JPH1046428A - ポリビニルアルコ−ル系繊維及びその製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコ−ル系繊維及びその製造方法

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JPH1046428A
JPH1046428A JP20008596A JP20008596A JPH1046428A JP H1046428 A JPH1046428 A JP H1046428A JP 20008596 A JP20008596 A JP 20008596A JP 20008596 A JP20008596 A JP 20008596A JP H1046428 A JPH1046428 A JP H1046428A
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fiber
bath
spinning
pva
boric acid
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JP20008596A
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Yuji Ogino
祐二 荻野
Yoichi Yamamoto
洋一 山本
Junichi Hikasa
純一 日笠
Yoshishige Noguchi
栄重 野口
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 よりコンパクトな設備で高強度、高弾性率を
有すると同時に膠着のないPVA系繊維を安価に提供す
る。 【解決手段】 単繊維強度8g/d以上、初期弾性率
260g/d以上、硼酸含有量1重量%以下であり、か
つスキン−コア構造を有するポリビニルアルコ−ル系繊
維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリビニルアルコール
(以下PVAと略記)系繊維、特に産業資材分野におい
て成型物の補強材として優れた性能を有するPVA系繊
維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セメント成形品の補強用繊維とし
て石綿が用いられてきたが、近年、石綿による健康障害
が明らかにされ、その使用規制が進んでいる。PVA系
繊維は汎用繊維の中でも高強力、高弾性であり、かつセ
メントとの接着性及び耐アルカリ性が良好であるためF
RC分野での石綿代替素材等として急速にその需要が伸
びている。高強度、高弾性率を有する繊維は補強材とし
て好適に使用できるが、PVA系繊維の機械的性能は、
一般にその断面構造と大きな関係があるとされている。
【0003】たとえば、PVA系繊維の代表的な製造方
法として、PVA水溶液を脱水能を有する無機塩類を含
む室温の凝固浴中に湿式紡糸し、ロ−ラ−延伸、湿熱延
伸した後、乾燥延伸する方法が知られているが、かかる
方法により得られるPVA系繊維は、丸形を押し潰した
ような繭型断面(断面充実度50%程度)を有し、延伸
倍率は8倍程度で強度6g/d程度の低いものである。
これは、凝固浴中で急激な脱水がなされるため、緻密な
構造を有するスキン部と比較的粗な構造を有するコア部
の2層構造が形成され、その結果、延伸工程において理
想的な配向、結晶化ができず、強度もある程度以上増大
しないものと考えられる。これは繊維の密度からも明ら
かであり、スキン−コア構造を有する繊維は、スキン−
コア構造を有さない繊維に比べて密度が低く、繊維構造
中に十分配向及び結晶化していない部分があることを示
唆している。
【0004】一方、スキン−コア構造を形成せず繊維横
断面が均一な繊維は、より高倍率で延伸できるため、強
度及び弾性率を一層高めることができる。スキン−コア
構造を形成しないPVA系繊維の製造方法としては、紡
糸工程中に糸篠を水洗して膨潤させることにより、形成
されたスキン−コア構造を一度破壊して繊維横断面を均
一にする方法が知られている。たとえば、特開平1−2
98208号公報には、PVA系ポリマ−に対して0.
5〜5重量%の硼酸もしくは硼酸塩と、pHコントロ−
ル用の酸を溶解した比較的PVA濃度の低い紡糸原液
を、湿式紡糸法により55〜95℃のアルカリ飽和塩類
浴(凝固浴)へ吐出後、ロ−ラ−延伸して中和し、引き
続いて残存硼酸を一定レベル以下にするため水洗した後
乾燥し、次いで全延伸倍率17倍以上になるように乾熱
延伸する方法が提示されている。かかる方法により得ら
れる繊維断面は、スキン−コア構造が形成されておら
ず、断面充実度も50〜65%と高い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる方法により得ら
れるPVA系繊維は、補強材として優れた性能を有して
いるものの、水洗工程が施されているため、一度形成さ
れた繊維構造が水洗で破壊され、しかも糸篠中に水分を
含有したまま乾燥されるため、膠着しやすい問題があっ
た。従って、生産速度を上げることが困難であるため生
産コストが高くなり、また残存する硼酸を水洗するため
には巨大な設備が必要であり効率的でなかった。本発明
の目的は、以上の問題を鑑み、高強度高弾性率を有しか
つ膠着しにくいPVA系繊維を、安定にしかも低コスト
で提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、単繊維強度8
g/d以上、初期弾性率260g/d以上、硼酸含有量
1重量%以下であり、かつスキン−コア構造を有するポ
リビニルアルコ−ル系繊維および、該繊維の好適な製造
方法として、硼酸及び/または硼酸塩0.03〜0.2
重量%、ポリビニルアルコ−ル系ポリマ−5〜30重量
%を含む紡糸原液を、アルカリ0.0025〜0.25
モル/リットル及び無機塩類を含むアルカリ性凝固浴へ
紡糸後、酸0.005〜0.5モル/リットル及び無機
塩類を含む水溶液中で中和し、次いで無機塩類の飽和水
溶液中に浸漬後、湿熱延伸、乾燥、乾熱延伸を行うポリ
ビニルアルコ−ル系繊維の製造方法を提供するものであ
る。本発明によれば、繊維断面が比較的均一で高強力高
弾性率を有すると同時に、水洗工程を施さないため生産
速度を上げても繊維が膠着しにくく、さらにマトリック
ス中での分散性に優れたPVA系繊維を効率的に提供す
ることができる。
【0007】本発明のPVA系繊維は、スキン−コア構
造を有するにもかかわらず高強度高弾性率を有してい
る。これは、紡糸原液に添加された硼酸が凝固浴中のア
ルカリの存在によりPVAと架橋し、その結果、糸篠が
急激に脱水されなくなって、繊維断面の構造がより均一
化されたため、従来よりも高い倍率で延伸することが可
能となったためと思われる。本発明のPVA系繊維の横
断面を光学顕微鏡で観察すると、繊維横断面積中に占め
るスキン部の割合が60%以上(従来は50%程度以
下)であり、より断面構造が均一化されていることがわ
かる。なお、PVA系繊維の横断面を光学顕微鏡で観察
したときに1本の繊維の中で明るく見える外周部分をス
キン部、比較的暗く見える中心部分をコア部と称する。
すなわち、繊維横断面を光学顕微鏡で観察すると明暗が
みられる繊維が、スキン−コア構造を有する繊維という
こととなる。また、スキン−コア構造が形成されている
繊維は密度が低く、密度1.28g/cm3 以下、特に
1.27g/cm3 以下となるため(スキン−コア構造
を形成していない繊維の密度は1.30g/cm3 程度
以上)、繊維密度からもスキン−コア構造の有無を判断
することができる。
【0008】本発明においては、単繊維強度8g/d以
上、初期弾性率260g/d以上、好ましくは単繊維強
度9g/d以上、初期弾性率280g/d以上のPVA
系繊維を得ることができる。繊維の機械的性能が低い場
合には、補強用繊維等として十分な性能が得られない。
また、硼酸含有量は1重量%/PVA系ポリマ−以下、
好ましくは0.2〜0.7重量%/PVA系ポリマ−以
下である必要がある。硼酸含有量が高い場合には、耐湿
熱性、耐摩耗性が低下するため、所望の繊維性能が得ら
れない。
【0009】本発明に使用されるPVA系ポリマ−は特
に限定されず、他のビニル基を有するモノマ−、例えば
エチレン、イタコン酸、アクリル酸、アクリル酸エステ
ル類などのモノマ−を含むものでもよい。共重合割合は
20モル%以下であるのが好ましい。PVA系ポリマ−
の重合度は適宜選択すればよいが、1000〜500
0、特に1500〜3000程度のものが特に好適に使
用できる。PVAのケン化度に関しても特に限定されな
いが、98モル%以上、特に99.5モル%以上のもの
が好適に使用できる。ケン化度が低すぎると、凝固浴中
に存在するアルカリが、PVAのケン化に使用されて、
PVAと硼酸の反応(ゲル化)が十分に行われない場合
があるため好ましくない。
【0010】さらに口金の寿命、延伸工程の安定性を高
めるために、またデニ−ル斑を改善するために紡糸原液
に1種又は2種以上の界面活性剤を添加してもよい。そ
の際の添加率は凝固不良等を抑制するために20重量%
以下、特に0.1〜3重量%とするのが好ましい。界面
活性剤の種類は、ノニオン系、アニオン系、カチオン
系、両性系いかなるものを用いても良いが、2種類以上
を併用して使用する場合には、沈殿が生じるような組み
合わせ(たとえばアニオン系とカチオン系)は好ましく
ない。特にノニオン系界面活性剤を使用するのが好まし
い。
【0011】紡糸原液のPVA系ポリマ−の濃度は、そ
の重合度によって異なるが5〜30重量%、特に10〜
20重量%とするのが好ましい。本発明においては、高
強力繊維を得ることを目的としているので、PVA系ポ
リマ−の濃度は低い方がポリマ−の分子鎖の絡みが少な
く、高倍率延伸が可能となるので好ましい。しかしなが
ら、PVA系ポリマ−の濃度が低すぎるとデニ−ル斑が
発生するので、該濃度を調整する必要がある。
【0012】紡糸原液に添加する硼酸の濃度は、0.0
3〜0.2重量%/紡糸原液全重量、特に0.05〜
0.15重量%/紡糸原液全重量とするのが好ましい。
硼酸の濃度が低すぎると、口金より凝固浴中へ吐出した
際に十分に架橋構造が形成されないため、繊維横断面の
構造を均一化することができない。逆に硼酸濃度が高す
ぎると、水洗工程を採用しなければ繊維中の硼酸残存量
が多くなりすぎるため、延伸性が低下して高強力繊維が
得られなくなる。水洗工程を採用すれば硼酸残存量を適
宜設定できるが、この場合、膠着等が生じやすく、また
大規模な装置が必要となるため効率的でない。本発明の
効果を損なわない範囲で、紡糸原液に他の添加物、ポリ
マ−等が含まれていてもよい。
【0013】本発明で採用される紡糸方法は、PVAを
硼酸によりゲル化できれば特に限定されない。たとえば
ノズルが凝固浴と直接接している湿式紡糸、またノズル
と凝固浴との間に空気層や窒素層のような不活性ガス層
が介在する乾湿式紡糸でもよい。凝固浴は、PVA水溶
液に対して脱水能のある塩の高濃度溶液(好ましくは飽
和水溶液)に所定量のアルカリが添加されていればよ
い。添加する塩としては、硫酸ナトリウム(芒硝)、硫
酸アンモニウム等が挙げられ、アルカリとしては水酸化
アンモニウム、水酸化カリウム等が挙げられる。本発明
においては、飽和の芒硝水溶液に水酸化ナトリウムを添
加するのがより好ましい。また、本発明の効果を損なわ
ない範囲で他の添加物等が含まれていてもよい。凝固浴
の温度は20〜70℃、特に30〜50℃とするのが好
ましい。
【0014】アルカリ濃度は0.0025〜0.25モ
ル/リットル、好ましくは0.025〜0.15モル/
リットルとする。アルカリ濃度が低すぎると架橋反応が
十分進行しないため繊維の延伸性が不十分となり、逆に
濃度が高すぎると、糸篠中のアルカリの中和を行うのが
困難となる。繊維中のアルカリ残存量が大きいと、繊維
の延伸性が低下するため所望の強度を有する繊維が得ら
れない。また、アルカリ残存量が高くても酸の濃度を高
くすれば中和を行うことができるが、この場合、糸篠に
付着した酸等を除去するための負担が大きくなり、また
設備のコンパクト化の点で好ましくない。
【0015】口金より、凝固浴中に吐出された紡糸原液
は、ゲル化及び脱水されて糸篠を形成し、その後中和工
程に入る。酸で中和を行う前に、1〜3倍程度のロ−ラ
−延伸を行うのがより好ましい。中和は、PVA水溶液
に対して脱水能を有する塩の高濃度溶液(好ましくは飽
和水溶液)に酸が添加された溶液を用いればよいが、本
発明においては飽和の芒硝水溶液に硫酸を添加する系が
好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で他の添加物
等が含まれていてもよい。
【0016】このときの酸濃度は0.005〜0.5モ
ル/リットル、好ましくは0.05〜0.3モル/リッ
トルとするのが好ましい。硫酸濃度が低すぎると前工程
のアルカリをコンパクトな設備で中和するのが困難とな
り、中和浴中で糸篠を絞る等の物理的な液置換による強
制的な中和が必要となる。また濃度が高すぎると、前述
のように後の酸除去工程に負担がかかり、これも設備の
コンパクト化が困難となる。中和の方法は特に限定され
ないが、糸篠を中和よくに浸漬して中和するのが工程上
好ましく、温度は20〜70℃、特に30〜50℃とす
るのが好ましい。また、凝固浴のアルカリ濃度と中和浴
の酸濃度の比は、1〜3:1、特に1.5〜2.5:1
とするのが好ましい。このように、本発明においては、
紡糸原液中の硼酸濃度、PVAと硼酸を架橋させるため
のアルカリ濃度、アルカリを中和するための酸濃度は、
紡糸工程中で一般に中和工程の後に設置する「水洗工
程」を省略するという目的のために必要最小限にしてお
く必要がある。
【0017】上記の方法によって繊維化された紡糸原糸
は、中和工程で付着した酸等を除去するための工程に入
る。繊維における酸及びアルカリの残存量が大きいと、
延伸性が低下して所望の繊維が得られない。このとき、
凝固浴と同様にPVA水溶液に対して脱水能を有する塩
の飽和水溶液を用いればよく、本発明においては飽和芒
硝水溶液を用いるのが好ましい。該水溶液の付与方法は
特に限定されないが、該水溶液中(置換浴)に浸漬する
方法が好適に使用できる。置換浴には、本発明の効果が
損なわれない範囲で他の添加物が含まれていてもよく、
温度は20〜70℃、特に30〜50℃とするのが好ま
しい。
【0018】酸等はほぼ完全に除去されるのが好ましい
が、繊維の延伸性に実質的に影響しない程度であれば残
存していてもよい。次いで得られた糸篠は湿熱延伸、乾
燥、延伸されるが、このときの条件は特に限定されるも
のではない。湿熱延伸は、80〜90℃の飽和芒硝浴中
で行うのが好ましく、これまでの延伸倍率が1.1〜5
倍、特に1.5〜3倍となるように延伸するのが好まし
い。乾燥は80〜150℃、特に100〜140℃程度
で行うのが好ましく、乾燥後延伸されて巻き取られる。
このとき全延伸倍率が11倍以上、特に12倍以上とな
るように延伸するのが好ましい。本発明によれば、繊維
が断糸するまでの最高延伸倍率(MaxTD)が14倍
以上、特に15倍以上となるため、高い延伸倍率で延伸
することができる。
【0019】酸、アルカリが繊維中に多量に残存してい
る場合には、延伸性が低下して全延伸倍率を11倍以上
とすることができないため、強度等を十分に高めること
ができない。一旦巻き取られた糸篠はまだ多くの芒硝が
含まれているため、芒硝を水洗するのが好ましい。該糸
篠は高倍率延伸を施されているため、水洗工程を施して
も膠着等の諸問題は生じず、生産性を低下させることな
く優れたPVA系繊維を得ることができる。繊維に仕上
げ用油剤を付着させる、熱処理等の後処理を施すのがよ
り好ましい。
【0020】本発明により得られるPVA系繊維は、高
強度、高弾性率を有し、かつ膠着が生じていないためあ
らゆる用途に使用することができるが、セメント、ゴ
ム、樹脂等に対する補強用繊維、特に水硬性無機物用の
補強繊維として好適に使用することができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例を以て本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例により何等限定されるものではな
い。 [破断強伸度、初期弾性率]JIS L−1013に準
拠し、予め20℃、65%RHの雰囲気下で調湿された
単繊維を糸長20cm、引張速度10m/分で定速伸長
試験を行って求めた。なお、繊維が短かく、20mmの
試長がとれない場合、試長が1mmで測定する。 [スキン比率 %]繊維の横断面写真を光学顕微鏡を用
いて撮影したものを拡大コピ−し、1つの繊維の横断面
部分を切抜き重量Aを測定し、さらにその横断面から明
るく移っている部分のみを切抜き重量Bを測定し、B/
A×100の計算式により求めた。
【0022】[密度 g/cm3 ]密度勾配管法により
測定した。 [アセタール化度]JIS K−6729のビニルホル
マール分析方法に準拠して測定した。 [硼酸含有量]ルツボに約2g(試料重量Wg)の繊維
を精秤し、該試料を0.1規定の水酸化ナトリウム水溶
液に浸漬し、それを105℃に保った乾燥機に12時間
入れて水分を飛ばした後、電気炉(400〜500℃)
に60分間入れて熱をかけた。得られた試料をルツボご
とビ−カ−に入れ、さらに蒸留水を加えて30〜60分
間放置し、次いでフェノ−ルフタレイン指示薬を滴下
し、さらに液が赤色から黄色になるまで0.1規定の塩
酸を加え30〜60分間煮沸した。これを冷却後、水酸
化ナトリウム及び/または硫酸を滴下してpH7にした
後、pHがそれ以上低くならなくなるまでマンニットを
添加する。さらに再びpH7になるまで0.1規定の水
酸化ナトリウムを要した量(Vml)を求め、0.62
V/Wにより硼酸含有量(重量%/PVA)を求めた。
【0023】[実施例1]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16重量%、硼
酸0.12重量%となるように水に溶解し、紡糸原液と
した。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数6000の
口金より、水酸化ナトリウム0.05モル/リットル、
芒硝350g/l、浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸
した。常法に従ってロ−ラ−間で2.5倍延伸した後、
硫酸0.1モル/リットル、芒硝380g/l、浴温度
40℃の中和浴で中和した。さらに中和浴中で付着した
硫酸を芒硝400g/l、浴温度40℃の置換浴中で落
とし、芒硝380g/l、浴温度90℃の浴で1.5倍
湿熱延伸した。この後、130℃で乾燥し、235℃で
全延伸率(TD)が13倍となるよう乾熱延伸して巻き
とった。またこのとき断糸する直前の最高延伸倍率(M
axTD)は18倍であった。結果を表1に示す。
【0024】[実施例2]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16重量%、硼
酸0.08重量%となるように水に溶解し、紡糸原液と
した。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数6000の
口金より、水酸化ナトリウム0.05モル/リットル、
芒硝350g/l、浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸
した。常法に従ってロ−ラ−間で2.5倍延伸した後、
硫酸0.12モル/リットル、芒硝380g/l、浴温
度40℃の中和浴で中和した。さらに中和浴中で付着し
た硫酸を芒硝400g/l、浴温度40℃の置換浴中で
落とし、芒硝380g/l、浴温度90℃の浴で1.5
倍湿熱延伸した。この後、130℃で乾燥し、235℃
で全延伸率(TD)が12倍となるよう乾熱延伸して巻
きとった。またこのとき断糸する直前の最高延伸倍率
(MaxTD)は16倍であった。結果を表1に示す。
【0025】[実施例3]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16重量%、硼
酸0.12重量%、ノニオン系界面活性剤(松本油脂製
「アクチ−ル G−1200」)0.48重量%となる
ように水に溶解し、紡糸原液とした。該紡糸原液を孔径
0.08mm、孔数6000の口金より、水酸化ナトリ
ウム0.05モル/リットル、芒硝350g/l、浴温
度40℃の凝固浴中に湿式紡糸した。常法に従ってロ−
ラ−間で2.5倍延伸した後、硫酸0.1モル%、芒硝
380g/l、浴温度40℃の中和浴で中和した。さら
に中和浴中で付着した硫酸を芒硝400g/l、浴温度
40℃の置換浴中で落とし、芒硝380g/l、浴温度
90℃の浴で1.5倍湿熱延伸した。この後、130℃
で乾燥し、235℃で全延伸率(TD)が15倍となる
よう乾熱延伸して巻きとった。またこのとき断糸する直
前の最高延伸倍率(MaxTD)は20倍であった。結
果を表1に示す。
【0026】[比較例1]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16重量%とな
るように水に溶解し、紡糸原液とした。該紡糸原液を孔
径0.08mm、孔数6000の口金より、芒硝400
g/l、浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸した。常法
に従ってロ−ラ−間で2.5倍延伸した後、芒硝380
g/l、浴温度90℃の浴で1.5倍湿熱延伸した。こ
の後、130℃で乾燥し、235℃で全延伸率(TD)
が8倍となるよう乾熱延伸して巻きとった。またこのと
き断糸する直前の最高延伸倍率(MaxTD)は11倍
であった。結果を表1に示す。
【0027】[比較例2]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16重量%、硼
酸0.3重量%となるように水に溶解し、紡糸原液とし
た。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数1000の口
金より、水酸化ナトリウム0.3モル/リットル、芒硝
350g/l、浴温度70℃の凝固浴中に湿式紡糸し
た。常法に従ってロ−ラ−間で3倍延伸した後、硫酸
0.82モル/リットル、芒硝380g/l、浴温度4
0℃の中和浴で中和した。さらに芒硝380g/l、浴
温度90℃の浴で1.2倍湿熱延伸した後、35℃の水
で水洗した。さらに膠着紡糸のための油剤を付与し、1
30℃で乾燥後、235℃で全延伸率(TD)が18倍
となるよう乾熱延伸して巻きとった。またこのとき断糸
する直前の最高延伸倍率(MaxTD)は24倍であっ
た。得られた繊維の性能は優れていたが、水洗工程を導
入しているために設備が大がかりとなり、また膠着防止
のために生産速度を低下させる必要があった。結果を表
1に示す。
【0028】[比較例3]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16重量%、硼
酸0.016重量%となるように水に溶解し、紡糸原液
とした。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数6000
の口金より、水酸化ナトリウム0.05モル/リット
ル、芒硝350g/l、浴温度40℃の凝固浴中に湿式
紡糸した。常法に従ってロ−ラ−間で2.5倍延伸した
後、硫酸0.1モル/リットル、芒硝380g/l、浴
温度40℃の中和浴で中和した。さらに中和浴中で付着
した硫酸を芒硝400g/l、浴温度40℃の置換浴中
で落とし、芒硝380g/l、浴温度90℃の浴で1.
5倍湿熱延伸した。この後、130℃で乾燥し、235
℃で全延伸率(TD)が10倍となるよう乾熱延伸して
巻きとった。またこのとき断糸する直前の最高延伸倍率
(MaxTD)は13倍であった。硼酸の添加量が少な
すぎるために架橋構造が十分形成されておらず、その結
果、延伸可能な倍率が低下した。結果を表1に示す。
【0029】[比較例4]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16重量%、硼
酸0.48重量%となるように水に溶解し、紡糸原液と
した。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数6000の
口金より、水酸化ナトリウム0.05モル/リットル、
芒硝350g/l、浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸
した。常法に従ってロ−ラ−間で2.5倍延伸した後、
硫酸0.1モル/リットル、芒硝380g/l、浴温度
40℃の中和浴で中和した。さらに芒硝400g/l、
浴温度40℃の置換浴中で付着した硫酸を落とし、芒硝
380g/l、浴温度90℃の浴で1.5倍湿熱延伸し
た。この後、130℃で乾燥し、235℃で全延伸率
(TD)が11倍となるよう乾熱延伸して巻きとった。
またこのとき断糸する直前の最高延伸倍率(MaxT
D)は15倍であった。繊維性能は比較的高いものであ
ったが、硼酸含有量が高いために耐湿熱性、耐摩耗性は
低下した。結果を表1に示す。
【0030】[比較例5]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16重量%、硼
酸0.12重量%となるように水に溶解し、紡糸原液と
した。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数6000の
口金より、水酸化ナトリウム0.0013モル/リット
ル、芒硝350g/l、浴温度40℃の凝固浴中に湿式
紡糸した。常法に従ってロ−ラ−間で2.5倍延伸した
後、硫酸0.0025モル/リットル、芒硝380g/
l、浴温度40℃の中和浴で中和した。さらに中和浴で
付着した硫酸を芒硝400g/l、浴温度40℃の置換
浴中で落とし、芒硝380g/l、浴温度90℃の浴で
1.5倍湿熱延伸した。この後、130℃で乾燥し、2
35℃で全延伸率(TD)が9倍となるよう乾熱延伸し
て巻きとった。またこのとき断糸する直前の最高延伸倍
率(MaxTD)は12倍であった。凝固浴中のアルカ
リ濃度が低いために架橋構造が十分形成されず、その結
果、繊維の延伸倍率が低下した。結果を表1に示す。
【0031】[比較例6]粘度平均度重合度1700、
ケン化度99.9モル%のPVAを濃度16重量%、硼
酸0.12重量%となるように水に溶解し、紡糸原液と
した。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数6000の
口金より、水酸化ナトリウム0.38モル/リットル、
芒硝350g/l、浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸
した。常法に従ってロ−ラ−間で2.5倍延伸した後、
硫酸0.7モル/リットル、芒硝380g/l、浴温度
40℃の中和浴で中和した。さらに、中和浴中で付着し
た硫酸を芒硝400g/l、浴温度40℃の置換浴中で
落とし、芒硝380g/l、浴温度90℃の浴で1.5
倍湿熱延伸した。この後、130℃で乾燥し、235℃
で延伸しようとしたが、中和浴中で多量に硫酸が付着す
るため置換浴で硫酸を十分除去しきれず、その結果、硫
酸により繊維が炭化してしまい繊維を得ることができな
かった。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、よりコンパクトな設備
で高強度、高弾性率を有すると同時に膠着のないPVA
系繊維を安価に提供することができる。本発明により得
られる繊維は、あらゆる分野に使用することができる
が、補強用繊維、特にFRC用途に関して極めて優れた
効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 栄重 岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社ク ラレ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単繊維強度8g/d以上、初期弾性率2
    60g/d以上、硼酸含有量1重量%以下であり、かつ
    スキン−コア構造を有するポリビニルアルコ−ル系繊
    維。
  2. 【請求項2】 硼酸及び/または硼酸塩0.03〜0.
    2重量%、ポリビニルアルコ−ル系ポリマ−5〜30重
    量%を含む紡糸原液を、アルカリ0.0025〜0.2
    5モル/リットル及び無機塩類を含むアルカリ性凝固浴
    へ紡糸後、酸0.005〜0.5モル/リットル及び無
    機塩類を含む水溶液中で中和し、次いで無機塩類の飽和
    水溶液中に浸漬後、湿熱延伸、乾燥、乾熱延伸を行うポ
    リビニルアルコ−ル系繊維の製造方法。
JP20008596A 1996-07-30 1996-07-30 ポリビニルアルコ−ル系繊維及びその製造方法 Pending JPH1046428A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102337605A (zh) * 2011-08-18 2012-02-01 安徽皖维高新材料股份有限公司 一种高强度、高模量、高熔点pva纤维及其制造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102337605A (zh) * 2011-08-18 2012-02-01 安徽皖维高新材料股份有限公司 一种高强度、高模量、高熔点pva纤维及其制造方法

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