JPH1077243A - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents

芳香族カルボン酸の製造方法

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JPH1077243A
JPH1077243A JP9184742A JP18474297A JPH1077243A JP H1077243 A JPH1077243 A JP H1077243A JP 9184742 A JP9184742 A JP 9184742A JP 18474297 A JP18474297 A JP 18474297A JP H1077243 A JPH1077243 A JP H1077243A
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JP
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carboxylic acid
aromatic carboxylic
reaction
aromatic
alkyl substituent
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JP9184742A
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Hiroshi Fukuhara
浩 福原
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応溶媒中への酸素の拡散を促進させると同
時に、反応器の容積効率を改善し、これにより高品質の
芳香族カルボン酸を効率よく高い生産性で製造する。 【解決手段】 重金属化合物および臭素化合物を触媒に
用いて、低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、ア
ルキル置換基または一部酸化したアルキル置換基を有す
る芳香族化合物を、分子状酸素含有ガスによって液相酸
化して芳香族カルボン酸を製造する方法において、液相
部における芳香族化合物に対する反応溶媒の割合が、芳
香族化合物1重量部に対して反応溶媒6.5〜70重量
部であり、反応時間が45分〜4.5分であり、かつ芳
香族化合物1重量部に対する反応溶媒の重量比の数値と
反応時間を分単位で表した数値との積が270〜330
となる条件で、芳香族化合物を液相酸化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキル置換基ま
たは一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合物
の液相酸化による芳香族カルボン酸を製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】芳香族カルボン酸類は基礎化学品として
重要であり、特に芳香族ジカルボン酸は繊維、樹脂、可
塑剤等の原料として有用である。例えば、テレフタル酸
はポリエステル原料として、近年その需要が増大してい
る。
【0003】従来、芳香族カルボン酸の製造方法として
は、一般的に重金属化合物および臭素化合物を触媒とし
て、酢酸等の低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中
で、メチル置換芳香族化合物を分子状酸素含有ガスを用
いて液相酸化する方法が採用されている。このような従
来の製造方法では、酸化原料となる芳香族化合物1重量
部に対して反応溶媒を通常2〜6重量部使用している
(特開昭63−288309号)。また連続反応におけ
る芳香族化合物の滞留時間は、通常40分〜150分の
範囲が採用されている。
【0004】上述したような従来の芳香族カルボン酸の
製造方法においては、酸化原料に対する反応溶媒の使用
量が相対的に多くないため、生成する芳香族カルボン酸
が反応溶媒に不溶性の場合、反応器内に多量の固形物が
共存することになる。例えば、上記のような反応溶媒の
使用量でp−キシレンからテレフタル酸を製造する場合
には、テレフタル酸のスラリー濃度は20〜40重量%
になり、これが固形物として共存する。
【0005】このため従来の芳香族カルボン酸の製造方
法においては、酸化反応の促進には何等関与しない固体
状の酸化生成物が反応器内に多量に存在することにな
り、分子状酸素含有ガスと低級脂肪族カルボン酸溶媒と
の気液接触が妨げられる。従って、分子状酸素含有ガス
中の酸素が反応溶媒中へ溶解する効率が低下する。さら
に、酸化反応器内に多量の固形物が存在することは、反
応器内の有効に働く容積を狭くすることになり、芳香族
カルボン酸の生産性の向上を妨げている。
【0006】特開昭61−112044号(USP N
o.4777287)には、アルキル基置換芳香族化合
物を酸素含有ガスにより液相酸化する芳香族カルボン酸
の製造方法が記載されている。そして、溶媒の使用量
は、酸化原料1重量部に対して1〜10重量部、好まし
くは2〜6重量部であり、滞留時間は約20〜約90分
であることが記載されている。
【0007】しかし、上記公報の方法は、比較的低い温
度または圧力で酸化原料の処理量を多くするための方法
であり、酸化条件として溶媒の使用量が多い条件と、反
応時間が短い条件とを積極的に組合せることは示唆され
ていない。また溶媒の量と反応時間との積が特定の範囲
にある場合、高品質の芳香族カルボン酸を効率よく製造
できることは記載されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
の芳香族カルボン酸の製造における上記問題点を解決す
るためになされたものであって、反応溶媒中への酸素の
拡散を促進させると同時に、反応器の容積効率を改善
し、これにより高品質の芳香族カルボン酸を効率よく高
い生産性で製造することができる芳香族カルボン酸の製
造方法を提案することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意検討を続ける中で、酸化原料となる芳
香族化合物は非常に短い時間で酸化されることを見いだ
した。本発明はこのような知見に基づいてなされたもの
であり、本発明者は従来には見られなかった革新的な芳
香族カルボン酸の製造方法を完成させた。
【0010】本発明は次の芳香族カルボン酸の製造方法
である。 (1)重金属化合物および臭素化合物を触媒に用いて、
低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、アルキル置
換基または一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族
化合物を、分子状酸素含有ガスによって液相酸化して芳
香族カルボン酸を製造する方法であって、液相部におけ
るアルキル置換基または一部酸化したアルキル置換基を
有する芳香族化合物に対する反応溶媒の割合が、アルキ
ル置換基または一部酸化したアルキル置換基を有する芳
香族化合物1重量部に対して反応溶媒6.5〜70重量
部であり、反応時間が45分〜4.5分であり、かつア
ルキル置換基または一部酸化したアルキル置換基を有す
る芳香族化合物1重量部に対する反応溶媒の重量比の数
値と、反応時間を分単位で表した数値との積が270〜
330である芳香族カルボン酸の製造方法。 (2)酸化反応条件に近い条件を維持した状態で、反応
混合物から芳香族カルボン酸を分離する上記(1)記載
の芳香族カルボン酸の製造方法。 (3)酸化反応温度より30℃低い温度ないし酸化反応
温度より10℃高い温度の条件で、反応混合物から芳香
族カルボン酸を分離する上記(1)または(2)記載の
芳香族カルボン酸の製造方法。 (4)反応溶媒が酢酸と水との混合物である上記(1)
ないし(3)のいずれかに記載の芳香族カルボン酸の製
造方法。 (5)芳香族カルボン酸が反応溶媒に不溶または難溶性
の芳香族カルボン酸である上記(1)ないし(4)のい
ずれかに記載の芳香族カルボン酸の製造方法。 (6)芳香族カルボン酸が芳香族ジカルボン酸である上
記(1)ないし(4)のいずれかに記載の芳香族カルボ
ン酸の製造方法。 (7)芳香族カルボン酸がテレフタル酸である上記
(1)ないし(4)のいずれかに記載の芳香族カルボン
酸の製造方法。
【0011】本発明において、「溶媒量比」とは、「酸
化原料となる芳香族化合物1重量部に対する反応溶媒の
重量比」を意味する。例えば、溶媒量比が10というこ
とは、酸化原料となる芳香族化合物1重量部に対して反
応溶媒が10重量部であることを意味する。
【0012】本発明の方法において芳香族カルボン酸を
製造するための酸化原料としては、アルキル置換基また
は一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合物
(以下、単に酸化原料という場合がある)が使用でき
る。このような芳香族化合物は単環であっても、多環で
あってもよい。上記アルキル置換基としては、例えばメ
チル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル
基等の炭素数1〜4のアルキル基をあげることができ
る。また一部酸化したアルキル基としては、例えばアル
デヒド基、アシル基、カルボキシル基およびヒドロキシ
アルキル基等をあげることができる。
【0013】アルキル置換基を有する芳香族化合物、す
なわちアルキル置換芳香族炭化水素の具体的なものとし
ては、例えばm−ジイソプロピルベンゼン、p−ジイソ
プロピルベンゼン、m−シメン、p−シメン、m−キシ
レン、p−キシレン、トリメチルベンゼン類およびテト
ラメチルベンゼン類等の炭素数1〜4のアルキル基を2
〜4個有するジもしくはポリアルキルベンゼン類;ジメ
チルナフタレン類、ジエチルナフタレン類およびジイソ
プロピルナフタレン類等の炭素数1〜4のアルキル基を
2〜4個有するジもしくはポリアルキルナフタレン類;
ジメチルビフェニル類等の炭素数1〜4のアルキル基を
2〜4個有するポリアルキルビフェニル類などをあげる
ことができる。
【0014】また一部酸化したアルキル置換基を有する
芳香族化合物は、上記化合物におけるアルキル基が一部
酸化されて、前記アルデヒド基、アシル基、カルボキシ
ル基またはヒドロキシアルキル基等に酸化されている化
合物である。具体的なものとしては、例えば3−メチル
ベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、m−
トルイル酸、p−トルイル酸、3−ホルミル安息香酸、
4−ホルミル安息香酸およびホルミルナフタレン類等を
あげることができる。これらは単独で、または2種以上
の混合物として用いられる。
【0015】本発明の方法においては、重金属化合物お
よび臭素化合物が触媒として用いられるが、それらの化
合物としては次のようなものが例示される。すなわち、
重金属化合物における重金属としては、例えばコバル
ト、マンガン、ニッケル、クロム、ジルコニウム、銅、
鉛、ハフニウムおよびセリウム等をあげることができ
る。これらは単独で、または組合せて用いることができ
るが、特にコバルトとマンガンとを組合せて用いるのが
好ましい。このような重金属の化合物としては、例えば
酢酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナート塩、ナフテン酸
塩、ステアリン酸塩および臭化物等をあげることができ
るが、特に酢酸塩が好ましい。
【0016】臭素化合物としては、例えば分子状臭素、
臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化コバル
トおよび臭化マンガン等の無機臭素化合物;臭化メチ
ル、臭化メチレン、ブロモホルム、臭化ベンジル、ブロ
モメチルトルエン、ジブロモエタン、トリブロモエタン
およびテトラブロモエタン等の有機臭素化合物などをあ
げることができる。これらの臭素化合物も単独で、また
は2種以上の混合物として用いられる。
【0017】本発明において、上記重金属化合物と臭素
化合物との組合せからなる触媒は、重金属原子1モルに
対して臭素原子0.05〜10モル、好ましくは0.1
〜2モルの範囲からなるものが望ましい。このような触
媒は、反応溶媒中の重金属濃度として通常10〜100
00ppm、好ましくは100〜5000ppmの範囲
で用いられる。
【0018】本発明の方法では、前記触媒の存在下に、
低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、酸化原料と
なる芳香族化合物を分子状酸素含有ガスによって液相酸
化することにより、製品としての芳香族カルボン酸を得
る。上記分子状酸素含有ガスとしては、例えば酸素や空
気等をあげることができるが、実用的には空気が好まし
く用いられる。分子状酸素含有ガスは酸化原料となる芳
香族化合物を芳香族カルボン酸に酸化するのに必要な量
より過剰に供給する。分子状酸素含有ガスとして空気を
使用する場合、酸化原料となる芳香族化合物1kgに対
して2〜20Nm3、好ましくは2.5〜15Nm3の割
合で反応系に供給するのが望ましい。
【0019】反応溶媒として使用する低級脂肪族カルボ
ン酸の具体的なものとしては、例えば酢酸、プロピオン
酸および酪酸等をあげることができる。低級脂肪族カル
ボン酸は単独で反応溶媒として使用することもできる
し、水と混合して混合物の状態で反応溶媒として使用す
ることもできる。反応溶媒の具体的なものとしては、例
えば酢酸、プロピオン酸、酪酸およびこれらの混合物、
あるいはこれらの低級脂肪族カルボン酸と水との混合物
等をあげることができる。これらの中では、酢酸と水と
の混合物が好ましく、特に酢酸100重量部に対して水
1〜20重量部、好ましくは5〜15重量部を混合した
混合物が望ましい。
【0020】反応溶媒の使用量は、液相部における酸化
原料となる芳香族化合物1重量部に対して6.5〜70
重量部、好ましくは7.5〜50重量部の範囲、すなわ
ち溶媒量比が6.5〜70、好ましくは7.5〜50と
なる量である。反応溶媒の使用量が上記範囲にある場
合、反応溶媒中の固形分濃度が低くなるため、反応溶媒
中への酸素の拡散を促進させることができ、しかも反応
器内の酸化反応の場を拡大させることができ、これによ
り反応速度を速くすることができるとともに、高品質の
芳香族カルボン酸を効率よく製造することができる。ま
た反応速度を速くすることができるので、反応時間を短
くして酸化原料の供給速度を速くすることができ、これ
により反応器の容積効率が高くなり、生産性も向上す
る。
【0021】本発明の方法においては、反応時間は45
分〜4.5分、好ましくは40分〜6分の範囲で調整さ
れる。ここで、酸化反応を連続式に行う場合、上記反応
時間は滞留時間である。このような反応時間とすること
により、前記のような反応媒体の使用量の場合でも効率
よく高品質の芳香族カルボン酸を製造することができ
る。
【0022】上記反応時間は従来の方法における反応時
間に比べて短いが、上記反応時間でも酸化反応は十分に
進行する。すなわち、図1に示すように、反応系に空気
および酸化原料(p−キシレン:PX)を連続的に供給
しながら液相酸化を行うと、酸化原料の供給を停止した
数分後に排ガス中の酸素濃度が上昇する。このような現
象は本発明者が見出したものであり、酸化原料を酸化す
る反応時間は短い時間でもよいことを示している。
【0023】本発明の方法においては、溶媒量比の数値
と反応時間を分単位で表した数値との積が270〜33
0、好ましくは290〜310の範囲となるように、溶
媒量比と反応時間とを組み合せる。上記積が上記範囲に
ある場合、高品質の芳香族カルボン酸を高い生産性で製
造することができる。
【0024】酸化反応の温度は通常100〜250℃、
好ましくは150〜220℃の範囲が望ましい。また、
反応圧力は反応系を液相に保つことができる圧力以上で
あればよい。
【0025】このようにして反応させることにより、酸
化原料となる芳香族化合物に対応した芳香族カルボン酸
が得られる。芳香族カルボン酸の具体的なものとして
は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、1,6−ビフェニルジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸等の
芳香族トリカルボン酸;ピロメリット酸等の芳香族ポリ
カルボン酸などがあげられる。
【0026】本発明の方法は、芳香族ジカルボン酸、ま
たは反応溶媒に不溶もしくは難溶性の芳香族カルボン酸
の製造に適用するのが好ましく、特にテレフタル酸の製
造に適用するのが好ましい。
【0027】本発明の方法においては、生成した芳香族
カルボン酸は反応混合物から通常固液分離により分離さ
れる。固液分離の際の環境温度は酸化反応条件と同じ
か、あるいは近い条件に保って行うことが好ましく、具
体的には酸化反応温度より30℃低い温度ないし酸化反
応温度より10℃高い温度、好ましくは酸化反応温度よ
り20℃低い温度ないし酸化反応温度より5℃高い温度
で行うのが望ましい。このような温度で生成物を分離す
ることにより、反応溶媒に対する溶解性の低い反応中間
体や着色不純物が、生成物の結晶上へ冷却晶析して付着
するのが防止され、高品質の芳香族カルボン酸を得るこ
とができる。
【0028】芳香族カルボン酸を反応混合物から高温、
高圧の条件下に固液分離する方法としては、固液分離に
供する反応混合物の温度が上記許容範囲に納まる装置で
あれば、特に限定されるものではない。例えば、内容物
が加圧、加温できる加圧濾過器や液体サイクロン等が使
用できる。
【0029】本発明の方法においては、反応混合物を固
液分離して得られる反応母液の一部または全部をそのま
ま酸化反応器に戻すのが好ましい。この場合、前記溶媒
量比の条件下に反応を行い、得られる低スラリー濃度の
反応混合物を、例えば液体サイクロンのような装置で固
形生成物を濃縮し、分離された反応母液を酸化反応器に
戻し、濃縮された混合物を通常の固液分離器で処理する
方法などを採用することもできる。このような方法によ
れば、酸化反応器内は固形状生成物の少ない低スラリー
濃度の状態で酸化を行っても、通常の固液分離器へは高
スラリー濃度の混合物を送ることができ、これにより低
スラリー濃度の反応混合物を多量に処理する必要がなく
なるので、特に好ましい。
【0030】本発明の方法は、酸化反応を行う方式は特
に制限されるものではなく、回分式、半連続式および連
続式のいずれの方式で行うこともできる。これらの中で
は半連続式または連続式が好ましく、連続式が特に好ま
しい。
【0031】本発明の方法は、従来の方法に比べて反応
溶媒の使用量を多くしているので、反応溶媒中への酸素
の拡散が促進されると同時に、反応器内の酸化反応の場
が拡大し、これにより高品質の芳香族カルボン酸を効率
よく得ることができる。この高品質の芳香族カルボン酸
が得られる効果は、工業的には非常に大きな意味合いを
持つ。すなわち、工業的生産設備の使命は生産される製
品を所定の品質に保つことであり、所定品質を維持しな
がらいかに経済的に製品を造るかが求められるが、本発
明の方法によれば所定品質を維持しながら、低コスト化
が可能である。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によれば、反応溶媒および
反応時間を特定の範囲に設定して芳香族化合物を液相酸
化するようにしているので、反応溶媒中への酸素の拡散
を促進させると同時に、反応器の容積効率を改善し、こ
れにより高品質の芳香族カルボン酸を効率よく高い生産
性で製造することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例および比較
例について説明する。 実施例1 攪拌機、還流冷却器および圧力調節弁を備えた内径66
mm、深さ168mm、内容量500mlのチタン製オ
ートクレーブに水濃度5.9重量%の酢酸215g、酢
酸コバルト4水和物0.54g、酢酸マンガン4水和物
0.26gおよび47重量%の臭化水素水溶液0.45
gを仕込んだ。オートクレーブ内の圧力を1.37MP
a(ゲージ圧)に保ったまま190℃まで昇温した。内
容物が190℃に到達したところで、内容物を強力に攪
拌しながら、空気を2.83 Nliter/分の割合で吹
込むとともに、p−キシレンを0.83ml/分の割合
で定量ポンプで供給し、p−キシレンを液相酸化した。
p−キシレンの供給は45分間続けた。
【0034】p−キシレンの供給終了後、オートクレー
ブからの排ガス中の酸素濃度が上昇した時点で空気の吹
込みを停止した。p−キシレンの供給終了後、空気の吹
込み停止までは約3分間を要した。反応器を室温まで冷
却した後、オートクレーブから内容物を取出し、結晶を
濾別し、さらにこれを酢酸と水で十分に洗浄した後、乾
燥させた。このようにして得られたテレフタル酸の収率
および品質を表2に示した。
【0035】実施例2、3 表1に示したように、p−キシレンの供給時間を30分
または20分に変更した以外は実施例1と同様に行っ
た。結果を表2に示した。
【0036】比較例1、2 表1に示したように、p−キシレンの供給時間を60分
または80分に変更した以外は実施例1と同様に行っ
た。結果を表2に示した。
【0037】
【表1】
【0038】表1の注 *1 溶媒量比:p−キシレン1重量部に対する酢酸溶
媒量の仕込み重量部の比 *2 A×B:溶媒量比の数値と反応時間を分単位で表
した数値との積
【0039】
【表2】
【0040】表2の注 *3 テレフタル酸の収率:仕込みp−キシレンに対す
るモル収率 *4 4CBA:4−カルボキシベンズアルデヒド *5 テレフタル酸の透過率(T340):製造したテレ
フタル酸7.5gを2NのKOH水溶液50mlに溶解
した溶液の波長340nmにおける透過率である。この
透過率はテレフタル酸の色相の指標となる。
【0041】実施例4 実施例1において、空気の吹込み量を3.39N liter
/分に増やし、p−キシレンの供給速度を1.0ml/
分に上げて、p−キシレンの供給を20分間行い、その
後5分間反応させた(全反応時間25分間)以外は実施
例1と同様に行った。この場合、溶媒量比は12.5、
滞留時間は25分、これらの積は313である。その結
果、テレフタル酸の収率は92.7%、テレフタル酸中
の4CBAは含量2210ppm、テレフタル酸の透過
率(T340)は30.5%であった。
【0042】比較例3 実施例1で用いたチタン製オートクレーブに反応混合物
抜出しノズルを取付け、攪拌機および還流冷却器を備え
た500mlの加圧受器に連結した。オートクレーブ内
に水濃度5.9重量%の酢酸215g、酢酸コバルト4
水和物0.54g、酢酸マンガン4水和物0.26gお
よび47重量%の臭化水素水溶液0.45gを仕込ん
だ。オートクレーブ内を1.57MPa(ゲージ圧)に
加圧し、昇温を始めた。オートクレーブ内温が190℃
に到達したところで、内容物を強力に攪拌しながら、空
気を2.39N liter/分の割合で吹込むとともに、定
量ポンプからp−キシレンを0.70ml/分の割合で
供給開始し、また別の定量ポンプから酢酸コバルト4水
和物0.54重量部、酢酸マンガン4水和物0.26重
量部および47重量%の臭化水素水溶液0.45重量
部、水12.7重量部および酢酸202.3重量部から
なる触媒溶液を2.86ml/分の割合で供給開始し、
p−キシレンを液相酸化した。
【0043】反応混合物の抜出しは、オートクレーブの
排ガス冷却管の上部に取付けた電磁式遮断弁を定期的に
閉じることによってオートクレーブ内の圧力を高めるこ
とによって間欠的に行った。加圧受器の反応混合物は、
ガラス製受器の中に所定時間毎に一気に取出した。一時
間毎に取出される反応混合物の量は平均的にほぼ23
3.3gであった。取出した反応混合物は結晶を濾別
し、さらにこれを酢酸と水で十分に洗浄した後、乾燥さ
せた。
【0044】上記連続反応を3時間継続した後、安定的
に得られた反応混合物を後処理してテレフタル酸を得
た。このテレフタル酸の品質を分析した。その結果、テ
レフタル酸中の4CBA含量は1830ppm、透過率
(T340)は62%であった。反応条件を表3に示し
た。
【0045】実施例5、6 比較例3において、定量ポンプから供給する触媒溶液の
量を4.29ml/分または5.72ml/分にそれぞ
れ増やし、またそれに伴って反応混合物抜出量もそれぞ
れ増加した以外は比較例3と同様に行った。結果を表3
に示した。
【0046】
【表3】 *1 表1の*1参照 *2 表1の*2参照 *3 表2の*4、*5参照
【0047】実施例7 攪拌機、ガス冷却管、空気吹込管、酸化原料供給管およ
び底部に反応混合物抜出口を備えた内容量1 literのチ
タン製反応器と、ステンレス鋼製のフィルターを底部に
備えたチタン製500mlの高温・加圧濾過器と、この
加圧濾過器から排出される反応母液を受ける1 literの
チタン製受器と、上記加圧濾過器を通さないで反応器か
らスラリーを受ける加圧受器(1 literハステロイC)
とから構成される連続酸化装置を用いて、実施例5と同
じ反応条件でp−キシレンの酸化反応を行った。安定し
た反応混合物が得られるまで、反応器中のスラリーはハ
ステロイC製の加圧受器に抜き出した。この間、高温・
加圧濾過器は外壁の温度を185℃〜190℃の範囲に
なるように調節して、加圧濾過のために待機をした。
【0048】2時間の連続反応を継続した後、スラリー
抜き出しラインのバルブを切替え、反応器中のスラリー
を加圧濾過器側に抜き出した。その後30分間、加圧濾
過器にスラリーを集め、加圧濾過した。得られた固形生
成物は、酢酸および水で洗浄した後乾燥した。生成物を
分析した結果、4CBA含量は1250ppm、340
nmにおける透過率(T340)は71%であった。結果
を表4にまとめた。
【0049】実施例8 実施例7において、溶媒量比および滞留時間をそれぞれ
15および20分に変更した他は実施例7と同じように
行った。得られた生成物の4CBA含量は1100pp
m、透過率(T340)は74%であった。結果を表4に
まとめた。
【0050】実施例9〜12および比較例4〜9 実施例7と同じ連続酸化装置を用いて、次のようにして
テレフタル酸を製造した。酢酸コバルト4水塩4.29
g、酢酸マンガン4水塩2.10g、47重量%臭化水
素酸3.69gおよび水81.7gを酢酸2058gと
混合して触媒液を調製した。この触媒液450gを酸化
反応器に仕込んだ後、反応器内を窒素で加圧して昇温を
開始した。反応器の内温が190℃近くに達したところ
で、空気の吹き込みを始めた。空気の吹き込み開始と同
時に、触媒液とp−キシレンを所定の割合で混合した酸
化原料液を所定流速で供給開始した。酸化反応器内の圧
力を1.28MPa(ゲージ圧)、反応温度を190℃
に保ちながら、空気および酸化原料液の供給を続けた。
空気の吹き込み量は排ガス中の酸素濃度が3〜4vol
%になるように調節した。酸化反応混合物は反応器の内
容量が450gに保たれるように連続的にハステロイ製
の加圧受器へ抜き取った。反応混合物の所定量が加圧受
器に貯まったら、加圧受器から常圧の受器へ間欠的に抜
き出した。上記連続反応が安定して、所定の時間(滞留
時間の3倍の時間が目安)が経過したところで、酸化反
応混合物を加圧濾過器側へ抜き出し、加圧、加温の状態
で固液分離を行った。加圧濾過器内に集めた粗テレフタ
ル酸は、さらに酢酸洗浄および水洗浄を行った後、取り
出した。また、常圧受器へ抜き出したサンプルについて
も室温下(約30℃)での濾過操作を行いテレフタル酸
(TA)を得た。各種条件で反応を行った結果を表4に
まとめた。
【0051】
【表4】 *1 表1の*1参照 *2 表1の*2参照 *3 TA:テレフタル酸 *4 TA:テレフタル酸 透過率:透過率(T340
【0052】以上の結果から、溶媒量比、滞留時間およ
びこれらの積が前記特定の範囲にある各実施例は、比較
例に比べて高品質のテレフタル酸が得られることがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、p−キシレン(PX)の半連続酸化反
応における反応時間と反応温度または排ガス中のO2
度の関係を示すグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重金属化合物および臭素化合物を触媒に
    用いて、低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、ア
    ルキル置換基または一部酸化したアルキル置換基を有す
    る芳香族化合物を、分子状酸素含有ガスによって液相酸
    化して芳香族カルボン酸を製造する方法であって、 液相部におけるアルキル置換基または一部酸化したアル
    キル置換基を有する芳香族化合物に対する反応溶媒の割
    合が、アルキル置換基または一部酸化したアルキル置換
    基を有する芳香族化合物1重量部に対して反応溶媒6.
    5〜70重量部であり、 反応時間が45分〜4.5分であり、 かつアルキル置換基または一部酸化したアルキル置換基
    を有する芳香族化合物1重量部に対する反応溶媒の重量
    比の数値と、反応時間を分単位で表した数値との積が2
    70〜330である芳香族カルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化反応条件に近い条件を維持した状態
    で、反応混合物から芳香族カルボン酸を分離する請求項
    1記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化反応温度より30℃低い温度ないし
    酸化反応温度より10℃高い温度の条件で、反応混合物
    から芳香族カルボン酸を分離する請求項1または2記載
    の芳香族カルボン酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応溶媒が酢酸と水との混合物である請
    求項1ないし3のいずれかに記載の芳香族カルボン酸の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 芳香族カルボン酸が反応溶媒に不溶また
    は難溶性の芳香族カルボン酸である請求項1ないし4の
    いずれかに記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  6. 【請求項6】 芳香族カルボン酸が芳香族ジカルボン酸
    である請求項1ないし4のいずれかに記載の芳香族カル
    ボン酸の製造方法。
  7. 【請求項7】 芳香族カルボン酸がテレフタル酸である
    請求項1ないし4のいずれかに記載の芳香族カルボン酸
    の製造方法。
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