JPH1114474A - 波動減速機における伝達トルク検出装置および方法 - Google Patents

波動減速機における伝達トルク検出装置および方法

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JPH1114474A
JPH1114474A JP16233597A JP16233597A JPH1114474A JP H1114474 A JPH1114474 A JP H1114474A JP 16233597 A JP16233597 A JP 16233597A JP 16233597 A JP16233597 A JP 16233597A JP H1114474 A JPH1114474 A JP H1114474A
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Hideo Takahashi
英男 高橋
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波動減速機でのトルク検出を、ウエーブジェ
ネレータによるフレクスプラインの弾性変形の影響を受
けることなく行う。 【解決手段】 波動減速機を介して伝達される伝達トル
クを検出するトルクセンサ20と、ウエーブジェネレー
タの回転角度位置を検出するエンコーダ51と、トルク
補正データを測定記憶したROM43とを有し、トルク
センサ20により検出された検出トルクを、ROM43
に記憶されたトルク補正データに基づいて補正して伝達
トルクを求める。なお、トルク補正データとして無負荷
時にトルクセンサによる検出された無負荷検出トルクが
用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばロボットの減速
機等として用いられる波動減速機において伝達されるト
ルクを検出する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年ロボットは多用されているが、この
ロボットの制御において、関節部等のトルクを計測しこ
れを制御に利用することは、ロボットの制御性能を向上
させる上で非常に有用である。また、計測トルクを用い
て故障診断を行うようにすれば、安全性を向上させるこ
とができる。
【0003】このようなことから、ロボット駆動に用い
られる波動減速機における伝達トルクを検出する装置は
従来から種々提案されている。一例を挙げれば、特開平
7−103291号公報に開示された波動減速機があ
り、ここでは波動減速機を構成するフレクスプラインの
周囲にコイルを配設し、フレクスプラインに作用するト
ルクをフレクスプラインの磁気特性の変化に基づくイン
ピーダンスの変化から検出するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように波動減速機
を介して伝達するトルクを、このトルクによるフレクス
プラインの弾性変形に基づいて検出する装置等は従来か
ら知られている。しかしながら、フレクスプラインはウ
エーブジェネレータにより変形されるものであるため、
フレクスプラインには伝達トルクによる弾性変形に加え
てウエーブジェネレータによる弾性変形が生じ、ウエー
ブジェネレータによる弾性変形が伝達トルクの検出精度
を低下させるおそれがあるという問題がある。この問題
は本出願人が先に出願した特願平8−47724号に記
載のように、センサの配置により解決できるが、フレク
スプラインの製造不均衡などに起因する検出誤差は修正
できないという問題がある。
【0005】このような問題に鑑み、本発明は波動減速
機において、ウエーブジェネレータによるフレクスプラ
インの弾性変形の影響を受けることなく伝達トルクを正
確に検出できるような伝達トルク検出装置および方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本発明に係る伝達トルク検出装置においては、波動
減速機を介して伝達される伝達トルクを検出するトルク
センサと、ウエーブジェネレータの回転角度位置を検出
する回転角度センサと、ウェーブジェネレータの回転角
度位置に対応したトルク補正データを測定記憶した補正
データ記憶手段とを有し、トルクセンサにより検出され
た検出トルクを、補正データ記憶手段に記憶されたトル
ク補正データに基づいて補正して伝達トルクを求める。
なお、このトルク補正データとして無負荷時にトルクセ
ンサによる検出された無負荷検出トルクを用いることが
でき、この場合には、トルクセンサにより検出された検
出トルクから無負荷トルクを減じて伝達トルクを求め
る。
【0007】ウエーブジェネレータにより生じるフレク
スプラインの弾性変形は、ウエーブジェネレータの回転
角度に対応して一定のものであるため、ウエーブジェネ
レータの回転角度位置に対応したトルク補正データも伝
達トルクの如何に拘わらず一定である。このため、ウエ
ーブジェネレータの回転角度に対応してウエーブジェネ
レータによるフレクスプラインの弾性変形のみに基づい
て検出されるトルクを、トルク補正データとしてウエー
ブジェネレータの回転角度に対応して記憶しておき、実
際の検出トルクからこのトルク補正データを引き去れ
ば、ウエーブジェネレータによるフレクスプラインの弾
性変形の影響を除去した正確な伝達トルクを得ることが
できる。
【0008】但し、トルク補正データは、波動減速機の
温度に応じて変動する。これは、例えば、低温のときに
は潤滑油の粘性が大きくなり駆動抵抗が大きくなるとい
ったことによるものである。このようなことから、波動
減速機の温度毎にトルク補正データを測定設定し、波動
減速機の実際の温度に対応するトルク補正データを用い
て伝達トルクを求めるのが好ましい。
【0009】また、本発明に係る伝達トルクの検出方法
は、まず、無負荷状態における波動減速機の伝達トルク
をウエーブジェネレータの回転角度位置に対応して検出
し、このように検出した無負荷状態での検出トルクをト
ルク補正データとして記憶し、トルク伝達状態における
波動減速機の伝達トルクをウエーブジェネレータの回転
角度位置に対応して検出し、このようにして検出した検
出トルクから前記ウエーブジェネレータの回転角度位相
を合わせてトルク補正データを減じ、伝達トルクを求め
る。ここで、無負荷状態において検出される伝達トルク
は、ウエーブジェネレータによるフレクスプラインの弾
性変形のみにより発生するものであるため、これをその
ままトルク補正データとして用い、実際の検出トルクか
ら無負荷検出トルクを引き去れば、ウエーブジェネレー
タによるフレクスプラインの弾性変形の影響を除去で
き、正確な伝達トルクの検出を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る伝達トルク検出装置および方法について説明する。本
発明に係る波動減速機の一例を図1に示している。この
減速機は、内歯サーキュラースプライン1aが形成され
たほぼ円筒状の支持ケース1とこの支持ケース1に結合
されたフランジカバー2とに囲まれた空間内に、以下の
部材をベアリング8a,8bにより回転自在に支持して
構成される。なお、これら支持ケース1およびフランジ
カバー2は通常、固定保持される。
【0011】波動減速機は入力軸3の回転を非常に大き
な減速比(数十から数百といった非常に大きな減速比)
で減速して出力軸13に伝達する減速機であるが、この
減速機そのものは従来から公知であるので、この減速機
自体の説明は簡単に行う。
【0012】入力軸3はベアリング8aを介してフラン
ジカバー2により回転自在に支持されており、一端が外
方に突出し、他端に楕円盤カム5が結合されている。こ
の楕円盤カム5の外周に沿って複数の押圧ボール6aを
等間隔で配設してウェーブジェネレータ6が構成されて
いる。一方、出力軸13はベアリング8bを介して支持
ケース1により回転自在に支持されるとともに、一端が
支持ケース1の側面から外方に突出し、他端が支持ケー
ス2内に配設されたフレクスプライン部材10に結合さ
れている。
【0013】フレクスプライン部材10は、弾性材料か
ら形成された部材で、先端部に外歯フレクスプライン1
1を有するとともに、この外歯フレクスプライン11と
出力軸13とを結合する円盤状底壁12aを有した薄肉
円筒状のカップリング部12を有して構成される。外歯
フレクスプライン11の内周面に沿ってウェーブジェネ
レータ6が位置するとともに、この外歯フレクスプライ
ン11は内歯サーキュラースプライン1aと噛合する位
置にある。
【0014】ウェーブジェネレータ6において、楕円盤
カム5はその楕円形状に対応してボール6aを外周方向
に押し上げ、フレクスプライン11は楕円形に弾性変形
される。このとき、フレクスプライン11における楕円
の長軸に対応する部分が最も外周側に押し出されるよう
に変形し、フレクスプライン11は180度離れた2箇
所において内歯サーキュラースプライン1aと噛合す
る。
【0015】以上の構成の波動減速機において、入力軸
3が回転駆動されるとこれに結合されたウェーブジェネ
レータ6(楕円盤カム5)が一緒に回転され、フレクス
プライン11と内歯サーキュラースプライン1aとの噛
合位置がこの回転とともに回転移動する。ここで、内歯
サーキュラースプライン1aの歯数に対してフレクスプ
ライン11の歯数が1〜数枚少なく形成されており、上
記のように入力軸3の回転に応じて噛合位置が回転移動
すると、入力軸3が1回転したときにフレクスプライン
部材10はこの相違歯数分だけ回転する。すなわち、入
力軸3の一回転に対して出力軸13はフレクスプライン
11の1〜数枚の歯数分しか回転されず、非常に大きな
減速比で回転が伝達される。
【0016】この波動減速機におけるフレクスプライン
部材10の円盤状底壁12aの外側面に、このフレクス
プライン部材10を介して伝達されるトルクを検出する
トルクセンサ20が接着されて配設されている。このト
ルクセンサ20の上には保護カバー15が取り付けられ
ている。なお、フレクスプライン部材10を保護カバー
15を外した状態で図2に示している。
【0017】本例のトルクセンサ20は、図3に示すよ
うに、中央に開口を有するドーナッツ型円盤状に形成さ
れ、このトルクセンサ20を構成する励磁コイルを励磁
したり、検出コイルの誘導起電力を検出したりする処理
回路30がトルクセンサ20に接続されている。
【0018】このトルクセンサ20をフレクスプライン
部材10に取り付けた状態を図4に示している。トルク
センサ20は、アモルファスシートもしくはアモルファ
ス合金シートから形成された第1磁性体層22を有し、
この第1磁性体層22は接着剤を含浸させたカーボンク
ロスシート21によりフレクスプライン部材10の円盤
状底壁12aの外側面にしっかりと接着されている。こ
の第1磁性体層22の上には、励磁コイルパターン23
a,23bが形成された励磁用プリント配線板23と、
検出コイルパターン24a,24bが形成された検出用
プリント配線板24とが重ねて配設され、この上に、ア
モルファスシートもしくはアモルファス合金シートから
なる第2磁性体層25a,25bが配設されている。
【0019】第1磁性体層22は、図5に示すように、
アモルファスもしくはアモルファス合金からなるシート
を中央に円状開口22cを有した円盤状に形成して作ら
れており、周方向に整列した複数のスリット22a,2
2bが2列にリング状に並んで形成されている。図示の
ように、内周側スリット22aおよび外周側スリット2
2bはそれぞれ、周方向に対して45度傾いて形成され
ており、しかも、内周側スリット22aは周方向に対し
て左側に45度傾き、外周側スリット22bは周方向に
対して右側に45度傾いて形成されている。なお、内周
側スリット22aを右側に45度傾け、外周側スリット
22bを左側に45度傾けてもよい。
【0020】励磁用プリント配線板23は、図6に示す
ように、絶縁材料性フレキシブルプリント基板23eの
表面に、内周側に位置するとともに時計回り方向に形成
された第1励磁コイルパターン23aと、外周側に位置
するとともに反時計回り方向に形成された第2励磁コイ
ルパターン23bとが形成されて作られている。図にお
いて、各コイルパターン23a,23bはそれぞれ約二
周するように形成されているが、もっと多くの巻数のコ
イルパターンをそれぞれ形成しても良い。
【0021】なお、図4においてはコイルパターン22
a,22bを模式的に断面円形に示しているが、実際は
プリント基板の上に形成された導電材料パターンであ
る。また、図6において、実線のコイルパターンはフレ
キシブルプリント基板23eの表面に形成され、破線の
コイルパターンは裏面に形成されている。なお、間に絶
縁層を介して両コイルパターンを表面もしくは裏面に多
層に形成してもよい。
【0022】第1励磁コイルパターン23aの外周端と
第2励磁コイルパターン23bの内周端が接続されると
ともに、第1励磁コイルパターン23aの内周端と第2
励磁コイルパターン23bの外周端がそれぞれ励磁用コ
ネクタ部23cに接続されており、励磁用コネクタ部2
3c以外のコイルパターンは絶縁コーティングされてい
る。励磁用コネクタ部23cは露出しており、これらコ
ネクタ部23c間に電流を流せば、第1および第2励磁
コイルパターン23a,23bを流れる電流により、図
4に矢印P,Qで示す磁界が発生する。このとき、両コ
イルパターン23a,23bの巻方向が反対なので、両
磁界P,Qも反対方向の磁界となる。
【0023】検出用プリント配線板24は、図7に示す
ように、絶縁材料性フレキシブルプリント基板24eの
表面に、内周側に位置して時計回り方向に形成された第
1検出コイルパターン24aと、外周側に位置して反時
計回り方向に形成された第2検出コイルパターン24b
とが形成されて作られている。この検出用プリント配線
板24においても、各コイルパターン24a,24bの
巻数をもっと多くしても良く、実線のコイルパターンが
フレキシブルプリント基板23eの表面に形成され、破
線のコイルパターンが裏面に形成される。なお、第1検
出コイルパターン24aは第1検出用コネクタ部23c
に繋がり、第2検出コイルパターン24bは第2検出用
コネクタ部23dに繋がる。
【0024】上記両プリント配線板23,24が第1磁
性体層22の上に重ねられた状態で、第1励磁コイルパ
ターン23aおよび第1検出パターン24aはともに内
周側スリット22aの上に重なり、第2励磁コイルパタ
ーン23bおよび第2検出パターン24bはともに外周
側スリット22bの上に重なる。
【0025】そして、内周側に位置する第2磁性体層2
5aは第1励磁コイルパターン23aおよび第1検出パ
ターン24aを覆うリング状に形成され、これらの上に
重ねて取り付けられる。同様に、外周側に位置する第2
磁性体層25bは第2励磁コイルパターン23bおよび
第2検出パターン24bを覆うリング状に形成され、こ
れらの上に重ねて取り付けられる。これら第2磁性体層
25a,25bは励磁用コネクタ部23c間に電流を流
して図4に示す磁界P,Qを発生されるとき誘磁体とし
ての役目を果たし、第1および第2励磁コイルパターン
23a,23bの周りに磁界P,Qを明瞭に発生させ
る。
【0026】第1磁性体層22はフレクスプライン部材
10の円盤状底壁12aの外側面に接着されているた
め、フレクスプライン部材10を介してトルク伝達がな
されるときにフレクスプライン部材10がこのトルクを
受けて弾性変形すると、第1磁性体層22も一緒に変形
し、この変形により第1磁性体層22の磁気歪特性が変
化して透磁率が変化する。このように透磁率が変化する
と、磁界P,Qの強度が変化するので、第1および第2
検出コイルパターン24a,24bに生じる誘導起電力
の変化を第1および第2コネクタ部24c,24dから
取り出して検出すれば、透磁率の変化を検出することが
できる。
【0027】このようにして検出した透磁率の変化はフ
レクスプライン部材10の弾性変形に比例するため、こ
の透磁率の変化に基づいてフレクスプライン部材10を
介して伝達されるトルクを演算して求めることができ
る。なお、フレクスプライン部材10はウェーブジェネ
レータ6により楕円形状に弾性変形されるため、第1磁
性体層22の磁気歪特性はこの弾性変形の影響も受け
る。このため、この影響を補正する処理を行って正確な
伝達トルク検出を行うようにしているが、この構成は後
述する。
【0028】このように、本発明のトルクセンサは第1
磁性体層22の透磁率の変化を検出してトルクを検出す
るものであるが、第1磁性体層22の透磁率の変化が最
大となる方向、すなわち、周方向に対して45度傾いた
方向にスリット22a,22bを形成している。図5に
示すように、フレクスプライン部材10にトルクTが作
用すると内周側のスリット22aが形成された部分には
矢印Aで示すようにスリット22aの方向に圧縮力が作
用し、外周側のスリット22aが形成された部分には矢
印Bで示すようにスリット22bの方向に引っ張り力が
作用する。このとき、スリット22a,22bにより形
状的な異方性効果を得て第1磁性体層22における透磁
率変化を増幅させることができ、トルクの検出精度がよ
り高くなる。
【0029】以上のようにして透磁率変化を検出する装
置、すなわち、図3に示した処理回路30について図8
を参照して説明する。この回路30は交流電源31を有
しており、この交流電源31からの交流電流が励磁用コ
ネクタ部23cを介して第1および第2励磁コイルパタ
ーン23a,23bに流されてこれらが励起される。こ
れにより、この電流に対応して互いに反対方向となる磁
界P,Qが図4に示すように、これらコイルパターン2
3a,23bの周りに発生する。
【0030】この磁界P,Qは、第1および第2検出コ
イルパターン24a,24bに相互誘導起電力を発生さ
せ、この相互誘導起電力が第1および第2コネクタ部2
4c,24dを介してブリッジ回路32a,32bに取
り出される。ここで、磁界P,Qの方向が逆なので、誘
導起電力は一方がプラスで他方がマイナスの値となり、
これがブリッジ回路32a,32bを介して両者の差に
該当する電圧として検出端子33から取り出される。
【0031】以上まとめると、波動減速機の入力軸3の
回転が減速されて出力軸13に伝達されるとき、フレク
スプライン部材10を介してトルク伝達がなされるの
で、この伝達トルクの大きさに応じてフレクスプライン
部材10が弾性変形する。このため、第1磁性体層22
の透磁率が変化し、磁界P,Qの強さが変化し、検出端
子33において検出される電圧も変化する。この電圧変
化から透磁率の変化を演算し、フレクスプライン部材1
0を介して伝達されるトルクの大きさを求めることがで
きる。
【0032】以上のように、波動減速機にトルクセンサ
が組み込まれるのであるが、このトルクセンサの検出値
は、上述のようにウエーブジェネレータによるフレクス
プラインの弾性変形分も検出するため、これを補正して
正確な伝達トルク検出を行うトルクセンサシステム(伝
達トルク検出装置)が構成されている。このトルクセン
サシステムについて以下に説明する。
【0033】このトルクセンサシステム構成を図9に示
しており、このシステムは、上述のように構成されたト
ルクセンサ20を有した波動減速機HDおよびトルクセ
ンサからの信号を処理する信号処理回路30を有し、こ
の減速機HDの入力軸3が電動モータ60により回転駆
動される。このシステムはさらに、モータ60の駆動軸
の回転角度位置を検出するエンコーダ51と、減速機H
Dの温度を検出する温度センサ52と、信号処理回路3
0から出力される検出トルク信号Toをエンコーダ51
および温度センサ52の検出値に基づいて補正するトル
ク補正演算器40と、トルク補正演算器(コンピュー
タ)40により求められた伝達トルクに基づいて電動モ
ータ60の駆動を制御するサーボアンプ50を有する。
【0034】なお、トルク補正演算器40は、信号処理
回路30から出力されるアナログ信号および温度センサ
52により検出して得られたアナログ信号をデジタル信
号に変換するA/D変換器41と、エンコーダ51の出
力をカウントするカウンタ42と、トルク補正データT
cを記憶したROM(読み取り専用メモリ)43と、ト
ルク補正演算を行う演算処理器(CPU)44とを備え
る。
【0035】ここで、トルクセンサ20の出力信号を信
号処理回路30において処理して得られる検出トルクT
o信号は、減速機HDを介して伝達するトルクにウエー
ブジェネレータ6によるフレクスプライン11の弾性変
形の影響が加わったものであり、例えば、図10に示す
ように、ウエーブジェネレータ6の回転角度θwに対応
して変化する値であり、ウエーブジェネレータの回転数
に比例する(回転数の整数倍)のサイクルで変化する。
本減速機HDは楕円盤カム5を有してウエーブジェネレ
ータ6が構成されるため、図10に示すように、半回転
毎に変化する波形となる。なお、この図において、上側
の線To(+10)は伝達トルクT=10(N-m)のときの
検出信号であり、中央の線To(0)は伝達トルクT=
0(N-m)のときの検出信号であり、下側の線To(−1
0)は伝達トルクT=−10(N-m)のときの検出信号で
ある。
【0036】このような検出トルク信号Toは、A/D
変換器41においてデジタル化された後、演算処理機4
4において補正される。この補正はROM43に記憶さ
れたトルク補正データTcを用いるとともにカウンタ4
2のカウントに基づいて回転角度位置(位相)を合わせ
て行われる。このトルク補正データTcは、ウエーブジ
ェネレータ6によるフレクスプライン11の弾性変形の
みにより検出される検出トルク信号を相殺できるデータ
であり、減速機HDを介しての伝達トルクが零のときに
検出される検出トルク(これを無負荷検出トルクと称す
る)To(0)が用いられる。すなわち減速機HDの入
力軸3を介して伝達されるトルクが零の状態で入力軸3
を回転したときに検出される無負荷検出トルクTo
(0)をトルク補正データTcとしてROM43に記憶
しておく。
【0037】トルク補正は、信号処理回路30から出力
される検出トルク信号Toから、上記のようにしてRO
M43に記憶されたトルク補正データTcを、ウエーブ
ジェネレータ6の回転角度位置θwを合わせた上で、減
じて行われ、これにより伝達トルクTtが算出される。
この減算に変えて、無負荷検出トルクTo(0)のプラ
スマイナス符号を逆転した値をトルク補正データTcと
して(すなわち、Tc=-To(0)として)記憶してお
き、信号処理回路30から出力される検出トルク信号T
oにトルク補正データTcを加えることにより伝達トルク
Ttを算出しても良い。
【0038】このようなトルク補正の例を図11に示し
ており、無負荷検出トルクTo(0)のプラスマイナス
符号を逆転した値を補正トルクTc{=−To(0)}と
して設定する。そして、例えば、図において実線で示す
伝達トルクT=10(N-m)のときの検出信号To(+1
0)に破線で示すトルク補正データTcを、回転位相を
合わせた状態で加えると、図12に示すように、ほぼフ
ラットな伝達トルクTt(+10)が求まる。
【0039】ウエーブジェネレータ6によるフレクスプ
ライン11の弾性変形のみにより検出される検出トルク
は無負荷検出トルクTo(0)に等しく、伝達トルクの
大きさによっても変化しないため、上記のような補正が
可能である。しかしながら、この無負荷検出トルクTo
(0)は、減速機HDの温度が変化すると変化する。こ
れは、温度に応じて潤滑油の粘度が変化したりするため
であるが、このため、各温度に対応する無負荷検出トル
クTo(0)を検出するとともに、これらデータが全て
ROM43内に記憶されている。そして、トルク補正を
行うときには、温度センサ52により検出された温度に
対応するトルク補正データTcを読み出してトルク補正
を行う。
【0040】なお、このように温度毎のデータを記憶し
ておく代わりに、基準温度でのトルク補正データのみを
ROM43に記憶しておくとともに、温度変化に対する
トルク補正データの修正係数を測定記憶しておき、トル
ク補正を行うときには、検出温度に対する修正係数を読
み出して、これをROM43から読み出したトルク補正
データに乗じて得られたデータを用いても良い。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
トルクセンサにより検出された検出トルクを、補正デー
タ記憶手段に記憶されたトルク補正データに基づいて補
正して伝達トルクを求めるのであるが、ウエーブジェネ
レータの回転角度に対応してウエーブジェネレータによ
るフレクスプラインの弾性変形のみに基づいて検出され
るトルクをトルク補正データとしてウエーブジェネレー
タの回転角度に対応して記憶しておき、実際の検出トル
クからこのトルク補正データを引き去るので、ウエーブ
ジェネレータによるフレクスプラインの弾性変形の影響
を除去した正確な伝達トルクを得ることができる。な
お、このトルク補正データとして無負荷時にトルクセン
サによる検出された無負荷検出トルクを用いることがで
きる。
【0042】但し、トルク補正データは、波動減速機の
温度に応じて変動するので、波動減速機の温度毎にトル
ク補正データを測定設定し、波動減速機の実際の温度に
対応するトルク補正データを用いて伝達トルクを求める
のが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る伝達トルク検出装置が用いられる
波動減速機を示す断面斜視図である。
【図2】この減速機を構成するフレクスプライン部材お
よびこれに取り付けられたトルクセンサを示す斜視図で
ある。
【図3】トルクセンサおよび処理回路を示す斜視図であ
る。
【図4】フレクスプライン部材に取り付けられたトルク
センサを示す断面図である。
【図5】トルクセンサを構成する第1磁性体層の平面図
である。
【図6】トルクセンサを構成する励磁用プリント配線板
の平面図である。
【図7】トルクセンサを構成する検出用プリント配線板
の平面図である。
【図8】処理回路を示す電気回路図である。
【図9】本発明に係る伝達トルク検出装置の構成を示す
ブロック図である。
【図10】トルクセンサにより検出された検出トルク信
号を示すグラフである。
【図11】検出トルク信号をトルク補正データにより補
正する処理を説明するグラフである。
【図12】検出トルク信号をトルク補正データにより補
正した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 支持ケース 6 ウェーブジェネレータ 10 フレクスプライン部材 20 トルクセンサ 30 信号処理回路 40 トルク補正演算器 50 サーボアンプ 51 エンコーダ 52 温度センサ 60 電動モータ HD 波動減速機

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウエーブジェネレータおよびフレクスプ
    ラインを有する波動減速機の伝達トルクを検出する装置
    であって、 前記波動減速機を介して伝達される伝達トルクを検出す
    るトルクセンサと、 前記ウエーブジェネレータの回転角度位置を検出する回
    転角度センサと、 前記ウェーブジェネレータの回転角度位置に対応したト
    ルク補正データを測定記憶した補正データ記憶手段と、 前記トルクセンサにより検出された検出トルクを、前記
    補正データ記憶手段に記憶されたトルク補正データに基
    づいて補正して伝達トルクを求めるトルク補正手段とか
    らなることを特徴とする波動減速機の伝達トルク検出装
    置。
  2. 【請求項2】 前記トルク補正データが、無負荷時に前
    記トルクセンサによる検出された無負荷検出トルクであ
    り、 前記トルク補正手段は、前記トルクセンサにより検出さ
    れた検出トルクから前記無負荷トルクを減じて伝達トル
    クを求めることを特徴とする請求項1に記載の伝達トル
    ク検出装置。
  3. 【請求項3】 前記補正データ記憶手段は、前記波動減
    速機の温度に対応したトルク補正データを測定記憶して
    おり、 前記波動減速機の温度を検出する温度センサを有し、 前記トルク補正手段は、前記温度センサにより検出され
    た温度に対応するトルク補正データを前記補正データ記
    憶手段から読み出し、この読み出したトルク補正データ
    に基づいて検出トルクを補正することを特徴とする請求
    項1もしくは2に記載の伝達トルク検出装置。
  4. 【請求項4】 ウエーブジェネレータおよびフレクスプ
    ラインを有する波動減速機の伝達トルクを検出する方法
    であって、 無負荷状態における前記波動減速機の伝達トルクを前記
    ウエーブジェネレータの回転角度位置に対応して検出
    し、 このように検出した無負荷状態での検出トルクをトルク
    補正データとして記憶し、 トルク伝達状態における前記波動減速機の伝達トルクを
    前記ウエーブジェネレータの回転角度位置に対応して検
    出し、 このようにして検出した検出トルクから前記ウエーブジ
    ェネレータの回転角度位相を合わせて前記トルク補正デ
    ータを減じて伝達トルクを求めることを特徴とする波動
    減速機の伝達トルク検出方法。
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