JPH1096030A - 磁束密度が高い方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度が高い方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH1096030A
JPH1096030A JP8246951A JP24695196A JPH1096030A JP H1096030 A JPH1096030 A JP H1096030A JP 8246951 A JP8246951 A JP 8246951A JP 24695196 A JP24695196 A JP 24695196A JP H1096030 A JPH1096030 A JP H1096030A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁束密度が高い方向性電磁鋼板の製造方法を
提供する。 【解決手段】 鋼中に重量%で0.035%≦C≦0.
10%、2.5%≦Si≦4.5%、0.010%≦S
≦0.040%、0.010%≦sol−Al≦0.0
50%、0.0030%≦N≦0.0150%、0.0
20%≦Mn≦0.40%を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物からなるスラブを1280℃以上の温度に
加熱した後熱延し、冷間圧延前に熱延板焼鈍を施し冷却
し、1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の圧延で最終
圧延率80%以上とし、次いで脱炭焼鈍し焼鈍分離材を
塗布し、仕上焼鈍により二次再結晶および純化を行う方
向性電磁鋼板の製造方法において、仕上熱間圧延時に、
最終パスもしくは最終2パスを歪み速度150s-1以上
でかつ最終2スタンド間の張力が1.5kgf/mm2
以上で仕上熱延を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器の鉄心材
料として用いられる、磁束密度が高い方向性電磁鋼板の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は二次再結晶により鋼板
の結晶粒を特定方位に高度に配向させた成品であり、圧
延面に{110}面、圧延方向に<100>軸を有する
ゴス方位を持つ結晶粒により構成されている。
【0003】方向性電磁鋼板は軟磁性材料として主にト
ランスその他の電気機器の鉄心材料に使用されるもの
で、近年省エネルギー、省資源への社会的要求がますま
す厳しくなっていることから、一方向性電磁鋼板の鉄損
低減、磁化特性改善への要求も厳しくなってきている。
このため磁気特性、特に良好な励磁特性と鉄損特性が求
められるようになってきている。
【0004】方向性電磁鋼板の励磁特性を示す指標とし
ては、通常磁束密度B8(磁場の強さ800A/mにお
ける磁束密度)が用いられている。また鉄損特性を示す
指標としては、W17/50(50Hzで1.7Tまで
磁化させたときの単位重量あたりの鉄損)等が用いられ
ている。
【0005】鉄損は渦電流損とヒステリシス損からな
り、渦電流損は鋼板の電気抵抗率、板厚、結晶粒度、磁
区の形態、鋼板表面の皮膜張力等の因子により支配され
ている。一方、ヒステリシス損は磁束密度を支配する鋼
板の結晶方位、純度、内部歪等により支配される。
【0006】これらの因子を制御することによる鉄損低
減の試みとして、鋼板の電気抵抗を大きくするためにS
i含有量を高めることが行われてきたが、Si含有量を
高めると二次再結晶が不安定になるという問題ととも
に、製造工程および製品での加工性が劣化するため限界
にきているのが現状である。
【0007】一方、鋼板の純度、内部歪については製造
工程において検討が重ねられてきており、これらの低減
による鉄損の低減については限界近くにまで到達してい
る。板厚を薄くして渦電流損を低減させる試みもなされ
てきているが、製造の立場からは薄手化に伴い二次再結
晶の制御が困難になる問題点があり、需要家サイドでは
変圧器製造時のコストが増加するため、鉄損値が同等で
あれば厚手の材料が好まれて使用されている。
【0008】特開昭57−9419号公報には、鉄損低
減の手段としては二次再結晶粒径を小さくすることも有
効であることが記載されている。しかしながら、二次再
結晶粒径を小さくすると、その方位集積度が低下して高
磁束密度を得にくいという問題点があった。
【0009】皮膜張力の効果と方向性電磁鋼板の磁束密
度の間には、J.Appl.Phys.,vol.4
1,no.7,p2981−2984(1970)に指
摘されているように、磁束密度B8の値が高いほどその
鉄損低減効果が大きいことが知られている。また磁区細
分化による鉄損低減法は特開昭58−5968号公報、
特開昭58−26405号公報に記載されているが、磁
区細分化処理前のプレーン材の磁束密度が高いほどその
効果が大きいことが知られている。
【0010】このように鉄損を低減させる試みとして
は、その影響因子である電気抵抗率、板厚、結晶粒度、
純度、内部歪等の改善が従来技術において限界に近づい
てきていることから、二次再結晶方位の集積度を向上さ
せ、磁束密度を高めることにより、皮膜張力の効果、磁
区細分化の効果を一層向上させることで鉄損を低減する
ことが重要となってきている。
【0011】二次再結晶を安定して発現させるとともに
その方位集積度を高め、磁束密度を向上させる因子とし
て、インヒビターの役割が重要である。この目的のた
め、従来はMnS、AlN、MnSe等がインヒビター
として用いられてきている。
【0012】従来の方向性電磁鋼板の製造方法は、二次
再結晶方位制御に用いられるインヒビターの種類により
大きく3種類に大別される。
【0013】まず第一に、M.F.Littmannに
より特公昭30−3651号公報に開示されている方法
はインヒビターにMnSを用い、二回冷延法で製造する
方法である。次に、特公昭40−15644号公報に田
口、坂倉らにより開示された、MnSに加えてAlNを
インヒビターとする製造方法により、方向性電磁鋼板の
磁束密度は1.870T以上に向上し、磁気特性の改善
による省エネルギーに多大な貢献を果たした。第三に、
特公昭51−13469号公報に今中等により開示され
たMnSとSbもしくはMnS、MnSeとSbを用
い、二回冷延法により製造する方法がある。
【0014】これらの従来の製造方法においては、良好
な磁束密度を得るためにはインヒビターの析出制御を目
的として、高温スラブ加熱により一旦インヒビターを構
成する析出物を溶体化し、これを熱延工程であるいは特
公昭46−23820号公報に開示されているように熱
延板焼鈍時に微細に析出させることが必要である。この
ように従来法では製鋼段階での成分調整と熱延の段階で
ほぼ製品の特性が決定されるため、上工程での材質造り
込みの安定性確立が重要な課題であった。
【0015】この目的のために、方向性電磁鋼板の熱延
工程においては析出物制御をより安定的に行う観点か
ら、粗圧延後のシートバーへの保熱カバー使用、ランア
ウトテーブル上での冷却制御等の対策により、コイル長
手方向の析出物制御に多大の努力が払われてきた。しか
しながら、依然として方向性電磁鋼板の熱延条件の変動
が成品の磁気特性に与える影響は大きく、熱延条件の安
定性の点で課題を残していた。
【0016】さらに昨今の省エネルギーに対する市場の
要請には厳しいものがあり、エネルギー消費量を節約
し、環境改善に役立てるために、鉄心として使用される
電磁鋼板に対しては磁束密度の向上、鉄損の低減の要求
が増してきている。
【0017】回転機等に使用される電磁鋼板と異なり、
トランス等の用途で使用される方向性電磁鋼板は常に通
電した状態で使用されるため、稼働率からみた損失低減
の重要性は非常に重大である。このためその磁気特性改
善による省エネルギー効果は非常に大きいものがあり、
需要家がコストアップを出来るだけ押さえながら鉄心を
高効率化するため、より磁束密度の高い成品の供給が求
められていた。
【0018】本発明者はこの様な方向性電磁鋼板の熱延
条件の成品の磁気特性に対する影響を緩和し、安定的に
方向性電磁鋼板を製造しうる技術を開発するとともに、
昨今の省エネルギーに対する需要家の厳しい要請に応え
るために、従来技術による改良では行き詰まり状態にあ
る低鉄損到達技術の限界を打破するため、仕上熱延技術
に注目して検討を重ねた。
【0019】方向性電磁鋼板の仕上熱延においては、自
動車の外板等のプレス成型や缶等の深絞り成形を行う薄
鋼板に比べて、高い成品板厚の精度が要求される。なぜ
なら、方向性電磁鋼板は鉄心として積層して使用に供さ
れるため、成品板厚のわずかな偏差が鉄心としての寸法
精度に大きな影響を及ぼすからである。このため成品の
板厚精度には厳しい管理が要求され、この目的のために
冷延のみならず熱延板においても厳しい板厚管理を行っ
ている。そのため、仕上熱延最終パス付近では形状調整
のために圧下率を下げて軽圧下とし、その歪み速度も小
さいのが通常であり、磁気特性向上の観点から仕上熱延
の条件を検討する試みは従来ほとんどなされなかった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような昨
今の市場の要請に応え、従来技術における方向性電磁鋼
板製造上の熱延条件に対する成品磁気特性の安定性の問
題を解決しつつ、さらに磁束密度が高い方向性電磁鋼板
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋼中に重量%
で 0.035 %≦ C ≦0.10 %、 2.5 %≦ Si ≦4.5 %、 0.010 %≦ S ≦0.040 %、 0.010 %≦sol−Al≦0.050 %、 0.0030%≦ N ≦0.0150%、 0.020 %≦ Mn ≦0.40 % を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラ
ブを、1280℃以上の温度に加熱した後熱延し、冷間
圧延前に熱延板焼鈍を施し冷却し、1回または中間焼鈍
をはさむ2回以上の圧延で最終圧延率80%以上とし、
次いで脱炭焼鈍し焼鈍分離材を塗布し、仕上焼鈍により
二次再結晶および純化を行う方向性電磁鋼板の製造方法
において、仕上熱間圧延時に、最終パスもしくは最終2
パスを歪み速度150s-1以上でかつ最終2スタンド間
の張力が1.5kgf/mm2 以上で仕上熱延を実施す
ることを特徴とする磁束密度が高い方向性電磁鋼板の製
造方法である。この際、粗圧延したシートバーを仕上熱
延前に先行するシートバーに接合し、当該シートバーを
連続して仕上熱延に供することが好ましい。
【0022】発明者は、インヒビター制御技術以外の製
造上の検討課題として、熱延条件を制御する熱延板の造
り込みによる磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法
について検討した。方向性電磁鋼板は前述の通り冷延の
みならず熱延板においても厳しい板厚管理が要求されて
いるため、熱延最終パス付近では形状調整のために圧下
率を下げて軽圧下とし、その歪み速度も小さいのが通常
であった。発明者は従来技術のこのような操業条件につ
いて見直しを行った結果、仕上熱間圧延時に、圧延パス
の最終側において、歪み速度を注意深く制御しつつ、か
つそのスタンド間の張力をも制御することにより、成品
における磁束密度が高く鉄損の低い方向性電磁鋼板を製
造することが可能であることを見出し、発明に至った。
【0023】また、操業上の観点からは、本発明のよう
な張力負荷下での高速圧延を安定して実施するために、
粗圧延後のシートバーを先行するシートバーに接合し、
2本以上のシートバーを連続して仕上熱延に供すること
が有効であることも見出した。
【0024】以下に本発明を詳細に説明する。
【0025】まず、成分について説明する。
【0026】Si含有量は電磁鋼板の固有抵抗を介して
鉄損特性を大きく左右するが、2.5%未満では固有抵
抗が小さく渦電流損が増大する。また、4.5%超では
加工性が劣化するので製造、製品加工が困難になる。従
って、Si含有量は2.5%以上4.5%以下とする。
【0027】C含有量が0.035%未満になると二次
再結晶が不安定となり、磁束密度が著しく低下するので
0.035%以上とする。一方、0.10%を超えると
脱炭焼鈍に要する時間が長くなりすぎ、不経済であるの
で0.10%以下とする。
【0028】S含有量が0.010%未満であるとイン
ヒビター析出量が不足し、二次再結晶が不安定となるの
で0.010%以上とする。一方、0.040%超とな
ると析出物が過度に粗大化してインヒビター効果が損な
われ、磁束密度が低下するので、0.040%以下とす
る。
【0029】sol.AlはNと化合してインヒビター
であるAlNを形成する。含有量が0.010%未満で
あるとインヒビター析出量が不足し、二次再結晶が不安
定となるので0.010%以上とする。一方、0.05
0%超となると析出状態が粗大化し、インヒビター効果
が損なわれ磁束密度が低下するので、0.050%以下
とする。
【0030】Nは0.0030%以上0.0150%以
下にする必要がある。0.0150%を超えるとブリス
ターと呼ばれる鋼板表面の膨れが発生するとともに、一
次再結晶組織の調整が困難となるので0.0150%以
下とする。一方、0.0030%未満であると二次再結
晶の発現が困難になるので、N含有量は0.0030%
以上とする。
【0031】Mn含有量が0.40%を超えると成品の
磁束密度が低下し、一方0.020%未満であると二次
再結晶が不安定となるので、Mn含有量は0.020%
以上0.40%以下とする。
【0032】なお、二次再結晶の安定化その他の目的の
ために微量のSn、Cu、P、Tiを鋼中に含有させる
ことは本発明の効果を何ら損なうものではない。
【0033】次に、以上の成分のスラブの処理について
説明する。
【0034】電磁鋼スラブは、転炉または電気炉等の溶
解炉で鋼を溶製し、必要に応じて真空脱ガス処理し、次
いで連続鋳造により、あるいは造塊後分塊圧延すること
によって得られる。
【0035】その後、熱間圧延に先立ちスラブ加熱が行
われる。本発明においては、スラブの加熱温度は128
0℃以上として主要インヒビターであるMnS、AlN
を鋼中に再固溶させることが肝要である。このスラブを
熱延して所定の厚みの熱延板とする。
【0036】仕上熱延の条件と成品磁束密度との関係に
ついて、実験結果に基づき説明する。
【0037】仕上熱延時の最終パスの歪み速度と最終2
パスのスタンド間張力の成品磁気特性に対する影響を調
査するため下記の様な実験を行った。
【0038】C:0.079%、Si:3.24%、M
n:0.09%、S:0.023%、sol−Al:
0.028%、N:0.0088%を含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなる電磁鋼スラブを1340
℃に加熱後、粗圧延機により75mm厚のシートバーと
した。その後、このシートバーを仕上圧延機により2.
3mm厚みの熱延板とした。仕上熱延時の最終パスの歪
み速度と最終2パスのスタンド間張力を変えるため、パ
ススケジュールを変更して試験を行った。
【0039】得られた熱延板に1100℃×2分半の熱
延板焼鈍を施し、100℃の湯中で冷却し、その後酸洗
し0.30mmまで冷延し、次いで830℃120秒の
脱炭焼鈍を実施した。その後MgOを主成分とする焼鈍
分離材を塗布し、1200℃×20時間の仕上焼鈍を行
った。
【0040】最終2スタンド間の張力を3.1kgf/
mm2 に保って仕上熱延を行った場合の最終パスの歪み
速度に対する成品磁束密度の依存性を図1に示す。図1
によれば、歪み速度150s-1以上で成品磁束密度B8
が上昇することがわかる。
【0041】なお、歪み速度の計算は下記の式数1によ
って行う。ここで、rは{圧下率(%)/100}、n
はロールの回転数(rpm)、Rは圧延ロール半径(m
m)、H0は圧延前の板厚( mm) である。
【0042】
【数1】歪み速度=(2πn/(60r0.5 ))(R/
H0)0.5 ln(1/(1−r))
【0043】最終パスの歪み速度を320sー1に保って
仕上熱延を実施した場合の最終2スタンド間の張力と成
品磁束密度の関係を図2に示す。図2に示されるとお
り、仕上熱延の最終2スタンド間の張力が1.5kgf
/mm2 以上で成品磁束密度が上昇する。
【0044】このように発明者は、最終パスの歪み速度
と最終2パスのスタンド間張力を適切な条件に設定する
ことにより、方向性電磁鋼板の磁気特性を向上する手段
を開発することに成功した。
【0045】以上の実験から示されるように、仕上熱延
の最終パスの歪み速度は150s-1以上で、最終2パス
のスタンド間張力が1.5kgf/mm2 以上であれば
よい。これらの値の上限は特に設けない。これは、熱延
機の設備能力および下工程での通板性から、歪み速度の
上限は自ずから決まるからである。すなわち、歪み速度
は圧延速度、熱延ロール径、圧下量により決まるが、圧
延速度、圧下量は熱延機の能力および後工程ラインの熱
延板厚に対する制約からその上限が自ずから決まり、こ
の観点からは400s-1程度が限界である。
【0046】一方、最終の2スタンド間張力についても
鋼板を圧下するのに必要な圧延反力と摩擦係数から、通
板可能なスタンド間張力が自ずからきまる。
【0047】本発明のように仕上熱間圧延を高速かつ張
力を負荷した状態で行う場合、仕上熱延中にロールと鋼
板の間にスリップが生じ、圧延ロールの寿命を著しく縮
めるとともに、鋼板表層に深い圧延疵を生じさせる場合
がある。この様な問題点を解決し、安定的に操業を行う
方法として、粗圧延後のシートバーを仕上熱間圧延前に
先行するシートバーに接合し、当該シートバーを連続し
て仕上熱間圧延に供することが特に有効である。
【0048】熱延以降の行程については、析出物制御を
目的として熱延板焼鈍を行っても良い。酸洗後、高いB
8を得るために80%以上の高圧延率の冷延によって最
終板厚にするのが好ましい。特性はやや劣るものの、コ
スト低減のために熱延板焼鈍を省略してもよい。最終製
品の結晶粒径を小さくして鉄損を低減するために中間焼
鈍を含む2回以上の圧延で最終板厚としてもよい。
【0049】次に湿水素あるいは湿水素、窒素混合雰囲
気ガス中で脱炭焼鈍をする。このときの温度は特に本発
明では定めないが、800℃から900℃が好ましい。
【0050】次いで焼鈍分離材を塗布して仕上焼鈍を行
い、二次再結晶および引き続く純化を行う。このため焼
鈍温度は通常1100℃から1200℃の高温とする。
二次再結晶完了後の純化焼鈍は水素雰囲気中で実施す
る。
【0051】
【実施例1】表1の成分を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなる電磁鋼スラブを1320℃に加熱
後、粗圧延機により70mm厚のシートバーとした。そ
の後、このシートバーを仕上圧延機により2.1mm厚
みの熱延板とした。この際、スタンド間の張力制御を容
易にするため、シートバーを先行するシートバーに接合
して連続して仕上熱間圧延を行った。仕上熱延最終2ス
タンド間の張力は2.8kgf/mm2 から3.1kg
f/mm2 に保って圧延を行った。
【0052】
【表1】
【0053】得られた熱延板に1100℃×2分の熱延
板焼鈍を施し、100℃の湯中で冷却し、その後酸洗し
0.23mmまで冷延し、次いで830℃90秒の脱炭
焼鈍を露点50℃の湿水素、窒素雰囲気中で実施した。
その後MgOにTiO2 を混入した焼鈍分離材を塗布
し、1200℃×20時間の仕上焼鈍を行った。
【0054】仕上熱延時の最終スタンドでの歪速度と仕
上焼鈍後の磁気特性との関係を表2に示す。表2より、
仕上熱延時の最終スタンドの歪み速度を150s-1以上
に高めれば、磁束密度の値が高く、鉄損値の低い磁気特
性の優れた方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0055】
【表2】
【0056】
【実施例2】表3の成分を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなる電磁鋼スラブを1330℃に加熱
後、粗圧延機により75mm厚のシートバーとした。そ
の後、このシートバーを仕上圧延機により2.3mm厚
みの熱延板とした。その際、仕上熱延最終パスの歪み速
度が150s-1以上となるように噛み込み時から注意深
く圧延速度、パススケジュールを制御し、コイル全長に
わたり最終パスの歪み速度を250〜270s-1にし
た。また、仕上熱間圧延時に鋼板とワークロール間にス
リップが生じて鋼板の表面に疵が形成されることを防止
するために、粗圧延後のシートバーを先行するシートバ
ーに溶接し、仕上熱間圧延を連続して行った。
【0057】
【表3】
【0058】得られた熱延板に1100℃×2分半の熱
延板焼鈍を施し、100℃の湯中で冷却し、その後酸洗
し0.30mmまで冷延し、次いで830℃120秒の
脱炭焼鈍を露点50℃の湿水素、窒素雰囲気中で実施し
た。その後MgOにTiO2を混入した焼鈍分離材を塗
布し、1200℃×20時間の仕上焼鈍を行った。表4
に本発明と比較例の磁気測定結果をあわせて示す。
【0059】
【表4】
【0060】このように仕上熱延時の最終2スタンド間
の張力を1.5kgf/mm2 以上に高めれば、磁束密
度の値が高く、鉄損値の低い磁気特性の優れた方向性電
磁鋼板を得ることが可能である。
【0061】
【実施例3】表5の成分を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなる電磁鋼スラブを1340℃に加熱
後、粗圧延機により70mm厚のシートバーとした。そ
の後、このシートバーを仕上圧延機により2.1mm厚
みの熱延板とした。仕上熱延最終2スタンド間の張力は
2.7kgf/mm2 から3.0kgf/mm2 に保っ
て圧延を行った。
【0062】
【表5】
【0063】得られた熱延板に1100℃×2分の熱延
板焼鈍を施し、100℃の湯中で冷却し、その後酸洗し
0.23mmまで冷延し、次いで830℃90秒の脱炭
焼鈍を露点50℃の湿水素、窒素雰囲気中で実施した。
その後MgOにTiO2 を混入した焼鈍分離材を塗布
し、1200℃×20時間の仕上焼鈍を行った。表6に
本発明と比較例の成分と磁気測定結果をあわせて示す。
【0064】
【表6】
【0065】このように仕上熱延時の最終スタンドの歪
み速度を150s-1以上に高めれば、磁束密度の値が高
く、鉄損値の低い磁気特性の優れた方向性電磁鋼板を得
ることが可能である。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、磁束密度が高く磁気特
性に優れた方向性電磁鋼板を製造することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上熱延時の最終スタンドの歪み速度と成品磁
束密度の関係を示す図である。
【図2】仕上熱延時の最終2スタンド間張力と成品磁束
密度の関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼中に重量%で 0.035 %≦ C ≦0.10 %、 2.5 %≦ Si ≦4.5 %、 0.010 %≦ S ≦0.040 %、 0.010 %≦sol−Al≦0.050 %、 0.0030%≦ N ≦0.0150%、 0.020 %≦ Mn ≦0.40 % を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラ
    ブを、1280℃以上の温度に加熱した後熱延し、冷間
    圧延前に熱延板焼鈍を施し冷却し、1回または中間焼鈍
    をはさむ2回以上の圧延で最終圧延率80%以上とし、
    次いで脱炭焼鈍し焼鈍分離材を塗布し、仕上焼鈍により
    二次再結晶および純化を行う方向性電磁鋼板の製造方法
    において、 仕上熱間圧延時に、最終パスもしくは最終2パスを歪み
    速度150s-1以上でかつ最終2スタンド間の張力が
    1.5kgf/mm2 以上で仕上熱延を実施することを
    特徴とする磁束密度が高い方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 粗圧延したシートバーを仕上熱延前に先
    行するシートバーに接合し、当該シートバーを連続して
    仕上熱延に供することを特徴とする請求項1記載の磁束
    密度が高い方向性電磁鋼板の製造方法。
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