JPH11100434A - 低温硬化性樹脂組成物 - Google Patents

低温硬化性樹脂組成物

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JPH11100434A
JPH11100434A JP28139097A JP28139097A JPH11100434A JP H11100434 A JPH11100434 A JP H11100434A JP 28139097 A JP28139097 A JP 28139097A JP 28139097 A JP28139097 A JP 28139097A JP H11100434 A JPH11100434 A JP H11100434A
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polysiloxane
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JP28139097A
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Takeshi Endo
剛 遠藤
Hiroto Miyake
弘人 三宅
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化収縮に際し縮みが少ない低温硬化性樹脂
組成物を提供する。 【解決手段】 (イ)式(1)で表される化合物(A)
70〜99.999モル%と式(2)で表される化合物
(B)30〜0.001モル%とを反応させて得た1分
子中に水酸基またはアルコキシル基を2個以上有する数
平均分子量400〜50,000のポリシロキサン系マ
クロモノマーと、式(3)で表されるオキシラン基含有
ビニルモノマーとの共重合体であって、数平均分子量
2,000〜100,000のビニル共重合体、(ロ)
6配位の有機アルミニウムキレート化合物及び/又は8
配位の有機ジルコニウムキレート化合物、(ハ)1分子
中に少なくとも2個の脂環式オキシラン基を含有する数
平均分子量1000以下の化合物からなる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温硬化性樹脂組
成物に関し、より詳細には、ポリシロキサン構造を有す
るモノマーと特定構造のオキシラン基含有ビニルモノマ
ーとのビニル共重合体、特定の金属化合物および特定の
2個以上の脂環式オキシラン基を含有化合物とからなる
組成物であって、硬化反応時に水分が不要で低温硬化性
に優れ、貯蔵安定性に優れ、表面と内部との硬化性の差
が少ないため縮みを生じることがなく、耐候性、耐水性
に優れた硬化物を提供し得る低温硬化性樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】エネルギーコスト低減のためには、低温
で硬化する樹脂組成物の開発が強く望まれている。従来
から低温硬化性の樹脂組成物として、ポリオール/イソ
シアネート系、エポキシ/ポリアミン系等の2液性の樹
脂組成物が主として用いられている。しかし、この様な
2液性の樹脂組成物では、使用直前に両成分を混合する
必要があり操作が煩雑である。更に、イソシアネートを
用いる場合には、毒性が強いという欠点もある。一方、
紫外線や電子線等による活性エネルギー硬化型の1液性
の重合性不飽和樹脂組成物も知られているが、照射装置
が不可欠であるため、操作性がよいとはいえない。
【0003】一方、1液性で無毒性であって、しかも照
射装置を必要としない低温硬化性組成物として、例えば
特開昭60−67553号公報にメタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン等のアルコキシシランを含有する
ビニル重合体にアルミニウムキレート化合物を配合した
組成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報の組成物は、アルコキシシランが加水分解して生じる
シラノール基のみが架橋官能基であるため、硬化には多
量の水を必要とする。また、加水分解時に生ずる多量の
アルコール等の副生物の存在により、硬化物の物性が充
分とはいえない。更に、空気中の水分のみで硬化させる
場合は、表面から硬化するため内部が硬化しにくく、硬
化物に縮みを生じ易いこと等の問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来技術の
問題点を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、特定のポ
リシキロキサン系マクロモノマーと特定のオキシラン基
含有ビニルモノマーとを成分として含有するビニル共重
合体に、特定の脂環式オキシラン基を含有する化合物お
よび特定の有機金属化合物を配合したところ、得られた
組成物中に存在するシラノール基とオキシラン基とが架
橋官能基となり、100℃以下の低温においても硬化
し、しかも硬化物表面と内部とで同時に硬化反応が進行
するため縮みが少ないことを見い出し、本発明を完成す
るに至った。
【0006】すなわち本発明は、下記成分(イ)、
(ロ)、(ハ)を含有することを特徴とする低温硬化性
樹脂組成物を提供するものである。 (イ)下記式(1)で表される化合物(A)70〜9
9.999モル%と下記式(2)で表される化合物
(B)30〜0.001モル%とを反応させて得た1分
子中に水酸基またはアルコキシル基を2個以上有する数
平均分子量400〜50,000のポリシロキサン系マ
クロモノマーと、下記式(3)で表されるオキシラン基
含有ビニルモノマーとの共重合体であって、数平均分子
量2,000〜100,000のビニル共重合体、
(ロ)6配位の有機アルミニウムキレート化合物及び/
又は8配位の有機ジルコニウムキレート化合物、(ハ)
1分子中に少なくとも2個の脂環式オキシラン基を含有
する数平均分子量1,000以下の化合物。以下、本発
明を詳細に説明する。
【0007】
【化2】
【0008】
【発明の実施の形態】成分(イ) 本発明の低温硬化性樹脂組成物に使用する成分(イ)
は、ポリシロキサン系マクロモノマーと式(3)で表さ
れるオキシラン基含有ビニルモノマーとをモノマー成分
として含有するビニル共重合体である。成分(イ)は、
数平均分子量2,000〜100,000であること、
特には4,000〜50,000であることが好まし
い。2,000未満では硬化性が劣り、他方、数平均分
子量100,000より大きいと塗装作業性や成分
(ハ)であるオキシラン基を含有する化合物との相溶性
が低下するからである。
【0009】ポリシロキサン系マクロモノマー 成分(イ)を構成するポリシロキサン系マクロモノマー
は、ポリシロキサン構造を有し、Siに脂肪族炭化水素
基、フェニル基、水酸基、アルコキシル基、重合性炭素
−炭素二重結合部を含むアルコキシル基等が結合したも
のであり、ポリシロキサン構造部のSiに結合したシラ
ノール基またはアルコキシシラン基を1分子当たり2個
以上有することを特徴とする。本発明で使用するポリシ
ロキサン系マクロモノマーは、上記式(1)で表される
化合物(A)と上記式(2)で表される化合物(B)と
を反応させて製造することができる。
【0010】化合物(A)は、上記式(1)で表され
る。式中、R11は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基ま
たはフェニル基を示し、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基等の直鎖または分枝したものが例示できる。
11としては、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
12、R13及びR14は、炭素数1〜4のアルコキシル基
または水酸基を示し、これらは全て同一でも一部または
は全部が異なっていてもよい。炭素数1〜4のアルコキ
シル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基等の直鎖または分枝したものが例示でき
る。R12、R13及びR14としては、特にメトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、水酸基が好まし
い。具体的には、化合物(A)として、メチルトリメト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ブチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルト
リブトキシシラン、フェニルトリシラノール、メチルト
リシラノール等が例示できる。これらのうち、メチルト
リメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェ
ニルトリシラノールが特に好ましい。本発明では、これ
らの1種または2種以上を併用して使用することができ
る。
【0011】化合物(B)は、上記式(2)で表され
る。式中、R15は、水素原子またはメチル基を示し、R
16、R17及びR18は水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ
ル基または炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示し、k
は1〜6の整数を示す。R16、R17及びR18は全て同一
でも一部又は全部が異なってもよいが、その全てが炭素
数1〜8の脂肪族炭化水素基であってはならない。化合
物(A)と結合できないからである。炭素数1〜8の脂
肪族炭化水素基及び炭素数1〜4のアルコキシル基とし
ては、化合物(A)で例示したと同じものを使用するこ
とができる。尚、R16、R17及びR18としては、特にメ
トキシ基、エトキシ基、水酸基が好ましく、nは、特に
2〜4の範囲が好ましい。化合物(B)として、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシブ
チルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルト
リシラノール等が挙げられる。これらのうち、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシ
プロピルトリシラノールが特に好ましい。本発明では、
これら1種または2種以上を併用して使用することがで
きる。
【0012】ポリシロキサン系マクロモノマーは、上記
化合物(A)と(B)とを混合し、反応させることによ
って得られる。両化合物の混合比率は、化合物(A)が
70〜99.999モル%、好ましくは90〜99.9
モル%、より好ましくは95〜99モル%であって、化
合物(B)が30〜0.001モル%、好ましくは10
〜0.1モル%、より好ましくは5〜1モル%の範囲内
である。化合物(A)が70モル%より少ないと共重合
体反応でゲル化し易く、一方99.999モル%を越え
ると共重合しないポリシロキサン量が多くなり樹脂液に
にごりが生ずるので好ましくない。
【0013】化合物(A)と(B)との反応は、両化合
物が有する水酸基、又はアルコキシル基が加水分解して
生ずる水酸基が脱水縮合することにより行われる。この
際、反応条件によっては脱水縮合のみではなく、一部脱
アルコール縮合も起こる。反応は、無溶媒でも行うこと
ができるが、化合物(A)及び(B)を溶解できる有機
溶媒、または水を溶媒として行うことが好ましい。
【0014】使用し得る有機溶媒としては、ヘプタン、
トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等
の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸
イソブチル、メチルセロソルブアセテート、ブチルカル
ビトールアセテート等のエステル系溶媒、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン
等のケトン系溶媒、エタノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等
のアルコール系溶媒、n−ブチルエーテル、ジオキサ
ン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒等が
例示できる。これらは1種または2種以上を併用するこ
とができる。尚、溶液状態で用いる場合、化合物(A)
と(B)の濃度は、両者の合計量が5重量%以上である
ことが好ましい。
【0015】化合物(A)と(B)との反応は、温度2
0〜180℃、特には50〜120℃であることが好ま
しい。また、反応時間は、1〜40時間であることが好
ましい。反応には、必要に応じて重合禁止剤を添加する
ことができる。重合禁止剤の使用は、化合物(B)に含
まれる不飽和結合が化合物(A)との反応中に重合する
のを防ぐために有効であり、例えばハイドロキノン、ハ
イドロキノンモノメチルエーテル等が使用できる。な
お、ポリシロキサン系マクロモノマーの製造において、
反応系に中にテトラアルコキシシランまたはジアルキル
ジアルコキシシランを化合物(A)と(B)との合計1
00モル%に対し20モル%以下で添加することができ
る。
【0016】使用する化合物(A)および(B)が、上
記式中のR12、R13、R14、R16、R17及びR18が全て
水酸基である化合物の場合には、反応中に、有機溶媒を
加熱撹拌して脱水縮合反応を行うことが好ましい。一
方、使用する化合物(A)および(B)のいずれかまた
は双方がアルコキシル基を有する化合物である場合に
は、縮合に先立って加水分解させておくことが好まし
い。通常は、水及び触媒の存在下で加熱撹拌し、加水分
解反応及び結合反応を連続して行う。この際の水の使用
量は特に限定されないが、アルコキシル基1モル当たり
0.1モル以上とすることが好ましい。0.1モルより
少ないと両化合物の反応が低下するおそれがある。最も
好ましいのは、水を溶媒として大過剰に用いる方法であ
る。
【0017】加水分解反応に際し、水と水溶性有機溶媒
とを併用すれば、縮合により水に難溶性のアルコールが
生成する場合にも反応系を均一化することができる。使
用できる水溶性有機溶媒としては、前記した化合物
(A)および(B)を溶解するために使用するアルコー
ル系、エステル系、エーテル系、ケトン系等の溶媒を使
用することができる。また、加水分解反応には、触媒を
使用することができる。使用できる触媒としては、酸触
媒又はアルカリ触媒が使用でき、酸触媒として塩酸、硫
酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、
メタクリル酸等が、アルカリ触媒として水酸化ナトリウ
ム、トリエチルアミン、アンモニア等が例示できる。触
媒の添加量は、上記化合物(A)と(B)との合計量に
対し、0.0001〜5重量%、特には、0.01〜
0.1重量%であることが好ましい。
【0018】ポリシロキサン系マクロモノマーが有する
ポリシロキサン部の構造は、長鎖状、梯子状又はこれら
の混合系のいずれでもよい。本発明では、これらのうち
梯子状のもの又は直鎖状と梯子状の混合系が好ましく、
特に梯子状の部分を多く有するものが耐水性、耐熱性、
耐候性等の点から好ましい。ポリシクロヘキサン系モノ
マーの構造は、化合物(A)と(B)との混合比率や、
水、酸触媒等の配合量等によって任意に選択できる。
【0019】本発明で使用するポリシロキサン系マクロ
モノマーは、数平均分子量が400〜50,000、特
には1,000〜20,000であることが好ましい。
400未満では、共重合時にゲル化し易い傾向にあり、
また50,000を越えると相溶性が低下する傾向にあ
るからである。また、化合物(A)と(B)との反応液
中のポリシロキサン系マクロモノマーは、重合性不飽和
結合を1分子当たり平均0.2〜1.9個有することが
好ましく、より好ましくは0.6〜1.4個、特には、
0.9〜1.2個有することが好ましい。重合性不飽和
結合が少な過ぎると、ポリシロキサン系マクロモノマー
とオキシラン基含有ビニルモノマーとの共重合反応生成
物が白濁し易く、一方重合性不飽和結合が多過ぎると、
共重合反応中にゲル化が生ずる場合があり好ましくな
い。
【0020】ポリシロキサン系マクロモノマー中の不飽
和結合数は、以下の方法により求められる。 化合物(A)及(B)の割合を適宜変え、同一条件で
反応させ、各種のポリシロキサン系マクロモノマーを得
る。 得られた各モノマーに、非官能性ビニルモノマーの使
用割合を変えて反応させ、各種のビニル共重合体を合成
する。 得られたビニル共重合体の分子量分布を、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(G.P.C.)で求め
る。 ポリシロキサン系マクロモノマーと非官能性ビニルモ
ノマーとの使用割合を変えた場合にも、得られる共重合
体のピーク分子量(最も含有率の高い分子量)がほぼ同
一で、しかも分布曲線がモノピークであり、低分子量成
分(不飽和結合成分を持っていないモノマー)や高分子
量成分(不飽和結合を2個以上有するモノマーの共重合
体)の分布が認められない場合は、モノマーは1分子中
に重合性不飽和結合を平均1個有する。 その他のマクロモノマーについては、化合物(A)の
使用モル数を[A]、化合物(B)の使用モル数を
[B]とし、平均1個の重合性不飽和結合を有するマク
ロモノマーを得る場合に用いた化合物(A)のモル数を
[A1]、化合物(B)のモル数を[B1]とし、
[B]/[A]、[B1]/[A1]によってマクロモ
ノマー中の平均の重合性不飽和結合数を求める。 例えば、化合物(B)/化合物(A)=1/20(モ
ル比)の場合に重合性不飽和結合数1個のマクロモノマ
ーが得られるとすれば、化合物(B)/化合物(A)=
0.9/20の場合は、重合不飽和結合を平均0.9個
有するマクロモノマーとなる。
【0021】オキシラン基含有ビニルモノマー 成分(イ)を構成するオキシラン基含有ビニルモノマー
は、式(3)で表される化合物である。
【0022】
【化3】
【0023】式中、R1は、水素原子、芳香族炭化水素
基または飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基であるこ
とが好ましい。R1が、芳香族炭化水素基である場合に
は、フェニル基、ベンジル基であることが好ましい。ま
た、飽和脂肪族炭化水素基である場合は、炭素数1〜1
0のアルキル基であることが好ましい。更に、不飽和脂
肪族炭化水素基である場合は、ビニル基、アリル基、α
−メチルビニル基であることが特に好ましい。R1は、
これらの中で、水素原子、メチル基、エチル基、フェニ
ル基であることが特に好ましい。R2は、上記式(4)
または式(5)で表される基である。なお、式(5)に
おいては、R4およびR5は各々水素原子、メチル基また
はエチル基であり、mは4〜8の整数であることが好ま
しく、nは1〜10の整数であることが好ましい。
【0024】また、本発明ではオキシラン基含有ビニル
モノマーとして、グリシジルメタクリレート、グリシジ
ルアクリレート、ビニルグリシジルエーテル等のグリシ
ジル基含有モノマー、下記化合物を併用することができ
る。これらの内、入手のし易さ、コストの面からグリシ
ジル基含有モノマーが好ましく、低温硬化性樹脂組成物
の硬化性の面から、脂環式オキシラン基を含有するモノ
マーを使用することが好ましい。これらは、使用するオ
キシラン基含有ビニルモノマーの0を超え80モル%の
範囲で併用することができる。なお、下記化合物におい
て、R7としては、直鎖または分枝状のアルキレン基、
即ちメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、
テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘ
キサメチレン基等が例示できる。また、R8としては、
メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テト
ラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサ
メチレン、ポリメチレン、フェニレン、シクロヘキシレ
ン、p−キシリレン基等を例示することができる。
【0025】
【化4】
【0026】式(3)で表される化合物は、例えば、以
下の方法により製造することができる。式(6−1)ま
たは式(6−2)で表されるような水酸基含有化合物
に、式(7)で表される化合物を反応させる。
【0027】
【化5】
【0028】式(6−1)で表される水酸基含有化合物
は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアルコール
である。また、式(6−2)で表される水酸基含有化合
物は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアルコー
ル1モルに対しラクトンを1〜10モルの割合で重合す
ることにより得られるラクトン重合体である。式(6−
2)で表される水酸基含有化合物は、具体的にはアルコ
ールである化合物(6−1)等の活性水素を開始剤と
し、ε−カプロラクトン等のラクトンを常法で開環重合
させて製造することができる。ラクトンは、ε−カプロ
ラクトン以外に、バレロラクトン等を単独重合させ、ま
たはε−カプロラクトンとバレロラクトン等を共重合さ
せてもよい。
【0029】式(7)で表される化合物は、例えば、ア
ジ化金属であるアジ化ナトリウムで代表されるアルカ
リ、アルカリ土類金属塩の水溶液に、酸クロライドであ
るR1−CH=CH−COClを反応させることにより
得ることができる。R1は、目的物である式(3)で表
される化合物のR1と同じ基のものを用いる。アジ化金
属と酸クロライドとの反応比は、アジ化金属1モルに対
し酸クロライドを0.01〜1.5モル反応させること
が好ましい。反応は、アジ化金属の水溶液に酸クロライ
ドの溶液を滴下させて行う。酸クロライドの溶媒には特
に制限はないが、アセトン、メチルエチルケトンなどの
ケトン類が好ましい。また、アジ化金属水溶液への滴下
は、温度−78〜100℃で行うことができるが、アジ
化金属の安定性を考え、室温またはそれ以下の温度で行
うことが好ましい。
【0030】式(3)で表される化合物は、式(7)で
表される化合物1モルに対し、式(6−1)または式
(6−2)で表される水酸基含有化合物を通常0.5〜
10.0モル添加し反応させて製造する。反応温度は、
式(7)で表される化合物の安定性と反応温度の関係か
ら、0〜150℃であることが好ましい。また、反応に
は触媒を使用することができる。好ましい触媒として
は、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン等の3
級アミン、テトラエチルアンモニウムクロライド等の4
級アミン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類
を例示することができる。
【0031】本発明の低温硬化性樹脂組成物に使用する
成分(イ)は、ポリシロキサン系マクロモノマーとオキ
シラン基含有ビニルモノマーとをモノマー成分として用
いてなるビニル共重合体である。該共重合体では、必要
に応じて上記モノマー成分以外に、他の重合性ビニルモ
ノマーをモノマー成分として用いることができる。使用
できる他の重合性ビニルモノマーとして、以下の化合物
が例示できる。
【0032】(a)アクリル酸又はメタクリル酸のエス
テル:例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等の
アクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキ
ルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸
メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリ
ル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタ
クリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル
酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル;ア
リルアクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル
酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のアルケニルエステ
ル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメ
タクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステ
ル;アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシエ
チルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の
炭素数3〜18のアルケニルオキシアルキルエステル。 (b)ビニル芳香族化合物:例えば、スチレン、α−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン。 (c)ジエン系化合物:例えば、ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン。 (d)その他:アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニルベオバモ
ノマー(シェル化学製品)、ビニルプロピオネート、ビ
ニルピバレート等。
【0033】ポリシロキサン系マクロモノマーとオキシ
ラン基含有ビニルモノマーとの共重合割合は、ポリシロ
キサン系マクロモノマー0.01〜98重量%、オキシ
ラン基含有ビニルモノマー99.99〜2重量%、より
好ましくはポリシロキサン系マクロモノマー0.1〜8
0重量%、オキシラン基含有ビニルモノマー99.9〜
20重量%である。ポリシロキサン系マクロモノマーが
0.01重量%より少ないと硬化性が低下し、98重量
%を越えると硬化物の物性が低下し、縮みが発生し易く
なる傾向にある。また、上記2種類のモノマーに加えて
他の重合性ビニルモノマーをモノマー成分として用いる
場合には、ポリシロキサン系マクロモノマー0.01〜
80重量%、オキシラン基含有ビニルモノマー90〜1
重量%、その他の重合性ビニルモノマー0を越えて9
8.99重量%以下、より好ましくはポリシロキサン系
マクロモノマー0.1〜60重量%、オキシラン基含有
ビニルモノマー60〜3重量%、その他の重合性ビニル
モノマー10〜96.9重量%である。ポリシロキサン
系マクロモノマーおよびオキシラン基含有ビニルモノマ
ーの使用量がこの範囲であると縮みが発生せず好まし
い。
【0034】上記ビニル共重合体は、通常のアクリル樹
脂やビニル樹脂などの合成反応と同様の方法、条件で得
ることができる。例えば、各モノマー成分を有機溶剤に
溶解または分散させ、ラジカル重合開始剤の存在下で6
0〜180℃程度の温度で撹拌しながら加熱する方法が
例示できる。反応時間は、1〜10時間であることが好
ましい。また、有機溶剤としては、前記(A)と(B)
との反応で記載したものと同じアルコール系溶媒、エー
テル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が例示
できる。炭化水素系溶媒を用いる場合には、溶解性の点
から他の溶媒を併用することが好ましい。反応系には、
ラジカル開始剤を使用することができ、その一例とし
て、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート等の過酸化物、アゾイソブチルニト
リル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物
等が示される。
【0035】成分(ロ) 本発明で使用する成分(ロ)は、6配位の有機アルミニ
ウムキレート化合物及び/又は8配位の有機ジルコニウ
ムキレート化合物であって、以下の化合物が例示でき
る。
【0036】6配位の有機アルミニウムキレート化合物
としては、有機アルミニウムをキレート化剤で処理する
ことによって得た化合物であることが好ましく、有機ア
ルミニウムとしては下記式(8)で示される化合物が好
適である。
【0037】
【化6】
【0038】式(8)中、R20、R21及びR22の炭素数
1〜13のアルコキシル基として、メトキシ、エトキ
シ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、
イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキ
シ、n−ペントキシ、イソアミルオキシ、n−ヘキシル
オキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシが例
示できる。炭素数3〜10のアルコキシアルコキシル基
として、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、エトキ
シブトキシ、ブトキシペントキシ基等が例示できる。ま
た炭素数1〜6のアルキル基として、メチル、エチル、
n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチ
ル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル基が例
示でき、アリール基としてはフェニルやトルイル基が例
示でき、アルケニル基としては、ビニルやアリル基が例
示できる。また、メルカプト基もしくはアミノ基で置換
された炭素数1〜6のアルキル基としては、γ−メルカ
プトプロピル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノ
ブチル基が例示できる。好ましい6配位の有機アルミニ
ウムキレート化合物として、アルミニウムイソプロピレ
ート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウム
tert−ブチレート等が例示できる。
【0039】一方、上記有機アルミニウムと反応させる
キレート化剤としては、低級アルカノールアミン類、例
えばトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメ
チルアミノエタノール等、アセト酢酸エステル、例えば
アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等、ジケトンアル
コール、例えばジアセトンアルコール等、ジケトン類、
例えばアセチルアセトン等、グリコール類、例えばエチ
レグリコール、オクチレングリコール等、オキシカルボ
ン酸、例えば乳酸、酒石酸等、ジカルボン酸又はそのエ
ステル、例えばマレイン酸、マロン酸エチル等、その他
サルチル酸、カテコール、ピロガロール等が例示でる。
これらの中でも低級アルカノールアミン類、オキシカル
ボン酸、ジケトン類が好ましい。
【0040】本発明で使用する6配位の有機アルミニウ
ムキレート化合物としては、アルミニウム原子に直接結
合する水酸基及びアルコキシル基を有しない化合物が好
ましい。有機アルミニウムキレート化合物が、アルミニ
ウム原子に直接結合する水酸基やアルコキシル基を有し
ていると、本発明の低温硬化性樹脂組成物に配合すると
組成物の貯蔵安定性を劣化させ、かつ硬化後の塗膜の平
滑性を低下させる場合があり好ましくない。本発明で使
用する6配位の有機アルミニウムキレート化合物として
は、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、
トリストリフルオロアセチルアセトナトアルミニウム、
トリスヘキサフルオロアセチルアセトナトアルミニウ
ム、トリスエチルアセトアセタトアルミニウム、トリス
(n−プロピルアセトアセタト)アルミニウム、トリス
(iso−プロピルアセトアセタト)アルミニウム、ト
リス(n−ブチルアセトアセタト)アルミニウム、トリ
スサリチルアルデヒダトアルミニウム、トリス(2−エ
トキシカルボニルフェノラート)アルミニウム、トリス
(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチル
アセトナト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒ
ダト)アルミニウム等が例示でき、これらは部分的に縮
合したものであってもよい。
【0041】本発明で使用できる8配位の有機ジルコニ
ウムキレート化合物としては、有機ジルコニウムをキレ
ート化剤で処理することによって得られるものが好まし
く、有機ジルコニウムとしては、下記式(9)で表され
る化合物が好ましい。
【0042】
【化7】
【0043】式(9)中、炭素数1〜13のアルコキシ
ル基として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イ
ソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−
ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソ
アミルオキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキ
シ、n−オクチルオキシが例示できる。炭素数3〜10
のアルコキシアルコキシル基として、メトキシメトキ
シ、メトキシエトキシ、エトキシブトキシ、ブトキシペ
ントキシ基等が例示できる。また炭素数1〜6のアルキ
ル基として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、te
rt−ブチル、アミル基が例示でき、アリール基として
はフェニルやトルイル基が例示でき、アルケニル基とし
ては、ビニルやアリル基が例示できる。また、メルカプ
ト基もしくはアミノ基で置換された炭素数1〜6のアル
キル基としては、γ−メルカプトプロピル、アミノエチ
ル、アミノプロピル、アミノブチル基が例示できる。好
ましい有機ジルコニウムとしては、テトラメチルジルコ
ネート、テトラエチルジルコネート、テトライソプロピ
ルジルコネート、テトラ−n−ブチルジルコネート、テ
トライソブチルジルコネート、テトラ−tert−ブチ
ルジルコネート等が例示できる。
【0044】上記有機ジルコニウム化合物とを反応させ
るキレート化剤としては、先に6配位有機アルミニウム
化合物の場合に用いるキレート化合物と同様のものが好
ましく用いることができる。
【0045】本発明で使用する有機ジルコニウムキレー
ト化合物は、ジルコニウム原子に直接結合する水酸基及
びアルコキシル基を有しない化合物が好ましい。ジルコ
ニウム原子に直接結合する水酸基やアルコキシル基が存
在する場合には、アルミニウム化合物の場合と同様に、
樹脂組成物の貯蔵安定性の低下や硬化塗膜の平滑性の低
下等が生じるので好ましくない。8配位有機ジルコニウ
ムキレート化合物としては、テトラキス(オキザリック
アシド)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセト
ン)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトア
セタト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセ
タト)ジルコニウム、テトラキス(サリチルアルデヒダ
ト)ジルコニウム等が例示でき、これらは部分的に縮合
したものであってもよい。
【0046】成分(ハ) 本発明で使用する成分(ハ)は、1分子中に少なくとも
2個の脂環式オキシラン基を有する数平均分子量1,0
00以下の化合物であって、以下のものが例示できる。 化合物(C)他以下に示す化合物がある。
【0047】
【化8】
【0048】3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
アルコール等とポリイソシアネート化合物との付加物が
ある。使用し得るポリイソシアネート化合物としては、
例えばヘキサメチレンジイソシアネートまたはトリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシ
アネート類;キシリレンジイソシアネートまたはイソホ
ロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート
類;トリレンジイソシアネートまたは4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネー
ト類等の有機ジイソシアネートそれ自体、またはこれら
の各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量
ポリエステル樹脂または水等との付加物、または上記し
た各有機ジイソシアネート同士の重合体、さらにはイソ
シアネート・ビウレット体などが例示できる。市販品と
しては、大日本インキ化学工業(株)製品「バーノック
D−750」、「バーノックD−800」、「バーノッ
クDN−950」、「バーノックD−970」または
「バーノックD15−455」、ドイツ国バイエル社製
品「デスモジュールL」、「デスモジュールNHL」、
「デスモジュールIL」または「デスモジュールN33
90」、武田薬品工業(株)製品「タケネートD−10
2」、「タケネートD−202」、「タケネートD−1
10N」または「タケネートD−123N」、日本ポリ
ウレタン工業(株)製品「コロネートL」、「コロネー
トHL」、「コロネートEH」または「コロネート20
3」または旭化成工業(株)製品「デュラネート24A
−90CX」などがある。 前記化合物(C)と多塩基酸との付加物がある。 分子中に、例えば4−シクロヘキセン−1,2−イレ
ン等の不飽和基を有するエステル化物、例えば、テトラ
ヒドロ無水フタル酸、トリメチロールプロパン及び1,
4−ブタンジオール等をエステル化反応して得られる数
平均分子量900のエステル化物を、過酢酸等で酸化さ
せて得られるものがある。また、上記脂環式オキシラン
基を有する化合物は、該脂環式オキシラン基以外にも脂
環式でないオキシラン基が導入されたものも使用でき
る。
【0049】成分(ハ)の分子量は、数平均分子量1,
000以下であることが重要である。数平均分子量1,
000を越えると本発明の低温硬化性樹脂組成物に配合
する成分(イ)であるビニル共重合体樹脂との相溶性が
低下し、仕上がり性及び塗膜性能に優れた塗膜を形成す
ることができないからである。
【0050】低温硬化性樹脂組成物 本発明の低温硬化性樹脂組成物は、成分(イ)、(ロ)
及び(ハ)からなる。成分(ロ)の配合量は、成分
(イ)100重量部に対して0.01〜30重量部であ
ることが好ましく、特には、0.1〜15重量部である
ことが好ましい。成分(ロ)の使用量がこの範囲より少
ないと架橋硬化性が低下する傾向にあり、またこの範囲
より多いと硬化物中に残存して、硬化物の耐水性を低下
させるので好ましくない。
【0051】成分(ハ)の配合量は、成分(イ)100
重量部に対して0.1〜1,000重量部であることが
好ましく、より好ましくは5〜100重量部である。
0.1重量部より少ないと、硬化性促進の重要な要因で
ある脂環式オキシラン基含量が低下し、硬化性が低下す
る。また成分(ハ)は、低温硬化性樹脂組成物において
希釈剤としての性格も有し、低温硬化性樹脂組成物の固
形分濃度の増減にも寄与し、この面からも0.1以上の
配合が望ましい。なお、成分(ハ)の配合量が1,00
0重量部より多くなると、低温硬化性樹脂組成物中のS
iORまたは/およびSiOH基の含有量が少なくなり
硬化性が低下する。
【0052】他の成分 本発明樹脂組成物には、更に必要に応じて、例えばエポ
キシ基含有樹脂(シェル化学製「エピコート100
1」)や、スチレンアリルアルコール共重合体等の水酸
基含有樹脂を配合することができる。これらの樹脂の配
合量は、本発明の低温硬化性樹脂組成物に10重量%以
下で配合することができる。
【0053】用途 本発明の低温硬化性樹脂組成物により得られる硬化物
は、耐候性、耐水性等に優れたものであり、例えば自動
車やコンテナの塗装や補修、屋外用建材の塗装、プレコ
ートメタル等の用途に好適に用いられる。尚、塗料とし
て使用する場合には、塗装方法に限定はなく、例えばス
プレー塗装、ロール塗装、ハケ塗り等の一般的な塗装方
法によって塗装することができる。
【0054】本発明の低温硬化性樹脂組成物は、有機溶
剤に溶解して用いることができる。使用できる有機溶剤
には、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶
剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジオ
キサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエー
テル系溶剤、ブタノール、プロパノール等のアルコール
系溶剤等が例示できる。これらの溶剤は、単独又は適宜
混合して用いることができるが、アルコール系溶剤を用
いる場合には、樹脂の溶解性の点から他の溶剤と併用す
ることが好ましい。尚、低温硬化性樹脂組成物の濃度
は、使用目的によって適宜選択でき、一般に10〜70
重量%が好ましい。
【0055】本発明の低温硬化性樹脂組成物は、100
℃以下の低温で容易に架橋硬化させることができる。例
えば、何ら加熱せず常温で硬化させる場合には、通常8
時間〜7日間程度で十分に硬化させることができ、また
40〜100℃程度に加熱する場合には、5分〜3時間
程度で十分に硬化させることができる。更に常温付近に
おいても、数十時間で十分硬化させることができる。
【0056】本発明の低温硬化性樹脂組成物の硬化反応
は、溶剤の揮発により始まり、架橋硬化剤からのキレー
ト化剤の揮発によって連鎖的に進行するものと考えられ
る。架橋硬化剤による硬化反応の進行は以下に示すよう
な機構に従うものであると推定される。即ち、例えば架
橋硬化剤として有機アルミニウムキレート化合物を用い
る場合には、まず一段目の反応として、キレート化剤が
揮発した後アルミニウム化合物がポリシロキサン系マク
ロモノマー構造単位中のシラノール基と反応して、式
(10)結合を生じる。次いで、二段目の反応として式
(10)結合ヘシラノール基が配位し式(11)となっ
てシラノール基を分極させる。この分極したシラノール
基がエポキシ基と反応してオキソニウム塩化して式(1
2)となる。次いで、エポキシ基のイオン重合及び水酸
基への付加反応が生じる。
【0057】
【化9】
【0058】本発明の低温硬化性樹脂組成物における硬
化反応は、上記した架橋硬化剤の触媒作用による架橋反
応の他にシラノール基同士の縮合反応等の各種の反応が
併行して起きることによって進行するものと推定され、
例えば次のような各種の硬化反応が生じるものと思われ
る。 (A)シラノール基同士の縮合 (B)シラノール基とオキシラン基から生じた水酸基と
の縮合 (C)シラノール基のオキシラン基への付加 (D)水酸基のオキシラン基への付加 (E)オキシラン基同士のイオン重合 なお、本発明の低温硬化性樹脂組成物において、ポリシ
ロキサン系マクロモノマー構造単位が官能基としてアル
コキシル基を含有する場合、例えば、アルコキシシラン
基を含有する場合には、シラノール基を生じるために加
水分解が必要となるが、この加水分解反応は、空気中の
湿気程度の少量の水分の存在だけで充分に進行する。
【0059】本発明の低温硬化性樹脂組成物では、使用
するビニル共重合体中に、モノマー成分であるポリシロ
キサン系マクロモノマーに由来するシラノール基等の官
能基及びオキシラン基含有ビニルモノマーに由来するオ
キシラン基が存在する。このため、上記(A)〜(E)
に示すような各種の硬化反応が併行して生じる。その結
果、硬化物の表面及び内部において硬化が同時に進行
し、硬化物の表面と内部とで硬化の程度が少なく、縮み
が生じ難い。
【0060】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお
「%」は、特に示す場合を除くほか「重量%」を示す。
【0061】(実施例1)SUS製反応器にメチルトリ
メトキシシラン2,720g(20mol)、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン256g(1m
ol)、脱イオン水1134g、60%塩酸2g、ハイ
ドロキノン1gを入れ、この混合物を80℃、5時間反
応させた。得られたポリシロキサン系マクロモノマーの
数平均分子量は2,000、平均して1分子当たり1個
のビニル基(重合性不飽和結合)と4個の水酸基を有し
ていた。このマクロモノマー300gとスチレン100
g、後記化合物(D)280g、n−ブチルメタクリレ
ート400g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
20gの混合物をキシレン1,000g中に120℃で
滴下、重合させ、透明な共重合体を得た。数平均分子量
は約20,000であった。この共重合体溶液140g
に、前記化合物(C)30gとアルミニウムトリス(エ
チルアセトアセテート)を添加し、ガラス板上に乾燥膜
厚60μの膜厚に塗布し、90℃で30分間焼き付け
た。硬化塗膜は平滑で透明で、縮みはみられず、アセト
ンによる抽出残分は92%であった。
【0062】(実施例2)SUS製反応器にフェニルト
リシラノール7800g(50mol)、γ−アクリロ
キシプロピルトリシラノール200g(1mol)、ト
ルエン4,500gを入れ、この混合物を117℃で3
時間反応させ、脱水した。得られたポリシロキサン系マ
クロモノマーの数平均分子量は7,000、平均して1
分子当たり1個のビニル基と5〜10個の水酸基を有し
ていた。このマクロモノマー100gと2−ヒドロキシ
エチルアクリレート100g、後記化合物(D)200
g、2−エチルヘキシルメタクリレート600g、アゾ
イソブチロニトリル10gの混合物をブタノールとキシ
レンの等重量混合物1,000g中に120℃で滴下、
重合させ、透明な共重合体を得た。数平均分子量は約4
0,000であった。この共重合体溶液160gに前記
化合物(C)35gとテトラキス(アセチルアセトン)
ジルコニウムの0.3gを添加したものをガラス板上に
乾燥膜厚60μとなるよう塗布し、80℃で30分焼き
付けた。硬化塗膜は平滑、透明で縮みはみられず、アセ
トン抽出残分は98.4%であった。
【0063】(実施例3)フェニルトリメトキシシラン
48モルとγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシ
ラン2モルとを実施例1と同様にして反応させた。得ら
れたポリシロキサン系マクロモノマーの数平均分子量は
約5,000で、平均して1分子当たり、1個のビニル
基と5〜10個のメトキシ基を有していた。このマクロ
モノマー500gと実施例1で用いたビニルモノマー5
00gとを実施例1と同様にして重合させ共重合体を得
た。その数平均分子量は、約60,000であった。こ
の共重合体溶液100gにアジピン酸1モルと前記化合
物(C)2モルとの付加物50gとアルミニウムトリス
(アセチルアセトン)1.0gを添加し、ガラス板上に
乾燥塗膜60μになる様に塗布し100℃で30分焼き
付けた。硬化塗膜は平滑で透明で縮みはみられず、アセ
トンによる抽出残分は96%であった。
【0064】(実施例4)メチルトリメトキシシラン2
9.1モルとγ−アクリロキシプロピルトリエトキシシ
ラン0.9モルとを実施例1と同様にして反応させた。
得られたポリシロキサン系マクロモノマーの数平均分子
量は約15,000で、平均して1分子当たり、1個の
ビニル基とメトキシ基を5〜10個有していた。このマ
クロモノマー400gと実施例1で用いたビニルモノマ
ー600gとを実施例1と同様にして重合させ共重合体
を得た。数平均分子量は約70000であった。この共
重合体溶液180gと前記化合物(C)10gとの混合
物に10gのテトラキス(エチルアセトアセタト)ジル
コニウムを添加し、ガラス板に60μ膜厚に塗布し、8
0℃で30分間焼き付けた。硬化塗膜は透明で縮みがみ
られず、アセトン抽出残分は94%であった。
【0065】(実施例5)実施例2の硬化性組成物をガ
ラス板上に乾燥膜厚60μとなるよう塗装し、25℃で
48時間放置した。硬化塗膜は平滑、透明で縮みがな
く、アセトン抽出残分は95%であった。
【0066】(実施例6)SUS製反応器に実施例1の
マクロモノマー300gとスチレン100g、後記化合
物(D)140g、グリシジルメタクリレート100
g、n−ブチルメタクリレート400g、2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル20gを入れ、この混合物を
キシレン1,000g中に120℃で滴下、重合させ、
透明な共重合体を得た。この数平均分子量は約20,0
00であった。この共重合体溶液140gに前記化合物
(C)30gとアルミニウムトリス(エチルアセトアセ
テート)を添加し、ガラス板上に乾燥膜厚60μの膜厚
に塗布し、90℃で30分間焼き付けた。硬化塗膜は平
滑で透明で、縮みはみられず、アセトンによる抽出残分
は90%であった。
【0067】(実施例7)SUS製反応器に実施例1で
得たマクロモノマー300gとスチレン100g、後記
化合物(D)140g、後記化合物(E)140g、n
−ブチルメタクリレート400g、2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル20gを入れ、この混合物をキシレ
ン1,000g中に120℃で滴下、重合させ、透明な
共重合体を得た。数平均分子量は約20,000であっ
た。この共重合体溶液140gに前記化合物(C)30
gとアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)を
添加し、ガラス板上に乾燥膜厚60μの膜厚に塗布し、
90℃で30分間焼き付けた。硬化塗膜は平滑で透明
で、縮みはみられず、アセトンによる抽出残分は96%
であった。なお、アセトンによる抽出残分で表されるゲ
ル分率は、乾燥させた塗膜をガラス板から剥がし取り、
ソックスレー抽出器で還流温度でアセトンを用いて6時
間抽出した後、塗膜の残分を重量%で表した。
【0068】
【化10】
【0069】
【発明の効果】本発明の低温硬化性樹脂組成物は、10
0℃以下の低温で容易に架橋硬化でき、例えば80℃で
30分間硬化させただけで、95%以上のゲル分率を有
する硬化物が得られる。また、硬化反応に水分が不必要
であるか、或いは空気中の湿気程度の少量の水分の存在
下で硬化反応が進行する。また、溶剤揮発により硬化が
始まるので、1液性組成物として用いる場合にも貯蔵安
定性が良好である。硬化に際しイソシアネートの様な毒
性の強い硬化剤を用いず、組成物の溶液粘度が低いの
で、高固形分のものが得られる。更に、シラノール基の
縮合反応、エポキシ基のイオン重合反応等の各種の架橋
反応が併行して生じるので、表面と内部との硬化性の差
が少なく、縮みを生じることがなく、厚塗り性に優れ
る。加えて、硬化時の副生成物が少ないため、物性に優
れた硬化物が得られ、特に、耐候性、耐水性に優れた硬
化物となる。硬化物の表層に未硬化物がほとんど存在す
ることがなく、上塗り性、リコート性、付着性等に優れ
た硬化物が得られる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分(イ)、(ロ)、(ハ)を含有
    することを特徴とする低温硬化性樹脂組成物。 (イ)式(1)で表される化合物(A)70〜99.9
    99モル%と式(2)で表される化合物(B)30〜
    0.001モル%とを反応させて得た1分子中に水酸基
    またはアルコキシル基を2個以上有する数平均分子量4
    00〜50,000のポリシロキサン系マクロモノマー
    と、式(3)で表されるオキシラン基含有ビニルモノマ
    ーとの共重合体であって、数平均分子量2,000〜1
    00,000のビニル共重合体、 (ロ)6配位の有機アルミニウムキレート化合物及び/
    又は8配位の有機ジルコニウムキレート化合物、 (ハ)1分子中に少なくとも2個の脂環式オキシラン基
    を含有する数平均分子量1,000以下の化合物 【化1】
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