JPH11107044A - ポリビニルアルコール系難燃繊維とその製法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系難燃繊維とその製法

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JPH11107044A
JPH11107044A JP27403597A JP27403597A JPH11107044A JP H11107044 A JPH11107044 A JP H11107044A JP 27403597 A JP27403597 A JP 27403597A JP 27403597 A JP27403597 A JP 27403597A JP H11107044 A JPH11107044 A JP H11107044A
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polymer
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Akio Omori
昭夫 大森
Shinya Inada
真也 稲田
Masahiro Sato
政弘 佐藤
Isao Tokunaga
勲 徳永
Akira Kubotsu
彰 窪津
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】乾湿寸法安定性が良好で、さらに特に難燃性に
極めて優れたポリビニルアルコール系繊維をコストパー
フォマンスに優れた方法で得る。 【解決手段】ビニルアルコール系ポリマー(以下PVA
と略記)と、ハロゲン化ビニル系ポリマー(以下PVX
と略記)と、難燃助剤として錫化合物またアンチモン化
合物とからなる難燃繊維の製造方法として、該難燃助剤
をPVX溶液中に分散させた後、PVAまたはPVAの
溶液を混合して紡糸原液として繊維化することにより、
10重量%以上の難燃助剤をPVX中やPVAとPVX
との境界に分散させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業的に安価に製
造可能で難燃性の良好なコストパーフォマンスに優れた
ポリビニルアルコール(以下PVAと略記する)系難燃
繊維とその製法に関するものであり、防護服向などの衣
料、カーテンやカーペット向などの生活資材、カーシー
トや車両バネ受け材向などの産業資材などに好適に用い
ることのできる繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、難燃繊維としては、難燃性コモノ
マーを共重合したアクリル繊維やポリエステル繊維、難
燃性薬剤を練り込んだり反応させたりした再生セルロー
ス繊維、ポリマー自身が難燃性の熱硬化性繊維やアラミ
ド繊維、難燃性薬剤で後加工した木綿や羊毛などが上市
されている。しかし、アクリル繊維は燃焼時シアンガス
の発生、ポリエステル繊維はメルトドリップ、熱硬化性
繊維は繊維強度が低い、アラミド繊維は極めて高価、木
綿や羊毛は後加工による風合硬化や洗濯耐久性不良など
の問題があり、それぞれ改善の検討がなされている。
【0003】一方、PVA系の難燃繊維も、例えば、特
公昭37−12920号、特公昭49−10823号、
特公昭51−19494号公報等で知られており、防護
服向などの衣料、カーテンやカーペット向などの生活資
材、カーシートや車両バネ受け材向などの産業資材など
に用いられているが、用途によってはコストパーフォマ
ンスの点で不満足となって、さらなる拡販が困難な状況
にある。
【0004】従来のPVA系難燃繊維は、PVXが水に
は溶解しないため、安価な市販含ハロゲンポリマー(以
下PVXと略す)粉末を使用することは不能であり、小
粒径の高価なポリ塩化ビニル(以下PVCと略記)エマ
ルジョンを使用せざるを得ない。またPVAとPVCエ
マルジョンの混合水溶液は紡糸温度近辺の70〜100
℃で安定でなく、特にギヤポンプを通過する際の機械的
安定性が不十分であり、安定化のため低ケン化度のPV
Aを使用したり、界面活性剤や水溶性高分子などを添加
する必要があり、更にコストを高くしている。
【0005】また、従来のPVA系難燃繊維は、エマル
ジョン粒径が0.01〜0.08μmのPVCの水系エ
マルジョンとPVA水溶液を混合し、さらに難燃助剤と
して錫やアンチモンの化合物の水分散液を添加した液を
紡糸原液とし、芒硝水溶液からなる固化浴に湿式紡糸
し、乾燥、乾熱延伸、熱処理し、更に必要に応じて耐熱
水性改善のためホルマリンなどによりアセタール化処理
して製造されている。また高強度繊維を得るために、P
VAとPVCエマルジョン混合水溶液に硼酸を添加した
紡糸原液を苛性ソーダと芒硝の混合水溶液からなる固化
浴に吐出し、硼酸架橋紡糸することも行われている。し
かし、強力な脱水性塩類である芒硝を固化浴に使用する
ため、得られる繊維断面は不均一なスキンコア構造とな
り、断面中央のコア構造部は結晶性が不十分となりやす
い。また用いるPVCエマルジョンの粒子径が0.01
〜0.08μmと小さく、得られるPVAとPVCのブ
レンド繊維でのPVCの島径がせいぜい0.05μmと
小さく、極端に数多く存在するため、マトリックスを形
成するPVA相はまとまった状態では存在しがたい。従
ってホルマール化などの耐熱水性改善処理を行っても、
寸法安定性、特に乾湿寸法安定性に改良の余地がある。
さらに難燃性においてもさらに一層優れた難燃性を有す
るPVA系繊維が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
PVA系難燃繊維は他の難燃性繊維に比較すると優れた
点はあるが、コストパーフォマンスの点で用途が限定さ
れていた。本発明は、コストパーフォマンスに優れた安
価で、さらに難燃性においても極めて良好なPVA系難
燃繊維およびその製法を提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、PV
A系ポリマー(1)と、PVX(2)と、錫化合物およ
びアンチモン化合物からなる群から選ばれる少なくとも
一種の化合物(3)からなり、(1)が海成分で(2)
が島成分となっている海島繊維であり、島の大きさが
0.2〜8μmであり、(3)の化合物をポリマーの総
重量に対し0.1〜10%含有し、かつそのうちの少な
くとも10重量%は島成分中または海成分と島成分との
境界に存在していることを特徴とするPVA系難燃繊維
である。さらに、本発明は、PVA系ポリマー(1)
と、PVX(2)と、錫化合物およびアンチモン化合物
からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物(3)
が、(1)と(2)の共通溶媒中に溶解・分散されてい
る紡糸原液を、(1)に対して固化能を有する固化溶媒
と原液溶媒とを混合した固化浴に湿式または乾湿式紡糸
し、得られた繊維を抽出、乾燥、延伸、更に必要に応じ
て熱処理やアセタール化してPVA系難燃繊維を製造す
るにあたり、以下の条件AとB、 A.まず(2)と(3)を、(3)の添加量がポリマー
の総重量に対し0.1〜10%となるように原液溶媒に
溶解・分散して、(3)を(2)の溶液中に分散させ、
得られた溶液に(1)を加えて紡糸原液とすること、 B.紡糸原液が、(2)の溶液からなる2〜100μm
の粒子径の島が(1)の溶液中に存在している相構造で
あること、 を満足することを特徴とするPVA系難燃繊維の製法で
ある。また本発明は、PVA系ポリマー(1)と、PV
X(2)と、錫化合物およびアンチモン化合物からなる
群から選ばれる少なくとも一種の化合物(3)が、
(1)と(2)の共通溶媒中に溶解・分散されている紡
糸原液を、(1)に対して固化能を有する固化溶媒と原
液溶媒とを混合した固化浴に湿式または乾湿式紡糸し、
得られた繊維を抽出、乾燥、延伸、更に必要に応じて熱
処理やアセタール化してPVA系難燃繊維を製造するに
あたり、以下の条件CとD C.まず(2)と(3)を、(3)の添加量がポリマー
の総重量に対し0.1〜10%となるように原液溶媒に
溶解・分散して、(3)を(2)の溶液中に分散させ、
得られた溶液と、(1)を原液溶媒に溶解して得られる
(1)の溶液とを別々に調製し、各々の溶液をギアポン
プで定量吐出し、原液配管途中で攪拌混合し、混合液を
紡糸原液とすること、 D.紡糸原液が、(2)の溶液からなる2〜100μm
の粒子径の島が(1)の溶液中に存在している相構造で
あること、 を満足することを特徴とするPVA系難燃繊維の製法で
ある。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。まず本発
明繊維の海成分すなわちマトリックス成分はPVAでな
ければならない。難燃性を付与するPVXと強度の強い
海島繊維を可能とする水酸基による強固な分子間水素結
合を形成しうるポリマーはPVAのみである。本発明で
いうPVAとは、ビニルアルコールユニットを全構成ユ
ニットの70モル%以上有するポリマーを意味してお
り、エチレン、酢酸ビニル、イタコン酸、ビニルアミ
ン、アクリルアミド、ビバリン酸ビニル、無水マレイン
酸、スルホン酸含有ビニル化合物などのモノマーが30
モル%未満の割合で共重合されていてもよい。ケン化度
は80モル%以上が好ましく、配向結晶化のためには、
全構成ユニットの95モル%以上がビニルアルコールユ
ニットであるPVAがより好ましく、さらに好ましくは
98モル%以上、より一層好ましくは99モル%以上、
最も好ましくは99.8モル%以上がビニルアルコール
ユニットであるポリマーである。PVAの重合度に関し
ては、特に限定はないが、高強度繊維とするためには重
合度500以上が好ましく、1500以上であるとさら
に好ましい。また耐熱水性改善のため、繊維化後ホルム
アルデヒドで代表されるアルデヒド化合物などによりP
VA分子内および/または分子間アセタール化などの後
反応を施してもよい。
【0009】また本発明繊維の島成分は、PVXでなけ
ればならない。島成分にPVXを用いることによりはじ
めて本発明繊維を難燃繊維とすることができる。PVX
は高度な配向・結晶化が困難で繊維化しても低強度のも
のしか得られず、特にステープル繊維のコストパフォー
マンスに優れた製造法である湿式紡糸法ではPVXの繊
維は製造されていない。そこで、PVXは本発明繊維で
は島成分として、難燃性付与のための機能性ポリマーと
して用いる。本発明にいうPVXとは、ハロゲン元素す
なわち弗素、塩素、臭素、よう素を含有する構成ユニッ
トを全構成ユニットの50モル%以上有するポリマーで
ある。例えば、塩化ビニル系ポリマー(以下PVCと略
記)、塩化ビニリデン系ポリマー、臭化ビニルポリマ
ー、臭化ビニリデンポリマー、塩素化ポリオレフィン、
臭素化ポリオレフィンなどが包含される。中でも、難燃
付与効果、高温分解着色性、コストなどのバランスの点
で、PVCが最も好ましいポリマーである。
【0010】また本発明繊維において、PVXからなる
島の大きさは0.2〜8μmでなければならない。本発
明でいうPVXの島の大きさとは、繊維サンプルを定長
状態でホルマール化処理してPVAを不溶化しエポキシ
樹脂包埋後、超薄切片(厚み約800nm)を作成し、
RuO4蒸気染色を行い、得られた繊維断面の超薄切片
を透過型電子顕微鏡写真より、任意に選び出したPVX
の島径を少なくとも50個実測し、その平均値を求め
た。PVX島径の大多数が8μmを越える場合には、紡
糸安定性の点で好ましくない。海成分のPVA相が完全
なマトリックスを形成しがたい部分がでてくるために曳
糸性が悪くなり、紡糸性が不良になると推定される。一
方、PVXの島径を0.2μm未満にするとマトリック
スを形成するPVA相はまとまった状態では存在しがた
くなりPVAの配向・結晶化が阻害されるため、ホルマ
ール化などの耐熱水性改善処理を行っても、寸法安定
性、特に乾湿寸法安定性が不良となる。PVX島径が
0.5〜5μmであると好ましい。
【0011】本発明繊維においては、錫化合物およびア
ンチモン化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種
の化合物をポリマーの総重量に対し0.1〜10%含有
しなければならない。本発明にいう錫化合物とは、錫元
素を含む化合物なら特別な限定はないが、難燃助剤とし
ての難燃性増強効果とコストパーフォマンスの点で酸化
錫やメタ錫酸などの無機酸化物が好ましい。また本発明
にいうアンチモン化合物とはアンチモン元素を含む化合
物なら特別な限定はないが、難燃助剤としての難燃性増
強効果とコストパーフォマンスの点で五酸化アンチモン
や三酸化アンチモンなどの無機酸化物が好ましい。錫化
合物およびアンチモン化合物からなる群から選ばれた少
なくとも一種の化合物の含有量がポリマーの総重量に対
し0.1%未満であると難燃性が不十分である。10%
を越える量で含有させても難燃化効果は頭打ち状態とな
り、コストパーフォマンスの点で不利となる。錫化合物
およびアンチモン化合物からなる群から選ばれた少なく
とも一種の化合物の含有量が0.5〜8重量%であると
好ましく、1〜6重量%であるとさらに好ましい。
【0012】さらに、本発明繊維においては、錫化合物
やアンチモン化合物の少なくとも10重量%は島成分で
あるPVXの中、またはPVAとPVXとの境界、すな
わち海成分と島成分との境界に存在していることが極め
て重要なポイントである。錫化合物やアンチモン化合物
が海成分中に分散するよりも、島成分中または海成分と
島成分の境界に存在した方が難燃化効果が大きいことを
見出した。錫化合物やアンチモン化合物の存在状態によ
り何故に難燃化効果が異なるかは不明であるが、これら
の難燃化助剤は、PVXが燃焼時発生するハロゲン化水
素ガスと反応し、ハロゲン化錫やハロゲン化アンチモン
を生成し、これらが燃焼中発生しているラジカルを捕捉
したり、PVAの炭化を促進したりして、燃焼を抑制す
ると推定され、この際、錫化合物やアンチモン化合物が
島中または海と島との境界に分散している方がハロゲン
化水素と反応しやすく、より多くのハロゲン化錫やハロ
ゲン化アンチモンを生成し、燃焼抑制効果が大きいと推
察される。島中または海と島との境界に存在している錫
化合物やアンチモン化合物が15重量%以上であると難
燃化効果が大きくさらに好ましい。
【0013】本発明において、錫化合物やアンチモン化
合物の分散が島中または海と島との境界に存在するか或
いは海中に存在するかの測定は前記の透過型電子顕微鏡
写真(TEM拡大写真)より実施する。従来のPVA系
難燃繊維は、PVX系水性エマルジョンを用いるため島
成分中に錫化合物やアンチモン化合物を分散せしめるこ
とはできなかったが、本発明繊維ではPVXも原液溶媒
に溶解するため島中に分散せしめることが可能となり、
全ての難燃助剤を海成分中に分散させるよりも少なくと
も一部は島成分中または海成分と島成分との境界に存在
させる方が難燃化効果が大きいという予想外のことを発
見した。
【0014】PVAを海成分、PVXを島成分とするに
は、PVAが55重量%以上、PVXが45重量%以下
が好ましい。PVAが55重量%未満では一部PVXが
海成分となる場合があり強度の点で好ましくない。また
PVAが95重量%を越える場合には、繊維中のハロゲ
ン元素量が少なく難燃性が不十分となるので好ましくな
い。難燃性、強度などのバランスより、PVA/PVX
の混合割合は90/10〜55/45であると好まし
く、80/20〜60/40であるとさらに好ましい。
なお本発明において、PVAとPVX以外のポリマー
が、本発明の目的を失わない範囲で添加されていてもよ
い。さらに必要により、各種安定剤や着色剤等が添加さ
れていてもよい。
【0015】次に本発明繊維の製法について説明する。
まず紡糸原液は、PVAとPVXを共通溶媒に別々に溶
解し、錫化合物およびアンチモン化合物からなる群から
選ばれた少なくとも一種の化合物をポリマーの総重量に
対し0.1〜10%分散して紡糸原液とする。共通溶媒
としては、ジメチルスルホキシド(以下DMSOと略
記)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドな
どの極性有機溶媒があげられる。特に低温溶解性、ポリ
マー低分解性などの点よりDMSOが好ましい。これ
に、錫化合物およびアンチモン化合物からなる群から選
ばれた少なくとも一種の化合物を添加し、紡糸原液を得
るが、本発明繊維の製法としては、錫化合物およびアン
チモン化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の
化合物をまずPVX溶液中に分散させることが極めて重
要なポイントである。これにより、PVA/PVXブレ
ンド繊維においてPVX中またはPVAとPVXとの境
界に錫化合物および/またはアンチモン化合物を存在さ
せることが可能となる。従来のPVCエマルジョンを用
いる水系紡糸ではPVC中にこれらの難燃助剤を分散さ
せることはできなかった。なお、原液中のポリマー濃度
としては、10〜30重量%の範囲が好ましい。
【0016】また紡糸原液は、PVA溶液中にPVXの
溶液からなる2〜100μmの粒子系の島が存在してい
る相構造でなければならない。本発明でいう紡糸原液の
相構造とは、紡糸原液をスライドガラス上に約200μ
mの厚さに滴下し、オリンパス光学製微分干渉顕微鏡装
置BX−60型を用いて写真撮影し、測定した値であ
る。また本発明でいう粒子径とは、上記した微分干渉顕
微鏡で観察した場合に判別できる大多数がその範囲の径
を有していることを意味している。原液中のPVX溶液
からなる島の径を2〜100μmとすることで、得られ
る繊維中のPVX島径が0.2〜8μmとなる。粒子径
の大多数が100μmを越える場合には、原液安定性お
よび紡糸安定性の点で好ましくない。また、大多数が2
μm未満であるとPVAが明確な海相を形成することが
できなくなる。より好ましくは5〜80μmの粒子径を
有している相構造である。粒子径が20〜50μmであ
るともっと好ましい。
【0017】また原液温度が100℃を越えると、PV
Xの分解速度が著しく増加し、着色が顕著となり、また
重合度低下も併発するため100℃以下が好ましい。着
色抑制の点では原液温度は低い方が良いが、低すぎると
PVAおよびPVXの極性有機溶媒への溶解性や相溶性
が悪くなる。40℃以上90℃以下の原液温度がもっと
も好ましい。紡糸原液の粘度としては、湿式紡糸する場
合には10〜400ポイズ、乾湿式紡糸する場合には5
0〜2000ポイズの範囲が好ましい。
【0018】紡糸原液の溶解方法は、前記したように本
発明繊維の製法において極めて重要である。PVXと、
錫化合物およびアンチモン化合物からなる群から選ばれ
た少なくとも一種の化合物をポリマーの総重量に対し該
化合物の添加量が0.1〜10%となるようにを原液溶
媒に溶解・分散し、錫化合物およびアンチモン化合物か
らなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物をPVX
溶液中に分散させることがポイントである。このPVX
の難燃助剤分散液にPVAを投入・溶解して紡糸原液と
するか、またはこのPVXの難燃助剤分散液(A液)
と、別にPVAを原液溶媒に溶解したPVA溶液(B
液)とを別々に調製し、各々ギアポンプで定量吐出し、
原液配管途中で攪拌混合し、得られた混合液を紡糸原液
とする。いずれかの原液調製法で得た紡糸原液を用いる
ことにより、錫化合物およびアンチモン化合物からなる
群から選ばれた少なくとも一種の化合物がPVX中また
はPVAとPVXとの境界に分散した本発明繊維を得る
ことができる。
【0019】このようにして得られた紡糸原液を紡糸ノ
ズルを通して固化浴中に湿式紡糸、あるいは乾湿式紡糸
する。固化浴を紡糸ノズルに直接接触させる湿式紡糸方
法は、ノズル孔ピッチを狭くしても繊維同士が膠着せず
に紡糸できるため、多孔ノズルを用いた紡糸に適してお
り、一方固化浴と紡糸ノズルの間にエアギャップを設け
る乾湿式紡糸の場合は、エアギャップ部での伸びが大き
いことより、高速紡糸に適している。本発明において
は、湿式か乾湿式かは目的や用途に応じて適宜選択する
ことができる。
【0020】本発明において用いる固化浴は固化溶媒と
原液溶媒からなる混合液を用い、そして固化溶媒として
は、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトンなどのケトン類などのマトリ
ックス成分のPVAに対して固化能を有する有機溶媒を
用いることが好ましい。また、固化レベルを適正に維持
するために、固化浴中の固化溶媒/原液溶媒の組成比を
重量比で25/75〜85/15の範囲とすることが好
ましい。固化浴中での原液溶媒濃度が15重量%より少
ないと固化能が高すぎ、ノズル切れなどの紡糸調子が不
良となる。一方、固化浴中での原液溶媒濃度が75重量
%より多いと十分な固化ができず、これまた紡糸工程通
過性が悪い。より好ましい固化浴中の原液溶媒の濃度は
20〜65重量%であり、25〜55重量%が最も好ま
しい。さらに固化浴は−5〜20℃の低温とすることが
均一固化の点で好ましい。
【0021】なお本発明においては、固化浴は上記した
ように、好ましくは有機溶媒系固化溶媒と原液溶媒との
混合液が用いられるが、もちろん少量ならばこれら以外
の液体や固体が溶解されて存在してもよい。本発明にお
いて、固化溶媒と原液溶媒の最も好ましい組み合わせは
メタノールとDMSOの組み合わせである。
【0022】固化浴で形成された糸条は、湿延伸、原液
溶媒の抽出、乾燥と経て、乾熱延伸工程に送られる。本
発明方法においては、全延伸倍率が6倍以上となるよう
に乾熱延伸を行う。本発明でいう全延伸倍率とは、湿延
伸倍率と乾熱延伸倍率との積で表される倍率であり、全
延伸倍率が6倍未満の場合には強度・ヤング率の優れた
繊維を得ることができない。
【0023】
【実施例】以下本発明を実施例により更に具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に何ら制約を受けるもの
ではない。なお、実施例中の強伸度はJIS L−10
13に準拠して測定したものである。また、難燃指数
(LOI)はJIS K 7201に準拠して測定し
た。さらに本発明にいう沸騰水収縮率(WSrと略記)
とは、サンプル繊維に2mg/drの荷重を吊り下げ、
所定長Lo(例えば1.00m)を正確に採取し、フリ
ー状態で30分間100℃で煮沸し、次いで風乾し、風
乾後のサンプルに再び2mg/drの荷重を吊り下げ同
様に糸長を正確に測定(Lo)し、次式によりWSrを
算出する。 WSr=[(L0−L1)/L0]×100(%)
【0024】実施例1 メタ錫酸をDMSOに分散し、この中に重合度450の
PVC粉末を投入し、窒素気流下80℃で2時間攪拌溶
解し、PVCのメタ錫酸分散溶液を得た。この分散溶液
に重合度1750、ケン化度99.8モル%のPVAチ
ップを投入し、さらに80℃で8時間攪拌溶解した。こ
の原液の組成は、PVA/PVCの重量比が67/3
3、トータルポリマー濃度が18重量%、メタ錫酸が1
重量%であった。この原液を微分干渉顕微鏡で観察した
ところ、PVC溶液は島径が20〜50μmでPVA溶
液の海相中に分散されていた。この80℃の紡糸原液を
孔数1000ホール、孔径0.08mmの紡糸口金を通
して、DMSO/メタノールの重量比が30/70、温
度が0℃の固化浴中に湿式紡糸し、3.5倍の湿延伸を
施し、糸中のDMSOをメタノールで抽出後、80℃の
熱風で乾燥して紡糸原糸を得た。その後、この紡糸原糸
を225℃で全延伸倍率13倍の乾熱延伸を行い、18
00dr/1000fのPVA/PVC/メタ錫酸ブレ
ンド繊維を得た。
【0025】この繊維の断面を20000倍に拡大した
断面TEM写真より、得られた繊維のPVCの島径は
0.8μmであった。また、メタ錫酸がPVCからなる
島の中やPVCとPVAの境界に分散しているのが観察
され、その量は全体の約20重量%であった。また、本
繊維のLOI値は40であり難燃性に優れていた。さら
に、強度は8.8g/dと難燃繊維としては高強度であ
り、WSrも2.5%と乾湿寸法安定性に優れていた。
【0026】比較例1 メタ錫酸のDMSO分散液にまずPVAチップを投入溶
解し、その後PVC粉末を投入溶解する以外は実施例1
と同様に紡糸・延伸した。得られた繊維の断面を200
00倍に拡大した断面TEM写真より、PVC中やPV
AとPVCの境界に分散しているメタ錫酸は約5重量%
であった。本繊維の強度は8.7g/dと難燃繊維とし
ては高強度であり、WSrも2.7%と乾湿寸法安定性
に優れていたが、LOI値は37であり、実施例1で得
られた繊維の難燃性に比較して劣るものであった。
【0027】実施例2 メタ錫酸をDMSOに分散し、この中に重合度350の
PVC粉末を投入し、窒素気流下70℃で2時間攪拌溶
解し、PVCのメタ錫酸分散溶液を得た。また、別の溶
解タンクの中で重合度1750、ケン化度99.8モル
%のPVAチップををDMSOに80℃で8時間攪拌溶
解し、PVAのDMSO溶液を得た。これらの溶液を各
々ギアポンプで定量吐出し、原液配管途中でパイプライ
ンホモミキサーにより攪拌混合し、得られた混合液を紡
糸原液とした。この紡糸原液の組成は、PVA/PVC
の重量比が65/35、トータルポリマー濃度が18重
量%、メタ錫酸が1.2重量%であった。この原液を微
分干渉顕微鏡で観察したところ、PVC溶液は島径がほ
ぼ5〜20μmでPVA溶液の海相中に分散されてい
た。この80℃の紡糸原液を孔数1000ホール、孔径
0.08mmの紡糸口金を通して、メタノール/DMS
Oの重量比が70/30、温度が0℃の固化浴中に湿式
紡糸し、3.5倍の湿延伸を施し、糸中のDMSOをメ
タノールで抽出後、100℃の熱風で乾燥して紡糸原糸
を得た。その後、この紡糸原糸を228℃で全延伸倍率
13倍の乾熱延伸を行い、次いで、230℃で4%収縮
させて、1800dr/1000fのPVA/PVC/
メタ錫酸ブレンド繊維を得た。この繊維の断面を200
00倍に拡大した断面TEM写真より、得られた繊維の
PVCの島径は0.6μmであった。また、メタ錫酸が
PVC中やPVAとPVCとの境界に分散しているのが
観察され、その量は全体の約30重量%であった。ま
た、本繊維のLOI値は43であり難燃性に極めて優れ
ていた。さらに強度は7.7g/dと難燃繊維としては
高強度であり、WSrも1.1%と乾湿寸法安定性に優
れていた。
【0028】比較例2 メタ錫酸をPVA溶液の方に分散させる以外は実施例2
と同じ要領で、紡糸、延伸、収縮させてPVA/PVC
/メタ錫酸系繊維を得た。得られた繊維のTEM観察を
したところ、メタ錫酸がPVC中やPVAとPVCとの
境界に分散しているのは全体の約5重量%であった。ま
た、本繊維の強度は7.5g/dと難燃繊維としては高
強度であり、WSrも1.3%と乾湿寸法安定性に優れ
ていたが、LOI値は39であり、実施例2で得られた
繊維の難燃性に比較して劣っていることがわかった。
【0029】
【発明の効果】本発明は、ビニロン繊維の原料として大
量に使用されている汎用性ポリマーであるPVAを主ポ
リマーとして用い、それと難燃性ポリマーであるPVX
をブレンドし、さらに難燃助剤である錫化合物やアンチ
モン化合物をPVXの中やPVAとPVXとの境界に存
在させることにより、同じ組成でもより効率的に難燃性
能を改善できることを見出したものである。
フロントページの続き (72)発明者 徳永 勲 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 窪津 彰 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニルアルコール系ポリマー(1)と、含
    ハロゲンポリマー(2)と、錫化合物およびアンチモン
    化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物
    (3)からなり、(1)が海成分で(2)が島成分とな
    っている海島繊維であって、島の大きさが0.2〜8μ
    mであり、(3)の化合物をポリマーの総重量に対し
    0.1〜10%含有し、かつそのうちの少なくとも10
    重量%は島成分中または海成分と島成分との境界に存在
    していることを特徴とするポリビニルアルコール系難燃
    繊維。
  2. 【請求項2】(1)と(2)の混合割合が95:5〜5
    5:45である請求項1に記載の繊維。
  3. 【請求項3】ビニルアルコール系ポリマー(1)と、含
    ハロゲンポリマー(2)と、錫化合物およびアンチモン
    化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物
    (3)が、(1)と(2)の共通溶媒中に溶解・分散さ
    れている紡糸原液を、(1)に対して固化能を有する固
    化溶媒と原液溶媒とを混合した固化浴に湿式または乾湿
    式紡糸し、得られた繊維を抽出、乾燥、延伸、更に必要
    に応じて熱処理やアセタール化してポリビニルアルコー
    ル系難燃繊維を製造するにあたり、以下の条件AとB、 A.まず(2)と(3)を、(3)の添加量がポリマー
    の総重量に対し0.1〜10%となるように原液溶媒に
    溶解・分散して、(3)を(2)の溶液中に分散させ、
    得られた溶液に(1)を加えて紡糸原液とすること、 B.紡糸原液が、(2)の溶液からなる2〜100μm
    の粒子径の島が(1)の溶液中に存在している相構造で
    あること、 を満足することを特徴とするポリビニルアルコール系難
    燃繊維の製法。
  4. 【請求項4】ビニルアルコール系ポリマー(1)と、含
    ハロゲンポリマー(2)と、錫化合物およびアンチモン
    化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物
    (3)が、(1)と(2)の共通溶媒中に溶解・分散さ
    れている紡糸原液を、(1)に対して固化能を有する固
    化溶媒と原液溶媒とを混合した固化浴に湿式または乾湿
    式紡糸し、得られた繊維を抽出、乾燥、延伸、更に必要
    に応じて熱処理やアセタール化してポリビニルアルコー
    ル系難燃繊維を製造するにあたり、以下の条件CとD C.まず(2)と(3)を、(3)の添加量がポリマー
    の総重量に対し0.1〜10%となるように原液溶媒に
    溶解・分散して、(3)を(2)の溶液中に分散させ、
    得られた溶液と、(1)を原液溶媒に溶解して得られる
    (1)の溶液とを別々に調製し、各々の溶液をギアポン
    プで定量吐出し、原液配管途中で攪拌混合し、混合液を
    紡糸原液とすること、 D.紡糸原液が、(2)の溶液からなる2〜100μm
    の粒子径の島が(1)の溶液中に存在している相構造で
    あること、 を満足することを特徴とするポリビニルアルコール系難
    燃繊維の製法。
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