JPH106493A - インクジェットインク - Google Patents
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- JPH106493A JPH106493A JP9071169A JP7116997A JPH106493A JP H106493 A JPH106493 A JP H106493A JP 9071169 A JP9071169 A JP 9071169A JP 7116997 A JP7116997 A JP 7116997A JP H106493 A JPH106493 A JP H106493A
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Abstract
ず、安価で実用性に有効なインク間のブリードを低減す
る。 【解決手段】染料ベースのインクに陽イオン界面活性剤
を添加することで、顔料ベースのインクの負帯電分散剤
と界面活性剤の陽イオンと対イオンの相互作用によって
安定な界面を形成し、これらインク間のブリードが制御
される。
Description
・プリンティングに用いられるインクジェット・インク
に関し、より詳細には、隣接してプリントされるカラー
間のブリード(にじみ)を軽減するため、ポリプロポキ
シ第四級酢酸アンモニウム(polypropoxy quaternary am
monium acetate)等の陽イオン界面活性剤を染料ベース
のインクジェットのためのインク組成物に添加すること
に関する。
ク滴が特定の順序でプリント媒体上に付着されてその上
に英数字文字、塗りつぶし(area fills)及びその他のパ
ターンを形成する非衝突プリンティング・プロセスであ
る。低コストで出力の品質が高く、比較的雑音のない動
作と合わせて、インクジェット・プリンタは、コンピュ
ータ汎用型の他方式プリンタに代わる普及しているプリ
ンタとなっている。
プリンティング・プロセスは、マイクロプロセッサによ
って生成された電気信号に応答して、紙、透明フィルム
又は織物のようなプリント媒体上に微細なインク滴を噴
射するものである。インクジェット・プリンティングに
おいて、インク滴噴射を遂行するのに現在利用できる基
本的手段は、熱的に行うものと圧電式の2通りがある。
サーマルインクジェット・プリンティングでは、インク
滴噴射のエネルギは、マイクロプロセッサからの電気信
号に応答して急速に加熱され、気泡を生成する電気加熱
抵抗素子によってつくられ、結果的に、その抵抗素子に
結合されたノズルを通してインクの噴出が行われる。圧
電式インクジェット・プリンティングでは、これも、マ
イクロプロセッサで生成された電気信号に応答して、圧
電素子が振動してインク滴を噴射する。
プリンタ、例えば、ヒューレット・パッカード・カンパ
ニーのDeskJet(登録商標)プリンタでは、カラースペ
クトルは、シアン、マゼンタ及びイエローのインクを様
々な比率で組み合わせることによって達成される。その
ようなプリンタでは、必要なカラーの組合せを得るの
に、典型的には、三原色カラーインクとブラックインク
を含む4ペンセットを用いる。そのシアン、マゼンタ及
びイエローインクは、それぞれ、シアン、マゼンタ及び
イエローの着色剤からそれらの色相を引き出す。
用できる。従って、インクジェット・インクは、染料ベ
ース又は顔料ベースの何れかの組成物として市販されて
いる。2つのうち、染料ベースのインクジェットのため
のインク組成物がはるかに広範囲に利用されている。染
料ベースのインクジェットのためのインク組成物は、一
般に、水性ベースであり、染料をベヒクルに溶解させる
ことによって調製される。インクジェット・インク組成
物に使われる染料分子は、染料院イオンとナトリウム又
はテトラメチルアンモニウム(TMA)のような陽イオンか
ら作られる染料塩の形をしばしばしている。限定された
数の顔料ベースのインクジェット・インクも用いられて
おり、これは、一般に、分散剤によって水溶液に分散さ
れた顔料から成る。顔料は、耐水堅牢性(waterfastnes
s)及び耐光堅牢性(lightfastness)という極めて望まし
い性質を示すとはいえ、水性媒体で固まるというそれら
本来の性向並びに均一なサイズ分布の欠如から、染料ベ
ースのインクに比べインクジェット・インク組成物とし
てそれらを採用しようという業界の熱意を鈍らせたので
ある。
08/234,209号において、染料ベースと顔料ベースのイン
クの最適混合率を採用しているインクジェット・インク
セットが開示されている。特に、ここには、顔料ベース
のブラックインクが拡散されている1つのプリントカー
トリッジと少なくとも1つの水混和性染料ベースのイン
クを拡散させる少なくとも1つのプリントカートリッジ
を用いることが開示されている。該カラーインクジェッ
ト・プリンタは、染料ベースのカラーインクを用いるこ
とで比較的容易なプリンタ機能も達成しながら、ブラッ
ク(黒色)顔料ベースのインクのもつ耐水堅牢性と耐光
堅牢性に便乗して両方とも優れたテキスト品質を実現す
るものである。
あるかに関係なく、インクジェット・インクは、通常、
ブリードの発生に見舞われる。ここで用いられる、用語
「ブリード」は、カラー間のぎざぎざした境界で見られ
るような、あるカラーが他のカラーに侵入であると定義
されるものである。ブリードは、紙サブストレートの表
面上並びにサブストレートの内部において複数のカラー
が混ざり合う時に生ずる。ブリードの発生は、ブラック
インクと隣接してプリントされたカラーインクとの間で
は、それがいっそう目立つので、特に問題となる。故
に、良好な印刷品質を得るためには、カラー間の境界
が、はっきりしており且つ1つのカラーの他への侵入が
ないよう、ブリードを軽減もしくは除去しなければなら
ない。
リード問題に関する種々の解決方法が提案されている。
いくつかの解決方法は、ブリード低減のためにインク環
境を変えることが関連している。例えば、ブリード低減
のため、特殊調合の紙と共に、加熱したプラテン及び他
の熱源が用いられた。しかし、加熱プラテンはプリンタ
のコスト高となり、又、特殊調合紙は普通紙より価格が
高い。このように、インクジェットカラー・プリンティ
ングでブリードを低減させるために外的な装置を使うこ
とは、概して、コスト効率がわるい。
ードを低減させるため、インクジェット・インクの組成
を変更することが含まれる。例えば、界面活性剤は、紙
中へのインクの浸透速度を高めるのに使われてきた。米
国特許第5,116,409号は、両性界面活性剤もしくはイオ
ン性又は非イオン性両親媒性物質(non-ionic amphiphil
es)をそれらの臨界ミセル濃度を上回る濃度で使うこと
により、ブリード制御を達成する方法が開示されてい
る。しかし、ブリード制御を達成する界面活性剤の添加
は、エッジ尖鋭度の低下の原因となることも知られてい
る。
いう特定の問題に対する解決方法は、米国特許第5,198,
023号に開示されており、この場合は、塩化カルシウム
及び塩化マグネシウムのような多価陽イオンを約1〜10
wt%の範囲の濃度でイエローカチオンに添加してイエロ
ーとブラックインク間のブリードを防ぐものである。他
の陰イオンには、塩化物の陰イオンとは別に、フッ化物
及び硝酸塩の陰イオンがある。カルシウム及びマグネシ
ウム等の多価(multi-valent)陽イオンは、ブリードの制
御には有効であるが、それらはまた、多くの染料の選択
で不安定であり、それ故、インクジェット・インク組成
物の調製を制限する。その上、硝酸塩は毒性があり、従
って、インクジェット・インク組成物では避けなければ
ならない。
減する別の方法は、本願出願人が出願した米国特許出願
第08/567,974に開示されているようなpH-感応性染料の
使用に関わるものである。そこに開示されていること
は、1つのインクジェット・インクが、pH-感応性着色
剤を含有し、第二のインクジェット・インクがそれと接
触するとpH-感応性着色剤の沈殿を誘発させることがで
きる適切なpHに緩和される。約0.5から20 wt%の範囲に
ある濃度の有機酸を第二のインクジェット・インクに用
いて、pH-感応性着色剤を不溶性にするのに要するpH差
を縮小する。2つのインク間のブリードを減ずるこの手
段は有効であるが、十分なpH差を得るために必要な低め
のpHは、遊離酸の存在と共に、材料の相容性問題を提起
することもある。
ト・インク間のブリードを効果的に制御する手段であっ
て、インク調製に際しより大きな柔軟性を備え、プリン
タの部品に対して比較的に非毒性且つ非腐食性であり、
エッジ尖鋭度を犠牲にしない手段を求める要求は存在す
るのである。加えて、ブリードを制御する手段は、容易
に実行されるもので且つコスト有効的でなければならな
い。
ドを低減するための1セットのインクジェット・インク
と方法を提供する。インクジェット・インクのセット
は、少なくとも1つの染料ベースのインクジェット・イ
ンク組成物と少なくとも1つの顔料ベースのインク組成
物とから構成されるもので、染料ベースのインクジェッ
ト・インク組成物は、少なくとも1つの陽イオン界面活
性剤を含み、顔料ベースのインクジェット・インク組成
物は、分散剤等の少なくとも1つの負に帯電した成分を
含むものである。染料ベースのインクの陽イオン界面活
性剤は、顔料ベースのインク中の負に帯電した分散剤へ
引き付けられる一方、染料ベースと顔料ベースのインク
間の界面は、陽イオン界面活性剤に対して負に帯電した
対イオンによって安定化され、従って、それらが互いに
隣接してプリントできるよう染料ベースと顔料ベースの
インク間のブリードを制御することになる。
顔料ベース・インクに調製した陽イオン界面活性剤含有
の染料ベースのインクジェット・インクを用いてブリー
ドを制御する方法は、他のブリード制御方法がもつ上述
の不都合を克服するものである。より詳細には、本方法
は、高度に毒性であるか又は腐食性の成分をインクジェ
ット・インク組成物には導入しない。それは、特に、既
にブラック顔料ベースのインクと染料ベースのカラーイ
ンクを使っているインクジェット・プリンタで容易に実
施され、コスト有効的であり、カラーインクとブラック
インク間のブリード制御を達成するのに一般的に必要な
ことは、適度な量の陽イオン界面活性剤を染料ベースの
カラーインクに添加することだけである。顔料ベース・
インクのように、それは、染料ベース・インクより良好
なエッジ尖鋭度を実現できるので、該インクセットにお
けるブラックインクのエッジ尖鋭度が犠牲になることは
ない。最後に、それ以外の利点としては、陽イオン界面
活性剤によって、ブリードを軽減するのに界面活性剤だ
けを用いる従来の装置を介して、染料ベース・インク間
のある程度のブリード制御が達成できることである。
パッカード・カンパニーのDeskJet(登録商標)サーマル
インクジェット・プリンタ等のインクジェット・カラー
プリンタと併用してブリード低減を達成できるインクジ
ェット・インクセットを対象としている。特に、インク
ジェット・インクセットは、少なくとも1つの染料ベー
ス・インクジェット・インク組成物と少なくとも1つの
顔料ベースインクジェット・インク組成物とから成り、
その時に、染料ベース・インクジェット・インク組成物
は、少なくとも1つの陽イオン界面活性剤を含有し且つ
顔料ベース・インクジェット・インク組成物は、少なく
とも1つの負に帯電した成分、例えば、分散剤、を含有
する。このインクセットを使えば、染料ベース・インク
ジェット・インクと顔料ベース・インクジェット・イン
ク間のブリードの低減が達成されるのである。
の純度は、通常の業務上の実施においてインクジェット
・インクとして採用されているものであることを留意す
べきである。重量パーセントは、別途表示されない限
り、全インク組成物の百分率を表す。
ベース・インクジェット・インク組成物に添加する。陽
イオン界面活性剤は、染料ベース・インクジェット・イ
ンク組成物において約0.5〜5 wt%の範囲の濃度で存在す
ることが好ましい。陽イオン界面活性剤の濃度が約0.5
wt%未満では、負帯電分散剤と相互作用して安定化界面
を形成するには不十分であるし、一方、約5 wt%を上回
る濃度では、プリント品質、例えば、エッジ尖鋭度に逆
影響を与えるかも知れない。好ましくは、陽イオン界面
活性剤は、染料ベース・インクジェット・インクに対し
て約3 wt%の濃度で用いる。
る陽イオン界面活性剤はどれも本発明の実施において用
いてよいものとする。本発明の実施において適切に用い
てよい陽イオン界面活性剤の例としては、これらに本願
は限定はされないが、ポリプロポキシ第四級酢酸アンモ
ニウムとポリプロポキシ第四級塩化アンモニウムがあ
る。該界面活性剤は、例えば、WITCO社からEmcolシリー
ズとして市販されている。より詳細には、Emcol CC-55
(MW 3,000)は、ポリプロポキシ第四級酢酸アンモニウム
であり、一方、Emcol CC-9(MW 600)、Emcol CC-36(MW
1,600)及びEmcol CC-42(MW 2,500)は、ポリプロポキシ
第四級塩化アンモニウムである。これらの界面活性剤の
分子量は、それらの炭化水素の鎖長に正比例する。ポリ
プロポキシ第四級酢酸アンモニウムの界面活性剤は、酢
酸塩の対イオンを有し、一方、ポリプロポキシ第四級塩
化アンモニウムの界面活性剤は、塩化物の対イオンを有
する。適度に大きい対イオンと会合させた陽イオン界面
活性剤はどれも発明の実施において適切に用いてよいも
のとする。陽イオン界面活性剤の成分は、適当な界面活
性剤の混合物であってもよい。ポリプロポキシ第四級酢
酸アンモニウム、例えば、CC-55は、本発明の実施にお
いて望ましいものである。
と会合させてよい大きい対イオンの例としては、本願は
これらに限定されるものではないが、酢酸塩、ギ酸塩、
塩化物、グルコン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、グルタ
ル酸塩、マロン酸塩、カルボン酸塩、フマル酸塩、リン
ゴ酸塩、セバシン酸塩、アジピン酸塩、ステアリン酸
塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩及びクエ
ン酸塩がある。好ましくは、酢酸塩対イオンを用いる。
に係るインクジェット・インクを調製する上で重要な要
件である。界面活性剤の分子量が増加すると、その電荷
密度が減少し、よって、その界面活性剤を負帯電染料に
対してより良性にし、従って、前述の染料の沈殿をほと
んど誘発しない。陽イオン界面活性剤の電荷密度を減ず
るため、非四級化(non-quaternized)界面活性剤の前駆
体をインク組成物に添加してよい。非四級化界面活性剤
の前駆体は、もし使うなら、帯電陽イオン界面活性剤と
1:1のモル比まで添加することが好ましい。
ンクジェット・インク組成物の陽イオン界面活性剤と共
に用いてもよい。インクジェット・インク組成物に陽イ
オン界面活性剤と共に用いてもよい非イオン性界面活性
剤の例には、本願がこれらに限定されるものではない
が、第二級アルコールエトキシレート、ノニルフェニル
エトキシレート及びアセチレングリコールベースの非イ
オン性物質がある。
用いる染料ベース・インクジェット・インク組成物は、
負帯電分散剤を有する顔料ベース・インクジェット・イ
ンク組成物と配合されるとブリード制御において低減を
達成する。本発明の実施において得られるブリード制御
のメカニズムは、何ら特殊な理論によるものではなく、
陽イオン界面活性剤と負の分散剤(dispersant)の間の相
互作用を利用する染料ベースと顔料ベースのインク間の
安定な界面の形成に依存する。より詳細には、これらの
界面活性剤は、正の基(group)と負の基を有し、そのう
ち正の基がより優勢である。例えば、Emcol CC-55は優
勢な正の基(即ち、アミン基)と対イオン基(即ち、酢
酸塩)を有している。陽イオン界面活性剤における正の
基は、負帯電分散剤の方へ引き付けられる。しかし、陽
イオン界面活性剤のうち負帯電の基、即ち、対イオンの
いくらかは界面活性剤から出て、正の基と分散剤間の引
力に逆らうように作用し、それによって、その間に安定
界面を形成してインクが相互に浸透するのを防ぐ。界面
では、界面活性剤分子は、それらのデュアルヘッド基が
顔料ベース・インクの方に対面し、それらの疎水性テー
ルが外側に向き、染料ベース・カラーインクに対する障
壁として作用する。このように、陽イオン界面活性剤の
正帯電基とその対イオンは、本願発明の方法において同
様に重要な役割を担うのである。
ードを低減するためにある量の対イオンを染料ベースの
インクジェット・インク組成物に添加する。例えば、ポ
リプロポキシ第四級酢酸アンモニウムが使われる場合、
アセテートイオン又は他の大型イオンの過剰の量を、好
ましくは、染料ベースのインクに導入して、染料ベース
・インクと顔料ベース・インク間に正により安定な界面
を実現する。特に、染料ベース・インクに過剰の対イオ
ンの添加によって、対イオンがそこから出るよりはむし
ろ界面活性剤に付着するような平衡状態が成立し、その
結果、界面活性剤全部が、正及び負の両帯電基と共に界
面に移動して、染料ベース・インクと顔料ベース・イン
ク間により安定な界面を生ずる。それらが移動して出る
場合でも、大型の対イオンは、界面で集積する傾向があ
る。Emcol CC-55に関しては、過剰の酢酸塩対イオン
は、酢酸アンモニウムを染料ベース・インクに添加する
ことによって供給してよい。上に与えられた適当な対イ
オンのリストを含む、種々の対イオンは、そのように用
いてよいものとし、且つ過剰の対イオンは、陽イオン界
面活性剤と既に会合した同一の対イオンである必要はな
いものとする。過剰の対イオンは、インクジェット・イ
ンク組成物に通常含有されているような任意のカチオ
ン、例えば、ナトリウム、リチウム、テトラメチルアン
モニウム及びカリウムと適切に会合させてよい。過剰の
対イオンは、好ましくは、陽イオン界面活性剤の量と添
加対イオンの種類に依存して、約2〜10 wt%の濃度で染
料ベース・インクに添加する。当業者による日常的実験
で、インクジェット・インク組成物に添加すべき過剰の
対イオンの適当な濃度を容易に決定することができる。
クジェット・インク組成物の着色剤は、アニオン又はカ
チオンを問わず、インクジェット・プリンタにおける使
用に適する水溶性染料であればどれでもよいものとす
る。アニオン染料の例には、限定するものではないが、
Food Black 2, Direct Black 19, Acid Blue 9, Direct
Blue 199, Direct Red 227及びAcid Yellow 23がある。
カチオン染料の例には、限定するものではないが、Basi
c Blue 3, Basic Violet 7, Basic Yellow 13,及びBasi
c Yellow 51がある。本発明の実施には、好ましくは、
カチオン染料を用いる。該染料の濃度は、好ましくは、
約0.1〜7 wt%の範囲に入る。約0.1 wt%未満では、許容
できない明度をもつインクとなり、一方、約7 wt%を越
える場合は、インクジェット・ペンのオリフィスが閉塞
する。より好ましくは、染料は、約0.1〜4 wt%の範囲内
で存在する。染料の混合物も使ってよい。
ヒクルは、着色剤及びインクジェット・インクセットの
他のインクと相容性であるような、商業上に用いられて
いるベヒクル成分から構成される。ベヒクルは、好まし
くは、陽イオン界面活性剤成分に加え、少なくとも1つ
のジオール、少なくとも1つのグリコールエーテル、2-
ピロリドン、界面活性剤及び殺生物剤のような他の成分
と緩衝液と水から成る。より詳細には、染料ベースのイ
ンクジェット・インク組成物のベヒクルは、好ましく
は、全インク組成の百分率として表した次の濃度を含有
する:(a)約3〜20wt%の少なくとも1つのジオール;(b)
約5 wt%未満の少なくとも1つのグリコールエーテル;
(c)約3〜9 wt%の2-ピロリドン;(d)約0.5〜5 wt%の陽イ
オン界面活性剤;(e)(f)非イオン性界面活性剤、殺生物
剤及びインクpHを得られる程の十分な量が添加される緩
衝液から成る群から選択される約5 wt%未満の少なくと
も1つの化合物;(g)バランスをとる量の水。上述のベ
ヒクルが望ましいが、インクジェット・インク組成物に
適した水性ベースのベヒクルならどれでも本発明の実施
において利益を得ることができる。
切に使用できるジオールの例には、エタンジオール(例
えば、1,2-エタンジオール);プロパンジオール(例え
ば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-
エチル-2-ヒドロキシ-メチル-1,3-プロパンジオール、
エチルヒドロキシ-プロパンジオール(EHPD)等);ブタ
ンジオール(例えば、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタン
ジオール等);ペンタンジオール(例えば、1,5-ペンタ
ンジオール);ヘキサンジオール(例えば、1,6-ヘキサンシ゛オ
ール、2,5-ヘキサンジオール等)のような化合物の何れ
か、又は2つ以上の混合物が含まれる。好ましくは、染
料ベース・インクのベヒクルには、1,5-ペンタンジオー
ルとEHPDを用いる。
ちグリコールエーテルの化合物は、インクジェット・プ
リンティングに使用されるインクに通常用いられるグリ
コールエーテルとチオグリコールエーテルの何れか、又
はその混合物から成ってよい。該化合物の例には、ポリ
エチレングリコールのようなポリアルキレングリコール
(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、テトラエチレングリコール等);ポリプロピレン
グリコール(例えば、ジプロピレングリコール、トリプ
ロピレングリコール、テトラプロピレングリコール
等);高分子グリコール(例えば、PEG 200、PEG 300、
PEG 400、PPG 400等);チオジグリコールがある。好ま
しくは、インク・ベヒクルにジエチレングリコールを用
いる。
ンタンジオールとグリコール成分の好ましい濃度は、以
下の式によって与えられる。 2× [DEG] + [ペンタンジオール]= 約6〜10 wt% ここでは、角括弧は重量パーセントの濃度を表す。EHPD
は別に考慮し、好ましくは、約6〜9 wt%の範囲の量で染
料ベース・インクに存在する。
種類の添加剤を染料素地及び顔料素地のインクジェット
用インク組成に用いて、特定用途用としてインク組成の
諸性質を最適化してよい。該添加剤の例には、緩衝液、
殺生物剤、及びその類があり、それらの各々は、インク
ジェット用インク組成に普通に用いられる添加剤であ
る。好ましく用いられる緩衝液の例には、限定するもの
ではないが、Aldrich Chemical (Milwaukee, WI)から市
販されているTrizma Base、及びスルホン酸4-モルホリ
ンエタン(MES)がある。インクジェット用インクに普通
に用いられる殺生物剤、例えば、Huls America (Piscat
away, N.J.)から市販のNUOSEPT 95;ICI Americas (Wil
mington, Del.)から市販のPROXEL GXL;Union Carbide
Company (Bound Brook, N.J.)から商品名(trade design
ation)UCARCIDE 250で市販されているグルタルアルデヒ
ドのどれも本願発明の実施に用いてよい。PROXEL GXLは
好ましい殺生物剤である。
は、一定の染料のカチオンを他のカチオンと周知のよう
に置換することによって達成される。例えば、Direct B
lue199とAcid Yellow 23の両方に会合したナトリウムの
カチオンは、実質上、テトラメチルアンモニウム(TMA)
のカチオンと全体的に置換される。
調製される染料ベースのインクジェット・インク組成物
の例は、次のシアン染料ベース・インクである:(a)ナ
トリウムに結合させたAcid Blue 9とTMAに結合させたDi
rect Blue 199との約2〜4 wt%の混合物;(b)約8 wt%の
1,5-ペンタンジオール;(c)約7.5 wt%のEHPD;(d)約7.5
wt%の2-ピロリドン;(e)約4 wt%のEmcol CC-55;(f)約
2 wt%の酢酸アンモニウム;(g)pHを約7.0に緩衝するの
に十分な水酸化テトラメチルアンモニウム;(h)バラン
スをとる量の水。
インク組成物に関連して、ここで用いられる負帯電成分
は、顔料ベースのインクジェット・インク組成物に適切
に用いられるような任意の分散剤であってよい。負帯電
分散剤の例には、限定するものではないが、ヒューレッ
ト・パッカード・カンパニーのDeskJet 850(DeskJetは
登録商標である)インクジェット・プリンタに使われる
専用の組成物を有するブラック顔料ベース・インクのポ
リアクリル系分散剤がある。好ましくは、負帯電分散剤
は、顔料ベースのインクジェット・インク組成物の約1
〜3 wt%の範囲で、さらに好ましくは、約2 wt%の濃度で
用いられる。
クジェット・インク組成物の着色剤は、分散剤の存在が
必要なインクジェット・プリンタの使用に適する任意の
顔料であってよいものとする。該顔料の例としては、限
定するものではないが、ヒューレット・パッカード・カ
ンパニーのDeskJet 850(DeskJetは登録商標である)イ
ンクジェット・プリンタに使われる専用のブラック顔料
ベース・インク組成物における顔料を含む。該顔料の濃
度は、好ましくは、インクジェット・インク組成物の約
1〜5 wt%の範囲にある。約1 wt%より少ないと、許容で
きない明度を有するインクとなり、一方、約5 wt%を上
回ると、インクジェット・ペンのオリフィスが閉塞する
ことが生じる。より好ましくは、顔料は、インクジェッ
ト・インク組成物の約3〜4 wt%の範囲で存在する。顔料
の混合物も使ってよい。
ヒクルは、インクジェット・インクと相溶性のある商業
において実用されているベヒクル成分から成る。例え
ば、次に示すように、適切なブラック顔料ベース・イン
クは、例えば、米国特許第5,085,698号、米国特許第5,2
21,334号、米国特許第5,302,197号に開示されている。
市販されている専用の組成物を有する顔料ベースのブラ
ックインクの特定例は、ヒューレット・パッカード・カ
ンパニーのDeskJet 850(DeskJetは登録商標である)イン
クジェット・プリンタに使われるブラックインクであ
る。
ースのインクの任意のカラー間のブリードを低減もしく
は除去できるが、カラー対ブラックのブリードは実際上
は顕著でないため、ブラック対カラー及びカラー対カラ
ーのブリードの防御に最大の用途を見出すものと期待さ
れる。さらに、現在市販の顔料ベースのインクジェット
・インクは、原色に反して、ブラックの着色剤を有して
いる。それ故、本発明の実施において、インクセットの
ブラックインクが負帯電分散剤を含有する顔料ベース・
インクを構成し、一方、カラーインク(即ち、マゼン
タ、シアン、イエロー)が陽イオン界面活性剤を含有す
る染料ベースのインクジェット・インクを構成する。よ
り好ましくは、インクジェット・インクセットのカラー
インクの各々は、発明に従い、陽イオン界面活性剤を含
む染料ベースのインクであり、一方、ブラックインク
は、負帯電分散剤を含有する顔料ベースのインクジェッ
ト・インクである。その結果として、ブラック対カラー
のブリードが、前述のインクセットにおいて実質的に除
去されてしまう。該インクセットの付加的な利点は、
(1)染料ベースのブラックインクに反して顔料ベースの
ブラックインクを用いることにより、プリントしたテキ
ストにおけるエッジ尖鋭度が改善されること、及び(2)
ブリード制御に界面活性剤を用いるという従来の方法に
従って陽イオン界面活性剤を単に入れるだけで染料ベー
スのカラーインク間のブリードが軽減されることであ
る。
インク調合物間のブリード制御について所望の効果をも
たらすように、それらの調合物の改善に関連するもので
ある。陽イオン界面活性剤を染料ベースのインクジェッ
ト・インク組成物に混ぜ、一方で、負帯電分散剤を顔料
ベースのインクジェット・インク組成物に混ぜるのであ
る。陽イオン界面活性剤と負帯電分散剤とは相互作用し
て、染料ベース又は顔料ベースの何れのインクでも実質
的に浸透し得ない安定界面を形成し、結果として、それ
らの間のブリード制御を達成するのである。
下の実施例で説明する。
ンク間のブリード制御を達成する際の陽イオン界面活性
剤と負帯電分散剤の組合せの効力を図解するものであ
る。本発明を実施することの利益を説明するため、カラ
ー及びとブラックインクの任意の組合せを使ったが、イ
エロー及びブラックインクは、ブリードが容易に観察さ
れるようそれらのコントラストを付けるために用いた。
本発明の実施で達成されるブリード制御の評価のため、
ヒューレット・パッカード・カンパニーのDeskJet 850
(DeskJetは登録商標である)プリンタを用いてインクジ
ェット・インクをプリント媒体上に付着させた。各場
合、ブラックインクは、ヒューレット・パッカード・カ
ンパニーのDeskJet (登録商標)850プリンタに現在用
いられている専用の組成を有する顔料ベースのブラック
インクであり、同インクは約8.5のpHを示すものであ
る。
ーのブリード問題を先ず説明するため、図1では、何ら
ブリード制御対策がなされていない場合に生ずるブラッ
ク対カラーのブリードが示されている。より詳細には、
図1は、ギルバードボンド紙(Gilbert bond paper)上に
上述のブラックインクで重ね刷りされたイエロー領域を
示すもので、図の白紙領域はイエロー領域の塗りつぶし
を表す。イエローインクは、次の組成であった:(a)約
2.1 wt%のAcid Yellow 23-TMA(1:10,000の希釈のAB
S);(b)約8 wt%の1,5-ペンタンジオール;(c)約7.5 wt
%のEHPD;(d)約7.5wt%の2-ピロリドン;(e)バランスを
とる量の水。無機塩、有機塩又は陽イオン界面活性剤等
のブリード制御成分がない場合、図1に示すように、ブ
ラックとイエローインク間に実質的ブリードが存在し、
それはそこでのブラックとイエローインク間のぎざぎざ
の境界で明白である。
ブラックインクとイエローインク間でブリード制御が達
成されたことを示す。より詳細には、約4 wt%のEmcol C
C-55陽イオン界面活性剤を(同量の水と置き換えて)上
述の染料ベースのインクに添加した。結果として、ブラ
ックとイエローインク間の境界は著しく改善された。
酸アンモニウムの添加で噴射されたときに達成されるブ
リード制御のさらに優れた改善を示す。明らかに、過剰
の酢酸塩対イオンの添加によって、イエロー染料ベース
のインクに陽イオン界面活性剤を用いて実現されるブリ
ード制御がさらに改善されるのである。
た媒体上にプリントすることの効果を示す。より詳細に
は、図4は、ヒューレット・パッカード・カンパニーの
光沢媒体上にプリントされた図3のインクを示し、一
方、図5は、ヒューレット・パッカード・カンパニーの
透明媒体上にプリントされた図3のインクを示す。透明
紙(transparency)は、3つの層:ポリビニルピロリドン
と第四級アミンを有するアクリル酸共重合体から成る上
部層とヒドロキシエチルセルロースの中間層とポリエチ
レンテレフタラードの基体高分子の底部層から構成され
るものである。
ースのインクと配合される染料ベースのインクに陽イオ
ン界面活性剤を添加すれば、それらの間で実質的ブリー
ド制御が達成されることが立証された。また、過剰の対
イオンをさらに添加すれば、染料ベース・インクに陽イ
オン界面活性剤だけを添加して達成されたブリード制御
がさらに改善されることも立証された。
めの、ここに開示した、本願発明のインクジェット・イ
ンク組成物と方法は、インクジェット・プリンタにおい
て、特にサーマルインクジェット・カラープリンタにお
いて、商業上の用途を見出すものと期待される。
ち、ポリプロポキシ第四級アンモニウム界面活性剤を含
む染料ベースのインクジェット・インクと、負に帯電し
た分散剤を含む顔料ベースのインクジェット・インクと
から成るインクジェット・インクセットを開示した。加
えて、同インクジェット・インクセットを調製してブリ
ードを低減する方法も開示された。明らかな特徴の様々
な変更並びに修正は発明の精神から逸れることなく実行
し得ること及び前述の変更と修正は全て、特許請求の範
囲で記されるように本願発明に帰属するものと考えられ
ることは、当業者にといっては自明のことである。
が、以下、本発明の各実施態様の例を示す。 (実施態様1)少なくとも1つの染料ベースのインクジ
ェット・インク組成物と少なくとも1つの顔料ベースの
インクジェット・インク組成物とから成るインクジェッ
ト・プリンティングのためのインクジェット・インクセ
ットにおいて、少なくとも1つの染料ベースのインクジ
ェット・インク組成物が少なくとも1つの陽イオン界面
活性剤を含有し、少なくとも1つの顔料ベースのインク
ジェット・インク組成物が少なくとも1つの負に帯電し
た分散剤を含有することを特徴とするインクジェット・
インクセット。 (実施態様2)少なくとも1つの陽イオン界面活性剤
が、少なくとも1つの染料ベースのインクジェット・イ
ンク組成物に約0.5〜5 wt%の範囲の濃度で含まれること
前項(1)記載のインクジェット・インクセット。 (実施態様3)少なくとも1つの陽イオン界面活性剤
が、ポリプロキシ第四級酢酸アンモニウムとポリプロキ
シ第四級塩化アンモニウムとから成る群から選択される
ことを特徴とする前項(1)記載のインクジェット・イン
クセット。 (実施態様4)少なくとも1つの陽イオン界面活性剤が
アニオンと対イオンから成り、少なくとも1つの染料ベ
ースのインクジェット・インク組成物は、少なくとも1
つの陽イオン界面活性剤と結合するに加えて、第2の対
イオンを含み、第2の対イオンは少なくとも染料ベース
のインクジェット・インク組成物にインクジェット・イ
ンク組成物に約2〜10 wt%の範囲内の濃度で存在するこ
とを特徴とする前項(1)記載のインクジェット・インク
セット。 (実施態様5)第二の対イオンは、酢酸塩、ギ酸塩、塩
化物、グルコン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、グルタル
酸塩、マロン酸塩、カルボン酸塩、フマル酸塩、リンゴ
酸塩、セバシン酸塩、アジピン酸塩、ステアリン酸塩、
オレイン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、及びクエン
酸塩から成る群から選択される前項(4)記載のインクジ
ェット・インクセット。 (実施態様6)少なくとも1つの染料ベースのインクジ
ェット・インク組成物は、約0.1〜4 wt%の少なくとも1
つの染料と、約3〜20 wt%の少なくとも1つのジオール
と、0〜約5 wt%の少なくとも1つのグリコールエーテル
と、約3〜9 wt%の2-ピロリドンと、約0.5〜5 wt%の陽イ
オン界面活性剤と、非イオン性界面活性剤、殺生物剤及
び緩衝液とバランスをとる量の水から成る群から選択さ
れる約5 wt%未満の少なくとも1つの化合物とからなる
ことを特徴とする前項(1)記載のインクジェット・インク
セット。 (実施態様7)少なくとも1つの負に帯電した成分が、
少なくとも1つの顔料ベースのインクジェット・インク
組成物中に約1〜3 wt%の範囲内で存在する前項(1)記載
のインクジェット・インクセット。 (実施態様8)少なくとも1つの負に帯電した成分がポ
リアクリル系の顔料分散剤である前項(1)記載のインク
ジェット・インクセット。 (実施態様9)少なくとも1つの顔料ベースのインクジ
ェット・インク組成物が、ブラック顔料ベースのインク
ジェット・インクから成り、少なくとも1つの染料ベー
スのインクジェット・インク組成物がマゼンタ染料ベー
スのインクジェット・インク、シアン染料ベースのイン
クジェット・インク、イエロー染料ベースのインクジェ
ット・インクを包含することを特徴とする前項(1)記載
のインクジェット・インクセット。 (実施態様10)前項(1)記載のインクセットを調製す
ることを特徴とする少なくとも1つの染料ベースのイン
クジェット・インク組成物と少なくとも1つの顔料ベー
スのインクジェット用インク組成物から成る少なくとも
2つの異なったカラーインクをインクジェット・ペンか
らプリント媒体上にプリントする際のブリードを低減す
る方法。
性剤を添加することによって、染料ベースのカラーイン
クの顔料ベースのブラックインクに対するブリードを低
減することができる。
制御成分)を含まない従来の染料ベースのカラーインク
と顔料ベースのブラックインクのプリント結果を示す
図。
と顔料ベースのブラックインクのプリント結果を示す
図。
剤と過剰の対イオンを両方とも含む染料ベースのカラー
インクと顔料ベースのブラックインクのプリント結果を
示す図。
結果を示す図。
結果を示す図。
Claims (1)
- 【請求項1】少なくとも1つの染料ベースのインクジェ
ット・インク組成物と少なくとも1つの顔料ベースのイ
ンクジェット・インク組成物とから成るインクジェット
・プリンティングのためのインクジェット・インクセッ
トにおいて、前記少なくとも1つの染料ベースのインク
ジェット・インク組成物が少なくとも1つの陽イオン界
面活性剤を含有し、前記少なくとも1つの顔料ベースの
インクジェット・インク組成物が少なくとも1つの負に
帯電した分散剤を含有することを特徴とするインクジェ
ット・インクセット。
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