JPH107587A - 肝細胞増殖因子含有乳化製剤及びその製造方法 - Google Patents

肝細胞増殖因子含有乳化製剤及びその製造方法

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JPH107587A
JPH107587A JP8163063A JP16306396A JPH107587A JP H107587 A JPH107587 A JP H107587A JP 8163063 A JP8163063 A JP 8163063A JP 16306396 A JP16306396 A JP 16306396A JP H107587 A JPH107587 A JP H107587A
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hepatocyte growth
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emulsified preparation
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Hirohito Tsubouchi
博仁 坪内
Hideshi Azuma
秀史 東
Tadao Nakajima
忠夫 中島
Masataka Shimizu
正高 清水
Masanori Sato
眞紀 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エマルション技術を応用して、肝細胞増殖因
子の血中半減期を遅延させ、肝組織に対して選択的に肝
細胞増殖因子を輸送することができる肝細胞増殖因子含
有製剤を提供すること。 【解決手段】 内水相、油相、及び外水相で構成される
W/O/W型(水中油中水型)エマルションの内水相に
天然型又は遺伝子組換え型の肝細胞増殖因子を含有する
乳化製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は肝実質細胞に対する
増殖活性を有する肝細胞増殖因子を含有する乳化製剤及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Fa
ctor:HGF)は、肝臓の特異的機能をつかさどる肝実質細
胞(一般に「肝細胞」と称される場合がある)に対して
わずか数 ng/mlの濃度で強力な細胞増殖促進作用を示す
因子であり、ヒト劇症肝炎患者の血漿から蛋白質因子と
して見いだされた物質である(特開昭63-22526号公
報)。その後、この蛋白質因子をコードする遺伝子(cD
NA)が単離され(特開平 3-72883号公報)、ヒト肝細胞
増殖因子遺伝子の塩基配列および該因子を構成するアミ
ノ酸配列が決定された。現在では、遺伝子組換え技術に
より、動物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、及び大腸菌など
の微生物等を利用して、肝細胞増殖因子を大量に取得す
ることが可能となっている。
【0003】肝細胞増殖因子は、肝細胞の増殖活性のみ
ならず、多様な活性を有していることが知られている。
例えば、この因子は、血清アルブミンなど肝臓で選択的
に産生される蛋白質の合成などの肝臓に特有な生化学的
機能を更進する作用を有している。また、肝再生時に
は、肝細胞増殖因子が血管内皮細胞及び胆管上皮細胞の
増殖を促進して、その組織を構成する血管や胆管を再構
成させる。さらに、肝細胞増殖因子は、各種上皮細胞や
内皮細胞、メラノサイト、ケラチノサイト、及び骨髄由
来白血球細胞に対する増殖活性;上皮系細胞の運動性を
促進するモートゲンとしての活性;腎上皮細胞、胆管上
皮細胞、及び血管内皮細胞等の管腔形成を誘導するモル
フォゲンとしての活性;並びに、ある種の癌細胞に対す
る傷害活性(Tumor cytotoxicity)を有することも知られ
ている。
【0004】これらの事実は、肝細胞増殖因子が生体内
で様々な生物活性を示すサイトカインとしての作用を有
することを示している。また、生体内に肝細胞増殖因子
を投与してその薬理効果を解析した結果、肝細胞増殖因
子は肝切除後における肝再生の促進効果を示し、急性肝
炎及び肝線維化症に対して肝機能の亢進効果を発揮する
ことが明らかにされた (Endocrinology, 131, pp.2540-
2544, 1992; 及び J.Biol. Chem., 268, pp.21212-2121
7, 1993) 。さらには、肝細胞増殖因子の育毛促進効果
等も報告されている。
【0005】もっとも、生体内における肝細胞増殖因子
の代謝速度は極めて速く、その血中安定性は必ずしも満
足すべきものではない (Ke-Xin Liu et al., Am. J. Ph
ysiol., 263, pp.G642-G649, 1992)。肝細胞増殖因子の
血中半減期を満足すべき程度にまで遅延させることがで
きる物質や製剤形態、又は投与方法などは従来ほとんど
開発されておらず、通常の製剤を用いて肝細胞増殖因子
の生理的効果を生体内で充分に発揮させるためには、肝
細胞増殖因子を短期間に複数回投与したり長時間の点滴
投与を行うなど、肝細胞増殖因子の血中濃度を持続させ
るために特別な投与方法を採用する必要があることが示
唆されている (K. Fujiwara, et al, Hepatology, 18,
pp.1443-1449, 1993) 。
【0006】このような理由から、患者に対する負担が
大きいこれらの投与方法を回避するために、単回投与に
よっても十分な効果を発揮できる製剤の開発が求められ
ていた。また、肝細胞増殖因子の分解を防ぎ、かつ肝組
織に対して選択的に肝細胞増殖因子を輸送することがで
きれば、肝再生の促進や肝機能の亢進などの生理作用を
少量の肝細胞増殖因子で十分に発現させることができる
と期待される。しかしながら、従来、肝細胞増殖因子の
分解を防ぎ、かつ肝臓に対して肝細胞増殖因子を選択的
に輸送できる製剤は知られていない。
【0007】一方、エマルションは、種々の薬物の搬送
手段として優れたキャリアーになり得るため、ドラッグ
・デリバリー・システム(DDS) に応用されている。エマ
ルションの製造には、高速攪拌式ホモジナイザーや高圧
乳化機または超音波乳化機等を用いた機械物理的方法、
界面活性剤との相平衡を利用する転相法 (J. Phys. Che
m., 88, p.5126, 1968) 、ノズルを用いる層流滴化法
(AIChE J., 14, p.9, 1968)、孔径の均一な多孔を分散
素子とする単分散乳化法である膜乳化法(化学工学会第
21会秋季大会研究発表講演要旨集, p.86, 1988; 化学工
学論文集, 19, p.984, 1993)、多孔質ガラス膜を使用し
た膜乳化法(食品工業, 37, p.45, 1994); 米国特許第
4657875号明細書)等の方法が使用されている。特に、
多孔質ガラス膜を使用した膜乳化法は、滴径の均一なエ
マルションを容易にかつ安定して得ることができ、食品
エマルションの製造などに応用されている。しかしなが
ら、肝細胞増殖因子に対して、このようなエマルション
の技術を応用することについては、現在まで全く報告が
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、肝細
胞増殖因子の血中半減期を遅延させ、その生理作用を生
体内で長時間発現させることができる肝細胞増殖因子含
有製剤を提供することにある。より具体的には、エマル
ション技術を応用して、上記の特徴を有する肝細胞増殖
因子含有製剤を提供することが本発明の課題である。ま
た、本発明の別の課題は、肝組織に対して選択的に肝細
胞増殖因子を輸送することができる肝細胞増殖因子含有
製剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意努力した結果、内水相、油相、及び外
水相で構成されるW/O/W型(水中油中水型)エマル
ションの内水相に肝細胞増殖因子を封入した製剤を生体
内に投与すると、肝細胞増殖因子の血中半減期を顕著に
延長することができ、肝細胞増殖因子の生理作用を生体
内で長時間にわたって発現させることができることを見
い出した。また、上記の製剤を用いると、肝細胞増殖因
子を肝組織内に選択的に高濃度で移行させることができ
ることを見いだした。本発明は上記の知見を基に完成さ
れたものである。
【0010】すなわち本発明は、内水相、油相、及び外
水相で構成されるW/O/W型エマルションの内水相に
肝細胞増殖因子を含有する乳化製剤を提供するものであ
る。この発明の好ましい態様として、肝細胞増殖因子が
以下の理化学的性質:(1) SDS-PAGE(非還元条件下)に
よる推定分子量が約76,000〜92,000である;(2) 肝実質
細胞を増殖させる活性を有する;(3) 80℃、10分間の加
熱処理により上記活性が失活する;(4) トリプシンによ
る消化処理およびキモトリプシンによる消化処理により
上記活性が失活する;及び(5) ヘパリンに対して強い親
和性を有する;を有する蛋白性因子である乳化製剤が提
供される。
【0011】また、上記発明の好ましい態様として、肝
細胞増殖因子が天然型又は遺伝子組換え型の因子である
上記乳化製剤;肝細胞増殖因子が、天然型若しくは遺伝
子組換え型の肝細胞増殖因子の前駆体蛋白質、又は実質
的に肝実質細胞を増殖させる活性を損なわない範囲内で
天然型若しくは遺伝子組換え型の肝細胞増殖因子のアミ
ノ酸配列に置換、挿入、若しくは欠失が加えられた改変
型肝細胞増殖因子である上記乳化製剤;遺伝子組換え型
の肝細胞増殖因子が、配列表の配列番号1に示されるア
ミノ酸配列で表される肝細胞増殖因子、配列表の配列番
号1に示されるアミノ酸配列のうち30番目のグルタミン
酸から728 番目のセリンまでの配列で表される肝細胞増
殖因子、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列のうち
32番目のグルタミンから728 番目のセリンまでの配列で
表される肝細胞増殖因子である上記乳化製剤;並びに、
油相が脂質及び油溶性乳化剤の混合物である上記乳化製
剤が提供される。
【0012】さらに本発明の別の態様により、以下の工
程:(1) 肝細胞増殖因子の水溶液と油性媒体とから内水
相/油相を構成するW/O型エマルションを調製する工
程;及び(2) 該W/O型エマルションを外水相中で乳化
させる工程;を含む上記の各乳化製剤の製造方法;及び
上記工程(2) の乳化工程を多孔質ガラスを用いた膜乳化
工程により行う上記製造方法が提供され、上記乳化製剤
の製造のための肝細胞増殖因子の使用方法も本発明の一
態様として提供される。これらの加えて、上記の各乳化
製剤を含み、肝組織に対して選択的に肝細胞増殖因子を
輸送することのできる医薬;並びに、上記の各乳化製剤
を含み、肝組織内で持続的に肝細胞増殖因子の生理活性
を発現させることができる医薬が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の乳化製剤に含有される肝
細胞増殖因子としては、肝細胞増殖因子を含有すること
が知られているヒトやラット等の哺乳動物由来の体液や
組織、または自発的に肝細胞増殖因子を産生する細胞か
ら単離・生成された天然型の肝細胞増殖因子を用いるこ
とができる。また、遺伝子組換え法によって細胞内に導
入された該肝細胞増殖因子の cDNA を発現させて得られ
る遺伝子組換え型肝細胞増殖因子を用いてもよい。本発
明の乳化製剤には、ヒト由来の天然型又は遺伝子組換え
型肝細胞増殖因子を用いることが好ましい。
【0014】遺伝子組換え型肝細胞増殖因子を産生させ
る宿主は特に限定されないが、例えば、大腸菌、枯草
菌、酵母、糸状菌、植物細胞、昆虫細胞、又は動物細胞
などを用いることができる。好ましくは、特開平3-2856
93号公報等に記載された方法に従って、ヒト肝細胞増殖
因子をコードする cDNA を含む発現ベクターを哺乳動物
由来の胎盤、肝障害患者肝組織および血液、MRC-5 細
胞、IMR-9 細胞などの繊維芽細胞株、又はCHO 細胞等の
宿主に導入して遺伝子組換え型肝細胞増殖因子を産生さ
せることができる。
【0015】また、肝細胞増殖因子としては、上記の天
然型または遺伝子組換え型肝細胞増殖因子自体のほか、
それらの因子の前駆体蛋白質や、実質的に肝実質細胞を
増殖させる活性を損なわない範囲内において上記の天然
型または遺伝子組換え型肝細胞増殖因子の構成アミノ酸
のうちの一部の構成アミノ酸を他の1又は2以上のアミ
ノ酸で置換したもの、一部の構成アミノ酸を欠失させた
もの、及び/又は上記肝細胞増殖因子を構成するアミノ
酸に1又は2以上のアミノ酸を挿入したものなど(本明
細書においてこれらの修飾方法を置換、欠失、挿入とい
う)、天然型または組換え肝細胞増殖因子に適宜の置
換、欠失、挿入を加えた改変型肝細胞増殖因子を使用し
ても良い。改変型肝細胞増殖因子としては、例えば、特
開平2-288899号公報、国際公開WO90/10651号、特開平3-
130091号公報、同3-255096号公報、同 4-30000号公報、
及び Nature, 342, pp.440-443, 1989等に記載されたも
のを挙げることができる。
【0016】本発明に好適に使用される肝細胞増殖因子
は、以下の理化学的性質を有する蛋白性因子である: 1) SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動;非還元条件下)による推定分子量
が約76,000〜92,000であり; 2) 肝実質細胞を増殖させる活性を有し; 3) 80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活し; 4) トリプシンによる消化処理およびキモトリプシンに
よる消化処理により上記活性が失活し;及び 5) ヘパリンに対して強い親和性を有する。
【0017】特に好ましい肝細胞増殖因子として、特開
平 3-72883号公報および特開平 4-89499号公報に記載さ
れた肝細胞増殖因子、より具体的には、後記配列表の配
列番号1に示されるアミノ酸配列、配列表の配列番号1
に示されるアミノ酸配列のうち30番目のグルタミン酸か
ら728 番目のセリンまでの配列、又は配列番号1に示さ
れるアミノ酸配列のうち32番目のグルタミンから728 番
目のセリンまでの配列により特定される肝細胞増殖因子
を用いることができる。なお、本明細書における「肝細
胞増殖因子」という用語には、肝実質細胞に対して実質
的に細胞増殖促進作用を有する生理活性物質(このよう
な生理活性物質は、一般的に細胞増殖因子, Hepatocyte
Growth Factor: HGF と呼ばれている)はいかなるもの
も包含されることを理解すべきである。実質的に細胞増
殖促進作用を有する生理活性物質が、慣用的に他の称呼
により特定されている場合もあるが(例えば、Epiderma
lGrowth Factor: EGFなど)、そのような生理活性物質
が本明細書における肝細胞増殖因子に含まれることはい
うまでもない。
【0018】本発明の乳化製剤は、上記の肝細胞増殖因
子の水溶液からなる内水相が油相に分散されたW/O型
(油中水型)エマルションをさらに外水相中に分散させ
てなるW/O/W型(水中油中水型)エマルション、す
なわち外水相中に油中水型エマルションが分散された形
態であることを特徴としている。本発明の乳化製剤は、
一般的には、上記の肝細胞増殖因子の水溶液からなる内
水相を実質的に水と混じり合わない油性媒体中に分散さ
せて油中水型の分散液を調製した後、さらにこの分散液
を外水相中に分散させることにより製造することができ
る。分散液の調製は例えば機械的な乳化方法で行うこと
ができ、具体的には、高圧ホモジナイザー、高速攪拌
機、又は超音波乳化機など従来の乳化機を用いる乳化方
法のほか、用手攪拌及び混合法や用手振動法などの方法
により行うことができる。
【0019】本発明の乳化製剤の製造に好適な乳化方法
として、膜乳化法を挙げることができる。膜乳化法は、
均一な孔径の細孔を有する多孔質ガラス膜を分散素子に
用いて粒径が均一な単分散エマルションを製造する方法
であり、製造中にW/O/W型エマルション粒子が破壊
して内水相中の肝細胞増殖因子が外水相中に漏洩する割
合が極めて低く、製造後のエマルションの安定性にも非
常に優れるという特徴がある。この膜乳化法について
は、米国特許第 5326484号明細書や特開平 2-95433号公
報に記載されており、医学分野では、この乳化方法によ
り抗癌剤を含有した単分散 W/O/Wエマルション製剤を製
造して臨床応用した例が知られている (CANCER, 75, p.
1245, 1995) 。本発明の乳化製剤の製造のためには、例
えば、肝細胞増殖因子を含む水溶液を油性媒体中に分散
させた油中水型の分散液を調製し、この分散液を多孔質
ガラス膜を介して外水相に圧入分散させればよく、粒径
の均一なW/O/W型エマルションを容易に製造するこ
とができる。
【0020】本発明の乳化製剤中に含まれる油相中に分
散された水滴の粒径は、一般的には、本発明の乳化製剤
の機能(例えば、肝細胞増殖因子の血中半減期など)に
重大な影響を及ぼすことはないので、特に限定されるこ
とはない。例えば、0.1 〜10μm 程度、好ましくは 0.2
〜5 μm 程度の平均粒径が好適であり、このような平均
粒径を有する油中水型の分散液は通常の機械的乳化方法
により調製可能である。また、外水相中に分散された油
滴(油中水型エマルション)の粒径も特に限定されない
が、例えば、平均粒径で10〜50μm 、好ましくは20〜40
μm 程度の粒径となるように調製するのが好適である。
なお、膜乳化法を用いてW/O/W型エマルションを製
造する場合には、例えば、平均粒径で5 〜15μm 程度、
好ましくは 10 μm 程度の粒径を有する多孔質ガラス膜
を用いることができるが、多孔質ガラスの平均粒径は所
望の油滴粒径に応じて適宜選択可能であることはいうま
でもない。
【0021】本発明の乳化液剤において油相を構成する
油性媒体としては、実質的に水と混じり合わず、生理学
的に許容される油性媒体であればいかなるものを用いて
もよい。油性媒体には油溶性の乳化剤を適宜溶解させて
おいてもよく、好ましくは、脂質と油溶性乳化剤との混
合物を油相として用いることができる。脂質の種類は特
に限定されないが、日本薬局方や食品添加物公定書など
に収載された安全性の高い脂質を用いることが好まし
い。例えば、大豆油、X線造影剤の1種であるヨウ素化
ケシ油脂肪酸エステル、又はそれらの混合物などを用い
ることができる。油溶性乳化剤の種類は生理学的に許容
されるものであれば特に限定されないが、例えば、酸化
エチレン付加 40 モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油あるいはレシチン等が挙げられる。
【0022】外水相の種類も特に限定されないが、例え
ば、生理学的に許容される塩類及び/又は糖類の水溶
液、あるいはそれらにさらに水溶性乳化剤を溶解した水
溶液を用いることができる。水溶性乳化剤の種類は生理
学的に許容されるものであれば特に限定されないが、例
えば、酸化エチレン付加 60 モルのポリオキシエチレン
硬化ヒマシ油(例えば、日光ケミカルズ製 HCO-60 な
ど)、ポロクサマー 188(例えば、ミドリ十字製エキソ
コルポールなど)、リゾレシチン、又は胆汁酸などを用
いることができる。一般的には、本発明の乳化製剤は、
有効成分の肝細胞増殖因子を 1〜20μg/ml程度の濃度、
好ましくは 5〜15μg/ml程度、特に好ましくは 10 μg/
ml程度の濃度となるように調製される。また、内水相、
油相、及び外水相の体積比は特に限定されず、任意の比
率を選択することが可能であるが、例えば、約 1:1:2程
度の比率となるように調製することが好ましい。なお、
本発明の乳化製剤は室温下において長期に保存でき、安
定性に優れているという特徴がある。
【0023】上記のようにして得た本発明の乳化製剤
は、適宜の希釈剤や他の製剤用添加剤を配合することに
より、例えば、非経口的投与に適する注射用アンプル剤
や点滴剤、好ましくは注射用アンプル剤などの適宜の形
態の医薬組成物として調製することができる。注射用ア
ンプル剤や点滴剤は、上記の乳化製剤を生理食塩水やリ
ンゲル液などの希釈剤を使って希釈するか、さらに必要
に応じてサリチル酸ナトリウム、マンニトールなどの溶
解補助剤;クエン酸ナトリウム、グリセリンなどの緩衝
液;ブドウ糖、添加糖などの等張化液;ポリエチレング
リコール、デキストラン硫酸ナトリウム、アミノ酸、ヒ
ト血清アルブミンなどの安定化剤;保存剤;ブドウ糖、
グルコン酸カルシウム、塩酸プロカインなどの無痛化
剤;及び/又は塩酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウ
ムなどのpH調節剤などの慣用の製剤用添加剤を加えて無
菌化することにより調製することができる。
【0024】本発明の乳化製剤は、上記の非経口投与用
製剤の形態の医薬組成物として、血管内投与法あるいは
腹腔内投与などの経路により投与することができる。投
与量及び投与方法は特に限定されず、所定量を単回もし
くは複数回に分けて投与するか、又は点滴などによって
連続的に投与することが可能である。投与量は、患者の
年齢、性別、症状、及び体重などの種々の条件に応じて
適宜調整すべきであるが、一般的には、有効成分である
肝細胞増殖因子の量が成人1日当たり 1μg/kg〜 10 mg
/kg 、より好ましくは10〜1,000 μg/kgの範囲となるよ
うに投与することができる。
【0025】本発明の乳化製剤に含まれる肝細胞増殖因
子は、血清中で実質的に代謝を受けることなく速やかに
肝組織に移行することができ、肝組織中に高濃度の肝細
胞増殖因子が濃縮される。従って、本発明の乳化製剤
は、肝組織に対して選択的に肝細胞増殖因子を輸送する
ことのできる医薬として有用であり、肝組織内で持続的
に肝細胞増殖因子の生理活性を発現させることができる
という特徴を有している。なお、本明細書における肝組
織という用語は、肝臓の一部又は全部からなる肝組織の
ほか、肝組織を形成する肝細胞、脂肪組織、血管などを
含めて最も広義に解釈されるべきである。また、肝組織
に対して選択的という用語は、肝組織内における肝細胞
増殖因子の濃度が末梢血清中の濃度を実質的に上回ると
いう意味に解釈すべきである。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定される
ことはない。なお、実施例中で用いた肝細胞増殖因子
は、特開平3-285693号公報に記載されている BD24 株等
を用いて製造した組換えヒト肝細胞増殖因子である (以
下、rhHGF と略す場合がある)。
【0027】例1:本発明の乳化製剤の製造 200 μg の rhHGFを溶解液(10 mM リン酸緩衝液, pH
7.4, 0.14 M NaCl, 0.005% Tween 80, 0.1%牛血清アル
ブミン, 200 μg/mlデキストラン硫酸ナトリウム)5 ml
に溶解して内水相とした。ヨウ素化ケシ油脂肪酸エチル
エステル(Laboratoire Guerbet 製, Lipiodol Ultra-F
luide) 5 ml にテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エ
ステル(阪本薬品工業製, CR-300)0.5 g を加えたもの
を油相とし、ホモジナイザー(JUNKE & KUNNEL製, Ultr
a-Turrax) を用いて回転数2400 rpm、乳化時間30 sの条
件下で内水相を油相に分散させて、 rhHGFを含有する W
/O型エマルションを調製した。レーザー回折/散乱式粒
度分布計(島津製作所製, SALD-2000)を用いて測定した
W/Oエマルションの水滴分布を図1に示す。分布の幅は
0.4〜3 μm であり、平均粒径は1.0 μm であった。粒
径分布は、粒子体積 Vp を粒径の対数 log Dp で微分し
たΔVp/ Δlog Dpで表した。
【0028】つぎに、上記の rhHGF含有 W/Oエマルショ
ンの水滴径よりも大きな 10.6 μm細孔径を有する多孔
質ガラス膜(伊勢化学工業製, MPG)および膜乳化装置
(清本鐵工製, 内圧式マイクロキット)を使用して膜乳
化を行った。外水相として、酸化エチレン付加 60 モル
のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ製
HCO-60 )0.1 g を溶解した生理食塩水 10 mlを用い、
多孔質ガラス膜を分散素子にして上記 W/O型エマルショ
ンを外水相に圧入分散し、 rhHGFを含有する本発明の W
/O/W型乳化製剤を調製した。得られた乳化製剤の油滴平
均粒径は 40.7 μm であり、滴径分布は図2に示すとお
りであった。内水相、油相、及び外水相の体積比が 5/
5.5/10 の単分散状の乳化製剤 20.5 mlが得られた。
【0029】例2:試験例 Wistar系雄性ラット(体重 200 g)に対して、例1で得
られた本発明の rhHGF含有 W/O/W型乳化製剤 1.2 ml を
門脈より投与した。rhHGF の投与量は12μg (60 μg/k
g)に相当していた。また、200 μg の rhHGFを溶解液
(10 mM リン酸緩衝液, pH 7.4, 0.14 M NaCl, 0.005%
Tween 80, 0.1%牛血清アルブミン, 200 μg/mlデキスト
ラン硫酸ナトリウム)5 mlに溶解した rhHGF水溶液から
rhHGF 12μg 相当量を分取し、対照試料として同様の
方法でラットに投与した。投与後、経時的 (1, 2, 4, 6
時間後、及び10日目)に腹部大動脈より採血し、オーツ
カ rhHGF ELISAキット(大塚製薬製)を用いて血清中の
rhHGF濃度を測定した。
【0030】最終の採血後に肝臓を摘出し、組織中の r
hHGF濃度を以下の方法で測定した。摘出した0.5 g 前後
の肝臓切片を液体窒素中でワーリングブレンダーにより
破砕した後、5倍量のリン酸緩衝液(pH 7.4, 1 M NaC
l, 0.4 M EDTA-2Na, 2 mM PCMS, 0.25 M ロイペプシン,
500 U/mlトラジロール含有)を加え、テフロン・ホモ
ジナイザーで再度破砕して4 ℃、9,000 G の条件で20分
間遠心分離し、さらに上清を4 ℃、10,5000 G の条件で
60分間遠心分離して上清を得た。この上清中の rhHGF濃
度を上記と同様の方法で測定した。 1, 2, 4, 及び 6時
間目の血清中 rhHGF濃度は、本発明のrhHGF 含有乳化製
剤および対照rhHGF 水溶液を投与したラットのいずれに
おいても、ELISA キットの測定感度(0.2 ng/ml)以下で
あった。肝組織中の rhHGF濃度を測定した結果を表1に
示す。表中の rhHGF濃度は ng/g-湿重量で表し、N.T.は
測定を行わなかったことを意味している。
【0031】
【表1】 肝組織中 rhHGF濃度の経時変化 ──────────────────────── 試 料 1時間 2時間 4時間 6時間 10日 ──────────────────────── 対照液剤 9.3 3.2 0.0 0.0 N.T.* 乳化液剤 21.7 52.4 56.0 53.0 4.6 ────────────────────────
【0032】対照である rhHGF水溶液の場合は、血清中
および肝組織中のいずれにおいてもrhHGFの濃度は低か
ったが、本発明の乳化製剤の場合には、血清中の濃度は
低かったものの、肝組織中では高い濃度を維持してい
た。従って、本発明の乳化製剤では、有効成分である肝
細胞増殖因子が血中で代謝されることなく肝組織に移行
しており、肝組織中で高い肝細胞増殖因子濃度を長時間
にわたって維持できることが明らかである。また、摘出
した肝臓を直ちに液体窒素で凍結し、凍結切片を作成し
て抗 rhHGF抗体を用いた間接酵素抗体法で免疫組織染色
を行ったところ、本発明の乳化製剤を投与したラットで
は、対照ラットに比べて肝細胞が強く染色されているこ
とが認められた。
【0033】例3:本発明の乳化製剤の安定性 例1で製造した本発明の乳化製剤の製造直後、及び室温
下で7日間遮光保存した後の外水相中の rhHGF濃度をオ
ーツカ rhHGF ELISAキット(大塚製薬製)を用いて測定
したところ、いずれも測定感度以下であった。この結果
から、本発明の乳化製剤では、rhHGF が内水相中に実質
的に完全に封入されており、長期にわたって安定に W/O
/W型エマルションを維持できることが明らかである。
【0034】
【発明の効果】本発明の乳化製剤では、肝細胞増殖因子
の血中半減期を顕著に延長させることができ、肝細胞増
殖因子を肝細胞及び肝組織に選択的に高濃度で移行させ
ることが可能である。従って、本発明の乳化製剤は、急
性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、及び肝線維化症などの肝疾
患の治療などに有用であり、肝機能の改善及び亢進作用
などの優れた治療効果を発揮することができる。
【0035】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:728 配列の型:アミノ酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 起源: 生物名:ヒト 配列 Met Trp Val Thr Lys Leu Leu Pro Ala Leu Leu Leu Gln His Val Leu 1 5 10 15 Leu His Leu Leu Leu Leu Pro Ile Ala Ile Pro Tyr Ala Glu Gly Gln 20 25 30 Arg Lys Arg Arg Asn Thr Ile His Glu Phe Lys Lys Ser Ala Lys Thr 35 40 45 Thr Leu Ile Lys Ile Asp Pro Ala Leu Lys Ile Lys Thr Lys Lys Val 50 55 60 Asn Thr Ala Asp Gln Cys Ala Asn Arg Cys Thr Arg Asn Lys Gly Leu 65 70 75 80 Pro Phe Thr Cys Lys Ala Phe Val Phe Asp Lys Ala Arg Lys Gln Cys 85 90 95 Leu Trp Phe Pro Phe Asn Ser Met Ser Ser Gly Val Lys Lys Glu Phe 100 105 110 Gly His Glu Phe Asp Leu Tyr Glu Asn Lys Asp Tyr Ile Arg Asn Cys 115 120 125 Ile Ile Gly Lys Gly Arg Ser Tyr Lys Gly Thr Val Ser Ile Thr Lys 130 135 140 Ser Gly Ile Lys Cys Gln Pro Trp Ser Ser Met Ile Pro His Glu His 145 150 155 160 Ser Phe Leu Pro Ser Ser Tyr Arg Gly Lys Asp Leu Gln Glu Asn Tyr 165 170 175 Cys Arg Asn Pro Arg Gly Glu Glu Gly Gly Pro Trp Cys Phe Thr Ser 180 185 190 Asn Pro Glu Val Arg Tyr Glu Val Cys Asp Ile Pro Gln Cys Ser Glu 195 200 205 Val Glu Cys Met Thr Cys Asn Gly Glu Ser Tyr Arg Gly Leu Met Asp 210 215 220 His Thr Glu Ser Gly Lys Ile Cys Gln Arg Trp Asp His Gln Thr Pro 225 230 235 240 His Arg His Lys Phe Leu Pro Glu Arg Tyr Pro Asp Lys Gly Phe Asp 245 250 255 Asp Asn Tyr Cys Arg Asn Pro Asp Gly Gln Pro Arg Pro Trp Cys Tyr 260 265 270 Thr Leu Asp Pro His Thr Arg Trp Glu Tyr Cys Ala Ile Lys Thr Cys 275 280 285 Ala Asp Asn Thr Met Asn Asp Thr Asp Val Pro Leu Glu Thr Thr Glu 290 295 300 Cys Ile Gln Gly Gln Gly Glu Gly Tyr Arg Gly Thr Val Asn Thr Ile 305 310 315 320 Trp Asn Gly Ile Pro Cys Gln Arg Trp Asp Ser Gln Tyr Pro His Glu 325 330 335 His Asp Met Thr Pro Glu Asn Phe Lys Cys Lys Asp Leu Arg Glu Asn 340 345 350 Tyr Cys Arg Asn Pro Asp Gly Ser Glu Ser Pro Trp Cys Phe Thr Thr 355 360 365 Asp Pro Asn Ile Arg Val Gly Tyr Cys Ser Gln Ile Pro Asn Cys Asp 370 375 380 Met Ser His Gly Gln Asp Cys Tyr Arg Gly Asn Gly Lys Asn Tyr Met 385 390 395 400 Gly Asn Leu Ser Gln Thr Arg Ser Gly Leu Thr Cys Ser Met Trp Asp 405 410 415 Lys Asn Met Glu Asp Leu His Arg His Ile Phe Trp Glu Pro Asp Ala 420 425 430 Ser Lys Leu Asn Glu Asn Tyr Cys Arg Asn Pro Asp Asp Asp Ala His 435 440 445 Gly Pro Trp Cys Tyr Thr Gly Asn Pro Leu Ile Pro Trp Asp Tyr Cys 450 455 460 Pro Ile Ser Arg Cys Glu Gly Asp Thr Thr Pro Thr Ile Val Asn Leu 465 470 475 480 Asp His Pro Val Ile Ser Cys Ala Lys Thr Lys Gln Leu Arg Val Val 485 490 495 Asn Gly Ile Pro Thr Arg Thr Asn Ile Gly Trp Met Val Ser Leu Arg 500 505 510 Tyr Arg Asn Lys His Ile Cys Gly Gly Ser Leu Ile Lys Glu Ser Trp 515 520 525 Val Leu Thr Ala Arg Gln Cys Phe Pro Ser Arg Asp Leu Lys Asp Tyr 530 535 540 Glu Ala Trp Leu Gly Ile His Asp Val His Gly Arg Gly Asp Glu Lys 545 550 555 560 Cys Lys Gln Val Leu Asn Val Ser Gln Leu Val Tyr Gly Pro Glu Gly 565 570 575 Ser Asp Leu Val Leu Met Lys Leu Ala Arg Pro Ala Val Leu Asp Asp 580 585 590 Phe Val Ser Thr Ile Asp Leu Pro Asn Tyr Gly Cys Thr Ile Pro Glu 595 600 605 Lys Thr Ser Cys Ser Val Tyr Gly Trp Gly Tyr Thr Gly Leu Ile Asn 610 615 620 Tyr Asp Gly Leu Leu Arg Val Ala His Leu Tyr Ile Met Gly Asn Glu 625 630 635 640 Lys Cys Ser Gln His His Arg Gly Lys Val Thr Leu Asn Glu Ser Glu 645 650 655 Ile Cys Ala Gly Ala Glu Lys Ile Gly Ser Gly Pro Cys Glu Gly Asp 660 665 670 Tyr Gly Gly Pro Leu Val Cys Glu Gln His Lys Met Arg Met Val Leu 675 680 685 Gly Val Ile Val Pro Gly Arg Gly Cys Ala Ile Pro Asn Arg Pro Gly 690 695 700 Ile Phe Val Arg Val Ala Tyr Tyr Ala Lys Trp Ile His Lys Ile Ile 705 710 715 720 Leu Thr Tyr Lys Val Pro Gln Ser 725
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の乳化製剤(例1のもの)の製造に用
いた内水相を分散させた油相(W/O型エマルション)
の水滴分布を示す図である。
【図2】 本発明の乳化製剤(例1のもの)の外水相中
に分散された油滴(内水相を分散させた油相)の滴径分
布を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000005968 三菱化学株式会社 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 (72)発明者 坪内 博仁 宮崎県宮崎郡清武町大字木原6653 宮崎医 大宿舎A−301 (72)発明者 東 秀史 宮崎県宮崎市大字郡司分丙9823番5号 (72)発明者 中島 忠夫 宮崎県宮崎市大字塩路501 (72)発明者 清水 正高 宮崎県宮崎市大字島之内11074 (72)発明者 佐藤 眞紀 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内水相、油相、及び外水相で構成される
    W/O/W型エマルションの内水相に肝細胞増殖因子を
    含有する乳化製剤。
  2. 【請求項2】 肝細胞増殖因子が以下の理化学的性質: (1) SDS-PAGE(非還元条件下)による推定分子量が約7
    6,000〜92,000である; (2) 肝実質細胞を増殖させる活性を有する; (3) 80℃、10分間の加熱処理により上記活性が失活す
    る; (4) トリプシンによる消化処理およびキモトリプシンに
    よる消化処理により上記活性が失活する;及び (5) ヘパリンに対して強い親和性を有する;を有する蛋
    白性因子である請求項1に記載の乳化製剤。
  3. 【請求項3】 肝細胞増殖因子が天然型又は遺伝子組換
    え型の因子である請求項1または2に記載の乳化製剤。
  4. 【請求項4】 肝細胞増殖因子が、天然型若しくは遺伝
    子組換え型の肝細胞増殖因子の前駆体蛋白質、又は実質
    的に肝実質細胞を増殖させる活性を損なわない範囲内で
    天然型若しくは遺伝子組換え型の肝細胞増殖因子のアミ
    ノ酸配列に置換、挿入、欠失が加えられた改変型肝細胞
    増殖因子である請求項1または2に記載の乳化製剤。
  5. 【請求項5】 遺伝子組換え型の肝細胞増殖因子が、配
    列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列で表される肝
    細胞増殖因子、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸
    配列のうち30番目のグルタミン酸から728 番目のセリン
    までの配列で表される肝細胞増殖因子、又は配列番号1
    に示されるアミノ酸配列のうち32番目のグルタミンから
    728 番目のセリンまでの配列で表される肝細胞増殖因子
    である請求項3に記載の乳化製剤。
  6. 【請求項6】 油相が脂質及び油溶性乳化剤の混合物で
    ある請求項1ないし4のいずれか1項に記載の乳化製
    剤。
  7. 【請求項7】 以下の工程: (1) 肝細胞増殖因子の水溶液と油性媒体とから内水相/
    油相を構成するW/O型エマルションを調製する工程;
    及び (2) 該W/O型エマルションを外水相中で乳化させる工
    程;を含む請求項1ないし6のいずれかに1項に記載の
    乳化製剤の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記工程(2) の乳化工程を多孔質ガラス
    を用いた膜乳化工程により行う請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の乳化製剤の製造のための肝細胞増殖因子の使用。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし6のいずれか1項に記
    載の乳化製剤を含み、肝組織に対して選択的に肝細胞増
    殖因子を輸送することのできる医薬。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし6のいずれか1項に記
    載の乳化製剤を含み、肝組織内で持続的に肝細胞増殖因
    子の生理活性を発現させることができる医薬。
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