JPH107693A - 新規糖誘導体、その製造法、リパーゼ活性測定用試薬およびリパーゼ活性測定方法 - Google Patents

新規糖誘導体、その製造法、リパーゼ活性測定用試薬およびリパーゼ活性測定方法

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JPH107693A
JPH107693A JP7012297A JP7012297A JPH107693A JP H107693 A JPH107693 A JP H107693A JP 7012297 A JP7012297 A JP 7012297A JP 7012297 A JP7012297 A JP 7012297A JP H107693 A JPH107693 A JP H107693A
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JP
Japan
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glucopyranoside
nitrophenyl
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lipase
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JP7012297A
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English (en)
Inventor
Katsutoshi Ishimaru
勝敏 石丸
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YOSHITOMI FINE CHEM KK
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
YOSHITOMI FINE CHEM KK
Toyobo Co Ltd
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Publication date
Application filed by YOSHITOMI FINE CHEM KK, Toyobo Co Ltd filed Critical YOSHITOMI FINE CHEM KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血液中に共存するエステラーゼ、コリンエス
テラーゼの作用を受けずリパーゼに対する特異性が高
く、さらに溶解性にも優れている化合物を提供するこ
と、またリパーゼの高感度測定を可能にするリパーゼ活
性測定試薬、レートアッセイ法を適用することができ
る、簡便にリパーゼ活性の測定を行うことができるリパ
ーゼ活性測定方法を提供すること。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1 は炭素数12以上30以下のヒドロキシ脂
肪酸エステル基を示し、R2 は置換フェノキシ基を示
し、波線はαまたはβ結合を示す)で表される糖誘導
体、糖誘導体(I)を含むリパーゼ活性測定用試薬およ
び該測定用試薬を使用するリパーゼ活性測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な糖誘導体、
その製造法、臨床検査分野などで有効に使用されうる、
該糖誘導体を基質として含有するリパーゼの活性測定用
試薬、ならびに該試薬を用いたリパーゼの活性測定方法
に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】膵臓の疾
患を診断するために、酵素を用いる方法が知られてい
る。例えば、十二指腸液や血液の中に存在するアミラー
ゼの活性を測定することにより診断するものであるが、
アミラーゼは食餌やホルモンの影響を受け易いために、
膵アミラーゼ活性の低下があったとしても、必ずしも膵
臓に器質的疾患が存在するとはいえない。また、血液中
のアミラーゼ活性の測定に関しても、アミラーゼは膵や
唾液腺イソアミラーゼとしても存在することから、血液
中のアミラーゼ活性の上昇により、必ずしも膵臓に器質
的疾患が存在するとはいえない。
【0003】一方、膵リパーゼは膵臓の腺房細胞から分
泌され、膵管を通り十二指腸に***されて、脂肪消化作
用を示す。膵炎や膵癌などの膵疾患が起こると、膵腺房
細胞の破壊や膵管の閉塞などによって、膵リパーゼが血
液中に移行し、血清中のリパーゼ活性値を上昇させるこ
とが、臨床的に知られている。したがって、膵疾患の診
断には、血液中のアミラーゼ活性の測定よりも、膵に特
異性の高いリパーゼの活性を測定するほうが、より有用
な指標になると考えられている。
【0004】このようなことから従来より種々のリパー
ゼの活性測定法が知られている。オリーブ油を基質とす
る測定方法として、試料とオリーブ油とを接触させ遊離
する脂肪酸をアルカリ滴定する測定方法、オリーブ油エ
マルジョンの温度変化を指標とする測定方法などがあ
る。しかしこれらの方法は、操作が煩雑で、オリーブ油
の品質やオリーブ油エマルジョンの調整方法の相違によ
り測定値が変動したり、測定値の再現性が悪くなるなど
の問題点がある(Analitical Bioche
mistry、第6巻、451頁(1963)参照)。
【0005】合成高級脂肪酸エステルであるα−ナフチ
ルパルミテートを基質とした測定方法は、基質が溶解し
にくいために酵素活性測定に充分な量の基質を添加でき
なかったり、基質液の調整方法の相違により測定値が変
動したり、再現性が悪いなどの問題点がある(Clin
ica Chimica Acta、第44巻、133
〜138頁(1973)、臨床化学、第7巻(4)、3
50〜356頁(1979)参照)。
【0006】合成チオエステルである3−ブチロイルオ
キシ−1,2−ビスブチロイルチオプロパン(BAL
B)を基質とした活性測定法(特開昭50−15979
3号公報参照)は、再現性や精度が比較的よく、これま
でよく利用されてきた方法である。しかし、該基質は短
鎖の脂肪酸エステル残基を有するため、リパーゼだけで
なくエステラーゼにもよく加水分解され、基質特異性に
問題がある。さらに測定原理がエンドポイント法のため
操作の煩雑さもさることながら、反応停止液を必要と
し、酵素活性の測定を連続的に行うレートアッセイ法を
適用することができないといった問題点も有している。
【0007】上記の基質にある問題点を解消するため、
糖エステル誘導体を基質として含有するリパーゼの活性
測定用試薬が提案されている(特公平6−76431号
公報参照)。しかしながら、特公平6−76431号公
報に開示されているようなマルトシドのエステル体は、
溶解性には優れるものの、リパーゼがほとんど作用しな
いという問題点がある。グルコシドのエステル体にはリ
パーゼが作用するものの、溶解性が不充分なため、リパ
ーゼ活性測定に充分な量の基質を添加することができ
ず、充分な分析感度を示さないという問題点がある。
【0008】本発明は、上記した従来の基質の有する問
題点を解消しようとするもので、その目的とするところ
は、溶解性に優れ、かつ基質として有用な糖誘導体を提
供すること、簡便な操作でレートアッセイ法による測定
が可能なリパーゼ活性測定用の試薬を提供すること、お
よび簡便なリパーゼ活性測定方法を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記に示し
た従来方法の問題点を克服するために鋭意研究を行った
結果、本発明を完成した。即ち本発明は、以下に示すも
のに関する。 (1)一般式(I)
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R1 は炭素数12以上30以下の
ヒドロキシ脂肪酸エステル残基を示し、R2 は置換フェ
ノキシ基を示し、波線はαまたはβ結合を示す)で表さ
れる糖誘導体。 (2)フェニルグリコシド誘導体のグルコース部分の6
位の水酸基のみをエステル化させることからなる上記
(1)に記載の糖誘導体の製造法。 (3)上記(1)に記載した糖誘導体を基質として含有
するリパーゼ活性測定用試薬。 (4)上記(3)に記載したリパーゼ活性測定用試薬を
用いるリパーゼ活性測定方法。
【0012】本発明の一般式(I)で表される糖誘導体
は、グルコシドエステル誘導体、即ちグルコースの6位
のヒドロキシル基が修飾されたαまたはβフェニルグル
コシドである。該誘導体(I)の糖部分は、グルコース
である。糖誘導体(I)のR1 は、炭素数12以上30
以下のヒドロキシ脂肪酸エステル残基であり、好ましく
は、1〜2個のヒドロキシル基が置換した炭素数12〜
18の飽和または不飽和脂肪酸エステル残基である。具
体的には、12−ヒドロキシステアロイル、9,10−
ジヒドロキシステアロイル、リシノレオイル(リシノレ
イルともいう)、16−ヒドロキシパルミトイル、2−
ヒドロキシパルミトイル、3−ヒドロキシミリストイ
ル、2−ヒドロキシミリストイル、12−ヒドロキシド
デカノイル、3−ヒドロキシドデカノイル、2−ヒドロ
キシドデカノイルなどが挙げられる。
【0013】糖誘導体(I)のR2 は、置換されたフェ
ノキシ基であり、遊離してフェノール性化合物となった
時、それ自体で高感度に発色するか、それ自体で発色し
ないものは呈色試薬などを添加した時に高感度に発色
し、かつ基質分子全体の溶解能を落とさないものが好ま
しい。グルコース部分と置換フェノキシ基との結合は、
グルコース部分の1位にα型で結合していてもβ型で結
合していてもよい。R2 の具体例として以下の基が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0014】ソジオ−3,3′−ジクロロフェノールス
ルホンフタレイニルオキシ
【0015】
【化3】
【0016】ソジオ−4−(4′−ニトロ−2′−スル
ホフェニルアゾ)−1−ナフチルオキシ
【0017】
【化4】
【0018】フェノールインド−3′−クロロフェニル
オキシ
【0019】
【化5】
【0020】レゾルフィニルオキシ
【0021】
【化6】
【0022】レザズリニルオキシ
【0023】
【化7】
【0024】2−フルオロ−4−(2′−ニトロビニ
ル)フェニルオキシ
【0025】
【化8】
【0026】3−フルオロ−4−ニトロフェニルオキシ
【0027】
【化9】
【0028】2−フルオロ−4−ニトロフェニルオキシ
【0029】
【化10】
【0030】4−ニトロフェニルオキシ
【0031】
【化11】
【0032】3,4−ジニトロフェニルオキシ
【0033】
【化12】
【0034】4−アミノフェニルオキシ
【0035】
【化13】
【0036】2−アミノフェニルオキシ
【0037】
【化14】
【0038】4−アセチルアミノフェニルオキシ
【0039】
【化15】
【0040】2−アセチルアミノフェニルオキシ
【0041】
【化16】
【0042】4−カルボキシフェニルオキシ
【0043】
【化17】
【0044】2−クロロ−4−ニトロフェニルオキシ
【0045】
【化18】
【0046】本発明の新規な誘導体(I)の具体例とし
ては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0047】ソジオ−3,3′−ジクロロフェノールス
ルホンフタレイニル 6−O−12′−ヒドロキシステ
アロイル−β−D−グルコピラノシド
【0048】
【化19】
【0049】2−フルオロ−4−(2′−ニトロビニ
ル)フェニル 6−O−9′,10′−ジヒドロキシス
テアロイル−β−D−グルコピラノシド
【0050】
【化20】
【0051】4−カルボキシフェニル 6−O−リシノ
レオイル−α−D−グルコピラノシド
【0052】
【化21】
【0053】2−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−12′−ヒドロキシステアロイル−β−D−グルコ
ピラノシド
【0054】
【化22】
【0055】3,4−ジニトロフェニル 6−O−1
6′−ヒドロキシパルミトイル−β−D−グルコピラノ
シド
【0056】
【化23】
【0057】4−ニトロフェニル 6−O−リシノレオ
イル−α−D−グルコピラノシド
【0058】
【化24】
【0059】2−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−リシノレオイル−β−D−グルコピラノシド
【0060】
【化25】
【0061】2−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−リシノレオイル−α−D−グルコピラノシド
【0062】
【化26】
【0063】2−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−16’−ヒドロキシパルミトイル−α−D−グルコ
ピラノシド
【0064】
【化27】
【0065】3,4−ジニトロフェニル 6−O−
9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−β−D−グ
ルコピラノシド
【0066】
【化28】
【0067】3,4−ジニトロフェニル 6−O−リシ
ノレオイル−β−D−グルコピラノシド
【0068】
【化29】
【0069】2−フルオロ−4−(2’−ニトロビニ
ル)フェニル 6−O−リシノレオイル−β−D−グル
コピラノシド
【0070】
【化30】
【0071】4−カルボキシフェニル 6−O−9’,
10’−ジヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピ
ラノシド
【0072】
【化31】
【0073】4−カルボキシフェニル 6−O−16’
−ヒドロキシパルミトイル−β−D−グルコピラノシド
【0074】
【化32】
【0075】2−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−β−D
−グルコピラノシド
【0076】
【化33】
【0077】2−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−α−D
−グルコピラノシド
【0078】
【化34】
【0079】3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−β−D
−グルコピラノシド
【0080】
【化35】
【0081】3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−α−D
−グルコピラノシド
【0082】
【化36】
【0083】3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−リシノレオイル−β−D−グルコピラノシド
【0084】
【化37】
【0085】3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−リシノレオイル−α−D−グルコピラノシド
【0086】
【化38】
【0087】3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−16’−ヒドロキシパルミトイル−α−D−グルコ
ピラノシド
【0088】
【化39】
【0089】4−アミノフェニル 6−O−9’,1
0’−ジヒドロキシステアロイル−α−D−グルコピラ
ノシド
【0090】
【化40】
【0091】2−アミノフェニル 6−O−9’,1
0’−ジヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピラ
ノシド
【0092】
【化41】
【0093】4−アミノフェニル 6−O−リシノレオ
イル−α−D−グルコピラノシド
【0094】
【化42】
【0095】2−アミノフェニル 6−O−リシノレオ
イル−β−D−グルコピラノシド
【0096】
【化43】
【0097】4−アミノフェニル 6−O−12’−ヒ
ドロキシステアロイル−α−D−グルコピラノシド
【0098】
【化44】
【0099】2−アミノフェニル 6−O−12’−ヒ
ドロキシステアロイル−β−D−グルコピラノシド
【0100】
【化45】
【0101】ソジオ−3,3’−ジクロロフェノールス
ルホンフタレイニル 6−O−16’−ヒドロキシパル
ミトイル−β−D−グルコピラノシド
【0102】
【化46】
【0103】2−フルオロ−4−(2’−ニトロビニ
ル)フェニル 6−O−16’−ヒドロキシパルミトイ
ル−β−D−グルコピラノシド
【0104】
【化47】
【0105】4−ニトロフェニル 6−O−9’,1
0’−ジヒドロキシステアロイル−α−D−グルコピラ
ノシド
【0106】
【化48】
【0107】レゾルフェニル 6−O−9’,10’−
ジヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピラノシド
【0108】
【化49】
【0109】レゾルフェニル 6−O−リシノレオイル
−β−D−グルコピラノシド
【0110】
【化50】
【0111】レザズリニル 6−O−9’,10’−ジ
ヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピラノシド
【0112】
【化51】
【0113】レザズリニル 6−O−リシノレオイル−
β−D−グルコピラノシド
【0114】
【化52】
【0115】3,4−ジニトロフェニル 6−O−1
2’−ヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピラノ
シド
【0116】
【化53】
【0117】ソジオ−4−(4’−ニトロ−2’−スル
ホフェニルアゾ−1−ナフチル 6−O−12’−ヒド
ロキシステアロイル−β−D−グルコピラノシド
【0118】
【化54】
【0119】フェノールインド−3’−クロロフェニル
6−O−9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−
β−D−グルコピラノシド
【0120】
【化55】
【0121】4−アセチルアミノフェニル 6−O−1
2’−ヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピラノ
シド
【0122】
【化56】
【0123】2−アセチルアミノフェニル 6−O−1
2’−ヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピラノ
シド
【0124】
【化57】
【0125】2−クロロ−4−ニトロフェニル 6−O
−9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−α−D−
グルコピラノシド
【0126】
【化58】
【0127】2−クロロ−4−ニトロフェニル 6−O
−16′−ヒドロキシパルミトイル−α−D−グルコピ
ラノシド
【0128】
【化59】
【0129】4−ニトロフェニル 6−O−16′−ヒ
ドロキシパルミトイル−β−D−グルコピラノシド
【0130】
【化60】
【0131】3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−
O−12′−ヒドロキシステアロイル−α−D−グルコ
ピラノシド
【0132】
【化61】
【0133】4−ニトロフェニル 6−O−12′−ヒ
ドロキシステアロイル−α−D−グルコピラノシド
【0134】
【化62】
【0135】フェノールインド−3’−クロロフェニル
6−O−9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−
α−D−グルコピラノシド
【0136】
【化63】
【0137】本発明の糖誘導体(I)は、例えば、グル
コースをパーアセチル化したパーアセチルグルコピラノ
ースに、αあるいはβ型に、フェノール類(アグリコ
ン)を既知の方法でO−グリコシド結合させフェニルグ
リコシド誘導体を得、さらに該誘導体のグルコース部分
の6位水酸基のみを、脂肪酸の反応性誘導体を用いる既
知の方法でエステル化させることにより製造される。こ
こで、フェノール類(アグリコン)をα結合によりグル
コースと結合させる方法は、ペンタアセチルグルコース
を用いる方法により実施することができる(T.D.A
udichyaらにより著された文献、Indian
J.Chem.、第9巻、第315〜317頁(197
1)参照)。フェノール類とペンタアセチルグルコース
とを反応させ、その後精製することによりα体をとりだ
し、それを、氷冷下メタノール中で硫酸などを用いて脱
アセチル化して、一般式(II)
【0138】
【化64】
【0139】(式中、R2 は前記と同義)で表されるα
−グルコシドを得ることができる。
【0140】フェノール類(アグリコン)をβ結合によ
りグルコース部分と結合させる方法は、テトラアセチル
グルコシルハライドを用いる方法により実施することが
できる(S.Tokutakeらにより著された文献、
Chem.Pharma.Bull.、第38巻、第1
3〜18頁(1990)参照)。フェノール類のアルカ
リ金属塩とテトラアセチルグリコシルハライドとを反応
させた糖誘導体を、常温下メタノール中でナトリウムメ
チラートなどを用いて脱アセチル化し、一般式(II
I)
【0141】
【化65】
【0142】(式中、R2 は前記と同義)で表されるβ
−グルコシドを得ることができる。
【0143】グルコース部分の6位の水酸基に、ヒドロ
キシ脂肪酸エステル残基を選択的に導入するには、グル
コシド体に飽和脂肪酸の活性エステル体を作用させる方
法に準じて(S.Rivaら、J.Am.Chem.S
oc.、第110巻、第584〜589頁(1988)
参照)、ピリジン、トリエチルアミンなどの有機溶媒
中、α−グルコシド(II)あるいはβ−グルコシド
(III)にヒドロキシ脂肪酸の活性エステル体を作用
させ、本発明の糖誘導体(I)を合成することができ
る。
【0144】本発明のリパーゼ測定用試薬は、基質とし
て一般式(I)で表される糖誘導体を含む。試薬中の糖
誘導体(I)の濃度は特に限定されないが、通常0.0
1〜3重量%含まれている。本発明の試薬は、糖誘導体
(I)を、α−グルコシダーゼまたはβ−グルコシダー
ゼの共存下で、リパーゼ含有試料に作用させ、遊離する
フェノール系化合物を、分光光度計などで直接定量する
方法や、グルコシダーゼにより遊離してくるp−アミノ
フェノールまたはカルボキシフェノールに4−アミノア
ンチピリンと、過酸化水素およびパーオキシダーゼを添
加し、生成したキノン色素を連続的に発色させたり、ま
た、グルコシダーゼにより遊離してくるp−アミノフェ
ノールまたはカルボキシフェノールにアニリン誘導体お
よび、ラッカーゼまたはフェノールオキシダーゼ等を添
加し、生成したキノン色素を連続的に発色させたりして
分光光度計などで定量することによって、リパーゼ活性
を測定するものである。したがって、本発明の試薬に
は、基質である糖誘導体(I)に加えて、通常、α−グ
ルコシダーゼまたはβ−グルコシダーゼ(共役酵素
系)、および必要に応じてその他の添加剤が含有されて
いる。
【0145】当該測定に用いられるα−グルコシダーゼ
およびβ−グルコシダーゼの起源は特に限定されない。
例えば、酵母起源のα−グルコシダーゼ、アーモンドか
ら得られるβ−グルコシダーゼが好適に利用されうる。
なお、アグリコンがα型に結合した基質を用いる場合に
は、共役酵素系としてはα−グルコシダーゼが使用さ
れ、β型に結合した基質を用いる場合には、β−グルコ
シダーゼが使用される。
【0146】本発明の試薬には、カルシウム塩、ナトリ
ウム塩、マグネシウム塩、コール酸塩、コリパーゼなど
のリパーゼおよび共役酵素の活性化剤および安定化剤を
配合することが好ましい。他の添加剤として、緩衝剤、
界面活性剤、防腐剤などが挙げられる。
【0147】本発明の試薬を使用するリパーゼ活性測定
における基質分解の反応式を例を挙げて説明する。
〔 〕内は省略名である。
【0148】(1) ソジオ−3,3′−ジクロロフェ
ノールスルホンフタレイニル 6−O−12′−ヒドロ
キシステアロイル−β−D−グルコピラノシド〔6−1
2′−ヒドロキシステアロイル ソジオ−3,3′−ジ
クロロフェノールスルホンフタレイニル−β−グルコシ
ド〕
【0149】
【化66】
【0150】を基質とする場合:
【0151】6−12′−ヒドロキシステアロイル
ソジオ−3,3′−ジクロロフェノールスルホンフタレ
イニル−β−グルコシドにリパーゼを作用させることに
より、ソジオ−3,3′−ジクロロフェノールスルホン
フタレイニル−β−グルコシド
【0152】
【化67】
【0153】と12−ヒドロキシステアリン酸に分解さ
れる。
【0154】ソジオ−3,3′−ジクロロフェノール
スルホンフタレイニル−β−グルコシドにβグルコシダ
ーゼを作用させることにより、3,3′−ジクロロフェ
ノールスルホンフタレイン
【0155】
【化68】
【0156】とグルコースに分解される。
【0157】(2) 3,4−ジニトロフェニル 6−
O−16′−ヒドロキシパルミトイル−β−D−グルコ
ピラノシド〔6−16′−ヒドロキシパルミトイル
3,4−ジニトロフェニル−β−グルコシド〕
【0158】
【化69】
【0159】を基質とする場合: 6−16′−ヒドロキシパルミトイル 3,4−ジニ
トロフェニル−β−グルコシドにリパーゼを作用させる
ことにより、3,4−ジニトロフェニル−β−グルコシ
【0160】
【化70】
【0161】と16−ヒドロキシパルミチン酸に分解さ
れる。
【0162】3,4−ジニトロフェニル−β−グルコ
シドにβグルコシダーゼを作用させることにより、3,
4−ジニトロフェノールとグルコースに分解される。
【0163】(3) 4−ニトロフェニル 6−O−リ
シノレオイル−α−D−グルコピラノシド〔6−リシノ
レオイル 4−ニトロフェニル−α−グルコシド〕
【0164】
【化71】
【0165】を基質とする場合:
【0166】6−リシノレオイル 4−ニトロフェニ
ル−α−グルコシドにリパーゼを作用させることによ
り、4−ニトロフェニル−α−グルコシドとリシノール
酸に分解される。
【0167】4−ニトロフェニル−α−グルコシドに
α−グルコシダーゼを作用させると、4−ニトロフェノ
ールとグルコースに分解される。
【0168】上記反応で遊離したフェノール系化合物を
上記に示した方法によって、リパーゼ活性を測定するこ
とができる。また必要に応じて適当な手段によってフェ
ノール系化合物を連続的に発色させて測定してもよい。
本発明のリパーゼ活性測定試薬は、基質である糖誘導体
(I)と共役酵素とを混合した一液化型の試薬として
も、基質と共役酵素を使用する直前までは各々別に保存
する、いわゆる二液化型の試薬としても利用される。
【0169】
【発明の効果】本発明の糖誘導体(I)は、血液中に共
存するエステラーゼ、コリンエステラーゼの作用を受け
ずリパーゼに対する特異性が高く、さらに溶解性にも優
れている。従って糖誘導体(I)を基質として含有する
本発明のリパーゼ活性測定試薬は、リパーゼの高感度測
定を可能にする。さらに本発明の試薬を使用する測定法
では、レートアッセイ法を適用することができるので、
簡便にリパーゼ活性の測定を行うことができる。
【0170】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0171】実施例1 3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−O−9′,1
0′−ジヒドロキシステアロイル−α−D−グルコピラ
ノシドの合成
【0172】
【化72】
【0173】3−フルオロ−4−ニトロフェニル−α−
D−グルコピラノシドを1g、2−クロロ−4−ニトロ
フェニル 9,10−ジヒドロキシステアレートを1.
49g、および4Aモレキュラーシーブスで脱水を行っ
たピリジン25mlを温度計を付した100ml四つ口
フラスコに投入して均一な溶液とし、55〜60℃で4
8時間撹拌した。反応液を200mlナス型フラスコに
移し、ロータリーエバポレータで減圧下濃縮を行った。
濃縮物を酢酸エチル200mlに溶解し、300ml分
液ロートに移した。酢酸エチル層を、1.2N塩酸水5
0mlで2回分液洗浄し、濃縮残中の残存ピリジンを除
去し、5%炭酸カリ水50mlで2回分液洗浄して、遊
離した3−フルオロ−4−ニトロフェノールおよび2−
クロロ−4−ニトロフェノールを除去し、さらに、酢酸
エチル層を蒸留水50mlで3回洗浄した。また、この
分液操作で未反応の3−フルオロ−4−ニトロフェニル
−α−D−グルコピラノシドも除去された。酢酸エチル
層を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1
0%メタノール−酢酸エチル)により、TLC(薄層ク
ロマトグラフィー)でシングルスポット(Rf 0.2
2)になるまで徹底的に精製すると、3−フルオロ−4
−ニトロフェニル 6−O−9′,10′−ジヒドロキ
システアロイル−α−D−グルコピラノシドの白色結晶
が1.26g得られた。 収率:65% 融点:103〜105℃ 図1に赤外線吸収スペクトル(IRチャート)を示す。
またTLCの条件は、次の通りである。 薄層板:メルク社製、シリカゲル60F254 sを予め塗
布したHPTLC板 検出:展開後、乾燥し、5%硫酸−メタノールを薄層板
に噴霧し、電熱器などにより、スポットを炭化させる。 展開相:酢酸エチル、メタノール、水(体積比率=5
0:1:1)
【0174】実施例2 2−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−O−12′−
ヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピラノシド
【0175】
【化73】
【0176】2−フルオロ−4−ニトロフェニル−β−
D−グルコピラノシドを1g、2−クロロ−4−ニトロ
フェニル 12−ヒドロキシステアレートを1.42
g、および4Aモレキュラーシーブスで脱水を行ったピ
リジン35mlを、温度計を付した100ml四つ口フ
ラスコに投入して均一な溶液とし、55〜60℃で60
時間撹拌した。反応液を200mlナス型フラスコに移
し、ロータリーエバポレータで減圧下濃縮を行った。濃
縮物を酢酸エチル200mlに溶解し、300ml分液
ロートに移した。酢酸エチル層を、1.2N塩酸水50
mlで分液洗浄し、濃縮残中の残存ピリジンを除去し、
5%炭酸カリ水50mlで分液洗浄して、遊離した2−
フルオロ−4−ニトロフェノールおよび2−クロロ−4
−ニトロフェノールを除去し、さらに、酢酸エチル層を
蒸留水50mlで2回洗浄した。また、この分液操作で
未反応の2−フルオロ−4−ニトロフェニル−β−D−
グルコピラノシドも除去された。酢酸エチル層を濃縮
後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノ
ール−酢酸エチル)により、TLC(薄層クロマトグラ
フィー)でシングルスポット(Rf 0.34)になる
まで徹底的に精製すると、2−フルオロ−4−ニトロフ
ェニル 6−O−12′−ヒドロキシステアロイル−β
−D−グルコピラノシドの白色結晶が1.36g得られ
た。 収率:72% 融点:95〜98℃ 図2に赤外線吸収スペクトル(IRチャート)を示す。
またTLCの条件は、次の通りである。 薄層板:メルク社製、シリカゲル60F254 sを予め塗
布したHPTLC板 検出:展開後、乾燥し、5%硫酸−メタノールを薄層板
に噴霧し、電熱器などにより炭化させる。 展開相:酢酸エチル、メタノール、水(体積比率=10
0:1:1)
【0177】実施例3 4−ニトロフェニル 6−O−9′,10′−ジヒドロ
キシステアロイル−α−D−グルコピラノシド
【0178】
【化74】
【0179】ピリジン中、4−ニトロフェニル−α−D
−グルコピラノシドに2−クロロ−4−ニトロフェニル
9,10−ジヒドロキシステアレートを作用させ、実
施例1と同様の方法で合成した。 融点:116〜120℃ 図3に赤外線吸収スペクトル(IRチャート)を示す。
【0180】実施例4 3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−O−9′,1
0′−ジヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピラ
ノシド
【0181】
【化75】
【0182】ピリジン中、3−フルオロ−4−ニトロフ
ェニル−β−D−グルコピラノシドに2−クロロ−4−
ニトロフェニル 9,10−ジヒドロキシステアレート
を作用させ、実施例1と同様の方法で合成した。 融点:94〜95℃ 図4に赤外線吸収スペクトル(IRチャート)を示す。
【0183】実施例5 2−クロロ−4−ニトロフェニル 6−O−16′−ヒ
ドロキシパルミトイル−α−D−グルコピラノシド
【0184】
【化76】
【0185】ピリジン中、2−クロロ−4−ニトロフェ
ニル−α−D−グルコピラノシドに2−クロロ−4−ニ
トロフェニル 16−ヒドロキシパルミテートを作用さ
せ、実施例2と同様の方法で合成した。 融点:99〜101℃ 図5に赤外線吸収スペクトル(IRチャート)を示す。
【0186】実施例6 4−ニトロフェニル 6−O−16′−ヒドロキシパル
ミトイル−β−D−グルコピラノシド
【0187】
【化77】
【0188】ピリジン中、4−ニトロフェニル−β−D
−グルコピラノシドに2−クロロ−4−ニトロフェニル
16−ヒドロキシパルミテートを作用させ、実施例2
と同様の方法で合成した。 融点:83〜86℃ 図6に赤外線吸収スペクトル(IRチャート)を示す。
【0189】実施例7 3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−O−12′−
ヒドロキシステアロイル−α−D−グルコピラノシド
【0190】
【化78】
【0191】ピリジン中、3−フルオロ−4−ニトロフ
ェニル−α−D−グルコピラノシドに2−クロロ−4−
ニトロフェニル 12−ヒドロキシステアレートを作用
させ、実施例2と同様の方法で合成した。 融点:91〜93℃ 図7に赤外線吸収スペクトル(IRチャート)を示す。
【0192】実施例8 4−ニトロフェニル 6−O−12′−ヒドロキシステ
アロイル−α−D−グルコピラノシド
【0193】
【化79】
【0194】ピリジン中、4−ニトロフェニル−α−D
−グルコピラノシドに2−クロロ−4−ニトロフェニル
12−ヒドロキシステアレートを作用させ、実施例2
と同様の方法で合成した。 融点:108〜109℃ 図8に赤外線吸収スペクトル(IRチャート)を示す。
【0195】実施例9 4−ニトロフェニル 6−O−リシノレオイル−α−D
−グルコピラノシド
【0196】
【化80】
【0197】ピリジン中、4−ニトロフェニル−α−D
−グルコピラノシドに2−クロロ−4−ニトロフェニル
リシノレエートを作用させ、実施例2と同様の方法で
合成した。 融点:高粘性オイル状 図9に赤外線吸収スペクトル(IRチャート)を示す。
【0198】実施例10 フェノールインド−3’−クロロフェニル 6−O−
9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−α−D−グ
ルコピラノシド
【0199】
【化81】
【0200】実施例1に準じて、ピリジン中、フェノー
ルインド−3’−クロロフェニル−α−D−グルコピラ
ノシドに2−クロロ−4−ニトロフェニル 9,10−
ジヒドロキシステアレートを作用させることにより合成
できる。
【0201】実施例11 3,4−ジニトロフェニル 6−O−9’,10’−ジ
ヒドロキシステアロイル−β−D−グルコピラノシド
【0202】
【化82】
【0203】実施例1に準じて、ピリジン中、3,4−
ジニトロフェニル−β−D−グルコピラノシドに2−ク
ロロ−4−ニトロフェニル 9,10−ジヒドロキシス
テアレートを作用させることにより合成できる。
【0204】実施例12 ソジオ−3,3′−ジクロロフェノールスルホンフタレ
イニル 6−O−12′−ヒドロキシステアロイル−β
−D−グルコピラノシド
【0205】
【化83】
【0206】実施例2に準じて、ピリジン中、ソジオ−
3,3′−ジクロロフェノールスルホンフタレイニル−
β−D−グルコピラノシドに2−クロロ−4−ニトロフ
ェニル 12−ヒドロキシステアレートを作用させるこ
とにより合成できる。
【0207】実施例13 2−フルオロ−4−(2’−ニトロビニル)フェニル
6−O−リシノレオイル−β−D−グルコピラノシド
【0208】
【化84】
【0209】実施例2に準じて、ピリジン中、2−フル
オロ−4−(2’−ニトロビニル)フェニル−β−D−
グルコピラノシドに2−クロロ−4−ニトロフェニル
リシノレエートを作用させることにより合成できる。
【0210】実施例14 レザズリニル 6−O−9’,10’−ジヒドロキシス
テアロイル−β−D−グルコピラノシド
【0211】
【化85】
【0212】実施例1に準じて、ピリジン中、レザズリ
ニル−β−D−グルコピラノシドに2−クロロ−4−ニ
トロフェニル 9,10−ジヒドロキシステアレートを
作用させることにより合成できる。
【0213】実施例15 ソジオ−4−(4’−ニトロ−2’−スルホフェニルア
ゾ)−1−ナフチル 6−O−12’−ヒドロキシステ
アロイル−β−D−グルコピラノシド
【0214】
【化86】
【0215】実施例2に準じて、ピリジン中、ソジオ−
4−(4’−ニトロ−2’−スルホフェニルアゾ)−1
−ナフチル−β−D−グルコピラノシドに2−クロロ−
4−ニトロフェニル 12−ヒドロキシステアレートを
作用させることにより合成できる。
【0216】実施例16 下記組成の試薬を調製し、リパーゼ活性を測定した。 ・トリスバッファー(pH8.0) 50mM ・ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2% ・デオキシコール酸ナトリウム 2mM ・α−グルコシダーゼ 160U/ml ・塩化カルシウム 1mM ・塩化ナトリウム 40mM ・塩化マグネシウム 2mM ・3−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−O− 3mM 9’,10’−ジヒドロキシステアロイル−α −グルコシド 上記試薬液3.0mlを37℃に予備加温する。(1)
試薬液に膵リパーゼ試薬(フナコシ製)100μlを加
えて混合するものと、(2)試薬液に血清試薬(ファル
マシア製)100μlを加えて混合するもの、それぞれ
について37℃で400nmにおける吸光度変化を連続
的に測定し、1分間あたりの吸光度変化量(リパーゼ活
性の指標となる)を求めた。ブランクとして、試料の代
わりに水を100μlを用いた。結果を以下に示す。 ブランク変化 0.002 膵リパーゼ 0.042 血清 0.027 また上記組成試薬液3.0mlを37℃に予備加温し、
(1)試薬液にカルボキシエステラーゼ(ベーリンガー
・マンハイム社)試料100μlを加えて混合するもの
と、(2)試薬液にコリンエステラーゼ(コスモ・バイ
オ社)試料100μlを加えて混合するもの、それぞれ
について37℃で400nmにおける吸光度変化を連続
的に測定し、1分間あたりの吸光度変化量を求めた。ブ
ランクとして、試料の代わりに水100μlを用いた。
以下に示すようにエステラーゼもコリンエステラーゼも
ほとんど作用しなかった。 ブランク変化 0.002 カルボキシエステラーゼ 0.003 コリンエステラーゼ 0.004
【0217】実施例17 下記組成の試薬を調製し、リパーゼ活性を測定した。 ・トリスバッファー(pH8.0) 50mM ・ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2% ・デオキシコール酸ナトリウム 2mM ・β−グルコシダーゼ 150U/ml ・塩化カルシウム 1mM ・塩化ナトリウム 40mM ・塩化マグネシウム 2mM ・2−フルオロ−4−ニトロフェニル 6−O− 2mM 12’−ヒドロキシステアロイル−β−グルコシド 上記試薬を用いて実施例16と同様の操作を行った。結
果を以下に示す。 ブランク変化 0.002 膵リパーゼ 0.030 血清 0.019
【0218】比較例1 特公平6−76431号公報記載の方法により、2−ク
ロロ−4−ニトロフェニル 6−O−ステアロイル−β
−グルコシドを合成した。以下にその方法を簡単に示
す。2−クロロ−4−ニトロフェニル−β−グルコシド
1g、ステアリン酸ビニル2.77gおよびリパーゼB
〔シュードモナス フラジ(Pseudomonasfragi)22−
39B由来〕90mgをアセトン130mlに懸濁さ
せ、24〜26℃で攪拌下48時間反応を行った。酵素
を濾過により除き、反応液を濃縮し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製すると、
2−クロロ−4−ニトロフェニル 6−O−ステアロイ
ル−β−グルコシドの白色結晶が1.13g得られた。
収率63%。融点74〜76℃。実施例16および実施
例17に用いた試薬液への溶解性を調べたが、該化合物
は1mM程度しか溶解しなかった。 ・トリスバッファー(pH8.0) 50mM ・ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2% ・デオキシコール酸ナトリウム 2mM ・塩化カルシウム 1mM ・塩化ナトリウム 40mM ・塩化マグネシウム 2mM ・β−グルコシダーゼ 120U/ml ・2−クロロ−4−ニトロフェニル 6−O− 1mM ステアロイル−β−グルコシド 上記試薬を用い実施例16と同様の操作を行った。結果
を以下に示す。 ブランク変化 0.002 膵リパーゼ 0.014 血清 0.009
【0219】比較例2 特公平6−76431号公報記載の方法により、2−ク
ロロ−4−ニトロフェニル 6−O−ステアロイル−β
−マルトシドを合成した。以下にその方法を簡単に示
す。2−クロロ−4−ニトロフェニル−β−マルトシド
1g、ステアリン酸ビニル1.87gおよびリパーゼB
〔シュードモナス フラジ(Pseudomonasfragi)22−
39B由来〕60mgをアセトン100mlに懸濁さ
せ、24〜26℃で攪拌下48時間反応を行った。酵素
を濾過により除き、反応液を濃縮し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(10%メタノール−酢酸エチル)
により精製すると2−クロロ−4−ニトロフェニル 6
−O−ステアロイル−β−マルトシドの白色結晶が0.
72g得られた。収率47%。融点106〜107℃。
【0220】 ・トリスバッファー(pH8.0) 50mM ・ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2% ・デオキシコール酸ナトリウム 2mM ・塩化カルシウム 1mM ・塩化ナトリウム 40mM ・塩化マグネシウム 2mM ・α−グルコシダーゼ 160U/ml ・グルコアミラーゼ 15U/ml ・β−グルコシダーゼ 180U/ml ・2−クロロ−4−ニトロフェニル 6−O− 3mM ステアロイル−β−マルトシド 上記試薬を用いて、実施例16と同様の操作を行った。
以下に示すようにリパーゼはほとんど作用しなかった。 ブランク変化 0.001 膵リパーゼ 0.003 血清 0.002
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成した3−フルオロ−4−ニトロ
フェニル 6−O−9′,10′−ジヒドロキシステア
ロイル−α−D−グルコピラノシドの赤外線吸収スペク
トル(IRチャート)である。
【図2】実施例2で合成した2−フルオロ−4−ニトロ
フェニル 6−O−12′−ヒドロキシステアロイル−
β−D−グルコピラノシドの赤外線吸収スペクトル(I
Rチャート)である。
【図3】実施例3で合成した4−ニトロフェニル 6−
O−9′,10′−ジヒドロキシステアロイル−α−D
−グルコピラノシドの赤外線吸収スペクトル(IRチャ
ート)である。
【図4】実施例4で合成した3−フルオロ−4−ニトロ
フェニル 6−O−9′,10′−ジヒドロキシステア
ロイル−β−D−グルコピラノシドの赤外線吸収スペク
トル(IRチャート)である。
【図5】実施例5で合成した2−クロロ−4−ニトロフ
ェニル 6−O−16′−ヒドロキシパルミトイル−α
−D−グルコピラノシドの赤外線吸収スペクトル(IR
チャート)である。
【図6】実施例6で合成した4−ニトロフェニル 6−
O−16′−ヒドロキシパルミトイル−β−D−グルコ
ピラノシドの赤外線吸収スペクトル(IRチャート)で
ある。
【図7】実施例7で合成した3−フルオロ−4−ニトロ
フェニル 6−O−12′−ヒドロキシステアロイル−
α−D−グルコピラノシドの赤外線吸収スペクトル(I
Rチャート)である。
【図8】実施例8で合成した4−ニトロフェニル 6−
O−12′−ヒドロキシステアロイル−α−D−グルコ
ピラノシドの赤外線吸収スペクトル(IRチャート)で
ある。
【図9】実施例9で合成した4−ニトロフェニル 6−
O−リシノレオイル−α−D−グルコピラノシドの赤外
線吸収スペクトル(IRチャート)である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1 は炭素数12以上30以下のヒドロキシ脂
    肪酸エステル残基を示し、R2 は置換フェノキシ基を示
    し、波線はαまたはβ結合を示す)で表される糖誘導
    体。
  2. 【請求項2】 フェニルグリコシド誘導体のグルコース
    部分の6位の水酸基のみをエステル化させることからな
    る請求項1に記載の糖誘導体の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の糖誘導体を基質として
    含有するリパーゼ活性測定用試薬。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のリパーゼ活性測定用試
    薬を用いるリパーゼ活性測定方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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