JPH11113739A - 高周波加熱装置用調理容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱室内で調理用器を用い、電波により水を
加熱し蒸気を発生させ、この蒸気で被加熱物を蒸気加熱
する調理用器で、調理容器に手がかけにくく、取り出し
や持ち運びの取り扱いが不便であるという課題があっ
た。 【解決手段】 加熱室２１内に、低誘電率材料によって
形成した本体容器２５を設け、この中に金属材料によっ
て構成した蒸気容器２６を載置する。蒸気容器２６の底
面には電波を遮断し蒸気を通過する開口部２８を設ける
構成とし、蒸気容器の上面には金属製の蓋２７を設け、
蒸気容器２６と共同して電波に対して遮断された空間を
形成する。本体容器２５の外周部には、底面より上面の
開口部が広くなる段部２９を設け、蒸気容器２６にも外
周部に底面より上面の開口部が広くなる段部３０を設け
る。本体容器２５内に蒸気容器２６を載置したとき、段
部２９と段部３０が嵌合し空間ｈを形成するように調理
容器を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電波で被加熱物を加
熱する高周波加熱装置用の調理容器に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】茶碗蒸しなどの卵調理は、電波で急激に
温度が上昇すると巣の発生や破裂を起こすなどうまく調
理できない。また食品が蒸気を吸収ししっとり仕上げる
必要がある肉まん、あんまんなどの蒸し料理の加熱調理
も、水分が蒸発してしまうためにうまく調理できない。

【０００３】このために従来より高周波加熱装置におい
て、卵調理などのスチーム調理を行うには、専用の調理
容器を用い、食品に電波が直接照射されないように電波
遮蔽を行い、加熱室内に置いた水を電波で加熱し蒸気を
発生させて、この蒸気で間接的に食品を加熱するように
するなど、食品の温度上昇を抑えて加熱を行っていた。

【０００４】以下図２、図３とともに従来例について説
明する。図２は実開昭５０−１１９０４９号公報に示さ
れている電子レンジ用調理容器の従来例である。加熱室
１内に電波透過性の本体容器２を設け、本体容器２内に
は金属製の蒸気容器３を設け、蒸気容器３の下面には蒸
気発生のための水４を設け、蒸気容器３の上面は金属製
の蓋５で覆っている。加熱室１には電波発振装置である
マグネトロン６を設け、加熱室１内の水４を加熱し蒸気
を発生し、蒸気容器３内に蒸気を供給し食品を蒸気加熱
するようにしている。

【０００５】図３は実開昭５６−１４１９０３号公報に
示されている蒸し容器の従来例である。加熱室１内に電
波透過性の本体容器２を設け、本体容器２内には金属製
の蒸気容器３を設け、蒸気容器の下面には蒸気発生のた
めの水４を設け、蒸気容器３の上面は金属製の蓋５で覆
っている。加熱室には電波発振装置であるマグネトロン
６を設け、加熱室内の水を加熱し蒸気を発生し、蒸気容
器内に蒸気を供給し食品を蒸気加熱するようにしてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来電子レンジ用料理容器によると、図２の従来例
では電波透過性の本体容器の上面の縁と、金属製の蒸気
容器や蓋の外周部の縁が重なり合っているので、本体容
器から蒸気容器を取り出すとき、手がかけにくく取り出
しにくいという欠点があった。

【０００７】また図３の従来例では電波透過性の本体容
器と金属製の蒸気容器は、蒸気容器の底面で載置され嵌
合する構成である。蒸気容器や蓋の縁は、本体容器の縁
と離れているので本体容器に邪魔されることなく、蒸気
容器に手が触れることは出来るものの、手の掛かりが少
なく蒸気容器の側面を支えないと扱えないので、取り扱
いが不便である。また本体容器と蒸気容器を一緒に取り
出そうとすると、本体容器で蒸気容器を支えることにな
るが、蒸気容器の底面部分しか支持していないので、不
安定であり扱いにくいなど、いずれの従来例においても
取り扱いにくいという欠点があった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために、樹脂などの低誘電率材料によって形成した
本体容器と、この本体容器内に載置する金属材料で構成
された蒸気容器と、蒸気容器の上面は金属製の蓋を設
け、蒸気容器と共同して電波に対して遮断された空間を
形成するように構成する。蒸気容器の底面には電波を遮
断し蒸気を通過させる開口部を設ける構成とする。本体
容器は外周部に底面より上面の開口が広くなる段部を設
け、蒸気容器にも外周部に底面より上面の開口部が広く
なる段部を設ける。本体容器内に蒸気容器を載置したと
きに、蒸気容器の底面に本体容器との間に空間を形成す
ると共に、蒸気容器の上面縁は本体容器の上面縁より間
隙を有して高くなるように、本体容器の段部と蒸気容器
の段部とが嵌合するように高周波加熱装置用調理容器を
構成する。

【０００９】このような構成により、電波発生手段から
加熱室に給電された電波は、本体容器の底面の水を高周
波加熱され、蒸気を発生し、蒸気は開口部から蒸気容器
内に入り、蒸気容器内の食品を蒸気加熱する。本体容器
の外周部に設けた段部と、蒸気容器の外周部に設けた段
部が嵌合することによって、蒸気容器の上面縁は本体容
器の上面縁より間隔を有して高くなるので、蒸気容器の
上面縁に手がかけられるようになり、蒸気容器の取り出
しがしやすく、取り扱いの容易な調理容器を実現する。

【００１０】また本体容器と蒸気容器を一緒に取り出す
場合、本体容器の側面で蒸気容器の外周部を支えること
になり、蒸気容器の支持が安定し取り出し易くなり、こ
の面でも取り扱いの容易な調理容器を実現できる。

【００１１】

【発明の実施の形態】低誘電率材料によって形成した本
体容器と、本体容器内に載置する金属材料で構成された
蒸気容器と、蒸気容器の上面は金属製の蓋を設け、蒸気
容器の底面には電波を遮断し蒸気を通過させる開口部を
設ける構成とし、本体容器は外周部に底面より上面の開
口が広くなる段部を設け、蒸気容器にも外周部に底面よ
り上面の開口部が広くなる段部を設け、本体容器内に蒸
気容器を載置時に、蒸気容器の底面に本体容器との間に
空間を形成すると共に、蒸気容器の上面縁は本体容器の
上面縁より間隙を有して高くなるように、本体容器の段
部と蒸気容器の段部とが嵌合するように高周波加熱装置
用調理容器を構成する。これにより蒸気容器の上面縁は
本体容器の上面縁より間隔を有して高くなるので、蒸気
容器の上面縁に手がかけられるようになり、蒸気容器の
取り出しがしやすく、調理容器の取り扱いが容易とな
る。

【００１２】さらに蒸気容器の上面縁には平坦部を設
け、蓋の外周部にも平坦部を設ける構成とし、蒸気容器
の上面縁の平坦部と蓋の平坦部とが平面接触するように
高周波加熱装置用調理容器を構成する。これにより蒸気
容器の上面縁が取っ手となり、この部分を持ち上げるこ
とによって、蒸気容器を簡単に本体容器から取り出すこ
とが出来る。また蒸気容器の平坦部と、蓋の平坦部とを
平面接触することによって、電波シールも確実になりこ
の部分で電波によりスパークを発生する危険も減少でき
る。

【００１３】さらに蒸気容器および蓋は、少なくともい
ずれか一方を表面に琺瑯皮膜を施して高周波加熱装置用
調理容器を構成することによって、よりスパークの発生
を防止できる。

【００１４】

【実施例】

（実施例）以下本発明の一実施例による高周波加熱装置
用調理容器について図面と共に説明する。図１は本発明
による高周波加熱装置用調理容器を高周波加熱室内に載
置した断面図である。図１に示すように加熱室２１の上
部には導波管２２を連結して設ける。導波管２２には高
周波発生手段であるマグネトロン２３を設ける。マグネ
トロン２３からの電波は、導波管２２を介して給電口２
４から加熱室２１内に照射される。加熱室２１内にはポ
リプロピレン、ポリサルホン、ＰＰＳ、セラミックなど
の電波透過性の低誘電率材料によって形成した本体容器
２５を設ける。本体容器２５の中には鉄板、アルミ板、
ステンレス板などの金属材料で構成した蒸気容器２６を
設ける。蒸気容器２６の上面には同じく金属材料で形成
した蓋２７を設け、蒸気容器２５と共同して蒸気容器２
５内は電波を遮断し、電波が中に入らないように構成し
ている。蒸気容器２６の底面には、電波を遮断し蒸気を
通過させる直径約５mm程度の多数の小孔によって形成し
た開口部２８を設ける。本体容器２５の外周部には、底
面より上面の開口部が広くなる段部２９を設け、蒸気容
器２６にも外周部に底面より上面の開口部が広くなる段
部３０を設ける。本体容器２５内に蒸気容器２６を載置
したとき、段部２９と段部３０が嵌合し、蒸気容器２６
の底面に本体容器２５との間に空間ｈを形成する。そし
て蒸気容器２６の上面縁３１は本体容器２５の上面縁３
２より約１０mm以上程度の間隙ｇを形成するように高周
波加熱装置用の調理容器を構成とする。本体容器２５の
底面には電波によって蒸気を発生するための水３４を設
けている。３５は被加熱物である食品である。電波によ
って水３４が加熱され、沸騰し蒸気を発生する。この蒸
気は矢印で示すように開口部２８を通って蒸気容器２６
内に入り、食品３５を蒸気加熱する。

【００１５】さらに蒸気容器２６の上面縁３１には平坦
部を設け、蓋２７の外周部にも平坦部３３を設ける構成
とし、蒸気容器２６の上面縁３１の平坦部と、蓋２７の
平坦部３３とが平面接触するように高周波加熱装置用の
調理容器を構成する。

【００１６】さらに金属製の蒸気容器２６および蓋２７
は、少なくともいずれか一方を鋼板で構成し、その表面
に５０から２５０ミクロン程度の膜厚の琺瑯皮膜を形成
する。

【００１７】なお上面縁３１の平坦部と、蓋２７の平坦
部３３は完全に接触している実施例を示したが、この部
分に少しのギャップを設け、微少な電波が蒸気容器の中
に入る構成とし、少しだけ電波加熱を行えるようにし、
蒸気加熱と電波加熱を併用することも可能である。

【００１８】

【発明の効果】以上のように本発明の高周波加熱用の調
理容器によれば以下の効果が得られる。

【００１９】（１）蒸気容器内の食品は、電波が遮断さ
れているので、電波加熱による乾燥などを起こすことな
く、蒸気によりある程度水分を補給しながら加熱される
ので、肉まん、あんまんの加熱や、茶碗蒸しなどの蒸し
料理をしっとりとした好ましい状態に加熱調理すること
が出来る。

【００２０】（２）蒸気容器の上面縁は本体容器の上面
縁より間隙ｇを有して高くなるように、本体容器の段部
と蒸気容器の段部とが嵌合するように構成することよ
り、蒸気容器の上面縁は本体容器の上面縁より間隔ｇを
有して高くなるので、蒸気容器の上面縁に手がかけられ
るようになり、本体容器から蒸気容器を持ち上げて取り
出すとき、取り出しがしやすく、取り扱いが容易な調理
容器に出来る。加熱後の蒸気容器や蓋は１００℃の蒸気
により高温になっているので、取り扱い時には熱いが、
持ちやすい容器とすることによって、この面からも扱い
やすい調理容器となる。

【００２１】（３）また本体容器と蒸気容器を一体にし
て、一緒に加熱室に入れたり出したりする場合、本体容
器の側面で蒸気容器の外周部を支えることになり、使用
者は本体容器の上面縁を持つだけで蒸気容器の支持が出
来、安定した持ち運びが出来るので取り出し易くなり、
この面でも取り扱いの容易な調理容器を実現できる。本
体容器は樹脂の低誘電率材料で構成すれば、金属などに
比べて比熱が低く、同じ温度でも手に与える温度の影響
は少なく、この面からも取り扱いがしやすくなる。

【００２２】（４）本体容器や蒸気容器は段部より上部
は垂直に、段部より下部は傾斜を有した形状にすること
によって、本体容器自身や蒸気容器自身を多段に重ね合
わせたときに、段部によって必要以上に重なり合うこと
が防げ、重ね合わせたときくっつき合って取れなくなる
というような問題を生ずることも防止できる。

【００２３】（５）また蒸気容器の上面縁と蓋の外周部
には平坦部を設ける構成とし、蒸気容器の上面縁の平坦
部と蓋の平坦部とが平面接触するようにすることによ
り、蒸気容器の上面縁が持ち運びの時の取っ手との役目
を果たすので、取り扱いがしやすくなる。さらに蒸気容
器の平坦部と、蓋の平坦部とを平面接触することによっ
て、接触面積が増えることと、平坦部によって電波の集
中が防止できるので、電波シールも確実になり、蒸気容
器内は完全に電波を遮断されるので、食品はこの調理容
器の目的とした蒸気加熱だけで加熱ができる。

【００２４】さらにこの部分で電波によりスパークを発
生する危険も減少できる。 （６）さらに蒸気容器および蓋は、少なくともいずれか
一方を表面に琺瑯皮膜を施す構成とすることによって、
蒸気容器と蓋は琺瑯皮膜で絶縁された微少な間隙をもっ
て相対することになり、両者の間にはコンデンサーが形
成されることになる。電波による高周波電流はこのコン
デンサー部を通じて流れることになり、蒸気容器と蓋の
間で電波によりスパークを起こすことをより確実に防止
する。これにより耐久性の高い調理容器を実現できる。

【００２５】以上に述べたように電波による水の加熱に
よって蒸気を発生し、蒸気加熱によって電波による加熱
時の乾燥を防止するしっとりとした加熱を行うことが出
来、しかも取り扱いが容易で使いやすい高周波加熱装置
用の調理容器を実現できるという効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における高周波加熱装置の断
面図

【図２】従来の高周波加熱装置の断面図

【図３】従来の他の高周波加熱装置の断面図

【符号の説明】

２１ 加熱室 ２３ マグネトロン（高周波発生手段） ２５ 本体容器 ２６ 蒸気容器 ２７ 蓋 ２８ 開口部 ２９，３０，３１，３２ 段部 ３３ 平坦部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】低誘電率材料によって形成した本体容器
   と、前記本体容器内に載置する金属材料で構成された蒸
   気容器と、前記蒸気容器の上面は金属製の蓋を設け、前
   記蒸気容器の底面には電波を遮断し蒸気を通過させる開
   口部を設ける構成とし、前記本体容器は外周部に底面よ
   り上面の開口が広くなる段部を設け、前記蒸気容器にも
   外周部に底面より上面の開口部が広くなる段部を設け、
   前記本体容器内に前記蒸気容器を載置時に、前記蒸気容
   器の底面に前記本体容器との間に空間を形成すると共
   に、前記蒸気容器の上面縁は前記本体容器の上面縁より
   間隙を有して高くなるように、前記本体容器の段部と前
   記蒸気容器の段部とが嵌合する構成の高周波加熱装置用
   調理容器。
2. 【請求項２】蒸気容器の上面縁には平坦部を設け、蓋の
   外周部にも平坦部を設ける構成とし、前記蒸気容器の上
   面縁の平坦部と前記蓋の平坦部とが平面接触する構成の
   請求項１に記載の高周波加熱装置用調理容器。
3. 【請求項３】蒸気容器および蓋は、少なくともいずれか
   一方を表面に琺瑯皮膜を施した構成の請求項１に記載の
   高周波加熱装置用調理容器。