JPH105818A - ステンレス管の縮径加工方法 - Google Patents

ステンレス管の縮径加工方法

Info

Publication number
JPH105818A
JPH105818A JP15976496A JP15976496A JPH105818A JP H105818 A JPH105818 A JP H105818A JP 15976496 A JP15976496 A JP 15976496A JP 15976496 A JP15976496 A JP 15976496A JP H105818 A JPH105818 A JP H105818A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roll
tube
outer diameter
rolling
diameter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15976496A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoichi Imamura
陽一 今村
Koichi Kuroda
浩一 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP15976496A priority Critical patent/JPH105818A/ja
Publication of JPH105818A publication Critical patent/JPH105818A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】1パスでの外径圧下量が大きくとれる孔型ロー
ルを用いたステンレス管の縮径加工方法を提供する。 【課題手段】ロール孔型が略円形の複数の4ロールスタ
ンドをタンデムに配置した連続圧延機を用い、内面規制
工具を用いずに、加工中の材料温度をMd点以上に維持
して縮径加工を行う。 【効果】例えば、溶接製管機の仕上げ外径統合を図るこ
とが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス管の縮
径加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、ステンレス管は、その製造方法に
よりシームレス管と溶接管の2種類に分けられる。
【0003】シームレス管は、ユジーンセジュルネ法に
代表される熱間押し出し製管法やマンネスマン法に代表
される熱間圧延製管法によって製造される。例えば、上
記熱間圧延製管法による場合には、傾斜ロール式の穿孔
圧延機で中実ビレットを穿孔して中空素管とし、この中
空素管をマンドレルミルおよびストレッチレデューサー
に通して外径30mm程度の管に仕上げる。そして、製
品の外径が30mmよりも小さいものは、その後、冷間
抽伸法やコールドピルガミルと称される冷間圧延機によ
り所望の寸法に仕上げられる。
【0004】溶接管は、複数のロールセットからなる成
形ロール群でコイル状の板材をその幅方向に徐々に曲げ
て管状に成形し、板材の両エッジが相互に当接する部分
を連続的に溶接して所定寸法の管に仕上げられる。ま
た、この溶接製管後、溶接製管機の後段に配置した誘導
加熱器などからなる熱処理炉によって製品の二次加工性
などを改善すべく、その溶接部または管全体に焼鈍など
の適宜な熱処理を施す場合もある。
【0005】この溶接管は、製品の径と肉厚に応じた板
材を用いることにより、所望の寸法の管を直接製造する
ことができるという利点を有している。また、溶接製管
機の後段に熱処理炉を配置して製管溶接と熱処理を連続
して行う場合には、その製造ラインをシームレス管の製
造ラインに比べて遥かにコンパクトにできるという利点
もある。このため、これらの利点と最近の溶接技術の向
上に伴い、溶接管の需要が多くなりつつある。
【0006】しかし、溶接製管機は、管の仕上外径が異
なる都度、成形ロール群を交換する必要がある。従っ
て、多くの仕上外径に対応するためには、ロールセット
を数多く保有する必要があり、工具原単位が嵩むという
欠点がある。また、成形ロール群の交換には、多大な工
数と時間が必要で、溶接製管機の稼働率低下を招くとい
う欠点もある。また更に、成形ロール群の交換時には、
パスライン調整などが必要で、この調整作業を素材であ
る板材を成形ロール群に通して行うために材料歩留りが
悪いという欠点もある。
【0007】上記の欠点は、溶接製管機で仕上げる外径
をできるだけ少ない数に統合し、後工程において縮径加
工を施すことによって所望の外径に作り分けることで解
消することができる。
【0008】ところで、管材の縮径加工法としては、通
常、冷間抽伸法が多く用いられている。
【0009】図5は、冷間抽伸法を示す模式的部分縦断
面図である。図5に示すように、冷間抽伸法において
は、ダイス31のダイス孔に管材32の一端部を通して
この一端部を図示しないグリッパーで把持し、内面規制
工具を用いずに白抜き矢符方向へ引抜くことにより、管
材32の外径を縮径する加工法である。なお、減肉加工
を施す場合には、プラグと称される内面規制工具が用い
られる。
【0010】この冷間抽伸法では、引き抜きに先立ち、
管材32の一端部をダイス31のダイス孔に通してグリ
ッパーで把持する。このため、予め管材32の一端部の
外径を縮小する口絞り加工を施す必要があるので、材料
歩留りが低下するという欠点がある。
【0011】また、ステンレス鋼は、通常、JISに規
定されたSKD11などの工具鋼製のダイス31と焼付
きやすい。このため、その外表面には、耐焼付性に優れ
たリン酸亜鉛などの化成処理潤滑皮膜が施される場合が
多い。この化成処理は、多大の工数と時間および費用が
かかり、抽伸加工後に脱脂洗浄処理する必要があるの
で、コスト高につく。また、化成処理は、通常、オンラ
イン処理が事実上不可能なために素管複数本単位でバッ
チ処理される。従って、溶接管の利点であるコイル状の
板材を素材とする連続製管ラインに適用できないという
欠点がある。
【0012】一方、オンライン加工が可能な管材の縮径
加工法としては、孔型ロールによる管材の連続圧延法も
ある。すなわち、この連続圧延法は、後段スタンドに向
かうに従ってそのロール孔型寸法を小さくした孔型ロー
ルを備える複数のロールスタンドをパスライン方向にタ
ンデムに配置し、連続的に管材の外径を縮径加工する方
法である。
【0013】この孔型ロールを用いた連続圧延法による
場合には、管材が回転駆動される孔型ロールに自動的に
噛込むので上記の口絞り加工が不要である。また、工具
である孔型ロールと管材間の滑りが冷間抽伸法に比べ小
さいため、素管表面に潤滑皮膜を付与する化成処理が不
要で、オンライン加工が可能である。さらに、仕上げ外
径も、少ない数の下流側のロールスタンドのみを、ロー
ル孔型寸法の異なるものに取り替えるか、もしくは使用
しないようにすることで、種々の外径に仕上げることが
可能である。
【0014】孔型ロールを用いた代表的な連続圧延法と
しては、例えば特開昭63−33105号公報に提案さ
れている3ロール圧延法および特開平6−210318
号公報に提案されている4ロール圧延法がある。
【0015】図6は、上記特開昭63−33105号公
報に提案された3ロール圧延法を示す模式図である。そ
の3ロール圧延法は、図6に示すように、3つの孔型ロ
ール41を備え、パスライン周りに位相を60°相違さ
せたA配置とB配置(図7参照)の複数のロールスタン
ド42をパスライン方向に交互に配置した前述の熱間圧
延製管法で用いられるストレッチレデューサーと同様構
成の連続圧延機を用いる方法である。そして、孔型ロー
ル孔型としては、そのロール孔型の形状が、材料逃がし
部を大きくした、基本的に、図8に示す略三角形の孔型
ロールを用いる方法である。
【0016】また、図1は、上記特開平6−21031
8号公報に提案された4ロール圧延法を示す模式図であ
る。その4ロール圧延法は、図1に示すように、4つの
孔型ロール11を備え、パスライン周りに位相を45°
相違させたA配置とB配置(図2参照)の複数のロール
スタンド12をパスライン方向に交互に配置した連続圧
延機を用いる方法である。そして、孔型ロールとして
は、そのロール孔型の形状が、材料逃がし部を小さくし
た、基本的に、図3に示す略円形の孔型ロールを用いる
方法である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】孔型ロールを用いた連
続圧延法においては、パスライン周りに配置した孔型ロ
ール相互のロール隙間に材料が噛み出すのを防ぐため、
そのロール孔型が溝両縁部の曲率半径を溝底部の曲率半
径よりも大きくして材料逃がし部を設けた形状とされ
る。このため、圧延中の管材は、前段ロールスタンドの
ロール孔型の溝縁部に接触した材料部分が管材の横断面
内で曲げ変形し、この曲げ変形した材料部分が次段ロー
ルスタンドのロール孔型の溝底部に接触して延ばされる
という、曲げ延ばしの繰り返し変形を受ける。そして、
外径圧下量を大きくし、上記の曲げ延ばし変形量を材料
の塑性変形能、すなわち加工性を超えて大きくすると、
自由表面である管材内面に割れが発生する。特に、ステ
ンレス鋼は、塑性変形に伴う冷間加工性の低下が著した
め、外径圧下量を大きくとれないという問題があった。
【0018】ところで、上記の3ロール圧延法と4ロー
ル圧延法とでは、外径圧下に伴う材料の周方向流動に注
目した場合、4ロール圧延法よりも3ロール圧延法の方
がその材料流動量が大きく、ロール隙間G3 (図8参
照)への材料噛み出しが発生しやすいという特性があ
る。
【0019】従って、3ロール圧延法では、材料逃がし
部を大きくとる必要があるので、前述した図8に示すよ
うな略三角形のロール孔型を用いるが、この場合、上記
の曲げ延ばし変形量が大きくなる。特に、前段ロールス
タンドのロール孔型のロール隙間に近い溝縁部で圧延さ
れた材料部分は急激な曲げ変形を受け、次段ロールスタ
ンドのロール孔型の溝底部で延ばされ、さらにその次の
ロールスタンドで再度急激な曲げ加工を受ける。この結
果、急激な曲げ延ばしの繰り返し変形を受けた材料部分
の加工性が急激に低下するうえ、溝底部に接触して延ば
される際に内面の三角形の頂点付近の材料部分に応力が
集中し、内面割れの発生が顕著になる。このため、3ロ
ール圧延法では、外径圧下量を大きくとることができ
ず、例えばSUS304鋼製の溶接管の場合、1パスで
圧延可能な外径圧下量は高々15%程度であった。
【0020】これに対し、4ロール圧延法は、外径圧下
に伴う材料の流動方向が主として管軸長方向であり、周
方向への材料流動量が少ないため、真円に近い略円形の
ロール孔型であってもロール隙間G4 (図3参照)への
材料噛み出しなしに圧延が可能であるという特性があ
る。このため、4ロール圧延法では、上記の曲げ変形量
が小さく、外径圧下量をある程度大きくとれ、上記のS
US304溶接管の場合、1パスで圧延可能な外径圧下
量は30%程度であった。
【0021】なお、上記SUS304鋼製の溶接管を冷
間抽伸法で縮軽加工する場合、1パスで加工可能な外径
圧下量の上限値は35%程度である。また、上記の外径
圧下量(%)は、下式によって求められる値である(以
下、同じ)。
【0022】外径圧下量={(圧延前外径−圧延後外
径)/圧延前外径}×100 ここで、上記のSUS304鋼製の溶接管に代表される
ステンレス管の一般的な市販製品の外径は、34.0m
m、27.2mm、25.4mm、21.7mm,1
7.3mm、13.8mm、10.5mmなどであり、
外径比で約20〜40%ピッチである。
【0023】従って、上記の連続圧延法を用い、例えば
溶接製管機での製管外径を整理統合しようとした場合に
統合可能な外径は、現状の連続圧延法で可能な外径圧下
量が高々30%程度であるので、2サイズ程度しか統合
できない。しかし、連続圧延法での加工可能な外径圧下
量を高め得れば、溶接製管機での製管外径をより少なく
することが可能で、溶接製管機の稼働率および材料歩留
まりが向上し、溶接管の製造コスト、換言すれば最終製
品の製造コストの低減を図ることができる。かかる事情
により、より高い外径圧下量での加工が可能な孔型ロー
ルを用いた連続圧延法の開発が望まれていた。
【0024】本発明は、上記の実情に鑑みてなされたも
ので、その課題は、30%を超える外径圧下量での加工
が可能な孔型ロールを用いた連続圧延法を提供すること
にある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく多くの実験を行った結果、次のことを知
見し、本発明をなすに到った。
【0026】すなわち、周知のように、ステンレス鋼、
なかでもオーステナイト系ステンレス鋼は、冷間で塑性
変形を加えると、組織のマルテンサイト化が起こって加
工硬化し、冷間加工性が失われる。また、材料温度を上
記の冷間加工に伴ってマルテンサイト化が起こる変態温
度であるMd点以上に保持して加工を行うと、マルテン
サイト化が抑制されるという特徴を有している。このこ
とから、その加工を、材料温度を上記のMd点以上に維
持して行うこととした。
【0027】しかし、加工を3ロ−ル圧延法で行うと、
前述したように、そのロール孔型が略三角形であること
から管材の横断面内での曲げ延ばし変形が大きく、材料
温度をMd点以上に維持しても組織のマルテンサイト化
が抑制されず、管内面に割れが発生し、1パスで加工可
能な外径圧下量を冷間抽伸法と同様の30%程度にまで
しか高めることができないことをが判明した。
【0028】これに対し、加工を4ロール圧延法で行っ
た場合には、そのロール孔型が略円形であることから管
材の横断面内での曲げ延ばし変形が小さく、材料温度を
Md点以上に維持することと相俟って組織のマルテンサ
イト化が確実に抑えられ、1パスで加工可能な外径圧下
量を40〜50%程度に高め得ることを知見した。
【0029】上記の知見に基づく、本発明の要旨は、次
のステンレス管の縮径加工方法にある。
【0030】パスライン回りに配された4つの孔型ロー
ルで構成されるロール孔型が略円形である複数の4ロー
ルスタンドをパスライン方向にタンデムに配置した連続
圧延機により、ステンレス鋼製の素管の外径を内面規制
工具を用いずに縮径加工する際、縮径加工中の素管温度
をMd点以上に維持することを特徴とするステンレス管
の縮径加工方法。
【0031】上記本発明の方法においては、ロール孔型
が、4つの孔型ロールの相対向する溝底間寸法をDm、
溝縁部間寸法をDhとしたとき、その比(Dh/Dm)
が1.02〜1.08の孔型ロールを用いるのが好まし
い。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の縮径加工方法の実
施形態を、前述の図1〜図3および図4を参照して詳細
に説明する。
【0033】図1に示すように、本発明では、略円形の
ロール孔型を画成する4個の孔型ロール11を備える複
数のロールスタンド12、12、12、…をパスライン
方向にタンデムに配置した連続圧延機を用いた4ロール
圧延法によって縮径加工が行われる。
【0034】すなわち、複数のロールスタンド12は、
図2に示すように、4つの孔型ロール11のロール軸心
をパスライン周りに相互に45°位相させて配置された
A配置のロールスタンド12とB配置のロールスタンド
12とがパスライン方向に交互配置されている。そし
て、各ロールスタンド12、12、12、…のロール孔
型は、図3に示すように、略円形であり、後段のロール
スタンドに向かうに従ってその寸法Dm(Dh)が小さ
くなっており、内面規制工具を用いずに素管13の外径
を縮径加工できるようになっている。
【0035】この4ロール圧延法による場合には、前述
したように、圧延中の材料流動が主として素管13の軸
長方向に生じ、周方向への材料流動が極めて少なく、ロ
ール隙間G4 への材料噛み出しがほとんどないため、ロ
ール孔型として略円形のものを用いることができる。こ
の結果、上記繰り返しの曲げ延ばし変形量が少なく、自
由面である管内面の割れ発生が抑制される分だけ外径加
工量を可及的に大きくできることになる。
【0036】この場合、素管13の温度が、通常の冷間
状態、すなわち常温状態であると、材料の組織がマルテ
ンサイト化して加工硬化し、その冷間加工性が失われ、
外径加工量を略円形のロール孔型で得られる以上には高
めることができない。
【0037】しかし、本発明に従ってその加工中の材料
温度をMd点以上に維持する場合には、材料のマルテン
サイト化に伴う加工硬化による冷間加工性の低下が抑制
される。この結果、従来にない大きな外径加工量を付与
しても、管内面に割れを発生させることなく、1パスで
の圧延が可能になるのである。
【0038】なお、ロール孔型の形状は、図3に示すよ
うに、ロール隙間G4 付近、すなわち溝縁部に若干の材
料逃がし部を設けた略円形とすることは前述したとおり
である。しかし、この溝縁部の材料逃がし部があまり大
きすぎると、4ロール圧延法であっても、3ロール圧延
法で生じる繰返しの曲げ伸ばし変形量が大きくなって応
力集中が発生し、圧延中の素管温度をMd点以上に維持
することによって得られる効果が小さくなる。
【0039】また、逆に、上記溝縁部での材料逃がし部
をあまり小さくしすぎると、ロール隙間G4 への材料噛
み出しなしに圧延可能なロールスタンド当たりの付与可
能な外径圧下量が小さくなる。この結果、所望の外径圧
下量を得るのに必要なロールスタンド数が増えて圧延機
が大型化し、圧延機自体の製作費用が高くなる。
【0040】従って、そのロール孔型の形状は、4つの
孔型ロールの相対向する溝底間寸法Dmとロール隙間G
4 方向の寸法、すなわち溝縁部間寸法Dh(図3参照)
との比(Dh/Dm)が1.02〜1.08の範囲内で
ある略円形とするのが好ましい。
【0041】本発明において、圧延中の素管13の材料
温度をMd点以上に維持するための方法としては、次の
2つの方法のうちいのずれかを用いればよい。すなわ
ち、第1の方法は、例えば環状の誘導加熱コイルなどか
らなる適宜な加熱手段を連続圧延機の入側に配置し、素
管13をMd点以上に加熱しつつもしくは加熱してから
連続圧延機に供給する方法である。また、第2の方法
は、上記同様に連続圧延機の入側に配置した加熱手段に
よって素管13をMd点以上に加熱するとともに、連続
圧延機の孔型ロール11をもMd点以上に予加熱する方
法である。
【0042】上記第1の方法による場合、連続圧延機を
構成するロールスタンド数が10スタンド程度では、そ
の加熱温度が(Md点+50)℃未満であると、常温状
態の孔型ロールによる抜熱によって素管13の材料温度
が低下し、圧延中の材料温度がMd点未満となって組織
のマルテンサイト化が起こり、材料の加工性が低下して
管内面に割れが発生しやすくなる。このため、ロールス
タンド数が10スタンド程度の連続圧延機を用いる場合
のその入側での素管12の加熱温度は、Md点+50℃
以上に加熱するのが望ましい。
【0043】なお、その圧延中の素管12の材料温度を
Md点以上に確実に維持するためには、上記の加熱温度
が高ければ高いほど好ましい。しかし、その加熱温度が
(Md点+400)℃を超えると管表面が酸化変色し、
最終製品とするには酸洗処理が必要で、製品の製造コス
トが上昇する。このため、その加熱温度の上限値は、
(Md点+400)℃に留どめるのが望ましい。
【0044】一方、第2の方法による場合には、孔型ロ
ールによる抜熱がないので、連続圧延機の入側での素管
の加熱温度の下限値は、Md点であってもかまわない。
この後者の方法による場合における孔型ロールの加熱温
度の上限は、上記と同様の理由および孔型ロールの強度
低下が著しくなって高い外径圧下量の付与が困難になる
ので、(Md点+400)℃とするのが望ましい。
【0045】なお、孔型ロールの加熱は、例えば、図4
に示す方法を用いて予加熱するようにすればよい。すな
わち、連続圧延機を構成する全てのロールスタンド12
を、ダクト22を備える上方に開閉自在なカバー21で
覆い、このカバー21内にダクト22を介して所定温度
の熱風を吹き込み供給し、熱風によって孔型ロールを所
定の温度に加熱することとすればよい。
【0046】また、この孔型ロールの予加熱は、本発明
においては必ずしも必要でないが、孔型ロールと材料と
が焼き付くのを確実に防ぐために、例えば水溶性のソル
ブル油などの潤滑油を用いることとし、所定温度に加温
した潤滑油を孔型ロールに直接吹き付けることによって
孔型ロールを所定の温度に予加熱するようにしてもよ
い。
【0047】以上に説明した本発明の縮径加工方法は、
素管13が溶接管である場合に限らず、シームレス管で
あっても同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0048】
【実施例】
(実施例1)ロール径が200mmのSKD11製の4
つの孔型ロールを備え、その外径圧下量がいずれもほぼ
10%になるようにロール孔型径の設定されたロールス
タンドを最大10スタンド連設配置することができ、下
流側のロールスタンド数を増減することにより、34.
0mmの素管の外径を30.6〜11.9mmの外径に
仕上げ可能な連続圧延機を準備した。
【0049】そして、外径34.0mm、肉厚3.0m
mのSUS304製とSUS316L製の2種類の溶接
管を素管とし、この素管を連続圧延機の入側にて種々の
温度(20〜560℃)に加熱しつつ孔型ロールを予加
熱することなく種々の外径(30.6〜11.9mm)
に1パスで縮径圧延を行った。
【0050】しかる後、縮径加工後の管の内外面を目視
観察し、管内面の割れ発生有無と管表面の酸化変色発生
有無を調べた。調査結果は、管内面に割れの発生が認め
られなかった場合を「○」、管内面に割れの発生が認め
られた場合を「×」、管表面に酸化変色の発生が認めら
れた場合を「△」として評価した。
【0051】この際、各スタンドのロール孔型は、図3
に示す形状の略円形で、上記の寸法比(Dh/Dm)を
1.04とした。また、孔型ロールの回転速度は、実際
の圧延に用いたロールスタンドのうちの最終スタンドの
ロール周速が30m/minとなるように各スタンドの
回転速度を調整設定した。さらに、圧延は、素管表面に
化成処理潤滑皮膜を施すことなく無潤滑で行った。また
更に、仕上げ外径が11.9mmを超えるものを圧延す
る場合の下流側のロールスタンドには、被圧延材料を単
に支持するのだけのダミースタンドを配置した。
【0052】なお、各素管のMd点は、SUS304製
が60℃、SUS316L製が40℃であった。
【0053】圧延結果を、素管の加熱温度および外径圧
下量とともに、表1および表2に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】表1および表2に示す結果から明らかなよ
うに、連続圧延機の入側での素管の加熱温度が(Md点
+50)℃未満の場合、圧延中の材料温度がMd点未満
となった結果、管内面に割れが発生しない圧延可能な外
径圧下量の上限値は、SUS304製の素管で27%、
SUS316L製の素管で34%であり、いずれも素管
を加熱しない場合と同じであった(No. 1〜3およびN
o. 11〜14参照)。
【0057】これに対し、連続圧延機の入側で素管を
(Md点+50)℃以上に加熱した場合には、その圧延
中の材料温度がMd点以上に維持された結果、管内面に
割れが発生しない圧延可能な外径圧下量の下限値が、S
US304製の素管では34%に、SUS316L製の
素管では41%に向上した(No. 4〜10およびNo. 1
5〜20参照)。
【0058】また、400℃を超える温度に素管を加熱
した場合には、縮径加工後の管表面が酸化により変色し
た。
【0059】(実施例2)連続圧延機を構成する各ロー
ルスタンドの孔型ロールを、図4に示す手段を用いて種
々の温度(20〜260℃)に予加熱するとともに、連
続圧延機入側での素管の加熱温度をそれぞれMd点温度
とした以外は上記実施例1と同じ条件で1パスの縮径圧
延を行った。そして、実施例1と同様の方法によって縮
径加工後の管内面の割れと管表面の酸化変色の発生状況
を調べた。その結果を、孔型ロールの加熱温度および外
径圧下量と合わせて、表3および表4に示した。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】表3および表4に示す結果から明らかなよ
うに、各ロールスタンドの孔型ロールを予加熱する場合
には、孔型ロールをMd点以上に予加熱するとともに、
連続圧延機入側での素管の加熱温度をMd点にしても、
圧延中の材料温度がMd点以上に維持された結果、管内
面に割れが発生しない圧延可能な外径圧下量の下限値
が、SUS304製の素管で27%から34%に、SU
S316L製の素管で34%から41%に向上した(N
o. 21〜23とNo. 24〜30、およびNo. 31〜3
4とNo. 35〜40参照)。
【0063】(実施例3)水溶性のソルブル油を潤滑油
として用い、60℃以上の温度に加温した潤滑油を孔型
ロールに直接吹付けて孔型ロールの温度を60℃に予加
熱するとともに、連続圧延機入側で素管を60℃に加熱
した以外は実施例2と同じ条件で、SUS304製の素
管のみを対象とする1パスの縮径圧延を行った。その結
果、熱風を用いて孔型ロールを60℃に予加熱した場合
においても実施例2の場合と同様の結果が得られた。す
なわち、その圧延可能な外径圧下量の上限値は、27%
から34%に向上した。
【0064】
【発明の効果】本発明の方法によれば、外径圧下量の大
きな1パス圧延が可能である。このため、本発明の方法
を用いる場合には、例えば、溶接管製造ラインにおける
溶接製管機での仕上げ外径統合を図ることが可能にな
る。その結果、保有ロールセット数の減少、溶接製管機
の稼働率と材料歩留りが向上し、製品の製造コスト低減
が図れる。
【0065】また、仕上げ外径が30mm以上のシーム
レス管を、外径30mm未満に仕上げるのに通常用いら
れる冷間抽伸法に代替使用する場合には、化成潤滑皮膜
処理とその除去処理および口絞り加工が不要である。ま
た、複数パスの圧延を要する場合でも、1パス中りの外
径加工量を大きくとれるので、そのパス回数が少なくな
る分だけパス間で施す軟化熱処理も少なくなるので、作
業能率と材料歩留が向上する。この結果、溶接管を縮径
加工する場合と同様に、製品の製造コスト低減が図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる4ロール圧延法を示す模式的縦
断面図である。
【図2】4ロール圧延法に用いられる連続圧延機のロー
ルスタンドの連設配置を示す模式的正面図で、同図
(a)は前段スタンド、同図面(b)は次段スタンドを
示す図である。
【図3】4ロール圧延法に用いられるロール孔型を示す
模式的正面図である。
【図4】本発明において各ロールスタンドの孔型ロール
の予加熱方法の一例を示す模式的図で、同図(a)は正
面図、同図(b)は側面図である。
【図5】冷間抽伸法を示す模式的縦断面図である。
【図6】3ロール圧延法を示す模式的側面図である。
【図7】3ロール圧延法に用いられる連続圧延機のロー
ルスタンドの連設配置を示す模式的正面図で、同図
(a)は前段スタンド、同図面(b)は次段スタンドを
示す図である。
【図8】3ロール圧延法に用いられるロール孔型を示す
模式的正面図である。
【符号の説明】
11:孔型ロール、 12:ロールスタンド、 13:素管。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パスライン回りに配された4つの孔型ロー
    ルで構成されるロール孔型が略円形である複数の4ロー
    ルスタンドをパスライン方向にタンデムに配置した連続
    圧延機により、ステンレス鋼製の素管の外径を内面規制
    工具を用いずに縮径加工する際、縮径加工中の素管温度
    をMd点以上に維持することを特徴とするステンレス管
    の縮径加工方法。
  2. 【請求項2】ロール孔型は、4つの孔型ロールの相対向
    する溝底間寸法をDm、溝縁部間寸法をDhとしたと
    き、その比(Dh/Dm)が1.02〜1.08である
    ことを特徴とする請求項1に記載のステンレス管の縮径
    加工方法。
JP15976496A 1996-06-20 1996-06-20 ステンレス管の縮径加工方法 Pending JPH105818A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15976496A JPH105818A (ja) 1996-06-20 1996-06-20 ステンレス管の縮径加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15976496A JPH105818A (ja) 1996-06-20 1996-06-20 ステンレス管の縮径加工方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH105818A true JPH105818A (ja) 1998-01-13

Family

ID=15700764

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15976496A Pending JPH105818A (ja) 1996-06-20 1996-06-20 ステンレス管の縮径加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH105818A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005068098A1 (ja) * 2004-01-16 2005-07-28 Sumitomo Metal Industries, Ltd. 継目無管の製造方法
JP2022511697A (ja) * 2019-06-18 2022-02-01 常熟希那基汽▲車▼▲零▼件有限公司 新規な中空軸製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005068098A1 (ja) * 2004-01-16 2005-07-28 Sumitomo Metal Industries, Ltd. 継目無管の製造方法
US7293443B2 (en) 2004-01-16 2007-11-13 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Method for manufacturing seamless pipes or tubes
USRE44308E1 (en) 2004-01-16 2013-06-25 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Method for manufacturing seamless pipes or tubes
JP2022511697A (ja) * 2019-06-18 2022-02-01 常熟希那基汽▲車▼▲零▼件有限公司 新規な中空軸製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4633122B2 (ja) 継目無熱間仕上げ鋼管を製造するための方法およびこの方法を実施するための装置
JP4019772B2 (ja) 継目無管の製造方法
JP3853428B2 (ja) 鋼管の絞り圧延方法および設備
WO2005068098A9 (ja) 継目無管の製造方法
ZA200703246B (en) Method for production of a seamless hot-finished steel tube and device for carrying out said method
CN109702014B (zh) 挂车车轴定方装置、挂车车轴及其制备方法
JPH105818A (ja) ステンレス管の縮径加工方法
JPH071009A (ja) 管の冷間圧延方法
JP4306079B2 (ja) 電縫鋼管の製造方法および設備列
JP2001009504A (ja) 細線材の圧延方法及び装置
JP4182556B2 (ja) 継目無鋼管の製造方法
JP3605971B2 (ja) Sus303線材の縮径加工方法
JPS6035206B2 (ja) 継目無鋼管製造法
JPH1099902A (ja) 細線材の圧延方法および細線材の圧延装置
JP3082678B2 (ja) 小径継目無金属管の製造方法
JP2008194744A (ja) 電縫鋼管の矯正方法
JPH05228533A (ja) 溶接管の製造方法及びその装置
JPH05269507A (ja) クロム含有鉄基合金の継目無鋼管の製造方法
JPH04111907A (ja) オーステナイト系ステンレス継目無鋼管の製造方法
JPH0819805A (ja) 管の延伸圧延方法
JPH08187502A (ja) 管の連続圧延方法および3ロールマンドレルミル
US6598287B1 (en) Apparatus and method for sizing a galvanized tube
JP4314972B2 (ja) 金属管の定径圧延方法
JPH09285801A (ja) ステンレス形鋼の製造方法及び製造設備
JP3651198B2 (ja) 鋼管の絞り圧延方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20040526

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060425

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060829

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02