発熱抵
抗体が直線状に配列されるようにして被着・形成され、
これによってヘッド基板１が製作される。

【００１４】尚、前記ヘッド基板１の上面には、発熱抵
抗体列２の他に、発熱抵抗体への通電を制御するための
ドライバーＩＣと、このドライバーＩＣや発熱抵抗体等
に電力や信号等を供給するための複数個の導電層とが取
着される。これらの導電層のうちいくつかは、その一端
がヘッド基板１の一辺に導出され、後述する印刷配線板
３の配線導体に電気的に接続されるようになっている。

【００１５】また一方、前記印刷配線板３は、前述した
ヘッド基板１の発熱抵抗体に電気的に接続される複数個
の配線導体を有し、その一端にはサーマルヘッドと外部
電気回路との接続のためのコネクタ７や電源ノイズ吸収
用のコンデンサ８等が半田付け等によって取着されてい
る。

【００１６】前記印刷配線板３の配線導体とヘッド基板
１の導電層とは半田等のロウ材を介して電気的に接続さ
れ、これによって外部からの電力や種々の信号が印刷配
線板３の配線導体を介してヘッド基板１上の導電層やド
ライバーＩＣ，発熱抵抗体等に供給されるようになって
いる。

【００１７】このような印刷配線板３としては、例え
ば、ポリイミド樹脂から成る可撓性のフィルムに銅箔等
で形成された複数個の配線導体を被着させ、これら配線
導体の各一端を前記フィルムの一辺に導出させたフレキ
シブル印刷配線板等が使用される。

【００１８】そして、このような印刷配線板３は前述の
ヘッド基板１と共に金属製の放熱板４上に載置される。
前記放熱板４は、前述したヘッド基板１や印刷配線板３
をその上面で支持するとともに、ヘッド基板１中の熱の
一部を吸収することによってヘッド基板１の温度が発熱
抵抗体の発する熱により過度に高温となるのを有効に防
止する作用を為し、例えば、アルミニウム等から成るイ
ンゴット（塊）を、従来周知の金属加工法を採用し所定
形状となすことにより製作される。

【００１９】また更にこのような放熱板４には、前述し
たヘッド基板１と印刷配線板３との接続部や印刷配線板
３に取着されているコネクタ７やコンデンサ８等を被覆
するためのヘッドカバー５が取着される。前記ヘッドカ
バー５は、ヘッド基板１と印刷配線板３との接続部、即
ち、ヘッド基板１の導電層と印刷配線板３の配線導体と
の半田接合部や、印刷配線板３に取着されているコネク
タ７等を覆うことによってこれらを記録媒体Ｐの接触か
ら保護したり、逆に記録媒体Ｐがコネクタ７等の接触に
より傷つくのを防止したりする保護部材としての作用
と、記録媒体Ｐを外表面の一部（記録媒体摺接部Ａ）に
摺接させることによって記録媒体Ｐを発熱抵抗体列２上
に案内する案内部材としての作用を併せ持っており、こ
のようなヘッドカバー５の記録媒体摺接面Ａには更に、
記録媒体Ｐの摺接方向と略直交する方向に複数の凸条６
が形成されている。

【００２０】前記凸条６は、その各々が０．３〜１．０
ｍｍの高さＨを有し、各角部がＲ面（曲率半径：１５０
〜２５０μｍ）とされた上、記録媒体Ｐの摺接方向に５
〜１０本／ｃｍの密度で、かつ記録媒体Ｐの通過領域を
横切るように形成される。

【００２１】以上のように、本形態のサーマルヘッドに
おいては、ヘッドカバー５の記録媒体摺接面Ａに複数の
凸条６を設けたことで前記摺接面Ａの表面形状が波状と
成っているため、印画動作時、サーマルヘッド上に搬送
される記録媒体Ｐの表面に静電気等の作用によって大気
中の“ほこり”や“ごみ”が付着したとしても、これら
は記録媒体Ｐが前記摺接面Ａに対して摺接される際に記
録媒体Ｐと凸条６とが干渉し繰り返し当たることによっ
て記録媒体Ｐから振るい落とされ、記録媒体Ｐを良好な
状態で発熱抵抗体列２上に搬送することができるように
なる。これにより、発熱抵抗体の発する熱を記録媒体Ｐ
に良好に伝導させて鮮明な印画を形成することが可能と
なり、また“ごみ”等の噛み込みによって発熱抵抗体が
破損するといった事態も有効に防止されるようになる。

【００２２】また本形態においては、ヘッドカバー５の
凸条６の角部がＲ面になしてあり、記録媒体摺接面Ａか
ら鋭利な角部をなくすようにしているため、記録媒体Ｐ
をヘッドカバー５の摺接面Ａに摺接させた際、記録媒体
Ｐの表面に凸条６との接触によって傷が付くことはな
く、これによっても記録媒体Ｐを良好な状態のまま発熱
抵抗体列２上に搬送することができるようになる。尚、
このような凸条６のＲ面は曲率半径１５０〜２５０μｍ
の範囲で形成される。

【００２３】更に本形態においては、ヘッドカバー５の
凸条６が記録媒体Ｐの摺接方向に５〜１０本／ｃｍの密
度で形成されているため、ヘッドカバー５の機械的強度
が向上されて熱応力等に起因したサーマルヘッドの反り
が有効に防止されるようになる。

【００２４】尚、上述のような凸条６を有したヘッドカ
バー５は、アルミニウムやＳＵＳ等の金属から成る板体
を従来周知のプレス成形法を採用し、所定形状と成すこ
とによって製作され、かかるヘッドカバー５を前記放熱
板４に対してネジ止めすることによって放熱板４に取着
される。

【００２５】かくして、上述した本形態のサーマルヘッ
ドは、ヘッド基板１上の発熱抵抗体に印刷配線板３の配
線導体を介して所定の電力を印加し、発熱抵抗体を印画
信号に基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとと
もに、該発熱した熱をヘッドカバー５の摺接面Ａ上を経
て発熱抵抗体列２上に搬送される記録媒体Ｐに伝導さ
せ、所定の印画を形成することによってサーマルヘッド
として機能する。

【００２６】尚、本発明は上述した形態に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種
々の変更、改良等が可能である。例えば、上述の形態で
はヘッドカバー５の記録媒体摺接面Ａに記録媒体Ｐの摺
接方向と略直交する方向に複数の凸条６を形成するよう
にしたが、この凸条６に代えて溝を形成するようにして
も構わない。この場合、溝と溝との間の部分が前述の凸
条６と同様に作用するので上述の形態と全く同じ効果を
奏することとなる。

【００２７】また上述の形態においてヘッドカバー５の
記録媒体摺接面Ａに形成される凸条６の上面を一定の高
さに揃えた上、隣接する凸条間に形成される溝の底面を
傾斜させておくことにより、この溝内に振るい落とされ
る“ごみ”や“ほこり”を順次、外部に放出させるよう
になしても良い。

【００２８】

【発明の効果】本発明のサーマルヘッドによれば、ヘッ
ドカバーの記録媒体摺接面には記録媒体の摺接方向と略
直交するように複数の凸条等が設けられているため、印
画動作時、サーマルヘッド上に搬送される記録媒体の表
面に静電気等の作用によって大気中の“ほこり”や“ご
み”が付着したとしても、これらは記録媒体が前記摺接
面に対して摺接される際に記録媒体と凸条等とが干渉し
両者が繰り返し当たることによって記録媒体から振るい
落とされ、記録媒体を良好な状態で発熱抵抗体列上に搬
送することができるようになる。これにより、発熱抵抗
体の発する熱を記録媒体に良好に伝導させて鮮明な印画
を形成することが可能となり、また“ごみ”等の噛み込
みによって発熱抵抗体が破損するといった事態も有効に
防止されるようになる。

【００２９】また本発明のサーマルヘッドによれば、前
記凸条等の角部をＲ面になしておくことにより、ヘッド
カバーの記録媒体摺接面から鋭利な角部がなくなること
から、記録媒体をヘッドカバーの摺接面に摺接させた際
に記録媒体の表面に凸条等との接触によって傷が付くこ
とはなく、これによっても記録媒体を良好な状態のまま
発熱抵抗体列上に搬送することができるようになる。

【００３０】更に本発明のサーマルヘッドによれば、前
記凸条等を５〜１０本／ｃｍの密度で形成することによ
り、ヘッドカバーの機械的強度を向上させて熱応力等に
起因したサーマルヘッドの反りを有効に防止することも
できるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のサーマルヘッドの一形態を示す側面図
である。

【図２】図１のＸ部の部分拡大図である。

【図３】図１のサーマルヘッドに使用されるヘッドカバ
ーの平面図である。

【図４】従来のサーマルヘッドの側面図である。

【符号の説明】

１・・・ヘッド基板 ２・・・発熱抵抗体列 ３・・・印刷配線板 ４・・・放熱板 ５・・・ヘッドカバー ６・・・・凸条

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上面に複数個の発熱抵抗体から成る発熱抵
   抗体列を有するヘッド基板と、前記発熱抵抗体に電気的
   に接続される配線導体を有する印刷配線板とを放熱板上
   に載置させるとともに、ヘッド基板と印刷配線板との接
   続部を、放熱板に取着されたヘッドカバーで被覆して成
   り、印画に際して、記録媒体を前記ヘッドカバーの一部
   表面に摺接させることによって記録媒体を発熱抵抗体列
   上に案内するようにしたサーマルヘッドであって、前記
   ヘッドカバーの記録媒体摺接面に、記録媒体の摺接方向
   と略直交する方向に複数の凸条もしくは複数の溝を形成
   したことを特徴とするサーマルヘッド。
2. 【請求項２】前記ヘッドカバーの凸条もしくは溝の角部
   がＲ面とされていることを特徴とする請求項１に記載の
   サーマルヘッド。
3. 【請求項３】前記ヘッドカバーの凸条もしくは溝が５〜
   １０本／ｃｍの密度で形成されていることを特徴とする
   請求項１に記載のサーマルヘッド。