JPH1097263A - 音場制御方法 - Google Patents

音場制御方法

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JPH1097263A
JPH1097263A JP8251628A JP25162896A JPH1097263A JP H1097263 A JPH1097263 A JP H1097263A JP 8251628 A JP8251628 A JP 8251628A JP 25162896 A JP25162896 A JP 25162896A JP H1097263 A JPH1097263 A JP H1097263A
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友彦 伊勢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トランクルーム内の定在波をなくし、音質良
好な音を車室内に出力する。 【解決手段】 信号処理部11は、オーディオ音再生用
スピーカSPより音を出力した時、トランクルームTR
Rに発生するもっとも大きな定在波のモード及び該定在
波の空間音圧分布が顕著となる周波数帯域Fを求める。
ついで、該モードの空間分布係数が正/負となるトラン
クルームにスピーカSPC1、マイクMC 1/スピーカ
SPC2、マイクMCN-1をそれぞれ配置する。適応信
号処理装置13は各マイクの出力信号が同一波形となる
ように適応信号処理を行なって適応フィルタ13a-1,13a-
2の係数を決定する。オーディオ信号を再生用スピーカ
SPに入力すると共に、通過帯域Fのバンドパスフィル
タ12に入力し、バンドパスフィルタはその出力信号を
適応フィルタに入力し、適応フィルタはフィルタ出力を
各制御用スピーカSPC1,SPC2に入力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリアトレイにスピーカを
設置してトランクルームをスピーカボックスとして利用
するカーオーディオシステムの音場制御方法に係わり、
特に、トランクルームに発生する最も大きな定在波を除
去し、他のモードの重ね合わせによりトランクルーム全
体の音圧分布を平坦にし、これにより、オーディオ音再
生用スピーカに及ぼしていた悪影響を取り除き、車室内
に出力される音の音質を改善する音場制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】スピーカはその背面容積を大きくとると
音質が向上する。このためカーオーディオでは、図8に
示すようにリアトレイRTRにスピーカSPL,SPR
を設置してトランクルームTRRをスピーカボックスと
して利用する場合が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、トランクルー
ムTRRの壁面では音が反射するため、トランクルーム
内に定在波が発生しスピーカの伝達特性が乱れる。すな
わち、定在波によりトランクルーム内で共振が起こり、
共振周波数でピークが発生し、このピークによりスピー
カの伝達特性にピーク/ディップ部分が生じて車室内に
おける再生音に悪影響を与える。ホームオーディオのス
ピーカではスピーカボックス内部の壁面にグラスウール
等の吸音材を貼り付けて音の反射を少なくし上記影響を
防いでいるが、カーオーディオ装置ではトランクルーム
が汚れる等の理由で吸音材を貼付る対策をしていない。
以上から、本発明の目的は、トランクルームに定在波打
消用の小型の制御用スピーカを配置してトランクルーム
内での定在波をなくし、スピーカの本来の伝達特性に近
づけて音質良好な音を車室内に出力できるようにするこ
とである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題は本発明によれ
ば、リアトレイにオーディオ音再生用スピーカを設置し
てトランクルームをスピーカボックスとして利用するカ
ーオーディオシステムにおいて、前記オーディオ音再生
用スピーカより音を出力した時、トランクルームに発生
するもっとも大きな定在波のモードを求めると共に、求
めたモードの空間音圧分布が顕著となる周波数帯域を求
め、該モードの空間分布係数が正となるトランクルーム
の領域に第1の制御用スピーカとマイクロホンを配置
し、負となるトランクルームの領域に第2の制御用スピ
ーカマイクロホンを配置し、前記周波数帯域において各
マイクロホンの出力信号が同一波形となるように適応信
号処理を行なって適応フィルタの係数を決定し、前記周
波数帯域を通過帯域とするバンドパスフィルタを介して
適応フィルタにオーディオ信号を入力し、該適応フィル
タから出力されるオーディオ信号を各制御用スピーカに
入力すると共に、オーディオ信号をオーディオ音再生用
スピーカに入力することにより達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
(A) 原理 (a) 基本原理 内部にM個の音源(スピーカ)を有する両端が閉じた一
次元音場の波動方程式の解は次式で与えられる。尚、一
次元音場とは、音圧が所定の軸方向位置xのみに応じて
変化する音場である。一次元音場の例としては、細長い
断面円形のパイプで、その直径が信号周波数波長の1/
8以下のパイプが挙げられる。
【0006】
【数1】 ただし、ωn=nπc0/L ω:放射された信号の角周波数 p(x,ω):音圧、 ξn:第nモードのダンピングレシオ(damping ratio) qm:スピーカmへの入力信号 xm:スピーカmの位置 N:モード数 L:一次元音場の長さである。
【0007】上式は一次元音場の各位置での音圧p(x,
ω)が、cos(nπx/L)で表されるその音場固有の
モードの和で与えられることを示している。cos(nπ
x/L)はモードの空間分布を示す係数(空間分布係数
という)である。(1)式において、
【数2】 は、第nモードの周波数局在性を示す係数で、例えば図
1に示すようになる。図1からわかるように、重ね合わ
され各モードの比率は周波数によって変化する。よっ
て、第1モードが他のモードより大きい周波数におい
て、各モードの次式で示す係数(n=1、2、・・・)
は図2に示すようになる。
【0008】
【数3】 図2における点線(=0)より上はプラス、点線より下
ではマイナスで、マイナスの部分ではプラスの部分と位
相が反転している。
【0009】
【数4】 はスピーカから空間に出た音の第nモードの成分であ
り、これに同じ第nモードの(3)式で示す係数が掛けら
れ、他のモードと足し合わされることにより空間の音圧
が表現されることが (1)式からわかる。
【0010】モードのいずれかがある周波数帯域で他の
モードよりも顕著に大きくなったときに、それが定在波
となって現われ、この定在波によりトランクルーム内で
共振が起こり、共振周波数でピークが発生し、このピー
クによりスピーカの伝達特性にピーク/ディップ部分が
生じて車室内の音響特性に悪影響を与える。それゆえ、
本発明は、この顕著なモードを打ち消して他のモードの
重ね合わせにより均一な音場を得るようにし、これによ
りスピーカの伝達特性に及ぼしている悪影響を取り去
る。
【0011】ここで、音源(スピーカ)の数M=2個で両
音源に同じ信号q(ω)を入力した場合を考察する。この
とき、(1)式は
【数5】 と変形できる。この式から、 cos(nπx1/L)=−c
os(nπx2/L) を満足する位置に音源を配置するこ
とによって第nモードが0になることがわかる。この
時、第nモードと同様に cosの符号が反転するモードは
打ち消され、逆に、 cosの値の符号が同じモードは大き
くなる。
【0012】両音源にフィルタW1,W2を介して信号q
(ω)を入力すると、
【数6】 となる。フィルタW1,W2を調整して cos(nπx1/L)W1(ω)=−cos(nπx2/L)
2(ω) とすることにより、特に音源位置には左右されないでモ
ードを打ち消すことができる。
【0013】さて、スピーカのエンクロージャ内部にお
けるモード制御では、スピーカから音が出た後、エンク
ロージャ内部全体の音圧が一様に代わり、位置による音
圧差がなくなるようにするのが最も望ましい。つまり、
0次のモードだけが残り、他のモードがなくなるのが最
も望ましいことになる。これは次の連立方程式を解くこ
とが必要である。
【0014】
【数7】 しかし、式が無限個あり、変数W1,W2が2個しかない
ため、完全な解は存在しない。完全解を得るためには、
無限個のフィルタ付き音源が必要である。ここで、各モ
ードの周波数局在性に着目する。前述のように、各モー
ドは(2)式によって周波数局在性を持つので、ある1つ
のモードが非常に大きくなっている周波数帯域Fにター
ゲットを絞れば2個の音源でも十分な制御が可能とな
る。すなわち、2個の音源でも前記モードの前記周波数
帯域Fにおける成分を除去してトランクルーム内の全体
の音圧を略均一にできる。
【0015】この場合、図3に示すように打ち消しター
ゲットとなるモードの空間分布係数cos(nπx/L)
の符号が異なる位置x1,x2に音圧制御用スピーカSP
C1,SPC2を配置し、これらスピーカに同符号の信
号q(ω)を加えると、そのモードでは音が打ち消し合
う。すなわち、モードのプラス側とマイナス側で同時に
同一の所望の音圧になるように音圧制御用スピーカSP
C1,SPC2を駆動すれば、空間分布係数cos(nπ
x/L)の符号が反転するモードでは打ち消し合い、結
局符号の反転しないモード(例えば図2のn=0のモー
ド)が残り、該モードを励起した状態で所望の音圧が得
られる。例えば、空間分布係数cos(nπx/L)の符
号が異なる任意の位置x3,x4にマイクロホンMC1,
MC2を設け、該マイクロホンMC1,MC2で音源S
PC1,SPC2からの音を検出すると、理想的には空
間分布係数cos(nπx/L)の符号が反転するモード
の音は互いに打ち消し合い、符号の反転しないモードで
の音のみが得られることになる。
【0016】以上より、各制御用スピーカSPC1,S
PC2に同じ信号q(ω)を入力した時、各マイクMC
1,MC2で検出される音圧がq(ω)となるようにW1
(ω),W2(ω)を制御すればよい。すなわち、次式
【数8】 を満たすフィルタの最小二乗解を求めればよい。
【0017】このフィルタW11,W2を介して各制御用
スピーカSPC1,SPC2に信号q(ω)を入力すれ
ば、上述のように符号の反転するモードは打ち消され、
特に、大きなモードは優先的に打ち消され、符号の同じ
モードが大きくなる。ある1つのモードが非常に大きく
なっている周波数帯域では他のモードがほぼ同じくらい
の大きさなので、それぞれが互いに均一化しあって音場
全体の音圧分布が平坦に近づく。
【0018】なお、実際のトランクルームではフィルタ
の入っていないオーディオ音再生用スピーカSPが存在
するから、その位置をx5とすれば、次式
【数9】 を満足するフィルタW1,W2の最小二乗解を求めること
になる。このフィルタを求めるには適応フィルタ等を用
いればよい。
【0019】(b) モード分析 ところで、以上の制御を適用するには、予めオーディオ
音再生用スピーカに悪影響を与えているモードとその局
在する周波数帯域を調べておく必要がある。(1) 式の両
辺にcos(n′πx/L)(n′は整数)を掛け、xに
関して積分し、n′をnと置き直すと、
【数10】 となる。これによって、空間音圧分布中の第nモード成
分だけを取り出すことができる。
【0020】さらに、(10)式の左辺を離散化すると、
【数11】 となる。つまり、x0〜xKの(K+1)個のトランクル
ーム内の位置に複数のマイクロホンを設置し、その出力
を位置に関して離散フーリエ変換することにより、モー
ド分析ができる。これによって、オーディオ音再生スピ
ーカSPに悪影響を与えているモードがどれであるかを
調べることができ、音圧制御用スピーカSPC1,SP
C2の位置や制御点位置(マイクMC1,MC2の位
置)を決めることができる。
【0021】又、(11)式から次式が得られ、対象とする
モードの局在する周波数帯域が判明する。
【数12】 よって、この帯域のみを通過させるバンドパスフィルタ
を設計し、該バンドパスフィルタにオーディオ信号を入
力し、バンドパスフィルタの出力信号を制御用スピーカ
SPC1,SPC2の前段に設けたフィルタW1,W2
入力して対象となる周波数帯域のみ制御する。
【0022】以上、簡単のために一次元音場で説明した
が、三次元音場では(1)式が次式
【数13】 となるだけで、本質的な違いはない。
【0023】以上、要約すると、 トランクルーム内のモード分析を行なって制御するモ
ードを決め、ついで、該モードが顕著な周波数帯域を求
め、該周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタを設
計する。 しかる後、対象モードの空間分布係数cos(nπx/
L)のプラス側トランクルーム領域に音圧制御用スピー
カSPC1とマイクロホンMC1を配置し、マイナス側
トランクルーム領域に音圧制御用スピーカSPC2とマ
イクロホンMC2を配置する。 かかる状態で、適応信号処理により各マイクロホンM
C1,MC2より得られる信号と適応フィルタへの入力
信号に時間遅延を加えたものとの差が小さくなるように
適応フィルタ(フィルタW1,W2)の係数を調整する。 そして、適応フィルタにバンドパスフィルタの出力信
号を入力し、適応フィルタの出力信号を各音圧制御用ス
ピーカSPC1、SPC2に入力する。以後、の処
理を繰り返せば、各マイクロホンMC1,MC2より得
られる信号が適応フィルタへの入力信号に時間遅延を加
えたものと同一波形に近づく。
【0024】(B) 実施例 (a) 構成 図4は本発明の音場制御システムの構成図である。図
中、TRRはトランクルーム、CRMは車室、SPはオ
ーディオ音再生用スピーカであり、音場のモード分析を
行なうためにも使用する。SPC1,SPC2はモード
分析により得られたモード(音場に悪影響を与えている
モード)の空間分布係数のプラス側とマイナス側にあた
る位置にそれぞれ配置された第1、第2の音圧制御用ス
ピーカ、MC1〜MCNはトランクルームのx軸方向適所
に設けられたN個のマイクロホンである。尚、マイクロ
ホンMC1,MCN-1は空間分布係数のプラス側とマイナ
ス側にあたる位置にそれぞれ配置されている。
【0025】11は信号処理部であり、トランクルー
ム内のモード分析処理及びトランクルームの音場に悪
影響を与えているモードが顕著になる周波数帯域を求め
る処理等を行なう。12は音場に悪影響を与えているモ
ードが顕著になる周波数帯域を通過帯域とするバンドパ
スフィルタ、13は信号数=1、スピーカ数=2、観測
点数(マイクロホン数)=2の場合の適応信号処理装置
である。14は後述するように音響系の逆特性を精度良
く近似するための第1の遅延部であり、適応フィルタの
タップ長の半分程度の長さの遅延時間Δ2を有するも
の、15は第2の遅延部であり、適応信号処理系におけ
る遅延時間にオーディオ信号スルー系の遅延時間を合わ
せるものである。16は第1の遅延部14の出力信号と
第1のマイクロホンMC1の出力信号の差をエラー信号
1として出力する演算部、17は第1の遅延部14の
出力信号と第2のマイクロホンMCN-1の出力信号の差
をエラー信号e2として出力する演算部である。
【0026】適応信号処理装置13において、13a-1,13
a-2はFIR型デジタルフィルタで構成された第1、第
2の適応フィルタ(W1,W2)、13bは信号処理フィ
ルタ(フィルタードX信号作成用フィルタ)であり、各
音圧制御用スピーカSPC1,SPC2から第1、第2
のマイクロホンMC1,MCN-1までの伝搬特性C11,C
21,C12,C22をバンドパスフィルタ出力信号に畳み込
むもの、13c-1〜13c-2はFiltered-X LMSアルゴリズムに
基づいて適応信号処理を行なって適応フィルタ13a-1,13
a-2の係数を決定する第1、第2の適応信号処理部であ
る。
【0027】(b) 動作モード分析用のスピーカ(オー
ディオ音再生スピーカ)SPに信号q(ω)を入力して
該スピーカから出力される音を各マイクロホンMC1
MCNで検出し、検出信号を信号処理部11に入力す
る。信号処理部は(11)式に基づいて各モードの成分を求
め、最も音場に悪影響を与えているモードを決定する。
ついで、(12)式により、該モードが顕著になる周波数帯
域Fを求め、該周波数帯域が通過帯域となるようにバン
ドパスフィルタ12を設計する。しかる後、対象モード
の空間分布係数のプラス側の領域に第1の音圧制御用ス
ピーカSPC1とマイクロホンMC1を配置し、マイナ
ス側の領域に第2の音圧制御用スピーカSPC2とマイ
クロホンMCN-1を配置する。ついで、第1、第2の音
圧制御用スピーカSPC1,SPC2から第1、第2の
マイクロホンMC1,MCN-1までの伝搬要素C11
21,C12,C22を測定し、適応信号処理装置13の信
号処理フィルタ13bに設定する。
【0028】かかる状態で、オーディオ信号を端子Ta
より第2の遅延部15を介してオーディオ音再生用スピ
ーカSPに入力すると共に、バンドパスフィルタ12を
介して所定周波数帯域Fのオーディオ信号成分を適応信
号処理装置13に入力する。適応信号処理装置13は、
演算部16,17から出力されるエラー信号e1,e2
パワーが最小となるように(各マイクロホン出力信号と
バンドパスフィルタ出力が同一になるように)適応信号
処理を行ない、第1、第2の適応フィルタ13a-1,13a-2
の係数W1,W2を決定する。
【0029】第1、第2の適応フィルタ13a-1,13a-2は
バンドパスフィルタ12の出力信号に上記係数W1,W2
に基づいたフィルタリング処理を施し、適応フィルタ出
力を第1、第2の音圧制御用スピーカSPC1、SPC
2に入力する。以後、上記処理を繰り返せば、各マイク
ロホンMC1,MCN-1より得られる信号がバンドパスフ
ィルタ12の出力波形と同一波形に近づいてゆき、x方
向位置によらず均一な周波数特性が得られるようにな
る。すなわち、音場に悪影響を与えている周波数帯域F
において、空間全体にわたってその悪影響を取り除くこ
とができる。なお、適応フィルタ係数W1,W2が収束し
た後は、該係数W1,W2をFIRフィルに設定し、この
FIRフィルタを適応信号処理装置13に代えて使用す
ることができる。
【0030】(c) 第1の遅延部の機能 図5(a)に示す簡単なシステム(音源SPKが1つ、
マイクMICが1つ、フィルタFILが1つの場合)
で、第1の遅延部14のディレイの無い場合を考える。
適応フィルタWの伝達特性が W(z)=1/C(z) (14) となれば、 W(z)・C(z)=(1/C(z))・C(z)=1 (15) となって目的は達せらる。
【0031】しかし、ここで、W(z)=1/C(z)の特性
が可能かどうかが大きな問題となる。例えば、室内特性
C(z)として図5(b)に示すモデルを考える。このモ
デルにおいて次式、 y(k)=u(k)−cu(k-1) (16) が成立する。この式の両辺をz変換すると、 Y(z)=U(z)−cz-1U(z)=(1−cz-1)U(z) (17) となる。これにより、室内伝達特性は、 C(z)=Y(z)/U(z)=1−cz-1 (18) となる。
【0032】よって、C(z)の逆特性は、 W(z)=1/C(z)=1/(1−cz-1) (19) となる。この伝達特性をもったシステムの入出力関係
は、 U(z)=W(z)・X(z)=X(z)/(1−cz-1) (20) となる。この式を変形すると、 U(z)=X(z)+cz-1U(z) (21) となり、逆z変換を施すと、 u(k)=x(k)+cu(k-1) (22) となる。(22)式をブロック図に示すと図5(c)のよう
になる。ここで、(19)式の右辺は、 W(z)=1+cz-1+c2-2+c3-3・・・ (23) となる。このインパルス応答は図6(a)に示すように
なって、当然の事ながら図5(c)のインパルス応答に
一致する。ここで、|c|<1の場合と|c|≧1の場
合で条件が異なってくる。
【0033】|c|<1ならば、図6(a)のように、
インパルス応答は時間が経つにつれ収束に向かうので、
このフィルタは安定である。しかし、|c|≧1なら
ば、図6(b)のように、インパルス応答は時間が経つ
につれ発散してしまい、不安定なフィルタになる。この
ような|c|≧1の場合は、(19)式を W(z)=1/(1−cz-1)=1/(−cz-1+1) (24) と書き換えて、分子を分母で割る除算を実行すると、W
(z)は次式 W(z)=−c-11−c-22−c-33−・・・ (25) となる。このインパルス応答は図6(c)に示すように
なる。
【0034】以上のようにすることによって、フィルタ
は安定になるが、非因果性のフィルタになってしまう。
非因果性とはフィルタに入力が入る時間以前にその時間
にどのような入力が入るかを知っていて、あらかじめ出
力するフィルタで、現実には存在しない。しかし、ここ
で、出力する時間に遅れが許されるのであれば、図7
(a)に示すように、インパルス応答に時間遅延を加え
て正の時間にシフトしてやることによって、このフィル
タのある程度の近似が可能となる。
【0035】実際の音響系は、以上のようなものが、も
っと複雑に合成されており、その逆特性は図7(b)の
ようになる。この中で値の大きい0時間辺りを、図7
(c)のように、自分の用いることのできる有限タップ
長のフィルタの中心にシフト(遅延)してやれば、この逆
特性を精度よく近似することができる。つまり、図4の
第1の遅延部14は、音響系の逆特性を精度よく近似す
るためのもので用いる適応フィルタのタップ長の半分程
度の長さの時間遅延を持ったものとなる。以上、本発明
を実施例により説明したが、本発明は請求の範囲に記載
した本発明の主旨に従い種々の変形が可能であり、本発
明はこれらを排除するものではない。
【0036】
【発明の効果】以上本発明によれば、オーディオ音再生
用スピーカより音を出力した時、トランクルームに発生
するもっとも大きな定在波のモードを求めると共に、求
めたモードの定在波において空間音圧分布が顕著となる
周波数帯域を求め、該モードの空間分布係数が正となる
トランクルームの領域に第1の制御用スピーカとマイク
ロホンを配置し、負となるトランクルームの領域に第2
の制御用スピーカマイクロホンを配置し、各マイクロホ
ンの出力信号が同一波形となるように適応信号処理を行
なって適応フィルタの係数を決定し、前記周波数帯域を
通過帯域とするバンドパスフィルタを介して適応フィル
タにオーディオ信号を入力し、該適応フィルタから出力
されるオーディオ信号を各制御用スピーカに入力すると
共に、オーディオ信号をオーディオ音再生用スピーカに
入力するように構成したから、トランクルーム内でのス
ピーカの伝達特性に悪影響を与えている定在波をなく
し、スピーカの本来の伝達特性に近づけて音質良好な音
を車室内に出力できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各モードの周波数特性図である。
【図2】ある周波数でのモードの空間分布の様子であ
る。
【図3】本発明の原理説明図である。
【図4】本発明の音場制御システムの構成図である。
【図5】図4における第1の遅延部の機能説明図であ
る。
【図6】第1の遅延部の機能説明用のインパルス応答説
明図である。
【図7】第1の遅延部の機能説明用のインパルス応答遅
延説明図である。
【図8】カーオーディオシステムにおけるスピーカ配置
説明図である。
【符号の説明】
TRR・・トランクルーム CRM・・車室 SP・・オーディオ音再生用スピーカ SPC1,SPC2・・音圧制御用の第1、第2のスピ
ーカ MC1〜MCN-1・・マイクロホン 11・・信号処理部 12・・バンドパスフィルタ 13・・適応信号処理装置 13a-1,13a-2・・適応フィルタ 14,15・・第1、第2の遅延部 16,17・・合成部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リアトレイにオーディオ音再生用スピー
    カを設置してトランクルームをスピーカボックスとして
    利用するカーオーディオシステムにおいて、 前記オーディオ音再生用スピーカより音を出力した時、
    トランクルームに発生するもっとも大きな定在波のモー
    ドを求めると共に、求めたモードの空間音圧分布が顕著
    となる周波数帯域を求め、 該モードの空間分布係数が正となるトランクルームの領
    域に第1の制御用スピーカとマイクロホンを配置し、負
    となるトランクルームの領域に第2の制御用スピーカマ
    イクロホンを配置し、 前記周波数帯域において各マイクロホンの出力信号が同
    一波形となるように適応信号処理を行なって適応フィル
    タの係数を決定し、 前記周波数帯域を通過帯域とするバンドパスフィルタを
    介して適応フィルタにオーディオ信号を入力し、該適応
    フィルタから出力されるオーディオ信号を各制御用スピ
    ーカに入力すると共に、オーディオ信号をオーディオ音
    再生用スピーカに入力することを特徴とする音場制御方
    法。
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