JPH1065195A - 光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子

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JPH1065195A
JPH1065195A JP8238620A JP23862096A JPH1065195A JP H1065195 A JPH1065195 A JP H1065195A JP 8238620 A JP8238620 A JP 8238620A JP 23862096 A JP23862096 A JP 23862096A JP H1065195 A JPH1065195 A JP H1065195A
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JP
Japan
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layer
substrate
transparent
metal layer
photovoltaic element
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Withdrawn
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JP8238620A
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English (en)
Inventor
Yukiko Iwasaki
由希子 岩▲崎▼
Kozo Arao
浩三 荒尾
Katsumi Nakagawa
克己 中川
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高信頼性かつ高変換効率の光起電力素子を提
供する。 【解決手段】 基板上に、金属層と透明層よりなる裏面
反射層、半導体層、及び透明電極を少なくとも有する光
起電力素子において、該金属層がマグネシウム濃度が4
0at%以下である銅−マグネシウム合金である光起電
力素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高性能で長期使用に
対する信頼性が高く、しかも低コストでの量産が可能な
太陽電池等の光起電力素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人類のこれからのエネルギー源として、
その使用の結果発生する二酸化炭素の為に地球の温暖化
をもたらすと言われる石油や石炭、不測の事故により、
さらには正常な運転時に於いてすら放射線の危険が皆無
とは言えない原子力に全面的に依存していく事は問題が
多い。太陽電池は太陽をエネルギー源としており地球環
境に対する影響が極めて少ないので、一層の普及が期待
されている。しかし現状に於いては、本格的な普及を妨
げているいくつかの問題点がある。
【0003】従来太陽光発電用としては、単結晶または
多結晶のシリコンが多く用いられてきた。しかしこれら
の太陽電池では結晶の成長に多くのエネルギーと時間を
要し、またその後も複雑な工程が必要となるため量産効
果があがりにくく、低価格での提供が困難であった。
【0004】一方、アモルファスシリコン(以下a−S
iと記載)や、CdS・CuInSe2などの化合物半
導体を用いた、いわゆる薄膜半導体太陽電池が盛んに研
究、開発されてきた。これらの太陽電池では、ガラスや
ステンレススティールなどの安価な基板上に必要なだけ
の半導体層を形成すればよく、その製造工程も比較的簡
単であり、低価格化できる可能性を持っている。
【0005】しかし薄膜太陽電池は、その変換効率が結
晶シリコン太陽電池に比べて低く、しかも長期の使用に
対する信頼性に不安があるためこれまで本格的に使用さ
れてこなかった。そこで薄膜太陽電池の性能を改善する
ため、様々な工夫がなされている。
【0006】その一つが基板表面の光の反射率を高める
ことにより、薄膜半導体層で吸収されなかった太陽光
を、再び薄膜半導体層に戻し入射光を有効に利用するた
めの裏面反射層である。太陽光のスペクトルの内の短波
長の成分は、既に薄膜半導体に吸収されているので、そ
れより長波長の光に対して反射率が高ければ十分であ
る。どの波長以上で反射率が高ければ良いかは、用いる
薄膜半導体の光吸収係数、膜厚に依存する。
【0007】透明な基板の基板側から太陽光を入射させ
る場合には、薄膜半導体の表面に形成する電極を銀(A
g)、銅(Cu)など反射率の高い金属で形成するとよ
い。ここで種々の金属の反射率比較のため、2000オ
ングストロームに成膜したAg、Al、Cu、Ni膜の
反射率を図2に示しておく。又、薄膜半導体層の表面か
ら太陽光を入射させる場合には、同様の金属の層を基板
上に形成した後半導体層を形成するとよい。
【0008】また、金属層と薄膜半導体層の間に適当な
光学的性質を持った透明層を介在させると、多重干渉効
果によりさらに反射率を高める事ができる。この様な透
明層を用いる事は薄膜太陽電池の信頼性を高める上で効
果がある。特公昭60−41878号公報には透明層を
用いる事により半導体と金属層が合金化する事を防止で
きるとの記載がある。また米国特許第4,532,37
2および4,598,306号明細書には、適度な抵抗
を持った透明層を用いる事により万が一半導体層に短絡
箇所が発生しても電極間に過剰な電流が流れるのを防止
できるとの記載がある。
【0009】また、薄膜太陽電池の変換効率を高めるた
めの別の工夫として、太陽電池の表面又は/及び裏面反
射層との界面を微細な凸凹構造(テクスチャー構造)と
する方法がある。このような構成にする事により、太陽
電池の表面又は/及び裏面反射層との界面で太陽光が散
乱され、更に半導体の内部に閉じこめられ(光トラップ
効果)、半導体中で有効に吸収できる様になる。
【0010】基板が透明な場合には、基板上の酸化錫
(SnO2)などの透明電極の表面をテクスチャー構造
にすると良い。また薄膜半導体の表面から太陽光を入射
する場合には、裏面反射層に用いる金属層の表面をテク
スチャー構造とすればよい。ソーラー エナジー マテ
リアルズ(Solar Energy Materia
ls)20(1990)pp99−110には、Alを
基板温度や堆積速度を調整して堆積する事により裏面反
射層用のテクスチャー構造が得られる事が示されてい
る。
【0011】このようなテクスチャー構造の裏面反射層
を用いた事による入射光の吸収の増加の例を図3に示
す。ここで曲線(a)は、金属層として平滑な銀を用い
たa−SiGe太陽電池の分光感度、曲線(b)は、テ
クスチャー構造の銀を用いた場合の分光感度を示す。図
3より、波長800nm近傍の光がa−SiGe半導体
層で有効に利用されていないことから、変換効率をより
高めるには800nm近傍の光に対して高い反射率をも
つ裏面反射層を用いればよい。
【0012】ここで、もう一度図2をみると、銀、銅は
本発明で用いる薄膜半導体で必要とする700〜100
0nmの全波長域で高い反射率を示すのに対し、アルミ
ニウムは波長800nm近傍で極小値を持つ。従って8
00nmで高い反射率を示す銀、銅は金属層に最も適し
た反射率を持つ金属であると言える。
【0013】さらに、金属層と透明層の2層からなる裏
面反射層の考え方と、テクスチャー構造の考え方を組み
合わせる事もできる。米国特許第4,419,533号
明細書には金属層の表面がテクスチャー構造を持ち、且
つその上に透明層が形成された裏面反射層の考え方が開
示されている。また、平滑な金属層の上にテクスチャー
構造の透明層を形成するのもよい。この様な組み合わせ
により太陽電池の変換効率は著しく向上する事が期待さ
れる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】裏面反射層の金属とし
て、とりわけ優れた反射率を持つ銀や銅を用いることは
変換効率の高い太陽電池を得る上で極めて有利である。
ところがこれらの金属、特に銀は電気化学的マイグレー
ションを起こす金属として知られている。
【0015】電気化学的マイグレーション(以下マイグ
レーションと呼ぶ)とは、箔・メッキ・ペースト状等の
金属が直流電圧の印加された条件下において、吸湿性の
大きいまたは親水性の強い絶縁物と接触した状態、かつ
高湿度の環境下で使用されると、電気分解作用により絶
縁物の表面や内部を金属が樹枝状あるいは染み状に成長
し電導経路をつくる現象のことである。
【0016】金属によっては上記以外の条件を要する。
例えば実験的にマイグレーションを発生させる場合、銀
(Ag)・銅(Cu)・鉛(Pb)等は蒸留水と電界の
条件下で発生し(Agは樹枝状結晶の成長速度が特に速
い)、金(Au)・パラジウム(Pd)・インジウム
(In)等は更にハロゲンイオンの存在が必要となり、
アルミニウム(Al)・ニッケル(Ni)・鉄(Fe)
等はこれら以外の特殊な条件下でないと発生しないと報
告されている。
【0017】様々な環境での使用が考えられる太陽電池
についても、長期使用の際、マイグレーションによる電
極間の短絡が問題となる。例えば屋外で実使用されてい
る太陽電池が高温多湿の環境下にさらされた場合を考え
る。一般に太陽電池単体では出力電圧が低いため、複数
のサブモジュール(上記の薄膜半導体太陽電池をモジュ
ール化したもの)を直列接続して使用する。このような
太陽電池が落葉等により部分被覆された場合、被覆部分
のサブモジュールの出力電流が他のサブモジュールに比
べ極端に小さくなり、実質的に内部インピーダンスが大
きくなる。その結果他のサブモジュールの出力電圧が逆
にかかる。
【0018】即ち高温高湿かつ逆バイアスの印加という
マイグレーションの発生条件が実現され、電極間の短絡
が起こりサブモジュールの破壊に至るのである。裏面反
射層に反射率の高いAg・Cuを用いた場合はなおさら
である。一方、耐マイグレーションに優れている金属の
AlやNi等を代用した場合、反射率がAgやCuに較
べて低いため、高変換効率は望めない。
【0019】本発明はこの様な現状に鑑みなされたもの
であって、改良された裏面反射層を用いることにより、
信頼性が高くかつ高効率の光起電力素子を低価格にて提
供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、基板上
に、少なくとも金属層と透明層よりなる裏面反射層、半
導体層、及び透明電極を少なくとも有する光起電力素子
において、該金属層がマグネシウム濃度が40at%以
下、好ましくは20〜40at%、より好ましくは30
〜35at%である銅−マグネシウム合金であることを
特徴とする光起電力素子である。
【0021】また、基板上に、少なくとも金属層と透明
層よりなる裏面反射層、半導体層、及び透明電極を少な
くとも有する光起電力素子において、該金属層が波長7
00〜1000nmの光に対し90%以上の反射率を示
し、電気化学的マイグレーションを起こさない銅−マグ
ネシウム合金であることを特徴とする光起電力素子であ
る。
【0022】また、基板上に、少なくとも金属層と透明
層よりなる裏面反射層、半導体層、及び透明電極を少な
くとも有する光起電力素子において、該金属層のマグネ
シウム濃度が40at%以下、好ましくは20〜40a
t%、より好ましくは30〜35at%であり、その反
射率が700〜1000nmの光に対し90%以上であ
る銅−マグネシウム合金からなることを特徴とする光起
電力素子である。
【0023】本発明の金属層は、銅とマグネシウムのモ
ザイクターゲットまたは合金ターゲットを用い、スパッ
タリングにより形成されるのが好ましい。
【0024】また、少なくとも裏面反射層がテクスチャ
ー構造を有することが好ましい。
【0025】更に、半導体層が薄膜半導体よりなること
が好ましい。
【0026】本発明はこの様な構成とすること、特にこ
の様な金属層を用いることにより次の様な効果を生じ
る。
【0027】(1)Cu−Mg合金は樹枝状結晶の成長
がないため、過酷な環境下で使用される光起電力素子内
部に発生する短絡を防止することができ、信頼性が高め
られる。
【0028】(2)CuにMgを40at%以下の範囲
で添加すると、700〜1000nmの光に対する反射
率が90%以上と高いため、入射光を有効に利用するこ
とができ光起電力素子の変換効率が向上する。
【0029】(3)均質な合金膜が得られ、安定した特
性の光起電力素子を得ることができる。また、安価な金
属を主材料とするため、低コストでの量産が可能とな
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いて詳細
に説明する。
【0031】本発明の光起電力素子の構成の一例を図1
に示す。
【0032】101は基板である。基板101は導電性
のある金属基板が好ましく、導電性のない基板を用いる
場合には、例えば真空蒸着法やスパッタリング法等で金
属の導電層を堆積すると良い。
【0033】102はCu−Mg合金の金属層、103
は透明層で、これらを合わせて裏面反射層と呼ぶ。透明
層103は半導体層104を透過してきた太陽光に対し
ては透明である。また適度な電気抵抗を持ち、その表面
は図1に示す様にテクスチャー構造を持っていることが
好ましい。
【0034】104は半導体層(薄膜半導体接合)であ
る。図1では半導体層104としてpin型の非単結晶
光起電力素子を用いた例を示しているが、pin型の非
単結晶光半導体素子を複数積層したタンデムセルやトリ
プルセル構造にしても良い。ここで105はn型a−S
i、106はi型a−Si、107はp型a−Siであ
る。半導体層104が薄い場合には、図1に示す様に半
導体層104全体が透明層103と同様のテクスチャー
構造を示すことが多い。
【0035】その上に透明電極108、集電電極109
が設けられている。
【0036】(金属層102)まず、本発明の効果を示
すための実験について説明する。全ての実験において金
属層の堆積には図4に示すDCマグネトロンスパッタ装
置を用いたが、一般的に金属層の堆積には、抵抗加熱や
電子ビームによる真空蒸着法、スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法、CVD法等が用いられる。
【0037】401は堆積室であり不図示の排気ポンプ
で真空排気できる。この内部に、不図示のガスボンベに
接続されたガス導入管402により、アルゴン(Ar)
等の不活性ガスが所定の流量導入され、排気弁403の
開度を調節し堆積室401内は所定の圧力となる。
【0038】また、基板404は内部にヒーター405
が設けられたアノード406の表面に固定されている。
アノード406に対向してその表面にターゲット407
が固定されたカソード電極408が設けられている。タ
ーゲット407は通常は純度99.9乃至99.999
%程度の堆積されるべき金属のブロックである。カソー
ド電極408はDC電源409に接続されており、電源
409により直流高電圧を加え、アノード406・カソ
ード408間にプラズマ410を生起する。このプラズ
マ410の作用によリターゲット407の金属原子が基
板404上に堆積される。
【0039】また、カソード408の内部に磁石を設け
プラズマ410の強度を高めたマグネトロンスパッタリ
ング装置を用いる事により、堆積速度をより高めること
ができる。
【0040】(実験1)鏡面研磨をした5cm×5cm
のステンレス板(SUS304)上にDCマグネトロン
スパッタ法にてMg濃度が6、10、20、34、4
6、51at%のCu−Mg合金を1000オングスト
ローム堆積し、それぞれを試料1a、1b、1c、1
d、1e、1fとする。また、比較のため純Cuを用い
て同様に試料1kも作製した。これらの試料は室温にお
いて40オングストローム/secで平滑基板上に堆積
したため、その表面は平滑であった。
【0041】さらに温度依存性を調べるため、基板温度
を100、200、300、400度とした以外は1b
と同様にして試料1g、1h、1i、1jを作製した。
1g〜1iの表面は数千オングストローム大の細かなテ
クスチャー構造になっていた。
【0042】1kの作製には99.999%のCuター
ゲットを用い、合金試料1a〜1jの作製には、Cuと
Mgのモザイクターゲットを用いた。
【0043】モザイクターゲットではなくCuターゲッ
トの上にMgの5mm×5mm×1mm形状のチップを
置いて成膜すると、おそらく2種の金属のスパッタ率の
違いやチップの電気的接触不良、チップによってターゲ
ット表面にできる凹凸の影響等によりMgが均一に飛び
にくく、膜厚方向に組成ムラが発生する傾向がある。モ
ザイクターゲットでは膜厚方向の組成ムラを改善するこ
とができ好ましい。
【0044】モザイクターゲットは、99.9%のMg
片または99.99%のCu片がはめ込めるよう、9
9.99%のCuターゲットを加工したもので、確実な
電気接触と平滑な表面が得られる。また、Mg片とCu
片のはめ込む割合を変えることで組成を変化させること
が可能である。合金試料についてはX線エネルギー分散
型分析装置(XMA)にて分析を行ない組成の確認を行
なった。
【0045】これら11種類の試料について波長400
〜1200nmの光に対する反射率を測定した。すでに
説明したように、a−SiGe半導体層で重要となる8
00nmでの反射率の値を各組成において得られた反射
率の代表値として、図5に示す。反射率はMg濃度の増
加にともなって徐々に低下したが、Mg濃度40at%
以下の1a〜1dは90%以上の高い反射率を示した。
また基板温度の変化による影響はなく、1g〜1jも9
0%以上の高い反射率を示した。
【0046】(実験2)5cm×5cmの7059無ア
ルカリガラス上に200μmの間隔を持つ櫛型電極マス
クを置いた他は実験1と同様にしてCu−Mg合金を堆
積し、樹枝状結晶成長評価実験用試料を作製した。
【0047】Mg濃度6、10、20、34、46、5
1at%を室温で、Mg濃度10at%についてはさら
に100、200、300、400度で成膜し、それぞ
れ試料2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2
h、2i、2jとする。比較のための純Cu、純Ag試
料2k、2lも室温にて同様に成膜した。
【0048】これら12種類の試料について、作製した
200μmの電極間隔上に純水滴をたらして10Vの電
圧を印加し、顕微鏡下で樹枝状結晶の成長を観察した。
2a〜2c、2g〜2jに関してはわずかな樹枝状結晶
の成長が見られたが、電極間の短絡には至らなかった。
2d〜2fについては樹枝状結晶は見られなかったが若
千の正極の溶け出しが観察され、Mg含有量が40at
%を越える2e、2fは、電圧を印加して5秒程度で正
極が溶けてしまった。試料2k、2lは電圧をかけると
同時に樹枝状結晶が発生し短絡してしまった。
【0049】(実験3)ターゲットにCu−Mg合金タ
ーゲットを用いた他は実験1と同様に、室温にてMg濃
度10at%のCu−Mg合金金属層を成膜した。モザ
イクターゲット同様、均質な膜を得ることができた。
【0050】その後、透明層としてZnOを10000
オングストローム形成し、さらにグロー放電分解法にて
SiH4、PH3を原料ガスとしてn型a−Si層を20
0オングストローム、SiH4を原料ガスとしてi型a
−Si層を4000オングストローム、SiH4、B
3、H2を原料ガスとしてp型微結晶(μc)Si層を
100オングストローム堆積し薄膜半導体接合とした。
【0051】その上に透明電極として抵抗加熱蒸着法に
より酸化インジウム錫膜(ITO膜)を650オングス
トローム堆積し、さらにAgペーストで幅300ミクロ
ンの集電電極を形成、太陽電池セル化した。この様にし
て得られた試料を3aとする。また同様にして比較のた
め金属層が純Cu、純Al、純Agである試料3b、3
c、3dを得た。
【0052】これらの試料についてAM−1.5のソー
ラーシミュレーターの下で光電流Jscを測定した。試
料3cが19.1mA/cm2であったのに対し、試料
3aは20.7mA/cm2と純Ag試料3dの21.
3mA/cm2に迫る高い電流値が得られた。なお3b
は太陽電池として機能しなかった。
【0053】(実験4)実験3と同様にMg濃度10、
20、34、43at%のCu−Mg合金および純A
g、純Alの金属層をステンレス板上に堆積し、実験3
同様に太陽電池セル化した。それぞれを試料4a、4
b、4c、4d、4e、4fとする。
【0054】これら6種類の試料に光の当たらない状態
で湿度85%、雰囲気温度85℃中で逆電圧0.85V
を印加し(高湿逆バイアス試験)、時間に伴うRshD
k(光の当たらない状態でのRsh)の変化を測定、比
較評価した。RshDkが10Ωcm2以下に低下する
と、低照度光の下で開放電圧が出なくなり、太陽電池と
しての特性、信頼性に問題がでてくる。従って高湿逆バ
イアス試験ではRshDk≧10kΩcm2を合格基準
とする。
【0055】試料4eは測定を始めると同時にRshD
kが急激に低下し、10kΩcm2をわってしまった。
試料4fは100時間を越えても31kΩcm2より低
下する事はなかった。試料4a、4b、4cは、若干R
shDkの低下が見られたものの、100時間の時点で
16kΩcm2以上を保持したが、4dは10kΩcm2
を僅かながら下回ってしまった。実験2の結果と合わせ
ると、Mg濃度が40at%以下のCu−Mg合金膜は
信頼性に優れていると言える。
【0056】以上の実験結果から、本発明のMg濃度4
0at%以下、好ましくは20〜40at%、より好ま
しくは30〜35at%の範囲のCu−Mg合金、特に
モザイクターゲットまたは合金ターゲットを用いてスパ
ッタ成膜したCu−Mg合金を裏面反射層の金属層に適
応することにより、高効率、高信頼性の光起電力素子を
得ることができる。
【0057】(透明層103)透明層としては、ZnO
をはじめIn23、SnO2、CdO、CdSnO4、T
iO等の酸化物がしばしば用いられる(ただしここで示
した化合物の組成比は実態と必ずしも一致していな
い)。透明層の光の透過率は一般的には高いほど良い
が、半導体層に吸収される波長域の光に対しては、透明
である必要はない。
【0058】透明層はピンホールなどによる電流を抑制
するためにはむしろ抵抗があった方がよい。ただしこの
抵抗による直列抵抗損失が光起電力素子の変換効率に与
える影響が無視できる範囲でなくてはならない。この様
な観点から単位面積(1cm2)あたりの抵抗の範囲は
好ましくは10-6〜10Ω、更に好ましくは10-5〜3
Ω、最も好ましくは10-4〜1Ωである。
【0059】また透明層の膜厚は透明性の点からは薄い
ほどよいが、表面のテクスチャー構造を取る場合には平
均的な膜厚として1000オングストローム以上必要で
ある。また信頼性の点からこれ以上の膜厚が必要な場合
もある。
【0060】透明層の堆積には、抵抗加熱や電子ビーム
による真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法、CVD法、スプレーコート法等が用いられ
る。この場合も図4に示したスパッタリング装置が使用
できる。ただし酸化物ではターゲットとして酸化物その
ものを用いる場合と、金属(Zn、Sn等)のターゲッ
トを用いる場合がある。後者の場合では、堆積室にAr
と同時に酸素を流す必要がある(反応性スパッタリング
法と呼ばれる)。
【0061】また透明層の比抵抗を制御するためには適
当な不純物を添加すると良い。導電性酸化物の比抵抗を
高めたい時には、その添加により抵抗を適度に高める物
が好ましい。例えばn型の半導体である透明層にアクセ
プター型の不純物(例えばZnOにCu、SnO2にA
l等)を適当量加えて真性化し抵抗を高めることができ
る。また不純物の添加が耐薬品性を高める場合が多い。
透明膜へ不純物を添加するには蒸発源やターゲットに所
望の不純物を添加しても良いし、特にスパッタリング法
では普通、ターゲットの上に不純物を含む材料の小片を
置いても良い。
【0062】(裏面反射層のテクスチャー構造)本発明
の少なくとも金属層と透明層よりなる裏面反射層は、テ
クスチャー構造を有することにより光閉じ込めが起こり
好ましい。
【0063】光閉じ込めが起こる理由としては、金属層
がテクスチャー構造を取っていることによる金属層での
光の散乱が考えられる。また半導体層の表面が透明層と
同様なテクスチャー構造になると光の位相差による光の
散乱が起こり易く光トラップの効果が高い。ただし実験
1の試料1g〜1jの表面の様な細かなテクスチャー構
造には乱反射を増大させる効果はない。このような場
合、より成膜速度を遅くする、膜厚を厚くするといった
方法で金属層の乱反射率を高めることは可能であり、ま
た金属層成膜前にテクスチャー構造を作製したり、透明
層をテクスチャー構造とすることでも光閉じ込めは起こ
り、入射光の有効利用はできる。
【0064】(基板101)基板としては各種の金属が
用いられる。中でもステンレススチール板、亜鉛鋼板、
アルミニウム板、銅板等は、価格が比較的低く好適であ
る。これらの金属板は、一定の形状に切断して用いても
良いし、板厚によっては長尺のシート状の形態で用いて
も良い。この場合にはコイル状に巻く事ができるので連
続生産に適合性がよく、保管や輸送も容易になる。又用
途によってはシリコン等の結晶基板、ガラスやセラミッ
クスの板を用いる事もできる。基板の表面は研磨しても
良いが、例えばブライトアニール処理されたステンレス
板の様に仕上がりの良い場合にはそのまま用いても良
い。
【0065】(半導体層104)本発明の光起電力素子
に特に好適に用いられる半導体材料としては、a−S
i:H(水素化非晶質シリコンの略記)、a−Si:
F、a−Si:H:Fなどの非晶質半導体材料、μC−
Si:H(水素化微結晶シリコンの略記)、μC−S
i:F、μC−Si:H:Fなどの微結晶半導体材料な
どが挙げられる。
【0066】また、半導体層は価電子制御及び禁制帯幅
制御を行うことができる。具体的には半導体層を形成す
る際に価電子制御又は禁制帯幅制御剤となる元素を含む
原料化合物を単独で、又は堆積膜形成用原料ガス又は希
釈ガスに混合して成膜空間内に導入してやれば良い。
【0067】また、半導体層は、価電子制御によって、
少なくともその一部が、p型およびn型にドーピングさ
れ、少なくとも一組のpin接合を形成する。
【0068】また、半導体層の形成方法としては、マイ
クロ波プラズマCVD法、RFプラズマCVD法、光C
VD法、熱CVD法、MOCVD法などの各種CVD法
によって、あるいはEB蒸着、MBE、イオンプレーテ
ィング、イオンビーム法等の各種蒸着法、スパッタ法、
スプレー法、印刷法などによって、形成される。工業的
に採用されている方法としては、原料ガスをプラズマで
分解し、基板状に堆積させるプラズマCVD法が好んで
用いられる。また、反応装置としては、バッチ式の装置
や連続成膜装置などが所望に応じて使用できる。
【0069】以下、本発明の光起電力素子に特に好適な
シリコン系非単結晶半導体材料を用いた半導体層につい
て、さらに詳しく述べる。
【0070】(1)i型半導体層(真性半導体層) シリコン系非単結晶半導体材料を用いた光起電力素子に
於いて、pin接合に用いるi型層は照射光に対してキ
ャリアを発生輸送する重要な層である。i型層として
は、僅かp型、僅かn型の層も使用できるものである。
【0071】シリコン系非単結晶半導体材料には、上述
のごとく、水素原子(H,D)またはハロゲン原子
(X)が含有され、これが重要な働きを持つ。i型層に
含有される水素原子(H,D)またはハロゲン原子
(X)は、i型層の未結合手(ダングリングボンド)を
補償する働きをし、i型層でのキャリアの移動度と寿命
の積を向上させるものである。またp型層/i型層、n
型層/i型層の各界面の界面準位を補償する働きをし、
光起電力素子の光起電力、光電流そして光応答性を向上
させる効果のあるものである。
【0072】i型層に含有される水素原子または/及び
ハロゲン原子は1〜40at%が最適な含有量として挙
げられる。特に、p型層/i型層、n型層/i型層の各
界面側で水素原子または/及びハロゲン原子の含有量が
多く分布しているものが好ましい分布形態として挙げら
れ、該界面近傍での水素原子または/及びハロゲン原子
の含有量はバルク内の含有量の1.1〜2倍の範囲が好
ましい範囲として挙げられる。更にシリコン原子の含有
量に対応して水素原子または/及びハロゲン原子の含有
量が変化していることが好ましいものである。
【0073】非晶質シリコン、微結晶シリコンは、ダン
グリングボンドを補償する元素によって、a−Si:
H、a−Si:F、a−Si:H:F、μC−Si:
H、μC−Si:F、μC−Si:H:F等と表記され
る。
【0074】さらに、本発明の光起電力素子に好適なi
型半導体層の特性としては、水素原子の含有量(CH
が、1.0〜25.0%、AM1.5、100mW/c
2の擬似太陽光照射下の光電導度(σp)が、1.0
×10-7S/cm以上、暗電導度(σd)が、1.0×
10-9S/cm以下、コンスタントフォトカレントメソ
ッド(CPM)によるアーバックエナジーが、55me
V以下、局在準位密度は1017/cm3以下のものが好
適に用いられる。
【0075】(2)ドーピング層(p型半導体層または
n型半導体層) ドーピング層(p型半導体層またはn型半導体層)も、
本発明の光起電力素子の特性を左右する重要な層であ
る。
【0076】ドーピング層の非晶質材料(a−と表示す
る)あるいは微結晶材料(μc−と表示する)として
は、例えばa−Si:H,a−Si:HX,a−Si
C:H,a−SiC:HX,a−SiGe:H,a−S
iGe:HX,a−SiGeC:H,a−SiGeC:
HX,a−SiO:H,a−SiO:HX,a−Si
N:H,a−SiN:HX,a−SiON:H,a−S
iON:HX,a−SiOCN:H,a−SiOCN:
HX,μc−Si:H,μc−Si:HX,μc−Si
C:H,μc−SiC:HX,μc−SiO:H,μc
−SiO:HX,μc−SiN:H,μc−SiN:H
X,μc−SiGeC:H,μc−SiGeC:HX,
μc−SiON:H,μc−SiON:HX,μc−S
iOCN:H,μc−SiOCN:HX,等にp型の価
電子制御剤(周期率表第III族原子B,Al,Ga,
In,Tl)やn型の価電子制御剤(周期率表第V族原
子 P、As,Sb,Bi)を高濃度に添加した材料が
挙げられる。
【0077】多結晶材料(poly−と表示する)とし
ては、例えばpoly−Si:H,poly−Si:H
X,poly−SiC:H,poly−SiC:HX,
poly−SiO:H,poly−SiO:HX,po
ly−SiN:H,poly−SiN:HX,poly
−SiGeC:H,poly−SiGeC:HX,po
ly−SiON:H,poly−SiON:HX,po
ly−SiOCN:H,poly−SiOCN:HX,
poly−Si,poly−SiC,poly−Si
O,poly−SiN,等にp型の価電子制御剤(周期
率表第III族原子 B,Al,Ga,In,Tl)や
n型の価電子制御剤(周期率表第V族原子P,As,S
b,Bi)を高濃度に添加した材料が挙げられる。
【0078】特に光入射側のp型層またはn型層には、
光吸収の少ない結晶性の半導体層かバンドギャップの広
い非晶質半導体層が適している。
【0079】またp型層またはn型層に含有される水素
原子(H,D)またはハロゲン原子はp型層またはn型
層の未結合手を補償する働きをしp型層またはn型層の
ドーピング効率を向上させるものである。p型層または
n型層へ添加される水素原子またはハロゲン原子の好適
な量は好ましくは0.1%から50%、より好ましく
は、1%から40%が望ましい。p型層またはn型層が
結晶性の場合、水素原子またはハロゲン原子は0.1%
〜10%が最適量として挙げられる。
【0080】光起電力素子のp型層及びn型層の電気特
性としては活性化エネルギーが0.2eV以下のものが
好ましく、0.1eV以下のものが最適である。また非
抵抗としては100Ωcm以下が好ましく、1Ωcm以
下が最適である。さらにp型層及びn型層の層厚は1〜
50nmが好ましく、3〜10nmが最適である。
【0081】(3)半導体層の形成方法 本発明の光起電力素子の半導体層として、好適なシリコ
ン系非単結晶半導体材料を形成するために、好適な製造
方法は、高周波を用いたプラズマCVD法である。高周
波の周波数は3MHz〜3GHzが好ましい範囲として
あげられる。
【0082】本発明の光起電力素子に好適なシリコン系
非単結晶半導体層の堆積に適した原料ガスとしては、シ
リコン原子を含有したガス化し得る化合物を挙げること
ができる。
【0083】具体的にシリコン原子を含有するガス化し
得る化合物としては、鎖状または環状シラン化合物が用
いられ、具体的には例えば、SiH4,Si26,Si
4,SiFH3,SiF22,SiF3H,Si38
SiD4,SiHD3,SiH22,SiH3D,SiF
3,SiF22,Si233,(SiF25,(Si
26,(SiF24,Si26,Si38,Si22
4,Si233,SiCl4,(SiCl25,Si
Br4,(SiBr25,Si2Cl6,SiHCl3,S
iH2Br2,SiH2Cl2,Si2Cl33などのガス
状態のまたは容易にガス化し得るものが挙げられる。
【0084】また、価電子制御するためにp型層または
n型層に導入される物質としては周期率表第III族原
子及び第V族原子が挙げられる。
【0085】第III族原子導入用の出発物質として有
効に使用されるものとしては、具体的にはホウ素原子導
入用としては、B26,B410,B59,B511,B
610,B612,B614等の水素化ホウ素、BF3,B
Cl3,等のハロゲン化ホウ素等を挙げることができ
る。このほかにAlCl3,GaCl3,InCl3,T
lCl3等も挙げることができる。特にB26,BF3
適している。
【0086】第V族原子導入用の出発物質として有効に
使用されるのは、具体的には燐原子導入用としてはPH
3,P24等の水素化燐、PH4I,PF3,PF5,PC
3,PCl5,PBr3,PBr5,PI3等のハロゲン
化燐が挙げられる。このほかAsH3,AsF3,AsC
3,AsBr3,AsF5,SbH3,SbF3,Sb
5,SbCl3,SbCl5,BiH3,BiCl3,B
iBr3等も挙げることができる。特にPH3,PF3
適している。
【0087】また前記ガス化し得る化合物をH2,H
e,Ne,Ar,Xe,Kr等のガスで適宜希釈して堆
積室に導入しても良い。
【0088】特に微結晶あるいは多結晶半導体やa−S
iC:H等の光吸収の少ないかバンドギャップの広い層
を堆積する場合は水素ガスで原料ガスを希釈し、高周波
パワーは比較的高いパワーを導入するのが好ましいもの
である。
【0089】(透明電極108)本発明に於て、透明電
極108は光を透過する、光入射側の電極であるととも
に、その膜厚を最適化する事によって反射防止膜として
の役割も兼ねる。透明電極108は半導体層の吸収可能
な波長領域において高い透過率を有することと、抵抗率
が低いことが要求される。好ましくは、550nmにお
ける透過率が、80%以上、より好ましくは、85%以
上であることが望ましい。また、抵抗率は好ましくは、
5×10-3Ωcm以下、より好ましくは、1×10-3Ω
cm以下であることが望ましい。
【0090】その材料としては、In23、SnO2
ITO(In23+SnO2)、ZnO、CdO、Cd2
SnO4、TiO2、Ta25、Bi23、MoO3、N
xWO3等の導電性酸化物あるいはこれらを混合したも
のが好適に用いられる。また、これらの化合物に、導電
率を変化させる元素(ドーパント)を添加しても良い。
【0091】導電率を変化させる元素(ドーパント)と
しては、例えば透明電極108がZnOの場合には、A
l、In、B、Ga、Si、F等が、またIn23の場
合には、Sn、F、Te、Ti、Sb、Pb等が、また
SnO2の場合には、F、Sb、P、As、In、T
l、Te、W、Cl、Br、I等が好適に用いられる。
【0092】また、透明電極108の形成方法として
は、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンオン法、デ
ップ法等が好適に用いられる。
【0093】(集電電極109)本発明に於いて、集電
電極109は、透明電極108の抵抗率が充分低くでき
ない場合に必要に応じて透明電極108上の一部分に形
成され、電極の抵抗率を下げ光起電力素子の直列抵抗を
下げる働きをする。その材料としては、金、銀、銅、ア
ルミニウム、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、タン
グステン、チタン、コバルト、タンタル、ニオブ、ジル
コニウム等の金属、またはステンレス等の合金、あるい
は粉末状金属を用いた導電ペーストなどが挙げられる。
そしてその形状は、できるだけ半導体層への入射光を遮
らないように、枝状に形成される。
【0094】また、光起電力素子の全体の面積の中で、
集電電極の占める面積は、好ましくは15%以下、より
好ましくは10%以下、最適には5%以下が望ましい。
【0095】また、集電電極のパターンの形成には、マ
スクを用い、形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、
メッキ法、印刷法などが用いられる。
【0096】なお、本発明の光起電力素子を用いて、所
望の出力電圧、出力電流の光起電力装置(モジュールあ
るいはパネル)を製造する場合には、本発明の光起電力
素子を直列あるいは並列に接続し、表面と裏面に保護層
を形成し、出力の取り出し電極等が取り付けられる。ま
た、本発明の光起電力素子を直列接続する場合、逆流防
止用のダイオードを組み込むことがある。
【0097】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0098】(実施例1)図1の断面模式図に示す構成
のpin型a−Si光起電力素子を作製した。実験1で
作製した試料1d(Mg34at%)の上にZnOター
ゲットを用いて基板温度350℃にて10000オング
ストロームの透明層(ZnO層)103を堆積した。透
明層103の表面はテクスチャー構造である。
【0099】続いて、金属層102と透明層103より
なる裏面反射層の形成された基板1001を図6に示し
た市販の容量結合型高周波CVD装置(アルバック社製
CHJ−3030)にセットした。排気ポンプ1009
にて、反応容器1004の排気管を介して荒引き、高真
空引き操作を行った。この時、基板の表面温度が350
℃になる様、温度制御機構により制御した。
【0100】十分に排気が行われた時点で、ガス導入管
より、SiH4300sccm、SiF44sccm、P
3/H2(1%H2希釈)55sccm、H240scc
mを導入し、スロットルバルブの開度を調整して、反応
容器の内圧を1Torrに保持し、圧力が安定したとこ
ろで、直ちに高周波電源より200Wの電力を投入し
た。プラズマは5分間持続させた。これにより、n型a
−Si層105が透明層103上に形成された。
【0101】再び排気をした後に、今度はガス導入管よ
りSiH4300sccm、SiF44sccm、H2
0sccmを導入し、スロットルバルブの開度を調整し
て、反応容器1004の内圧を1Torrに保持し、圧
力が安定したところで、直ちに高周波電源より150W
の電力を投入し、プラズマは60分間持続させた。これ
によりi型a−Si層106がn型a−Si層105上
に形成された。
【0102】再び排気をした後に、今度はガス導入管よ
りSiH450sccm、BF3/H2(1%H2希釈)5
0sccm、H2500sccmを導入し、スロットル
バルブの開度を調整して、反応容器1004の内圧を1
Torrに保持し、圧力が安定したところで、直ちに高
周波電源より300Wの電力を投入した。プラズマは2
分間持続させた。これによりp型μc−Si層107が
i型a−Si層106上に形成された。
【0103】次に試料を高周波CVD装置より取り出
し、抵抗加熱真空蒸着装置にてITOを堆積した後、塩
化鉄溶液を含むペーストを印刷し、所望の透明電極10
8のパターンを形成した。更にAgペーストをスクリー
ン印刷して集電電極109を形成し薄膜半導体太陽電池
を完成した。
【0104】この方法で10枚の試料を作成し、AM−
1.5の光の下でJscの測定を行なったところ、純A
l金属層の太陽電池より平均で6.1%高い電流値が得
られた。また、これらの10枚の太陽電池を高湿逆バイ
アス試験にかけたところ、RshDkは19kΩより低
下することはなかった。
【0105】(実施例2)図7に示す装置を用いて連続
的に裏面反射層の形成を行った。
【0106】ここで基板送り出し室1101には洗浄済
みの幅350mm、厚さ0.2mm、長さ500mのス
テンレスシートロール1103がセットされている。こ
こからステンレスシート1102はAl層堆積室110
4、金属層堆積室1107、透明層堆積室1110を経
て基板巻き取り室1113に送られて行く。シート11
02は各々の堆積室にて基板ヒーター1105、110
8、1111にて所望の温度に加熱できるようになって
いる。
【0107】ステンレスシート1102は、純度99.
99%のAlターゲット1006の設置してあるAl層
堆積室1004で、基板温度400℃にてテクスチャー
構造のAl層をマグネトロンスパッタリング法により堆
積する。
【0108】その後、金属層堆積室1007の純度9
9.99%のCu−Mg合金ターゲット1109で、D
Cマグネトロンスパッタにより金属層(Cu−Mg合金
層:Mg濃度15at%)を基板昇温なしで1000オ
ングストローム堆積する。
【0109】透明層堆積室1111のターゲット111
2は純度99.99%のZnOで、DCマグネトロンス
パッタにより引き続き透明層(ZnO層)を10000
オングストローム堆積する。
【0110】この上に図8に示す構造のa−Si/a−
SiGeタンデム太陽電池を形成した。
【0111】ここで1201は基板、1202はAl
層、1203は金属層、1204は透明層、1205は
ボトムセル、1209はトップセルである。さらに12
06、1210はn型a−Si層、1208、1212
はp型μc−Si、1207はi型a−SiGe層、1
211はi型a−Si層である。これらの薄膜半導体層
は、米国特許第4,492,181号明細書に記載され
ている様なロール・ツー・ロール型成膜装置を用いて連
続的に製造した。
【0112】また1213は透明電極であり図7の装置
に類似のスパッタリング装置で堆積した。1214は集
電電極である。透明電極1213のパターンニング及び
集電電極1214の形成を行った後シート1102を切
断した。
【0113】こうして全工程を連続的に処理し、量産効
果を上げる事ができた。
【0114】この方法で100枚の試料を作成しAM−
1.5の光の下でJscの測定を行なったところ、平均
で純Al金属層の太陽電池より5.3%高い電流値が得
られた。また高湿逆バイアス試験においても、RshD
kは23kΩより低下する事はなかった。
【0115】(実施例3)表面がテクスチャー処理され
た他は実施例2と同じ形態のステンレス・スティールを
用い、図7の装置を用いてCu−Mg20at%の金属
層および透明層を堆積した。金属層の堆積にAl層堆積
室1104を用いなかった他は、実施例2と同様にして
各層の堆積を行なった。
【0116】その後、図9に示すロールツーロール方式
の光起電力素子形成装置で表1に示す光起電力素子形成
条件で光起電力素子を形成した。
【0117】シート状基板(シート幅35cm)をシー
ト状基板5401導入用のロード室5010にセットし
た。シート状基板5401を全堆積室5020、503
0、5040、5050、5060、5070、508
0、5090、5100、5110、5120、513
0、5140内と全ガスゲート5201〜5214を通
してアンロード室5150のシート巻き取り治具540
2に接続した。
【0118】各堆積室5020、5030、5040、
5050、5060、5070、5080、5090、
5100、5110、5120、5130、5140を
不図示の排気装置で10-3Torr以下に排気した。
【0119】各堆積膜形成用のミキシング装置502
6、5036、5046、5056、5066、507
6、5086、5096、5106、5116、512
6、5136、5146から水素ガスを各堆積室502
0、5030、5040、5050、5060、507
0、5080、5090、5100、5110、512
0、5130、5140に供給した。
【0120】各ガスゲート5201〜5214に各ゲー
トガス供給装置5301〜5314から水素ガスをに供
給した。本実施例では、ガスゲート5201〜5214
のシート状基板5401を通過する間隔を1mmとした
ので、水素ガスは1000sccm流した。
【0121】各堆積装置の基板加熱用ヒーターで基板5
401を表1に示す基板温度に加熱した。基板温度が安
定したら各堆積室5020、5030、5040、50
50、5060、5070、5080、5090、51
00、5110、5120、5130、5140に供給
している水素ガスを、各堆積室5020、5030、5
040、5050、5060、5070、5080、5
090、5100、5110、5120、5130、5
140で堆積する表1に示す原料ガスに切り替えた。
【0122】原料ガスの切替が終了したら、各排気装置
の排気バルブの開閉度を調節して各堆積室5020、5
030、5040、5050、5060、5070、5
080、5090、5100、5110、5120、5
130、5140を表1に示す真空度に調節し、シート
状基板5401の搬送を始めた。
【0123】真空度が安定したら、各堆積室5020、
5030、5040、5050、5060、5070、
5080、5090、5100、5110、5120、
5130、5140にプラズマ発生用の以下に示すRF
電力やMW電力を供給した。
【0124】以上の様にしてシート状基板100m上に
pin構造を3つ積層した光起電力素子を形成した。
【0125】この方法で100枚の試料を作製し、AM
−1.5のソーラーシミュレーターにてJscの測定を
行なった。純Al金属層を用いた太陽電池で得られる電
流値より平均で6.4%高い値が得られ高湿逆バイアス
試験も問題はなかった。
【0126】
【表1】
【0127】
【発明の効果】本発明により反射率が高くしかも耐マイ
グレーションに優れた裏面反射層が得られ、その結果高
信頼性かつ高変換効率の光起電力素子を得ることができ
る。また、裏面反射層の主材料となる銅やマグネシウム
は安価であるため、低コストでの量産も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の構成の一例を示す断面
模式図。
【図2】種々の金属の反射率を示すグラフ。
【図3】テクスチャー構造の裏面反射層を用いた事によ
る入射光の吸収の増加を示すグラフ。
【図4】DCマグネトロンスパッタ装置の概略図。
【図5】Mg濃度と800nmでの反射率の関係を示す
グラフ。
【図6】容量結合型高周波CVD装置の概略図。
【図7】連続式の裏面反射層形成装置の概略図。
【図8】本発明の光起電力素子の構成の他の例を示す断
面模式図。
【図9】ロールツーロール方式の光起電力素子形成装置
の概略図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、少なくとも金属層と透明層よ
    りなる裏面反射層、半導体層、及び透明電極を少なくと
    も有する光起電力素子において、該金属層がマグネシウ
    ム濃度が40at%以下である銅−マグネシウム合金で
    あることを特徴とする光起電力素子。
  2. 【請求項2】 基板上に、少なくとも金属層と透明層よ
    りなる裏面反射層、半導体層、及び透明電極を少なくと
    も有する光起電力素子において、該金属層が波長700
    〜1000nmの光に対し90%以上の反射率を示し、
    電気化学的マイグレーションを起こさない銅−マグネシ
    ウム合金であることを特徴とする光起電力素子。
  3. 【請求項3】 基板上に、少なくとも金属層と透明層よ
    りなる裏面反射層、半導体層、及び透明電極を少なくと
    も有する光起電力素子において、該金属層のマグネシウ
    ム濃度が40at%以下であり、その反射率が700〜
    1000nmの光に対し90%以上である銅−マグネシ
    ウム合金からなることを特徴とする光起電力素子。
  4. 【請求項4】 金属層が、銅とマグネシウムのモザイク
    ターゲットまたは合金ターゲットを用い、スパッタリン
    グにより形成されたことを特徴とする請求項1〜3に記
    載の光起電力素子。
  5. 【請求項5】 少なくとも裏面反射層がテクスチャー構
    造を有することを特徴とする請求項1〜4に記載の光起
    電力素子。
  6. 【請求項6】 半導体層が薄膜半導体よりなることを特
    徴とする請求項1〜5に記載の光起電力素子。
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