JPH1072070A - 電子レンジ用包装体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】電子レンジで加熱調理する際に、被調理品から
発生する蒸気を効率良く排出し、且つ、被調理品の漏出
を防止でき、しかも、安価な電子レンジ用包装体を提供
する。 【解決手段】包装シート５の端部同士を接着してなる背
貼り部8cを有する包装袋１内に被調理品３が収容されて
なる電子レンジ用包装体において、前記背貼り部8cに
は、収容空間９に連通する第１通路10と該第１通路10の
上方位置から背貼り部8cの長手方向に延設された第２通
路11とからなる蒸気通路７が形成され、しかも、第２通
路11は開口可能に構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、収容された被調理
品を電子レンジで加熱調理できるようにした電子レンジ
用包装体に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、包装袋によりパウチ包装された被
調理品は、湯煎加熱による調理方法に限られ、電子レン
ジを使用すると、加熱調理時に、被調理品の蒸発水分に
より内部圧力が上昇するため、包装シートが風船状に脹
らみ破裂するおそれがある。

【０００３】従って、電子レンジで調理する場合には、
液洩れすることなく蒸気を逃がす工夫が必要となり、そ
こで、従来では包装袋に逆止弁を付けたり、調理直前に
包装袋の一部を鋏で切断したりしていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、逆止弁
を使用した場合には、機能的に不完全であったり、ま
た、コストが高くなり、普及するには至っていない。ま
た、液状の被調理品が煮沸して吹きこぼれたりする恐れ
がある。

【０００５】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、電子レンジで加熱調理する際に、被調理品
から発生する蒸気を効率良く排出し、且つ、被調理品の
漏出を防止でき、しかも、安価な電子レンジ用包装体を
提供することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明が、上記課題を解
決するために講じた技術的手段は、重ね合わされた一対
の包装シート５の内面同士を接着してなる背貼り部8cを
有する包装袋１内に被調理品３が収容されてなる電子レ
ンジ用包装体において、前記背貼り部8cには、収容空間
９に連通する第１通路10と該第１通路10の上方位置から
背貼り部8cの長手方向に延設された第２通路11とからな
る蒸気通路７が形成され、しかも、第２通路11は開口可
能に構成されていることにある。

【０００７】従って、被調理品３を電子レンジで加熱す
ると、被調理品３から発生する蒸気は、開口された流通
路７を介して外部に排出される。また、包装袋１は蒸気
により膨張し、流通路７は上方に位置するため、液体が
流通路７内に浸入することは殆どなく、流通路７を介し
て液体が洩出するのを防止できる。

【０００８】また、前記第１通路10に対して第２通路11
が狭くなっているのが好ましい。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態につ
いて図面に従って説明する。図１〜図３において、１は
チルド食品または冷凍食品等の被調理品３を包装するた
めの包装袋で、この包装袋１は、二軸延伸ポリエステ
ル、二軸延伸ポリアミド等のプラスチックフィルムを基
材とし、最内層にポリエチレンやポリプロピレン等の熱
融着性樹脂を積層したもの等公知の包装シート５から構
成されている。尚、被調理品３としては、例えば、出汁
入りおでん、たれ付き豚角煮、麻姿豆腐、丼の具、たれ
付き焼肉、カレーシチュー、スープ等の各種の食品が挙
げられる。

【００１０】前記包装袋１は、シート５の両側の縁部8
a，8b，と上方の背貼り部8cを熱融着することにより密
封状に製袋されてなる、いわゆるピロー包装形態のもの
である。尚、図１に示す包装袋は、被調理品３が収納さ
れていない空の状態においてシート５を熱融着して製袋
したものを示す。

【００１１】７は前記背貼り部8cに形成された蒸気通路
で、包装袋１の被調理品３を収容する収容空間９に連通
している。即ち、蒸気通路７は、背貼り部8cとなる包装
シート５の端部同士を密封状に熱シールする際に、非シ
ール部を残すことにより形成されたもので、前記被調理
品収容空間９に連通する大幅の第１通路10と小幅の第２
通路11とからなる。

【００１２】第１通路10は、背貼り部8cの長手方向略中
央に位置し、その幅長Ｌ１は背貼り部8cの長さＬ（包装
袋１の長さに相当）の略１／３に設定されている。ま
た、第２通路11は第１通路10の上方位置から背貼り部8c
の長手方向（横方向）に沿って延設され、その幅長Ｌ２
は前記第１通路10の幅長Ｌ１の略１／２（例えば２〜10
mm）に設定されている。

【００１３】13は背貼り部8cを幅方向に破断できるよう
に、その上縁に形成されたＶ字状の切り欠きで、該切り
欠き13により背貼り部8cを破断することにより、前記蒸
気通路７の第２通路11を開口させることができる。ま
た、15は第２通路11に対して前記切り欠き13と反対位置
で且つ、背貼り部8cの破断方向と直交する方向に形成さ
れたストッパー用切込みである。尚、該ストッパー用切
込み15は、図４に示す如く各種形状のものが使用でき
る。

【００１４】次に、包装体で包装した状態の被調理品３
を電子レンジで加熱調理する場合について説明する。

【００１５】先ず、背貼り部8cを切り欠き13から切断す
ると、破断線は蒸気通路７の第２通路11の先端部を横切
るため、第２通路11が開口する。尚、この背貼り部8c
は、破断線がストッパー用切込み15に達するまで破断さ
れるだけであり、仮に、強く背貼り部8cを破断した場合
であっても、誤って被調理品３を収容する包装袋１側ま
で破断してしまうことはない。

【００１６】更に、蒸気通路７が開口された包装袋１を
電子レンジ内に入れて被調理品３を調理すると（図２
（イ）参照）、電子レンジから発生するマイクロ波が被
調理品３内に吸収され、被調理品３が加熱される。この
加熱時に、被調理品３の液体が蒸気となり、包装袋１内
の圧力が上昇して包装袋１が膨張すると共に、蒸気は蒸
気通路７を押し広げ、第１通路10及び第２通路11を介し
て適宜排出される（図２（ロ）及び図３参照）。この際
に、第２通路11が小幅に形成されているため、第１通路
10及び第２通路11は適度に膨張することになる。

【００１７】また、この加熱調理時に被調理品３が沸騰
するようなことがあっても、蒸気通路７は被調理品収容
空間９の上方で且つ膨張して最も高くなっている位置に
あるため、被調理品３の液体が蒸気通路７内に浸入し難
い。仮に、液体が蒸気通路７の第１通路10に入ったとし
ても、第２通路11は、第１通路10よりも小幅で且つ、第
１通路10の上方位置で側方を向いていることから、該第
２通路11を通過して外部に洩れ出るおそれは少なく、電
子レンジ内を汚すことはほとんどない。

【００１８】しかも、加熱調理後においても、図２
（ロ）に示す如く加圧された包装袋１内において、被調
理品３が沸騰した状態を安定して継続させることが可能
となり、単に、加熱、解凍のみならず、圧力鍋で煮込み
調理するような効果も得られる。

【００１９】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ものではなく、包装袋１の形状は被調理品３の種類に応
じて任意に設計変更自在である。また、上記の実施の形
態では蒸気通路７を開口させる手段として切り欠き13を
背貼り部8cに形成したが、図５に示す如く、切り欠き13
に換えて背貼り部8cにおける第２通路11の対応する位置
に、マイクロ波発熱体20を設けも良い。

【００２０】かかる本実施の形態では、被調理品３を調
理する際に、電子レンジのマイクロ波により、該マイク
ロ波発熱体20が発熱し、背貼り部8cを溶かして蒸気通路
７を開口させることが可能となり、調理前に背貼り部8c
を開封しておく手間が省ける利点がある。また、ストッ
パー用切込み15は必ず設ける必要はなく、包装用シート
５に背貼り部8cの長手方向と同じ方向に延伸した一軸延
伸フィルムを使用することにより、切り欠き13による破
断方向が、該フィルムの延伸方向に対して直角方向とな
るため、背貼り部8cの破断し過ぎを防止することもでき
る。

【００２１】さらに、本実施の形態にあっては、ピロー
包装の際に包装シート５の端部同士を接着して背貼り部
8cを形成せしめたが、背貼り部8cが図６に示す如く構成
されてなるものであっても本発明の意図する範囲内であ
る。この図６に示す包装体にあっては、包装シート５の
中途部を二重に折畳んで一対とし、その折畳まれ重なり
合った部位の内面同士が接着されて背貼り部8cが形成さ
れてなり、包装シート５の端部8a，8b，8dは、別途熱溶
着により接着されて密封状に製袋されてなる。

【００２２】また、本実施の形態にあっては、一枚の包
装シート５を折り畳んで形成されるものについて説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、例え
ば、図７に示すように三枚の包装シートを重ね合わせて
接着することによっても製造することができる。この図
７に示す包装体にあっては、収容空間９の下方に位置す
ることとなる第一包装シート5Aと、収容空間９の上方に
位置し且つ背貼り部7 を形成する一対の第二包装シート
5Bとからなり、第一包装シート5Aの周縁部8a，8b，8d，
8eに第二包装シート5Bが夫々接着され、一対の第二包装
シート5Bの端部が重ね合わされて内面同士が接着されて
背貼り部8cが形成されている。

【００２３】

【発明の効果】本発明の電子レンジ用包装体の背貼り部
には、収容空間に連通する第１通路と該第１通路の上方
位置から背貼り部の長手方向に延設された第２通路とか
らなる蒸気通路が形成され、しかも、第２通路は開口可
能に構成されているので、蒸気通路を開口させることに
より、簡単に電子レンジを使用して被調理品を調理でき
る。

【００２４】しかも、蒸気通路は背貼り部に設けられて
いるため、蒸気通路を蒸気で膨張する包装袋の上方に位
置させることが可能となり、従って、蒸気を効率よく排
出できると共に、沸騰する被調理品の液体が蒸気通路を
介して外部に洩れ出るのも防止でき、電子レンジ内を汚
すこともほとんどない。

【００２５】しかも、従来と異なり逆止弁等の他の部材
を設ける余分な加工が不要となるので、コストも安価に
なる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示す包装袋の斜視図。

【図２】（イ）は加熱調理前の断面図、（ロ）は加熱調
理時の断面図。

【図３】加熱調理時の一部断面を含む包装体の斜視図。

【図４】（イ）〜（ニ）はそれぞれ切り欠きの形状を示
す図。

【図５】本発明の他の実施の形態を示す要部正面図。

【図６】本発明の他の実施の形態を示す斜視図。

【図７】本発明の他の実施の形態を示す斜視図。

【符号の説明】

１…包装袋、３…被調理品、５…包装シート、７…蒸気
通路、８ｃ…背貼り部、９…収容空間、10…第１通路、
11…第２通路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 重ね合わされた一対の包装シート（５）
   の内面同士を接着してなる背貼り部（8c）を有する包装
   袋（１）内に被調理品（３）が収容されてなる電子レン
   ジ用包装体において、前記背貼り部（8c）には、収容空
   間（９）に連通する第１通路（10）と該第１通路（10）
   の上方位置から背貼り部（8c）の長手方向に延設された
   第２通路（11）とからなる蒸気通路（７）が形成され、
   しかも、第２通路（11）は開口可能に構成されているこ
   とを特徴とする電子レンジ用包装体。
2. 【請求項２】 前記第１通路（10）に対して第２通路
   （11）が狭くなっている請求項１に記載の電子レンジ用
   包装体。