JPH11131187A - 迅速黒鉛化鋼および迅速黒鉛化鋼の製造方法 - Google Patents

迅速黒鉛化鋼および迅速黒鉛化鋼の製造方法

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JPH11131187A
JPH11131187A JP29241497A JP29241497A JPH11131187A JP H11131187 A JPH11131187 A JP H11131187A JP 29241497 A JP29241497 A JP 29241497A JP 29241497 A JP29241497 A JP 29241497A JP H11131187 A JPH11131187 A JP H11131187A
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Hiroshi Kakou
浩 家口
Goro Anami
吾郎 阿南
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間の黒鉛化処理で黒鉛化が完了し、冷
間鍛造などの冷間加工性を確保することは勿論、その後
短い容体化処理時間であっても調質処理後の強度を充分
確保でき、しかも冷間加工におけるハンドリング性の良
い迅速黒鉛化鋼を提供する。 【解決手段】 C:0.3〜0.8%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.1
0 〜0.9%、P0.030% 以下、S:0.001 〜0.10% 、B:0.0003
〜0.015%、Al:0.01 〜0.5%、N:0.0015〜0.010%を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、熱間圧延
後の鋼組織が初析フェライトを体積率で5%以上含有する
とともに、該初析フェライトの平均粒径が、JIS 粒度番
号で、8 以上とした迅速黒鉛化鋼と、これら化学成分の
鋼を、最終圧延温度を950 ℃以下で熱間圧延後するとと
もに、その後750 〜450℃までの範囲を0.1 〜10℃/sec
の平均冷却速度で冷却する迅速黒鉛化鋼の製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業機械および自
動車部品等の素材として用いられる機械構造用の黒鉛化
鋼に関し、特に熱間圧延後のハンドリング特性および冷
間鍛造性と調質処理による焼入れ性 (強度回復性) に優
れた迅速黒鉛化鋼およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、冷間鍛造法などの冷間加工は、
熱間鍛造などの熱間加工に比して、生産効率や材料歩留
りが高く、仕上げ寸法精度に優れることから、ボルトや
ナットを始めとして、各種機械部品の製造に広く用いら
れている加工方法である。
【0003】この冷間鍛造法による機械部品の製造に適
用される鋼材としては、C が0.45% 程度のJIS S45C鋼に
球状化焼きなましを施し、鋼を軟質化させて用いられる
ことが多い。この軟質化により、冷間鍛造時の加工性や
被削性を確保された鋼材は、冷間鍛造後に、機械部品と
しての要求強度を確保(回復)するため、容体化−焼入
れ−焼戻し処理(以後調質処理と称す)を行う。
【0004】しかし、前記球状化焼きなまし処理は長時
間を要するためにコストアップの要因となるので、この
処理の時間短縮が求められている。更に、前記球状化焼
きなまし処理においても充分な加工性が得られるまで軟
化させることができず、鋼の変形抵抗を増加させ、冷間
鍛造用金型の寿命が低下したり、鍛造荷重の増加を招い
たりする、冷間鍛造性(加工性)の問題が生じている。
【0005】そこで、前記球状化焼きなまし方法に替え
て、機械構造用鋼を黒鉛化処理し、鋼中のセメンタイト
を一旦黒鉛化して、鋼を主として黒鉛およびフェライト
からなる組織とし、冷間加工性を確保する試みがなされ
ている。この黒鉛化処理鋼は、セメンタイトと異なり、
黒鉛が鋼に比べて極めて軟質で潤滑性も有するので、鋼
の強度を上げずに、冷間鍛造性や切削性を改善すること
が可能である。また、冷間鍛造後の調質処理により、鋼
を加熱し黒鉛をオーステナイト中に再固溶させた後で焼
入れることで、焼入れ性の確保(強度回復性)も、前記
球状化焼きなまし鋼と同様に可能であると考えられる。
【0006】ただ、この黒鉛化処理鋼は、鋼中のセメン
タイトの黒鉛化処理に長時間の熱処理を要すことが実用
化への障害である。このため、従来から、この処理時間
を短縮する試みが種々提案されている。例えば、特開平
5-255803号、特開平6-57368 号公報では、黒鉛化鋼中に
BNを含有させることで黒鉛の析出核とし、黒鉛化時間を
短縮する方法が開示されている。また、特開平6-57369
号、特開平6-116678号公報では、鋼組成を1.5 〜2.0 の
高Siとし、特にB 、Alを添加すると同時に、Cu、Ni、N
b、Tiなども添加して、冷間加工時の変形抵抗と変形能
を改善し、合わせてBNとAlN を核に黒鉛を生成させるこ
とで、鋼中セメンタイト(C) の黒鉛化を容易にし、黒鉛
化時間を短縮する方法が開示されている。
【0007】因みに、この種の黒鉛化鋼(黒鉛化処理さ
れる鋼)では、調質処理における鋼の焼入れ性を確保す
るために通常添加される、Mn、Cr、Ti、Nb等の焼入れ性
向上元素は、セメンタイトを安定化させ黒鉛化を阻害す
るため、多量には使えない。これに対し、前記B は、こ
れら元素と異なり、黒鉛生成の核となるBNを形成して黒
鉛化を促進するとともに、焼入れ性にも寄与する。
【0008】更に、特開平7-102319号、特開平8-60295
号、特開平8-60296 号公報では、黒鉛化時間の短縮には
前組織の微細化が有効であることを利用して、熱間圧延
後の鋼組織を微細なマルテンサイトとし、黒鉛化鋼の黒
鉛化時間を短縮する方法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、冷間鍛造後の
調質処理により、鋼を加熱し黒鉛をオーステナイト中に
再固溶させる黒鉛の容体化は一般的に困難であり、完全
な容体化には高温長時間の熱処理が必要である。したが
って、前記特開平5-255803号、特開平6-57368 号、特開
平6-57369 号、特開平6-116678号公報等の鋼中にBNやAl
N を含有させて、黒鉛の析出核とし、黒鉛化サイズを縮
小する方法では、容体化処理の時間短縮はそれなりに図
れるものの、実用化の点からすると、まだ長時間かかり
すぎる容体化処理が必要である。また、焼入れ性にも寄
与するB を含んでもなお、調質後の各種機械部品として
の強度を確保できない問題を残していた。
【0010】例えば、通常この種の調質処理は、870 ℃
×30分の加熱、焼入れ、550 ℃×1 hrの焼戻しの条件で
行われる。しかし、この調質処理を、前記従来のB 入り
黒鉛化鋼に施しても、調質処理後の強度が、黒鉛化処理
せずに調質処理した鋼の強度に比して90% 未満程度しか
回復せず、機械部品としての高機能、高性能化の要求に
対応する強度を確保できない。また、調質処理における
加熱温度を高くすると、炉の耐火物の寿命が短くなると
同時に、鋼材の結晶粒度が粗大化し、機械的性質が劣化
する問題がある。
【0011】このように、黒鉛化処理した鋼の調質後の
強度が、黒鉛化処理せずに調質処理した鋼の強度に比し
て90% 未満に低下する(焼入れ性が悪い)のは、黒鉛が
鋼中に再溶解しにくく、鋼中に再溶解させるために時間
を要するためである。前記従来のB 入り黒鉛化鋼でも、
B の添加により、BNなどの析出物を利用して、黒鉛を微
細に析出させるから、B無添加鋼よりは、黒鉛の鋼中へ
の再溶解が促進しているはずである。しかしながら、前
記のように短い容体化処理時間では、従来のB入り黒鉛
化鋼でも、充分に黒鉛が溶解するほど黒鉛を微細化でき
ないため、依然として充分な強度が確保できないのが実
情である。
【0012】これに対し、容体化処理時間を延ばして黒
鉛の鋼中への再溶解時間を確保する手法も考えられる
が、機械構造部品製造工程の効率や製造コストの面か
ら、実用的な方法とは言いがたい。
【0013】また、前記特開平7-102319号、特開平8-60
295 号、特開平8-60296 号公報のような黒鉛化処理の前
組織を微細なマルテンサイトとする方法は、炭素を多量
に含む必要があるので、この鋼を焼入れた場合、強度が
高くなるとともに靱性が劣化しやすい。したがって、こ
の結果、熱間圧延自体が不可能となる。また、熱間圧延
後に熱処理したマルテンサイトとする方法は工程が増加
するので、大きなコストアップとなり、非現実的であ
る。更に、熱間圧延が可能な程度のマルテンサイト分率
とした場合でも、その後に実施される可能性のある冷間
加工のセッティングや加工作業自体が困難であり、ま
た、より大きな問題は、この冷間加工中に、特に疵や割
れなどの表面欠陥を発生しやすい。そして、この冷間加
工におけるハンドリング特性の悪さも黒鉛化鋼の実用化
上の大きな問題となっている。
【0014】従って、本発明は、前記従来技術の問題点
に鑑み、黒鉛化時間を短縮する、言い換えると、短時間
の黒鉛化処理であっても黒鉛化が完了し、冷間鍛造など
の冷間加工性を確保することは勿論、その後の短い容体
化処理時間であっても、調質処理後の強度を充分確保で
きる焼入れ性を有し、しかも熱間圧延後の、結束、切
断、伸線などの各々の冷間加工におけるハンドリング特
性の良い黒鉛化鋼(黒鉛化処理される鋼)を提供するこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この目的のために、本発
明では、黒鉛化鋼の化学成分組成を、質量%にてC:0.3
〜0.8%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.10 〜0.9%、P0.030% 以
下、S:0.001 〜0.10% 、B:0.0003〜0.015%、Al:0.01 〜
0.5%、N:0.0015〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなり、熱間圧延後の鋼組織が、初析フェ
ライトを5%以上含有するとともに、該初析フェライトの
平均粒径がJIS 粒度番号8 以上であるものとする。
【0016】結束、切断、伸線などの各々の前記冷間加
工におけるハンドリング特性を確保するために、本発明
鋼では、熱間圧延後の鋼組織が、初析フェライトを体積
率で5%以上含有する組織とする。初析フェライトを体積
率で5%以上含有する組織とすることにより、鋼を軟質化
し、前記冷間加工におけるハンドリング特性を確保する
ことが可能である。初析フェライトを除く残りの組織と
しては、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトの一
種以上の組織として良いが、前記した通り、マルテンサ
イトは、鋼を焼入れた場合、強度が高くなるとともに靱
性が劣化しやすく、結束、切断、伸線などの各々の冷間
加工におけるハンドリング特性を阻害しやすい。したが
って、パーライトまたはベイナイトとを主体とし、フェ
ライト+パーライト、あるいはフェライト+ベイナイト
を基本とする混合組織が軟質化に良好である。初析フェ
ライトの体積率の上限は、最終的な鋼の機械的性質を満
足させるために必要なC 量によって決められるが、冷間
加工におけるハンドリング特性を良くする鋼の軟質性を
確保するためには、初析フェライトの体積率は最低5%以
上、望ましくは10% 以上、より望ましくは20% 以上必要
である。
【0017】また、初析フェライトを体積率で5%以上含
有する熱間圧延後の鋼組織において、黒鉛の多量の核生
成を促し、黒鉛化時間を短縮し、鋼の特性として、短時
間の黒鉛化処理であっても黒鉛化が完了し、鋼組織が主
として黒鉛およびフェライトからなり、冷間鍛造性を確
保するためには、前記初析フェライトの量だけではな
く、初析フェライトの平均粒径をJIS 粒度番号8 以上に
細粒化することが必要である。一般的にも、フェライト
+パーライト組織鋼において、パーライトを微細な層状
セメンタイトにする方が、黒鉛化に有効であることは、
金属学会誌、vol.51,1987,第518 〜524 頁等において知
られているが、本発明では、初析フェライトの微細化が
黒鉛の多量の核生成場所の増加に有効であることを知見
した。具体的には、該初析フェライトの平均粒径をJIS
粒度番号8 以上、好ましくは10以上とすることにより、
この効果は得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明における化学成分
の限定理由について説明する。C:0.3 〜0.8%。C は黒鉛
層の形成のためには不可欠な元素であり、また機械部品
として本発明鋼の最低要求強度(590N/mm2)以上を確保
するための必須の元素である。この効果を発揮するため
には0.3%以上の含有が必要である。しかし、0.8%を超え
て過多に含有すると、初析フェライトの生成が難しくな
ると同時に、熱間圧延後の鋼の強度(TS)が高くなりす
ぎ、特に冷間加工におけるハンドリング特性を劣化させ
るとともに、冷間鍛造性も劣化させる。したがって、C
の含有量は0.3 〜0.8%の範囲とする。
【0019】Si:0.5〜2.0%。Siは、鋼中のセメンタイト
を不安定にして、黒鉛化処理時の黒鉛化を促進するとと
もに、鋼溶製時の脱酸剤としても作用する。この効果を
発揮するためには、0.5 % 以上の含有を必要とする。し
かしながら、2.0%を超えて過多に含有すると、熱間圧延
時の脱炭が著しくなる。したがって、Siの含有量は0.
5 〜2.0%の範囲とする。
【0020】Mn:0.10 〜0.9%。Mnは、鋼の焼入れ性を高
め、鋼の強度を確保する上で有用な元素である。また、
S と結合して鋼の被削性の保持に最低必要なMnS を生成
させる効果もある。これらの効果を発揮するためには、
0.10% 以上の含有が必要であるが、0.9%を超えて含有す
ると、初析フェライトの分率の確保が難しくなると同時
に、鋼の黒鉛化を阻害し、熱間圧延後の鋼の強度TSが高
くなりすぎ、特に冷間加工におけるハンドリング特性を
劣化させるとともに、冷間鍛造性も劣化させる。したが
って、Mnの含有量は0.10〜0.9%の範囲とする。
【0021】P:0.030%以下。P は、黒鉛化を阻害し、冷
間鍛造性も劣化させる不純物であり、極力少ない方が好
ましいので、許容量の上限を0.030%以下とする。
【0022】S:0.001 〜0.10% 。S は、Mnと結合して鋼
の被削性の保持に最低必要なMnSを生成させるととも
に、CaとZrを含有する場合に、これらとの複合硫化物を
形成するために重要な元素である。0.001%未満では硫化
物の絶対量が不足し、被削性向上や黒鉛化促進および調
質処理後の強度回復効果が無くなり、逆に0.10% を超え
て含有すると、冷間鍛造時の割れ限界を劣化させ、ま
た、鋼材の熱間圧延で脆化を起こし加工困難となる。し
たがって、S の含有量は0.001 〜0.10% とする。
【0023】B:0.0003〜0.015%。B は、微量の添加によ
り鋼の焼入れ性を向上させるとともに、黒鉛生成の核と
なるBNを形成し、黒鉛化速度を著しく上昇させる元素で
ある。その効果を得るためには0.0003% 以上の含有が必
要であり、0.015%を超えて添加しても効果が飽和する。
したがって、B の含有量は0.0003〜0.015%とする。
【0024】Al:0.01 〜0.5%。Alは、鋼溶製時に脱酸剤
として作用するととともに、黒鉛生成の核となるAlN を
形成し、黒鉛化速度を著しく上昇させる元素である。ま
た、初析フェライトの結晶粒微細化にも有効である。こ
の効果を発揮するためには、0.01% 以上の含有を必要と
するが、一方で0.5%を超えて含有すると、鋼中にAl2 O
3 が多量に生成して、鋼の溶製が困難になるとともに、
却って冷間加工性や被削性に悪影響を与える。したがっ
て、Alの含有量は0.01〜0.5%の範囲とする。
【0025】N:0.0015〜0.010%。N は、黒鉛生成の核と
なるBNやAlN を形成し、黒鉛化を促進する元素である。
また、初析フェライトの結晶粒微細化にも有効である。
この効果を発揮するためには、0.0015% 以上の含有を必
要とするが、0.0015%未満では、BNやAlN 析出量が少な
すぎて黒鉛化に時間がかかり、逆に0.010%を超えると、
冷間鍛造時の割れや鋼材の熱間圧延での割れを増加させ
て加工困難とする。したがって、N の含有量は0.0015〜
0.010%とする。
【0026】以上の成分の他に、本発明では、強度向上
の目的で、更に、Cu、Ni、Co、Vの内から一種または二
種以上、および/ またはCaとZrの内から一種または二種
を含有することができる。但し、これらの元素は、本発
明で重要な黒鉛化にたいする影響が異なるので、以下述
べるように含有量には注意することが必要である。
【0027】Cu、Ni、Co、V は、他のMnやTi、Nb、Mo、
Cr、W と異なり、黒鉛化を抑制せず、逆に黒鉛化を促進
する効果も有し、しかも微量の添加で焼入れ性を向上さ
せ、母材強度を上昇させることができる。したがって、
鋼の更なる高強度化を図る場合には、これらの元素を含
有させるが、含有量が多すぎても効果は飽和し、製造コ
ストの上昇を招き経済的でもないので、Cu:0.1〜2.0%、
Ni:0.1〜2.0%、Co:0.1〜2.0%、V:0.005 〜0.30% の含有
量とする。
【0028】Ti、Nb、Mo、Cr、W も、微量の添加で焼入
れ性を向上させ、母材強度を上昇させることができる。
また、Tiには、炭窒化物を形成し、オーステナイト粒の
粗大化を抑制し、BNを微細に析出させる効果もある。し
かし、これらの元素には、鋼中のセメンタイトを安定化
し、セメンタイトの黒鉛化を抑制する作用があるので、
添加は避けるべきである。しかし、どうしても添加する
必要がある場合あるいは不純物として含まれてくる場合
には、各々黒鉛化を抑制しない含有量以下にすべきであ
る。その含有量の上限は各々、Ti:0.020% 以下、Nb:0.0
20% 以下、Mo:0.10%以下、Cr:0.10%以下、W:0.10% 以下
である。言い換えると、鋼の黒鉛化を抑制しないため
に、Ti、Nb、Mo、Cr、W は、前記上限値までの含有は許
容されるということである。
【0029】Ca:0.0003 〜0.015%、Zr:0.01 〜0.20% 。
CaとZrとは、複合添加することによりCaとZrとの複合硫
化物が析出し、この硫化物を核に析出するBNの数が増加
し、更にこのBNを核にして微細な黒鉛化が進む。この結
果、黒鉛化処理時間を短縮するとともに、容体化処理に
おいて黒鉛が再溶解しやすく、調質処理後の強度が高
く、好ましくは黒鉛化処理前の90% 以上の強度を有する
ようになる。CaとZrとを複合添加することにより黒鉛化
処理時間を短縮できる理由は、CaとZrとを複合添加する
ことにより、CaとZrとの複合硫化物が析出し、この硫化
物を核に析出するBNの数が増加し、更にこのBNを核にし
て黒鉛化が加速されるものと推定される。そして、Caと
Zrとの複合硫化物自体が微細に析出しやすい性質を持っ
ているのか、ある環境下で微細に析出しやすいのかは、
未だ不明であるが、CaとZrとの複合硫化物が微細に析出
することにより、析出するBNも微細となり、更にこのBN
を核にした黒鉛も微細に析出する。そしてこのことによ
って、黒鉛化処理における、セメンタイトの黒鉛化に必
要な時間も短縮されると考えられる。この効果を発揮さ
せるためには、Caで0.0003% 以上、Zrで0.01%以上の含
有を必要とする。一方でこの効果は、Caで0.015%、Zrで
0.20% を超えると飽和する。したがって、含有量は各
々、Ca:0.0003 〜0.015%、Zr:0.01 〜0.20% の範囲とす
る。
【0030】なお、本発明鋼では、Pb、Bi、Te等の鋼の
被削性をより向上させる元素は、積極的には添加しな
い。言い換えると、これらの人体に有害な又は高価な元
素を添加せずとも、加工性なり、被削性を向上できる点
が本発明鋼の利点でもある。
【0031】本発明鋼は、熱間圧延までは、通常のC 、
Mn鋼と同じような製造方法で作ることができる。即ち、
従来公知の転炉、電気炉などで溶製したのち、連続鋳造
法または造塊・分塊法によってスラブやビレットとす
る。その後熱間圧延により所定の形状の線・棒材などの
条鋼や鋼板などにするが、この際、熱間圧延における圧
延終了温度と冷却条件は、熱間圧延後の組織を、初析フ
ェライトを体積率で5%以上含有するとともに、該初析フ
ェライトの平均粒径をJIS 粒度番号で8 以上とする上で
重要である。
【0032】即ち、本発明製造方法では、熱間圧延後の
鋼組織を、初析フェライトを体積率で5%以上含有するた
めに、熱間圧延後750 〜450 ℃までの間の平均冷却速度
を0.1 〜10℃/secとする。平均冷却速度が0.1 ℃/sec未
満では、初析フェライトが粗大化し、平均粒径がJIS 粒
度番号で8 未満となる。また、平均冷却速度が10℃/sec
を越えると、ベイナイトやマルテンサイト組織が生じ
て、初析フェライトを体積率で5%以上含有させることが
できない。冷却方法は、熱間圧延後に水冷しても空冷し
てもよいが、初析フェライトを前記特定の量とするため
には、少なくとも750 〜450 ℃の温度範囲の間を、前記
平均冷却速度で冷却する必要がある。また、450 ℃以降
の冷却も、水冷或いは空冷してもよい。例えば、線材の
場合、熱間圧延後、引き続きコンベア上で鋼線材を巻き
取り、衝風冷却乃至空冷あるいは徐冷で、750 〜450 ℃
までの間を平均冷却速度0.1 〜10℃/secで冷却する。
【0033】また、該初析フェライトの平均粒径をJIS
粒度番号8 以上、好ましくは10以上とするためには、熱
間圧延の最終圧延温度を950 ℃以下、好ましくはフェラ
イトとオーステナイトの2 相域の温度とする必要があ
る。最終圧延温度が950℃を越えると、初析フェライト
の粒径が粗大化し、平均粒径をJIS 粒度番号8以上に微
細にすることができず、冷間鍛造性を確保できない。な
お、最終圧延温度の下限は、好ましくは700 ℃以上とす
る。最終圧延温度が700 ℃未満では、表面きずの多発や
圧延荷重の増加が起こりやすく、熱間圧延自体が困難と
なる。
【0034】更に、前記熱間圧延後に、減面率10% 以上
の冷間加工を行うことによって、黒鉛化処理において、
微細かつ多量の黒鉛の析出を促し、黒鉛化時間をより短
縮することができる。圧延組織に冷間加工を加えると、
微細かつ多量の黒鉛の析出を促すのに有効であること自
体は、鉄と鋼、vol.44,1958,第1180〜1185頁等において
知られている。しかし、本発明の初析フェライトを体積
率で5%以上含有する熱間圧延後の鋼組織において、どの
程度乃至どのような種類の冷間加工を加えるかについて
の開示はない。この点、本発明では、伸線、引き抜き、
押出のいずれかの方法で、減面率10% 以上の冷間加工を
行うとともに、この冷間加工において、鋼の表面の加工
量が、鋼中心部の加工量より大きくなるように行うこと
が、黒鉛化処理において、微細かつ多量の黒鉛の析出を
促し、黒鉛化時間を短縮することができるのを知見し
た。そして、この冷間加工を利用するためには、熱間圧
延材の軟質化が不可欠であり、このためには、初析フェ
ライトの体積率が最低5%以上、望ましくは10% 以上、よ
り望ましくは20% 以上必要である。したがって、この条
件を満足する本発明鋼は、冷間加工におけるハンドリン
グ特性に優れており、黒鉛化時間短縮化のための前記冷
間加工を施すことが可能となる。
【0035】黒鉛化処理においては、析出する黒鉛が微
細なほど、冷間鍛造および調質処理後の機械的性質の向
上、特に強度の回復性が優れる。そして、この黒鉛の微
細化による効果は、鋼の内部よりも、鋼の表面の黒鉛微
細化の方がより大きい。したがって、鋼の表面の黒鉛を
微細化させるためには、熱間圧延後の冷間加工などによ
り、鋼の表面の加工量を増加させることが有効である。
この点、熱間圧延後の冷間加工の中でも、特に、冷間加
工の工具との摩擦により、鋼の表面での歪み量が鋼内部
よりも増加するような、伸線、引き抜き、押出の加工
を、黒鉛化処理前に施すことが、鋼の表面の黒鉛の微細
化を促進する点で有効である。そして、鋼の表面での歪
み量を鋼内部よりも増加させるためには、言い換える
と、鋼の表面の黒鉛微細化の促進効果を得るためには、
伸線、引き抜き、押出加工の減面率を10% 以上とするこ
とが好ましい。この冷間加工の減面率が10% 未満では、
鋼の表面の黒鉛微細化の促進効果を得るための、鋼の表
面での歪み量乃至加工量が不足する。
【0036】以上の加工を行って、所定形状とした鋼
を、冷間鍛造などの冷間加工する前に、焼きなまし処理
などにより黒鉛化処理し、鋼中のセメンタイトを一旦黒
鉛化して、鋼を主として黒鉛およびフェライトからなる
組織とし、冷間加工性を確保する。焼きなまし処理(黒
鉛化処理)条件は、黒鉛化の程度により異なるため一概
に言えないが、一般的には600 〜750 ℃の温度範囲で5
〜20時間保持される。しかし、本発明の目的の一つであ
る黒鉛化処理時間の短縮からは、10時間以内の保持が好
ましい。
【0037】黒鉛化処理された鋼は、冷間鍛造や切削加
工などの冷間加工により機械(構造用)部品とされる。
そして、冷間加工された機械部品は、容体化−焼入れ−
焼戻し処理の調質処理を施され、黒鉛化処理により一旦
低下した強度の回復を行い、要求強度が確保される。前
記した通り、通常この種の調質処理は、まず溶体化処理
のために、A3 点以上、例えば870 ℃×30分間加熱した
のち、水焼入れし、その後低温での脆化域を避けて、目
的強度に応じて、例えば550 ℃×1 時間で焼戻しされる
などの条件で行われる。この通常の調質処理により目標
の強度が得られる焼入れ性(強度回復性)に優れる点
が、本発明の大きな利点である。
【0038】
【実施例】
(実施例1)以下、具体的な実施例を用いて、本発明を更
に説明する。表1 、2 に示した化学成分を有する鋼を転
炉により溶製し、脱ガス処理を施した後に、連続鋳造し
て鋳片を得、これを、加熱温度1150℃で熱間圧延し15mm
φの線材に圧延した。圧延条件は、最終圧延温度を850
℃とし、圧延後直ちに水冷( 平均冷却速度50℃/sec) し
て750 ℃とした後、引き続きコンベア上で巻き取り、平
均冷却速度1 〜2 ℃/secで、750 〜450 ℃の間を空冷し
た。これら圧延後の線材の組織および初析フェライトの
体積率と平均粒径( JIS 粒度番号) を調査した結果を表
3 、4 に示す。なお、表3 、4 における各例の初析フェ
ライトの体積率の違いは、主として表1 、2 に示した化
学成分の違いによる。
【0039】これら圧延後の鋼線材を、黒鉛化処理時間
の短縮に寄与する減面率10% 以上の冷間加工として、減
面率15% の冷間伸線を実施するとともに、適当な長さに
切断し、この冷間伸線性と切断性のハンドリング特性を
評価した。その後、この鋼線に黒鉛化処理を700 ℃で実
施し、自己潤滑作用による冷間加工性確保の目安であ
る、セメンタイトの70% が黒鉛化するまでの時間を測定
した。これらの結果を表3 、4 に示す。なお、黒鉛化す
るセメンタイトの率を100%とせず、70% としたのは、あ
との溶体化処理における黒鉛溶解の難易を考慮したため
である。因みに、黒鉛化させるセメンタイトの率は、確
保する冷間加工性の程度により異なるため一概には規定
しにくい。本発明において、黒鉛化処理後の鋼組織は、
主として黒鉛およびフェライトからなる組織であり、黒
鉛化するセメンタイトの率が100%未満のものも含まれ
る。
【0040】前記セメンタイトの70% が黒鉛化した線材
を、高周波加熱により、1000℃で60秒間加熱して溶体化
処理したのち、水焼入れし、550 ℃で30分間焼戻し後放
冷する調質処理を施し、鋼の引っ張り強さ(TS2)を測定
した。また、比較のために、圧延後の同じ線材を、黒鉛
化処理せずに前記調質処理のみを施したものの引っ張り
強さ(TS1)も測定し、焼入れ性 (強度の回復率)TS2/TS1
を評価した。これらの結果を表3 、4 に示す。なお、表
1 、2 の鋼番号は表3 、4 の鋼番号に各々対応してい
る。なお、実際の機械構造用鋼では、黒鉛化処理後に冷
間鍛造して、機械部品に加工され、その後調質処理を施
し強度を回復させるが、本実施例では、この冷間鍛造
は、本発明における黒鉛化鋼の特性評価には不要である
(黒鉛化処理されれば全て冷間鍛造性は優れる) ので省
略している。
【0041】表3 、4 から分かる通り、発明例の鋼No.1
〜15は、本発明の条件を満足しているため、圧延のまま
のTSも比較的低く、冷間伸線性と切断性のハンドリング
特性も良好である。また、黒鉛化処理時間も11時間以内
と短縮されるとともに、調質処理後の強度が高く、黒鉛
化処理せずに前記調質処理のみを施した鋼に対し、TS2/
TS1 が95% 以上の強度回復率を有する。
【0042】これに対し、比較例の鋼No.16 〜33は、本
発明の成分範囲や組織条件から外れているため、発明鋼
に比して、圧延のままの鋼線材のTSが高い例では切断、
伸線の冷間加工時に疵が発生するなど、熱間圧延後の冷
間加工でのハンドリング特性も劣る。そして、黒鉛化処
理時間が16時間以上と比較的長くなるとともに、調質処
理後の強度も低く、黒鉛化処理せずに前記調質処理のみ
を施した鋼に対し、最高でも89% 程度の強度回復率しか
確保できていない。特に、比較鋼No.17 は炭素量が高す
ぎて圧延材でパーライト単相となり、また、比較鋼No.1
9 はMn量が高すぎて焼入れ性が高くなりすぎ、熱間圧延
材がベイナイト単相となり、両者とも圧延のままのTSが
高く、冷間伸線性と切断性のハンドリング特性も劣り、
伸線時の破断や疵が発生している。更に、比較鋼No.24
と26は、AlあるいはN 含有量が低く、初析フェライト結
晶粒が粗大化しており、冷間伸線性と切断性のハンドリ
ング特性も劣り、伸線時に疵が発生している。なお、他
の比較例について、比較鋼No.16 は炭素量が低すぎ、比
較鋼No.18 はSi量が低すぎる。また、比較鋼No.20 、2
1、23、25、27は、各々、P 、S 、B 、Al、N量が高すぎ
る。比較鋼No.22 はB 量が低すぎる。更に、比較鋼No.2
8 〜33は、各々、選択的添加元素であるCa、Zr、V 、上
限規定元素であるTi、Cr、W の量が高すぎる。
【0043】(実施例2)表1 のNo.1の発明例の圧延線材
( 実施例1 の条件で圧延実施) を、表5 に示した条件で
冷間加工を行い、冷間加工条件の違いによる黒鉛化処理
時間の影響を調査した。黒鉛化条件は実施例1 と同じ条
件で黒鉛化処理を行い、セメンタイトの70% が黒鉛化す
るまでの時間を測定した。また黒鉛化した鋼線を、実施
例1 と同じ条件で調質処理を施し、鋼線の引っ張り強さ
(TS2)を測定した。また、比較のために、圧延後の同じ
線材を、黒鉛化処理せずに前記調質処理のみを施したも
のの引っ張り強さ(TS1)も測定し、強度の回復率TS2/TS
1 も求めた。これらの結果を表5 に示す。表5 から明ら
かな通り、発明例A 〜I は、いずれも減面率10% 以上の
冷間加工が施されているため、黒鉛化処理時間も短く、
調質処理後の強度が高く、黒鉛化処理せずに前記調質処
理のみを施した鋼に対し、95% 以上の強度回復率を有す
る。そして、この表5 に示した冷間加工によっても割れ
や疵などが発生せず、ハンドリング特性にも優れてい
る。したがって、熱間圧延後の減面率10% 以上の冷間加
工が黒鉛化処理時間の短縮に寄与することが分かる。な
お、前記実施例1 においても、黒鉛化処理時間の短縮に
寄与する減面率15% の冷間伸線を実施しており、実施例
1 、2 における発明鋼同士の黒鉛化処理時間は同じよう
なレベルとなっている。
【0044】(実施例3)表1 のNo.1の発明例について、
最終圧延温度と平均冷却速度のみを変化させ、最終線径
22mmφに、熱間圧延および冷間伸線を実施し、黒鉛化処
理および調質処理を行った。これらの例を、実施例1 と
同様の測定項目と方法により評価した。その結果を表6
に示す。表6 から明らかな通り、発明例J 、K 、M 、N
は、いずれも最終圧延温度と平均冷却速度が、本発明範
囲内であるため、黒鉛化処理時間も短く、調質処理後の
強度が高く、黒鉛化処理せずに前記調質処理のみを施し
た鋼に対し、95% 以上の強度回復率を有する。なお、発
明例J 、K 、M 、N は、いずれも伸線加工によっても割
れや疵などが発生せず、ハンドリング特性にも優れてい
た。これに対し、熱間圧延後に10℃/secを越える平均冷
却速度で室温まで冷却した比較例l は、発明例と同程度
の黒鉛化処理時間や、調質処理後の強度を表6 の通り有
しているものの、熱間圧延線材ではベイナイト単相とな
っており、圧延のままのTSが高く、冷間伸線において疵
が生じて、冷間加工におけるハンドリング特性が劣って
いた。したがって、この点からも、本発明製造方法の最
終圧延温度と平均冷却速度を特定した意義が明らかであ
る。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、短時間の黒鉛化処理で
あっても黒鉛化が完了し、冷間鍛造などの冷間加工性を
確保することは勿論、その後短い容体化処理時間であっ
ても調質処理後の強度を充分確保でき、しかも熱間圧延
後の冷間加工におけるハンドリング特性の良い黒鉛化鋼
を提供することができる。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.3〜0.8%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.10 〜
    0.9%、P0.030% 以下、S:0.001 〜0.10% 、B:0.0003〜0.
    015%、Al:0.01 〜0.5%、N:0.0015〜0.010%を含有し、残
    部Feおよび不可避的不純物からなり、熱間圧延後の鋼
    組織が初析フェライトを体積率で5%以上含有するととも
    に、該初析フェライトの平均粒径が、JIS 粒度番号で8
    以上であることを特徴とする迅速黒鉛化鋼。
  2. 【請求項2】 前記化学成分に加えて、Ca:0.0003 〜0.
    015%、Zr:0.01 〜0.20% の一種または二種を含有する請
    求項1に記載の迅速黒鉛化鋼。
  3. 【請求項3】 前記化学成分に加えて、Cu:0.1〜2.0%、
    Ni:0.1〜2.0%、Co:0.1〜2.0%、V:0.005 〜0.30% の一種
    または二種を含有する請求項1または2に記載の迅速黒
    鉛化鋼。
  4. 【請求項4】 前記化学成分の他、Ti:0.020% 以下、N
    b:0.020% 以下、Mo:0.10%以下、Cr:0.10%以下、W:0.10%
    以下とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の迅
    速黒鉛化鋼。
  5. 【請求項5】 前記鋼の組織を、初析フェライトと、パ
    ーライトまたはベイナイトとを主体とした混合組織とす
    る請求項1乃至4のいずれか1項に記載の迅速黒鉛化
    鋼。
  6. 【請求項6】 前記初析フェライトを体積率で10% 以上
    含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の迅速黒
    鉛化鋼。
  7. 【請求項7】 前記初析フェライトを体積率で20% 以上
    含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の迅速黒
    鉛化鋼。
  8. 【請求項8】 前記初析フェライトの平均粒径が、JIS
    粒度番号で、10以上である請求項1乃至7のいずれか1
    項に記載の迅速黒鉛化鋼。
  9. 【請求項9】 前記鋼の表面の加工歪みが、鋼中心部の
    加工歪より大きい請求項1乃至8のいずれか1項に記載
    の迅速黒鉛化鋼。
  10. 【請求項10】 黒鉛化処理後に調質処理された鋼の強
    度が、黒鉛化処理せずに調質処理を施した場合の強度に
    比して、90% 以上である請求項1乃至9のいずれか1項
    に記載の迅速黒鉛化鋼。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10に記載の迅速黒鉛化
    鋼の製造方法であって、熱間圧延の最終圧延温度を950
    ℃以下とするとともに、熱間圧延後750〜450 ℃までの
    範囲を0.1 〜10℃/secの平均冷却速度で冷却する迅速黒
    鉛化鋼の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記最終圧延温度を、フェライトとオ
    ーステナイトの2相域の温度で行う請求項11に記載の
    迅速黒鉛化鋼の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記熱間圧延後に、減面率10% 以上の
    冷間加工を行う請求項11または12に記載の迅速黒鉛
    化鋼の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記冷間加工を、鋼の表面の加工量
    が、鋼中心部の加工量より大きくなるように行う請求項
    13に記載の迅速黒鉛化鋼の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記冷間加工を、伸線、引き抜き、押
    出のいずれかの方法で行う請求項13または14に記載
    の迅速黒鉛化鋼の製造方法。
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