JPH1092629A - 超電導コイル装置およびその製造方法 - Google Patents

超電導コイル装置およびその製造方法

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JPH1092629A
JPH1092629A JP24377996A JP24377996A JPH1092629A JP H1092629 A JPH1092629 A JP H1092629A JP 24377996 A JP24377996 A JP 24377996A JP 24377996 A JP24377996 A JP 24377996A JP H1092629 A JPH1092629 A JP H1092629A
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JP
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superconducting coil
winding
coil device
manufacturing
insulated wire
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JP24377996A
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Inventor
Hideshige Moriyama
英重 森山
Fumio Sawa
史雄 澤
Hisayasu Mitsui
久安 三井
Masanori Shin
政憲 新
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】運転時の巻線部の絶縁被覆電線の動きによる常
電導状態への転移を抑制して、安定に運転を行なうこ
と。 【解決手段】超電導線14a に絶縁材14b を被覆して絶縁
被覆電線14を構成し、次に絶縁被覆電線14を所定の張力
で引っ張りながら巻枠7に複数層かつ複数列に巻き付け
て巻線部13を形成し、しかる後に巻線部13を低温用容器
2の内部に固定すると共に、巻線部13を絶縁材14b のガ
ラス転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導線に絶縁材
を被覆してなる絶縁被覆電線を引っ張りながら巻枠に巻
き付けて形成した巻線部を備えた超電導コイル装置に係
り、特に運転時の巻線部の絶縁被覆電線の動きによる常
電導状態への転移を抑制して、安定に運転を行なえるよ
うにした超電導コイル装置およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】超電導コイル装置の一つとして、超電導
線に絶縁材を被覆してなる絶縁被覆電線を用い、この絶
縁被覆電線を引っ張りながら巻枠に巻き付けて巻線部を
形成した超電導コイル装置が製作されている。そして、
この絶縁被覆電線を引っ張りながら巻枠に巻き付けて形
成された巻線部に関しては、例えば次のような文献が知
られている。
【0003】森山、他;「超電導ソレノイドコイルの巻
枠ひずみと安定性の関係」、低温工学、vol.29 No.12
、p653(1994) 図7は、この種の巻線部を備えた超電導コイル装置の構
成例を示す断面図である。
【0004】図7において、超電導コイル装置1は、低
温用容器2を備えており、この低温用容器2の中心部
は、大気雰囲気の空間部3をなしている。また、低温用
容器2の内部は真空雰囲気になっており、その内部には
超電導コイル4が固定されている。
【0005】さらに、超電導コイル4は、熱伝導体5を
介して冷凍機6に熱的に接続されている。図8は、図7
における超電導コイル4の一部が切除された斜視図であ
り、図7と同一部分には同一符号を付している。。
【0006】図8において、超電導コイル4は、巻枠7
を備えている。この巻枠7は、円筒状の巻枠胴部7a
と、この巻枠胴部7aの両端面に設けられたドーナツ形
の二つの巻枠つば部7bとから構成されている。
【0007】また、巻枠胴部7aの外周面、および二つ
の巻枠つば部7bとが互いに対向する面には、対地絶縁
物8が被覆されている。さらに、巻枠胴部7aの外周側
には、対地絶縁物8を介して巻線部9が形成されてい
る。
【0008】図9は、図8における超電導コイル4の部
分断面図であり、図8と同一部分には同一符号を付して
いる。図9において、巻線部9は、絶縁被覆電線10と
接着用樹脂11とから構成されている。この絶縁被覆電
線10は、所定の張力で引っ張りながら、複数層かつ複
数列に巻き付けられている。
【0009】また、互いに隣合う絶縁被覆電線10と絶
縁被覆電線10との間には、接着用樹脂11が真空加圧
含浸され、さらに加熱硬化されている。この絶縁被覆電
線10は、超電導線10aに絶縁材10bを被覆してな
るものである。
【0010】次に、以上のような構成を有する超電導コ
イル装置1においては、超電導コイル装置1の運転を開
始すると、冷凍機6が冷え、熱伝導体5を介して巻線部
9も冷え、巻線部9が超電導状態になる。そして、この
超電導状態になった巻線部9には、所定の電流が流れ、
空間部3に磁場が発生する。
【0011】ところで、このような超電導コイル装置1
においては、巻線部9の各層、各列の絶縁被覆電線10
は、巻き付けられる時の張力が一定であっても、巻き付
けられた状態での張力が完全には均一にならない。
【0012】このため、絶縁被覆電線10は、運転中に
動くことがあり、この動きは発熱を伴なう。そして、こ
の発熱が大きい場合には、超電導状態は常電導状態に転
移して(通常、クエンチと称している)、所定の電流が
流れなくなるという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
超電導コイル装置においては、運転中に巻線部の絶縁被
覆電線が動いて常電導状態へ転移し、安定に運転を行な
えなくなる可能性があるという問題があった。
【0014】本発明の目的は、運転時の巻線部の絶縁被
覆電線の動きによる常電導状態への転移を抑制して、安
定に運転を行なうことが可能な超電導コイル装置および
その製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に対応する発明では、超電導線に絶縁材
を被覆して絶縁被覆電線を構成し、次に絶縁被覆電線を
所定の張力で引っ張りながら巻枠に複数層かつ複数列に
巻き付けて巻線部を形成し、しかる後に巻線部を低温用
容器の内部に固定すると共に、巻線部を絶縁材のガラス
転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱するよう
にしている。
【0016】従って、請求項1に対応する発明の超電導
コイル装置の製造方法においては、超電導線に絶縁材を
被覆して絶縁被覆電線とし、この絶縁被覆電線を引っ張
りながら複数層、複数列に巻枠に巻き付けて巻線部を形
成し、この巻線部を低温用容器の内部に固定すると共
に、巻線部を絶縁材のガラス転移温度または軟化温度よ
りも高い温度で加熱することにより、加熱の時に絶縁材
が軟化するため、巻き付けられた状態の絶縁被覆電線の
張力が緩和し、各層、各列の絶縁被覆電線の張力を均一
化することができる。
【0017】また、請求項2に対応する発明では、上記
請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造方法
において、巻線部を絶縁材のガラス転移温度または軟化
温度よりも高い温度で加熱しながら、巻線部に振動を加
えるようにしている。
【0018】従って、請求項2に対応する発明の超電導
コイル装置の製造方法においては、巻線部を絶縁材のガ
ラス転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱しな
がら、巻線部に振動を加えることにより、加熱しただけ
の場合に比べて、各層、各列の絶縁被覆電線の張力の均
一性をより一層高くすることができる。
【0019】さらに、請求項3に対応する発明では、上
記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造方
法において、巻線部を絶縁材のガラス転移温度または軟
化温度よりも高い温度で加熱し、次に巻線部に接着用樹
脂を含浸して固めるようにしている。
【0020】従って、請求項3に対応する発明の超電導
コイル装置の製造方法においては、巻線部を絶縁材のガ
ラス転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱し、
次に巻線部に接着用樹脂を含浸して固めることにより、
絶縁被覆電線の張力が緩和した後に、接着用樹脂が硬化
反応するため、絶縁被覆電線の張力が均一化するだけで
なく、絶縁被覆電線の張力緩和による接着用樹脂の硬化
反応途中における損傷が起こらないようにすることがで
きる。
【0021】さらにまた、請求項4に対応する発明で
は、上記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の
製造方法において、巻線部を絶縁材のガラス転移温度ま
たは軟化温度よりも高い温度で加熱し、次に巻線部を接
着用樹脂で固め、次に巻線部から巻枠を取り外し、次に
支持材を用いて巻線部を低温用容器の内部に固定するよ
うにしている。
【0022】従って、請求項4に対応する発明の超電導
コイル装置の製造方法においては、巻線部を絶縁材のガ
ラス転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱し、
次に巻線部を接着用樹脂で固め、次に巻線部から巻枠を
取り外し、次に支持材を用いて巻線部を低温用容器の内
部に固定することにより、絶縁被覆電線の張力が緩和し
た後に、巻線部が一体に固まり、次に巻枠が外されるた
め、絶縁被覆電線の張力が均一化するだけでなく、この
均一性が巻枠の取り外しによって低下しないようにする
ことができる。
【0023】一方、請求項5に対応する発明では、上記
請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造方法
において、絶縁被覆電線を複数撚り合せて撚合絶縁被覆
電線を構成し、次に撚合絶縁被覆電線を所定の張力で引
っ張りながら巻枠に複数層かつ複数列に巻き付けて巻線
部を形成するようにしている。
【0024】従って、請求項5に対応する発明の超電導
コイル装置の製造方法においては、絶縁被覆電線を複数
撚り合せて撚合絶縁被覆電線を構成し、この撚合絶縁被
覆電線を所定の張力で引っ張りながら巻枠に複数層かつ
複数列に巻き付けて巻線部を形成することにより、絶縁
被覆電線の張力が均一化するだけでなく、単線の絶縁被
覆電線を巻いて形成された巻線部に比べて交流損失を低
減することができる。
【0025】また、請求項6に対応する発明では、上記
請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造方法
において、巻枠として、線膨張率が超電導線の長手方向
の値に比べて大きい巻枠を用いるようにしている。
【0026】従って、請求項6に対応する発明の超電導
コイル装置の製造方法においては、線膨張係数が超電導
線の長手方向の値に比べて大きい巻枠を用いることによ
り、上記加熱の時に、巻枠が巻線部の内層を押し広げる
ため、絶縁被覆電線の張力が均一化するだけでなく、絶
縁被覆電線を層方向に緻密に配列することができる。
【0027】さらに、請求項7に対応する発明では、上
記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造方
法において、絶縁被覆電線の巻枠への巻き付け張力を、
巻線部の内層に比べて外層で高くして巻線部を形成する
ようにしている。
【0028】従って、請求項7に対応する発明の超電導
コイル装置の製造方法においては、絶縁被覆電線の巻枠
への巻き付け張力を、巻線部の内層に比べて外層で高く
することにより、上記加熱の時に、絶縁被覆電線が内層
に比べて外層で大きく緩和するため、絶縁被覆電線の張
力が均一化するだけでなく、絶縁被覆電線を層方向に緻
密に配列することができる。
【0029】また、請求項8に対応する発明では、上記
請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造方法
において、巻枠にひずみゲージを貼っておくことによ
り、ひずみゲージで加熱の前および後に巻枠のひずみを
測定するようにしている。
【0030】従って、請求項8に対応する発明の超電導
コイル装置の製造方法においては、巻枠にひずみゲージ
を貼っておき、上記加熱の前および後に巻枠のひずみを
測定することにより、このひずみの変化から絶縁被覆電
線の張力の均一化を定量的に検査することができる。
【0031】さらに、請求項9に対応する発明では、上
記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造方
法において、巻線部と冷凍機とを熱的に接続するように
している。
【0032】従って、請求項9に対応する発明の超電導
コイル装置の製造方法においては、巻線部と冷凍機とを
熱的に接続することにより、巻線部を冷媒に浸漬するこ
となく所定の温度に冷却することができる。
【0033】以上により、運転時の巻線部の絶縁被覆電
線の動きによる常電導状態への転移を抑制して、超電導
コイル装置を安定に運転することができる。一方、請求
項10に対応する発明では、上記請求項1乃至請求項4
のいずれか1項に対応する発明の製造方法により製造し
て成る。
【0034】従って、請求項10に対応する発明の超電
導コイル装置においては、巻線部の複数層、複数列の絶
縁被覆電線の張力が均一化するため、絶縁被覆電線が運
転時に動かないようになる。すなわち、運転時の巻線部
の絶縁被覆電線の動きによる常電導状態への転移を抑え
て、超電導コイル装置を安定に運転することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 (第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形
態に係わる超電導コイル装置における超電導コイルの部
分断面図であり、前記図9と同一部分には同一符号を付
して示している。
【0036】なお、本実施の形態に係わる超電導コイル
装置の構成は前記図7に示したものと同様であり、また
超電導コイルの構成は前記図8に示したものと同様であ
るので、ここではその図示説明を省略する。
【0037】本実施の形態の超電導コイル装置は、以下
のようにして製造する。すなわち、図1に示すように、
金属系の超電導線14aに絶縁材14bを被覆して、絶
縁被覆電線14を構成する。なお、絶縁材14bは、ガ
ラス転移温度または軟化温度が摂氏115度のポリビニ
ルホルマールである。
【0038】次に、巻枠7の胴部7a(つば部7bは図
示せず)の外周側に、対地絶縁物8を被覆する。次に、
この対地絶縁物8の外周側に、上記絶縁被覆電線14を
所定の張力で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き
付けて超電導コイル12の巻線部13を形成する。
【0039】次に、この巻き付けの後に、超電導コイル
12の巻線部13を低温用容器2の内部に固定すると共
に、巻線部13を絶縁材14bのガラス転移温度または
軟化温度よりも高い温度(摂氏120度)で加熱する。
【0040】次に、以上のような製造方法により得られ
た超電導コイル12を備えた超電導コイル装置において
は、超電導コイル12の巻線部13を、絶縁材14bの
ガラス転移温度または軟化温度(摂氏115度)よりも
高い温度(摂氏120度)で加熱することにより、加熱
の時に、隣合う絶縁被覆電線14と絶縁被覆電線14の
間の絶縁材14bが、ガラス状態からゴム状態に転移し
て軟化する。しかも、絶縁材14bは、絶縁被覆電線1
4の巻き付けられた状態での張力によって圧縮されてい
るため、クリープ変形する。特に、張力の局部的に高い
部分の絶縁材14bは、大きくクリープ変形する。そし
て、このクリープ変形によって、絶縁被覆電線14の巻
き付けられた状態での張力が緩和し、各層、各列の絶縁
被覆電線14の張力が均一化する。
【0041】これにより、巻線部13の絶縁被覆電線1
4が運転時に動かないようになり、巻線部13の絶縁被
覆電線14の動きによる常電導状態への転移を抑えて、
超電導コイル装置を安定に運転することができる。
【0042】図6は、加熱前と加熱後の巻線部13がそ
れぞれ常電導状態に転移した時の電流(クエンチ電流I
q)を5回繰り返して測定し、電流Iqとその上限値I
cとの比Iq/Icをプロットした特性図である。
【0043】図6から、加熱後の電流Iqは、加熱前の
電流Iqに比べて明らかに大きくなっており、すなわち
加熱によって常電導状態への転移が容易に発生しなくな
ったことがわかる。
【0044】上述したように、本実施の形態の超電導コ
イル装置においては、金属系の超電導線14aに絶縁材
14bを被覆して絶縁被覆電線14を構成し、次に巻枠
7の胴部7aの外周側に対地絶縁物8を被覆し、次に対
地絶縁物8の外周側に、絶縁被覆電線14を所定の張力
で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き付けて巻線
部13を形成し、しかる後に巻線部13を低温用容器2
の内部に固定すると共に、巻線部13を絶縁材14bの
ガラス転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱す
るようにしたものである。
【0045】従って、加熱の時に絶縁材14bが軟化す
るため、巻き付けられた状態の絶縁被覆電線14の張力
が緩和し、巻線部13の各層、各列の絶縁被覆電線14
の張力を均一化することができ、巻線部13の絶縁被覆
電線14が運転時に動かないようになる。すなわち、運
転時の巻線部13の絶縁被覆電線14の動きによる常電
導状態への転移を抑えて、超電導コイル装置を安定に運
転することが可能となる。
【0046】一方、巻線部13は、通電による常電導状
態への転移を繰り返すと、徐々に転移し難くなる場合が
知られている。すなわち、通電による転移の繰り返し
を、その後の転移の抑制に役立てることができる。しか
し、通電による転移は、巻線部13の大きな発熱を伴う
ため、発熱した巻線部13を所定の温度まで冷やすため
には、多量の極低温冷媒を要する。
【0047】この点、本実施の形態では、加熱を用いて
転移を抑制しているため、極低温冷媒を用いないで巻線
部13と冷凍機6とを熱的に接続した超電導コイル装置
への適用に好ましいものとなる。
【0048】(第2の実施の形態)図2は、本発明の第
2の実施の形態に係わる超電導コイル装置に組み込まれ
る前の超電導コイル、および加熱加振装置の構成例を示
す断面図であり、前記図8および図9と同一部分には同
一符号を付して示している。
【0049】なお、本実施の形態に係わる超電導コイル
装置の構成は前記図7に示したものと同様であり、また
超電導コイルの構成は前記図8に示したものと同様であ
るので、ここではその図示説明を省略する。
【0050】図2において、超電導コイル15は、加熱
加振装置16の内部に収納されている。加熱加振装置1
6は、ヒータ線17、ファン18、連結部19、および
加振機20から成っている。すなわち、加熱加振装置1
6の内部は、ヒータ線17、およびファン18によって
熱風が循環している。そして、この熱風によって、超電
導コイル15が摂氏120度に加熱されるようになって
いる。
【0051】さらに、超電導コイル15と加振機20と
は、連結部19によって連結されており、超電導コイル
15には10Hz以上の振動が加えられるようになって
いる。
【0052】図3は、図2における超電導コイル15の
部分断面図であり、前記図9と同一部分には同一符号を
付して示している。本実施の形態の超電導コイル装置
は、以下のようにして製造する。
【0053】すなわち、図3に示すように、金属系の超
電導線22aに絶縁材22bを被覆して、絶縁被覆電線
22を構成する。なお、絶縁材22bは、ガラス転移温
度または軟化温度が摂氏115度のポリビニルホルマー
ルである。
【0054】次に、巻枠7の胴部7a(つば部7bは図
示せず)の外周側に、対地絶縁物8を被覆する。次に、
この対地絶縁物8の外周側に、上記絶縁被覆電線22を
所定の張力で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き
付けて超電導コイル15の巻線部21を形成する。
【0055】次に、この巻き付けの後に、超電導コイル
15の巻線部21を低温用容器2の内部に固定すると共
に、巻線部21を加熱加振装置16によって、絶縁材2
2bのガラス転移温度または軟化温度よりも高い温度
(摂氏120度)で加熱しながら、巻線部21に振動を
加える。
【0056】次に、以上のような製造方法により得られ
た超電導コイル15を備えた超電導コイル装置において
は、超電導コイル15の巻線部21を、加熱加振装置1
6によって絶縁材22bのガラス転移温度または軟化温
度(摂氏115度)よりも高い温度(摂氏120度)で
加熱することにより、加熱の時に、隣合う絶縁被覆電線
22と絶縁被覆電線22の間の絶縁材22bが、ガラス
状態からゴム状態に転移して軟化する。しかも、超電導
コイル15は加熱加振装置16によって振動が加えられ
ているため、前記第1の実施の形態のように加熱しただ
けの場合に比べて、各層、各列の絶縁被覆電線22の張
力はより一層均一になる。
【0057】これにより、巻線部21の絶縁被覆電線1
4が運転時に動かないようになり、巻線部13の絶縁被
覆電線14の動きによる常電導状態への転移を抑えて、
超電導コイル装置をより一層安定に運転することができ
る。
【0058】上述したように、本実施の形態の超電導コ
イル装置においては、金属系の超電導線22aに絶縁材
22bを被覆して絶縁被覆電線22を構成し、次に巻枠
7の胴部7aの外周側に対地絶縁物8を被覆し、次に対
地絶縁物8の外周側に、絶縁被覆電線22を所定の張力
で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き付けて巻線
部21を形成し、しかる後に巻線部21を低温用容器2
の内部に固定すると共に、巻線部21を加熱加振装置1
6によって、絶縁材22bのガラス転移温度または軟化
温度よりも高い温度で加熱しながら、巻線部21に振動
を加えるようにしたものである。
【0059】従って、前記第1の実施の形態の場合と同
様の効果が得られるのは勿論のこと、前記第1の実施の
形態のように加熱しただけの場合に比べて、巻線部13
の各層、各列の絶縁被覆電線14の張力をより一層均一
化することができ、巻線部13の絶縁被覆電線14が運
転時に動かないようになる。すなわち、運転時の巻線部
13の絶縁被覆電線14の動きによる常電導状態への転
移を抑えて、超電導コイル装置をより一層安定に運転す
ることが可能となる。
【0060】(第3の実施の形態)図4は、本発明の第
3の実施の形態に係わる超電導コイル装置における超電
導コイルの部分断面図であり、前記図9と同一部分には
同一符号を付して示している。
【0061】なお、本実施の形態に係わる超電導コイル
装置の構成は前記図7に示したものと同様であり、また
超電導コイルの構成は前記図8に示したものと同様であ
るので、ここではその図示説明を省略する。
【0062】本実施の形態の超電導コイル装置は、以下
のようにして製造する。すなわち、図4に示すように、
金属系の超電導線25aに絶縁材25bを被覆して、絶
縁被覆電線25を構成する。なお、絶縁材25bは、ガ
ラス転移温度または軟化温度が摂氏115度のポリビニ
ルホルマールである。
【0063】次に、巻枠7の胴部7a(つば部7bは図
示せず)の外周側に、対地絶縁物8を被覆する。次に、
この対地絶縁物8の外周側に、上記絶縁被覆電線25を
所定の張力で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き
付けて超電導コイル23の巻線部24を形成する。
【0064】次に、この巻き付けの後に、超電導コイル
23の巻線部24を低温用容器2の内部に固定すると共
に、巻線部24を絶縁材25bのガラス転移温度または
軟化温度よりも高い温度(摂氏120度)で加熱する。
【0065】次に、この加熱の後に、巻線部24の隣合
う絶縁被覆電線25と絶縁被覆電線25の間に、接着用
樹脂11を真空加圧含浸して加熱硬化する(固める)。
次に、以上のような製造方法により得られた超電導コイ
ル23を備えた超電導コイル装置においては、超電導コ
イル23の巻線部24を、絶縁材22bのガラス転移温
度または軟化温度(摂氏115度)よりも高い温度(摂
氏120度)で加熱することにより、絶縁被覆電線25
の巻き付けられた状態での張力が緩和して均一化する。
次に、接着用樹脂11の真空加圧含浸および加熱硬化に
より、巻線部24は一体に接着する。しかも、絶縁被覆
電線25の張力が緩和した後に、接着用樹脂11が硬化
するため、絶縁被覆電線25の張力の緩和による接着用
樹脂11の硬化反応途中における損傷が起こらないよう
になる。
【0066】これにより、巻線部24の絶縁被覆電線2
5が運転時に動かないようになり、巻線部24の絶縁被
覆電線25の動きによる常電導状態への転移を抑えて、
超電導コイル装置をより一層安定に運転することができ
るだけでなく、絶縁被覆電線25の張力緩和による接着
用樹脂11の硬化反応途中における損傷を起こらないよ
うにすることができる。
【0067】上述したように、本実施の形態の超電導コ
イル装置においては、金属系の超電導線25aに絶縁材
25bを被覆して絶縁被覆電線25を構成し、次に巻枠
7の胴部7aの外周側に対地絶縁物8を被覆し、次に対
地絶縁物8の外周側に、絶縁被覆電線25を所定の張力
で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き付けて巻線
部24を形成し、次に巻線部24を低温用容器2の内部
に固定すると共に、巻線部24を絶縁材25bのガラス
転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱し、しか
る後に巻線部24の隣合う絶縁被覆電線25と絶縁被覆
電線25の間に、接着用樹脂11を真空加圧含浸して加
熱硬化する(固める)ようにしたものである。
【0068】従って、前記第1の実施の形態の場合と同
様の効果が得られるのは勿論のこと、これに加えて、絶
縁被覆電線25の張力緩和による接着用樹脂11の硬化
反応途中における損傷が起こらないようにすることが可
能となる。
【0069】(第4の実施の形態)図5は、本発明の第
4の実施の形態に係わる超電導コイル装置の構成例を示
す断面図であり、前記図7と同一部分には同一符号を付
して示している。
【0070】本実施の形態の超電導コイル装置26は、
以下のようにして製造する。すなわち、図5に示すよう
に、前記第4の実施の形態における巻線部24と同様の
巻線部27を、絶縁材のガラス転移温度または軟化温度
よりも高い温度(摂氏120度)で加熱する。
【0071】次に、この加熱の後に、巻線部27を接着
用樹脂で固める。次に、巻線部27から巻枠を取り外
す。次に、支持板28および複数の支持棒29を用い
て、巻線部27を低温用容器2の内部に固定する。
【0072】次に、以上のような製造方法により得られ
た超電導コイル装置26においては、巻枠が取り外して
あるため、巻線部27を空間部3に近づけることができ
る。そして、巻線部27を空間部3に近づけると、空間
部3に発生する磁界が高くなる。しかも、絶縁被覆電線
の張力が緩和して均一化し巻線部27が一体に固まった
後に、巻枠が取り外されることにより、この取り外しに
よる巻線部27の損傷が起こらないようになる。
【0073】これにより、巻線部27の絶縁被覆電線が
運転時に動かないようになり、巻線部27の絶縁被覆電
線の動きによる常電導状態への転移を抑えて、超電導コ
イル装置をより一層安定に運転することができるだけで
なく、絶縁被覆電線の張力が緩和した後に巻枠が外さ
れ、この均一性が巻枠の取り外しによって低下しないよ
うにすることができる。
【0074】上述したように、本実施の形態の超電導コ
イル装置においては、金属系の超電導線に絶縁材を被覆
して絶縁被覆電線を構成し、次に巻枠の胴部の外周側に
対地絶縁物を被覆し、次に対地絶縁物の外周側に、絶縁
被覆電線を所定の張力で引っ張りながら、複数層かつ複
数列に巻き付けて巻線部27を形成し、次に巻線部27
を絶縁材のガラス転移温度または軟化温度よりも高い温
度で加熱し、次に巻線部27を接着用樹脂で固め、次に
巻線部27から巻枠を取り外し、次に支持板28および
複数の支持材29を用いて巻線部27を低温用容器2の
内部に固定するようにしたものである。
【0075】従って、前記第1の実施の形態の場合と同
様の効果が得られるのは勿論のこと、これに加えて、絶
縁被覆電線の張力が緩和した後に巻枠を取り外すため、
絶縁被覆電線の張力の均一性が巻枠の取り外しによって
低下しないようにすることが可能となる。
【0076】(第5の実施の形態)本実施の形態の超電
導コイル装置は、以下のようにして製造する。すなわ
ち、本実施の形態の超電導コイル装置は、前記図1に示
した第1の実施の形態に係わる超電導コイル装置におけ
る絶縁被覆電線14を、複数撚り合わせて撚合絶縁被覆
電線を構成する。
【0077】次に、巻枠7の胴部7a(つば部7bは図
示せず)の外周側に、対地絶縁物8を被覆する。次に、
この対地絶縁物8の外周側に、上記撚合絶縁被覆電線を
所定の張力で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き
付けて超電導コイル12の巻線部13を形成する。
【0078】次に、この巻き付けの後に、超電導コイル
12の巻線部13を低温用容器2の内部に固定すると共
に、巻線部13を絶縁被覆電線14の絶縁材14bのガ
ラス転移温度または軟化温度よりも高い温度(摂氏12
0度)で加熱する。
【0079】次に、以上のような製造方法により得られ
た超電導コイル12を備えた超電導コイル装置において
は、超電導コイル12の巻線部13を、絶縁材14bの
ガラス転移温度または軟化温度(摂氏115度)よりも
高い温度(摂氏120度)で加熱することにより、加熱
の時に、隣合う絶縁被覆電線14と絶縁被覆電線14の
間の絶縁材14bが、ガラス状態からゴム状態に転移し
て軟化し、撚合絶縁被覆電線の巻き付けられた状態の張
力が均一化する。しかも、複数の絶縁被覆電線14を撚
り合わせて撚合絶縁被覆電線とすることにより、単線を
単に太くした場合、すなわち単線の絶縁被覆電線14を
巻いて形成した場合に比べて、絶縁被覆電線14の交流
損失を低減することができる。
【0080】上述したように、本実施の形態の超電導コ
イル装置においては、金属系の超電導線14aに絶縁材
14bを被覆してなる絶縁被覆電線14を、複数撚り合
わせて撚合絶縁被覆電線を構成し、次に巻枠7の胴部7
aの外周側に対地絶縁物8を被覆し、次にこの対地絶縁
物8の外周側に、撚合絶縁被覆電線を所定の張力で引っ
張りながら、複数層かつ複数列に巻き付けて超電導コイ
ル12の巻線部13を形成し、しかる後に超電導コイル
12の巻線部13を低温用容器2の内部に固定すると共
に、巻線部13を絶縁被覆電線14の絶縁材14bのガ
ラス転移温度または軟化温度よりも高い温度(摂氏12
0度)で加熱するようにしたものである。
【0081】従って、前記第1の実施の形態の場合と同
様の効果が得られるのは勿論のこと、前記第1の実施の
形態のように単線の絶縁被覆電線14を巻いて形成した
巻線部13の場合に比べて、交流損失を低減することが
可能となる。
【0082】(第6の実施の形態)本実施の形態の超電
導コイル装置は、以下のようにして製造する。すなわ
ち、本実施の形態の超電導コイル装置は、前記図1に示
した第1の実施の形態に係わる超電導コイル装置におけ
る巻枠7として、線膨張率が超電導線14aの長手方向
の値に比べて大きい巻枠を用いている。
【0083】具体的には、本例では、巻枠7の材質をア
ルミニウム合金にしている。このアルミニウム合金の室
温と摂氏120度との間の線膨張率は、23×10−6
/Kである。
【0084】また、超電導線14aを銅比3のNbTi
線にしている。この超電導線14aの長手方向の線膨張
率は、16×10−6/Kである。次に、以上のような
製造方法により得られた超電導コイル12を備えた超電
導コイル装置においては、巻枠7の線膨張率を、超電導
線14aの長手方向の値に比べて大きくすることによ
り、超電導コイル12の巻線部13の加熱時に、巻枠胴
部7aが巻線部13の内層を外層方向に押し広げる。こ
のため、絶縁被覆電線14の張力が均一化するだけでな
く、絶縁被覆電線14の層間の絶縁材14bがクリープ
変形して層間が狭まり、絶縁被覆電線14が層方向に緻
密に配列するようになる。
【0085】上述したように、本実施の形態の超電導コ
イル装置においては、金属系の超電導線14aに絶縁材
14bを被覆して絶縁被覆電線14を構成し、次に巻枠
7の胴部7aの外周側に対地絶縁物8を被覆し、次に対
地絶縁物8の外周側に、絶縁被覆電線14を所定の張力
で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き付けて巻線
部13を形成し、しかる後に巻線部13を低温用容器2
の内部に固定すると共に、巻線部13を絶縁材14bの
ガラス転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱
し、かつ上記巻枠7の線膨張率を、超電導線14aの長
手方向の値に比べて大きくするようにしたものである。
【0086】従って、前記第1の実施の形態の場合と同
様の効果が得られるのは勿論のこと、絶縁被覆電線14
を層方向に緻密に配列することが可能となる。 (第7の実施の形態)本実施の形態の超電導コイル装置
は、以下のようにして製造する。
【0087】すなわち、前記図1に示した第1の実施の
形態に係わる超電導コイル装置における超電導コイル1
2は、絶縁被覆電線14の巻き付け張力を一定にして巻
線部13を形成したのに対して、本実施の形態の超電導
コイル装置における超電導コイル12は、絶縁被覆電線
14の巻枠への巻き付け張力を、巻線部13の内層に比
べて外層で高くして、すなわち巻き付け張力を巻枠胴部
7aに近い内層で低く、離れた外層で高くして、巻線部
13を形成している。
【0088】次に、以上のような製造方法により得られ
た超電導コイル12を備えた超電導コイル装置において
は、絶縁被覆電線14の巻枠7への巻き付け張力を、巻
線部の内層に比べて外層で高くすることにより、超電導
コイル12の加熱時に、絶縁材14bが軟化し、外層の
絶縁被覆電線14が内層の絶縁被覆電線14を内層方向
に押し縮めるため、絶縁被覆電線14が層方向に緻密に
配列するようになる。しかも、前記実施の形態の場合と
同様に、各層、各列の絶縁被覆電線14の張力が均一化
する。
【0089】上述したように、本実施の形態の超電導コ
イル装置においては、金属系の超電導線14aに絶縁材
14bを被覆して絶縁被覆電線14を構成し、次に巻枠
7の胴部7aの外周側に対地絶縁物8を被覆し、次に対
地絶縁物8の外周側に、絶縁被覆電線14を所定の張力
で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き付けて巻線
部13を形成し、しかる後に巻線部13を低温用容器2
の内部に固定すると共に、巻線部13を絶縁材14bの
ガラス転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱
し、かつ上記絶縁被覆電線14の巻枠への巻き付け張力
を、巻線部13の内層に比べて外層で高くして巻線部1
3を形成するようにしたものである。
【0090】従って、前記第1の実施の形態の場合と同
様の効果が得られるのは勿論のこと、絶縁被覆電線14
を層方向に緻密に配列することが可能となる。 (第8の実施の形態)本実施の形態の超電導コイル装置
は、前記図1に示した第1の実施の形態に係わる超電導
コイル装置における巻枠胴部7aの内周面にひずみゲー
ジを貼っておき、超電導コイル12の上記加熱の前およ
び後に、巻枠胴部7aのひずみを測定するようにしてい
る。
【0091】次に、以上のような製造方法により得られ
た超電導コイル12を備えた超電導コイル装置において
は、超電導コイル12の加熱時に、各層、各列の絶縁被
覆電線14の張力が緩和して均一化する。そして、この
張力の緩和に伴なって、巻枠胴部7aのひずみが変化す
る。よって、巻枠胴部7aのひずみ変化を測定すること
により、このひずみの変化から絶縁被覆電線14の張力
の均一化を定量的に検査することができる。
【0092】上述したように、本実施の形態の超電導コ
イル装置においては、金属系の超電導線14aに絶縁材
14bを被覆して絶縁被覆電線14を構成し、次に巻枠
7の胴部7aの外周側に対地絶縁物8を被覆し、次に対
地絶縁物8の外周側に、絶縁被覆電線14を所定の張力
で引っ張りながら、複数層かつ複数列に巻き付けて巻線
部13を形成し、しかる後に巻線部13を低温用容器2
の内部に固定すると共に、巻線部13を絶縁材14bの
ガラス転移温度または軟化温度よりも高い温度で加熱
し、かつ上記巻枠胴部7aの内周面にひずみゲージを貼
って、超電導コイル12の上記加熱の前および後に、巻
枠胴部7aのひずみを測定するようにしたものである。
【0093】従って、前記第1の実施の形態の場合と同
様の効果が得られるのは勿論のこと、加熱の前および後
における巻枠胴部7aのひずみの変化から、絶縁被覆電
線14の張力の均一化を定量的に検査することが可能と
なる。
【0094】(第9の実施の形態)本実施の形態の超電
導コイル装置は、前記図5に示した第4の実施の形態に
係わる超電導コイル装置における巻線部27を低温用容
器2の内部に固定する前または固定した後に、巻枠7に
形成された巻線部27を摂氏120度で加熱し、さらに
この巻線部27と冷凍機6とを、熱伝導体5を介して熱
的に接続するようにしている。
【0095】次に、以上のような製造方法により得られ
た超電導コイル装置においては、巻線部27を加熱する
ことにより、絶縁被覆電線の巻き付けられた状態での張
力は、前記第1乃至第8の各実施の形態の場合と同様に
均一化する。しかも、巻線部27と冷凍機6とを熱伝導
体5で熱的に接続することにより、巻線部27を極低温
冷媒に浸漬することなく、所定の温度に冷却することが
できる。
【0096】上述したように、本実施の形態の超電導コ
イル装置においては、金属系の超電導線に絶縁材を被覆
して絶縁被覆電線を構成し、次に巻枠の胴部の外周側に
対地絶縁物を被覆し、次に対地絶縁物の外周側に、絶縁
被覆電線を所定の張力で引っ張りながら、複数層かつ複
数列に巻き付けて巻線部27を形成し、次に巻線部27
を絶縁材のガラス転移温度または軟化温度よりも高い温
度で加熱し、次に巻線部27を接着用樹脂で固め、次に
巻線部27から巻枠を取り外し、次に支持板28および
複数の支持材29を用いて巻線部27を低温用容器2の
内部に固定し、かつ上記巻線部27と冷凍機6とを、熱
伝導体5を介して熱的に接続するようにしたものであ
る。
【0097】従って、前記第4の実施の形態の場合と同
様の効果が得られるのは勿論のこと、巻線部27を極低
温冷媒に浸漬することなく、所定の温度に冷却すること
が可能となる。
【0098】(他の実施の形態) (a)前記第1乃至第9の各実施の形態では、超電導線
として、金属系の超電導線を用いる場合について説明し
たが、これに限らず、超電導線として、化合物系の超電
導線、あるいは高温超電導線を用いるようにしてもよ
く、この場合においても、前記第1乃至第9の各実施の
形態の場合と同様な作用効果を得ることが可能である。
【0099】(b)前記第1乃至第9の各実施の形態に
おいて、超電導線の形状としては、単線や撚線の他、強
制冷却導体であっても、前記第1乃至第9の各実施の形
態の場合と同様な作用効果を得ることが可能である。
【0100】(c)前記第1乃至第9の各実施の形態に
おいて、絶縁材としては、ポリビニルホルマール等の有
機物の他、無機物や無機物と有機物との複合材であって
も、前記第1乃至第9の各実施の形態の場合と同様な作
用効果を得ることが可能である。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に対応す
る発明によれば、超電導線に絶縁材を被覆して絶縁被覆
電線を構成し、次に絶縁被覆電線を所定の張力で引っ張
りながら巻枠に複数層かつ複数列に巻き付けて巻線部を
形成し、しかる後に巻線部を低温用容器の内部に固定す
ると共に、巻線部を絶縁材のガラス転移温度または軟化
温度よりも高い温度で加熱するようにしたので、巻き付
けられた状態の絶縁被覆電線の張力を緩和して、各層、
各列の絶縁被覆電線の張力を均一化し、運転時の巻線部
の絶縁被覆電線の動きによる常電導状態への転移を抑制
して安定に運転を行なうことが可能な超電導コイル装置
の製造方法が提供できる。
【0102】また、請求項2に対応する発明によれば、
上記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造
方法において、巻線部を絶縁材のガラス転移温度または
軟化温度よりも高い温度で加熱しながら、巻線部に振動
を加えるようにしたので、各層、各列の絶縁被覆電線の
張力の均一性をより一層高くし、運転時の巻線部の絶縁
被覆電線の動きによる常電導状態への転移を抑制してよ
り一層安定に運転を行なうことが可能な超電導コイル装
置の製造方法が提供できる。
【0103】さらに、請求項3に対応する発明によれ
ば、上記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の
製造方法において、巻線部を絶縁材のガラス転移温度ま
たは軟化温度よりも高い温度で加熱し、次に巻線部に接
着用樹脂を含浸して固めるようにしたので、絶縁被覆電
線の張力を均一化すると共に、絶縁被覆電線の張力緩和
による接着用樹脂の硬化反応途中における損傷が起こら
ないようにし、運転時の巻線部の絶縁被覆電線の動きに
よる常電導状態への転移を抑制してより一層安定に運転
を行なうことが可能な超電導コイル装置の製造方法が提
供できる。
【0104】さらにまた、請求項4に対応する発明によ
れば、上記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置
の製造方法において、巻線部を絶縁材のガラス転移温度
または軟化温度よりも高い温度で加熱し、次に巻線部を
接着用樹脂で固め、次に巻線部から巻枠を取り外し、次
に支持材を用いて巻線部を低温用容器の内部に固定する
ようにしたので、絶縁被覆電線の張力を均一化すると共
に、均一性が巻枠の取り外しによって低下しないように
し、運転時の巻線部の絶縁被覆電線の動きによる常電導
状態への転移を抑制してより一層安定に運転を行なうこ
とが可能な超電導コイル装置の製造方法が提供できる。
【0105】一方、請求項5に対応する発明によれば、
上記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造
方法において、絶縁被覆電線を複数撚り合せて撚合絶縁
被覆電線を構成し、次に撚合絶縁被覆電線を所定の張力
で引っ張りながら巻枠に複数層かつ複数列に巻き付けて
巻線部を形成するようにしたので、絶縁被覆電線の張力
を均一化すると共に、交流損失を低減することができ、
運転時の巻線部の絶縁被覆電線の動きによる常電導状態
への転移を抑制してより一層安定に運転を行なうことが
可能な超電導コイル装置の製造方法が提供できる。
【0106】また、請求項6に対応する発明によれば、
上記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造
方法において、巻枠として、線膨張率が超電導線の長手
方向の値に比べて大きい巻枠を用いるようにしたので、
絶縁被覆電線の張力を均一化すると共に、絶縁被覆電線
を層方向に緻密に配列し、運転時の巻線部の絶縁被覆電
線の動きによる常電導状態への転移を抑制してより一層
安定に運転を行なうことが可能な超電導コイル装置の製
造方法が提供できる。
【0107】さらに、請求項7に対応する発明によれ
ば、上記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の
製造方法において、絶縁被覆電線の巻枠への巻き付け張
力を、巻線部の内層に比べて外層で高くして巻線部を形
成するようにしたので、絶縁被覆電線の張力を均一化す
ると共に、絶縁被覆電線を層方向に緻密に配列し、運転
時の巻線部の絶縁被覆電線の動きによる常電導状態への
転移を抑制してより一層安定に運転を行なうことが可能
な超電導コイル装置の製造方法が提供できる。
【0108】また、請求項8に対応する発明によれば、
上記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の製造
方法において、巻枠にひずみゲージを貼っておくことに
より、ひずみゲージで加熱の前および後に巻枠のひずみ
を測定するようにしたので、ひずみの変化から絶縁被覆
電線の張力の均一化を定量的に検査することが可能な超
電導コイル装置の製造方法が提供できる。
【0109】さらに、請求項9に対応する発明によれ
ば、上記請求項1に対応する発明の超電導コイル装置の
製造方法において、巻線部と冷凍機とを熱的に接続する
ようにしたので、巻線部を冷媒に浸漬することなく所定
の温度に冷却することが可能な超電導コイル装置の製造
方法が提供できる。
【0110】一方、請求項10に対応する発明によれ
ば、上記請求項1乃至請求項4のいずれか1項に対応す
る発明の製造方法により製造するようにしたので、運転
時の巻線部の絶縁被覆電線の動きによる常電導状態への
転移を抑えて、安定に運転することが可能な超電導コイ
ル装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1、および第5乃至第8の実施
の形態に係る超電導コイル装置における超電導コイルの
構成例を示す部分断面図。
【図2】本発明による第2の実施の形態に係る超電導コ
イル装置における超電導コイル、および加熱加振装置の
構成例を示す断面図。
【図3】同第2の実施の形態に係る超電導コイル装置に
おける超電導コイルの構成例を示す部分断面図。
【図4】本発明による第3の実施の形態に係る超電導コ
イル装置における超電導コイルの構成例を示す部分断面
図。
【図5】本発明による第4および第9の実施の形態に係
る超電導コイル装置の構成例を示す断面図。
【図6】本発明による作用効果を説明するための図。
【図7】従来の超電導コイル装置の構成例を示す断面
図。
【図8】図7における超電導コイルの一部が切除された
斜視図。
【図9】図8における超電導コイルの部分断面図。
【符号の説明】
1…超電導コイル装置、 2…低温用容器、 3…空間部、 4…超電導コイル、 5…熱伝導体、 6…冷凍機、 7…巻枠、 7a…巻枠胴部、 7b…巻枠つば部、 8…対地絶縁物、 9…巻線部、 10…絶縁被覆電線、 10a…超電導線、 10b…絶縁材、 11…接着用樹脂、 12…超電導コイル、 13…巻線部、 14…絶縁被覆電線、 14a…超電導線、 14b…絶縁材、 15…超電導コイル、 16…加熱加振装置、 17…ヒータ線、 18…ファン、 19…連結部、 20…加振機、 21…巻線部、 22…絶縁被覆電線、 22a…超電導線。 22b…絶縁材、 23…超電導コイル、 24…巻線部、 25…絶縁被覆電線、 25a…超電導線。 25b…絶縁材、 26…超電導コイル装置、 27…巻線部、 28…支持板、 29…支持棒。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新 政憲 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導線に絶縁材を被覆して絶縁被覆電
    線を構成し、 次に、前記絶縁被覆電線を所定の張力で引っ張りながら
    巻枠に複数層かつ複数列に巻き付けて巻線部を形成し、 しかる後に、前記巻線部を低温用容器の内部に固定する
    と共に、当該巻線部を前記絶縁材のガラス転移温度また
    は軟化温度よりも高い温度で加熱するようにしたことを
    特徴とする超電導コイル装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載の超電導コイル装置
    の製造方法において、 前記巻線部を前記絶縁材のガラス転移温度または軟化温
    度よりも高い温度で加熱しながら、前記巻線部に振動を
    加えるようにしたことを特徴とする超電導コイル装置の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項1に記載の超電導コイル装置
    の製造方法において、 前記巻線部を前記絶縁材のガラス転移温度または軟化温
    度よりも高い温度で加熱し、次に前記巻線部に接着用樹
    脂を含浸して固めるようにしたことを特徴とする超電導
    コイル装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記請求項1に記載の超電導コイル装置
    の製造方法において、 前記巻線部を前記絶縁材のガラス転移温度または軟化温
    度よりも高い温度で加熱し、次に前記巻線部を接着用樹
    脂で固め、次に前記巻線部から前記巻枠を取り外し、次
    に支持材を用いて前記巻線部を前記低温用容器の内部に
    固定するようにしたことを特徴とする超電導コイル装置
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記請求項1に記載の超電導コイル装置
    の製造方法において、 前記絶縁被覆電線を複数撚り合せて撚合絶縁被覆電線を
    構成し、次に前記撚合絶縁被覆電線を所定の張力で引っ
    張りながら巻枠に複数層かつ複数列に巻き付けて巻線部
    を形成するようにしたことを特徴とする超電導コイル装
    置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項1に記載の超電導コイル装置
    の製造方法において、 前記巻枠として、線膨張率が前記超電導線の長手方向の
    値に比べて大きい巻枠を用いるようにしたことを特徴と
    する超電導コイル装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記請求項1に記載の超電導コイル装置
    の製造方法において、 前記絶縁被覆電線の前記巻枠への巻き付け張力を、前記
    巻線部の内層に比べて外層で高くして巻線部を形成する
    ようにしたことを特徴とする超電導コイル装置の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記請求項1に記載の超電導コイル装置
    の製造方法において、 前記巻枠にひずみゲージを貼っておくことにより、前記
    ひずみゲージで前記加熱の前および後に前記巻枠のひず
    みを測定するようにしたことを特徴とする超電導コイル
    装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記請求項1に記載の超電導コイル装置
    の製造方法において、 前記巻線部と冷凍機とを熱的に接続するようにしたこと
    を特徴とする超電導コイル装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記請求項1乃至請求項4のいずれか
    1項に記載の製造方法により製造して成ることを特徴と
    する超電導コイル装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007271254A (ja) * 2006-03-17 2007-10-18 Siemens Magnet Technology Ltd 冷却装置
JP2014086457A (ja) * 2012-10-19 2014-05-12 Sumitomo Heavy Ind Ltd 超電導磁石

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