JPH1063086A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JPH1063086A
JPH1063086A JP21386396A JP21386396A JPH1063086A JP H1063086 A JPH1063086 A JP H1063086A JP 21386396 A JP21386396 A JP 21386396A JP 21386396 A JP21386396 A JP 21386396A JP H1063086 A JPH1063086 A JP H1063086A
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JP
Japan
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image
toner
developing
carrier
developer
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Pending
Application number
JP21386396A
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English (en)
Inventor
Shigeru Inaba
繁 稲葉
Yutaka Kanai
豊 金井
Migaku Fukuhara
琢 福原
Kazuhiko Yanagida
和彦 柳田
Ishi Kin
石 金
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】環境変化や経時変化の影響を受けにくく中間調
再現性に優れた画像形成装置を提供することを目的とす
る。 【解決手段】像担持体1と、静電潜像形成手段(20,
30)と、現像手段3とを備えた画像形成装置におい
て、現像手段3を、現像バイアス電位Vb及び像担持体
の全露光部電位Viによって定まるコントラスト電位に
対する現像トナー重量のカーブが所定のコントラスト電
位以上の領域で飽和特性を有するものであって、上記コ
ントラスト電位に対する現像トナー重量のカーブの傾き
がコントラスト電位が0近傍にある時の傾きの1/5に
ある点の相対湿度15%におけるコントラスト電位をV
s(15)とした時、 |Vs(15)|×1.1<|Vb−Vi| なる関係を満たすように設定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像情報をディジタ
ル信号として扱うディジタルプリンタ及びディジタル複
写機などに用いられる電子写真方式の画像形成装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、文字や画像などを表わす二値で表
わされた画像情報に応じてオン/オフ変調された光ビー
ムで像担持体上を走査することにより像担持体上に静電
潜像を形成する、いわゆるディジタル電子写真方式の画
像形成装置がプリンタや複写機などに広く採用されてい
る。
【0003】このようなディジタル画像形成装置におい
て、中間調を持つ画像を形成する場合、いわゆる網点構
造や万線構造を用いた面積変調法が知られている。この
方法は、アルゴリズムも比較的簡易であり、また低コス
トで実現できるため、ディジタル電子写真方式のプリン
タや複写機に広く採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このディジタル画像形
成装置では、上述のように、像担持体上にオン/オフの
二値情報による静電潜像が形成されるが、この二値情報
による静電潜像に従来の一般的な現像方式を適用する
と、現像ロールに印加する現像バイアスと像担持体の露
光部電位にて定まるコントラスト電位に対する現像トナ
ー重量は、図25に示すように、ほぼ線形な特性を示
し、像担持体の感度が経時的もしくは温湿度等により変
化すると、その変化によるコントラスト電位の変化に対
して、現像トナー重量も変化し、中間調が正しく表現で
きないという欠点がある。
【0005】図25は、コントラスト電位に対して現像
トナー重量がほぼ線形である現像特性のグラフである。
また、従来の現像方式では温湿度の変化によりトナー帯
電量が変わると、それに応じて現像トナー重量が変化し
てしまうという欠点も有している。このような現像トナ
ー重量の不安定性を解消する方法として、トナー重量と
画像濃度の飽和特性を利用した方法が従来から広く利用
されている。例えば、コントラスト電位に対する現像ト
ナー重量が図25のような特性を持っていても、図26
に示すように、用紙上トナー重量はある一定値以上では
画像濃度は飽和状態となる特性を持っている。
【0006】図26は、用紙上トナー重量と画像濃度と
の関係を示すグラフである。この飽和現象は、黒トナー
のように、用紙上にトナーが1層の乗っているだけで下
地の色を隠してしまうような隠蔽力の強いトナーの場合
特に顕著である。つまり、用紙上に1層以上のトナーが
乗るように高めのコントラスト電位で現像すれば、現像
量が若干変動しても安定した画像が得られる。原稿を光
照射しその反射光で像担持体を露光して画像を形成する
アナログ方式の画像形成装置においてもこの方法を採用
したものがあるが、中間調の再現が犠牲にされるという
欠点がある。中間調の再現を面積階調で行うディジタル
方式の画像形成装置の場合はこの方法は非常に有効であ
り、白黒プリンタなどに広く適用されている。
【0007】しかし、この方法では、画像濃度としては
十分であるにもかかわらず過剰のトナー量で現像が行わ
れるため線画像が太く再現されたり、トナーの消費量が
多くなりトナー供給を頻繁に行わなければならないとい
う問題がある。また、画像上のトナー厚みが大きくなる
ため、用紙枚数の多い印刷物を製本する場合、画像部分
だけが部分的に膨らみ製本の仕上がり品質を低下させる
などの欠陥を生じることもある。
【0008】さらに、隠蔽力の弱いカラートナーを減色
混合することによってフルカラー画像を再現するカラー
トナーの場合は、コントラスト電位に対する画像濃度の
飽和現象が明確でなかったり、あるいは、非常に大量の
トナー量に至らないと画像濃度は飽和しなかったりす
る。また、フルカラー画像の場合は、濃度だけでなく彩
度が十分に得られないと、広い色区間を再現することが
できない。カラートナーで画像濃度が飽和するようなト
ナー量を与えると、不要吸収分の影響が強く現れかえっ
て彩度が低下してしまう。従って、カラートナーの場合
は上記の方法によっては画像濃度を安定化させることは
できない。
【0009】ところで、画像濃度ではなく現像されるト
ナー重量そのものを安定化する方法として飽和現像状態
を利用する方法が知られている。例えば、特開昭60−
185971号公報、特開昭60−189761号公
報、特開昭61−2162号公報、特開昭61−179
478号公報には、液体現像剤を用いた湿式現像方式に
飽和現像状態を利用する方法が開示されている。また、
特開平1−230079号公報には、飽和現像現象をコ
ンデンサと抵抗の並列回路より成るコンデンサ型現像モ
デルとしてとらえ、飽和現像を現出させるための現像バ
イアス及び現像ロール抵抗を導き出した一成分現像法が
開示されている。しかし、これらの従来例における飽和
現像状態はいずれも図27に示すような、ある現像時間
経過後に現像トナー重量が変化しないようになる現象を
意味している。
【0010】図27は、現像時間に対する現像トナー重
量の関係を示すグラフである。図27に示すように、時
間が経過すると共に現像トナー重量は増加するが、ある
時間以降は現像トナー重量は変化せず飽和状態を示す。
一般に、現像はトナーを静電潜像へ移行させる力は現像
電界の強さに支配されるが、トナーが静電潜像へ移行す
ると、トナー自身が持つ電荷量によって現像電界は中和
される。現像電界が0付近になるとトナーは静電潜像へ
移行する力を受けなくなり現像が停止する。従って、上
記の各従来例における飽和現像状態は、現像電界の中和
を促すために現像時間を十分に長くとることを意味して
いる。この方法では、現像時間を十分に長くとっておけ
ばトナーが現像領域を通過する時間が多少変動しても現
像トナー重量を一定に保てるが、電位の変化やトナー電
荷量の変化があった場合は現像トナー重量は変化してし
まう欠点を有している。
【0011】画像濃度を安定化させる別の方法として静
電潜像電位の変動を制御する方法がある。例えば、像担
持体の表面電位を測定しその結果に基づいて現像バイア
スや露光エネルギを制御する、あるいはトナー濃度を制
御しトナー帯電量を一定に保持するなど、いわゆるプロ
セスコントロールを行う方法がある。しかし、この方法
では装置が複雑になる上、光疲労などによる像担持体の
部分的な感度変化や、像担持体の製造時に生じる膜厚変
動などによる像担持体の感度ムラなどには対処すること
はできない。
【0012】像担持体上に、高電位と低電位の二値の電
位分布で形成された静電潜像に対しては、コントラスト
電位に対する現像トナー重量は図25に示したような線
形の特性である必要はなく、むしろ、図28に示すよう
に、コントラスト電位に対する現像トナー重量が飽和特
性を示すことが望ましい。図28は、コントラスト電位
に対して現像トナー重量が飽和領域を持つ現像特性のグ
ラフである。
【0013】図28に示すような飽和領域を持つ現像特
性の場合は、像担持体の感度などが多少変動しそれに応
じてコントラスト電位が変化しても、飽和状態にある現
像トナー重量は変化せず良好な階調特性が維持される。
図28に示すような現像特性を示す現像方法について
は、一成分現像方式では、例えば、”Conf.Rec
ord 1989 IEEE IAS,p2260〜p
2265”、”Conf.Record 1985 I
EEE IAS,p1485〜p1490”、「電子写
真学会誌、20(1)、p8〜p17、(1981)」
などの論文に記載されている。これらの論文によれば、
飽和トナー重量は現像ロール上に層形成されたトナー重
量と、像担持体の周速度に対する現像ロールの周速度の
比との積で決定されるトナー供給量と一致する。
【0014】しかし、これらの論文中に実験装置として
使われているような、像担持体と現像ロール上の現像剤
層の間に空隙を有する現像装置においては、十分な飽和
特性を得ることは難しい。なぜなら、例えば、静電潜像
を画像面積率50%のディザ法で中間調を再現しようと
した時、図29(b)に示すように、像担持体と現像ロ
ール上のトナー層との間の空隙を飛翔するトナーの軌跡
が乱れ画像を劣化させることがある。
【0015】図29は、像担持体と現像ロール上のトナ
ー層との間の空隙を飛翔するトナー軌跡の模式図であ
る。図29(a)はベタ画像の場合のトナー軌跡を示し
ており、静電潜像は像担持体上に一様に形成されている
ため、現像ロール上のトナーは対向する像担持体にまっ
すぐに飛翔し正常なトナー像が形成される。一方、図2
9(b)に示すように、像担持体上にドット状の静電潜
像が形成されている場合は、静電潜像と対向した位置に
あるトナーがその静電潜像に飛翔する以外に、その周囲
のトナーもその静電潜像に向かって斜めに飛翔する。こ
のような周囲のトナーの飛翔は静電潜像の画像面積率に
応じ電界が中和されるまで続けられる。つまり、ベタ画
像の場合には正常に現像が行われるトナー重量であって
も、画像面積率が低いドットの場合は現像トナー重量は
そのドットに対し過剰状態となる。従って、中間調再現
のことを考慮すると安定した飽和状態であるとはいえな
い。
【0016】ところで、像担持体と現像ロール上の現像
剤層との間に空隙を設けず、静電潜像と現像剤層を接触
させた状態で現像する方式で、かつ、電位に対する飽和
特性を得る現像方法として、米国特許明細書第3909
258号に代表されるような導電性一成分現像方式があ
るが、この方式では、飽和トナー重量を得るためにトナ
ー抵抗を低下させると転写工程における転写効率が低下
するという問題があり、飽和トナー重量と転写効率とを
両立させることが難しい上、さらに、トナーに導電性を
付与するために添加される導電剤固有の色のためカラー
化することが難しいという欠点がある。
【0017】絶縁性のトナーを用いた接触型の一成分現
像方式としては、現像ロールを像担持体に接触させる方
式が知られており、この方式によればベタ画像でもドッ
ト部を含む画像でも飽和濃度を一定とすることが可能で
あり、電位の変動に対して安定した画像を得ることがで
きる。しかし、この方法では、現像トナー重量を決定す
る現像ロール上のトナー付着量が環境条件による影響を
強く受けるという問題がある。なぜならば、現像ロール
へのトナー付着量はトナーの電荷によって生ずる鏡像力
と機械的な摩擦力で決定されるが、例えば、高湿環境下
ではトナー電荷が下がり現像ロールとの鏡像力も低下
し、その結果、現像ロールへのトナー付着量も低下す
る。低湿環境下においては、その逆の現象が起きる。従
って、環境条件の変化により画像濃度が変動してしまう
という欠点を有している。
【0018】また、”Electrophotogra
phy and Development Physi
cs,L.B.Schein,Springer−Ve
rlag,(1992),p152”には、トナーとキ
ャリアからなる二成分現像方式における飽和特性を示す
現像特性についての記載がある。しかし、この文献には
単に現像機構の解析のために行われた実験結果の一部と
して報告されているのみであり、電位に対して飽和して
いる領域を積極的に利用するという考え方はなんら示唆
されていない。
【0019】ところで、像担持体上に二値化された静電
潜像を形成し、それを二成分現像剤を用いて、コントラ
スト電位に対する現像トナー重量が飽和特性を有する現
像手段で現像することにより二値情報に基づく中間調画
像を安定的に得る方法が考えられる。しかし、実際に飽
和領域を使うに当たってのバイアス設定その他の具体的
方法が確立されていない上、この方法においても環境に
よるトナー帯電量の変動に対する現像トナー重量の安定
性の確保が不十分であったり、あるいは画像欠陥を生じ
る恐れがあるなど種々の問題が残されている。
【0020】以上説明したように、電位変動や温度湿度
などの環境変化や装置の経時変化などの影響を受けにく
く安定的に中間調を再現することのできる画像形成装置
は実現されておらず、いわゆるプロセスコントロールな
どの複雑な手段に頼らざるを得ない現状である。本発明
は、上記の事情に鑑み、環境変化や経時変化の影響を受
けにくく中間調再現性に優れた画像形成装置を提供する
ことを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の第1の画像形成装置は、静電潜像を担持して所定の
方向に移動する像担持体と、その像担持体を帯電した後
像担持体上に画像情報に基づいた露光光を照射すること
により像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手
段と、所定の現像位置において上記像担持体に対向して
配備された、トナー及びキャリアより成る二成分系の現
像剤を所定の厚さの現像剤層として担持し現像位置にお
いて上記像担持体の移動方向と同一方向に移動する現像
剤担持体を有し、その現像剤担持体と上記像担持体との
間に現像バイアスを印加すると共に現像剤担持体の担持
する現像剤中のトナーを上記像担持体上の静電潜像に供
給することにより静電潜像を現像して像担持体上にトナ
ーによる顕像を形成する現像手段とを備えた画像形成装
置において、上記現像手段が、現像バイアス電位Vb及
び像担持体の全露光部電位Viによって定まるコントラ
スト電位に対する現像トナー重量のカーブが所定のコン
トラスト電位以上の領域で飽和特性を有するものであっ
て、上記コントラスト電位に対する現像トナー重量のカ
ーブの傾きがコントラスト電位が0近傍にある時の傾き
の1/5にある点の相対湿度15%におけるコントラス
ト電位をVs(15)とした時、 |Vs(15)|×1.1<|Vb−Vi| なる関係を満たすように設定されて成ることを特徴とす
る。
【0022】また、上記目的を達成する本発明の第2の
画像形成装置は、静電潜像を担持して所定の方向に移動
する像担持体と、その像担持体を帯電した後像担持体上
に画像情報に基づいた露光光を照射することにより像担
持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、所定
の現像位置において上記像担持体に対向して配備され
た、トナーより成る一成分系の現像剤を所定の厚さの現
像剤層として担持し現像位置において上記像担持体の移
動方向と同一方向に移動する現像剤担持体を有し、その
現像剤担持体と上記像担持体との間に現像バイアスを印
加すると共に現像剤担持体の担持する現像剤を上記像担
持体上の静電潜像に供給することにより静電潜像を現像
して像担持体上にトナーによる顕像を形成する現像手段
とを備えた画像形成装置において、上記現像手段が、現
像バイアス電位Vb及び像担持体の全露光部電位Viに
よって定まるコントラスト電位に対する現像トナー重量
のカーブが所定のコントラスト電位以上の領域で飽和特
性を有し、上記現像剤として体積抵抗1010Ωcm以上
のトナーを用いるものであって、上記コントラスト電位
に対する現像トナー重量のカーブの傾きがコントラスト
電位が0近傍にある時の傾きの1/5にある点の相対湿
度15%におけるコントラスト電位をVs(15)とし
た時、 |Vs(15)|×1.1<|Vb−Vi| なる関係を満たすように設定されて成ることを特徴とす
る。
【0023】ここで、上記本発明の第1又は第2の画像
形成装置における上記現像手段が、上記現像剤担持体に
印加された現像バイアスにより上記移動する現像剤担持
体上の現像剤層中に微小電流リークが発生し始める電圧
を微小耐圧Vmとした時、 |Vm|>|Vb−Vi| なる関係を満たすように設定されて成るものであること
が好ましい。
【0024】以上説明したように、本発明の第1の画像
形成装置及び本発明の第2の画像形成装置においては、
ともに飽和特性を示す現像方式が採用される。この両者
が異なる点は、現像手段に用いられる現像剤のみであ
る。すなわち、本発明の第1の画像形成装置においては
トナー及びキャリアより成る二成分系の現像剤が用いら
れ、本発明の第2の画像形成装置においてはトナーのみ
から成る一成分系の現像剤が用いられる。さらに、本発
明の第2の画像形成装置においてはトナーの体積抵抗が
1010Ωcm以上のトナーが用いられる。
【0025】ここで、上記の現像手段における’飽和特
性’について説明する。図1は、飽和特性を示す現像方
式を説明するための模式化された現像曲線のグラフであ
る。図1に示すように、この現像曲線には、コントラス
ト電位に対する現像トナー重量のカーブは領域(A)、
及び領域(B)に二分される。領域(B)ではコントラ
スト電位に対して現像トナー重量が全く変動しないのが
理想的であるが、領域(B)のカーブの傾きが領域
(A)のカーブの傾きの1/5以下であれば本発明の目
的は達成され、実用上、飽和特性を示す現像方式といっ
てよい。ここで領域(B)のカーブの傾きが領域(A)
のカーブの傾きの1/5以下になる点、すなわち、飽和
開始点のコントラスト電位をVsとする。
【0026】現像曲線がこのような飽和特性を示す理由
は次のように説明される。二成分現像方式の場合は、抵
抗の高いキャリアを用いると現像電界が弱いため現像曲
線の立上りが緩やかとなるが、現像剤層内に電界が存在
して現像剤表面だけでなく現像剤層内部からもトナーが
像担持体上に移行するため飽和しにくい。しかし、抵抗
の低いキャリアを用いると現像電界が強いため現像曲線
の立上りが急峻であり現像剤層内が導電性に近くなり現
像剤層内に電界が存在せず現像剤表面のトナーのみが現
像されることによりトナー量が飽和する。従って現像剤
の体積抵抗率は108 Ωcm以下の低抵抗であることが
望ましい。一成分現像方式の場合は、現像電界が十分で
あれば現像ロール上のトナーがすべて現像状態となるた
め安定した飽和特性が得られる。
【0027】ところで、領域(A)は従来の現像方式に
おいて見られるのと同様、電位の増加につれて現像トナ
ー重量は直線的に増加するが、その現像トナー重量は次
式で示されるように、電位のみならずトナー帯電量にも
依存する。 MA= (Vi−Vb)/(TV) MA:現像トナー重量 Vi:画像部の像担持体電位 Vb:現像バイアスの電位 TV:単位重量あたりのトナー帯電量(体積平均) 本発明にいう飽和現像とは、領域(B)を使用して画像
形成することのできる安定したトナー重量を得ることで
あり、設定したコントラスト電位で確実な飽和現像が行
われる。そのためには、領域(A)の幅が少なくとも広
がる方向へ変動することは望ましくない。領域(A)の
幅は上式に示すとおりトナー帯電量に大きく依存する。
例えば、トナー帯電量が2倍になればカーブの傾きが1
/2になり、領域(A)の幅は2倍になる。最近は、ト
ナーへの電荷付与には、ほとんどの場合摩擦帯電が利用
されており環境条件による影響が大きく、高湿下ではト
ナー帯電量は少なくなり低湿下ではトナー帯電量は多く
なる。高湿下でトナー帯電量が少なくなる分には領域
(A)の幅が狭くなる方向なので飽和特性の出現の有無
には影響はないが、低湿下においては、トナー帯電量が
変動しても確実に飽和特性が得られるか否かということ
が重要な問題となってくる。そのため、通常使用条件下
でのトナー帯電量の最大値を求め、その時の領域(A)
の幅、つまり飽和開始点Vsのコントラスト電位より高
い電位に設定することが必要である。
【0028】一方、従来の現像方式とは異なり、本発明
の現像方式では現像領域へのトナー供給量から飽和量が
決定される。そのトナー供給量は、二成分現像方式の場
合はトナーとキャリアの混合比(すなわちトナー濃
度)、一成分現像方式の場合は現像ロール上のトナー重
量に依存するので、二成分現像方式の場合はトナー濃度
を一定に保つことにより、また、一成分現像方式の場合
はトナー重量を一定に保つことにより飽和現像トナー重
量を一定に保つことができる。
【0029】トナー帯電方法が摩擦帯電法である場合
は、トナー供給量と帯電付与部材の帯電能力との関係は
近似的に、 供給量×帯電量=(Const.) なる式で表すことができる。つまり、トナー供給量を一
定にした時、トナー帯電量は帯電部材の帯電能力の変化
に従って変動する。一般に、キャリア表面の汚染や現像
ロールの汚染などの原因によりトナー帯電量は経時的に
低下してゆくため、本発明の現像方式で実際に最も帯電
が高いのは比較的初期の段階で、かつ相対湿度で20%
以下の低湿環境下で動作させる時である。飽和開始点V
sが最大となる環境は厳密にはトナーによって多少異な
るが、経験的に相対湿度15%環境下でのVs値の前後
±10%の範囲内であることがわかっている。つまり、
Vs値×1.1が最大値と見込めるので、この値よりも
コントラスト電位を大きく設定すれば環境変化や経時変
動があっても現像トナー重量は変化しない。
【0030】そこで、本発明では、現像手段が、現像バ
イアス電位Vb及び像担持体の全露光部電位Viによっ
て定まるコントラスト電位に対する現像トナー重量のカ
ーブが所定のコントラスト電位以上の領域で飽和特性を
有するものであって、コントラスト電位に対する現像ト
ナー重量のカーブの傾きがコントラスト電位が0近傍に
ある時の傾きの1/5にある点の相対湿度15%におけ
るコントラスト電位をVs(15)とした時、 |Vs(15)|×1.1<|Vb−Vi| なる関係を満たすように設定される。
【0031】次に、’微小耐圧’について説明する。高
湿下では、現像に適さない帯電状態にまでならない限り
は領域(A)の幅が狭くなるだけで現像トナー重量は一
定である。しかしながら、飽和特性を出現させるために
キャリアの抵抗あるいは現像ロールの抵抗を108 Ω・
cm以下に低下させ現像電界を強めているので、空気中
の水分が現像剤層へ取り込まれた時、導電パスが形成さ
れ微小電流リークが発生しやすい状態となる。この微小
電流リークが発生すると静電潜像が破壊され、画像上で
はベタ部の白点となって現れ、画像品質上極めて重大な
劣化要因となる。これを防止するためには高湿下で微小
電流リークが発生し始める電圧より低いコントラスト電
位に設定すればよい。この微小電流リークが発生し始め
る電圧を微小耐圧という。この微小耐圧は次のようにし
て測定される。
【0032】図2は、微小耐圧の測定装置の概要図
(a)及び測定結果を示すグラフ(b)である。図2
(a)に示すように、内部に固定磁石が配置された、回
転する現像ロール上にキャリア層を形成させ、現像ロー
ルに対向して像担持体を模した金属電極を設け、これに
現像バイアスを印加し、キャリア層内を流れる微小リー
ク電流をオシロスコープで検出する。ここで、現像バイ
アス電圧をゼロから次第に上げていくと、ある電圧以上
で、図2(b)に示すように、微小リーク電流の痕跡が
観察され始める。この時の現像バイアス電圧を微小耐圧
Vmと定義する。なお、オシロスコープの代わりに高速
レコーダを用いてもよく、また、電極とアース間に直列
に抵抗を設けて抵抗両端に発生する電圧を検出する方法
でもよいが、電圧降下による実印加電圧の低下に対して
十分に考慮する必要がある。この微小リーク電流は像担
持体表面を破壊しない微小な電流であり、このような電
流測定法によってのみ検出することができる。
【0033】この微小リーク現象の発生は空気中の水分
と関係があるので、高湿下の微小耐圧Vmを測定しその
値よりコントラスト電位が小さくなるように現像バイア
スを設定すれば、それ以外の環境下で画質欠陥を発生さ
せないようにすることができる。なお、相対湿度15%
における飽和開始点のコントラスト電位Vsと高湿下で
の微小耐圧Vmとの間に、 Vs×1.1>Vm なる関係が満たされる場合は、設定できるコントラスト
電位はないが、トナー帯電量を下げることによってVs
を小さくして現像バイアスを設定可能とすることができ
る。
【0034】次に、’二値化された静電潜像’について
説明する。図3は、像担持体を入力画像面積率10%,
20%,50%で露光したときの像担持体上の露光エネ
ルギプロファイルを示した図であり、(a),(b),
(c)は、光ビームを走査したときの走査方向(主走査
方向)に隣り合った画素間の距離dP(mm)と光ビー
ムスポット径dB(mm)の比率をdB/dP=Dとし
たとき、光ビームスポットdB (mm)を一定とし、
Dの値を1/1,1/2,1/3と変化させた時の結果
である。
【0035】図3よりわかるように、Dの値を1/3,
1/2,1/1と大きくしていくほど、露光エネルギプ
ロファイルのコントラストは低下してアナログ的にな
る。図4は、像担持体の光電位減衰特性を示すグラフで
あり、図5(a)は、図3(a)に示す光電位減衰特性
を持つ像担持体を画像面積率50%で露光した時の、D
の値を種々変化させた場合における像担持体の表面電位
プロファイルを計算で求めた結果を示すグラフである。
なお、表面電位プロファイルの計算方法は、例えば”P
roceedings IS&T’s 9th Int
ernational Congress on Ad
vances in Non−Impact Prin
ting Technologies,Vol.9,p
97〜p100,1993”に記述されている方法によ
った。
【0036】図5(a)よりわかるように、Dの値を大
きくするに従い、露光エネルギプロファイルのコントラ
ストが低下し、それに伴い、静電潜像の表面電位プロフ
ァイルのコントラストも低下する。すなわち、前述し
た、‘二値化された静電潜像’の定義によれば、図4
(a)に示すような光電位減衰特性を持つ像担持体を用
いた場合、図5(a)に示すように、Dの値を1/2以
下にすることで、二値化された静電潜像を得ることがで
きる。
【0037】また、図4(b)に示す光電位減衰特性を
持つ像担持体を用いた場合、露光エネルギを適切に調整
することにより、図5(b)に示すように、Dの値が1
であっても二値化された静電潜像を得ることができる。
図5(b)は、図4(b)に示す光電位減衰特性を持つ
像担持体を画像面積率50%で露光した時の、Dの値を
種々変化させた場合における像担持体の表面電位プロフ
ァイルを計算で求めた結果を示すグラフである。
【0038】二値化された静電潜像に対して飽和特性を
示す現像方式を用い、相対湿度15%の環境下におい
て、十分な飽和特性を示すコントラスト電位に現像バイ
アスを設定することにより、像担持体の面内の感度ム
ラ、さらには環境変化や経時変動などに対しても現像ト
ナー重量が安定であり、二値情報に基づいた中間調画像
を良好に再現することが可能となる。
【0039】現像手段として二成分磁気ブラシ現像方式
を用いた場合、飽和特性と安定性、耐久性などを合わせ
持つ現像特性を得るために、磁性粒子と絶縁性樹脂と導
電粉から成るキャリアが用いられる。この場合、磁性粒
子表面に樹脂が被覆されても現像剤の抵抗は高くなら
ず、コントラスト電位に対して現像トナー重量が飽和特
性を示しやすい現像特性を得ることができる。加えて、
キャリアコア表面が樹脂で被覆されることにより、帯電
立上り特性、帯電維持性が長期間にわたって確保され、
また、この被覆層は一定の割合で摩耗するため、トナー
の表面処理として用いられる微粉粒子などによる汚染に
よる特性劣化も防ぐことができる。
【0040】なお、現像バイアスとして交番電界を印加
しても上述の飽和特性には変化はないが、トナーとキャ
リアあるいは現像ロール間の非静電的付着力や、磁力、
鏡像力などの影響を、トナーが交番電界で振動すること
で寄与が更に小さくなり飽和領域の出現を安定化させる
ことができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。図6は、本発明の第1の画像形成装置の一実
施形態を内蔵したカラー複写機の概略構成図である。原
稿読取り部10の上部に下向きに原稿がセットされ、そ
の原稿に記録された画像が原稿読取り部10により光電
的に読み取られて画像信号が生成される。
【0042】光ビーム走査部20は、画像信号に基づい
てオン、オフ変調された光ビームを生成し、その光ビー
ム25を、矢印A方向に回転する像担持体ドラム1上
に、その像担持体ドラム1の回転方向A(副走査方向)
に垂直な主走査方向、すなわちこの図6の紙面に垂直な
方向に繰返し走査する。像担持体ドラム1は、静電潜像
形成用帯電器2により一様に帯電された後、光ビーム走
査部20からの光ビーム25により主走査方向に繰返し
走査される。その光ビーム25は、光ビームパルス幅変
調回路30で画像信号に応じてオン、オフ変調されたも
のであり、この光ビーム25により像担持体ドラム1が
露光され像担持体ドラム1上に静電潜像が形成される。
像担持体ドラム1上に形成された静電潜像は、回転現像
器3に対向した現像位置に移動する。回転現像器3は、
イエロー、シアン、マゼンタ、黒色のトナーをそれぞれ
有する4台の現像器により構成されている。各現像器
は、二成分磁気ブラシ現像を用いた反転現像方式を採用
している。トナーの平均粒径は7μmである。この回転
現像器3は各色に対応した静電潜像を現像する度に回転
し、その色に対応したトナーでその静電潜像が現像され
る。このとき、現像に用いられている現像ロール91に
はバイアス電圧が印加され、静電潜像の背景部へのトナ
ー付着を抑制する。
【0043】現像により得られたトナー像は、像担持体
ドラム1の回転により、転写ドラム4に対向した転写位
置に至る。転写ドラム4には、用紙トレイ11から所定
の用紙搬送経路12を経由して搬送されてきた記録用紙
(図示せず)が、用紙吸着用帯電器4aの作用により転
写ドラム4の外周に吸着され、転写ドラム4の矢印方向
への回転に伴って像担持体ドラム1と対向した転写位置
に搬送されてきており、像担持体ドラム1上に形成され
たトナー像は、転写位置において、転写帯電器4bの作
用により、転写ドラム4の外周に吸着された記録用紙上
に静電転写される。
【0044】転写後の像担持体ドラム1は、クリーナ5
により残存するトナーの除去が行なわれ、前露光器6に
より光が照射されて除電され、再び、静電潜像形成用帯
電器2により、次の静電潜像形成のための帯電が行なわ
れる。一方、転写ドラム4には、像担持体ドラム1にイ
エロー、シアン、マゼンタ、黒の各色のトナー像が順次
形成される間、一枚の記録用紙が吸着され転写ドラム4
の回転に伴って回転しており、各色のトナー像が転写位
置に到達するのと同期して転写ドラム4に吸着された記
録用紙も転写位置に搬送され、その一枚の記録用紙上に
各色のトナー像が順次重なるように転写される。
【0045】転写ドラム4に吸着された記録用紙上にイ
エロー、シアン、マゼンタ、黒の4色のトナー像の転写
が終了すると、その転写ドラム4に吸着された記録用紙
は、剥離用帯電器4cにより転写ドラム4との静電的な
吸着力が除去され、剥離爪4eにより転写ドラム4上か
ら剥離されて定着器9で定着され、さらに装置外部に搬
出される。一方、記録用紙が剥離された転写ドラム4は
除電用帯電器4dで除電され、再度画像形成を行なうと
きは、上記と同様にして、次の記録用紙が吸着される。
【0046】図7は、光ビーム走査部の構成図である。
半導体レーザ21からは、光ビームパルス幅変調回路3
0によりオン、オフ制御されたレーザビームが出射さ
れ、そのレーザビームはコリメータレンズ22によりコ
リメートされ、矢印A方向に回転するポリゴンミラー2
3により繰り返し反射偏向され、さらに、像担持体ドラ
ム1上でのスポット径調整のためのfθレンズ24を経
由し、画像情報を担持した光ビーム25として、像担持
体ドラム1上を、副走査方向(図7の上下方向)に繰り
返し走査する。光ビーム25による各走査の開始時点
は、走査開始信号生成用光センサ26によりセンスさ
れ、各走査の開始を表わすSOS(Start Of
Scan)信号として内部に取り込まれ、像担持体ドラ
ム1やポリゴンミラー23の回転同期用として使用され
る。
【0047】図8は、光ビームパルス幅変調回路の回路
ブロック図である。三角波発振器31は、図示のよう
な、相互に繰り返し周波数が異なる二種類の三角波を発
生し選択回路33に入力する。選択回路33では、原稿
読取り部10(図6参照)で原稿上の画像を読み取る際
に操作者によって指示された中間調画像と文字画像(二
値画像)とを判別する判別信号に基づいて、中間調画像
の場合は繰り返し周波数の低い三角波、文字画像の場合
は繰返し周波数の高い三角波が選択され、選択された三
角波が比較回路32に伝達される。一方、原稿読取り部
10によって原稿上の画像を読取ることにより得られた
画像信号(ディジタル信号)はD/A変換器34に入力
されてアナログ信号に変換され、比較回路32に入力さ
れる。比較回路32では、アナログ画像信号のレベルと
三角波のレベルとを比較し、アナログ画像信号のレベル
に応じたパルス幅の二値信号に変換される。この二値信
号は、図7に示す半導体レーザ21に入力され、その半
導体レーザ21から、その二値信号に応じてオン、オフ
を繰り返すレーザビームが射出される。
【0048】図9は、図6に示す回転現像器を構成する
4台の現像器のうちの1台分の現像器の構成図である。
この現像器は固定磁石96a,96b,・・・,96e
とその周りを回転するシリンダ97からなる現像ロール
91が現像容器92内にあって、現像ロール91の表面
にトナーとキャリアが混合された二成分系現像剤が現像
ロール91の磁気力によって吸引されて磁気ブラシとな
り、矢印B方向に回転するシリンダ97に従い搬送され
る。磁気ブラシは、現像容器92の開口部において、静
電潜像を担持し矢印A方向に回転する像担持体1と対向
して摺擦し、現像が行われる。現像が終了した現像剤は
さらにシリンダ97の回転方向下流に搬送される。固定
磁石96b、96cは同極であり、極間の磁気吸引力が
ゼロもしくは微弱になっており、現像剤はその位置で現
像ロール91から離れ、スクリューオーガ93,94に
より搬送・撹拌される。スクリューオーガ93,94
は、現像容器92内で、図9の紙面に垂直な、互いに反
対の方向に現像剤を搬送し、その間にトナーが補給さ
れ、隔壁99の端部に形成された開口部(図示せず)で
現像剤を相互に受け渡す。固定磁石96cは新しい現像
剤を吸引し、その吸引した現像剤を、シリンダ97の回
転によって搬送するが、現像剤規制部材95によって、
磁気ブラシからなる現像剤層が一定の厚さに規制され
る。また、現像ロール91にはバイアス電源98により
直流重畳交流バイアス電圧が供給されるようになってい
る。
【0049】なお、二成分現像方式の場合、トナー濃度
を一定にする方法として、現像剤担持体上のトナー重量
を検出するトナー濃度センサとそのセンサからの信号に
応じて現像剤担持体へのトナー供給量を制御する方法
と、画像信号の印字率を計算しその印字率からトナー供
給量を決定する方法のいずれか一方あるいは両方を採用
することができる。
【0050】ところで、図6〜図8までを参照しながら
説明した、本発明の第1の画像形成装置では、現像剤と
して、トナーとキャリアより成る二成分系現像剤あるい
はトナーより成る一成分系の現像剤のいずれかを用いる
ことができる。
【0051】
【実施例】以下に、上記の実施形態の装置を使用して行
った実施例を比較例と共に説明する。ここでは、先ず、
本実施例及び比較例に用いたキャリアについて説明す
る。本実施例のキャリアは、カーボンブラックを分散さ
せた樹脂で被膜されている。キャリアに用いるカーボン
ブラックは、市販されているカーボンブラックならどれ
でも使用でき、コート剤や電気抵抗率との関係で好まし
いものが選択される。カーボンブラックの添加量はその
種類及び目標とする電気抵抗率により決定される。カー
ボンブラックは特定の種類を単独で用いてもよく、複数
の種類のカーボンブラックを混合して用いてもよい。磁
性粒子をカーボンブラックを含むコート剤で被覆する方
法としては、粉体を塗布してもよく、あるいは、溶剤を
塗布してもよく、特に限定されるものではない。
【0052】 (キャリアA:1011Ω・cm) フェライト粒子(体積平均粒径:約50μm) 100重量部 トルエン 14重量部 スチレンメタクリレート共重合体 1.0重量部 フェライト粒子を除く上記成分をホモミキサで10分間
分散し、被膜層形成液を調合し、さらにこの被膜層形成
液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダにいれ、温度6
0℃において30分間撹拌した後、減圧してトルエンを
留去し、被膜層を形成して体積抵抗率が1011となるキ
ャリアAを作成した。
【0053】 (キャリアB:109 Ω・cm) フェライト粒子(体積平均粒径:約50μm) 100重量部 トルエン 14重量部 スチレンメタクリレート共重合体 1.0重量部 カーボンブラック (コート剤中)5vol.% カーボンブラックはキャボット社製MONARCH80
0を使用した。給油量はカタログ値によれば75m/1
00gである。フェライト粒子を除く上記成分をホモミ
キサで10分間分散し、被膜層形成液を調合し、さら
に、この被膜層形成液とフェライト粒子を真空脱気型ニ
ーダに入れ、温度60℃において30分間撹拌した後、
減圧してトルエンを留去し、被膜層を形成して体積抵抗
率が109Ω・cmとなるキャリアBを作成した。
【0054】 (キャリアC:107 Ω・cm) フェライト粒子(体積平均粒径:約50μm) 100重量部 トルエン 14重量部 ジエチルアミノエチルメタクリレート/スチレン/ メチルメタクリレート共重合体(共重合比4/20/76) 1.0重量部 パーフルオロオクチルメタクリレート/ メチルメタクリレート共重合体 0.2重量部 カーボンブラック (コート剤中)10vol.% カーボンブラックはキャボット社製Vulkan XC
−72を使用した。フェライト粒子を除く上記成分をホ
モミキサで10分間分散し、被膜層形成液を調合し、さ
らに、この被膜層形成液とフェライト粒子を真空脱気型
ニーダに入れ、温度60℃において30分間撹拌した
後、減圧してトルエンを留去し、被膜層を形成して体積
抵抗率が107 Ω・cmとなるキャリアCを作成した。
【0055】 (キャリアD:107 Ω・cm) フェライト粒子(体積平均粒径:約50μm) 100重量部 トルエン 14重量部 スチレンメタクリレート共重合体 1.0重量部 カーボンブラック (コート剤中)10vol.% カーボンブラックはキャボット社製Vulkan XC
−72を8vol.%、キャボット社製Regal 6
60Rを2vol.%使用した。フェライト粒子を除く
上記成分をホモミキサで10分間分散し、被膜層形成液
を調合し、さらに、この被膜層形成液とフェライト粒子
を真空脱気型ニーダに入れ、温度60℃において30分
間撹拌した後、減圧してトルエンを留去し、被膜層を形
成して体積抵抗率が107 Ω・cmとなるキャリアDを
作成した。
【0056】 (キャリアE:105 Ω・cm) フェライト粒子(体積平均粒径:約50μm) 100重量部 トルエン 14重量部 ジエチルアミノエチルメタクリレート/スチレン/ メチルメタクリレート共重合体(共重合比4/20/76) 1.0重量部 カーボンブラック (コート剤中)15vol.% カーボンブラックはキャボット社製Vulkan XC
−72を使用した。フェライト粒子を除く上記成分をホ
モミキサで10分間分散し、被膜層形成液を調合し、さ
らに、この被膜層形成液とフェライト粒子を真空脱気型
ニーダに入れ、温度60℃において30分間撹拌した
後、減圧してトルエンを留去し、被膜層を形成して体積
抵抗率が105 Ω・cmとなるキャリアEを作成した。
【0057】 (キャリアF:105 Ω・cm) フェライト粒子(体積平均粒径:約50μm) 100重量部 トルエン 14重量部 ジエチルアミノエチルメタクリレート/スチレン/ メチルメタクリレート共重合体(共重合比4/20/76) 1.0重量部 カーボンブラック (コート剤中)12vol.% カーボンブラックはデグサ社製Corax Lを使用し
た。フェライト粒子を除く上記成分をホモミキサで10
分間分散し、被膜層形成液を調合し、さらに、この被膜
層形成液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダに入れ、
温度60℃において30分間撹拌した後、減圧してトル
エンを留去し、被膜層を形成して体積抵抗率が105 Ω
・cmとなるキャリアFを作成した。
【0058】 (キャリアG:108 Ω・cm) フェライト粒子(体積平均粒径:約50μm) 100重量部 トルエン 14重量部 ジエチルアミノエチルメタクリレート/スチレン/ メチルメタクリレート共重合体(共重合比4/20/76) 1.0重量部 パーフルオロオクチルメタクリレート/ メチルメタクリレート共重合体 0.2重量部 カーボンブラック (コート剤中)9vol.% カーボンブラックはキャボット社製Vulkan XC
−72を使用した。フェライト粒子を除く上記成分をホ
モミキサで10分間分散し、被膜層形成液を調合し、さ
らに、この被膜層形成液とフェライト粒子を真空脱気型
ニーダに入れ、温度60℃において30分撹拌した後、
減圧してトルエンを留去して被膜層を形成して体積抵抗
率が108 Ω・cmとなるキャリアGを作成した。
【0059】また、トナーとしては、富士ゼロックス
(株)製A−Color635用トナーを用い、上記各
キャリアの帯電量がほぼ同一となるよう、SiO2 、T
iO2微粉末の外添量を調整している。その結果、常温
常湿下でトナー濃度4%におけるキャリア帯電量は25
μC/g前後であった。なお、本発明の実施例に用いた
キャリアの抵抗率は、前述の微小耐圧測定装置(図2参
照)とほぼ同じ構成の装置を用いて測定した。すなわ
ち、図2(a)に示すように、内部に固定磁石が配置さ
れた、回転する現像ロール上にキャリア層を形成させ、
現像ロールに対向して像担持体を模した金属電極を設
け、これに高圧電源からのバイアス電圧を印加した時に
流れる電流値と、金属電極に対向する部分のキャリア層
が占める体積から抵抗率を算出した。なお、金属電極の
大きさは現像ロール軸方向に60mm、現像ロール周方
向に5mm、また、金属電極と現像ロールとの間隔は実
際の画像形成時と同じ0.5mmとし、キャリア層厚
は、実際の使用条件に合わせて調節した。
【0060】(実施例1)図10は、実施例1の現像曲
線を示すグラフである。図10には、キャリアA、B、
C、F、Gを、負帯電トナーと混合(トナー濃度:4
%)して現像器に入れ、レーザビーム光量、現像バイア
スを調整して得られた現像曲線が示されている。
【0061】図10からわかるように、体積抵抗率10
8 Ωcm以下のキャリアでは現像曲線が飽和特性を示す
が、体積抵抗率109 Ωcm以上では現像曲線が上がり
続け、飽和状態は得られない。また、現像曲線の立ち上
がりはキャリアの抵抗が低いほど急峻になっている。こ
れは、抵抗の低いキャリアでは現像電界が強いため現像
曲線の立ち上りは急峻であり、一方、現像剤層内部が導
電性に近く内部には電界を持たないため現像剤層表面の
トナーが現像されると現像重量が飽和してしまうためで
あり、これに対し、抵抗の高いキャリアにおいては現像
電界が弱いため現像曲線の立ち上がりが緩やかとなる
が、現像剤層内に電界が存在して現像剤層表面だけでな
く現像剤層内部からもトナーが感光体上に現像されるた
め、飽和しにくいことによると推定される。また、図1
0から、飽和した領域においては電位が変動しても現像
重量がほとんど変化しないことがわかる。飽和特性が得
られたキャリアをトナー濃度4%に設定して混合撹拌
し、相対湿度15%の環境下に24時間放置した後、再
撹拌し図9に示した現像装置を用いて像担持体上へ画像
形成した。図10の結果と同様、現像トナー重量とコン
トラスト電位の特性を測定し、飽和開始点のコントラス
ト電位Vsを求めた。
【0062】図11は、飽和開始点のコントラスト電位
Vsの求め方を示す説明図である。図11に示すよう
に、現像開始時の傾きα、すなわちコントラスト電位に
対して現像トナー重量がほぼ直線的に増加する部分の傾
きαを測定し、その1/5の傾きの接線Tを求め、現像
曲線と接線Tとの接点のコントラスト電位を飽和開始点
のコントラスト電位Vsとする。
【0063】表1は、高湿下(摂氏28度、相対湿度8
5%)におけるキャリアA、B、C、D、E、F、Gの
微小耐圧、及び、’飽和開始点コントラスト電位Vs×
1.1’を示す表である。
【0064】
【表1】
【0065】表2は、比較例としての、常湿下における
キャリアA、B、C、D、E、F、Gの飽和開始点のコ
ントラスト電位を示す表である。
【0066】
【表2】
【0067】表2に示すように、キャリアA、Bは常湿
下では飽和特性を示さなかった。次に、比較例1の画像
形成結果について説明する。現像条件及び低湿下での画
像濃度低下状況、及び高湿下での白点発生状況を表3に
示す。また、出力枚数と画像濃度との関係を図12に、
出力枚数とトナー帯電量との関係を図13に示す。
【0068】図12は、キャリアC,D,E,F,Gに
ついての出力枚数と画像濃度との関係を示すグラフであ
り、図13は、キャリアC,D,E,F,Gについての
出力枚数とトナー帯電量との関係を示すグラフである。
これらの画像形成におけるバイアス設定に当たっては、
常湿下での飽和開始コントラスト電位(表2参照)に1
00Vを加えた値を設定コントラスト電位Vs(表3参
照)とした。
【0069】
【表3】
【0070】表3に示すとおり、本発明の現像手段にお
ける、 |Vs(15)|×1.1<|Vb−Vi| なる関係を満たさない上記の各比較例では、低湿環境に
おいては全てが濃度低下を発生し、また、キャリアDで
は高湿環境下で白点の発生が観察された。次に、本発明
の現像手段における、 |Vs(15)|×1.1<|Vb−Vi| なる関係を満たす本実施例においては、表3のデータに
基づき設定コントラスト電位を決定し、各環境下で画像
形成を行った。その結果を表4に示す。
【0071】表4は、実施例1における画像形成結果を
示す表である。
【0072】
【表4】
【0073】なお、実施例1では相対湿度15%の環境
下のVs×1.1より大きく、かつ高湿下での微小耐圧
Vmより小さくするために、両者の中央値を選択した。
また、キャリアA,Bは飽和がでないため、表4から除
外した。また、キャリアD,FはVsとVmの大小関係
から、選択できる中央値が存在しないためこれも表4か
ら除外した。
【0074】表4に示すように、実施例1では、低湿環
境でも高湿環境でも濃度低下及び白点の発生は見られな
い。次に、表4のコントラスト電位条件を満たすように
現像バイアスを設定し、維持性についての実験を行っ
た。トナー濃度は一定に保持したまま、最初、常温常湿
でテストした後、低温低湿、高温高湿、常温常湿、低温
低湿、高温高湿、常温常湿という順序でそれぞれ3,0
00枚ずつプリントする毎に温度湿度条件を変えてトー
タル18,000枚のプリントテストを行った。その結
果を図14、及び図15に示す。
【0075】図14は、実施例1及び比較例の画像濃度
テスト結果を示すグラフであり、図15は、実施例1及
び比較例のトナー帯電量のテスト結果を示すグラフであ
る。図15に示すように、トナー帯電量が環境により大
きく変化しているにもかかわらず、図14に示すよう
に、画像濃度は一定に保たれる。トナー帯電量の変化は
比較的初期における低湿下で最大になることも確認され
た。また、どのキャリアを用いた場合でも一定の画像濃
度を維持していることが確認された。さらに、高湿下で
の白点も見られなかった。なお、図14及び図15にお
ける比較例は図25を参照して説明した飽和特性を示さ
ない現像方式によるテスト結果であり、図14に示すよ
うに、2個所で白点が発生している。
【0076】(実施例2)上記の実施例1において、選
択できるコントラスト電位が存在しなかったキャリア
D、Fについて、Vsを下げる試みを実施した。Vsは
トナー帯電量に比例するがトナー重量は画像形成上必要
な値が決まっているので変更することはできない。従っ
てトナー帯電量を低め設定するほかないが、トナー組成
の変更によりある程度トナー帯電量を低下させることが
できる。そこで、アミノシラン処理によりSiO2 をト
ナーへ外添し、相対湿度15%の環境下での帯電量を下
げた。その結果、キャリアD、Fのトナー帯電量はそれ
ぞれ30μC/g、25μC/gとなり、Vsは500
V、400Vに低下し、設定可能なコントラスト電位が
得られた。常湿、高湿下でのトナー帯電量が低下した
が、現像不可能な値ではなかった。
【0077】
【表5】
【0078】表5は、環境を変えて画像形成を行った結
果を示す表である。表5に示すように、キャリアD,F
を用いた場合でも一定の画像濃度を維持していることが
確認された、また、高湿下での白点も見られなかった。
次に、実施例1と同様の順序で、それぞれ3,000枚
プリントする毎に温度湿度条件を変えてトータル18,
000枚のプリントテストを行った。その結果を図1
6、及び図17に示す。
【0079】図16は、実施例2の画像濃度テスト結果
を示すグラフであり、図17は、実施例2のトナー帯電
量のテスト結果を示すグラフである。図17に示すよう
に、トナー帯電量が環境により大きく変化しているにも
かかわらず、図16に示すように、画像濃度は一定に保
たれる。さらに、高湿下での白点も見られなかった。こ
のように、トナー帯電量の設定を変えることにより、本
発明の効果を得られるようにできることが確認された。
【0080】(実施例3)図4(b)のような光電位減
衰曲線を持つ像担持体とキャリアCを用いて画像形成実
験を行った。実験条件及び実験結果を表6に示す。
【0081】
【表6】
【0082】静電潜像のプロファイルは前述で示した計
算方法によれば二値化されている。維持特性実験の結果
を図18、図19、図20に示す。図18は、実施例3
の画像濃度テスト結果を示すグラフであり、図19は、
実施例3のトナー帯電量のテスト結果を示すグラフであ
り、図20は、実施例3の肌色再現色差のテスト結果を
示すグラフである。
【0083】図19に示すように、トナー帯電量が環境
により大きく変化しているにもかかわらず、図18に示
すように、ベタ部画像濃度が安定しているばかりでな
く、図20に示すように、肌色に代表されているような
中間調の再現性も色差3以下に収まっており安定してい
る。これは、静電潜像の中間域においても十分なコント
ラスト電位が得られており、本発明の効果が及ぶものと
考えられる。従って、本発明は二値化された静電潜像に
対して中間調の安定までも得られる効果を有しているこ
とが確認された。
【0084】(実施例4)次に、キャリアA,Cと、周
方向に感度ムラのある像担持体A、回転軸方向に感度ム
ラのある像担持体B、回転軸方向に膜厚ムラのある像担
持体Cを用いて実験を行った。イエロー、マゼンタ、シ
アンのトナーと上記キャリアを混合した各色の現像剤を
図6に示す装置の3つの現像器それぞれに入れ、画像濃
度が低下し易い相対湿度15%の環境下でほぼ肌色に相
当する画像を出力させた。バイアスの設定は、実施例1
のキャリアCと同様にした。像担持体感光面の全面に相
当する画像面内での色の違いを目視で判定した結果を表
7に示す。
【0085】
【表7】
【0086】表7から、1011ΩcmのキャリアAを用
いた線型の現像曲線の場合には、像担持体の感度ムラに
よる画像面内での色の違いがはっきり認められたが、本
発明のバイアス設定をした105 ΩcmのキャリアCを
用いた飽和現像では画像面内での色の違いが認められ
ず、静電潜像の変化に対して安定した階調性を示すこと
がわかった。回転軸方向に感度ムラのある像担持体Bを
用いた場合でも飽和現像の場合は画像面内での色の違い
は認められなかった。従って、像担持体に感度ムラや膜
厚ムラがあっても、キャリアCのような飽和特性を示す
キャリアを用いて飽和現像を行うと、画像面内での色の
差は認められず安全である。
【0087】(実施例5)本実施例では、通常の白黒の
プリンタに使用されているトナーを用いて画像形成実験
を行った。トナー粒径は7μmでカーボン添加により黒
色としている。キャリアA,Cと組み合わせトナー濃度
4%で帯電量が25μC/gとなるようにトナー外添剤
量を調整した。このようなトナーを用いた場合の、用紙
上での単位面積あたりのトナー重量と画像濃度との関係
についてはすでに図26を引用して説明した通りである
が、本実施例におけるキャリアCの場合、図26に示す
ように、画像濃度はトナー重量と共に上昇するが、画像
濃度約1.4付近で飽和しはじめ、1.45以上ではほ
ぼ飽和状態となりトナー重量には依存しなくなる。そこ
で、キャリアCについては、確実に飽和領域が出現する
ようにバイアス設定した。一方、飽和領域が出現しない
キャリアAについては、現像トナー重量を0.7mg/
cm2 に設定し、現像トナー重量は現像ロールの周速を
調整して画像濃度1.4となるようにした。このような
条件に初期設定して実験を行ったところ、現像トナー重
量はキャリアAで大きく変化していたが、キャリアA,
Cのどちらも画像濃度としては安定していた。ただし、
トナーの消費量はキャリアAの方が約1.5倍程度多い
上、線画像が太るなど画質が劣っていた。キャリアAの
実験は用紙上でのトナー重量と、濃度の飽和を利用し安
定化を狙っているのに対し、本発明に含まれるキャリア
Cの場合は必要最小限のトナー重量を一定に維持できる
ため、トナー消費量、画質劣化の点から有利であること
が確認された。カラートナーの場合は隠蔽力が低いため
飽和濃度がはっきりしないか、あるいは非常に多くのト
ナー重量を必要とするため、本発明のように現像トナー
重量を一定にする方が有利である。
【0088】(実施例6)次に、上記の飽和領域を持つ
現像方法において交番成分を直流成分に重畳した現像バ
イアスを用いて実験を行った。その結果、波高値Vp−
pが100V以上であり周波数が20kHz以下である
場合に像担持体へのキャリア付着による転写での白抜け
が減少した。ただし、波高値が500V以上においては
絶縁破壊が発生した。また、周波数が400Hz未満で
は画像乱れが生じた。その結果を表8に示す。
【0089】
【表8】
【0090】従って、静電潜像を現像する現バイアスと
しては、直流電界に100V≦Vp−p≦500V、4
00Hz≦周波数≦20kHzを満たす交番電界を重畳
させたバイアスを用いることが望ましい。 (実施例7)次に、二成分系の現像剤のうちのトナーの
みを現像ロールに供給して現像を行う方式の現像器を用
いて実験を行った。
【0091】図21は、二成分系の現像剤を使用しその
うちトナーのみを現像ロールに供給する方式の現像器の
概要図である。なお、この方式の現像器自体は、特開平
7−92803号公報にも示されているように周知のも
のである。図21に示すように、この現像器70には、
矢印A方向に回転する現像ロール71と、現像ロール7
1に隣接して矢印B方向に回転するトナー供給ロール7
2と、スクリューオーガ73,74などが示されてい
る。
【0092】キャリアとトナーからなる現像剤が現像器
70内のスクリューオーガ73,74で撹拌され、トナ
ーへの帯電付与が行われる。トナー供給ロール72内に
は固定磁石(図示せず)が配置されており、この固定磁
石によってトナー供給ロール72表面には現像剤による
磁気ブラシが形成される。現像ロール71に印加された
現像バイアスにより、トナー供給ロール72表面に形成
された磁気ブラシの中のトナーのみが現像ロール71上
へ移行する。現像ロール71へのトナー移行量はトナー
供給ロール72と現像ロール71の間に印加された電位
差により制御される。現像ロール71上に移行するトナ
ー重量は0.6mg/cm2 程度であり、それらのトナ
ーは像担持体1に接触している。実験に用いたトナーと
キャリアは実施例1におけるキャリアAと同様である。
常湿下でこの現像器70の現像特性を実施例1と同様の
方法で調べたところ、相対湿度15%の環境下でのVs
は680Vであった。なお、実施例1では、約340V
から電位に対する飽和特性が見られた。
【0093】また、この現像器70の、高湿下における
微小耐圧を調べた結果、1,800V以上で微小リーク
が見られた。これはトナーの外添剤として使用したTi
2と空気中の水分が結びついて微小な導電パスを形成
したためと推測される。この現像器70は、トナーへの
帯電付与とトナー重量を規制する工程とが分離している
ので、トナー帯電量と関係なく現像ロール70上のトナ
ー重量を一定に保つための制御手段を設けることができ
る。本実施例では現像ロール70のトナー重量を光学濃
度計を用いて測定したが、他の検出手段であってもよ
い。測定結果が基準より外れていれば現像ロール71と
トナー供給ロール72との間に印加されているバイアス
を変化させトナー重量を一定に保つようになっている。
現像ロール71のバイアス設定は本発明に基づきコント
ラスト電位が800vとなるように設定し、維持性実験
を行った結果、次に示すように安定した画像濃度が得ら
れた。
【0094】図22は、図21に示す現像器を用いて行
った維持性実験の結果を示すグラフである。図22に示
すように、一成分現像方式における本発明の効果が確認
された。特にトナーへの帯電付与とトナー重量を規制す
る工程が分離している現像装置であれば、現像ロール上
のトナー重量を一定にできるので電位ムラによる変動を
吸収できるばかりでなく環境変動の影響を受けず効果が
高い。
【0095】次に、比較例として従来一般的に使用され
ている一成分現像方式の現像器(例えば特公平3−31
264号公報参照)を用いて維持性実験を行った。現像
ロール上に形成されるトナー重量は0.6mg/cm2
に調整された。帯電量は低めの8μc/gに設定され
た。像担持体とトナー層は接触するようにして、実施例
1と同様の方法で求めた相対湿度15%の環境下でのV
sは250Vであった。また、高湿下の微小耐圧を調べ
た結果、1,800V以上で微小なリークが見られた。
トナーの外添剤として電気抵抗の低いTiO2 を使用し
ており、この外添剤と空気中の水分が結び付いて微小な
導電パスを形成したためと推測される。
【0096】図23は、従来の一成分現像方式の現像器
を用いた維持性実験により得られた画像濃度のグラフで
ある。現像ロールのバイアス設定は本発明に基づきコン
トラスト電位が800vとなるように設定した。維持性
実験の結果、図23に示すように、安定な画像濃度は得
られなかった。これは、トナー帯電が高いと現像ロール
上のトナー重量が増加し、トナー帯電が低いとトナー重
量が減少するというトナー量の帯電依存特性によるもの
である。
【0097】図24は、従来の一成分現像方式の現像器
を用いた維持性実験により得られた現像ロール上のトナ
ー重量のグラフである。図23及び図24から明かなよ
うに、トナー重量と画像濃度との間に強い相関が認めら
れる。 (実施例8)トナー帯電量を大きく変化させて、本発明
の効果があるか否かの確認を行った。その結果、トナー
帯電量が5μC/g未満の場合、または50μC/g以
上の場合は像担持体から転写材へのトナー移行が不十分
だったり、ムラが生じたりすることが確認された。従っ
て、本発明の効果を十分に発揮させるためにはトナー帯
電量を5μC/gから50μC/gの範囲内とすること
が望ましい。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の画像形成
装置によれば、飽和特性を示す現像特性を有する現像手
段において、相対湿度15%における現像曲線の飽和現
像トナー重量を示すコントラスト電位Vs(15)と、
現像バイアス電位Vbと像担持体の全露光部電位との間
に、 |Vs(15)|×1.1<|Vb−Vi|| なる関係を満たすように現像手段を設定したことによ
り、環境変化や経時変化の影響を受けにくく中間調再現
性に優れた画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】飽和特性を示す現像方式を説明するための模式
化された現像曲線のグラフである。
【図2】微小耐圧の測定装置の概要図(a)及び測定結
果を示すグラフ(b)である。
【図3】像担持体を入力画像面積率10%,20%,5
0%で露光したときの像担持体上の露光エネルギプロフ
ァイルを示した図であ
【図4】像担持体の光電位減衰特性を示すグラフであ
る。
【図5】(a)は、図3(a)に示す光電位減衰特性を
持つ像担持体を画像面積率50%で露光した時の、Dの
値を種々変化させた場合における像担持体の表面電位プ
ロファイルを計算で求めた結果を示すグラフであり、
(b)は、図4(b)に示す光電位減衰特性を持つ像担
持体を画像面積率50%で露光した時の、Dの値を種々
変化させた場合における像担持体の表面電位プロファイ
ルを計算で求めた結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の画像形成装置の一実施形態を内
蔵したカラー複写機の概略構成図である。
【図7】光ビーム走査部の構成図である。
【図8】光ビームパルス幅変調回路の回路ブロック図で
ある。
【図9】図6に示す回転現像器を構成する4台の現像器
のうちの1台分の現像器の構成図である。
【図10】実施例1の現像曲線を示すグラフである。
【図11】飽和開始点のコントラスト電位Vsの求め方
を示す説明図である。
【図12】キャリアC,D,E,F,Gについての出力
枚数と画像濃度との関係を示すグラフである。
【図13】キャリアC,D,E,F,Gについての出力
枚数とトナー帯電量との関係を示すグラフである。
【図14】実施例1及び比較例の画像濃度テスト結果を
示すグラフである。
【図15】実施例1及び比較例のトナー帯電量のテスト
結果を示すグラフである。
【図16】実施例2の画像濃度テスト結果を示すグラフ
である。
【図17】実施例2のトナー帯電量のテスト結果を示す
グラフである。
【図18】実施例3の画像濃度テスト結果を示すグラフ
である。
【図19】実施例3のトナー帯電量のテスト結果を示す
グラフである。
【図20】実施例3の肌色再現色差のテスト結果を示す
グラフである。
【図21】二成分系の現像剤を使用しそのうちトナーの
みを現像ロールに供給する方式の現像器の概要図であ
る。
【図22】図21に示す現像器を用いて行った維持性実
験の結果を示すグラフである。
【図23】従来の一成分現像方式の現像器を用いた維持
性実験により得られた画像濃度のグラフである。
【図24】従来の一成分現像方式の現像器を用いた維持
性実験により得られた現像ロール上のトナー重量のグラ
フである。
【図25】コントラスト電位に対して現像トナー重量が
ほぼ線形である現像特性のグラフである。
【図26】用紙上トナー重量と画像濃度との関係を示す
グラフである。
【図27】現像時間に対する現像トナー重量の関係を示
すグラフである。
【図28】コントラスト電位に対して現像トナー重量が
飽和領域を持つ現像特性のグラフである。
【図29】像担持体と現像ロール上のトナー層との間の
空隙を飛翔するトナー軌跡の模式図である。
【符号の説明】
1 像担持体ドラム 2 静電潜像形成用帯電器 3 回転現像器 4 転写ドラム 5 クリーナ 6 前露光器 9 定着器 10 原稿読取り部 11 用紙トレイ 12 用紙搬送経路 20 光ビーム走査部 21 半導体レーザ 22 コリメータレンズ 23 ポリゴンミラー 24 fθレンズ 25 光ビーム 26 走査開始信号生成用光センサ 30 光ビームパルス幅変調回路 31 三角波発振器 32 比較回路 33 選択回路 34 D/A変換器 91 現像ロール 92 現像容器 93,94 スクリューオーガ 95 現像剤規制部材 96 固定磁石 97 シリンダ 98 バイアス電源 99 隔壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳田 和彦 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 金 石 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静電潜像を担持して所定の方向に移動す
    る像担持体と、 該像担持体を帯電した後該像担持体上に画像情報に基づ
    いた露光光を照射することにより該像担持体上に静電潜
    像を形成する静電潜像形成手段と、 所定の現像位置において前記像担持体に対向して配備さ
    れた、トナー及びキャリアより成る二成分系の現像剤を
    所定の厚さの現像剤層として担持し該現像位置において
    前記像担持体の移動方向と同一方向に移動する現像剤担
    持体を有し、該現像剤担持体と前記像担持体との間に現
    像バイアスを印加すると共に該現像剤担持体の担持する
    現像剤中のトナーを前記像担持体上の静電潜像に供給す
    ることにより該静電潜像を現像して該像担持体上にトナ
    ーによる顕像を形成する現像手段とを備えた画像形成装
    置において、 前記現像手段が、現像バイアス電位Vb及び像担持体の
    全露光部電位Viによって定まるコントラスト電位に対
    する現像トナー重量のカーブが所定のコントラスト電位
    以上の領域で飽和特性を有するものであって、 前記コントラスト電位に対する現像トナー重量のカーブ
    の傾きがコントラスト電位が0近傍にある時の傾きの1
    /5にある点の相対湿度15%におけるコントラスト電
    位をVs(15)とした時、 |Vs(15)|×1.1<|Vb−Vi| なる関係を満たすように設定されて成ることを特徴とす
    る画像形成装置。
  2. 【請求項2】 静電潜像を担持して所定の方向に移動す
    る像担持体と、 該像担持体を帯電した後該像担持体上に画像情報に基づ
    いた露光光を照射することにより該像担持体上に静電潜
    像を形成する静電潜像形成手段と、 所定の現像位置において前記像担持体に対向して配備さ
    れた、トナーより成る一成分系の現像剤を所定の厚さの
    現像剤層として担持し該現像位置において前記像担持体
    の移動方向と同一方向に移動する現像剤担持体を有し、
    該現像剤担持体と前記像担持体との間に現像バイアスを
    印加すると共に該現像剤担持体の担持する現像剤を前記
    像担持体上の静電潜像に供給することにより該静電潜像
    を現像して該像担持体上にトナーによる顕像を形成する
    現像手段とを備えた画像形成装置において、 前記現像手段が、現像バイアス電位Vb及び像担持体の
    全露光部電位Viによって定まるコントラスト電位に対
    する現像トナー重量のカーブが所定のコントラスト電位
    以上の領域で飽和特性を有し、前記現像剤として体積抵
    抗1010Ωcm以上のトナーを用いるものであって、 前記コントラスト電位に対する現像トナー重量のカーブ
    の傾きがコントラスト電位が0近傍にある時の傾きの1
    /5にある点の相対湿度15%におけるコントラスト電
    位をVs(15)とした時、 |Vs(15)|×1.1<|Vb−Vi| なる関係を満たすように設定されて成ることを特徴とす
    る画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記現像手段が、前記現像剤担持体に印
    加された現像バイアスにより前記移動する現像剤担持体
    上の現像剤層中に微小電流リークが発生し始める電圧を
    微小耐圧Vmとした時、 |Vm|>|Vb−Vi| なる関係を満たすように設定されて成ることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の画像形成装置。
JP21386396A 1996-08-13 1996-08-13 画像形成装置 Pending JPH1063086A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001272857A (ja) * 2000-03-24 2001-10-05 Ricoh Co Ltd 現像装置、画像形成装置及び画像形成プロセスユニット

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001272857A (ja) * 2000-03-24 2001-10-05 Ricoh Co Ltd 現像装置、画像形成装置及び画像形成プロセスユニット

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