JPH11142521A - 放射線検出装置 - Google Patents

放射線検出装置

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JPH11142521A
JPH11142521A JP30892497A JP30892497A JPH11142521A JP H11142521 A JPH11142521 A JP H11142521A JP 30892497 A JP30892497 A JP 30892497A JP 30892497 A JP30892497 A JP 30892497A JP H11142521 A JPH11142521 A JP H11142521A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射線検出装置において、強度が時間的に変
化する放射線に対して、不感時間に起因する数え落とし
の補正を精度よく行うことができない。 【解決手段】 異なる有感面積を有する半導体検出器1
0、12を有した放射線測定部2、4からの放射線計数
率を演算回路6に入力する。演算回路6は、両放射線測
定部からの計数率を、それらの比又は差といった形で比
較し、補正された計数率を求める。比、差をとる過程に
おいて、それぞれの計数率が有する数え落としに起因す
る計数率の減少の程度がキャンセルされ、補正精度の向
上が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線計数率を測
定する放射線検出装置に関し、特に放射線を検出した後
に生じる放射線測定部の不感時間による放射線の数え落
としの補正に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線計数率を測定するために用いられ
ている放射線検出装置は、一般には、放射線と物質との
相互作用により生じる電離現象や発光現象を利用する。
放射線検出装置は例えば、電離により生じた電荷を電界
をかけて収集したり、発光を光電子増倍管などで検知す
ることにより、電気的なパルスを生成し、これを電気回
路にて計数して放射線計数率を求める。
【0003】例えば、半導体放射線検出器では、半導体
中に電荷空乏層を設け、放射線の通過によって空乏層内
に生じる電荷を収集してパルス出力を得る。電荷の発生
位置は一点ではなく放射線の通過経路に沿って分布する
ことと、半導体内での電荷の移動速度に応じてパルスは
ある程度の時間幅を有する。そのため、1発目の放射線
による電荷収集中に2発目の放射線が入射した場合、両
放射線によるパルスを2つのものとして区別できず、入
射した放射線数よりも検知される出力パルス数が少ない
ことが起こり得る。つまり、ある程度の時間(分解時
間)以内で時間的に近接して入射した放射線は数え落と
される可能性がある。
【0004】また、GM管等の計数管においては、放射
線によって生じたイオンが、電極間の電界を弱め、放電
が起こりにくくなるという現象が生じる。特に、陽イオ
ンは電子に比べて質量が大きく移動度が小さいのでスイ
ープされるまでの時間が長くなる。このような現象によ
って、GM管等においても、それ以下の時間間隔で入射
した放射線が数え落とされる分解時間が存在する。
【0005】測定によって得られた計数率をN、分解時
間をτとすると、放射線検出装置が計数動作不能である
時間(不感時間)はNτとなり、その測定時間に占める
割合は、計数率Nが大きいほど高くなる。つまり、強い
放射線試料の測定において特に数え落としの割合が大き
くなるわけである。
【0006】数え落としのない真の計数率をN0とする
と、従来は以下の式を用いてN0を求めることにより、
数え落としの補正を行っていた。
【0007】 N0=N+NN0τ ………(1) N0=N/(1−Nτ) ………(2) なお、数え落としの影響を受けた測定値Nは(1)式を
変形して得られる次式で表現される。
【0008】 N=N0/(1+N0τ) ………(3)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上式は、放射
線が一定時間間隔で入射するという前提の下で成り立つ
ものである。つまり、計測時間中に計数率が変化する場
合には、一般には誤差が大きくなるという問題があっ
た。このことを具体的な数値例を用いて示す。
【0010】ここで分解時間をτ=1.0×10
-4[秒]とすると、(3)式からN0=1.0×10
3[cps]の場合の測定値N=9.1×102[cp
s]、N0=1.0×104[cps]の場合はN=5.
0×103[cps]となる。これらNに対し(2)式
により補正を行うと、当然のことながらそれぞれN0
1.0×103[cps]、N0=1.0×104[cp
s]という正しい値が得られる。
【0011】さて、問題となるのは測定時間中に計数率
が変化する場合である。例えば、測定時間の半々におい
てそれぞれN0=1.0×103[cps]、N0=1.
0×104[cps]となる場合を考える。この場合は
容易に分かるように測定時間全体では、 N0=5.5×103[cps] ………(4) となる。しかし、測定時間全体での測定値Nは、 N=9.1×102×0.5+5.0×103×0.5 ≒3.0×103[cps] ………(5) となる。この値を(2)式に代入して補正を行うと、 N0=4.3×103[cps] ………(6) となる。この値は(4)式で示される正しい値に対し大
きな誤差を有している。このように計数率が測定時間内
に変化する場合に対する従来の補正方法は、上述のよう
な単純な場合に対する理論的な計算によっても正しい結
果をもたらさない。これは、(2)式が非線形であるこ
とに起因するものである。
【0012】本発明は上記問題点を解消するためになさ
れたもので、放射線測定部の不感時間に起因する数え落
としに対する補正の精度が向上した放射線検出装置を提
供することを目的とし、放射線管理等における安全性の
向上を図る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る放射線検出
装置は、互いに異なる感度で放射線を検知しそれぞれ放
射線計数率を出力する複数の放射線測定部と、前記放射
線測定部の不感時間に起因する放射線の数え落としを補
正した放射線計数率である不感補正計数率を求める計数
率補正演算部とを有し、前記計数率補正演算部は、前記
各放射線測定部からの前記放射線計数率を比較して前記
不感補正計数率を求めることを特徴とする。
【0014】本発明によれば、放射線測定部は1つの放
射線を検出するとその後、短時間であるが放射線を検出
することができない不感時間を伴う。ここでいう不感時
間とは、複数の放射線が入射しても単一のイベントとし
かカウントされない時間間隔である。よって検出器が放
射線に全く反応しないといった狭義の不感時間のみなら
ず、検出器の状態が先の放射線の入射した状態からの回
復が十分でないといった原因で出力パルス波高が不十分
であり電気回路のパルス計数動作が行われないというよ
うな分解時間まで含まれる。
【0015】本発明では、放射線測定部は感度の異なる
ものが少なくとも2つ備えられる。本発明の好適な態様
は、前記複数の放射線測定部において、放射線を検知す
る有感領域の大きさが互いに異なることにより前記感度
が相違するものである。例えば、放射線測定部が半導体
放射線検出器を採用する場合には、有感領域の大きさは
検出部を構成する半導体基板の面積に応じたものとな
る。放射線測定部の感度を相違させる手段は上述のよう
な有感領域の大きさによるものだけに限られず、例えば
検出部に印加する電圧を相違させたり、異なる検出機構
を用いる等の方法によることも可能である。
【0016】複数の放射線測定部は互いに異なる感度を
有するため、同一放射線環境下に置かれていても放射線
の計数頻度が異なる。そのため測定時間に対する不感時
間の割合も異なり、よって、両者の数え落としの程度も
相違する。本発明では、これら複数の放射線測定部から
得られる放射線計数率を比較して、数え落としを補正し
た放射線計数率である不感補正計数率を求める。一般に
放射線密度が高く、また放射線測定部の感度が高いほど
数え落としの割合が増大する。そこで例えば、各放射線
測定部の放射線計数率を感度に基づいて規格化すると、
それらの差異は放射線密度に応じて拡大する。本発明で
はそのような差異から不感補正計数率を求める。本発明
によれば、複数の放射線計数率を比較して不感補正計数
率を定める過程において、数え落としの上記非線形性の
影響を相殺または緩和する作用を得ることができる。
【0017】本発明に係る放射線検出装置は、前記計数
率補正演算部が、前記複数の放射線測定部からそれぞれ
出力される前記放射線計数率同士の比を求め、当該放射
線計数率の比に基づいて前記不感補正計数率を求めるこ
とを特徴とする。
【0018】本発明によれば、複数の放射線測定部から
の放射線計数率同士の比を求める。この測定により得ら
れた比には、それに対応する理論値を求めることができ
る。その理論値は、真の放射線計数率に対して単調な関
数(すなわち単調減少関数または単調増加関数のいずれ
か)で表されるので、測定により得られた比に対して真
の放射線計数率として採用すべき不感補正計数率を一意
に定めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0020】図1は、本発明の実施形態であるγ線用サ
ーベイメータの概略のブロック図である。本装置は、そ
れぞれ放射線を検知・計数して放射線計数率を出力する
2つの放射線測定部2、4を有する。放射線測定部2、
4から出力されたそれぞれ放射線計数率は、演算回路6
に入力される。演算回路6での処理結果、例えば放射線
計数率等の測定結果は表示部8に表示される。放射線測
定部2、4はそれぞれ半導体検出器10、12を有す
る。
【0021】これら半導体検出器は、有感面に平行な面
状のPN接合を内部に有した半導体をセンサとして用い
る。PN接合には逆バイアス電圧が印加され電荷空乏層
が形成され、その電荷空乏層においてγ線が電子とホー
ルの対を生成すると、それらが半導体中の電位勾配に応
じて移動し電流を生じ、これらがそれぞれパルス状の電
気信号として出力される。
【0022】半導体検出器10、12にはそれぞれ増幅
器14が接続される。増幅器14で増幅された電気信号
は、各増幅器14にそれぞれ接続されたスケーラ16に
入力される。スケーラ16は入力される電気信号のうち
所定の閾値を超えるイベントをもって放射線検出信号で
あるパルス信号を計数する。
【0023】放射線測定部2、4それぞれのスケーラ1
6から出力される放射線計数率は、演算回路6に入力さ
れる。本装置は、この演算回路6が、放射線測定部2、
4の不感時間に起因する放射線の数え落としを補正する
処理を行う。つまり、演算回路6は計数率補正演算部と
しての機能を有し、不感時間に起因する数え落としが補
正された不感補正計数率を求めることができる。この補
正された計数率は例えば適当な放射線線量の単位に換算
され、表示部8に測定結果として表示される。本装置の
特徴の一つは、放射線測定部2、4が異なる感度を有す
ることである。具体的には、半導体検出器10は、有感
面積が10mm角(以下、10mm□と表示する)、す
なわち100mm2であり、一方、半導体検出器12
は、有感面積が3mm角(以下、3mm□と表示す
る)、すなわち9mm2に構成される。これにより両半
導体検出器10、12は基本的にはそれらの面積比に応
じた感度比を有する。
【0024】この感度の違いにより、基本的には放射線
測定部2、4からそれぞれ出力される放射線計数率の比
は、半導体検出器10、12に同一密度の放射線を照射
した場合には半導体検出器10、12の面積比に等しく
なるはずである。しかし、一般に、感度に起因する計数
率の違いにより、放射線測定部2と放射線測定部4とで
は、測定時間に占める不感時間の割合が異なり、それら
から出力される計数率の比は面積比にはならない。具体
的には、感度の高い放射線測定部2の不感時間の割合
は、感度の低い放射線測定部4より大きくなる。そのた
め、比(放射線測定部2の計数率/放射線測定部4の計
数率)は、通常は放射線の密度の増大につれて100/
9から低下していく。
【0025】図2は、放射線密度が増大した場合の数え
落としに起因する計数効率の低下の様子を説明するグラ
フである。ここで計数効率とは半導体検出器の有感面積
に入射した放射線のうち計数された放射線の数の割合の
ことである。計数効率をηで表すと、 η=N/N0 ………(7) で表され、(3)式より、 η=1/(1+N0τ) ………(8) となる。
【0026】ここで以下の説明において、半導体検出器
の有感面積の違いを明確にするために、1mm2当たり
の真の計数率(これは放射線密度に相当する)をn
0[cps/mm2]、数え落としの影響を受けた計数率
をn[cps/mm2]、また半導体検出器の有感面積
をS[mm2]で表すことにする。すると、(8)式
は、 η=1/(1+n0Sτ) ………(9) となる。図2は、S=100[mm2](以下S1とお
く)の半導体検出器10と、S=9[mm2](以下S2
とおく)の半導体検出器12とについて、(9)式によ
り得られるηを、横軸にn0をとってプロットしたもの
である。ここで分解時間τ=1×10-5[秒]に設定さ
れている。図に示され、また(9)式からも容易に理解
されるように、放射線密度n0が増大すると計数効率η
は減少し、その減少は有感面積の大きい半導体検出器1
0を有する放射線測定部2に対応する曲線50の方が、
放射線測定部4に対応する曲線52よりも早い段階で顕
著となる。曲線50、52相互の間には、曲線50を半
導体検出器10と半導体検出器12の面積比に応じた量
だけ右にシフトさせたものが曲線52になるという関係
がある。
【0027】さて、放射線密度n0が一定又は安定して
いるような場合、例えば半減期の長い放射の線源の強度
測定のような場合には、従来より(9)式に基づいて精
度のよい補正が行われていた。しかし、この従来の補正
は上述したようにn0が測定時間内に変化する場合には
誤差が大きくなるという問題を有する。
【0028】本装置の演算回路6は、感度の異なる複数
の半導体検出器からの計数率を利用して、この数え落と
し補正の精度を改善した補正処理を行う。以下、本装置
におけるこの補正処理を説明する。
【0029】演算回路6は、放射線測定部2、4からそ
れぞれ出力された計数率Nをそれぞれの半導体検出器1
0、12の有感面積Sで除して、nを求める。以下、放
射線測定部2の計数率に対応するnをn1、放射線測定
部4の計数率に対応するnをn2と表す。ここで注意す
べきことは、n1、n2はある測定時間における平均の計
数率であるということである。つまり、上記問題に対す
る従来の補正処理との違い、すなわち本装置の効果を示
すために、以下の説明は、測定時間中に計数率が変化す
る場合を前提としている。もちろん、その特殊な場合と
して、測定時間にわたって計数率が一定である場合に対
しても本装置の補正処理は有効である。
【0030】さて、従来の補正は既に述べたように、測
定時間中に計数率が変化する場合、図2に示されるよう
な計数効率の非線形的な特性によって誤差が大きくなる
という問題があった。本装置は、放射線測定部2から得
られる計数率N1(又はn1)と、放射線測定部4から得
られる計数率N2(又はn2)というそれぞれ上記非線形
性の影響を受ける2つの測定値を用いて、互いの非線形
性の影響の緩和を図るものである。つまり、本装置の原
理は、各測定値は共通の計数率変化の影響を受けたもの
であるので、N1とN2の比較、又はn1とn2の比較に基
づいて、それぞれの測定値が受けた非線形性の影響を部
分的にではあるがキャンセルできるというものである。
ここで2つの放射線測定部から得られる測定値の比較
は、各測定値が計数率変化の影響を“同様に”受けてい
ることから、数学的には両者の差又は比という形で取り
扱うことができる。
【0031】具体的な処理内容について述べる。第一の
方法は、次の(10)式で定義されるn1とn2との比r
に基づいて不感補正計数率n0を求めるものである。
【0032】 r=n1/n2 ………(10) このrが、(3)式から得られ次の(11)式に示され
る理論値r0により近似されるとしてn0を求める。
【0033】 r0=(1+n02τ)/(1+n01τ) ………(11) すなわち、 r=r0 ………(12) を解くことにより、測定値n1、n2に基づいた比rか
ら、数え落としのない計数率n0を求めることができ
る。ちなみに(12)式を解くと次式が得られる。
【0034】 n0=(1−r)/τ(rS1−S2) ………(13) 第二の方法は、上記第一の方法と基本的には同様である
が、比をN1とN2とに基づいて定義する点が異なる。つ
まり、この場合は、次の(14)式で定義されるN1
2との比Rを用いる。
【0035】 R=N1/N2 ………(14) ここで R=(S1/S2)r ………(15) を(13)式に代入すると、次の(16)式で表される
不感補正計数率n0のRを用いた表現形式が得られる。
【0036】 n0=(S1−RS2)/τS12(R−1) ………(16) 第三の方法も、上記方法と基本的には同様であるが、不
感補正計数率n0がN1とN2の差及びn1とn2の差を含
んだ形の式から求められる点が異なる。この場合は、n
0は次の(17)式で表される。
【0037】 n0=(n2−n1)/τ(n11−n22) =(n2−n1)/τ(N1−N2) ………(17) このように、演算回路6においては、N1とN2の比/
差、又はn1とn2の比/差といった、2つの放射線測定
部からの計数率の比較に基づいて不感時間の補正が行わ
れた計数率n0が求められる。以下、この補正により得
られたn0を、n0の真値と区別するため、nCORと表す
ことにする。
【0038】次に本装置の補正処理例を示す。ここで
は、解決しようとする従来の問題に対する効果を示すた
め、測定時間中に放射線密度が変化する場合を取り扱う
必要がある。単純のため、測定時間は、放射線密度n0
=n0Aの期間tAと、放射線密度n0=n0Bの期間tB
の2つからなるものとする。この場合、n0は、測定時
間(tA+tB)中の平均値で表される。以下、そのn0
の平均値を〈n0〉と表記する。すなわち、 〈n0〉=(n0AA+n0BB)/(tA+tB) ………(18) である。一方、(13)、(16)、(17)式で表さ
れるnCORは、上述したようにN1、N2等の測定値がす
でに測定時間中の時間的変化を含んだものであるので、
改めて平均処理をする必要はない。
【0039】図3は、本装置による補正結果を示すグラ
フである。ここでは、tAとtBの時間比率tB/tA、及
びn0Aを固定することにより、横軸に真値〈n0〉の変
化に対応する変数としてn0Bを採用している。縦軸は、
次式で定義される補正率θである。
【0040】 θ=nCOR/〈n0〉 ………(19) なお、この図ではtB/tA=1、n0A=1.0×104
[cps/mm2]、τ=1×10-5[秒]である。曲
線60が(19)式で表される本装置によるθのグラフ
である。同図には、比較のため放射線測定部2、4それ
ぞれの計数率に対し(2)式を用いた従来の補正を行っ
た場合の補正率θも併せて示されている。具体的には曲
線62が、放射線測定部2からの計数率N1、n1のみを
用いた従来補正の結果であり、 θ=n1/{(1−N1τ)〈n0〉} ………(20) で計算される結果がプロットされている。また曲線64
が、放射線測定部4からの計数率N2、n2のみを用いた
従来補正の結果であり、 θ=n2/{(1−N2τ)〈n0〉} ………(21) で計算される結果がプロットされている。
【0041】補正率θは、基本的には1に近いことが望
ましい。本装置によるθと従来の補正によるθとはとも
に、n0Bがn0Aに近い範囲では、ほぼ1となり良好な補
正が行われることが分かる。なお、このn0B〜n0Aなる
範囲は従来の補正処理が有効な範囲であるが、詳細に検
討すると、本装置のθ(曲線60)は、従来例によるい
ずれのθ(曲線62、64)よりも、n0Bがn0B=n0A
から離れるときのθ=1からの減少が緩やかでより1に
近いθが得られ、より好ましい補正が行われていること
が分かる。例えば、本装置では、n0B=8.0×102
〜2.0×104[cps/mm2]の範囲において、θ
=1.0(±6%)に維持されるが、同様の補正精度
は、従来の曲線62ではn0B=6.0×103〜1.7
×104[cps/mm2]、また従来の曲線64ではn
0B=4.0×103〜2.0×104[cps/mm2
という本装置よりはるかに狭い範囲でしか得られない。
【0042】例えば、±6%の精度が得られる範囲は、
本装置ではn0Bとn0Aとの比が10倍以上となる範囲で
ある。通常の測定間隔では、この程度の放射線密度の時
間的な変化、つまりダイナミックレンジに対応できれ
ば、十分であると考えられる。
【0043】また、従来のθは、n0Bがn0B=n0Aから
離れると、減少するのに対し、本装置では、n0B<〜
1.0×103[cps/mm2]の範囲では、θが1か
ら増加するという特徴を示す。このことは、従来装置、
本装置ともθが1から離れ補正精度が劣化するという意
味では同じである。しかし、本装置のこの範囲での特性
は、nCOR、すなわち補正により得られたn0が真値より
も大きく評価され、放射線管理を安全側に導く点で、従
来装置とは異なる、より好ましい特徴であるということ
ができる。
【0044】図4は、本装置による補正結果を示す他の
グラフである。ここでは、n0A、n0Bを固定する一方
で、比tB/tAを変化させる。つまり横軸に真値
〈n0〉の変化に対応する変数として比tB/tAを採用
している。縦軸は、図3と同様である。なお、この図で
はn0A=1.0×104[cps/mm2]、n0B=1.
0×103[cps/mm2]、τ=1×10-5[秒]で
ある。曲線70が、tB/tAに対し(18)、(19)
式を用いて算出したθをプロットしたものである。ま
た、図4には比較のため図3同様、従来の補正による補
正率θも併せて示されている。具体的には曲線72がそ
れぞれ、放射線測定部2からの計数率N1、n1のみを用
いた従来補正によるθであり、曲線74が、放射線測定
部4からの計数率N2、n2のみを用いた従来補正による
θである。なお、図4の比tB/tA=1におけるθの値
は、図3のn0B=1.0×103[cps/mm2]にお
ける値に対応している。
【0045】各曲線70〜74は、比tB/tAが0に近
いほどθは1に近く良好である。これは、tB/tAが0
に近いほど、従来補正が有効である一定放射線密度(n
0=tAで一定)という条件に近くなるからである。しか
し、比tB/tAが大きくなり異なる放射線密度同士の平
均の効果が無視できなくなるにつれ、各補正によるθは
少なくとも図3に示されるn0B=1.0×103[cp
s/mm2]における値にまでは変化する。そして、さ
らに比tB/tAが大きくなり、∽に近づくにつれて、再
び一定放射線密度(n0=tBで一定)という条件に近く
なり、各θは再び1に近づく。
【0046】このように、図3に示した本装置の良好な
補正率は、比tB/tA=1においてのみ成立するもので
はなく、いかなる比tB/tAにおいても成立するもので
ある。
【0047】また、例えば従来の補正による補正率θの
低下は、比tB/tAの限られた狭い範囲でしか無視でき
ない。つまり、残りの大抵の場合は、補正率が大きく低
下する。そのため、例えば、バースト状の放射線、すな
わち短時間tεだけ極めて強い放射線が発生され、残り
の時間は低い放射線密度であるような場合には、
〈n0〉は低くしか評価されず安全管理上問題がある。
これを従来の補正方法により精度よく捉えようとする
と、測定時間をtε程度まで十分に短くしなければなら
ない。これに対し、本装置では、このようなバースト状
放射線に対しては、その持続時間が如何なるものであっ
ても、補正率θは1程度以上となり、放射線量が過小評
価されることがないので安全である。
【0048】本装置の演算回路6は、以上説明したよう
な補正処理を行い、その結果を表示部8に表示する。ま
たそれを図示しない記録装置に入力し記録してもよい。
【0049】なお、上記装置は、放射線測定部を2つの
み備えるものであったが、本発明は、互いに異なる感度
を有する放射線測定部を3つ以上備える構成をも含むも
のである。例えば、そのような構成において、放射線測
定部の組み合わせごとに異なる、良好な補正率θを得ら
れる〈n0〉の範囲を、測定された計数率に応じて切り
替え選択して使用することにより、より広範な範囲で良
好な数え落とし補正を行うことができる。
【0050】
【発明の効果】このように、本発明の放射線検出器によ
れば、異なる感度の複数の放射線測定部を有し、計数率
補正演算部が、各放射線測定部からの放射線計数率を比
や差といった形で比較して、不感時間に起因する放射線
の数え落としが補正された不感補正計数率を求める。こ
れにより、各放射線計数率が含む数え落としの影響が、
キャンセルされ、放射線計数率の精度向上、又は過小評
価が回避されるといった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態であるγ線用サーベイメー
タの概略のブロック図である。
【図2】 放射線密度が増大した場合の数え落としに起
因する計数効率の低下の様子を説明するグラフである。
【図3】 本装置による補正率θを示すグラフであり、
時間平均される2つの強度の放射線の一方の強度を横軸
にとって表示したものである。
【図4】 本装置による補正率θを示すグラフであり、
2つの強度の放射線の時間比を横軸にとって表示したも
のである。
【符号の説明】
2,4 放射線測定部、6 演算回路、8 表示部、1
0,12 半導体検出器、14 増幅器、16 スケー
ラ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線の計数率を測定する放射線検出装
    置において、 互いに異なる感度で放射線を検知しそれぞれ放射線計数
    率を出力する複数の放射線測定部と、 前記放射線測定部の不感時間に起因する放射線の数え落
    としを補正した放射線計数率である不感補正計数率を求
    める計数率補正演算部と、を有し、 前記計数率補正演算部は、前記各放射線測定部からの前
    記放射線計数率を比較して前記不感補正計数率を求める
    こと、 を特徴とする放射線検出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の放射線検出装置におい
    て、 前記複数の放射線測定部は、放射線を検知する有感領域
    の大きさが互いに異なることにより、前記感度が相違す
    ることを特徴とする放射線検出装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の放射線検出装置におい
    て、 前記計数率補正演算部は、 前記複数の放射線測定部からそれぞれ出力される前記放
    射線計数率同士の比を求め、 当該放射線計数率の比に基づいて前記不感補正計数率を
    求めること、 を特徴とする放射線検出装置。
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JP2016080576A (ja) * 2014-10-20 2016-05-16 日本電子株式会社 ライブタイム比演算回路、ライブタイム比演算方法、放射線検出装置、および試料分析装置

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