JPH11156729A - チップ交換可能な砥石車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 研削砥石チップのみを着脱交換することがで
きるオフセット砥石車を提供する。 【構成】 オフセット砥石車において、通常のオフセッ
ト砥石車と略同様な形状の基盤車の表面に複数の浅いチ
ップ嵌合溝又はチップ嵌合凹所を設け、少なくとも表面
が砥粒層よりなる研削砥石チップを該チップ嵌合溝又は
チップ嵌合凹所に着脱自在にぴったりと嵌合したことを
特徴とするチップ交換可能な砥石車。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は主としてオフセット砥石
車に関し、更に詳しくは、砥石チップを着脱自在に交換
可能とした砥石車に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の切断砥石や平砥石等の砥石車は、
炭化珪素、金剛砂等よりなる砥粒を結合剤と共に円盤状
に圧縮成型したのち、熱処理して結合剤を硬化して一体
成形して製造され、全体が一体のものであった。又ダイ
ヤモンド砥粒や立方晶窒化硼素（ＣＢＮ）砥粒を用いた
砥石車は金属製砥石車の表面にダイヤモンド砥粒等を添
着したものが用いられている。

【発明が解決しようとする課題】

【０００３】上記従来のダイヤモンド砥石車やＣＢＮ砥
石車は、硬質材料の研削の効率がすぐれているが、極め
て高価であり、金属製砥石車の表面に固着したダイヤモ
ンド砥粒等が脱落すると、砥石車全体を廃棄しなければ
ならず、無駄が多い。又ダイヤモンド砥石車は鉄鋼以外
の硬質材料の研削には効果的であるが、アルミニウム、
銅、真鍮等の軟質金属等を研削すると、しばしば目詰ま
りを起こし、切れ味が悪化し、摩擦熱によりダイヤモン
ドが燃焼劣化し、砥石の寿命が低下するという問題があ
った。

【０００４】特開昭４９−１３２６８８号には孔容量
（多孔度）が小さく比較的硬質の扇形研削部材と、孔容
量（多孔度）が大きく比較的軟質の扇形研削部材を交互
に配設して砥石車を構成することにより、砥石車の目詰
まりを防止し、研削効率を高めることが提案されてい
る。この多孔度が小さく比較的硬質の扇形研削部材と、
多孔度が大きく比較的軟質の扇形研削部材を交互に配設
した砥石車は、その軟質と硬質の扇形研削部材をそれぞ
れ別個に、砥粒を成型、焼成してセグメントとして製作
した後、これらを交互に配列して互いに接着等により円
盤状に組立たものであって、その製造工程が極めて複雑
であり、扇形のセグメント同志の接着強度が弱く、研削
作業中にその砥石車のセグメントの接着部分から欠けた
り割れたりする虞があった。

【０００５】従って本発明は、安価に使用することがで
きるダイヤモンド砥石車やＣＢＮ砥石車を提供すること
を目的とする。更に本発明のたの目的は、研削速度がす
ぐれ、長寿命で且つ目詰まりの少ない砥石車を提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、通常のオフセット砥
石車と略同一形状の金属製基盤車の表面又は周縁にダイ
ヤモンド砥粒、ＣＢＮ砥粒等を用いた研削砥石チップを
着脱自在に嵌合して、全体としてダイヤモンド砥石車等
を構成することにより、研削砥石チップが摩耗するとそ
のチップ部分のみを交換使用することができ、安価にダ
イヤモンド砥石車等を使用することができること、研削
砥石チップとしてダイヤモンドやＣＢＮの砥粒を用いた
ものと通常の砥石車に用いられる炭化珪素等の砥粒を用
いた研削砥石チップを交互に配列することにより、ダイ
ヤモンド研削砥石チップ等の目詰まりを極めて小さくす
ることができることを見出し本発明を完成するに到っ
た。

【０００７】即ち、本発明はオフセット砥石車におい
て、通常のオフセット砥石車と略同様な形状の基盤車の
表面に複数の浅いチップ嵌合溝又はチップ嵌合凹所を設
け、少なくとも表面が砥粒層よりなる研削砥石チップを
該チップ嵌合溝又はチップ嵌合凹所に着脱自在にぴった
りと嵌合したことを特徴とするチップ交換可能な砥石車
を要旨とする。

【０００８】他の本発明はオフセット砥石車において、
通常のオフセット砥石車と略同様な形状の基盤車の周縁
に、上面の複数個所にダイヤモンド砥粒、ＣＢＮ砥粒等
の超砥粒を固着した研削リングを着脱自在に装着したこ
とを特徴とするチップ交換可能な砥石車を要旨とする。

【発明の実施の形態】

【０００９】次に本発明の内容を図面により詳細に説明
する。図１は本発明の砥石車の一例のオフセット形砥石
車の平面図、図２は同Ａ−Ａ断面図、図３は同円弧Ｂ−
Ｂに沿う拡大断面図である。１はオフセット砥石車５の
基盤車であり、公知のオフセット砥石車と略同様の形状
を有する。基盤車１は軽金属合金等の金属製であり、そ
の表面２に放射状に浅いチップ嵌合溝３を設け、そのチ
ップ嵌合溝３に研削砥石チップ４を着脱自在に嵌合す
る。

【００１０】チップ嵌合溝３は浅く幅の広い形状を有
し、チップ嵌合溝３の円板部材７の円周方向の断面が図
３に示すように、凸字状断面形状又は蟻溝状にチップ嵌
合溝３の上面の幅Ｗ１よりも底面の幅Ｗ２が拡がるよう
に形成する。チップ嵌合溝３の幅Ｗ１は一定でなく基盤
車１の半径方向中心部から外側に向かって幅が若干狭ま
るように形成するのが好ましい。チップ嵌合溝３に嵌合
する研削砥石チップ４は、チップ嵌合溝３の内側断面形
状と同一断面形状に形成し、チップ嵌合溝３と同様に幅
が先端に向かって狭まるように形成する。チップ嵌合溝
３に研削砥石チップ４を嵌合するには、基盤車１の中心
部のオフセット部８から半径方向外側に向けてチップ嵌
合溝３内を摺動して嵌合することができる。チップ嵌合
溝３と研削砥石チップ４をこのように形成することによ
り、チップ嵌合溝３から研削砥石チップ４が脱落するこ
とがなく、チップ嵌合溝３に研削砥石チップ４を嵌合し
て砥石車を回転させたとき、研削砥石チップ４に働く遠
心力により、研削砥石チップ４がチップ嵌合溝３の幅の
狭い半径方向外側に押圧されて、チップ嵌合溝３内に密
着固定され、研削作業中チップ嵌合溝３内で振動するこ
とがない。

【００１１】基盤車１のオフセット部８の内周部９に雌
ねじ１９を設け、外周にこれに螺合する雄ねじを有する
押さえリング１０を螺合して、研削砥石チップ４が基盤
車１の中心方向に脱落しないように保持することができ
る。

【００１２】チップ嵌合溝３は基盤車１の半径方向に沿
って設けず、半径方向に対し若干斜め方向に沿って設け
てもよい。

【００１３】上記押さえリング１０を設ける代わりに、
基盤車１を、図４の平面図及び第５図のＣ−Ｃ断面図に
示すように中心部材６とその周縁に螺合されるドーナツ
板状の円板部材７により構成してもよい。この場合は、
円板部材７の表面２に複数本のチップ嵌合溝３を放射状
に設け、前記と同様な形状のチップ嵌合溝３に研削砥石
チップ４を嵌合する。押さえリング１０及び円板部材７
のねじの螺合方向は砥石車の回転により締まる方向に設
ける必要がある。

【００１４】基盤車１に研削砥石チップ４を着脱自在に
固着する方法は、上記の如く放射状のチップ嵌合溝３に
研削砥石チップ４をぴったりと嵌合する方法の他、図６
の平面図及び図７のＤ−Ｄ断面図に示すように、基盤車
１の表面２に任意の平面形状の浅いチップ嵌合凹所１１
を複数個設け、チップ嵌合凹所１１の形状と同一形状を
有する研削砥石チップ４を研削砥石チップ４の下面に設
けたボルト１２をチップ嵌合凹所１１の底面に設けた透
孔１３に挿入して、基盤車１の下面よりナット１４によ
り個別に締結する方法を用いることもできる。放射状チ
ップ嵌合溝３に研削砥石チップ４を嵌合する場合にも、
蟻溝等を用いずに、上記と同様にボルト１２で締結する
こともできる。

【００１５】基盤車１に装着する研削砥石チップ４の数
は特に制限はないが、砥石車の大きさに応じて、通常２
〜８個を設けることができる。直径１００mmの砥石車で
は２〜５個の研削砥石チップ４が好ましく用いられる。

【００１６】研削砥石チップ４の厚みは基盤車１の厚み
に応じて適宜選択されるが、例えば直径１００mmのオフ
セット砥石車５の場合、基盤車１の厚み７mmの円板部分
に、厚み４mmの研削砥石チップ４を嵌合することができ
る。研削砥石チップ４の厚みはチップ嵌合溝３の深さよ
り僅かに厚く形成して、チップ嵌合溝３に研削砥石チッ
プ４を嵌合したとき、基盤車１の表面２から研削砥石チ
ップ４が僅かに突出するようにするのが好ましい。その
突出高さは特に制限はないが、突出高さが研削時の振動
に影響を与えるので、０．３〜１．０mmが好ましい。

【００１７】研削砥石チップ４は金属製の基板１８上に
ダイヤモンド砥粒、ＣＢＮ砥粒等の超砥粒２０を電着、
メタルボンド、ビトリファイドボンド、レジノイドボン
ド等の公知の結合法で固着したものが用いられ、研削砥
石チップ４全体を溶融アルミナや炭化珪素等よりなる一
般砥粒を、公知の砥石車の製造法と同様の方法により圧
縮成形したのち焼成して製造したもの等も用いることが
できる。

【００１８】本発明のチップ交換可能な砥石車の基盤車
１の複数のチップ嵌合溝３に嵌合する研削砥石チップ４
は全て同じ材質の研削砥石チップ４を嵌合してもよい
が、異なる材質の研削砥石チップ４を嵌合してもよい。
ダイヤモンド砥粒やＣＢＮ砥粒等の超砥粒を用いた研削
砥石チップ４は硬質の工作物を研削する際は効率よく研
削できるが、アルミニウム、真鍮、銅等の軟質金属を研
削する場合には目詰まりが生じ易く、研削効率が著しく
低下する。複数のチップ嵌合溝３に超砥粒を含む研削砥
石チップ４とアルミナ砥粒や炭化珪素砥粒等の一般砥粒
よりなる研削砥石チップ４を交互に、或いはチップ嵌合
溝３の一部に一般砥粒よりなる研削砥石チップ４を嵌合
すると、超砥粒の研削砥石チップ４の目詰まりを防止す
ることができる。一般砥粒チップから脱落した一般砥粒
が、超砥粒の研削砥石チップ４の表面から目詰まりした
金属を排除して、目詰まりを解消すると考えられる。

【００１９】図８は本発明のチップ交換可能な砥石車の
他の実施態様を示す平面図、図９は同Ｅ−Ｅ断面図であ
る。基盤車１の周縁に環状の研削リング１５を螺合す
る。金属製の研削リング１５の上面１６の複数個所に、
ダイヤモンド砥粒やＣＢＮ砥粒等の超砥粒を結合してな
る研削チップ１７を固着する。

【００２０】図１０は本発明のチップ交換可能な砥石車
全体を可撓性砥石車とした実施態様を示す平面図、図１
１は同Ｆ−Ｆ断面図である。基盤車１は全体が硬質ポリ
ウレタン樹脂等の弾性材料よりなり、基盤車１の表面２
のチップ嵌合凹所１１に嵌合する研削砥石チップ４を基
盤車１の半径方向内側チップ４ａと半径方向外側チップ
４ｂの少なくとも２個以上に分割し、両者の間に僅かに
間隙ｄを隔てて配置する。半径方向内側チップ４ａ及び
半径方向外側チップ４ｂは図１１に示すようにそれぞれ
ボルト１２及びナット１４により基盤車１に締結する。

【００２１】２１は弾性材料よりなる基盤車１の表面２
の研削砥石チップ４を設けていない裸の部分が研削作業
中に工作物に直接高速で摺動して、急速に摩耗するのを
防止する目的で、弾性体製基盤車１の表面２に、鋲２２
等で固着した、薄いステンレス鋼製等の補強板である。
基盤車１の下面にはボルト１２及びナット１４による研
削砥石チップ４の締結や鋲２２のかしめを安定化するた
めの薄い合成樹脂板等よりなる座板である。弾性体製基
盤車１の外側の円板部の内部にガラス繊維補強布２３を
入れて補強するのが望ましい。

【００２２】上記可撓性砥石車によれば、研削砥石チッ
プ４が半径方向外側と内側に２分割されているため、そ
の分割部分で僅かに彎曲することができ、研削作業の際
に研削砥石チップ４が工作物の表面に沿って密着して摺
動し易くなり、曲面の研削の際も都合よく研削すること
ができる。

【００２３】

【発明の効果】本発明のチップ交換可能な砥石車によれ
ば、基盤車１に装着した研削砥石チップ４が摩耗する
と、研削砥石チップ４のみを容易に着脱交換しうるた
め、従来のダイヤモンド砥粒やＣＢＮ砥粒を用いた砥石
車を用いる場合に比較して、研削コストを大幅に節減す
ることができる。

【００２４】超砥粒を用いる研削砥石チップ４を用いる
と、一般砥粒を用いる通常の砥石車に比較して、切削速
度が大幅に向上する。その際、超砥粒を用いる研削砥石
チップ４の一部を一般砥粒を用いた研削砥石チップ４に
置き換えて、両者を混在して用いると、軟質金属を切削
する場合でも超砥粒の砥石の目詰まりが全く生じない。

【００２５】本発明のチップ交換可能な砥石車の基盤車
１を軽金属合金を用いて構成すると、軽量の超砥粒砥石
車が得られ、研削作業による疲労が小さくなり、労働環
境が改善される。

【００２６】工作物の種類、材質に応じて、適宜適切な
研削砥石チップ４を選択して、基盤車１に嵌合して用い
ることができ、幾種類かの研削砥石チップ４を用意して
おけばよく、多種の高価な超砥粒砥石車を別々に用意す
る必要がない。

【００２７】可撓性基盤車１を用い、研削砥石チップ４
を内側と外側に分割して装着すると弾性砥石車が得ら
れ、曲面の研削に好都合である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のチップ交換可能な砥石車の一例の平面
図である。

【図２】本発明のチップ交換可能な砥石車の一例のＡ−
Ａ断面図である。

【図３】本発明のチップ交換可能な砥石車の一例の円弧
Ｂ−Ｂに沿う断面図である。

【図４】本発明のチップ交換可能な砥石車の他の一例の
平面図である。

【図５】本発明のチップ交換可能な砥石車の他の一例の
Ｃ−Ｃ断面図である。

【図６】本発明のチップ交換可能な砥石車の別の一例の
平面図である。

【図７】本発明のチップ交換可能な砥石車の別の一例の
Ｄ−Ｄ断面図である。

【図８】本発明のチップ交換可能な砥石車の更に他の一
例の平面図である。

【図９】本発明のチップ交換可能な砥石車の更に他の一
例のＥ−Ｅ断面図である。

【図１０】可撓性を有する本発明のチップ交換可能な砥
石車の一例の平面図である。

【図１１】可撓性を有する本発明のチップ交換可能な砥
石車の一例のＦ−Ｆ断面図である。

【符号の説明】

１ 基盤車 ２ 表面 ３ チップ嵌合溝 ４ 研削砥石チップ ５ オフセット砥石車 ６ 中心部材 ７ 円板部材 ８ オフセット部 ９ 内周部 １０ 押さえリング １１ チップ嵌合凹所 １２ ボルト １３ 透孔 １４ ナット １５ 研削リング １６ 上面 １７ 研削チップ １８ 基板 １９ 雌ねじ ２０ 超砥粒 ２１ 補強板 ２２ 鋲 ２３ ガラス繊維補強布 ２４ 座板

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】オフセット砥石車において、通常のオフセ
   ット砥石車と略同様な形状の基盤車の表面に複数の浅い
   チップ嵌合溝又はチップ嵌合凹所を設け、少なくとも表
   面が砥粒層よりなる研削砥石チップを該チップ嵌合溝又
   はチップ嵌合凹所に着脱自在にぴったりと嵌合したこと
   を特徴とするチップ交換可能な砥石車。
2. 【請求項２】該チップ嵌合溝が該基盤車の表面に放射状
   に形成されたチップ嵌合溝である請求項１記載のチップ
   交換可能な砥石車。
3. 【請求項３】該チップ嵌合溝がその幅方向断面形状が該
   チップ嵌合溝の上端の幅よりも底面の幅が拡がるチップ
   嵌合溝である請求項２記載のチップ交換可能な砥石車。
4. 【請求項４】該チップ嵌合溝がその幅が該基盤車の半径
   方向内側より外側の方が狭まるチップ嵌合溝である請求
   項３記載のチップ交換可能な砥石車。
5. 【請求項５】該チップ嵌合溝又は該チップ嵌合凹所に嵌
   合する研削砥石チップの下面にボルトを立設し該ボルト
   を該チップ嵌合溝又は該チップ嵌合凹所の底面に設けた
   透孔に挿通して、該基盤車の下面より締結したチップ交
   換可能な砥石車。
6. 【請求項６】該研削砥石チップがダイヤモンド砥粒、Ｃ
   ＢＮ砥粒等の超砥粒を表面に結合してなる研削砥石チッ
   プである、請求項１、請求項２、請求項３又は請求項４
   記載のチップ交換可能な砥石車。
7. 【請求項７】複数の該チップ嵌合溝又はチップ嵌合凹所
   の一部にアルミナ砥粒、炭化珪素砥粒等の一般砥粒より
   なる研削砥石チップを嵌合し、他の該該チップ嵌合溝又
   はチップ嵌合凹所に、ダイヤモンド砥粒、ＣＢＮ砥粒等
   の超砥粒を結合してなる研削砥石チップを嵌合した請求
   項１、請求項２、請求項３又は請求項４記載のチップ交
   換可能な砥石車。
8. 【請求項８】オフセット砥石車において、通常のオフセ
   ット砥石車と略同様な形状の基盤車の周縁に、上面の複
   数個所にダイヤモンド砥粒、ＣＢＮ砥粒等の超砥粒を固
   着した研削リングを着脱自在に装着したことを特徴とす
   るチップ交換可能な砥石車。
9. 【請求項９】該基盤車として硬質ウレタン樹脂等の弾性
   材よりなる基盤車を用い、該研削砥石チップを該基盤車
   の半径方向外側と内側の２個以上に分割して嵌合した、
   可撓性を有する請求項１記載のチップ交換可能な砥石
   車。