JPH10510460A

JPH10510460A - 血管封鎖用エネルギー供給システム

Info

Publication number: JPH10510460A
Application number: JP9512512A
Authority: JP
Inventors: バイセ，スティーブン・ポール; ケネディ，ジェニファー・セラフィン; ルキアナウ，スティーブン・ウェイド; ライアン，トーマス・パトリック
Original assignee: ヴァリーラブ・インコーポレーテッド
Priority date: 1995-09-19
Filing date: 1996-07-11
Publication date: 1998-10-13
Anticipated expiration: 2016-07-11
Also published as: JP3207435B2; ES2174078T3; AU723001B2; CA2228890A1; EP0862386A1; CA2228890C; DE69621636D1; US5827271A; EP0862386B1; MX9801151A; AU6237896A; ATE218304T1; WO1997010763A1; DE69621636T2

Abstract

(57)【要約】電気外科エネルギーは患者（１３）の血管や血管組織を封鎖するために外科用器具（１２）と組み合わせて用いられる。本システムの重要な効果の一つは、患者（１３）の体内に何ら異物を残さずに患者（１３）の血管を効果的に封鎖できる、という点である。また、本システムは直径１０ミリという大きな血管でも封鎖することが可能である。更に本システムのもう一つの効果は、外科医が視覚的に封鎖の完全性を点検することができる、という点である。本発明は望ましい結果を達成するために圧力と電気外科エネルギーを制御しながら加えることとを組み合わせて作用する。外科用器具（１２）は患者（１３）の組織を把持し、適当な量の閉鎖力を組織に加えるために使用される。この器具は、閉鎖力を加えると同時に組織に電気外科エネルギーを導くことができる。患者（１３）の血管及び血管組織を封鎖する方法は、患者（１３）の血管及びその他の組織に圧力を加えるステップと、組織中のタンパク質を融かすに足るだけ十分に第１レベルの電気外科電力を血管及びその他の組織に加えるステップと、焼け焦げを起こさず乾燥させるに足るだけ十分に第２レベルの電気外科電力を血管やその他の組織に加えるステップと、血管やその他の組織が冷却され新しい圧縮された形質となるよう十分な時間、電気外科電力をゼロになるまで低下させるステップと、組織にかかっている圧力をゆるめるステップとを含む。

Description

【発明の詳細な説明】血管封鎖用エネルギー供給システム１．発明の分野本発明は、血管及びその他の血管組織を封鎖するための医療用システムに関し、特に、患者の組織に電気外科用エネルギーと組み合わせて圧力を加えることにより血管および血管組織の流れを永久的に封鎖するためのシステムに関する。２．発明の背景管路、静脈、動脈、血管束あるいは血管を結さつ又は閉塞することは多くの外科処置において非常に一般的に行われている。大きな組織の場合は典型的には縫合によって封鎖される。血管の縫合が困難であったり、時間がかかりすぎる場合には結さつクリップが用いられることがある。クリップの配置や完全性は外科医によって注意深くチェックされる必要がある。ステープルやクリップが万が一外れるようなことがあれば、望ましくない出血を引き起こすこととなるからである。よって外科医はしばしば閉鎖を完全なものとするために数個のクリップやステープルを用いている。血管をクリップでとめる装置の中には、クリップの固定を助けるために電気外科エネルギーを使用するものがある。米国特許第５２０７６９１号は、クリップを通して組織に電気外科エネルギーが加えられる電気外科クリップアプリケーターを開示している。これは、電気外科エネルギーによってクリップと隣接する組織とが融合され、この結果クリップがより確かに固定される、というものである。また、米国特許第５２０１９００号は二つの別々な導電部を有する双極外科クリップを開示している。この発明では、クリップにエネルギーを与えるために双極電気外科器具が用いられており、クリップの一方の端子が活性電極に、もう一方の端子が戻り電極に接続されている。但し、これら上記のシステムにはいづれも患者の体内に異物を残す、という欠点が伴う。他にも組織を封鎖する方法は開示されているが、信頼性の問題からいづれの方法も広く受け入れられるには至っていない。例えば、米国特許第５１５１１０２号では双極電気外科エネルギーで作動する血管の凝固・流出止め装置が開示されている。この装置は血管を把持し、電気外科エネルギーを与えるための鉗子によって操作されるものである。この処置の際中、血管壁は縮み、組織は固くなる。また、この方法は直径が約２ミリメーターより大きい組織を封鎖するには信頼性に欠け、適当ではなかった。いくつかの刊行物にも電気外科術を用いて小さな血管を封鎖するための方法が開示されている。“凝固に関する研究及び自動コンピューター化双極凝固装置の開発”（J.Neurosurg,１９９１年７月、第７５巻）と題する論文には小さな血管を封鎖するために使われる双極凝固装置が記載されている。この論文によると、直径が２から２.５ミリより大きい動脈を安全に凝固することは不可能であった、と記されている。また、二つ目の論文は“自動制御双極電気凝固法ＣＯＡ−ＣＯＰ”（Neurosur g.Rev.1984，pp.187〜190）と題するもので、この論文には血管壁の焼け焦げを避けるため血管への電気外科電力供給を止める方法について記載されている。これは電力ゼネレータの負荷のインピーダンスが局所的最小に至った時点で電気外科電力を止めるものであり、この方法を神経外科手術や血管直径が小さい場合の精密手術などに応用することがこの論文には記載されている。尚、本願と同時に“血管組織封鎖圧力制御とその方法”（名簿番号ＰＣ９２００）と題する関連した特許が出願されている。発明の要約本システムの重要な効果の一つとして、患者の体内にいかなる異物をも残さずに患者の大きな血管を効果的に封鎖することができるという点が挙げられる。本システムによれば、直径１０ミリという大きさの血管を封鎖することが可能である。また、本システムのもうひとつの効果は、外科医が封鎖の完全性を視覚的に点検することができる、という点である。本発明は望ましい結果を達成するために圧力と電気外科エネルギーを調節しながら印加することとを組みあわせて作用する。よって、このシステムは患者の組織を把持し、適当な量の圧力を患者の組織に印加するための器具を必要とする。尚ここでいう“圧力”とは器具のエンドエフェクタによって血管あるいはその他の組織に加えられる閉鎖力を指している。また、この器具は組織への圧力の印加と同時に組織に対して電気外科エネルギーを導くことができるものでなければならない。電気外科ゼネレータは電気外科エネルギーを生成するために使用される。電気外科エネルギーは自動制御システムを使って特定の方法で印加されることが望ましい。制御システムは最適な血管封鎖を行うことができる様、電気外科ゼネレータの出力電流と出力電圧とを調整する。本発明の効果の一つは、タンパク質を融かす目的で組織に高い電流を加えることにある。高い電流は組織に与えるその効果上、重要である。同様に、火花の発生や局所的組織の加熱を減じるために、出力電圧が調節される。電圧はＲＭＳ値で１６０ボルトより低くおさえることが望ましく、好ましい実施例ではＲＭＳ値で１２０ボルトより低く抑えられている。電気外科手術による血管封鎖の初期の試みが不成功に終わった理由の一部として、比較的低い電流が加えられたことがあげられる。本発明では組織にＲＭＳ値で２アンペアを超える最大電流を流すことができる。このレベルの出力電流は現在入手可能な多くの電気外科ゼネレータの設計能力よりも高いものである。組織の焼け焦げは、適当な時点で組織への電気外科エネルギーの流れを止めることによって防ぐことができる。この電気外科エネルギーをいつ止めるかを決定するにはいくつかの方法がある。その一つは、電気外科ゼネレータの出力負荷のインピーダンスを監視することである。インピーダンスが或るレベル、望ましくは１０００オームより高い値に達したとき、電気外科エネルギーは止められるべきである。もう一つの方法としては、出力電圧と出力電流とのあいだの位相角を監視することがあげられる。外科器具へのエネルギー供給は、望ましくは出力電流が出力電圧より約５０度より大きな角度分だけ進んだ時に止められるべきである。電気外科エネルギーの供給を止める時点を決定する３つめの方法としては、出力電流を監視することがあげられる。組織が乾燥するにつれ、組織を流れる電流の量は減少する。よって、出力電流がＲＭＳ値で約２００ミリアンペアよりも低い値に下がった時点でゼネレータは外科器具へのエネルギー供給をやめればよい。電気外科エネルギーが実質的に止められてからも短時間は患者の血管あるいは組織に対する圧力を維持することが望ましい。こうすることにより、組織が新たに封鎖された状態で冷却されるからである。尚、組織への圧力をゆるめるのに適当な時期を外科医に知らせるための可聴トーン指示器がゼネレータに備わっていることが望ましい。外科器具へのエネルギー供給を止めた後の遅延は最高５秒まであってかまわない。好ましい実施例では４つの主たるステップで組織封鎖システムを使用している。まず第１ステップでは組織に圧力を加え、この圧力を維持する。第２ステップでは電気外科エネルギーで組織を急速に加熱する。第３ステップでは組織が焼け焦げずに乾燥するよう、組織に供給されるエネルギーを弱める。そして最後の第４ステップでは組織への電気外科エネルギー供給を止め、まだ圧力がかかっているうちに組織が冷却されるようにする。自動制御システムは電気外科ゼネレータの内部に設置されていることが望ましく、その機能の一つとして自動的に電気外科エネルギー供給のさまざまなレベルを遷移する機能を備えている。変形実施例において、外科器具への電力供給は不連続な、段階的レベルの供給ではなく、そのかわりに、最初高い電流を流し、次に低いレベルに遷移して組織を乾燥させ、組織のインピーダンスが約１０００オームより高いレベルにまで上昇した時に電力供給を止める、というように滑らかな機能であって良い。以下に述べるのは、本発明の様々な実施例の要旨である。電気外科エネルギー供給システムの好ましい実施例は患者の血管やその他の組織を封鎖するために使用される。このシステムは、ゼネレータ、外科用器具、及び組織に供給される電気外科エネルギーのレベルを制御する手段とから構成される。ゼネレータは制御されたレベルの高周波電気外科エネルギーを供給できることが望ましい。ゼネレータの出力はいづれも好ましい実施例で調節されている出力電流と出力電圧とを有することを特徴としてよい。本システムのゼネレータは出力電圧をＲＭＳ値で１６０ボルトより低い値に抑えることができ、この出力電圧がＲＭＳ値で１２０ボルトより低く抑えられることが最も望ましい。出力電圧を制限する理由の一つは、組織の中に局所的に高温のゾーンをもたらしたり、組織が電極にくっついてしまう結果となるような火花やアークの発生を避けるためである。血管が離断されてしまうことがある、ということもアーク発生のもう一つの欠点として挙げられる。外科用器具は電気外科エネルギーを受け取るためにゼネレータ出力に接続されていることが望ましい。外科用器具は、鉗子、クランプという形体をとっていてもよいし、組織を把持するための部材を有する器具であればいかなる器具でもよい。双極構造において、外科用器具の一つの部材は活性電極に電気的に接続され、もう一つの部材が戻り電極に接続される。かわりに、単極構造であれば、外科用器具をゼネレータの一方の電極だけに電気的に接続して、患者をもう一方の電極に電気的に接続してもよい。部材が組織を把持している間に、ゼネレータからの電気外科エネルギーは組織を通して回路に流れこむ。好ましい実施例においては外科用器具に供給される電気外科エネルギーのレベルを制御するための手段が採用されている。電気外科エネルギーのレベルは、血管やその他の組織が外科用器具の部材によって把持されながら封鎖される様に制御される。この電気外科電力のレベルとはゼネレータのＲＭＳ出力を指すことができ、このＲＭＳ出力は出力電圧、出力電流、周波数及びデューテー・サイクルの関数であってよい。外科用器具には電気外科エネルギーの印加と同時に部材間の血管やその他の組織に圧力を加えるための手段も備えることができる。この圧力を加えるための手段は、外科用器具の部材に対して既知のスプリング力を有するラッチやインデントの形体をとることができる。外科用器具から得られる圧力にはいくつか選択できるレベルがあってもよい。例えば、動脈や血管組織には高いレベルの圧力を加えることが望ましく、一方、血管には低いレベルの圧力を加えることが望ましい、というようにすることができる。手術中、外科医は外科用器具で血管を把持し、血管に望ましいレベルの圧力を加えるために器具上のメカニズムを操作することができる。いったん圧力が血管に加えられたなら、外科医は電気外科エネルギーを活性化してよい。ゼネレータは指定された出力曲線に従って適切な量の電気外科エネルギーを加える。ゼネレータへのフィードバック制御にはいくつかの方法がある。電力曲線における遷移点は組織の状態に従って起こることとなっているので、フィードバック制御は重要である。更に、組織に過度のエネルギーを加えてしまって組織の焼け焦げや固着を引き起こすことは望ましくなかろう。フィードバック制御の目的でいくつかのパラメーターを監視することができる。これらのパラメーターには、組織のインピーダンス、出力電圧と出力電流の間の位相角、組織を流れる出力電流のレベル、組織の温度が含まれる。ゼネレータには、患者の血管やその他の組織が外科用器具の部材で把持されているときに血管や組織のインピーダンスを少なくとも概算する手段が備わっていることが望ましい。例えば、組織のインピーダンスを概算する一つのやり方としては、インピーダンスはほとんど抵抗性である、と仮定して出力電圧を出力電流で割って概算する、という方法がある。長い割り算を行う必要がないように、インピーダンスを概算するための他の数値的技法も利用できる。そのような概算数値技法の一例によれば、出力電圧と出力電流とを適当に比較することにより、単なる比較とデジタル回路におけるビットシフトのみによってインピーダンスの範囲が見積もられる。組織のインピーダンスは組織の乾燥状態を示すインディケーターである。インピーダンスを見積もる理由の一つは、血管や組織のインピーダンスが約１０００オームより高い値に上昇したときに電気外科エネルギーを実質的に止めることができるよう、電気外科エネルギーのレベルを制御することにある。本発明のある実施例においては、インピーダンスの見積もり値が２０４８オームを超えた時に外科用器具へのエネルギー供給を止めるのが適切であるようにすることができる。電気外科エネルギーのレベルを制御するための好ましい手段にはいくつかの段階が含まれている。まず第１段階は、最初のインピーダンス中断点に達するまで血管やその他の組織への電力供給を急速に増加するための急激な電力供給機能である。第２段階は、血管や組織のタンパク質が融けるまで血管や組織へのコンスタントな電力供給を維持するための一定電力供給機能である。第３段階は、第２のインピーダンス中断点に達するまで血管や組織への低い電力供給を維持するための低電力供給機能である。好ましい実施例においては、上記のある段階から別の段階への遷移は外科医が更になんら入力を行うことなく、ゼネレータにおいて自動的に成されるものである。インピーダンスの中断点は、第１の中断点が１６オーム、第２の中断点が２０４８オームであることが望ましい。患者の血管やその他の組織を封鎖する方法は、患者の血管やその他の組織に圧力を加えるステップと、血管やその他の組織に組織内のタンパク質を融かすに充分な第１のレベルの電気外科エネルギーを加えるステップと、組織を焼き焦がさず乾燥させるに充分な第２のレベルの電気外科エネルギーを血管やその他の組織に加えるステップと、血管やその他の組織が冷却されて新しい圧縮された形となるに充分な時間、電気外科エネルギーを実質的に減少させるステップと、組織にかかっている圧力をゆるめるステップとを含む。この組織にかかっている圧力をゆるめるステップは、５秒以内の遅延時間のあとに行うことができる。更に、この遅延時間の終了後、可聴指示を行うステップがあってもよい。この方法における付加的ステップとして、血管やその他の組織のインピーダンスを概算するステップがあってもよい。尚、このステップを実行する場合には、血管やその他の組織のインピーダンスが約１０００オームより高い値に上昇した後に第２レベルの電気外科エネルギーを止めるための更にもう一つのステップがあってもよい。図面の簡単な説明図１は電気外科血管封鎖システムの概略図である。図２は組織インピーダンスの関数として組織に供給される電気外科電力を表す電力曲線である。発明の詳細な説明図１には電気外科エネルギー供給システム１０が示されている。システム１０は管路、血管、動脈及び血管組織を含む患者１３の血管やその他の組織を封鎖するために使われる。システム１０は、電気外科ゼネレータ１１、外科用器具１２、及び患者１３の血管やその他の組織を効果的に封鎖するためにゼネレータ１１が外科用器具１２と協力的に作動する様、ゼネレータ１１の出力を制御するための手段とから構成されている。電気外科ゼネレータ１１は制御されたレベルの電気外科出力電力を供給できるものでなければならない。出力電力は出力電流と出力電圧とを調整することにより制御できる。外科用器具１２は電気外科電力を受け取るためにゼネレータ１１と電気的に接続されている。外科用器具１２には、患者１３の血管やその他の組織を把持することのできる部材１４あるいはエンドエフェクタが備えられている。部材１４は血管に比較的一定のレベルの圧力を加えたり維持することも可能である。電気外科ゼネレータ１１は外科用器具１２に供給される電気外科電力のレベルを自動的に制御するための手段を有していなければならない。この手段は、フィードバック制御システムという形をとることができる。好ましい実施例では、出力電流及び出力電圧を制限するための回路も採用される。また、ある実施例では電気外科出力を制御するためのＲＦ出力段の調節に可調節高圧電源が用いられる。ゼネレータ１１の電力出力は電力出力曲線で示され、好ましい実施例は図２に示されている通りである。電力曲線は数段階で示すことができる。この段階は不連続な離散的段階でもよいし、あるいは滑らかな連続関数によって概算することもできる。電力曲線の第１段階では、ゼネレータ１１が約１６オームよりも低いインピーダンスにおいてさえ出力電力を供給し、組織中のタンパク質が実質的に融けるまで高電力レベルを保持している。この第１段階の間、典型的にＲＭＳ値で２アンペアよりも大きい最大振幅まで出力電流を上げることができる。高い電流が効果的な血管封鎖にとって重要であることは既に判明している。第１段階のあと、電気外科電力は血管やその他の組織を乾燥させるに充分なレベルにまで下げられる。電力を低くすることにより、組織を焼き焦がさずに乾燥させることが可能となる。最後の段階では組織を冷却させて新しい封鎖された形体とする。この最終段階の間に組織への電気外科電力の印加は実質的に止められる。組織が冷却したあと、閉鎖力はゆるめられる。冷却時間は典型的には５秒以内である。好ましい実施例では可聴トーンが封鎖プロセスの完了を外科医に知らせる。完了を知った外科医は外科用器具１２から血管を開放させる。組織中のタンパク質を融かすのは最初の高電流であると考えられる。その後組織に低い電力を供給することによりタンパク質は交差結合する。組織が冷却するにつれ、新しく交差結合した組織は血管の永久的な封鎖状態を形成する。外科用器具１２には部材１４間に複数レベルの閉鎖力を選択的に加えるためのインデックスが含まれていてもよい。例えば、動脈の場合には普通の血管より大きな閉鎖力を必要とする。動脈を封鎖するには１５００グラムより大きな閉鎖力が効果的であることがわかっている。一方、血管の封鎖には５００グラムより小さな閉鎖力が効果的である。好ましい実施例では、縮むことによって部材１４に閉鎖力をかけるバネが外科用器具１２に設置されよう。上記インデックスは、インデックス上に設けられた逐次止めが連続的に高い圧縮力をバネに加える仕掛けとなるように機械的にバネと連結される。尚このバネは部材１４が閉鎖に対する抵抗力にあうまでは縮み始めないものとする。好ましい実施例では、患者１３の血管やその他の組織が外科用器具１２の部材１４によって把持されているときに血管やその他の組織のインピーダンスを概算するための手段もゼネレータ１１に含まれる。インピーダンスの計算には長い割り算とその他の長い数学的処理が必要となり得る。電気外科ゼネレータ１１の電力出力を制御する目的を果たすに充分な、迅速なインピーダンスの概算方法としては様々なものがある。例えば、出力電圧と出力電流を比べることにより長い割り算を行うことなくインピーダンスの見積もり値を求めることができる。組織のインピーダンスからは組織の乾燥状態の指標が得られる。インピーダンスを監視することにより、ゼネレータ１１は組織を焼き焦がすことなく適当な量の電気エネルギーを提供することができる。例えば、電力制御回路には、血管やその他の組織のインピーダンスが約１０００オームより高くなった場合に外科用器具１２への電力供給を実質的に止めるための電力遮断機能が備えられている。図２に示されている電力制御曲線は組織インピーダンスの関数としてのゼネレータ１１の電気外科出力を表している。Ａと記した部分に示されるように、低いインピーダンスでは出力電流を急速に増すことにより電気外科電力が増加される。最初のインピーダンス中断点に達したあと、電気外科電力の増加は止められる。図２では、最初のインピーダンスの中断点を点として記している。好ましい実施例ではこの点は典型的には２０オームより低いものである。次に、血管やその他の組織のタンパク質が融けるまで電気外科電力は略一定に保たれる。この一定部分が終わるインピーダンスはＲＭＳ電力の大きさによって異なる。よって、最大ＲＭＳ電力が約１２５ワットの場合、この一定部分は約１２８オームで終わろう。これは図２にＢと記した部分で示されている。一方、７５ワットのようにこれより低い電力が使われる場合、この一定部分は２５６オームで終わろう。これは図２のＣと記した部分に示されている。次に、出力電力は最大値の半分以下にまで低下される。第２のインピーダンス中断点に達したときに、低い電力供給は止められる。好ましい実施例では第２の中断点は約２０４８オームである。第２の中断点を決定するためにインピーダンスを利用する代わりに、電流と電圧の間の位相角を用いてもよい。この変形例では、約５０度より大きな角度の分だけ出力電流が出力電圧よりも進んだ場合、外科用器具１２への電力供給を実質的に止めるための手段がゼネレータ１１に備えられている。更に別の変形例では、出力電流がＲＭＳ値で約２００ミリアンペアよりも低い値にまで下がった時に、ゼネレータ１１は外科用器具１２への電力供給を止めるであろう。ゼネレータ１１の出力電圧は常にＲＭＳ値で１６０ボルトより低くおさえておくことが望ましい。出力電圧を低く維持するのは、組織の封鎖の失敗に至るようなアーク発生や、アークによる局所的組織熱傷部位の発生を防ぐためである。患者１３の血管やその他の組織を封鎖する方法は以下のステップから成る。まず、血管やその他の組織の内部流路を実質的に閉鎖するに足る充分な閉鎖力を患者１３の血管やその他の組織に加える。第二に、血管やその他の組織に第１レベルの電気外科電力を加えるが、ここではピーク出力電流は２アンペアより大きく、ピーク出力電圧がＲＭＳ値で１６０ボルトより小さい。第３に、第１レベルの半分よりも小さな第２レベルにまで電気外科電力を落とす。第４に、患者１３の血管やその他の組織を焼き焦がさず乾燥させるに充分な時間だけ、第２レベルの電気外科電力を血管及びその他の組織に供給する。第５に、血管やその他の組織が冷却されて新しい圧縮された形となるに充分な時間だけ、電気外科電力を実質的に下げる。第６に、組織にかかっている閉鎖力をゆるめる。電気外科電力を下げる第５ステップは、外科用器具１２への電力を止めるか、あるいは外科用器具１２への電力を非常に低いレベルにまで下げることによって成し遂げられる。ある実施例では、組織１３ができる限り短時間で冷却されるよう、電気エネルギーを完全に止めることもあろう。また、それに代わる実施例では、組織が冷却されて圧縮された形となるまで組織１３との閉回路を維持するためにゼネレータ１１が約１ワットの電力を出力し続けることもあろう。好ましい実施例では、血管とその他の組織を封鎖する方法に、周期的に血管やその他の組織のインピーダンスを概算する、というもう一つのステップを加えることができよう。このステップにより、ゼネレータ１１の制御システムは組織のインピーダンスに従って出力電力を調節することができるようになる。例えば、第２レベルの電気外科電力を加えるステップは、血管やその他の組織のインピーダンスが約１０００オームより高くなった後に止められるであろう。また上記の代わりとして、出力電流が約５０度より大きな角度分だけ出力電圧より進んだときに、外科用器具１２への電力供給を実質的に止めることもできる。更にこの代わりであれば、出力電流がＲＭＳ値で約２００ミリアンペアより低くなった時点で外科用器具１２への電力供給を止める。好ましい実施例では、更に出力電圧をＲＭＳ値で約１６０ボルトより低い値に抑えるステップ、及び血管やその他の組織にかかっている閉鎖力を除去すべき時期を可聴的に指示するステップとが加えられる。この可聴指示は電気外科電力のレベルを実質的に下げた後、及び５秒以内の遅延時間の後に行われる。上記は本発明の原則の応用を記したものに過ぎず、よって当該技術分野に従事する者であれば本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多数の変形例や代わりの組み合わせを考察できるものと考えられる。添付の請求項はそのような変形例や代わりの組み合わせを網羅することを意図している。

【手続補正書】【提出日】１９９８年１月３０日【補正内容】［特許請求の範囲］『１．患者１３の血管やその他の組織を封鎖するための電気外科エネルギー供給システム１０であって、出力電圧と出力電流とを生成することにより制御されたレベルの電気外科電力を供給することのできるゼネレータ１１と、電気外科電力を受け取るためにゼネレータ１１に電気的に接続されており、患者１３の血管やその他の組織を把持し、電気外科電力をこの血管やその他の組織に送るように配置された導電部材１４と、この導電部材１４間に既知の閉鎖力を維持するための手段とを有する外科用器具１２と、外科用器具１２に供給される電気外科電力のレベルを自動的にシーケンスするためにゼネレータ１１内に設けられた電力制御回路と、から構成され、上記シークエンスには、外科用器具１２が閉鎖力を加えている間に出力電流をＲＭＳ値で約２アンペアより大きな最大振幅にまで上げ、そのあと血管やその他の組織を焼き焦がさずに乾燥させるに充分なレベルにまで上記電気外科電力を下げ、更にこのあと外科用器具１２への電気外科エネルギーの伝送を止めることが含まれることを特徴とする、電気エネルギー供給システム。２．外科用器具１２における上記閉鎖力を維持するための手段が更に導電部材１４間に複数レベルの閉鎖力を選択的に加える手段を含むことを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。３．ゼネレータ１１が、患者１３の血管やその他の組織が外科用器具１２の部材１４によって把持されている際にこの血管やその他の組織のインピーダンスを概算するための手段を更に含むことを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。４．上記電力制御回路が、血管やその他の組織のインピーダンスが約１０００オームより高い値に上昇したときに外科用器具１２への電力供給を実質的に止める電力遮断機能を含むことを特徴とする、請求項３記載の電気エネルギー供給システム１０。５．上記電力制御回路が、第１のインピーダンス中断点に至るまで血管やその他の組織への出力電流供給を急速に増やすための出力電流供給能力と、血管やその他の組織のタンパク質が融けるまで血管やその他の組織へのコンスタントな電力供給を維持するための一定電力供給能力と、第２のインピーダンス中断点に至るまで血管やその他の組織への低い電力供給を維持するための低電力供給能力と、を更に含むことを特徴とする、請求項３記載の電気エネルギー供給システム１０。６．上記第１のインピーダンス中断点が約１６オームに在り、一方上記第２のインピーダンス中断点は約２０４８オームに在ることを特徴とする、請求項５記載の電気エネルギー供給システム１０。７．ゼネレータ１１が、約５０度より大きい角度分だけ出力電流が出力電圧より進んでいる時に外科用器具１２への電力供給を実質的に止めるための手段を含み、あるいはゼネレータ１１が、出力電圧のレベルをＲＭＳ値で約１６０ボルトより低く抑えるための出力電圧制限手段を有することを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。８．ゼネレータ１１が、出力電流がＲＭＳ値で約２００ミリアンペアよりも低い値に下がった際に外科用器具１２への電力供給を実質的に止めるための手段を含むことを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。９．ゼネレータ１１が、外科用器具１２への電力供給を実質的に止めるための手段と、実質的に外科用器具１２への電力供給をとめた後、組織にかかっている閉鎖力をゆるめるよう外科医に告げるための指示器と、を含むことを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。』

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者ライアン，トーマス・パトリックアメリカ合衆国コロラド州80525，フォート・コリンズ，パークビュー・ドライブ 729 【要約の続き】だけ十分に第２レベルの電気外科電力を血管やその他の組織に加えるステップと、血管やその他の組織が冷却され新しい圧縮された形質となるよう十分な時間、電気外科電力をゼロになるまで低下させるステップと、組織にかかっている圧力をゆるめるステップとを含む。

Claims

【特許請求の範囲】１．患者１３の血管やその他の組織を封鎖するための電気外科エネルギー供給システム１０であって、出力電圧と出力電流とを生成することにより制御されたレベルの電気外科電力を供給することのできるゼネレータ１１と、電気外科電力を受け取るためにゼネレータ１１に電気的に接続されており、患者１３の血管やその他の組織を把持し、電気外科電力をこの血管やその他の組織に送るように配置された導電部材１４と、この導電部材１４間に既知の閉鎖力を維持するための手段とを有する外科用器具１２と、外科用器具１２に供給される電気外科電力のレベルを自動的にシーケンスするためにゼネレータ１１内に設けられた電力制御回路と、から構成され、上記シークエンスには、外科用器具１２が閉鎖力を加えている間に出力電流をＲＭＳ値で約２アンペアより大きな最大振幅にまで上げ、そのあと血管やその他の組織を焼き焦がさずに乾燥させるに充分なレベルにまで上記電気外科電力を下げ、更にこのあと外科用器具１２への電気外科エネルギーの伝送を止めることが含まれることを特徴とする、電気エネルギー供給システム。２．外科用器具１２における上記閉鎖力を維持するための手段が更に導電部材１４間に複数レベルの閉鎖力を選択的に加える手段を含むことを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。３．ゼネレータ１１が、患者１３の血管やその他の組織が外科用器具１２の部材１４によって把持されている際にこの血管やその他の組織のインピーダンスを概算するための手段を更に含むことを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。４．上記電力制御回路が、血管やその他の組織のインピーダンスが約１０００オームより高い値に上昇したときに外科用器具１２への電力供給を実質的に止める電力遮断機能を含むことを特徴とする、請求項３記載の電気エネルギー供給システム１０。５．上記電力制御回路が、第１のインピーダンス中断点に至るまで血管やその他の組織への出力電流供給を急速に増やすための出力電流供給能力と、血管やその他の組織のタンパク質が融けるまで血管やその他の組織へのコンスタントな電力供給を維持するための一定電力供給能力と、第２のインピーダンス中断点に至るまで血管やその他の組織への低い電力供給を維持するための低電力供給能力と、を更に含むことを特徴とする、請求項３記載の電気エネルギー供給システム１０。６．上記第１のインピーダンス中断点が約１６オームに在り、一方上記第２のインピーダンス中断点は約２０４８オームに在ることを特徴とする、請求項５記載の電気エネルギー供給システム１０。７．ゼネレータ１１が、約５０度より大きい角度分だけ出力電流が出力電圧より進んでいる時に外科用器具１２への電力供給を実質的に止めるための手段を含み、あるいはゼネレータ１１が、出力電圧のレベルをＲＭＳ値で約１６０ボルトより低く抑えるための出力電圧制限手段を有することを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。８．ゼネレータ１１が、出力電流がＲＭＳ値で約２００ミリアンペアよりも低い値に下がった際に外科用器具１２への電力供給を実質的に止めるための手段を含むことを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。９．ゼネレータ１１が、外科用器具１２への電力供給を実質的に止めるための手段と、実質的に外科用器具１２への電力供給をとめた後、組織にかかっている閉鎖力をゆるめるよう外科医に告げるための指示器と、を含むことを特徴とする、請求項１記載の電気エネルギー供給システム１０。１０．外科用器具１２のエンドエフェクタを通して加えられる出力電圧と出力電流とを有する電気外科電力を用いた電気外科エネルギー供給システムを操作する方法であって、実質的に閉鎖されるように上記エンドエフェクタを充てるステップと、上記エンドエフェクタ間でタンパク質を融かすに足る最高値に出力電流が達するまで、上記エンドエフェクタに供給される電気外科電力のレベルを増加するステップと、上記エンドエフェクタへの電気外科電力供給を減らすステップと、上記エンドエフェクタを冷却するに足る充分な時間、実質的にゼロになるまで電気外科電力を減少するステップと、上記エンドエフェクタにかかっている閉鎖力をゆるめるステップと、を含む電気外科エネルギー供給システムを操作する方法。