【発明の詳細な説明】
ビニルエステルモノマーから作製された粘着性微小球技術分野
本発明は、ビニルエステルモノマーから製造される粘着性ポリマー有機溶剤不
溶性エラストマー感圧接着剤微小球、それらの製造方法、および感圧接着剤とし
てのそれらの使用方法に関する。背景技術
粘着性エラストマー微小球は、再配置可能な(repositionable)感圧接着剤用途
に有用であることは公知である。本明細書中で用いられる「再配置可能な(repos
itionable)」の語により、接着能力の実質的損失なしに繰り返し基材に接着し、
基材から剥離する能力を表す。微小球ベースの接着剤は、そのような用途での「
自己清浄性」による少なくとも1部の役割を果たすと考えられ、基材汚染物が押
しのけられ、接着剤を用いる場合、微小球間で捕捉される傾向にある。除去によ
り、上記接着剤は、基材への再利用のための比較的未汚染表面がまだ存在する。
本質的に中実である本質的に粘着性エラストマーアクリレートポリマー微小球
の製造および/または使用に関する多くの文献がある。配置性(positionable pro
perty)に関して、そのような微小球の組成物、製造および使用が、米国特許第3.
691,140号(シルバー(Silver))、同4,166,152号(ベーカー(Baker)等)、同4,4
95,318号(ハワード(Howard))、同4,598,112号(ハワード(Howard))、同4,786
,696号(ボーネル(Bohnel))、独国特許第3,544,882A1号(ニチバン(Nichiban)
、同号4,645,783(キノシタ(Kinoshita))、および同4,656,218号(キノシタ(Ki
noshita))に開示されている。そのような中実の、アクリレート粘着性微小球は
通常、アクリレートまたはメタクリレートエステルおよびフリーラジカル共重合
性極性モノマーの懸濁重合生成物である。
これらの重合は、様々な乳化剤、界面活性剤、安定剤の存在下および/または
上記球の形成を誘発し、凝集を防止する特定の処理条件下で行われる。
直径少なくとも約1μmを有する中空ポリマーアクリレートの本質的に粘着性
の溶剤不溶性、溶剤分散性エラストマー感圧接着剤微小球が、米国特許第5,045,
569号(デルガド(Delgado))および同4,988,567号(デルガド(Delgado))に開示
されている。デルガド(Delgado)は、少量の高Tgビニルエステル、例えば酢酸エ
ステルが得られるポリマーがTg-20℃を有するように提供される組成物に用いら
れ得ることを示している。好ましい中空微小球は、その中空微小球の少なくとも
10%の直径を有する1つ以上の内部ボイドを含む。中空微小球をベースとした感
圧接着剤は、中実微小球をベースとした再配置可能な感圧接着剤に比較して低下
した接着剤転写性を示すか、または全く接着剤転写性を示さない。開示された微
小球は、再配置可能な感圧接着剤に有用であり、再配置可能なスプレー感圧接着
剤に有用である。米国特許第5,053,436号(デルガド(Delgado))および同3,691,
141号(シルバー(Silver)等)の両方にはそれぞれ、中実および中空アクリレー
ト微小球を用いるスプレー感圧接着剤が開示されている。
酢酸ビニル以外の、ビニルエステルにより感圧接着剤配合物の特定用途を見い
出した。ビニルエステルを含有する非微小球感圧接着剤の例には、米国特許第3,
751,449号(ゴブラン(Gobran))、同4,296,017号(アイヘルゼーデル(Eichelsed
er)等)、および同3,519,587号(バーグメイスター(Bergmeister)等)が含まれ
る。一般に、そのようなビニルエステルは、アクリレート、メタクリレートおよ
びマレイン酸エステルと比較した場合、それらの入手の困難さ、高コストおよび
低反応速度およびフリーラジカル条件下での低速度重合のために用いられない。
加えて、調製されるポリマーはアクリル酸ポリマーほど加水分解に安定でない。
これらの理由で、ビニルエステルは、粘着性エラストマー微小球組成物中の主成
分として特に用いられてきた。発明の要旨
従って、異なるモノマー系の新しい種類の粘着性微小球に対する要求がある。
本発明は、通常直径少なくとも約1μmを有する感圧接着剤微小球を含有する粘
着性ポリマー有機溶剤不溶性エラストマービニルエステルを提供する。加えて、
本発明の微小球は有機溶剤膨潤性である。これらの微小球は再配置可能な感圧接
着剤に有用である。
本発明はまた、これらの微小球を含有する感圧接着剤も提供する。特にこれら
の本質的に粘着性のポリマー有機溶剤不溶性エラストマー感圧接着剤微小球は、
(a)モノマーから調製されるポリマーがTg約-10℃以下を有する、ビニルエス
テルモノマーを含む少なくとも1種のフリーラジカル重合性モノマー約50〜約10
0重量%、
(b)含有される場合、成分(a)および成分(c)のモノマーと共重合可能な少な
くとも1種の極性モノマー約0〜約20重量%、および
(c)含有される場合、成分(a)および成分(b)のモノマーと共重合可能な非極
性フリーラジカル重合性ビニルモノマー約0〜約50重量%、但し、(a)、(b)、
および(c)の重量%は該コポリマーの総重量を基礎とする、および
(d)該モノマーおよび該架橋剤の総重量を基礎として、約0〜約0.15当量%の
多官能性架橋剤
の重合生成物を含有するTg約-10℃以下を有するコポリマーを含む。
好ましくは、前述のコポリマーは必須成分として(a)、(b)、(c)および(d)
を含有し、最も好ましくは(a)、(b)、(c)、および(d)を含有する。
好ましくは、上記感圧接着剤は前述のコポリマーを必須成分として含有し、最
も好ましくは前述のコポリマーを含有する。
本発明はまた、中空である本発明の微小球、中実である本発明の微小球、これ
らの微小球の製造方法、これらの微小球の水性懸濁液および溶剤分散体、スプレ
ー再配置可能な感圧接着剤組成物、および微小球被覆シート材料も提供する。中
空の場合、好ましい中空微小球はその中空微小球の少なくとも10%の直径を有す
る1つ以上の内部ボイドを有する。本発明の微小球はTg約-10℃以下、好ましく
は約-100℃〜約-20℃を有する。上記微小球のガラス転移温度が10℃上昇すると
、上記微小球の粘着性および弾性が低下する。
中空微小球の水性懸濁液は、
(a)(i)水および要すれば少なくとも1種のフリーラジカル重合性極性モノマ
ーを含有する水性相Iを(ii)少なくとも1種のフリーラジカル重合性ビニルエス
テルモノマー、HLB値約7以下を有する乳化剤、全モノマーから調製されるポ
リマーがTg約-10℃以下を有する、要すれば用いられる少なくとも1種のフリー
ラジカル重合性非極性ビニルモノマー、および要すれば用いられる少なくとも1
種の多官能性架橋剤を含有する水性相II、
と組合せることにより油中水エマルジョンを形成する工程、
(b)上記油中水エマルジョンを水および親水性−親油性平衡値約6以下を有す
る乳化剤を含有する水性相II中に分散することにより油中水エマルジョンを形成
する工程、および
(c)重合を開始する工程、
をふくむ2段階乳化法により調製されてもよく、
用いる場合、極性モノマーおよび/または非極性モノマーおよび/または架橋剤
の全部または一部分を更に、油中水エマルジョンの重合を開始した後で、上記油
中水エマルジョンのモノマーのポリマーへの変換100%となる前に、油中水エマ
ルジョンに加える。
極性モノマーを含有し得る中空微小球の水性懸濁液を、
(a)(i)モノマーから調製されるポリマーがTg約-10℃以下を有する、少なく
とも1種のフリーラジカル重合性ビニルエステルモノマー
(ii)要すれば用いられる少なくとも1種のフリーラジカル重合性極性モノマー
、
(iii)要すれば用いられる少なくとも1種のフリーラジカル重合性非極性ビニ
ルモノマー、および
(iv)液滴の内側に油中水エマルジョンを形成し得る少なくとも1種の乳化剤で
あって、上記エマルジョンが乳化および重合の間に実質的に安定である少なくと
も1種の乳化剤、
(v)水性媒体、および
(vi)要すれば用いられる少なくとも1種の多官能性架橋剤、
を共に如何なる順序であっても混合することにより液滴を形成する工程、および
(b)重合を開始する工程、
から成る簡易(「1段階」)乳化法により調製してもよい。
中空微小球の水性懸濁液を、
(a)(i)モノマーから調製されるポリマーがTg約-10℃以下を有する、少なく
とも1種のフリーラジカル重合性ビニルエステルモノマー
(ii)要すれば用いられる一部の少なくとも1種のフリーラジカル重合性極性モ
ノマー、
(iii)要すれば用いられる一部の少なくとも1種のフリーラジカル重合性非極
性ビニルモノマー、
(iv)液滴の内側に油中水エマルジョンを形成し得る少なくとも1種の乳化剤で
あって、上記エマルジョンが乳化および重合の間に実質的に安定である少なくと
も1種の乳化剤、
(v)水性媒体、および
(vi)要すれば用いられる少なくとも1種の多官能性架橋剤、
を共に混合することにより液滴を形成する工程、
(b)重合を開始する工程、および
(c)上記液滴中に含まれるモノマーの100%変換前に、用いる場合、極性モノ
マーの全部または残りの部分および非極性モノマーの全部または残りの部分、お
よび多官能性架橋剤の全部または残りの部分を加える工程、
から成る「1段階」乳化法の変法により調製してもよい。
中実微小球の水性懸濁液を、
(a)(i)モノマーから調製されるポリマーがTg約-10℃以下を有する、少なく
とも1種のフリーラジカル重合性ビニルエステルモノマー
(ii)要すれば用いられる一部の少なくとも1種のフリーラジカル重合性非極性
モノマー、
(iii)親水性−親油性平衡値約25以下を有する少なくとも1種の乳化剤、
(iv)水性媒体、および
(v)要すれば用いられる少なくとも1種の多官能性架橋剤、
を共に混合することにより液滴を形成する工程、
(b)重合を開始する工程、および
(c)上記液滴中に含まれるモノマーの100%変換前に、用いる場合、非極性モ
ノマーの全部または残りの部分、および用いる場合、多官能性架橋剤の全部また
は残りの部分を加える工程、
から成る「1段階」乳化法により調製してもよい。
本明細書中で用いられる以下の語はこれらの意味を有する。
1.「液滴」の語は、重合完結前の液体状態の微小球を表す。
2.「キャビティ」の語は、乾燥前に懸濁液または分散媒体中にある場合の液
滴または微小球の壁面内の空間を表し、従って媒体を用いるものはすべて含まれ
る。
3.「ボイド」の語は、重合微小球の完全に壁面内の空間を表す。
4.「中空」の語は、少なくとも1つのボイドまたはキャビティを含むこと表
す。
5.「中実」の語は、中空でない、即ちボイドのない、またはキャビティのな
いことを表す。
6.「エラストマー(elastmeric)」の語は、例えばS.L.ローゼン(Rosen)のフ
ァンダメンタル・プリンシプルズ・オブ・ポリメリック・マテリアルズ(Fundamenta
l Principles of Polymeric materials)、ウィレイ(Wiley)、ニューヨーク(New
York)、314頁(1982年)に「・・・元の長さの少なくとも2倍に伸張され、その力の
解放により迅速にかつ強制的に実質的にそれらの元の寸法に収縮する非晶質また
は非結晶性材料」として開示されている。
7.ポリマー材料に関する「有機溶剤不溶性」の語は、全体的には一般的有機
溶剤に分子レベルで溶解しないポリマー材料を表す。
8.ポリマー材料に関する「溶剤膨潤性」の語は、溶剤中で元の寸法以上に膨
張し、実質的にここの粒子を含有する分散体を形成するポリマー材料を表す。
本明細書中に示されるすべての%、部、比等は、他に表示しない限り重量によ
る。発明の詳細な説明 フリーラジカル重合性ビニルエステルモノマー
有用なエステルモノマーは親油性、水乳化性であり、限定水溶性(25℃で水10
0g当たり約1g以下)を有し、ホモポリマーとして一般にガラス転移温度約-10℃
以下を有する。
本発明に有用なビニルエステルモノマーは一般式:
(式中、R1は炭素原子1〜12個を有する直鎖状または分岐状アルキル基から
成る群から選択される)
を有する。そのようなビニルエステルは、それらに限定されないが、2-ヘキサン
酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、ヘキサ
ン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、デカン酸ビニル、オクタン酸ビニル、および
ホモポリマーとして一般にガラス転移温度約-10℃以下を有する炭素原子3〜14
個を有する直鎖状または分岐状カルボン酸の他の単官能性不飽和ビニルエステル
から成る群から選択されるものを含む。好ましいビニルエステルモノマーは、ラ
ウリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、2-ヘキサン酸ビニル、およびそれらの混合
物から成る群から選択されるものを含む。
更に、脂環式およびフェニルアルキル置換ビニルエステル、例えば以下に示す
式、
(式中、R2は脂環式または芳香族基(例えば、フェニル)であり、
R3は水素原子または低級アルキル(例えば、炭素原子1〜6個を有する))
を有する米国特許第3,751,449号(コブラン(Gobran)等)に開示のものが本発明
の微小球に用いられてもよい。フリーラジカル重合性極性モノマー
本発明に有用なフリーラジカル重合性極性モノマーは、多少油溶性および水溶
性の両方であり、水性相および油相の間の極性モノマーの分布となる。
好適な極性モノマーの代表例には、それらに限定されないが、アクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、スルホエチルメ
タクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、2-ビニル-4,4
-ジメチル-2-オキサゾリジノン、t-ブチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチ
ルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、およびイオン性モノマー、例
えばナトリウムメタクリレート、アンモニウムアクリレート、ナトリウムアクリ
レート、トリメチルアミンp-ビニルベンズイミド、4,4,9-トリメチル-4-アゾニ
ア-7-オキソ-8-オキサ-デセ-9-エン-1-スルホネート、N,N-ジメチル-N-(ベー
タ-メタクリルオキシ-エチル)アンモニウムプロピオネートベタイン、トリメチ
ルアミンメタクリルイミド、1,1-ジメチル-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アミ
ンメメタクリルイミド、それらの混合物等から成る群から選択されるものが挙げ
られる。好ましい極性モノマーには、モノ親油性(monoolefinic)モノカルボン酸
、モノ親油性ジカルボン酸、アクリルアミド、N-置換アクリルアミド、それら
の塩、およびそれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。その
ような好ましい極性モノマーの例には、それらに限定されないが、アクリル酸、
ナトリウムアクリレート、N-ビニルピロリドン、およびそれらの混合物から成
る群から選択されるものが含まれる。フリーラジカル重合性非極性モノマー
ホモポリマーとしてガラス転移温度約-10℃以上を有するフリーラジカル重合
性非極性ビニルモノマー、例えばt-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリ
レート、ブチルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、それらの混合
物等を要すれば、得られるコポリマーがガラス転移温度約-10℃以下を有するよ
うに提供される1種以上のビニルエステルモノマーと共に用いてもよい。
同様に、ホモポリマーとしてガラス転移温度約-10℃以下を有する他のフリー
ラジカル重合性非極性ビニルモノマー、例えばアルキルアクリレートおよびメタ
クリレートモノマー、は本発明の微小球および感圧接着剤を製造するのに有用で
ある。そのようなアルキルアクリレートおよびメタクリレートモノマーは、非3
級アルキルアルコールのそれらの単官能性不飽和アクリレートおよびメタクリレ
ートエステルであり、上記アルキル基が好ましくは炭素原子約4〜約14個を有す
る。そのようなモノマーの例には、それらに限定されないが、イソオクチルアク
リレート、4-メチル-2-ペンチルアクリレート、2-メチルブチルアクリレート、
イソアミルアクリレート、s-ブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-
エチルヘキシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、およびそれらの混合
物から成る群から選択されるものが含まれる。
好ましいアクリレートモノマーには、イソオクチルアクリレート、イソノニル
アクリレート、イソアミルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-エチルヘ
キシルアクリレート、n-ブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、および
それらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。成分範囲
本発明の微小球およびそれらから製造される感圧接着剤は、コポリマーの総重
量を基礎として、少なくとも1種のフリーラジカル重合性ビニルエステルモノマ
ー約50〜約100重量%、要すれば1種以上の極性モノマー約0〜約20重量%(含
有される場合、通常約0.1〜約20重量%)、および要すれば非極性フリーラジカ
ル共重合性ビニルモノマー約0〜約50重量%(含有される場合、通常約0.1〜約5
0重量%)を含有するコポリマーを含む。
好ましくは、感圧接着剤微小球は、コポリマーの総重量を基礎として、フリー
ラジカル重合性ビニルエステルモノマー約60〜約100重量%、要すれば少なくと
も1種の極性モノマー約0〜約15重量%(含有される場合、通常約0.1〜約15重
量%)、および要すれば非極性フリーラジカル共重合性ビニルモノマー約0〜約
30重量%(含有される場合、通常約0.1〜約30重量%)を含有するコポリマーを
含む。最も好ましくは、感圧接着剤微小球は、コポリマーの総重量を基礎として
、フリーラジカル重合性ビニルエステルモノマー約70〜約100重量%、要すれば
極性モノマー約0〜約10重量%(含有される場合、通常約0.1〜約10重量%)、
および要すれば非極性フリーラジカル共重合性ビニルモノマー約0〜約20重量%
(含有される場合、通常約0.1〜約20重量%)を含有するコポリマーを含む。
好ましくは、少なくとも1種の極性モノマーが上記組成物中に含まれるが、微
小球はフリーラジカル重合性ビニルエステルモノマー単独または他のフリーラジ
カル重合性非極性ビニルモノマー、例えばイソオクチルアクリレート、酢酸ビニ
ル等を含有せずに、調製されてもよい。最も好ましくは、この比で含まれる極性
モノマー少なくとも約1〜約10重量%は、バランスのとれた感圧接着剤特性を提
供する。中空微小球の2段階製造方法
本発明の中空微小球の水性懸濁液を、第1に水溶液の油中水エマルジョンおよ
び用いる場合、油相モノマー中の極性モノマー(即ち、少なくともビニルエステ
ルモノマーおよび要すれば用いられる非極性モノマー)を形成する工程、低親水
性-親油性平衡(HLB)値を有する乳化剤を用いる工程を含む「2段階」乳化法
により製造してもよい。極性モノマーを含有しないことが望ましい場合、油中水
エマルジョンを形成するのに、水性相を直接油相モノマー(即ち、ビニルエステ
ルモノマーおよび要すれば用いられる非極性モノマー)および乳化剤に混合して
もよい。
本発明の微小球の中空形態は、この「2段階」法に用いられた乳化剤の選択に
より決定され得る。中空微小球の2段階調製の第1工程に用いられる好適な乳化
剤は、HLB値約7以下、好ましくは約2〜約7を有する乳化剤である。そのよ
うな乳化剤の例には、それらに限定されないが、ソルビタンモノオレエート、ソ
ルビタントリオレエート、エトキシル化オレイルアルコール(例えば、アトラス・
ケミカル・インダストリーズ(Atlas Chemical Industries)社から市販のブリジ(
Brij)93)、およびそれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる
。2段階法において油中水エマルジョンが不安定となる場合、中実微小球が得ら
れる。
中空微小球の製造第1工程では、後述の油相モノマー、乳化剤、フリーラジカ
ル開始剤、および要すれば用いられる架橋剤モノマーまたは後述のモノマーが組
合せられ、水および用いられる場合、極性モノマーを含有する水溶液を撹拌し、
油相に入れて油中水エマルジョンを形成する。増粘剤、例えばメチルセルロース
を油中水エマルジョンの水性相中に含んでもよい。第2工程では、第1工程の油
中水エマルジョンをHLB値約6以上を有する乳化剤を含有する水性相中に分散
することにより油中水エマルジョンを形成する。そのような乳化剤の例には、そ
れらに限定されないが、ソルビタンモノオレエート、エトキシル化ラウリルアル
コール、アルキルスルフェート、およびそれらの混合物から成る群から選択され
るものが含まれる。両方の工程において、乳化剤が用いられる場合、その濃度は
臨界ミセル濃度より高くすべきであり、それは本明細書中ではミセル、即ち乳化
剤分子の超顕微鏡的凝集体の形成に必要な乳化剤の最低濃度として定義される。
臨界ミセル濃度は各乳化剤に対して僅かに異なり、使用可能な濃度は約1.0×10- 4
〜約3.0モル/リットルの範囲である。本発明の方法の最終工程には、モノマー
の重合を開始するための加熱または照射(例えば紫外線等)が含まれる。当業者
には、選択される開始剤に依存して適当量の熱および/または照射を選択するこ
とが可能である。中空微小球の1段階製造方法
極性モノマーを含有する中空微小球の水性懸濁液を、少なくとも1種のビニル
エステルモノマーおよび要すれば用いられる非極性モノマー、および要すれば、
乳化および重合の間に実質的に安定である液滴内側に油中水エマルジョンを生成
し得る少なくとも1種の乳化剤の存在下での少なくとも1種の極性モノマーの水
性懸濁重合を含む「1段階」乳化法により製造してもよい。2段階乳化法におい
て、乳化剤はその臨界ミセル濃度以上の濃度で用いられる。一般に、この濃度で
配合される乳化剤は、重合の間に安定なキャビティ含有液滴を生成し、この1段
階法に用いられるのに好適である。そのような乳化剤の例には、それらに限定さ
れないが、アルキルアリールエーテルスルフェート、例えばアルキルアリールエ
ーテル硫酸ナトリウム、例えばローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)から市販
のトリトン(Triton)W/30;アルキルアリールポリエーテル、例えばアルキルアリ
ールポリ(エチレンオキシド)スルフェート;アルキルスルフェート、例えばラウ
リル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノール
アミン、およびヘキサデシル硫酸ナトリウム;アルキルエーテルスルフェート、
例えばラウリルエーテル硫酸アンモニウムおよびアルキルポリエーテルスルフェ
ート、例えばアルキルポリ(エチレンオキシド)スルフェート;アルキルアリール
ポリエーテルスルホネート、例えばアルキルアリールポリ(エチレンオキシド)ス
ルホン酸ナトリウム(例えば、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)から市販
のトリトン(Triton)X-200);アルキルベンゼンスルホネート、例えばp-ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム(例えばアルコラック(Alcolac)社から市販の
シポネート(Siponate)DS-10);アルキルスルホスクシネート、例えばアエロゾ
ル(Aerosol)OT、アメリカン・シアナミド・プロセス・ケミカルズ(American Cyana
mid Process Chemicals)Dept.から市販のスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチル
エステル;およびそれらの混合物から成る群から選択されるものが含まれる。ア
ルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアリールエーテ
ルスルフェート、およびそれらの混合物から成る群から選択される乳化剤が、そ
れらが最小量の界面活性剤用の微小球当たりの最大ボイド容積を提供する場合に
好ましい。ノニオン性乳化剤、例えばシポニック(Siponic)Y-500-70(例えば、
アルコラック(Alcolac)社から市販のエトキシル化オレイルアルコール)および
プ
ルロニック(Pluronic)P103(BASF社から市販の酸化ポリプロピレンおよび酸
化ポリエチレンのブロックコポリマー)を単独またはアニオン性乳化剤およびそ
れらの混合物と共に用いてもよい。ポリマー安定剤を含有してもよいが、必要な
い。中実微小球の1段階製造方法
中実微小球の水性懸濁液を、少なくとも1種のビニルエステルモノマー;少な
くとも1種のポリマー安定剤、例えばポリ(ビニルアルコール);要すれば、少な
くとも1種の非極性モノマー、および/または要すれば架橋剤モノマーの水性懸
濁重合を含む「1段階」乳化法により製造してもよい。他のポリマー安定剤、例
えば米国特許第4,166,152号(ベイカー(Baker)等)(例えば、カルボキシ変性ポ
リアクリルアミド、カルボキシ変性セルロース、4級アミン置換セルロース等)
、およびそれらに限定されないが、ポリオキシエチレン、ポリアクリル酸、ポリ
メタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミ
ン、ポリビニルメチルエーテル、それらの塩、およびそれらの混合物から成る群
から選択されるものを含む他の立体または電気立体ポリマー安定剤も本発明に有
用であると考えられる。
極性モノマーを導入しない中実微小球の水性懸濁液を、これらの微小球の形成
にポリマー安定剤よりHLB値約25以下を有する乳化剤を導入する同様の「1段
階」乳化法により製造してもよい。HLB値約25以下を有する乳化剤の例には、
それらに限定されないが、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、例えば
アルキルアリールポリ(エチレンオキシド)スルホン酸ナトリウム(例えば、ロー
ム・アンド・ハース(Rohm and Haas)から市販のトリトン(TritonTM)X-200);アル
キルベンゼンスルホネート、例えばp-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(例えばアルコラック(Alcolac)社から市販のポリステップ(PolystepTM)バイオ
ソフト(Biosoft)LAS-50);アルキルスルホスクシネート、例えばアエロゾル(Ae
rosolTM)OT、アメリカン・シアナミド・プロセス・ケミカルズ(American Cyanamid
Process Chemicals)Dept.から市販のスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエス
テル;およびそれらの混合物から成る群から選択されるものが含まれる。
これらの製造方法のすべては、用いられる場合、極性モノマーおよび/または
非極性モノマーの全部または一部、用いられる場合、多官能性架橋剤の添加を、
油中水エマルジョンの重合の開始後まで控えることにより改良してもよい。上記
控えた成分をエマルジョン中のモノマーのポリマーへの100%変換前に重合混合
物に添加する場合、これを行ってもよい。この作業融通性は配合者に、本発明の
感圧接着剤微小球の製造の都合のよい時点で、要すれば用いられる極性モノマー
の一部および/または要すれば用いられるフリーラジカル重合性ビニルモノマー
および/または多官能性架橋剤の一部を添加することを可能にする。開始剤
好適な開始剤は、通常フリーラジカル重合性モノマーのフリーラジカル重合に
好適なものであり、かつ油溶性であり、非常に低い水溶性を有する(即ち、通常
20℃で水100g当たり約1g以下)。そのような開始剤の例には、それらに限定さ
れないが、熱活性開始剤、例えばアゾ化合物、ヒドロペルオキシド、ペルオキシ
ド等、および光開始剤、例えばベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、お
よび2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等、およびそれらの混合物から
成る群から選択されるものが含まれる。水溶性重合開始剤の使用により、実質量
のラテックスを形成する。上記開始剤は一般に、全重合性組成物(即ち、モノマ
ーおよび要すれば用いられる架橋剤)の約0.01〜約10重量%、好ましくは約5重
量%以下の範囲の量で用いられる。架橋剤
本発明の微小球を製造する組成物は、多官能性架橋剤を含有してもよい。本明
細書中で用いられる「多官能性」の語により、2つ以上のフリーラジカル重合性
エチレン系不飽和基を有する架橋剤を表す。有用な多官能性架橋剤には、それら
に限定されないが、ジオールのアクリルまたはメタクリルエステル、例えばブタ
ンジオールジアクリレート、トリオール、例えばグリセロール、およびテトロー
ル、例えばペンタエリトリトールから成る群から選択されるものが含まれる。他
の有用な架橋剤には、それらに限定されないが、ポリビニル架橋剤、例えば置換
および非置換ジビニルベンゼン;および2官能性ウレタンアクリレート、例えば
エベクリル(Ebecryl)270およびエベクリル(Ebecryl)230(両方ともラッドキュア・
スペシァルティーズ(Radcure Specialties)から市販の重量平均分子量1500およ
び5000のアクリル化ウレタン)、およびそれらの混合物から成る群から選択され
るものが含まれる。用いる場合、架橋剤を全重合性組成物(即ち、モノマーおよ
び要すれば用いられる架橋剤)の約0.15当量%以下、好ましくは約0.1当量%以
下の量で加える。得られる化合物の「当量%」は、全組成物中の総当量数で割っ
たその化合物の当量数として定義され、当量は上記当量で割ったグラム数である
。上記当量は、モノマー中の重合性基数で割った分子量として定義される(1種
のみの重合性基を有するそれらのモノマーの場合、当量=分子量)。上記架橋剤
を、100%変換前のいつでもどの相に加えてもよい。好ましくは、開始前にそれ
を添加する。適当な照射源、例えばガンマ線または電子線への暴露により架橋が
更に起こる。微小球直径
本発明の微小球は通常、粘着性エラストマー、有機溶剤不溶性であるが有機溶
剤膨潤性であり、かつ通常直径少なくとも約1μm、好ましくは約1〜約300μm
を有して小さい。微小球が中空の場合、ボイドは通常約100μm以下のサイズであ
る。
これらの1段階または2段階法のいずれかによる重合に続いて、室温条件下(
即ち、約20〜約25℃)での凝集または凝結に安定である中空または中実微小球の
水性懸濁液が得られる。上記懸濁液は不揮発性固形分約10〜約50重量%を有して
もよい。長期静置により、上記懸濁液は2相に分離し、1相は水性であり、実質
的にポリマーを含有せず、もう一方の相は微小球の水性懸濁液である。両方の相
は少数部分のサブミクロンのラテックス粒子を含有してもよい。微小球高含有相
のデカンテーションにより、水と混合する場合、容易に再分散する不揮発性固形
分約40〜約50%のオーダーを有する水性懸濁液を提供する。要すれば、微小球の
水
性懸濁液を、本質的に粘着性の感圧接着剤被膜を提供するのに、すぐ後の重合に
用いてもよい。上記懸濁液を、従来の被覆技術、例えばナイフ被覆、またはマイ
アー(Meyer)棒被覆または押出ダイの使用により、好適な可撓性または非可撓性
支持材料上に被覆してもよい。
一旦乾燥すると、微小球は、十分に撹拌して、容易に通常の有機液体、例えば
酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘプタン、2-ブタノン、ベンゼン
、シクロヘキサン、およびエステル中に分散する。微小球の溶剤分散体を、好適
な支持材料上に、水性懸濁液用の前述のような従来の被覆技術により被覆しても
よい。
水性または溶剤ベースの被膜用の好適な支持材料には、それらに限定されない
が、紙、プラスチックフィルム、酢酸アセテート、エチルアセテート、合成また
は天然材料から形成される織物または不織繊維、金属、蒸着ポリマーフィルム、
セラミックシート材料等から成る群から選択されるものが含まれる。それらの上
にプライマーまたはバインダーを用いてもよい。
液状媒体、例えば水または前述の有機液体中の微小球の懸濁液または分散体を
、従来の技術により糸曵き(cobwebbing)なしにスプレーしてもよく、それらに限
定されないが、アルカン、アルケン、クロロフルオロカーボン、例えばフレオン
(Freon)ハロカーボン噴射剤(E.I.デュポン・デ・ネモアーズ・アンド・カンパニー(
du Pont de Nemours & Co.)から社から商品名で市販の)およびそれらの混合物
から成る群から選択されるものを含む好適な噴射剤を有するエアゾール容器内に
導入してもよい。有用なエアゾール配合は、固形分約5〜20%、好ましくは約10
〜16%を有する。
上記微小球の感圧接着剤特性を、粘着性付与樹脂および/または可塑剤の添加
により変化させてもよい。様々な他の成分、例えば顔料、水酸化ナトリウム等の
中和剤、充填材、安定剤、または様々なポリマー添加剤を含むことも本発明の範
囲内である。好ましくは、本発明の感圧接着剤は本発明の微小球を必須成分とし
て含有し、より好ましくは本発明の微小球から成る。試験方法 粘着性
本発明の微小球で被覆したシートの粘着性を、ポリケン・プローブ・タック(Pol
yken Probe Tack)テスター(ケンダル(Kendall)社から市販)を用いて、アメリ
カン・ソサイエティー・フォー・テスティング・アンド・マテリアルズ(American Soc
iety for Testing and Materials)テストメソッド(Test Method)ASTM D2979-88
に従って測定した。本発明の微小球を、1.5ミル下塗りポリエステルフィルム上
に被覆して、乾燥接着剤被膜厚さ1〜2ミルを得た。綿埃のない布を用いて酢酸
エチルでプローブを清浄にした後、接着剤被膜シートの2cm×2cm試料をポリケ
ン(Polyken)装置の環状リングウェイト上に載せた。次いでその粘着性を、直径0
.4975cmを有する10mmステンレス鋼プローブを用いて、速度0.5cm/秒および保圧
時間1秒で測定し、記録した。ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度を、示差走査熱量計を用いて加熱速度20℃/分で測定した。略語および商品名
以下の略語および商品名を本明細書中で用いた。
AA:アクリル酸
アクリゾル(Acrysol):アクリゾル(Acrysol)A3、NH4OHで中和されたロー
ム・アンド・ハース(Rohm and Haas)から市販のポリアクリル酸
BDDA:1,4-ブタンジオールジアクリレート
バイオソフト(Biosoft):ポリステップ(Polystep)バイオソフト(Biosoft)LAS-
50、ステパン(Stepan)社から市販のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
DVB:ジビニルベンゼン
HDDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
IOA:イソオクチルアクリレート
ITA:イタコン酸
NA:入手不可能または測定せず
シポネート(Siponate):シポネート(Siponate)DS-10、アルコラック(Alcolac)
社から市販のp-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
スパン(Span)80:スパン(Span)80TM、ICIアメリカ(America)社から市販のソル
ビタンモノオレエート
スタンダポール(Standapol):スタンダポール(StandapolTM)A、ヘンケル(Henk
el)AGから市販のアンモニウムラウリルスルフェート
V2EH:2-エチルヘキサン酸ビニル
VA:酢酸ビニル
ビノール(Vinol)350:ビノール(VinolTM)350、エアー・プロダクツ(Air Produc
ts)から市販のポリビニルアルコール
ビノール(Vinol)205:ビノール(VinolTM)350、エアー・プロダクツ(Air Produc
ts)から市販のポリビニルアルコール
VL:ラウリン酸ビニル実施例
以下の実施例は本発明を更に説明するが、本発明を限定するものではない。実
施例およびそれ以外の明細書におけるすべての部、%、比等は、表示しない限り
重量である。少なくとも1種のフリーラジカル重合性ビニルエステルの大部分(
即ち、少なくとも約50重量%)から成る微小球を作製し、粘着性、直径、Tgお
よび形態に関して試験した。実施例1および2
これらの実施例は、1段階乳化法による中空粘着性微小球の製造を説明する。実施例1
メカニカルスターラーおよび真空およびアルゴン用の出入口管を備えた1リッ
トル樹脂製の反応容器に、蒸留水および脱イオン水450gおよびスタンダポール(S
tandapolTM)A(ヘンケル(Henkel)AGから市販のアンモニウムラウリルスルフェー
ト)6.0gを入れ、65℃に加熱した。次に、ルシドール(LucidolTM)-70(アトケム・
ノース・アメリカ(Atochem North America)社から市販の70%ベンゾイルペルオキ
シド)0.71gを、ビニルラウレート144g、アクリル酸6.0g、および1,4-ブタンジ
オールジアクリレート0.04gの混合物に溶解した。ルシドール(LucidolTM)-70を
溶解する場合、上記モノマー混合物を400RPMで撹拌しながら上記反応容器に加え
た。減圧して、反応容器雰囲気を排気し、上記反応容器をアルゴンでパージした
。上記反応容器の温度を65℃で15時間保持した。アルゴンパージを重合の間、続
けた。15時間後、上記懸濁液を室温まで冷却した。上記反応容器を空にし、懸濁
液を濾過した。光学顕微鏡により、微小球の直径の約15%の多数のキャビティを
有する直径約30μmを有する中空微小球であることを示した。実施例2
ビネート(VynateTM)2EH(ユニオン・カーバイド(Union Carbide)社から市販の
2-エチルヘキサン酸ビニル)144gをビニルラウレートの代わりに用いた以外は実
施例1と同様の方法を行った。反応容器の温度を65℃で22時間保持した。重合の
終点で、光学顕微鏡により、微小球の直径の約15%の多数のキャビティを有する
直径約30μmを有する中空微小球であることを示した。実施例3
以下の実施例は、2段階乳化法を用いる中空粘着性微小球の製造を説明する。
スタンダポール(StandapolTM)A0.75gを蒸留水および脱イオン水150gに溶解し
、メカニカルスターラー並びに真空およびアルゴン用の出入口管を備えた1リッ
トル樹脂製の反応容器に入れた。オムニ(Omni)ミキサー中で蒸留水および脱イオ
ン水75gをビニルラウレート75g、スパン(Span)80TM(ICIアメリカ(America)社か
ら市販のソルビタンモノオレエート)1.50gおよびルシドール(LucidolTM)-70(0.
36g)と混合して、油中水エマルジョンを調製した。上記油中水エマルジョンを、
スタンダポール(StandapolTM)Aの水溶液の入った反応容器に加えた。上記反応容
器を400RPMで撹拌しながら75℃に加熱した。上記反応容器を75℃で22時間保持し
、この間、アルゴンパージを続けた。22時間後、上記懸濁液を室温まで冷却した
。
上記反応容器を空にし、懸濁液を濾過した。光学顕微鏡により、微小球の直径の
少なくとも約10%の多数のキャビティを有する直径約2〜70μmを有する中空微
小球であることを示した。実施例4および5
以下の実施例は、中実粘着性微小球の製造を説明する。実施例4ではポリマー
安定剤を用いた。実施例5では、極性モノマーを導入しない中実微小球をHLB
25以下を有する界面活性剤を用いて製造した。実施例4
メカニカルスターラー並びに真空およびアルゴン用の出入口管を備えた1リッ
トルのガラス製反応容器中で、ビノール(VinolTM)350(エアー・プロダクツ(Air
Products)から市販のポリビニルアルコール)3gを蒸留水および脱イオン水225g
に溶解した。上記反応容器を75℃に加熱し、減圧しアルゴンで再充填することに
より、その雰囲気を排気した。上記反応容器の温度が75℃に到達した時に、ビネ
ート(VynateTM)2EH(75g)およびルシドール(LucidolTM)-70(0.36g)の混合物を
加えた。撹拌を400RPMに設定した。上記反応容器の温度を75℃で22時間保持した
。重合の間、アルゴンパージを続けた。この時間の後、上記懸濁液を室温まで冷
却した。上記反応容器を空にし、懸濁液を濾過した。光学顕微鏡により、直径約
90μmを有する中実微小球であることを示した。実施例5
ポリステップ(Polystep)バイオソフト(Biosoft)LAS-50(ステパン(Stepan)社
から市販のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、HLB=約19)をポリビニ
ルアルコールの代わりに用いた以外は、実施例4と同様に中実微小球を製造した
。更に、ジビニルベンゼン0.019gをビネート(VynateTM)2EHと共に用いた。重合
を75℃で30時間行った。重合後、光学顕微鏡により、直径約70μmを有する中実
微小球であることを示した。実施例6〜10
実施例1に従って、表1に示した割合で製造した以下の実施例により、異なる
粘着性微小球の製造を説明した。すべての場合、配合中に蒸留水および脱イオン
水225.0gを用いた。全重合は75℃で行った。実施例11〜12
実施例4に従って、表1に示した割合で製造した以下の実施例により、別のポ
リマー安定剤(実施例12)および極性モノマーおよび別のポリマー安定剤(実施
例11)を用いた中実粘着性微小球の製造を説明した。
本発明は特定の態様に関して説明されたが、更に改良が可能であると解される
べきである。請求の範囲は、当業者が記載された内容と化学的に同等であると判
断するそれらの変形を包含するつもりである。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C09J 157/00 9272−4J C09J 157/00
(72)発明者 トラン,ツ−バン・ティ
アメリカ合衆国55133−3427ミネソタ州
セント・ポール、ポスト・オフィス・ボッ
クス33427(番地の表示なし)